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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E06B
管理番号 1394022
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-31 
確定日 2023-01-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第7032021号発明「電動遮蔽装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7032021号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7032021号の請求項1ないし4に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成30年2月15日に出願され、令和4年2月28日にその特許権の設定登録がされ、令和4年3月8日に特許掲載公報が発行され、その後、令和4年8月31日差出で特許異議申立人寺田恵(以下「申立人」という。)より、請求項1ないし4に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである(特許異議申立書について、以下「申立書」という。)。

第2 本件特許発明
特許第7032021号の請求項1ないし4の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである(以下、それぞれ「本件特許発明1」等という。)。

「【請求項1】
モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置と、
前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止し、前記駆動軸を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで前記駆動軸を逆回転させることにより当該再駆動を行うことを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項2】
モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置と、
前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止し、前記駆動軸を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する手段を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項3】
モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物に起因して駆動軸と巻取ドラムの回転差が生じることでカムクラッチが作動し前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置と、
前記モーターの回転を検知するエンコーダーと、
前記エンコーダーの出力値を入力して監視し前記モーターの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置の作動時に生じる前記モーターの駆動に係る過電流、異常波形電流及び異常波形電圧のうち1以上の異常値の監視、或いは前記異常値の監視と前記エンコーダーの出力値の入力の双方を監視し、該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定し前記モーターの駆動を停止する障害物検知停止制御手段を有し、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、所定量逆回転させてから停止する手段を備え、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで逆回転させてから停止することを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項4】
モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物に起因して駆動軸と巻取ドラムの回転差が生じることでカムクラッチが作動し前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置と、
前記モーターの回転を検知するエンコーダーと、
前記エンコーダーの出力値を入力して監視し前記モーターの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置の作動時に生じる前記モーターの駆動に係る過電流、異常波形電流及び異常波形電圧のうち1以上の異常値の監視、或いは前記異常値の監視と前記エンコーダーの出力値の入力の双方を監視し、該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定し前記モーターの駆動を停止する障害物検知停止制御手段を有し、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、所定量逆回転させてから停止する手段を備え、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する手段を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。」

第3 申立理由の概要(進歩性
申立人は、次の証拠方法とともに以下のとおり主張している。

1 甲第1号証に記載された発明を主引用発明として
本件特許発明1、2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載の周知技術に基づいて、本件特許発明3、4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

2 甲第4号証に記載された発明を主引用発明として
本件特許発明1、2は、甲第4号証に記載された発明に基づいて、本件特許発明3、4は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第5号証、甲第6号証に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

従って、本件特許発明1ないし4は、特許法第113条第2号に該当し、特許を取消すべきである。
(申立書12頁の「理由の要点」欄)

[証拠方法]
甲第1号証:特開2001−159284号公報
甲第2号証:特開2005−179994号公報
甲第3号証:特開2008−156984号公報
甲第4号証:特開2017−206853号公報
甲第5号証:特開2009−52371号公報
甲第6号証:特開平8−93364号公報

第4 当審の判断
1 各甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
本件特許の出願前に発行された甲第1号証には、以下の記載がある。
(当審で下線を付与した。以下同様。)

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャッター等の開閉体を開閉制御する装置に係り、特に、開閉体を開閉限度位置及び開閉時の障害物接触時に停止制御でき、開閉限度位置で正確に停止させることができる開閉体の開閉制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】開閉体がシャッターである例で説明する。電動制御のシャッターは、開閉限度位置である上下限位置に達した際、及び障害物接触時にそれぞれ停止制御するよう構成されている。」

イ 「【0015】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕図1は、本発明の開閉体の開閉制御装置を示すブロック図である。以下の実施形態では、開閉体として昇降するシャッターを例に説明する。操作手段1は、シャッターを開閉停止させる複数のスイッチからなる。制御手段2には、CPU等からなる処理手段2a、RAM,ROM等の記憶手段2b、開閉機駆動回路2cが設けられる。
【0016】開閉機Mは、開閉機駆動回路2cにより駆動されシャッターを開閉させる。この開閉機Mには、開閉機負荷感知手段2dが設けられる。この開閉機負荷感知手段2dは、開閉機Mに流れる電流値に基づき過電流時に負荷状態であると検出する回路で構成されている。この他、開閉機Mの回転数をホールICでパルス検出し、このパルスカウントの変動状態に基づき負荷を検出する回路で構成することもできる。
【0017】この開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷の検出信号を出力すると、上記処理手段2aは開閉機Mの駆動を停止制御する。これら開閉機負荷感知手段2d、処理手段2aは、開閉体開閉時に生じた障害を回避すべく処理する処理手段を構成する。
【0018】開閉機Mは、ギヤやチェーン等の駆動力伝達機構3を介して巻取機構4に連結されている。この巻取機構4は、回転自在な巻取カゴからなり、この巻取カゴの外周にはシャッターカーテンの上端が連結され、回転によりシャッターカーテンを巻き取り、又繰り出すことにより、シャッターカーテンを昇降させる。
【0019】機械式負荷感知手段5は、シャッターカーテン開閉時にこのシャッターカーテンに対して開閉を妨げる力が加わった場合に、この負荷に基づきシャッターカーテンの開閉を抑制する開閉抑制手段である。例えば、シャッターカーテン上昇時にこのシャッターカーテンの下端(座板)がまぐさに接触したとき、及び(又は)、シャッターカーテン下降時に座板が障害物、あるいは床面に接触したときに機械的にシャッターカーテンの昇降移動を停止又は少なくとも抑制する。
・・・
【0021】上記の機械式負荷感知手段5は、電気的な制御を伴わないでシャッターカーテン開閉時に生じる負荷力によって動作する構成である。あるいは電気的な構成を伴った場合であっても、シャッターカーテン開閉の停止又は抑制自体については電気的制御によらず、開閉時に生じる負荷力によって動作する構成とする。例えば、上記構成における作動片6bは、突出方向にバネ機構で付勢され且つ通常時は非突出状態に保持された構成であり、障害の検知により電池電源等で電磁コイルが作動して非突出状態を解除(バネ機構で突出)させる構成がある。
・・・
【0026】図4は、上記構成の動作を示すフローチャートである。操作手段1によりシャッターを閉鎖操作すると、処理手段2aはシャッターカーテン6が下降する方向に開閉機Mを駆動する(S1)。シャッターカーテン6が下降を続け、下端部の座板6aが床面、あるいは障害物に接触すると、機械式負荷感知手段5が所定の負荷を検出する(S2−YES)。
【0027】これにより、機械式負荷感知手段5はシャッターカーテン6の下降を抑制する(S3)。この抑制とはシャッターカーテン6の停止を含むものであり、以下の説明における抑制とは停止を含む。機械式負荷感知手段5によるシャッターカーテン6の下降の抑制力によって、開閉機Mに所定の負荷が加わり、開閉機負荷感知手段2dがこの負荷を検出する(S4)。開閉機負荷感知手段2dによる負荷の検出により、処理手段2aは開閉体開閉時に生じた障害を回避すべく開閉機Mの下降駆動を停止させる(S5)。
【0028】上記構成によれば、シャッターが上下限位置に達した時、あるいは障害物接触時のいずれにおいても、機械式負荷感知手段5がシャッターカーテンの開閉を抑制するため、開閉機Mにはより大きな負荷が短時間で加わることになる。これにより、開閉機負荷感知手段2dはより短時間で開閉機Mの負荷を検出できるようになる。したがって、処理手段2aでは開閉機Mの駆動を短時間で停止させ開閉の障害を回避できるようになる。」

ウ 「【0033】〔第2実施形態〕次に、本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態では、処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる構成である。シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させる(図4のS5における反転上昇)。これにより、第1実施形態に比べてシャッターカーテン6のだぶつきを少なくでき、風振音の発生をより低減でき、また美観を維持できる。さらに、障害物接触時に、障害物に対する負荷をより軽減できる。
【0034】この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができる。また、設定部2eの設定によっては、反転駆動を上下限位置に達するまで継続させる構成にもできる。例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもできる。」

エ 「【0045】〔第4実施形態〕次に、本発明の第4実施形態を説明する。この第4実施形態では、上述した機械式負荷感知手段5の他の構成例5Aを説明する。図6は、正面図、図7は図6の巻取カゴ端部の拡大図、図8及び図9は図7における障害物感知装置の分解斜視図、図10は側面図である。
【0046】住宅などの建物の窓などの上縁部分に配設されるシャッターケース(図示せず)内には、左右両端部分に配設される一対のブラケット11,12を介して支持軸13が水平に左右両端を固定されている。
【0047】この支持軸13の両端近傍、及び中央側の外周には、円形のホイール15,16がそれぞれ回転自在とされて取り付けられている。
【0048】これらホイール15,16には、外周縁近傍に位置する円周方向に等間隔となる位置に、複数の連結杆17が挿通されるように、支持軸13に沿って取り付けられている。そして、これらホイール15,16と連結杆17とで、巻取カゴ19を構成している。
【0049】各ホイール15,16の外周面には吊元部材(図示せず)などを介してシャッターカーテン20が連結され、この巻取カゴ19の外周に、シャッターカーテン20が巻回される。
・・・
【0063】また、スプロケットホイール31は、ブラケット11に固定される開閉機45の出力スプロケット46にチェーン47などを介して連動連結されるようになっており、この開閉機45の回転駆動が伝達されて支持軸13に対して回転するようになっている。
【0064】従って、開閉機45のモータが回転すると、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させるようになっており、このスプロケットホイール31の両長穴34,35に嵌入される駆動プレート23のホイールピン29によって巻取カゴ19を回転させるようになっている。
・・・
【0072】また、駆動プレート23とスプロケットホイール31とは、ホイールスプリング43の付勢力により、係止ピン30と固定片37とを近接させようとする状態となっており、ホイールピン29を長穴34,35の一端に留める状態とされ、これら駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる。
・・・
【0081】このように、上述の機械式負荷感知手段2dによれば、シャッターカーテン20が障害物61に接触した際に、駆動側であるスプロケットホイール31と、従動側である駆動プレート23との連れ周り状態を解除し、相対回転させることにより、爪55を爪車51に係止し、駆動側のスプロケットホイール31の回転を停止させてしまうので、障害物61に対して開閉機45の開閉力による負荷を加えない。同時に開閉機45に対して大きな負荷を加えることができ、開閉機負荷感知手段2dでの負荷検出を迅速に行えるようになり、開閉機45を停止させてシャッターカーテン20を停止させることができる。」(当審注:段落【0081】の「上述の機械式負荷感知手段2dによれば」は明らかに「上述の機械式負荷感知手段5Aによれば」の誤記である。)

オ 図1は以下のものである。


カ 図2は以下のものである。


キ 図3は以下のものである。


ク 図4は以下のものである。



ケ 図5は以下のものである。



コ 図6は以下のものである。


サ 図7は以下のものである。


シ 図8は以下のものである。


ス 図9は以下のものである。



セ 上記アないしスより、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。(便宜のために関連する段落番号等を付した。以下同様。)

[甲1発明]
開閉体として昇降するシャッターを有する、(【0015】)
電動制御のシャッターであって、(【0002】)
CPU等からなる処理手段2a、RAM,ROM等の記憶手段2b、開閉機駆動回路2cが設けられる制御手段2を有し、(【0015】)
開閉機Mは、開閉機駆動回路2cにより駆動されシャッターを開閉させ、
開閉機Mには、開閉機負荷感知手段2dが設けられ、
開閉機負荷感知手段2dは、開閉機Mに流れる電流値に基づき過電流時に負荷状態であると検出する回路で構成され、あるいは、開閉機Mの回転数をホールICでパルス検出し、このパルスカウントの変動状態に基づき負荷を検出する回路で構成され、(【0016】)
開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷の検出信号を出力すると、上記処理手段2aは開閉機Mの駆動を停止制御するものであり、(【0017】)
開閉機Mは、ギヤやチェーン等の駆動力伝達機構3を介して巻取機構4に連結されており、
巻取機構4は、回転自在な巻取カゴからなり、この巻取カゴの外周にはシャッターカーテンの上端が連結され、回転によりシャッターカーテンを巻き取り、又繰り出すことにより、シャッターカーテンを昇降させるものであり、(【0018】)
シャッターカーテン開閉時にこのシャッターカーテンに対して開閉を妨げる力が加わった場合に、この負荷に基づきシャッターカーテンの開閉を抑制する開閉抑制手段である機械式負荷感知手段5を有し、(【0019】)
機械式負荷感知手段5は、電気的な制御を伴わないでシャッターカーテン開閉時に生じる負荷力によって動作する構成であり、(【0021】)
シャッターを閉鎖操作すると、処理手段2aはシャッターカーテン6が下降する方向に開閉機Mを駆動し、シャッターカーテン6が下降を続け、障害物に接触すると、機械式負荷感知手段5が所定の負荷を検出し、(【0026】)
これにより、機械式負荷感知手段5はシャッターカーテン6の下降を抑制し、この抑制とはシャッターカーテン6の停止を含むものであり、機械式負荷感知手段5によるシャッターカーテン6の下降の抑制力によって、開閉機Mに所定の負荷が加わり、開閉機負荷感知手段2dがこの負荷を検出し、開閉機負荷感知手段2dによる負荷の検出により、処理手段2aは開閉体開閉時に生じた障害を回避すべく開閉機Mの下降駆動を停止させるものであり、(【0027】)
さらに、処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、(【0033】)
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき、(【0034】)
機械式負荷感知手段5(5A)は、(【0045】)
開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】)
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる状態において、(【0072】)
シャッターカーテン20が障害物61に接触した際に、駆動側であるスプロケットホイール31と、従動側である駆動プレート23との連れ周り状態を解除し、相対回転させることにより、爪55を爪車51に係止し、駆動側のスプロケットホイール31の回転を停止させてしまうので、障害物61に対して開閉機45の開閉力による負荷を加えないものである、(【0081】)
電動制御のシャッター。

(2)甲第2号証
本件特許の出願前に発行された甲第2号証には、以下の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、日射遮蔽装置の障害物検知停止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、横型ブラインドにおいては、スラットの下降中にボトムレールが障害物に衝突すると、昇降コードの巻き戻しを中止し、スラット及びボトムレールの下降を停止させる障害物検知停止装置が備えられており、このような日射遮蔽装置の障害物検知停止装置は多数開示されている。このような障害物検知停止装置は、ボトムレールが障害物に衝突したことを検出するための衝突検出手段と、ボトムレールへの障害物の衝突に基づいて昇降コードの巻き戻しを中止する下降中止手段とを備えている。」

イ 「【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スラットと昇降コードとが接触することによる昇降コードの摩耗を抑制可能な日射遮蔽装置の障害物検出装置を提供することができる。
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示す日射遮蔽装置としての横型ブラインドは、ヘッドボックス1から垂下される複数本のラダーコード2を介して日射遮蔽材としての多数段のスラット3が吊下支持され、同ラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持される。
【0015】
スラット3には、ラダーコード2の近傍において、ヘッドボックス1から垂下される複数本の昇降コード5が挿通されている。昇降コード5はその上端部がヘッドボックス1内に配設される巻取プーリ9(図2参照)に巻着され、下端部が前記ボトムレール4に接続されている。
【0016】
昇降コード5は、巻取プーリ9の回転に基づいて、巻き取り或いは巻き戻しが行われており、該回転に基づいてボトムレール4及びスラット3が昇降される。また、巻取プーリ9の回転に基づいて、ラダーコード2を介して各スラット3が同位相で角度調節される。尚、各スラット3は略垂直方向まで回動されると、それ以上回動されないようになっている。
【0017】
ヘッドボックス1の一端には操作手段としての操作装置6が設けられており、該操作装置6からは操作コード7が垂下されている。操作装置6は、操作コード7の操作に基づいてヘッドボックス1の内部に収容された駆動軸8(図2参照)を回転駆動可能であり、該駆動軸8の回転に基づいて巻取プーリ9が回転される。
【0018】
操作装置6は、その内部に図示しない公知の自重降下防止装置を備えている。自重降下防止装置は、操作コード7に基づくボトムレール4及びスラット3の引き上げ操作が停止されると作動して駆動軸8の回転を停止させ、ボトムレール4及びスラット3を所望位置に吊下支持させる。また、操作コード7の操作により自重降下防止装置の作動を解除すればボトムレール4及びスラット3を自重に基づいて下降させる。」

ウ 「【0050】
次に、横型ブラインドの引き下げ時の操作を説明する。
横型ブラインドの引き下げ時の操作は、スラット3及びボトムレール4の自重を使って行われるため、引き下げ時の駆動力は巻取プーリ9から駆動軸8に向かって伝達される。
・・・
【0052】
横型ブラインドの引き下げ操作が行われている最中に、ボトムレール4が障害物に衝突すると、該ボトムレール4は障害物との衝突位置を支点として、重心側に傾斜しようとする。即ち、駆動軸8の両端に配設された障害物検知停止装置10の内、重心に対し支点と反対側に位置する障害物検知停止装置10に主にスラット3及びボトムレール4の自重が負荷されることとなる。
【0053】
従って、スラット3及びボトムレール4の自重が負荷されない障害物検知停止装置10は、被覆部11iと巻取部9bの基端側(図2及び図5(a)において左側)の外周面との摩擦によって巻取プーリ9の回転が停止され、それに伴い該巻取プーリ9及びカムクラッチ12から回転ドラム13及び駆動軸8への回転力の伝達が停止される。
【0054】
この際、スラット3及びボトムレール4の自重が負荷されない障害物検知停止装置10による昇降コード5の巻き戻しは、巻取プーリ9の回転の停止に基づいて停止されるため、昇降コード5が水平方向に揺動することはない。
【0055】
一方、重心に対し支点と反対側に位置する障害物検知停止装置10は、重心に対し支点側に位置する障害物検知停止装置10の回転状態に拘わらず、スラット3及びボトムレール4の自重により、引き続き昇降コード5の巻き戻しが行われる。従って、巻取プーリ9及びカムクラッチ12を介して回転ドラム13及び駆動軸8も引き下げ方向へと回転される。
【0056】
この時、横型ブラインドの長手方向(図1において左右方向)両端部近傍位置に取着された障害物検知停止装置10は、一方の巻取プーリ9が停止状態、他方の巻取プーリ9が回転状態となるが、ともに1本の駆動軸8にて貫通されているため、駆動軸8は回転状態にある巻取プーリ9にて回転が伝達される。
【0057】
従って、巻取プーリ9の回転が停止された障害物検知停止装置10は、巻取プーリ9及びカムクラッチ12が回転を行わない一方で、回転ドラム13のみが引き下げ方向に回転されることとなる。その結果、巻取プーリ9及びカムクラッチ12と、回転ドラム13とが相対回転することにより回転ドラム13に形成された摺動凸部13dが摺動孔12dのAからBまで移動し、規制凸部13eが巻取プーリ9の係合凸部9c,9d間のCからDまで移動する。
【0058】
このようにして、摺動凸部13dがBに位置し、規制凸部13eがDに位置すると、カムクラッチ12の制動爪12cとサポート部材11の制動凸部11gとが係合状態となるため、カムクラッチ12はサポート部材11に対して相対回転不能となる。その結果、摺動孔12dのBまで移動された摺動凸部13dはこれ以上図5(b)において下方に移動することができずに、その回転運動が停止される。
【0059】
一方、スラット3及びボトムレール4の自重にて巻取プーリ9が回転されている側の障害物検知停止装置10においては、摺動凸部13dは摺動孔12dのAに位置するとともに、9cが規制凸部13eに当接した状態(図4のCに位置する状態)となっている。そのため、駆動軸8及び回転ドラム13の回転が停止されると、カムクラッチ12は摺動孔12dを図5(b)に示す下方に移動させることができなくなると共に、巻取プーリ9は規制凸部13eを時計回り方向へ回動することができなくなる。従って、駆動軸8が停止されるとすぐにスラット3及びボトムレール4の自重による引き下げ方向への回動が停止される。
・・・
【0061】
尚、上述したように、横型ブラインドの両端部に配設された障害物検知停止装置10のどちらか一方の制動爪12cと制動凸部11gとが係合状態となると、以後、制動爪12cと制動凸部11gとの係合状態を解除するまでスラット3及びボトムレール4は引き下げ操作不能となる。このような場合には、操作コード7を操作して一端駆動軸8を引き上げ方向に回転し、制動爪12cと制動凸部11gとの係合を解除することで、再びスラット3及びボトムレール4を引き下げ操作可能となる。」

エ 図1は以下のものである。


オ 図2は以下のものである。


カ 図4は以下のものである。


キ 図5は以下のものである。



ク 上記アないしキより、甲第2号証には、次の事項(以下「甲2記載技術事項」という。)が記載されていると認める。

[甲2記載技術事項]
スラットと昇降コードとが接触することによる昇降コードの摩耗を抑制可能な日射遮蔽装置の障害物検出装置を提供することができる、(【0013】)
日射遮蔽装置としての横型ブラインドであって、
ヘッドボックス1から垂下される複数本のラダーコード2を介して日射遮蔽材としての多数段のスラット3が吊下支持され、同ラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持され、(【0014】)
スラット3には、ヘッドボックス1から垂下される複数本の昇降コード5が挿通され、昇降コード5はその上端部がヘッドボックス1内に配設される巻取プーリ9に巻着され、下端部が前記ボトムレール4に接続され、(【0015】)
昇降コード5は、巻取プーリ9の回転に基づいて、巻き取り或いは巻き戻しが行われており、該回転に基づいてボトムレール4及びスラット3が昇降され、(【0016】)
ヘッドボックス1の一端には操作手段としての操作装置6が設けられており、該操作装置6からは操作コード7が垂下され、操作装置6は、操作コード7の操作に基づいてヘッドボックス1の内部に収容された駆動軸8を回転駆動可能であり、該駆動軸8の回転に基づいて巻取プーリ9が回転され、(【0017】)
また、操作コード7の操作により、ボトムレール4及びスラット3を自重に基づいて下降させることができ、(【0018】)
横型ブラインドの引き下げ時の操作は、スラット3及びボトムレール4の自重を使って行われるため、引き下げ時の駆動力は巻取プーリ9から駆動軸8に向かって伝達され、(【0050】)
横型ブラインドの引き下げ操作が行われている最中に、ボトムレール4が障害物に衝突し、(【0052】)
横型ブラインドの両端部に配設された障害物検知停止装置10のどちらか一方の制動爪12cと制動凸部11gとが係合状態となると、以後、制動爪12cと制動凸部11gとの係合状態を解除するまでスラット3及びボトムレール4は引き下げ操作不能となり、
このような場合には、操作コード7を操作して一端駆動軸8を引き上げ方向に回転し、制動爪12cと制動凸部11gとの係合を解除することで、再びスラット3及びボトムレール4を引き下げ操作可能となる、(【0061】)
横型ブラインド。

(3)甲第3号証
本件特許の出願前に発行された甲第3号証には、以下の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの障害停止装置に関する。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のブラインドの障害停止装置が適用されるブラインドの一例を表す正面図である。この例では、ブラインド10は、プリーツスクリーンとなっているが、これに限ることなく、横型ブラインド、ローマンシェード等のように、自重に逆らって遮蔽材を上昇させ、自重によって遮蔽材を下降させることができる任意のブラインドに適用することができる。
【0014】
ブラインド10は、ブラケット11によって窓枠等の固定部に取り付けられるヘッドボックス12を備え、ヘッドボックス12からは遮蔽材である複数の襞が上下方向に連続して形成されるスクリーン14が昇降可能に吊り下げられている。スクリーン14の下端にはボトムレール16が設けられる。
【0015】
ヘッドボックス12からは複数の昇降コード18、18が垂下されており、昇降コード18の下端はボトムレール16に取り付けられる。また、昇降コード18の上端はヘッドボックス12に導入されて、ヘッドボックス12内に配設された巻取ドラム20に巻取り・巻解き可能に連結される。各巻取ドラム20は、ヘッドボックス12内で固定されるドラム受け28に対して回転可能に支持されており、巻取ドラム20内を、ヘッドボックス12内で回転可能に軸支される回転駆動軸22が貫通している。回転駆動軸22は、ヘッドボックス12内に配設されたストッパー23によってその回転が許容・阻止される。
【0016】
ヘッドボックスの一端には操作部24が設けられる。操作部24は、コントロールユニット25と、コントロールユニット25から垂下される無端状のボールチェーン26とを有している。コントロールユニット25から垂下されるボールチェーン26の一方を一定の方向に引き続けると、回転駆動軸22がスクリーン上昇方向に回転し、その回転が巻取ドラム20に伝達されて、巻取ドラム20が昇降コード18を巻き取るために、スクリーン14は上昇する。そして、操作部24の操作を停止すると、ストッパー23によって、回転駆動軸22の回転が阻止されるために、スクリーン14はその高さ位置を保持することができる。また、コントロールユニット25から垂下されるボールチェーン26の一方を少し引くと、ストッパー23が解除されるために、回転駆動軸22は自由に回転可能となる。すると、ボトムレール16及びスクリーン14の重力が作用する昇降コード18の張力によって、回転ドラム20がスクリーン下降方向に回転し、昇降コード18は巻取ドラム20から巻解かれるために、スクリーン14は下降する。
【0017】
スクリーン14の下降中にボトムレール16等が障害物に接触すると、障害物に接触した部分は下降不能となるが、それ以外の障害物に接触していない部分が引き続き下降しようとするので、ボトムレール16の片下がりが生じるおそれがある。そのような片下がりを防ぐために、各巻取ドラム20と回転駆動軸22との間に本発明の障害停止装置30が設けられる。」

ウ 「【0031】
以上のように構成される障害停止装置30の作用を説明する。
スクリーン14を上昇させる時には、操作部24の操作により、回転駆動軸22をスクリーン上昇方向に回転する。回転駆動軸22の回転は、入力軸32からカム筒34へと伝達される。このとき図5(a)に示すように、カム筒34の凸部34bは、案内孔20dのカム溝部20eの一端にあって、且つ図4に示すように、カム筒34の凹部34fの端面が巻取ドラム20のリブ20hと当接しており、巻取ドラム20を同じ方向へと回転させる。これによって、昇降コード18は巻取ドラム20のドラム本体部20aに巻き取られて、スクリーン14が上昇する。
【0032】
操作部24の操作が停止されると、昇降コード18の張力によって巻取ドラム20は下降方向に移動しようとするが、ストッパー23により回転駆動軸22の回転が阻止され、これによりカム筒34も回転が阻止されるために、凸部34b及び/または凹部34fが巻取ドラム20の回転を阻止し、巻取ドラム20は回転することはない。よって、スクリーン14の高さは維持される。
【0033】
反対にスクリーン14を下降させる時には、前述のように、操作部24の操作により回転駆動軸22がストッパー23から解除されて、自由に回転可能となる。これにより、昇降コード18の張力によって、巻取ドラム20がスクリーン下降方向に回転し、図5(a)に示すように、案内孔20dがカム筒34の凸部34bを同じ方向に押し出し、及び/または巻取ドラム20のリブ20hがカム筒34の凹部34fの端面を同じ方向に押し出し、これによって、入力軸32を介して回転駆動軸22も同じ方向に回転する。
【0034】
スクリーン14が下降中にボトムレール16等が障害物に接触すると、昇降コード18に張力が作用しなくなり、下降方向に回転していた巻取ドラム20は巻取ドラム20と接触する部材からの摩擦力によって回転を停止する。しかしながら、障害物の影響を受けずに張力が作用する昇降コード18に取り付けられる他の巻取ドラム20は回転を続けるため、回転駆動軸22、入力軸32及びカム筒34は回転を続けようとし、回転を停止した巻取ドラム20とカム筒34との間に相対回転が発生し、カム筒34の凸部34bは、案内孔20dのカム溝部20eに沿って移動し、カム溝部20eの他端に到達する(図5(b)、図3(b))。この凸部34bの移動によってカム筒34は軸方向に移動して、その爪34dがドラム28の凸部28aに係止する。こうして、カム筒34の回転が禁止されるため、回転駆動軸22の回転も阻止される。よって、障害物の影響を受けずに張力が作用する昇降コード18に取り付けられる他の巻取ドラム20も回転が阻止されて、ボトムレール16の片下がりを防ぐことができる。
【0035】
障害物が取り除かれて昇降コード18に再びボトムレール16及びスクリーン14の重力による張力が復活すると、巻取ドラム20がスクリーン下降方向に回転しようとするが、カム筒34は凸部28aに係止していて、スクリーン下降方向に回転することができないので、巻取ドラム20とカム筒34との間に相対回転が発生し、カム筒34の凸部34bは、案内孔20dの戻り溝部20fに沿って相対移動し、戻り溝部20fの他端に到達する(図5(c))、図3(c))。戻り溝部20fの他端は係止部となり、カム筒34の凸部34bは巻取ドラム20のスクリーン下降方向の回転を阻止するので、結果として、スクリーン14が停止した状態を保持することができる。
【0036】
操作部24を操作して、回転駆動軸22をスクリーン上昇方向へと回転させると、回転駆動軸22から入力軸32を介してカム筒34がスクリーン上昇方向へと回転する。カム筒34の鋸歯状の爪34dの斜面がドラム受け28の凸部28aに当接しながら、カム筒34は軸方向に移動する(図5(d))。これによって、カム筒34の凸部34bは、巻取ドラム20の案内孔20dのカム溝部20eの一端に戻る(図5(a))。操作部24の操作を解除すると、回転駆動軸22が回転自由となり、張力が復活した昇降コード18により巻取ドラム20は、スクリーン下降方向に回転するので、下降動作に復帰させることができる。
【0037】
このように本発明では、案内孔20dの戻り溝部20f及び戻り溝部20fの他端にある係止部によって、障害物除去後、すぐにスクリーンが下降を開始することなく、スクリーンが停止した状態を保持することができる。」

エ 図1は以下のものである。


オ 図3は以下のものである。



カ 図5は以下のものである。


キ 上記アないしカより、甲第3号証には、次の事項(以下「甲3記載技術事項」という。)が記載されていると認める。

[甲3記載技術事項]
プリーツスクリーン、横型ブラインド、ローマンシェード等の、自重に逆らって遮蔽材を上昇させ、自重によって遮蔽材を下降させることができる、ブラインド10であって、(【0013】)
ヘッドボックス12を備え、ヘッドボックス12からは遮蔽材であるスクリーン14が昇降可能に吊り下げられ、スクリーン14の下端にはボトムレール16が設けられ、(【0014】)
ヘッドボックス12からは複数の昇降コード18、18が垂下され、昇降コード18の下端はボトムレール16に取り付けられ、昇降コード18の上端はヘッドボックス12に導入されて、ヘッドボックス12内に配設された巻取ドラム20に巻取り・巻解き可能に連結され、(【0015】)
ヘッドボックスの一端には操作部24が設けられ、操作部24は、コントロールユニット25と、コントロールユニット25から垂下される無端状のボールチェーン26とを有しており、コントロールユニット25から垂下されるボールチェーン26の一方を一定の方向に引き続けると、回転駆動軸22がスクリーン上昇方向に回転し、その回転が巻取ドラム20に伝達されて、巻取ドラム20が昇降コード18を巻き取るために、スクリーン14は上昇し、また、コントロールユニット25から垂下されるボールチェーン26の一方を少し引くと、ボトムレール16及びスクリーン14の重力が作用する昇降コード18の張力によって、回転ドラム20がスクリーン下降方向に回転し、昇降コード18は巻取ドラム20から巻解かれるために、スクリーン14は下降するものであって、(【0016】)
巻取ドラム20と回転駆動軸22との間には障害停止装置30が設けられ、(【0017】)
スクリーン14が下降中にボトムレール16等が障害物に接触すると、爪34dがドラム28の凸部28aに係止し、(【0034】)
スクリーン下降方向の回転を阻止し、スクリーン14が停止した状態を保持し、(【0035】)
ここで、操作部24を操作して、回転駆動軸22をスクリーン上昇方向へと回転させると、回転駆動軸22が回転自由となり、張力が復活した昇降コード18により巻取ドラム20は、スクリーン下降方向に回転するので、下降動作に復帰させることができる、(【0036】)
障害物除去後、すぐにスクリーンが下降を開始することなく、スクリーンが停止した状態を保持することができる、(【0037】)
ブラインド10。

(4)甲第4号証
本件特許の出願前に発行された甲第4号証には、以下の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、横型ブラインドにおける障害物検知停止装置、及び1つの駆動軸でスラットの昇降及びチルト操作を可能とし障害物検知停止装置を備える横型ブラインドに関する。」

イ 「【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、1つの駆動軸の回転で昇降コードによるスラットの昇降操作とラダーコードによるスラットのチルト操作を可能とする横型ブラインドを例に説明する。・・・
【0032】
(横型ブラインドの構成)
図1は、本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。図1に示す横型ブラインドでは、ヘッドボックス1内に、本発明に係る遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに並設させて構成したコード支持装置5を設け、ヘッドボックス1内の右端部側にラダーコード支持部材6を配設している。・・・
【0033】
コード支持ユニット5b及びラダーコード支持部材6は、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対の紐状のラダーコード9を介して多数段のスラット4を吊下支持しており、それぞれのラダーコード9の下端にボトムレール8が吊下支持されている。ヘッドボックス1は、ブラケット7を介して天井側の取付面に固定される。
【0034】
また、コード支持ユニット5bから、ヘッドボックス1の下面における前後方向略中央部にて、紐状の昇降コード10が垂下され、昇降コード10の下端が各スラット4の前後方向略中央部に設けられた挿通孔(図示せず)を経てボトムレール8に取着されている。
【0035】
このため、コード支持ユニット5bは、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9を掛装するV字溝を有するチルトドラム51と、昇降コード10を巻き取り、又は巻き戻し可能とする傾斜を持たせた長筒状の巻取軸52とを、四角棒状の駆動軸11上で並設して支持ケース50に支持するよう構成されている。
【0036】
尚、詳細は後述するが、巻取軸52の先端側に本発明による一実施形態の障害物検知停止装置53が設けられている。障害物検知停止装置53は昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための装置であり、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるとともに、昇降コード10の逆巻き取りを予防する機能を有する。
・・・
【0039】
ヘッドボックス1内の右端側には、操作ユニット2が設けられている。操作ユニット2は、図示する手動式であれば、無端紐状の操作コード3(或いは無端状のボールチェーンでもよい)を掛装可能なプーリー(図示せず)を有し、ヘッドボックス1から外方へ操作コード3が導出されて駆動軸11を回転操作可能となっている。
【0040】
或いは、操作ユニット2を電動式とする場合には、外部からの操作信号に基づいて駆動軸11を回転操作可能とする電動モーターとすることができる。したがって、操作ユニット2の形態は、操作者による操作に応じて駆動軸11の回転へと伝達可能な形態であれば任意の形態とすることができる。
【0041】
従って、図1に示す横型ブラインドは、操作コード3を操作して駆動軸11を回転させ、この駆動軸11の回転に伴ってコード支持装置5におけるチルトドラム51と、ラダーコード支持部材6におけるチルトドラム51aとを回転させることにより、スラット4の角度を調節するチルト操作が可能となっている。そして、このチルト操作に要する回転以上に駆動軸11を回転させると、遅延ユニット5aの作用により、コード支持装置5における巻取軸52が当該チルト操作時のチルトドラム51の回転から所定の遅延量で連動回転し、スラット4を上昇又は下降させる昇降操作が可能となっている。特に、汎用性の高い態様で、1つの駆動軸11でスラット4の昇降のないチルト操作を可能とする遅延ユニット5a付きの障害物検知停止装置53が構成されている。」

ウ 「【0066】
(障害物検知停止装置の構成)
次に、本発明による一実施形態の障害物検知停止装置53について詳細に説明する。・・・
【0067】
まず、図7及び図8を参照するに、障害物検知停止装置53は、カム軸531と、カムクラッチ532と、キャップ533から構成される。
【0068】
カム軸531は、駆動伝達入力側から駆動伝達出力側へ縮径方向にそれぞれ異なる径で段差して連なる3段の筒状部位5310,5311,5312で形成されている。筒状部位5310には、遅延ユニット5aにおける出力軸部材56の軸部561と連結し、一体回転可能に係合可能とする軸孔531aが形成されている。図示する例では、軸孔531aは、外側六角形の筒状の軸部561に対し一体回転可能に係合可能とする六角状の軸孔となっている。また、軸孔531aと、筒状部位5311,5312の内部の軸孔5313に、駆動軸11が非係合で挿通可能となっている。
【0069】
また、筒状部位5310と筒状部位5311が連なる段差部分には、一対の突起部5314が軸対称に形成されている。また、その段差部分近傍の筒状部位5310上には、一対の突起部5314と直交する位置で外方へ突起する摺動突部5315が形成されている。尚、この摺動突部5315は、筒状部位5310上にカムクラッチ532が組み付けられる際に、カムクラッチ532に設けられている摺動孔5322と係合するよう、筒状部位5310上で撓む切片上に形成されている。
【0070】
また、図7及び図8では、その一部を示しているが、筒状部位5311と筒状部位5312が連なる段差部分近傍の当該筒状部位5311上に、軸中心から略120度の等間隔で三箇所に突出部5316が形成されている。この三箇所の突出部5316は、カム軸531の筒状部位5310をキャップ533内へ収容するよう組み付けた際に、その状態を所定の角度範囲(図9及び図10に示す角度θ)で相対回転可能に保持するようキャップ533内の突出壁5332と係合する部位である。
【0071】
尚、図8に示すように、筒状部位5311と筒状部位5312が連なる段差部分にも、上述した摺動突部5315の位置に対し相対的に対向する位置関係で、1つの突起部5318が形成されているが、この突起部5318は、後述する作動量調節部材54により障害物検知停止装置53による巻取軸52の回転を阻止する回転量を所定の回転量で調節可能とするよう作用する部位であり、図3に示すような巻取軸52に対し外付けの遅延ユニット5aを用いる場合には必ずしも設ける必要はないが、後述するように巻取軸52の内部で障害物検知停止装置53に連結する作動量調節部材54を設ける場合でも利用できるようにして、汎用性を高めている。また、図7及び図8に示すように、筒状部位5312の駆動伝達出力側の端部近傍に、係合溝5317が形成されているが、この係合溝5317についても、後述する実施例6で作用する部位であるが、同様に汎用性を高める趣旨である。
【0072】
カムクラッチ532は、筒状形状で構成され、その内周面5321が、カム軸531の筒状部位5310上に面して所定の角度範囲(図9及び図10に示す角度θ)内で相対回転可能に組み付けられる。カムクラッチ532には、当該所定の角度範囲に亘ってその周面上で斜めに貫通する摺動孔5322が設けられ、この周面上で斜めに貫通する摺動孔5322がカム軸531の筒状部位5310上に設けられる摺動突部5315と係合するようになっている。これにより、カム軸531に組み付けられるカムクラッチ532の相対回転量に伴いキャップ533に対し相対的にカムクラッチ532を直線移動させるよう作用する(詳細は後述する)。特に、このキャップ533に対する相対的な直線移動を可能とするために、カムクラッチ532はキャップ533の収容部5330内に収容され、カムクラッチ532には、軸中心から摺動孔5322に対向する位置で2つの案内凹部5324が駆動伝達出力側の端部から駆動伝達入力側の軸方向へ延びるよう形成されており、この2つの案内凹部5324がキャップ533の2つの案内凸部5333と係合する。
【0073】
カムクラッチ532には、軸中心から摺動孔5322に対向する位置で2つの案内凹部5324の間となる相対的な位置で、駆動伝達入力側の端部から軸方向の外方へ突出する制動爪5323が形成されている。この制動爪5323は、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に離間する方向に直線移動した際にキャップ533より外方へ現出するようになっており、制動爪5323がキャップ533より外方へ現出すると、制動爪5323はコード支持ユニット5bの支持ケース50に設けられた制動突部50hと当接する状態となる。そして、制動爪5323が支持ケース50の制動突部50hと当接すると、カムクラッチ532は支持ケース50に対し相対回転不能となり、巻取軸52に相対回転不能に蓋着されるキャップ533も支持ケース50に対し相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)となるため、巻取軸52の回転が規制される。一方、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に近づく方向に直線移動した際には制動爪5323がキャップ533内に納まるようになっており、この場合には制動爪5323は当該支持ケース50に設けられた制動突部50hとは非当接の状態となる。従って、制動爪5323と制動突部50hとの当接が無い状態(即ち、障害物検知の作動解除状態)では、巻取軸11の回転は制限されない。
【0074】
キャップ533は、駆動伝達入力側から駆動伝達出力側へ縮径方向にそれぞれ異なる径で段差して連なる2段の収容部5330,5331を持つ概ね筒状部材で構成されている。収容部5330は、駆動伝達入力側からカムクラッチ532をカム軸531に組み付けた状態で、カム軸531の筒状部位5310を相対回転可能に収容する。この収容部5330の内周面上に形成される2つの案内凸部5333が、カムクラッチ532における2つの案内凹部5324と当該直性移動を可能にするよう係合する。また、収容部5331は、カム軸531の筒状部位5312を後述する実施例6で作用する突起部5318の厚みに対応する間隙を持って相対回転可能に収容する。
【0075】
収容部5330,5331が連なる段差部分には、僅かに縮径方向に突起する突出壁5332が形成され、この突出壁5332に連なって駆動伝達入力側の軸方向へ僅かに突出する突出片5335が環状に形成されている。突出壁5332は、三箇所の突出部5316を突出壁5332に係合させてカム軸531をキャップ533に組み付けることができる。これにより、カム軸531の筒状部位5310をキャップ533内へ収容するよう組み付けられ、所定の角度範囲(図9及び図10に示す角度θ)で相対回転可能に保持される。
【0076】
また、突出片5335上に、駆動伝達入力側へ更に部分的に突起する一対の突起部5334が軸対称に形成されている。一対の突起部5334のうち一方は、2つの案内凸部5333の間に位置する。そして、この一対の突起部5334は、カム軸531の筒状部位5310が収容部5330に収容された状態では、それぞれカム軸531の一対の突起部5314の各々と当接可能となる。従って、一対の突起部5334の各々の一辺が、カム軸531の一対の突起部5314の各々の一辺と当接した状態を維持してカム軸531の回転をキャップ533の回転へと伝達することができ、この当接状態からカム軸531の回転が逆方向へ転じると、一対の突起部5334の各々の他辺がカム軸531の一対の突起部5314の各々の他辺と当接するまでは、キャップ533の回転へと伝達されない。この時の遅延動作を、カムクラッチ532のキャップ533に対する相対的な直線運動に係る上述した所定の角度範囲(図9及び図10に示す角度θ)と対応させている(詳細は後述する)。
【0077】
キャップ533の駆動伝達出力側の端部はフランジ状に形成され、その一部にキャップ533の向きを示す指標5339が凹溝で形成され、組み込み時の位置合わせに利用される。また、キャップ533の駆動伝達出力側の端部の面には、図8に示すように、巻取軸52の端部に設けられた一対の溝部521と相対回転不能に係合するよう駆動伝達出力側へ突出する一対の突出片5336が形成されている。また、キャップ533の駆動伝達出力側の端部の面には、この一対の突出片5336と直交する位置関係で、駆動伝達出力側へ突出する箱状のコード取着部5338が形成されている。巻取軸52により巻き取り、或いは巻き戻し可能とする昇降コード10の一端は、コード取着部5338の一部に設けられた挿通孔5337に挿通されて、結び玉によりコード取着部5338の内側にて係止される。
【0078】
このように、本実施形態における障害物検知停止装置53は、巻取軸11に対し相対回転不能に取着されるキャップ533と、巻取軸11の回転を阻止する回転量でキャップ533と連結するカム軸531と、カム軸531の回転方向に応じて巻取軸11に対し軸方向に相対移動可能とするカムクラッチ532とを有しており、カム軸531は、巻取軸11の回転を阻止する際に、キャップ533に対し回転方向に互いに設けられている2点以上の突起部5314,6334で当接させるよう構成されている。」

エ 「【0079】
(障害物検知停止装置の動作)
図7及び図8に示すように構成されている本実施形態の障害物検知停止装置53の動作について、図9乃至図12を参照して説明する。
【0080】
まず、図9及び図10を参照するに、図9(a)及び図10(a)は、カム軸531、カムクラッチ532、及びキャップ533の関係を軸方向から見て示した図である。また、図9(b)及び図10(b)は主に、カム軸531及びカムクラッチ532の関係を正面から見て示した図である。
【0081】
図9(a)では、巻取軸11によって昇降コード10を巻き取る際に、一対の突起部5334の各々の一辺が、カム軸531の一対の突起部5314の各々の一辺と当接した状態を維持してカム軸531の回転をキャップ533の回転へと伝達する状態を示している。この場合には、カム軸531の摺動突部5315はカムクラッチ532に設けられている摺動孔5322の一端部近傍に位置して、図9(b)に示すように、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に近づく方向に直線移動し、制動爪5323がキャップ533内に納まる。このため、制動爪5323は当該支持ケース50に設けられた制動突部50hとは非当接の状態となる(図9(b)で理解を容易にするため簡易的に二点破線で示す)。従って、制動爪5323と制動突部50hとの当接が無い状態(即ち、障害物検知の作動解除状態)では、巻取軸11の回転は制限されない。
【0082】
ここで、図11を参照しながら、図9(a),(b)に示す巻取軸11によって昇降コード10を巻き取る状態から、昇降コード10を巻き戻す状態へと転じて、スラット4及びボトムレール8を下降させた状態を考える。このとき、駆動軸11の回転は遅延ユニット5aを介してカム軸531に伝達されていてカム軸531が回転しているとする。ボトムレール8が障害物に衝突するまでは、巻取軸11に巻き取られている昇降コード10にはボトムレール8等の自重により引き出し方向の張力が加わっており、カム軸531の回転とともに巻取軸11は自重回転する(図11(a)参照)。そして、ボトムレール8が障害物に衝突すると昇降コード10における引き出し方向の張力が失われ、巻取軸11の回転は一旦停止するが、カム軸531は回転を維持している(図11(b)参照)。
【0083】
すると、キャップ533における一対の突起部5334の各々の他辺が、カム軸531の一対の突起部5314の各々の他辺と当接した状態となり(図10(a)参照)、巻取軸11がカム軸531の回転に追従する(図11(c)参照)。このとき、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に離間する方向に直線移動しキャップ533より外方へ現出する。そして、制動爪5323は当該支持ケース50に設けられた制動突部50hとは当接する状態となると(図10(b)で理解を容易にするため簡易的に二点破線で示す)、カムクラッチ532は支持ケース50に対し相対回転不能となり、巻取軸52に相対回転不能に蓋着されるキャップ533も支持ケース50に対し相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)となるため、巻取軸52の回転が規制される(図11(d)参照)。
【0084】
尚、図11(d)に示す状態で、障害物検知停止装置53が作動しているのも関わらず駆動11の回転に過剰負荷を加えると、障害物検知停止装置53が支持ケース50から外れようとする不所望な力が働き、その連結状態を離間させる方向にも不所望な力が働くため故障の原因となりうる。そこで、このような過剰負荷時によるその連結状態を離間させる不所望な力を緩和させるため、図11(e)に示すように、支持ケース50に、カム軸531の上方への移動を抑止する抑止壁50jを設けるのが好適である。
【0085】
総括すると、ボトムレール8が障害物に衝突してから、障害物検知の作動状態となるまでの角度は、最大でも角度θ内となるよう規制される。角度θは、一対の突起部5334の各々とカム軸531の一対の突起部5314の各々と当接するまでの回転範囲であることから、これらの突起部5314,5334の幅によって角度範囲の調整は可能であるが、θ≦180度となるようになっている。」

オ 図1は以下のものである。


カ 図9は以下のものである。


キ 図10は以下のものである。


ク 図11は以下のものである。


ケ 上記アないしクより、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認める。

[甲4発明]
障害物検知停止装置を備える横型ブラインドであって、(【0001】)
多数段のスラット4を吊下支持し、(【0033】)
紐状の昇降コード10が垂下され、昇降コード10の下端が各スラット4の挿通孔を経てボトムレール8に取着され、(【0034】)
障害物検知停止装置53は昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための装置であり、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるとともに、昇降コード10の逆巻き取りを予防する機能を有し、(【0036】)
ヘッドボックス1内に操作ユニット2が設けられ、手動式であれば、ヘッドボックス1から外方へ操作コード3が導出されて駆動軸11を回転操作可能で、(【0039】)
操作コード3を操作して駆動軸11を回転させ、スラット4を上昇又は下降させる昇降操作が可能となっており、(【0041】)
操作ユニット2を電動式とする場合には、外部からの操作信号に基づいて駆動軸11を回転操作可能とする電動モーターとすることができ、(【0040】)
障害物検知停止装置53は、カム軸531と、カムクラッチ532と、キャップ533から構成され、(【0067】)
カムクラッチ532は、筒状形状で構成され、その内周面5321が、カム軸531の筒状部位5310上に面して所定の角度範囲内で相対回転可能に組み付けられ、カムクラッチ532には、当該所定の角度範囲に亘ってその周面上で斜めに貫通する摺動孔5322が設けられ、この周面上で斜めに貫通する摺動孔5322がカム軸531の筒状部位5310上に設けられる摺動突部5315と係合するようになっており、これにより、カム軸531に組み付けられるカムクラッチ532の相対回転量に伴いキャップ533に対し相対的にカムクラッチ532を直線移動させるよう作用し、(【0072】)
カムクラッチ532には、軸中心から摺動孔5322に対向する位置で2つの案内凹部5324の間となる相対的な位置で、駆動伝達入力側の端部から軸方向の外方へ突出する制動爪5323が形成され、この制動爪5323は、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に離間する方向に直線移動した際にキャップ533より外方へ現出するようになっており、制動爪5323がキャップ533より外方へ現出すると、制動爪5323はコード支持ユニット5bの支持ケース50に設けられた制動突部50hと当接する状態となり、そして、制動爪5323が支持ケース50の制動突部50hと当接すると、カムクラッチ532は支持ケース50に対し相対回転不能となり、巻取軸52に相対回転不能に蓋着されるキャップ533も支持ケース50に対し相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)となるため、巻取軸52の回転が規制され、一方、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に近づく方向に直線移動した際には制動爪5323がキャップ533内に納まるようになっており、この場合には制動爪5323は当該支持ケース50に設けられた制動突部50hとは非当接の状態となり、従って、制動爪5323と制動突部50hとの当接が無い状態(即ち、障害物検知の作動解除状態)では、巻取軸11の回転は制限されないこととなるものであり、(【0073】)
巻取軸11によって昇降コード10を巻き取る状態から、昇降コード10を巻き戻す状態へと転じて、スラット4及びボトムレール8を下降させた状態を考えると、このとき、駆動軸11の回転は遅延ユニット5aを介してカム軸531に伝達されていてカム軸531が回転しているとする。ボトムレール8が障害物に衝突するまでは、巻取軸11に巻き取られている昇降コード10にはボトムレール8等の自重により引き出し方向の張力が加わっており、カム軸531の回転とともに巻取軸11は自重回転し、そして、ボトムレール8が障害物に衝突すると昇降コード10における引き出し方向の張力が失われ、巻取軸11の回転は一旦停止するが、カム軸531は回転を維持しており、(【0082】)
すると、キャップ533における一対の突起部5334の各々の他辺が、カム軸531の一対の突起部5314の各々の他辺と当接した状態となり、巻取軸11がカム軸531の回転に追従し、このとき、カムクラッチ532がキャップ533から相対的に離間する方向に直線移動しキャップ533より外方へ現出し、そして、制動爪5323は当該支持ケース50に設けられた制動突部50hとは当接する状態となると、カムクラッチ532は支持ケース50に対し相対回転不能となり、巻取軸52に相対回転不能に蓋着されるキャップ533も支持ケース50に対し相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)となるため、巻取軸52の回転が規制される、(【0083】)
横型ブラインド。

(5)甲第5号証
本件特許の出願前に発行された甲第5号証には、以下の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、雨戸を含む引戸、窓、ロールスクリーン、ブラインド、オーニング装置、ゲート、スライディングウォール装置等、構造物の空間部分を仕切ったり開放したりする開閉装置に関し、特に開閉体が動作方向側の物体に当接したことを検出することが可能な開閉装置に関するものである。」

イ 「【0016】
また、巻取装置30は、開閉体10を駆動装置35の回転力により開閉動作させる機構であり、収納部31内に、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32や、該巻取軸32の巻取体32bをチェーン及びスプロケット等の動力伝達手段33を介して双方向へ回転させる駆動装置35、該駆動装置35の回転に伴ってパルス信号を出力するエンコーダ装置36、駆動装置35の負荷値を検出する負荷検出部37、これらエンコーダ装置36及び負荷検出部37からの信号等に応じて駆動装置35を制御する制御部38等を具備している。
・・・
【0020】
また、駆動装置35は、交流又は直流の回転式電動機を具備してなり、その出力軸の回転を、動力伝達手段33を介して巻取体32bへ伝達している。
【0021】
また、エンコーダ装置36は、駆動装置35の出力軸の回転に伴って所定の回転量おきにパルス信号を出力する装置である。
このエンコーダ装置36から出力されるパルス信号の数は、後述する制御部38によってカウントされ、そのカウント値は、開閉体10の開閉方向の位置を示す開閉体位置変数として図示しない記憶装置に記憶される。
より詳細に説明すれば、例えば、閉鎖制御によって開閉体10が閉鎖動作した際に、前記開閉体位置変数に対しエンコーダ装置36のパルス信号の数(パルス数)が加算され、開放制御によって開閉体10が開放動作した際には、同開閉体位置変数に対しエンコーダ装置36のパルス数が減算される。
すなわち、開閉体10が閉鎖動作すれば、その閉鎖動作量に応じて開閉体位置変数が増加し、開閉体10が開放動作すれば、その開放動作量に応じて開閉体位置変数が減少する。
なお、前記とは逆に、開閉体10の閉鎖動作に伴って開閉体位置変数が減少し、開閉体10の開放動作に伴って開閉体位置変数が増加する構成とすることも可能である。
【0022】
負荷検出部37は、駆動装置35の動作中に、該駆動装置35の負荷値を検出する。
より具体的に説明すれば、負荷検出部37は、駆動装置35の負荷値を、電流値もしくは電圧値として検出する装置であり、その負荷値の大きさに応じた電気信号を制御部38へ出力する。
すなわち、駆動装置35が一般的な直流モータである場合には、その負荷による電流値の変化量と負荷トルクとは、略比例的な相関関係を有する。したがって、この場合は、駆動装置35の電流値の変化量を検出することで、駆動装置35の負荷値を間接的に検知することができる。
また、駆動装置35が一般的な交流モータである場合には、その負荷による回転速度の変化量と負荷トルクとが比例的な相関関係を有する。したがって、この場合には、駆動装置35の回転速度の変化量を検出することで、駆動装置35の負荷値を間接的に検知することができる。
【0023】
そして、上記負荷検出部37によって検出される負荷値は、所定のサンプリング時間毎に、制御部38に具備されている記憶装置(図示せず)に記憶される。
制御部38は、エンコーダ装置36、負荷検出部37、図示しない操作部(操作BOXや、リモコン、操作信号を発するコンピュータ、携帯端末等)などから入力される電気信号を、プログラムに基づいて演算処理し、その処理結果に応じて、駆動装置35を正転や逆転、停止等、制御する。」

ウ 図1は以下のものである。



(6)甲第6号証
本件特許の出願前に発行された甲第6号証には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、開口部を開閉するための電動開閉機における緊急停止装置に関するものである。」

イ 「【0013】叙述の如く構成された本発明の実施例において、シャッターカーテン1の開閉駆動は、上昇用、下降用の押釦式操作スイッチPBU、PBDを押し操作することによってなされるが、その場合に、シャッターカーテン1の開閉速度は、周波数変換回路装置5による周波数制御に基づいて増速−定速(高速)−減速制御されることとなる。
【0014】この様な周波数制御に基づいて駆動速度制御がなされるものにおいて、シャッターカーテン1を上昇駆動させるべく上昇用操作スイッチPBUを押し操作した場合に、電動モータ2aは上昇側に駆動すると共に、ブレーキ装置2bの回路のスイッチ接点2cが開成され、シャッターカーテン1を巻き上げようとするが、シャッターカーテン1に障害物が当たっていたり、無理に押し下げられたり、あるいは、電源電圧が一時的に規定電圧よりも低くなったりすると、シャッターカーテン1の自重降下側の負荷が電動モータ2aの駆動トルクに勝ることがあり、この様になると、シャッターカーテン1は自重降下して電動モータ2aが逆転する。このとき、周波数変換回路装置5から電動モータ2aへの電流波形が、図7に示すように正規の正弦波から過電流状態あるいは設定振幅以上の高調波状態となって乱れるが、この乱れが過電流検出手段10、高調波検出手段11によって検出される。そうして、これらの少なくとも一方の検出手段からの検知信号を開閉駆動制御回路装置6が入力すると、開閉駆動制御回路装置6では異常発生と判断して緊急停止指令が出力され、これによって周波数変換回路装置5は、電動モータ2aに対する電源電流の出力を停止すると共にブレーキ装置2bに対してスイッチ接点2cを閉成するための制動指令信号が出力され、シャッターカーテン1は駆動停止されると共に制動状態となって緊急停止する。
【0015】このように、本発明が実施されたものでは、シャッターカーテン1の上昇過程において、何らかの負荷があって電動モータ2aが逆転した場合に、これが確実に検知されることになって、これに基づく電動モータ2aへの通電停止とブレーキ装置2bによる制動がなされることになる。この結果、シャッターカーテン1が不用意に下降する不具合を確実に回避できることになって、従来、この様な過負荷状態においても逆転しないよう必要以上に大容量の周波数変換装置を用いる必要がなくなって、コストダウンを計れると共に、安全なシャッター装置を提供できることになる。
【0016】そのうえ、開閉機2が逆転したことの検知は、電動モータ2aに印加されるインバータ電流の異常検知、つまり過電流検知あるいは異常な高調波検知に基づくものであるから、検知器自体も格別複雑なものを用いることなく、汎用性のあるものを用いて構成できるという利点がある。
【0017】
【作用効果】以上要するに、本発明は叙述の如く構成されたものであるから、開閉体の開閉作動中に、何らかの負荷が働く等して過負荷状態になって開閉機が逆転した場合、該逆転は、開閉機に印加される周波数変換された電流波形が過電流状態であるか、設定以上の高調波状態であるかの検知によって検知され、これに基づいて開閉機の緊急停止がなされることになる。この結果、過負荷状態となった開閉機に緊急停止が自動的にできることになって、開閉体が不用意に逆移動してしまうことを回避できて安全性の向上を計ることができるうえ、一時的な負荷に対応するため必要以上に大容量の周波数変換回路を設ける必要がなくなってコストダウンも計ることができる。」

ウ 図1は以下のものである。


エ 図4は以下のものである。


オ 図7は以下のものである。



2 本件特許発明1について
(1)甲第1号証を主引用例として
ア 対比
(ア)甲1発明における「電動制御のシャッター」は、本件特許発明1における「電動遮蔽装置」に相当し、また甲1発明における「シャッターカーテン」は、本件特許発明1における「遮蔽材」に相当する。
そして、甲1発明において
「開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】)
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる(【0072】)」
ということから、甲1発明の「スプロケットホイール」は、モーターの駆動により回転し、(巻取カゴに)駆動力を伝達する部材である。
よって、甲1発明において
「開閉機Mは、ギヤやチェーン等の駆動力伝達機構3を介して巻取機構4に連結されており、
巻取機構4は、回転自在な巻取カゴからなり、この巻取カゴの外周にはシャッターカーテンの上端が連結され、回転によりシャッターカーテンを巻き取り、又繰り出すことにより、シャッターカーテンを昇降させるもので(【0018】)」あり、かつ、
「開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる(【0072】)」ものであるということと、
本件特許発明1において、「モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる」こととは、
「モーターの駆動で駆動力を伝達する部材を回転させ遮蔽材を移動させる」点で共通する。

(イ)甲1発明の「スプロケットホイール31」が、モーターの駆動により回転し、巻取カゴ19に、駆動力を伝達する部材であることを踏まえれば、
甲1発明における、
「機械式負荷感知手段5は、電気的な制御を伴わないでシャッターカーテン開閉時に生じる負荷力によって動作する構成であり、(【0021】)
シャッターを閉鎖操作すると、処理手段2aはシャッターカーテン6が下降する方向に開閉機Mを駆動し、シャッターカーテン6が下降を続け、障害物に接触すると、機械式負荷感知手段5が所定の負荷を検出し、(【0026】)
これにより、機械式負荷感知手段5はシャッターカーテン6の下降を抑制し、この抑制とはシャッターカーテン6の停止を含むもの(【0027】)」であり、かつ、
「機械式負荷感知手段5(5A)は、(【0045】)」
「シャッターカーテン20が障害物61に接触した際に、駆動側であるスプロケットホイール31と、従動側である駆動プレート23との連れ周り状態を解除し、相対回転させることにより、爪55を爪車51に係止し、駆動側のスプロケットホイール31の回転を停止させてしまう(【0081】)」ものである、「機械式負荷感知手段」と、
本件特許発明1における、「前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置」とは、
「前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動力を伝達する部材の回転を機械的にロックするよう作動する障害物検知装置」という点で共通する。

(ウ)甲1発明においては、
「開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】)
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる(【0072】)」ものであることを踏まえれば、
甲1発明における、
「シャッターを閉鎖操作すると、処理手段2aはシャッターカーテン6が下降する方向に開閉機Mを駆動し、シャッターカーテン6が下降を続け、障害物に接触すると、機械式負荷感知手段5が所定の負荷を検出し、(【0026】)
これにより、機械式負荷感知手段5はシャッターカーテン6の下降を抑制し、この抑制とはシャッターカーテン6の停止を含むものであり、機械式負荷感知手段5によるシャッターカーテン6の下降の抑制力によって、開閉機Mに所定の負荷が加わり、開閉機負荷感知手段2dがこの負荷を検出し、開閉機負荷感知手段2dによる負荷の検出により、処理手段2aは開閉体開閉時に生じた障害を回避すべく開閉機Mの下降駆動を停止させるもの(【0027】)」であることと、
本件特許発明1において、「制御装置」が「前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止」するものであることとは、
「制御装置」が「前記障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止」するものである点で共通する。
続いて、
甲1発明においては、「巻取カゴ」は「回転によりシャッターカーテンを巻き取り、又繰り出すことにより、シャッターカーテンを昇降させるもの」(【0018】)であり、シャッターカーテンが下降方向(繰り出し)から上昇方向(巻き取り)へ反転駆動される場合、巻取カゴ、そして巻取カゴに駆動力を伝達する部材であるスプロケットプレートの回転方向も反転すなわち逆回転となることは自明であることを踏まえれば、
甲1発明における、
「さらに、処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、(【0033】)
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき(【0034】)」ることと、
本件特許発明1において、「制御装置」が「前記駆動軸を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する」することとは、
「制御装置」が「前記駆動力を伝達する部材を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する」ものである点で共通する。

(エ)前記(ア)ないし(ウ)から、本件特許発明1と甲1発明とは、

[一致点]
「モーターの駆動で駆動力を伝達する部材を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動力を伝達する部材の回転を機械的にロックするよう作動する障害物検知装置と、
前記障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止し、前記駆動力を伝達する部材を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する制御装置と、を備える、
電動遮蔽装置。」

の点で一致し、そして以下の点で相違する。

[相違点A1−1]
本件特許発明1においては、障害物検知装置が「クラッチ式」とされているのに対し、
甲1発明における「機械式負荷感知手段5(5A)」は、「シャッターカーテン20が障害物61に接触した際に、駆動側であるスプロケットホイール31と、従動側である駆動プレート23との連れ周り状態を解除し、相対回転させることにより、爪55を爪車51に係止し、駆動側のスプロケットホイール31の回転を停止させてしまう」ものであって、クラッチ式と特定されていない点。

[相違点A1−2]
本件特許発明1においては、「駆動軸」を回転させ、「駆動軸」の回転を機械的にロックし、「駆動軸」を逆回転させるとされているのに対し、
甲1発明においては、それら動作の対象は、駆動力を伝達する部材(スプロケットホイール)であり、「駆動軸」とは特定されていない点。

[相違点A1−3]
本件特許発明1においては、「制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで前記駆動軸を逆回転させることにより当該再駆動を行う」、
すなわち、「障害物検知装置のロックを解除する位置まで」逆回転させるものであるのに対し、
甲1発明においては「処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき」る、
すなわち、「所定時間(所定量)」、「例えば、・・・シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定」で、反転駆動させるものである点。

イ 判断
(ア)検討
事案に鑑み、相違点A1−3から検討する。
甲1発明における、「機械式負荷感知手段5」の動作後の反転駆動は、「所定時間(所定量)」、「例えば、・・・シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定」で行うというものであり、反転駆動を相違点A1−3に係る本件特許発明1の構成のように「障害物検知装置のロックを解除する位置まで」行うということは、甲第1号証全体を見ても記載されていない。
さらに甲2記載技術事項、甲3記載技術事項について検討しても、
甲2記載技術事項、甲3記載技術事項は、それぞれ、昇降コードを有し、「操作装置6」から垂下される「操作コード7」(甲2記載技術事項)あるいは「コントロールユニット25から垂下される無端状のボールチェーン26」(甲3記載技術事項)で操作し(すなわち手動で操作し)、遮蔽材を自重で降下させるブラインドに関する技術であり、制御装置にかかわるものでもない上、
甲2記載技術事項は「スラットと昇降コードとが接触することによる昇降コードの摩耗を抑制可能な日射遮蔽装置の障害物検出装置を提供する」ことに関する技術、
甲3記載技術事項は「障害物除去後、すぐにスクリーンが下降を開始することなく、スクリーンが停止した状態を保持」することに関する技術である。
これに対し甲1発明は、
ブラインドではなくシャッターであり、モーターを用いて電動制御されるものであって手動操作により自重で降下するものではなく、
そしてブラインドのようなスラット、昇降コードを有するものでもなく、
かつ、「処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に」停止した状態を保持するのではなく「シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させる」ものである。
当業者が、甲2記載技術事項、甲3記載技術事項を、このように技術分野が異なる甲1発明に適用し、その上で、制御装置にかかるものではない甲2記載技術事項、甲3記載技術事項から相違点A1−3に係る本件特許発明1の構成を想到することが、容易であるとは言えない。
加えて、その他の各甲号証にも、相違点A1−3に係る本件特許発明1の構成は記載されていない。

(イ)申立人の主張について
申立人は、
「当該技術分野において、クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで駆動軸を逆回転させることは、従来周知であり(例えば、甲第2号証の段落0061、図5、甲第3号証の段落0036、図5(a)、図5(d)を参照のこと)、かかる従来周知の技術事項を・・・適用することに、格別の困難性は認められない。」(申立書24頁9〜13行)
と主張している。
しかしながら、甲2記載技術事項にあるのは、引き下げ操作不能とする係合状態を解除するなら、「操作コード7を操作して一端駆動軸8を引き上げ方向に回転し、制動爪12cと制動凸部11gとの係合を解除することで、再びスラット3及びボトムレール4を引き下げ操作可能となる」ということまで、
甲3記載技術事項にあるのは、係止してスクリーン下降方向の回転を阻止し、スクリーン14が停止した状態を解除するなら、「操作部24を操作して、回転駆動軸22をスクリーン上昇方向へと回転させると、回転駆動軸22が回転自由となり、張力が復活した昇降コード18により巻取ドラム20は、スクリーン下降方向に回転するので、下降動作に復帰させることができる」ということまでであり、
下降方向への駆動が停止されたら続いてこれらの解除動作を行うとしているものではない。
加えて、甲2記載技術事項、甲3記載技術事項の甲1発明への適用については、上記(ア)で検討したとおりである。
よって申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第4号証を主引用例として
ア 対比
(ア)甲4発明における「操作ユニット2を電動式とする場合」の「横型ブラインド」は、本件特許発明1における「電動遮蔽装置」に相当し、甲4発明における「スラット4」は、本件特許発明1における「遮蔽材」に相当する。
そして、甲4発明において
「操作コード3を操作して駆動軸11を回転させ、スラット4を上昇又は下降させる昇降操作が可能となっており、
操作ユニット2を電動式とする場合には、外部からの操作信号に基づいて駆動軸11を回転操作可能とする電動モーターとすることができ」るものであることは、
本件特許発明1において、「モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる」ことに相当する。

(イ)甲4発明における、「障害物検知停止装置53」は、
「昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための装置であり、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止」させるものであり、
「カム軸531と、カムクラッチ532と、キャップ533から構成」され、「障害物検知の作動状態」で「巻取軸52の回転が規制されるものである」ということは、
本件特許発明1における、「前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置」に相当する。

(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件特許発明1と甲4発明とは、

[一致点]
「モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置、を備える、
電動遮蔽装置。」

の点で一致し、そして以下の点で相違する。

[相違点B1]
本件特許発明1においては、
「前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止し、前記駆動軸を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで前記駆動軸を逆回転させることにより当該再駆動を行う」のに対し、
甲4発明においてはそのように制御する制御装置は特定されていない点。

イ 判断
(ア)検討
甲4発明において、仮に、「操作ユニット2を電動式とする場合」には「電動モーター」を制御する何らかの制御装置を備えるものとしても、その制御装置の制御内容について、相違点B1における本件特許発明1の構成、とくに「クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで」逆回転するという構成は、甲第4号証全体を見ても記載も示唆もされていない。
加えて、その他の各甲号証にも、相違点B1に係る本件特許発明1の構成は記載されていない。

(イ)申立人の主張について
申立人は、制御装置の有無に関して、操作ユニット2を電動式とした場合(甲第4号証段落【0040】)に制御装置を備えることは明記するまでもなく当業者であれば当然に理解される旨主張し、(申立書33頁下から5行〜最下行)
また、その制御の内容に関して、甲第4号証の段落0072及び0073の記載を摘記して、「E. クラッチ式の障害物検知停止装置53(障害物検知装置)のロックを解除する位置まで駆動軸11(駆動軸)を逆回転させることにより当該再駆動を行うこと」が甲第4号証に記載されている旨主張している。(申立書29頁下から3行〜30頁下から7行、31頁6〜8行)
しかしながら、甲第4号証に記載されているのは、障害物検知停止装置53の「相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)」と「障害物検知の作動解除状態」がそれぞれどのような状態かの説明までであり、
「相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)」と「障害物検知の作動解除状態」間の移行に関わる、電動式とした操作ユニット2の(制御装置による)制御内容に関する記載はない。
よって申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、当業者が甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

3 本件特許発明2について
(1)甲第1号証を主引用例として
ア 対比
(ア)甲1発明における「電動制御のシャッター」は、本件特許発明2における「電動遮蔽装置」に相当し、また甲1発明における「シャッターカーテン」は、本件特許発明2における「遮蔽材」に相当する。
そして、甲1発明において
「開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】)
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる(【0072】)」
ということから、甲1発明の「スプロケットホイール」は、モーターの駆動により回転し、(巻取カゴに)駆動力を伝達する部材である。
よって、甲1発明において
「開閉機Mは、ギヤやチェーン等の駆動力伝達機構3を介して巻取機構4に連結されており、
巻取機構4は、回転自在な巻取カゴからなり、この巻取カゴの外周にはシャッターカーテンの上端が連結され、回転によりシャッターカーテンを巻き取り、又繰り出すことにより、シャッターカーテンを昇降させるもので(【0018】)」あり、かつ、
「開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる(【0072】)」ものであるということと、
本件特許発明2において、「モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる」こととは、
「モーターの駆動で駆動力を伝達する部材を回転させ遮蔽材を移動させる」点で共通する。

(イ)甲1発明の「スプロケットホイール31」が、モーターの駆動により回転し、巻取カゴ19に、駆動力を伝達する部材であることを踏まえれば、
甲1発明における、
「機械式負荷感知手段5は、電気的な制御を伴わないでシャッターカーテン開閉時に生じる負荷力によって動作する構成であり、(【0021】)
シャッターを閉鎖操作すると、処理手段2aはシャッターカーテン6が下降する方向に開閉機Mを駆動し、シャッターカーテン6が下降を続け、障害物に接触すると、機械式負荷感知手段5が所定の負荷を検出し、(【0026】)
これにより、機械式負荷感知手段5はシャッターカーテン6の下降を抑制し、この抑制とはシャッターカーテン6の停止を含むもの(【0027】)」であり、かつ、
「機械式負荷感知手段5(5A)は、(【0045】)」
「シャッターカーテン20が障害物61に接触した際に、駆動側であるスプロケットホイール31と、従動側である駆動プレート23との連れ周り状態を解除し、相対回転させることにより、爪55を爪車51に係止し、駆動側のスプロケットホイール31の回転を停止させてしまう(【0081】)」ものである、「機械式負荷感知手段」と、
本件特許発明2における、「前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置」とは、
「前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動力を伝達する部材の回転を機械的にロックするよう作動する障害物検知装置」という点で共通する。

(ウ)甲1発明においては、
「開閉機45のモータが回転し、出力スプロケット46が回転し、チェーン47を介し、スプロケットホイール31を回転させ、(【0064】)
駆動プレート23とスプロケットホイール31とが連れ周りの状態となり、駆動源である開閉機45の駆動力をスプロケットプレート31から駆動プレート23を介し、巻取カゴ19を回転駆動させる(【0072】)」ものであることを踏まえれば、
甲1発明における、
「シャッターを閉鎖操作すると、処理手段2aはシャッターカーテン6が下降する方向に開閉機Mを駆動し、シャッターカーテン6が下降を続け、障害物に接触すると、機械式負荷感知手段5が所定の負荷を検出し、(【0026】)
これにより、機械式負荷感知手段5はシャッターカーテン6の下降を抑制し、この抑制とはシャッターカーテン6の停止を含むものであり、機械式負荷感知手段5によるシャッターカーテン6の下降の抑制力によって、開閉機Mに所定の負荷が加わり、開閉機負荷感知手段2dがこの負荷を検出し、開閉機負荷感知手段2dによる負荷の検出により、処理手段2aは開閉体開閉時に生じた障害を回避すべく開閉機Mの下降駆動を停止させるもの(【0027】)」であることと、
本件特許発明2において、「制御装置」が「前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止」するものであることとは、
「制御装置」が「前記障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止」するものである点で共通する。
続いて、
甲1発明においては、「巻取カゴ」は「回転によりシャッターカーテンを巻き取り、又繰り出すことにより、シャッターカーテンを昇降させるもの」(【0018】)であり、シャッターカーテンが下降方向(繰り出し)から上昇方向(巻き取り)へ反転駆動させる場合、巻取カゴ、そして巻取カゴに駆動力を伝達する部材であるスプロケットプレートの回転方向も反転すなわち逆回転させることは自明であり、
また、「シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動」(【0033】)とは、その後(所定時間(所定量)後)開閉機のモータが停止することは自明であることを踏まえれば、
甲1発明における、
「さらに、処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、(【0033】)
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき(【0034】)」ることと、
本件特許発明2において、「制御装置」が、
「前記駆動軸を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する」ものであり、
「前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する」こととは、
「制御装置」が、
「前記駆動力を伝達する部材を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する」ものであり、
「障害物検知装置の作動後に、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動力を伝達する部材を逆回転させてから停止する」点で共通する。

(エ)前記(ア)ないし(ウ)から、本件特許発明2と甲1発明とは

[一致点]
「モーターの駆動で駆動力を伝達する部材を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動力を伝達する部材の回転を機械的にロックするよう作動する障害物検知装置と、
前記障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止し、前記駆動力を伝達する部材を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記障害物検知装置の作動後に、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動力を伝達する部材を逆回転させてから停止する手段を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。」

の点で一致し、そして以下の点で相違する。

[相違点A2−1]
本件特許発明2においては、障害物検知装置が「クラッチ式」であるのに対し、
甲1発明における「機械式負荷感知手段5(5A)」は、「シャッターカーテン20が障害物61に接触した際に、駆動側であるスプロケットホイール31と、従動側である駆動プレート23との連れ周り状態を解除し、相対回転させることにより、爪55を爪車51に係止し、駆動側のスプロケットホイール31の回転を停止させてしまう」ものであって、クラッチ式と特定されていない点。

[相違点A2−2]
本件特許発明2においては、「駆動軸」を回転させ、「駆動軸」の回転を機械的にロックし、「駆動軸」を逆回転させるとされているのに対し、
甲1発明においては、それら動作の対象は、駆動力を伝達する部材(スプロケットホイール)であり、「駆動軸」とは特定されていない点。

[相違点A2−3]
本件特許発明2においては、「前記制御装置は、」「前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する手段を備える」、
すなわち、「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで」逆回転させるものであるのに対し、
甲1発明においては「処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき」る、
すなわち、「所定時間(所定量)」、「例えば、・・・シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定」で、反転駆動させるものである点。

イ 判断
(ア)検討
事案に鑑み、相違点A2−3から検討する。
甲1発明における、「機械式負荷感知手段5」の動作後の反転駆動は、「所定時間(所定量)」、「例えば、・・・シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定」で行うというものであり、反転駆動を相違点A2−3に係る本件特許発明2の構成のように「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで」行うということは、甲第1号証全体を見ても記載されていない。
さらに、(仮に、本件特許発明2における「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置」は「クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置」に相当するとして、)甲2記載技術事項、甲3記載技術事項について検討しても、
甲2記載技術事項、甲3記載技術事項は、それぞれ、昇降コードを有し、「操作装置6」から垂下される「操作コード7」(甲2記載技術事項)あるいは「コントロールユニット25から垂下される無端状のボールチェーン26」(甲3記載技術事項)で操作し(すなわち手動で操作し)、遮蔽材を自重で降下させるブラインドに関する技術であり、制御装置にかかわるものでもない上、
甲2記載技術事項は「スラットと昇降コードとが接触することによる昇降コードの摩耗を抑制可能な日射遮蔽装置の障害物検出装置を提供する」ことに関する技術、
甲3記載技術事項は「障害物除去後、すぐにスクリーンが下降を開始することなく、スクリーンが停止した状態を保持」することに関する技術である。
これに対し甲1発明は、
ブラインドではなくシャッターであり、モーターを用いて電動制御されるものであって手動操作により自重で降下するものではなく、
そしてブラインドのようなスラット、昇降コードを有するものでもなく、
かつ、「処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に」停止した状態を保持するのではなく「シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させる」ものである。
当業者が、甲2記載技術事項、甲3記載技術事項を、このように技術分野が異なる甲1発明に適用し、その上で、制御装置にかかるものではない甲2記載技術事項、甲3記載技術事項から相違点A2−3に係る本件特許発明2の構成を想到することが、容易であるとは言えない。
加えて、その他の各甲号証にも、相違点A2−3に係る本件特許発明2の構成は記載されていない。

(イ)申立人の主張について
申立人は、
「当該技術分野において、クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで駆動軸を逆回転させることは、従来周知であり(例えば、甲第2号証の段落0061、図5、甲第3号証の段落0036、図5(a)、図5(d)を参照のこと)、かかる従来周知の技術事項を・・・適用することに、格別の困難性は認められない。」(申立書25頁9〜13行)
と主張している。
しかしながら、(仮に、本件特許発明2における「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置」は「クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置」に相当するとしても、)甲2記載技術事項にあるのは、引き下げ操作不能とする係合状態を解除するなら、「操作コード7を操作して一端駆動軸8を引き上げ方向に回転し、制動爪12cと制動凸部11gとの係合を解除することで、再びスラット3及びボトムレール4を引き下げ操作可能となる」ということまで、
甲3記載技術事項にあるのは、係止してスクリーン下降方向の回転を阻止し、スクリーン14が停止した状態を解除するなら、「操作部24を操作して、回転駆動軸22をスクリーン上昇方向へと回転させると、回転駆動軸22が回転自由となり、張力が復活した昇降コード18により巻取ドラム20は、スクリーン下降方向に回転するので、下降動作に復帰させることができる」ということまでであり、
下降方向への駆動が停止されたら続いてこれらの解除動作を行うとしているものではない。
加えて、甲2記載技術事項、甲3記載技術事項の甲1発明への適用については、上記(ア)で検討したとおりである。
よって申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第4号証を主引用例として
ア 対比
(ア)甲4発明における「操作ユニット2を電動式とする場合」の「横型ブラインド」は、本件特許発明2における「電動遮蔽装置」に相当し、甲4発明における「スラット4」は、本件特許発明2における「遮蔽材」に相当する。
そして、甲4発明において
「操作コード3を操作して駆動軸11を回転させ、スラット4を上昇又は下降させる昇降操作が可能となっており、
操作ユニット2を電動式とする場合には、外部からの操作信号に基づいて駆動軸11を回転操作可能とする電動モーターとすることができ」るものであることは、
本件特許発明2において、「モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる」ことに相当する。

(イ)甲4発明における、「障害物検知停止装置53」は、
「昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための装置であり、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止」させるものであり、
「カム軸531と、カムクラッチ532と、キャップ533から構成」され、「障害物検知の作動状態」で「巻取軸52の回転が規制されるものである」ということは、
本件特許発明2における、「前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置」に相当する。

(ウ)前記(ア)及び(イ)から、本件特許発明2と甲4発明とは、

[一致点]
「モーターの駆動で駆動軸を回転させ遮蔽材を移動させる電動遮蔽装置であって、
前記遮蔽材の一方向の移動を妨げる障害物を検知して前記駆動軸の回転を機械的にロックするよう作動するクラッチ式の障害物検知装置、を備える、
電動遮蔽装置。」

の点で一致し、そして以下の点で相違する。

[相違点B2]
本件特許発明2においては、
「前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に前記モーターの駆動を停止し、前記駆動軸を所定量逆回転させるよう前記モーターを再駆動する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置の作動後に、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する手段を備える」のに対し、
甲4発明においてはそのように制御する制御装置は特定されていない点。

イ 判断
(ア)検討
甲4発明において、仮に、「操作ユニット2を電動式とする場合」には「電動モーター」を制御する何らかの制御装置を備えるものとしても、その制御装置の制御内容について、相違点B2における本件特許発明2の構成、とくに「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで」逆回転するという構成は、甲第4号証全体を見ても記載も示唆もされていない。
加えて、その他の各甲号証にも、相違点B2に係る本件特許発明2の構成は記載されていない。

(イ)申立人の主張について
申立人は、制御装置の有無に関して、操作ユニット2を電動式とした場合(甲第4号証段落【0040】)に制御装置を備えることは明記するまでもなく当業者であれば当然に理解される旨主張し、(申立書34頁下から2行〜最下行、33頁下から5行〜最下行)
また、その制御の内容に関して、甲第4号証の段落0072及び0073の記載を摘記して、「F. クラッチ式の障害物検知停止装置53(障害物検知装置)の作動後に、電動モーター(モーター)の駆動を停止し、電動モーター(モーター)を駆動して駆動軸11(駆動軸)を、駆動軸11(駆動軸)のロックを解除(クリープ負荷を解除)する所定位置まで逆回転させてから停止する手段を備えること」が甲第4号証に記載されている旨主張している。(申立書29頁下から3行〜30頁下から7行、31頁21〜25行)
しかしながら、(仮に、本件特許発明2における「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置」は「クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置」に相当するとしても、)甲第4号証に記載されているのは、障害物検知停止装置53の「相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)」と「障害物検知の作動解除状態」がそれぞれどのような状態かの説明までであり、
「相対回転不能な状態(即ち、障害物検知の作動状態)」と「障害物検知の作動解除状態」間の移行に関わる、電動式とした操作ユニット2の(制御装置による)制御内容に関する記載はない。
よって申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明2は、当業者が甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

4 本件特許発明3について
(1)甲第1号証を主引用例として
ア 対比・判断
甲1発明と本件特許発明3を対比すると、少なくとも下記相違点で相違する。

[相違点A3]
本件特許発明3においては、制御装置が有する「障害物検知停止制御手段は、」「前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで逆回転させてから停止する」、
すなわち、「障害物検知装置のロックを解除する位置まで」逆回転させるものであるのに対し、
甲1発明においては「処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき」る、
すなわち、「所定時間(所定量)」、「例えば、・・・シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定」で、反転駆動させるものである点。

この相違点A3について検討すると、上記2(1)イ(ア)における相違点A1−3についての検討と同様に、この相違点A3に係る本件特許発明3の構成は、当業者が甲1発明並びに甲2記載技術事項及び甲3記載技術事項に基づいて想到容易なものではない。また、その他の各甲号証にも、相違点A3に係る本件特許発明3の構成は記載されていない。

イ 申立人の主張について
申立人は、
「当該技術分野において、クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで駆動軸を逆回転させることは、従来周知であり(例えば、甲第2号証の段落0061、図5、甲第3号証の段落0036、図5(a)、図5(d)を参照のこと)、かかる従来周知の技術事項を・・・適用することに、格別の困難性は認められない。」(申立書26頁最下行〜27頁4行)
と主張している。
しかしながら、上記2(1)イ(イ)においての本件特許発明1に対する申立人の主張についての検討と同様に、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明3は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第4号証を主引用例として
ア 対比・判断
甲4発明と本件特許発明3を対比すると、少なくとも下記相違点で相違する。

[相違点B3]
本件特許発明3においては、
「前記エンコーダーの出力値を入力して監視し前記モーターの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置の作動時に生じる前記モーターの駆動に係る過電流、異常波形電流及び異常波形電圧のうち1以上の異常値の監視、或いは前記異常値の監視と前記エンコーダーの出力値の入力の双方を監視し、該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定し前記モーターの駆動を停止する障害物検知停止制御手段を有し、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、所定量逆回転させてから停止する手段を備え、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで逆回転させてから停止する」という制御装置が特定されているのに対し、
甲4発明においてはそのように制御する制御装置は特定されていない点。

この相違点B3について検討すると、上記2(2)イ(ア)における相違点B1についての検討と同様に、この相違点B3に係る本件特許発明3の構成の、とくに「前記クラッチ式の障害物検知装置のロックを解除する位置まで逆回転させてから停止する」という点は、当業者が甲4発明に基づいて想到容易なものではない。また、その他の各甲号証にも、この点にかかる構成は記載されていない。

イ 申立人の主張について
申立人は、「「電動式とした場合には」このような構成となるのは、当業者であれば自明である。」と主張し、(申立書36頁5〜6行)
また、その制御の内容に関して、甲第4号証の段落0072及び0073の記載を摘記して、「M. 駆動軸11(駆動軸)を、クラッチ式の障害物検知停止装置53(障害物検知装置)のロックを解除する位置まで逆回転させてから停止すること」が甲第4号証に記載されている旨主張している。(申立書29頁下から3行〜30頁下から7行、32頁15〜17行)
しかしながら、上記2(2)イ(イ)においての本件特許発明1に対する申立人の主張についての検討と同様に、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明3は、当業者が甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証、甲第6号証に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

5 本件特許発明4について
(1)甲第1号証を主引用例として
ア 対比・判断
甲1発明と本件特許発明4を対比すると、少なくとも下記相違点で相違する。

[相違点A4]
本件特許発明4においては、制御装置が有する「障害物検知停止制御手段は、」「前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する」、
すなわち、「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで」逆回転させるものであるのに対し、
甲1発明においては「処理手段2aは、開閉機負荷感知手段2dによる負荷検出後、シャッターカーテン6を所定時間(所定量)反転駆動させる、すなわち、シャッターカーテン6の下降時に下限位置あるいは障害物に接触して開閉機負荷感知手段2dが開閉機Mの負荷を検出すると、処理手段2aは開閉の障害を回避すべく開閉機Mを下降方向への駆動を停止させた後に、シャッターカーテン6の上昇方向へ所定時間駆動させるものであり、
この反転駆動の所定時間は、設定部2eのダイヤルスイッチ等で可変調整することができ、設定部2eの設定によっては、例えば、シャッターカーテン下降時に障害物接触したときには、シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定にもでき」る、
すなわち、「所定時間(所定量)」、「例えば、・・・シャッターカーテン6が上限位置に達するまで継続して上昇させる設定」で、反転駆動させるものである点。

そして上記3(1)イ(ア)における相違点A2−3についての検討と同様に、この相違点A4に係る本件特許発明4の構成は、当業者が甲1発明並びに甲2記載技術事項及び甲3記載技術事項に基づいて想到容易なものではない。また、その他の各甲号証にも、相違点A4に係る本件特許発明4の構成は記載されていない。

イ 申立人の主張について
申立人は、本件特許発明2に対しての主張と同様に、相違点は、格別なものではない旨主張している。(申立書28頁6〜7行)
と主張している。
しかしながら、上記3(1)イ(イ)においての本件特許発明2に対する申立人の主張についての検討と同様に、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第4号証を主引用例として
ア 対比・判断
甲4発明と本件特許発明4を対比すると、少なくとも下記相違点で相違する。

[相違点B4]
本件特許発明4においては、
「前記エンコーダーの出力値を入力して監視し前記モーターの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記クラッチ式の障害物検知装置の作動時に生じる前記モーターの駆動に係る過電流、異常波形電流及び異常波形電圧のうち1以上の異常値の監視、或いは前記異常値の監視と前記エンコーダーの出力値の入力の双方を監視し、該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定し前記モーターの駆動を停止する障害物検知停止制御手段を有し、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、所定量逆回転させてから停止する手段を備え、
前記障害物検知停止制御手段は、当該監視の結果に基づいて障害物があるとして判定後、前記モーターの駆動を停止し、前記モーターを駆動して前記駆動軸を、前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する」という制御装置が特定されているのに対し、
甲4発明においてはそのように制御する制御装置は特定されていない点。

この相違点B4について検討すると、上記3(2)イ(ア)における相違点B2についての検討と同様に、この相違点B4に係る本件特許発明4の構成の、とくに「前記駆動軸のクリープ負荷を解除する所定位置まで逆回転させてから停止する」という点は、当業者が甲4発明に基づいて想到容易なものではない。また、その他の各甲号証にも、この点にかかる構成は記載されていない。

イ 申立人の主張について
申立人は、「電動式とした場合には」このような構成となるのは、当業者であれば自明である。」と主張し、(申立書37頁16〜17行)
また、その制御の内容に関して、甲第4号証の段落0072及び0073の記載を摘記して、「N. 前記駆動軸11(駆動軸)を、クラッチ式の障害物検知停止装置53(障害物検知装置)のロックを解除(クリープ負荷を解除)する位置まで逆回転させてから停止する手段を備えること」が甲第4号証に記載されている旨主張している。(申立書29頁下から3行〜30頁下から7行、33頁7〜9行)
しかしながら、上記3(2)イ(イ)においての本件特許発明2に対する申立人の主張についての検討と同様に、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明4は、当業者が甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証、甲第6号証に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
異議決定日 2023-01-13 
出願番号 P2018-025479
審決分類 P 1 651・ 121- Y (E06B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 前川 慎喜
佐藤 美紗子
登録日 2022-02-28 
登録番号 7032021
権利者 立川ブラインド工業株式会社
発明の名称 電動遮蔽装置  
代理人 英 貢  

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