ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06Q 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06Q 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G06Q 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1395242 |
総通号数 | 15 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2023-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-09-15 |
確定日 | 2023-02-27 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 特許第7041311号発明「TVCMの効果を分析するための装置、方法及びそのためのプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7041311号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7041311号の請求項1〜10に係る特許についての出願は、令和3年3月5日に出願した特願2021−35732号の一部を令和3年7月27日に新たな特許出願として出願され、令和4年3月14日にその特許権の設定登録がされ、令和4年3月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年9月15日に特許異議申立人 塚田顕子、及び、令和4年9月21日に特許異議申立人 鈴木里美 は、それぞれ特許異議の申立てを行った。 また、令和4年10月25日に特許異議申立人 塚田顕子から、証拠説明書及び上申書が提出された。 第2 本件発明 特許第7041311号の請求項1〜10に係る発明(以下「本件特許発明1」などという。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 TVCMの効果を分析するための方法であって、 コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、 前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、 前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、 前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと を含み、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。 【請求項2】 TVCMの効果を分析するための方法であって、 コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、 前記コンピュータが、1又は複数の放映データを取得するステップと、 前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、 前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと を含み、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法であって、 前記検索スコアは、前記検索エンジンによる検索が行われた機器の使用者の属性ごとに算出される値である。 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、 前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、前記会社名、前記商品名、前記サービス名又は前記ブランド名を含む。 【請求項5】 請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、 前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、各放映データの対象とするTVCMのクリエイティブ識別子を含む。 【請求項6】 請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、 前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、各放映データの対象とするTVCMの放映時刻を含む。 【請求項7】 コンピュータに、TVCMの効果を分析するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、 ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、 放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、 各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、 前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと を含み、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。 【請求項8】 コンピュータに、TVCMの効果を分析するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、 ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、 1又は複数の放映データを取得するステップと、 放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、 前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと を含み、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。 【請求項9】 TVCMの効果を分析するための装置であって、 ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信し、 放映データと検索スコアとが関連付けられた前記装置の記憶部又は前記装置からアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データ、及び、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得し、 前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信し、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。 【請求項10】 TVCMの効果を分析するための装置であって、 ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信し、 放映データと検索スコアとが関連付けられた前記装置の記憶部又は前記装置からアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、1又は複数の放映データ、及び、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得し、 前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信し、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。 第3 申立理由の概要 特許異議申立人 塚田顕子、及び、特許異議申立人 鈴木里美 が、それぞれ、請求項1〜10に係る特許に対して申し立てた「申立理由」、「証拠方法(甲号証)」及び「主張の概要」は以下のとおりである。 1 特許異議申立人 塚田顕子 による特許異議の申立(以下「特許異議A」という。)について (1)申立理由 本件特許発明1〜10は、特許法第29条第1項第3号もしくは同法同条第2項に規定される要件を満たしていないため、請求項1〜10に係る特許は、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。 (2)証拠方法(甲号証) 甲第1号証:“TV Impact on Online Searches” 甲第2号証:特開2019−3595号公報 甲第3号証:特開2018−198005号公報 甲第4号証:特許第6792694号公報 (3)主張の概要 本件特許発明1〜10は何れも、甲第1号証に記載された発明と実質的に同一であるか、もしくは、甲第1号証に記載された発明と周知技術(必要であれば甲第2ないし4号証に記載の発明を参照)に基づいて当業者が容易に想到しうるものである。(特許異議申立書第51ページ) 2 特許異議申立人 鈴木里美 による特許異議の申立(以下「特許異議B」という。)について (1)申立理由 ア 本件特許発明1〜10は、特許法第29条第2項に規定される要件を満たしていないため、請求項1〜10に係る特許は、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。 イ 本件特許発明1〜10は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1〜10に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 ウ 本件特許発明1〜10は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1〜10に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 エ 本件特許発明1〜10は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、請求項1〜10に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 (2)証拠方法(甲号証) 甲第1号証:特開2015−225585号公報 甲第2号証:米国特許出願公開第2008/0255904号明細書 甲第3号証:米国特許出願公開第2008/0133342号明細書 甲第4号証:特開2020−160938号公報 甲第5号証:米国特許出願公開第2016/0156972号明細書 甲第6号証:特開2019−125939号公報 甲第7号証:特開2021−026306号公報 (3)主張の概要 ア 上記「(1)申立理由」の「ア」(特許法第29条第2項)について (ア)本件特許発明1は、甲1発明方法と、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2発明方法に対する設計変更に基づいて、又は甲2発明方法と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第98ページ) (イ)本件特許発明2は、甲1’発明方法と、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2’発明方法に対する設計変更に基づいて、又は甲2’発明方法と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第98ページ) (ウ)本件特許発明3は、甲1発明方法と、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲1発明方法と、甲第4号証における記載事項とに基づいて、又は甲2発明方法と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、又は甲2発明方法と、甲第4号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第99ページ) (エ)本件特許発明4は、甲1発明方法と、甲第4号証における記載事項とに基づいて、又は甲2発明方法に対する設計事項に基づいて、又は甲2発明方法と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、又は甲2発明方法と、周知技術(甲第7号証における記載事項)とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第99ページ) (オ)本件特許発明5は、甲1発明方法と、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2発明方法に対する設計変更に基づいて、又は甲2発明方法と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、又は甲2発明方法と、周知技術(甲第7号証における記載事項)とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第99ページ) (カ)本件特許発明6は、甲1発明方法と、甲第2号証における記載事項とに基づいて、又は甲2発明方法に対する設計変更に基づいて、又は甲2発明方法と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第99ページ) (キ)本件特許発明7は、甲1発明プログラムと、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2発明プログラムに対する設計変更に基づいて、又は甲2発明プログラムと、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第99〜100ページ) (ク)本件特許発明8は、甲1’発明プログラムと、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2’発明プログラムに対する設計変更に基づいて、又は甲2’発明プログラムと、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第100ページ) (ケ)本件特許発明9は、甲1発明装置と、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2発明装置に対する設計変更に基づいて、又は甲2発明装置と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第100ページ) (コ)本件特許発明10は、甲1’発明装置と、周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、及び甲第5号証における記載事項)とに基づいて、又は甲2’発明装置に対する設計変更に基づいて、又は甲2’発明装置と、甲第1号証における記載事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(特許異議申立書第100ページ) イ 上記「(1)申立理由」の「イ」(特許法第36条第4項第1号)について 発明の詳細な説明の記載は、いわゆる当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、いわゆる実施可能要件違反に該当する(特許法第36条第4項第1号)。(特許異議申立書第91〜94ページ((i−i)〜(i−iv))) ウ 上記「(1)申立理由」の「ウ」(特許法第36条第6項第1号)について 請求項1に係る発明は、 発明の詳細な説明に記載したものではなく、 請求項1は、いわゆるサポート要件違反に該当する(特許法第36条第6項第1号)。(特許異議申立書第94〜96ページ((ii−i)〜(ii−iv))) エ 上記「(1)申立理由」の「エ」(特許法第36条第6項第2号)について 請求項1に係る発明は、 特許を受けようとする発明が明確ではなく、請求項1は、いわゆる明確性要件違反に該当する(特許法第36条第6項第2号)。(特許異議申立書第96〜97ページ((iii−i)〜(iii−ii))) オ 請求項3〜6について 請求項3〜6は、請求項1に従属する請求項であることから、請求項3〜6についても、請求項1と同様に、いわゆる実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)、サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)、明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)に該当する。(特許異議申立書第97〜98ページ) カ 請求項2、7、8、9、10について 請求項2、7、8、9、10においても、上記の請求項1と同様の記載を含んでいる。したがって、請求項2、7、8、9、10についても、請求項1と同様に、いわゆる実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)、サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)、明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)に該当する。(特許異議申立書第98ページ) 第4 甲号証の記載 特許異議A及び特許異議Bの証拠方法として提出された各甲号証には以下の事項が記載されている。(なお、下線は合議体が付与した。) 1 特許異議Aの各甲号証の記載事項 (1)甲第1号証(TV Impact on Online Searches)(なお、当審訳は特許異議申立人 塚田顕子が提出した全訳を基に一部合議体で修正した。) ア 「Abstract We study the impact of TV advertising on viewers’ online search behaviors. In particular, we develop methods to estimate how many incremental searches can be causally attributed to TV ad spots, based on Bayesian Structural Time Series (BSTS) models. Simulation studies show that the TV-induced incremental search volumes can be accurately estimated in most cases. Our work provides a way of comparing incremental searches from TV v.s. web video ads. We demonstrate our methods with a case study, and present some insights from the analysis.」(第1ページ) (当審訳)「概要 視聴者のオンライン検索行動に対するTV広告の影響を調査します。特に、ベイズ構造時系列(BSTS)モデルに基づいて、TV広告スポットと因果関係があり得る検索数の増分を推定する方法を開発します。シミュレーション研究で、ほとんどの場合、テレビにより誘発される検索数の増分のボリュームを正確に推定できることが証明されています。我々の研究では、TV広告とwebビデオ広告からの検索数の増分を比較する方法を提供します。ケーススタディを使用して我々のメソッドを示し、分析から得られた洞察をいくつか示します。」 イ 「In this study we propose studying viewers’ interest in the brand (or related topics) as advertised in the TV ads, using their online searches that are related to the TV ads (such as brand, product or ad creative related queries). In particular, we look at minute-by-minute aggregated search volume time series during a TV campaign, and develop methods to measure the incremental searches that can be causally attributed to the ad spots of the campaign.」(第1ページ) (当審訳)「この研究では、TV広告に関連するオンライン検索(ブランド、製品、広告クリエイティブ関連のクエリなど)を使用して、TV広告で宣伝されているブランド(または関連トピック)に対する視聴者の関心を調査することを提案します。特に、TVキャンペーン中の分ごとの集計検索ボリュームの時系列データを調べ、キャンペーンの広告スポットと因果関係を有する可能性のある検索数の増分を測定する方法を開発します。」 ウ 「2 Methods We align the TV ad schedule and the aggregated search data to estimate the incremental searches that can be attributed to TV ad spots. The basic idea is to predict the baseline search volume in absence of TV ads, or the “counterfactual”, and then take the difference between the observed volume and the counterfactual as the estimate of the incremental searches.」(第3〜4ページ) (当審訳)「2 方法 TV広告のスケジュールと集計された検索データを連携させて、TV広告スポットに起因する可能性のある検索数の増分を推定します。基本的な考え方としては、TV広告がない場合のベースライン検索ボリューム、つまり「反実仮想」を予測し、観察されたボリュームと反実仮想との差を検索数の増分の推定値とします。」 エ 「BSTS models are state space models for time series estimated using Bayesian methods. They have two components: a time series component and a regression component. An observation yt at time t (in our case minute-by-minute search volume time series) is linked to the state space through the observation equation where xt is a d-dimensional control time series at time t (in our case minute-by-minute daily search volume time series to capture any daily patterns in searches detailed in Section 2.1) and β is a vector of regression coefficients. The state space is a random walk defined by the state equation where εt's are i.i.d. normally distributed random variables. 」(第4ページ) (当審訳)「BSTSモデルは、ベイズ法を使用して推定された時系列データの状態空間モデルです。このモデルには、時系列コンポーネントと回帰コンポーネントという2つのコンポーネントがあります。時間tでの観察yt(この場合、分ごとの検索ボリュームの時系列データ)は、観測方程式で状態空間にリンクしています。 ここでxtは、時間tにおけるd次元の統制時系列データ(この場合、セクション2.1で詳しく説明している検索の毎日のパターンを捕捉するための、分単位の日次検索ボリューム時系列データ)であり、βは回帰係数のベクトルです。状態空間は、状態方程式によって定義されるランダムウォークです。 ここで は、正規分布の確率変数 i.i.dです。」(第4ページ) オ 「2.1 Fitting a BSTS model using non-contaminated data To estimate the baseline search volume that would occur in the absence of the TV ad campaign, we fit the BSTS models to data that excludes a post period after each TV ad spot, within which search volumes may be affected by TV. Our research shows that TV’s impact on search volume is transient in time in most cases, usually less than 10 minutes. Thus we set the post period to 8 minutes by default, and extend it when necessary (we discuss this in Section 2.3). We set the values of the search time series within the post periods to missing when fitting the BSTS models.」(第5ページ) (当審訳)「2. 1 汚染されていないデータを使用したBSTSモデルの当てはめTV広告キャンペーンがない場合に発生するベースライン検索ボリュームを推定するために、検索ボリュームがテレビの影響を受ける可能性がある各TV広告スポットの後の事後期間を除外したデータに、BSTSモデルを当てはめます。我々の調査によると、テレビが検索ボリュームに与える影響は、ほとんどの場合一時的なものであり、通常は10分も続きません。したがって、事後期間をデフォルトで8分に設定し、必要に応じて延長します(これについてはセクション2.3で説明します)。BSTSモデルを当てはめるときに、事後期間内の時系列検索の値を欠損に設定します。」 カ 「We fit a local-level BSTS model with the Poisson observation equation (1) on the original series with post-ad periods removed, plus the above four daily time series as controls in the regression component. This results in a baseline (counterfactual) time series with the missing values in the post periods imputed. Then the lift for a time period (e.g. a post period) is estimated as the difference between the observed number of searches during the post period and the sum of the counterfactual over that period. Figure 5 demonstrates the estimated counterfactuals from BSTS with non-contaminated data, with shaded areas representing post periods.」(第5ページ) (当審訳)「ポワソン観測式(1)を含むローカルレベルのBSTSモデルを、回帰コンポーネントの制御である上記4つの日毎時系列データと共に、事後期間を削除した元の系列に当てはめます。これにより、事後期間の欠損値が入力された状態で、ベースライン(反実仮想)時系列データが生成されます。次に、ある期間(たとえば事後期間)のリフトは、事後期間中に観察された検索数とその期間の反実仮想の合計との差であると推定されます。図5は、汚染されていないデータを使用したBSTSから計算した反実仮想を示しています。影付きの領域は、事後期間を表しています。」 キ 「2.2 Ad groups The case where multiple ads occur quickly bears special attention. We define two or more ad spots with separations smaller than the length of a post period to be an ad spot group. We use counterfactuals between the time of the first spot in the group to the end of the post period of the last spot in the group to calculate the total lift for that group. Let t1 be the time of the first ad spot within an ad group m, and tk be the time of the last spot within the group. We calculate one lift number lm for the period [t1, tk + post_period]. The lift estimate above should be prorated to each ad spot within the group. We fit a linear regression model to the spot and spot-group level lifts, using TV channel and time of day (and optionally creative IDs) as predictors: where chj, dpj and Impj are the TV channel, time of day (hour of day) and the ad impression of spot j in group m, thus αchj is the response rate for chj, and γdpj is the “baseline” lift for time of day dpj. Figure 6 illustrates a spot group with four airings, with the shaded area the post period for this group.」(第5ページ) (当審訳)「2.2 広告グループ 複数の広告が短時間に発生する場合は、特別な注意が必要です。事後期間よりも短い間隔での2つ以上の広告スポットは、広告スポットグループとして定義します。グループ内の最初のスポットの時間からグループ内の最後のスポットの事後期間の終了までの反実仮想を使用して、そのグループの合計リフトを計算します。t1を広告グループm内の最初の広告スポットの時間とし、tkをグループ内の最後のスポットの時間とします。期間 [t1,tk+事後期間]について1つのリフト数lmを計算します。上記のリフト推定値は、グループ内の各広告スポットに比例配分する必要があります。TVチャンネルと時刻(およびオプションでクリエイティブID)を予測因子 として使用して、線形回帰モデルをスポットおよびスポットグループレベルのリフトに当てはめます。 この場合、chj、dpj、Impjはそれぞれ TVチャンネル、時間帯、グループ mでのスポットjの広告インプレッションです。したがって、αchjはchjの反応率で、γdpjは時刻dpjの「ベースライン」リフトです。図6は4回放映されるスポットグループを示しています。影付きの領域は、このグループの事後期間です。」 ク 「3.1 Synthetic data generator The data generation involves simulating three components: the ad airings data, the baseline search counts and the incremental search counts, as shown in Figure 8. The incremental search series depends on the generated ad airings data. We use the following parameters: ・  ̄I: The average TV impressions per spot; ・ Rspots: The average number of TV spots per hour; ・ psearch: The baseline search rate, i.e., the probability that a given search is on the keyword we are interested in out of all google.com search queries; ・ r: Relative lift during post period; ・ τ: A time constant that determines the effect duration of TV impact on search. See Appendix for details about the parameters and the simulation.」(第8ページ) (当審訳)「3. 1合成データジェネレータ データ生成には、図8に示すように、広告放映データ、ベースライン検索数、検索数の増分の3つのコンポーネントのシミュレーションが含まれます。検索数の増分系列は、生成された広告放映データによって決まります。次のパラメータを使用します。 ・  ̄I :スポットあたりの平均テレビインプレッション。 ・ Rspots: 1時間あたりのテレビスポットの平均数。 ・ Psearch: ベースライン検索率、つまり、すべてのgoogle.com検索クエリのうち特定の検索が、我々が関心を持つキーワードに関するものである確率。 ・r: 事後期間中の相対リフト。 ・τ:テレビが検索に与える影響の持続時間を決定する時定数。 パラメータとシミュレーションの詳細については、付録をご覧ください。」 ケ 「4 A case study on an Android campaign In this section we show the results from one specific study for Android, and demonstrate how to use the proposed approach to analyze TV campaigns and generate insights that can be helpful for optimization against incremental searches on different dimensions such as time of day. Google ran a campaign from March 1st to 28th in 2016 on TV to advertise its Android system. This campaign had 85 million impressions on 11 networks. We apply the proposed methodology to measure the incremental searches due to the TV ad airings in the TV campaign. We analyse two keywords that are related to the TV ad: “Android” and “Cool”. Aggregated search time series for the above two keywords is pulled from Googles search logs. We use Rentrak2 , a third party data provider, combined with a Google internal TV ad tracker, to get the TV ad airing data. The first plot in Figure 11 shows the incremental searches per spot (ISPS) for different times of day, where “Prime” is from 19:00 to 23:00. The numbers are indexed so that the average is 10. On weekdays primetime spots have more incremental searches per spot, likely because those spots have more TV impressions. The highest ISPS happens during weekend non-prime time. A closer investigation reveals that it is largely driven by a few spots on ESPN and Freeform, for example, an ESPN spot at 11:52 on March 5 during College Gameday. One can also do such comparisons by taking into account TV impressions or cost. The middle plot in Figure 11 shows the indexed incremental searches per impression (ISPI) for different time of day. The weekday pattern actually reverses, where non-prime time spots have a larger ISPI than primetime spots. Weekend non-prime spots still have the largest ISPI. The bottom plot in Figure 11 shows the indexed incremental searches per cost (ISPC) where the pattern is similar to that of ISPI. These results highlight the cost effectiveness of weekend non-prime time spots in this campaign in terms of TV induced searches, while weekend primetime has the lowest ISPS, ISPI and ISPC.」(第12ページ) (当審訳)「4 Androidキャンペーンのケーススタディ このセクションでは、Androidに関するある特定の調査の結果を示し、提案されたアプローチを使用してTVキャンペーンを分析し、時刻などのさまざまな次元で検索数の増分を最適化するのに役立つ洞察を生成する方法を実証します。 Googleは、2016年3月1日から28日まで、Androidシステムを宣伝するキャンペーンをテレビで実施しました。このキャンペーンは、11のネットワークで8,500万回のインプレッションを記録しました。提案された方法論を適用して、TVキャンペーンでのTV広告の放映による検索数の増分を測定します。TV広告に関連する2つのキーワードを分析します。2つのキーワードは「Android」と「Cool」です。上記の2つのキーワードの検索に関する集計された時系列データは、Googleの検索ログから取得します。この調査にはRentrak2を使用しています。サードパーティのデータプロバイダーであり、Googleの内部TV広告トラッカーと組み合わせると、TV広告の放映データを取得できます。図11の最初のプロットは、さまざまな時間帯のスポットごとの検索数の増分(ISPS)を示しています。ここで、「プライム」は19:00から23:00までです。数値は、平均が10になるようにインデックスされています。平日のプライムタイムスポットでは、スポットあたりの検索数が増えます。これは、これらのスポットのTVインプレッションが多いためと考えられます。最も高いISPSは、週末の非プライム時間に発生します。綿密な調査により、ESPNとFreeformのいくつかのスポット、 たとえば、College Gamedayの3月5日の11:52のESPNスポットが主な原因であることが明らかになりました。 テレビのインプレッションやコストを考慮して、このような比較を行うこともできます。図11の中央のプロットは、さまざまな時間帯のインプレッションあたりのインデックス付き検索数の増分(ISPI)を示しています。平日のパターンは実際には逆になり、非プライムタイムスポットのISPIはプライムタイムスポットよりも大きくなります。週末の非プライムスポットには、依然として最大のISPIがあります。図11の下のプロットは、コストあたりのインデックス付き検索数の増分(ISPC)を示しています。ここで、パターンはISPIのパターンと類似しています。これらの結果は、テレビで誘発された検索に関して、このキャンペーンの週末の非プライムタイムスポットの費用対効果を強調していますが、週末のプライムタイムはISPS、ISPI、ISPCが最も低くなっています。」 コ 「We then showcase the proposed approach with a case study for an Android campaign with results broken down by time of day and day of week.These results can help TV advertisers optimize their TV campaign. Such optimization can be done on different dimensions in addition to time of day, such as TV creative, and program genre. We also compare the TV ad effectiveness to that of YouTube by using the incremental searches per impression.」(第15ページ) (当審訳)「次に、提案されたアプローチをAndroidキャンペーンのケーススタディで紹介し、結果を時間帯と曜日ごとに分類します。これらの結果は、テレビ広告主がTVキャンペーンを最適化するのに役立ちます。このような最適化は、TVクリエイティブや番組のジャンルなど、時間帯に加えてさまざまな次元で実行できます。また、インプレッションごとの検索数の増分を使用して、テレビ広告の効果をYouTubeの効果と比較します。」 サ 「A.1 Ad airing data Ad airing data consists of data from multiple TV networks. When creating TV ad spot data, our goal is to create ad airings for multiple TV channels where we can control the density of the spots. This allows us to investigate cases where ads on different channels run close to one another. We define the following parameters. ・ Nch: The number of TV channels we want to simulate data for. ・ Ndays: The number of simulated days. ・ Rspots: The average number of spots per hour. ・  ̄I: The average impression count per spot. The spot data is generated independently per channel as follows: 1. Each channel has a mean impression count drawn from an exponential distribution, i.e., Ich 〜 Exp( ̄I).」(第16〜17ページ) (当審訳)「A. 1 広告放映データ 広告放映データは、複数のTVネットワークからのデータで構成されています。TV広告スポットデータを作成する場合の我々の目標は、スポットの密度を制御できる複数のTVチャネル向けの広告放送を作成することです。これにより、さまざまなチャネルの広告が互いに接近している事例を調査できます。以下のパラメータを定義します。 ・Nch:データをシミュレートしようとするTVチャンネルの数。 ・Ndays:シミュレートされた日数。 ・Rspots:1時間あたりのテレビスポットの平均数。 ・ ̄I :スポットあたりの平均インプレッション数。 スポットデータは、次のようにチャネルごとに独立して生成されます。 1.各チャネルには、指数分布から得られた平均インプレッション数があります。すなわちIch 〜 Exp( ̄I)です。」 シ 「A.2 Search data Search data consists of baseline searches, that are not related to TV ads and searches that are due to the ads. We first simulate the baseline searches and then given the set of TV ad spots, we generate the incremental searches, which can be negative because viewers might no longer need to search because they get the information from the TV ads. The “observed” search time series is a sum of both.」(第17ページ) (当審訳)「A.2 検索データ 検索データは、テレビ広告に関連しないベースライン検索と、広告に起因する検索で構成されます。最初にベースライン検索をシミュレートし、次に一連のTVスポットを指定して、検索数の増分を生成します。これは、視聴者がTV広告から情報を取得したので検索する必要がなくなることもあるため、マイナスになる可能性があります。「観測された」検索の時系列のデータは、両方の合計です。」 ス 「A.2.2 Attributed (Incremental) search data The incremental search counts are searches that occurred as a result of users seeing a TV ad and are incremental to any searches that a user would have done had they not seen the ad. 」(第18ページ) (当審訳)「A.2.2 アトリビュートされた(逐次)検索データ 検索数の増分は、ユーザーがTV広告を見た結果として発生した検索であり、ユーザーが広告を見なかった場合に実行したであろう検索に対する増加です。」 上記ア〜スの記載事項から、甲第1号証には、以下の発明が記載されている。(以下「特許異議A甲1発明」という。) 「TVキャンペーン中の分ごとの集計検索ボリュームの時系列データを調べ、キャンペーンの広告スポットと因果関係を有する可能性のある検索数の増分を測定する方法であって、 2016年3月1日から28日まで、Googleがテレビで実施したAndroidシステムを宣伝するキャンペーンでのTV広告の放映による検索数の増分を測定するため、前記TV広告に関連する2つのキーワードである「Android」と「Cool」の検索に関する集計された時系列データを、Googleの検索ログから取得し、 前記検索数の増分は、ユーザーがTV広告スポットの事後期間に観察された検索ボリュームと、TV広告がない場合のベースライン検索ボリュームとの差であり、 前記検索数の増分を測定した結果を時間帯と曜日ごとに分類し、 前記分類したものをテレビ広告主がTVキャンペーンを最適化するために役立てる、 方法。」 (2)甲第2号証(特開2019−3595号公報) ア 「【0024】 これらの図を参照して本発明の放送データ処理装置1の概要を説明すると、同放送データ処理装置1は、対象ユーザーの放送対象の投稿数の計数を行う機能を有している、より詳しくは、対象放送番組の放送の前後における投稿ユーザーから対象放送番組の投稿を行ったユーザー(対象放送番組の投稿を行ったユーザーは、以下対象ユーザーとする場合がある)の放送対象の投稿数の計数を行う機能を有している(対象放送番組とは、投稿数やユーザー数の計数対象となる放送番組をいう)。なお、本実施形態にあっては、対象放送番組の投稿とは、対象放送番組を特定できる内容を含む投稿を言い、放送対象の投稿とは、放送対象を特定できる内容を含む投稿を言う。また、放送対象とは、CM(コマーシャル)や放送番組で露出または出演している団体、企業、有名人、芸能人、タレント、商品名、役務名、施設、場所、ブランド名、またはCMスポンサー名とすることとしており、投稿は、Web上の投稿より詳しくはツイッター(登録商標)等のソーシャルネットワーキングサービスにおける投稿とすることとしている。」 イ 「【0027】 放送前計数期間設定部10は、対象放送番組の放送前における計数を行うための放送前計数期間を設定する機能を有している。本実施形態にあっては、放送前計数期間は、図4に示すように、対象放送番組における第1回の放送が始まる前の期間とし、後述する基本計数期間と同期間に設定されている。 【0028】 第1の放送後計数期間設定部20は、対象放送番組の放送後における計数を行うための第1の放送後計数期間を設定する機能を有している。ここで、本実施形態にあっては、対象放送番組は、複数回にわたり放送され、第1の放送後計数期間は、図4に示すように、複数回にわたる放送の第1回から最終回までの期間として定義される基本計数期間に所定の付加期間より詳しくは1ケ月以内の期間(例えば、付加期間は、1ケ月、1週間乃至1ケ月等)更に詳しくは1週間以内の期間(例えば、付加期間は、1週間、1日乃至1週間等)を加えた期間としている。すなわち、本発明者により、対象放送番組の投稿、対象ユーザーのユーザー数、および対象放送番組に関わる放送対象の投稿は、対象放送番組の終了後1ケ月を経過することにより、より詳しくは1週間を経過することにより大幅に低下することが把握されている。」 ウ 「【図4】 (3)甲第3号証(特開2018−198005号公報) ア 「【0022】 (1).広告主Aは、商品又はサービス、もしくは商品の購入やサービスの提供に際しユーザUが利用するためのアプリケーション等のコンテンツに関する広告を放送局1に依頼する。具体的には、広告主Aは広告代理店(不図示)等を介して、放送局1にコンテンツに関する広告の配信を依頼する。説明の便宜上、以下本明細書では、広告主Aは放送局1に対してスマートフォンアプリ等のコンテンツに関する広告を依頼する場合を例にして説明する。」 イ 「【0030】 (9).情報処理装置4は、算出した指標を広告代理店等を介して広告主Aに提供する。これにより、広告主Aは、放送局1に依頼して配信させた広告の効果を把握することができる。情報処理装置4は、広告が配信された後、所定の計測実行閾時間を経過するまでの計測期間内に取得されたコンテンツの数を計数する。このため、情報処理装置4は、時間帯及び配信広告毎に広告の直接的な効果を定量的に測定することができる。結果として、情報処理装置4は、広告効果の測定の精度を向上させることができる。」 ウ 「【0060】 また、計数部413は、ユーザ情報データベース61を参照することにより、ユーザUに設定された属性毎(例えば、ユーザの年代や性別、居住地域、インストール済みのアプリ毎)に総取得数Yを計数してもよい。これにより、効果算出部414は、ユーザUに設定された属性毎に広告の効果を示す指標を算出することができる。 【0061】 例えば、通常テレビコマーシャルは地域によって異なる。このため、計数部413が地域毎に総取得数Yを計数することにより、広告の効果をより精度よく測定することができる。また、ユーザUの属性毎に広告効果を測定できるので、広告のターゲットの修正や広告の演出の修正等に利用することができる。」 (4)甲第4号証(特許第6792694号公報) ア 「【発明の効果】 【0015】 本発明の一態様によれば、評価対象のTVCMに関連づけられたウェブサイトに対する所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で記録されたアクセス数を用いて当該TVCMの効果を評価することによって、各TVCMの放映の効果を高い精度で評価することが可能となる。」 イ 「【0019】 装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができる。また、装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがあり、また当該プログラムは1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部102において実行することができる。 【0020】 装置100は、さらにデータベース104を備え、ウェブサイト110に対するアクセス数に基づいて算出される一組のパラメータを記憶している。当該一組のパラメータの少なくとも一部を用いて、TVCMの効果の評価が行われる。当該一組のパラメータについては後述する。」 ウ 「【0023】 図2に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を評価するための方法の流れを示す。まず、装置100は、データベース104から、過去のN個の時点ti(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数及び当該複数の時点の以前又は前の第2の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数を取得し、各時点tiにおいて、第1の期間におけるアクセス数と第2の期間におけるアクセス数との差Δiを算出する(S201)。一例として、一分単位でアクセス数を表し、図3に示すような過去の各時点tiについて、各時点ti以後の3分間のアクセス数と当該時点tiの前の3分間のアクセス数との差Δiを算出する。アクセス数の差Δiは、各時点tiを基準としたアクセス増加数と言うことができる。 【0024】 ここで、発明者らは、TVCMの視聴者がインターネット上で行動を取り、ウェブサイト110に対するアクセス数として現れるまでの期間は概ね3分間等であることを見出し、必ずしも3分間に限るものではないが、本発明は、TVCMの放映後数分間に着目するものである。」 エ 「【0026】 また、標準偏差の算出は、東京、福岡等の地域ごとに行うことが有益であることがあり、N個の時点tiを曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に加えてさらに地域に基づいて区分してもよい。ウェブサイト110に対するアクセスは、どの地点又は地域に所在する端末から行われたかを判別可能であることがあり、そのような場合にウェブサイト110に対するアクセス数の地域ごとの区分が可能である。 【0027】 そして、装置100は、評価の対象となるTVCMの放映時刻tをコンピュータネットワークを介して受信する(S203)。装置100は、当該TVCMの識別子を加えて取得することが好ましい。TVCMの識別子とウェブサイトの識別子との対応づけを記憶しておけば、装置100は、取得したTVCMの識別子に基づいて、当該TVCMの効果測定に用いるウェブサイトを判定し、当該ウェブサイトに対するアクセス数を用いて算出された標準偏差を取得することができる。または、装置100は、TVCMの放映時刻tに加えて、当該TVCMと関連づけられたウェブサイト110の識別子をユーザー端末120その他のコンピュータから直接取得してもよい。 【0028】 また、装置100は、受信した放映時刻tから定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、当該TVCMに関連づけられたウェブサイト110の1又は複数の標準偏差を取得する(S204)。」 オ 「【0030】 装置100は、取得したTVCMの放映時刻tにおいて、当該時刻の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数と当該時刻の以前又は前の第2の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数との差Δを算出する(S205)。ここで、放映時刻tは1分若しくは数分単位又は1秒、数秒若しくは数十秒単位により表すことができる。また、放映時刻tは、1秒、数秒又は数十秒単位で表されたデータを取得してアクセス増加数の算出に当たって1分又は数分単位に変換してもよい。ここで、「数分」とは発明者らの知見によれば、2分又は3分が好ましいが、これに限定するものではなく、4分、5分等とすることも考えられる。また、「数秒」とは3秒、5秒等とすることが挙げられ、「数十秒」とは30秒、50秒等とすることが挙げられる。放映時刻tは、より広くは所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表すことができ、たとえば10分未満又は数十分未満の任意の単位で表すことが考えられる。 【0031】 そして、装置100は、ウェブサイト110に対するアクセス増加数Δとウェブサイト110の1又は複数の標準偏差又は当該1又は複数の標準偏差を用いて定まる値σとを比較してTVCMの効果を評価する(S206)。一例として、Δ>1.5σで表されるように、アクセス増加数Δが標準偏差σに所定の係数を乗じた値よりも大きければ効果があり、それ以下であれば効果がなかったと評価することが挙げられる。あるいは、Δ/σで表される比を算出して、当該比が所定の値よりも大きければ効果があり、それ以下であれば効果がなかったと評価することが挙げられる。 【0032】 上述の説明において「アクセス数」とは、ウェブサイト110に対してなされたアクセスの数を意味し、閲覧されたページ数をカウントするページビュー、複数のページが閲覧されても同一の端末による閲覧であれば1とカウントするセッション数等、さまざまなカウントの方式が可能である。」 2 特許異議Bの各甲号証の記載事項 (1)甲第1号証(特開2015−225585号公報) ア 「【0006】 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、配信されたコンテンツに対する反応を高い精度で判定することができる情報処理装置、情報処理システム、端末装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。」 イ 「【0022】 (第1の実施形態) 以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。 図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。 情報処理システム1は、情報処理装置11、投稿情報管理サーバ装置21、番組情報管理サーバ装置22、及び端末装置31を含んで構成される。 情報処理装置11、投稿情報管理サーバ装置21、番組情報管理サーバ装置22、及び端末装置31は、ネットワーク41を介して相互にデータを送信及び受信することができる。図1に示す例では、端末装置31の数が1台であるが、実際には、2台以上の不特定の台数であってもよい。但し、以下の説明では、簡単のために端末装置31の数が主に1台であり、配信されるコンテンツが、主に放送局により放送されるテレビジョン放送番組である場合を例にし、単に「番組」と呼ぶことがある。 【0023】 情報処理装置11は、指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報を番組情報管理サーバ装置22から取得し、取得した番組情報に基づいて、その番組情報に係る投稿情報を検索するための投稿検索条件を定める。 「番組検索条件」は、番組情報を特定するための条件、例えば、その番組の放送時間、番組に関するキーワード情報、放送局情報、その番組の番組名、又はこれらの組み合わせである。番組検索条件は、情報処理装置11の使用者の操作入力に基づいて生成されてもよいし、番組検索条件を定めた事業者が使用する機器から受信されたものであってもよい。 【0024】 情報処理装置11は、予め定めた投稿検索条件を満たす投稿情報を投稿情報管理サーバ装置21から取得し、取得した投稿情報に基づいて、その番組情報に関する投稿者の反応を解析する。情報処理装置11は、解析した反応を示す反応情報を生成する。 「投稿者の反応」は、例えば、その番組に対する盛り上がりにつながる。盛り上がりは、所定時間毎の投稿数の急激な増加として検出され、番組が多くの視聴者に対して印象を与えたことを示す。盛り上がりには、視聴者による投稿に対して他の投稿者に印象を与えたことを示すこともある。盛り上がりは、視聴者や他の投稿者による番組に対する注目の度合いを示す指標であるので、番組による影響や要因の分析の手掛かりとして有用である。従って、反応情報は、例えば、番組を放送する放送事業者、市場調査等を行う調査事業者、ある番組に付随して放送される広告番組(CM:Commercial Advertisement)を媒体として用いる広告主、投稿サイトを閲覧する閲覧者、等、に提供されることがある。以下の説明では、反応情報が盛り上がりを示す盛り上がり情報である場合を例にする。 情報処理装置11は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ、等である。 【0025】 投稿情報管理サーバ装置21は、端末装置31から投稿情報を受信し(投稿受付)、受信した投稿情報を記憶する記憶部(図示せず)を備えるサーバ装置(いわゆる投稿サイト)である。投稿情報管理サーバ装置21は、端末装置31から投稿情報要求信号を受信し(閲覧受付)、その時点(現在)までの予め定めた時間内の投稿情報を記憶部から読み出し、読み出した投稿情報を端末装置31に送信する。また、投稿情報管理サーバ装置21は、情報処理装置11から投稿情報検索信号を受信する(検索受付)。投稿情報管理サーバ装置21は、受信した投稿情報検索信号で指示される投稿検索条件を満たす投稿情報を記憶部から検索し、検索した投稿情報を情報処理装置11に送信する。」 ウ 「【0027】 番組情報管理サーバ装置22は、放送局(図示せず)が放送した番組に関する番組情報を記憶する記憶部(図示せず)を備える。「番組情報」は、放送局(図示せず)が放送した番組の属性や主旨を示す情報である。番組情報には、その番組の放送時間情報、キーワード情報、コンテキスト情報、その番組を放送した放送局情報を含む。キーワード情報は、その番組の概要、分野(ジャンル)等、その番組の特徴を表現もしくは連想させる語句を示すキーワードを示す情報である。コンテキスト情報は、その番組の概要、解説、等、を表す文章を示す情報である。また、番組情報は、その番組を受信した事業者、または番組を視聴した一般ユーザが制作したものであってもよい。番組情報の例については、後述する。 番組情報管理サーバ装置22は、情報処理装置11から番組検索データを受信し(検索受付)、番組検索データで指示される番組検索条件を満たす番組情報を記憶部から検索し、検索した番組情報を情報処理装置11に送信する。」 エ 「【0032】 制御部112は、情報処理装置11全体の動作を制御する。例えば、制御部112は、情報入出力部114から入力された番組検索データを番組情報収集処理部116に出力する。番組検索データは、解析対象の番組を検索(指示)するためのデータである。制御部112は、端末装置31から通信I/F部118を介して番組検索データを受信してもよい。 制御部112には、番組情報収集処理部116から番組検索データが示す番組検索条件を満たす番組トピック情報(番組トピック情報群)が入力される。番組トピック情報は、1つの番組を細分化した部分であるトピック毎の属性や概要を示す情報である。番組トピックは、コーナ(Corner)、セグメント(Segment)とも呼ばれる。1つの番組には、1つ又は複数の番組トピックが含まれることがある。番組トピック情報の例については、番組情報とともに後述する。 ・・・途中省略・・・ 【0035】 制御部112は、定めた投稿検索条件を満たす投稿情報の収集を指示する投稿検索データ(投稿検索データ群)を投稿情報収集処理部115に出力する。制御部112は、投稿情報収集処理部115から入力された投稿情報と、放送時間が示す放送時間情報を盛り上がり解析処理部122に出力する。制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された盛り上がり情報(判定結果)を情報入出力部114に出力する。盛り上がり情報は、視聴者の反応の一種である盛り上がりの有無を示す情報である。制御部112は、所定の表示用フォーマットを記憶部113から読み取り、読み取った表示用フォーマットに盛り上がり情報に当てはめて表示用データを生成してもよい。表示用フォーマットは、盛り上がり情報の表現形式、表示位置、大きさ、等を指示する情報を含むデータである。制御部112は、生成した表示用データを表示部111に出力する。これにより、制御部112は、盛り上がり情報が示す盛り上がりを表示部111に表示させることができる。 なお、制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された盛り上がり情報を通信処理部117及び通信I/F部118を介して、送信先として予め設定された端末装置31に送信してもよい。」 オ 「【0044】 盛り上がり解析処理部122には、制御部112から投稿情報と放送時間情報が入力される。盛り上がり解析処理部122は、投稿情報に基づいて、放送時間情報が示す放送時間から所定の範囲内に投稿された投稿数を一定の単位時間σ(例えば、15分)からなる時間帯毎に計数する。計数された投稿数を観測値と呼び、所定のアルゴリズムによって得られた投稿数と区別することがある。盛り上がり解析処理部122は、例えば、その時点における最新の時間帯までの予め定めた時間(参照区間、参照区間長は、例えば、3時間)内の観測値について移動平均し、平均化された投稿数(移動平均値)を時間帯毎に算出する。 移動平均を行う際に各時間帯の観測値に乗じられる係数は、参照区間内で一定であってもよいし、注目される時間帯に近い時間帯ほど大きい値であってもよい。また、盛り上がり解析処理部122は、各時間帯の移動平均値と観測値との差が小さくなるように係数を定めてもよい。 【0045】 盛り上がり解析処理部122は、算出した投稿数が所定の投稿数の閾値を超えているか否かを判定する。投稿数の閾値は、盛り上がり解析処理部122に予め設定された正の値である。盛り上がり解析処理部122は、算出した投稿数の傾斜率を各時間帯について算出する。傾斜率とは、直前の時間帯からその時点までの、単位時間σ当たりの投稿数の変化量である。盛り上がり解析処理部122は、算出した傾斜率が所定の傾斜率の閾値を超えているか否かを判定する。そして、算出した投稿数が所定の投稿数の閾値を超え、かつ、算出した傾斜率が所定の傾斜率の閾値を超えていると判定した場合、盛り上がり解析処理部122は、その時間帯に盛り上がりがあると判定し、それ以外の場合には盛り上がりがないと判定する。盛り上がり解析処理部122は、盛り上がりがあると判定した時間帯の一部又は全部が、放送時間情報が示す放送時間内に含まれる場合、盛り上がり解析処理部122は、その番組トピックについて盛り上がりがあると判定し、それ以外の場合には、盛り上がりがないと判定する。盛り上がり解析処理部122は、その番組トピックについて盛り上がりの有無を示す盛り上がり情報を生成し、生成した盛り上がり情報を制御部112に出力する。 ・・・途中省略・・・ 【0047】 また、番組情報は、トピック識別情報(トピックID)、放送時間情報、番組名情報、カテゴリ情報、コンテキスト情報、キーワード情報、及び、放送局情報(放送局ID)を含み、これらが対応付けられている。トピック識別情報は、個々の番組トピックを識別する情報である。放送時間情報は、その番組に含まれる番組トピック毎の放送開始時刻、放送終了時刻を示す情報である。番組名情報は、その番組の番組名を示す情報である。カテゴリ情報は、その番組が属する種類、分野(カテゴリ)を示す情報である。コンテキスト情報は、その番組に係る解説、概要、等を表現した文章を示す情報である。キーワード情報は、その番組の特徴、注目点、等を代表する語句を示す情報である。放送局情報は、その番組を放送した放送局を示す放送局情報である。 【0048】 例えば、図2の第2行では、トピック識別情報「34366」、放送時間情報として放送開始時刻「2014/02/2708:30:00」、放送終了時刻「2014/02/27 08:35:00」、番組名情報「あさひるウォッチ」、カテゴリ情報「報道、食品」、コンテキスト情報「紹介した江戸東京野菜の早稲田みょうがについてスタジオでトーク…」、キーワード情報「江戸東京野菜、早稲田みょうが」、及び放送局情報「1024」が対応付けられている。なお、放送時間情報として、情報入出力部114により、ユーザが番組放送時間帯に含まれる盛り上がりを確認したいと考える任意の時間が、操作入力等に応じて指定することが可能であってもよい。 【0049】 (投稿情報の例) 次に、投稿情報管理サーバ装置21に記憶される投稿情報の一例について説明する。 図3は、投稿情報の一例を示す図である。 投稿情報は、受信したユーザ識別情報、時刻情報、及びテキスト情報を含んで構成される。1個のユーザ識別情報、時刻情報、及びテキスト情報の組を個別投稿情報と呼んで、投稿情報全体と区別することがある。個別投稿情報は、一度に1台の端末装置から受信される単位であり、かつ、盛り上がり解析処理部122が投稿数を計数する単位である。図3の例では、個別投稿情報が各2行の欄毎に示されている。 【0050】 ユーザ識別情報は、個々のユーザを識別する情報である。ユーザ識別情報は、例えば、端末装置31の電子メールアドレスである。時刻情報は、その個別投稿情報を端末装置31が送信した時刻を示す情報である。時刻情報は、投稿情報管理サーバ装置21が受信した時刻を示す情報であってもよい。テキスト情報は、投稿者が生成した文章を示す情報である。時刻情報が示す時刻を、以下の説明では「投稿時刻」と呼ぶことがある。 ・・・途中省略・・・ 【0052】 他方、第2、3欄に示す個別投稿情報に含まれるテキスト情報のように、個別投稿情報にはハッシュタグが含まれないことがある。ハッシュタグを付加するか否かは、投稿者の任意である。そのため、特許文献1に記載の情報処理装置では、話題にされた番組を特定することができない。 これに対し、本実施形態では、上述した構成によって指定された番組に係る個別投稿情報を検索するので、ハッシュタグが付加されていない個別投稿情報も漏れなく検索される。そのため、検索された個別投稿情報の件数(投稿数)に基づいて盛り上がりが高い精度で検出される。」 カ 「【0060】 上述したように、端末装置31は、配信されたコンテンツを指示するコンテンツ指示データ(例えば、番組検索データ)を生成し、情報処理装置11に送信する指示処理部(例えば、操作処理部312)を備える。また、端末装置31は、コンテンツに対する反応を示す反応情報(例えば、盛り上がり情報)を情報処理装置11から受信し、表示部111に出力する出力部(例えば、表示制御部317)を備える。この構成により、指示されたコンテンツに対する反応が表示部111に表示されるため、指示したコンテンツの視聴者に対する影響や要因の分析を利用者に促すことができる。」 キ 「【0064】 (ステップS105)番組情報管理サーバ装置22は、番組情報収集処理部116から受信した番組検索データが示す番組検索条件を満たす番組情報として[番組情報II]を自装置の記憶部から検索する。[番組情報II]は、例えば、図2に示す番組情報である。番組情報管理サーバ装置22は、検索した[番組情報II]を番組情報収集処理部116に送信する。その後、ステップS106に進む。 【0065】 (ステップS106)番組情報収集処理部116は、番組情報管理サーバ装置22から通信I/F部118及び通信処理部117を介して[番組情報II]を受信する。番組情報収集処理部116は、[番組情報II]に含まれる番組トピック情報の1つとして、例えば、[番組トピック情報III]を抽出する。[番組トピック情報III]は、(A)放送開始時刻「2014/2/278:30」、(B)放送終了時刻「2014/2/27 8:35」、(C)コンテキスト情報「紹介した江戸東京野菜の早稲田みょうがについてスタジオでトーク…」、(D)キーワード情報「江戸東京野菜、早稲田みょうが」、などを含む情報である。 番組情報収集処理部116は、抽出した[番組トピック情報III]を制御部112に出力する。その後、ステップS107に進む。 (ステップS107)制御部112は、番組情報収集処理部116から入力された[番組トピック情報III]を記憶部113に記憶(保存)する。その後、ステップS108に進む。」 ク 「【0070】 (ステップS116)投稿情報収集処理部115は、投稿検索条件として、(D)キーワード情報が示すキーワード及び(E)品詞分類データが示す単語に基づいて(G)取得開始時刻と(H)取得終了時刻との間の取得時間内に投稿された投稿情報の要求を示す投稿情報要求信号を生成する。なお、投稿情報収集処理部115は、投稿情報要求信号をAPI(Application Program Interface)コマンドとして構成してもよい。投稿情報収集処理部115は、生成した投稿情報要求信号を通信処理部117及び通信I/F部118を介して投稿情報管理サーバ装置21に送信する。その後、ステップS117に進む。」 ケ 「【0077】 (ステップS123)盛り上がり解析処理部122は、算出した(I)投稿数が所定の投稿数の閾値よりも大きいか否かを判定する。その後、ステップS124に進む。 (ステップS124)盛り上がり解析処理部122は、算出した(I)投稿数と直前の投稿数に基づいて傾斜率を算出し、算出した傾斜率が所定の傾斜率の閾値よりも大きいか否かを判定する。その後、ステップS125に進む。 (ステップS125)盛り上がり解析処理部122は、(I)投稿数が所定の投稿数の閾値よりも大きいと判定し、かつ、傾斜率が所定の傾斜率の閾値よりも大きい時間帯が(A)放送開始時刻と(B)放送終了時刻との間に含まれている場合、その番組トピックについて盛り上がりがあると判定する。それ以外の場合、盛り上がり解析処理部122は、その番組トピックについて盛り上がりがないと判定する。盛り上がり解析処理部122は、判定結果として、その番組トピックについて盛り上がりの有無を示す(K)盛り上がり情報を生成し、生成した(K)盛り上がり情報を制御部112に出力する。その後、ステップS125に進む。 【0078】 (ステップS126)制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された(K)盛り上がり情報をステップS107で記憶した[番組トピック情報III]に対応付けて記憶部113に記憶する。その後、ステップS127に進む。 (ステップS127)制御部112は、制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された(K)盛り上がり情報を情報入出力部114に出力する。その後、図7に示す処理を終了する。」 コ 「【0084】 以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置11は、配信された所定のコンテンツに関するコンテンツ情報に含まれる語句に基づいてネットワークを介して投稿された投稿情報を収集する投稿情報収集処理部(例えば、投稿情報収集処理部115)を備える。また、情報処理装置11は、投稿情報収集処理部が収集した投稿情報のうちコンテンツの配信開始に応じた時点から所定時間内(例えば、上述の(G)取得開始時刻から(H)取得終了時刻の間)に投稿された投稿情報の投稿数の時間変化に基づいて当該コンテンツに対する反応を解析する反応解析処理部(例えば、盛り上がり解析処理部122)を備える。 この構成により、所定のコンテンツに対する反応を解析するために、所定の形式を有する識別情報が含まれていない投稿情報も用いることができる。そのコンテンツに対する反応を解析するための投稿情報の母集団の不足が解消又は解消されるので、そのコンテンツに対する反応を高い精度で判定することができる。 配信開始に応じた時点とは、配信開始時刻、上述の(G)取得開始時刻のように配信開始時刻から所定時間だけ早い時刻でもよいし、所定時間だけ遅い時刻でもよい。」 サ 「【0107】 なお、記憶部113には予め第2の表示フォーマットを記憶しておき、制御部112は、盛り上がり情報、視聴件数情報、番組情報及び第2の表示フォーマットに基づいて第2の表示用データを生成してもよい。第2の表示フォーマットは、例えば、視聴件数情報に基づく順序(例えば、視聴件数の降順)で、番組識別情報、放送時間情報、番組名情報、放送局情報、視聴件数情報、及び盛り上がり情報の組の配置、大きさ、形式を指示するデータである。制御部112は、生成した第2の表示用データを表示部111又は情報入出力部114に出力する。出力先である表示部111には、第2の表示用データに基づいて番組識別情報、放送時間情報、番組名情報、放送局情報、視聴件数情報、盛り上がり情報の組が一括して表示される(ランキング表示)。 また、制御部112は、盛り上がり情報、視聴件数情報、及び番組情報を対応付けて通信I/F部118を介して端末装置31aに送信してもよい。端末装置31aの記憶部313には、予め第2の表示フォーマットを記憶しておき、表示制御部317aは、制御部112と同様に、情報処理装置11bから受信した盛り上がり情報、視聴件数情報、番組情報、及び記憶部313から読み取った第2の表示フォーマットに基づいて第2の表示用データを生成する。表示制御部317aは、生成した第2の表示用データを表示部318に出力することにより、ランキング表示を表示させることができる。 【0108】 図14は、ランキング表示の一例を示す図である。 図14の例では、番組識別情報(番組ID)、放送時間情報(放送開始時刻、放送終了時刻)、番組名情報、放送局情報(放送局ID)、視聴件数情報、及び盛り上がり情報が対応付けられ、視聴件数の降順に配置されている。盛り上がり情報の記号「○」、「−」は、それぞれ対応する番組において盛り上がりがあると判定された番組トピックが含まれること、含まれないことを示す。例えば、図14の第2行には、番組識別情報「96387840」、放送開始時刻「2014/02/2708:15:00」、放送終了時刻「2014/02/27 09:45:00」、番組名情報「あさひるウォッチ」、放送局情報「1024」、視聴件数情報「18732」、及び盛り上がり情報「○」が対応付けられている。」 シ 「【図1】 」 ス 「【図2】 」 上記ア〜スの記載事項から、甲第1号証には、以下の発明が記載されている。(以下「特許異議B甲1発明」という。) 「情報処理装置11、投稿情報管理サーバ装置21、番組情報管理サーバ装置22、及び端末装置31を含んで構成される情報処理システム1により実行され、配信されたコンテンツに対する反応を高い精度で判定することができる情報処理方法であって(【0006】、【0022】)、 配信されるコンテンツは、放送局により放送されるテレビジョン放送番組であり(【0022】)、 情報処理装置11は、指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報を番組情報管理サーバ装置22から取得し、取得した番組情報に基づいて、その番組情報に係る投稿情報を検索するための投稿検索条件を定め(【0023】)、投稿検索条件を満たす投稿情報を投稿情報管理サーバ装置21から取得し、取得した投稿情報に基づいて、その番組情報に関する投稿者の反応を解析し、解析した反応を示す反応情報(盛り上がりを示す盛り上がり情報)を生成し(【0024】)、情報処理装置11が備える制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された盛り上がり情報を通信処理部117及び通信I/F部118を介して、送信先として予め設定された端末装置31に送信するものであって(【0035】)、 前記番組情報管理サーバ装置22は、情報処理装置11から番組検索データを受信し(検索受付)、番組検索データで指示される番組検索条件を満たす番組情報[番組情報II]を記憶部から検索し、検索した[番組情報II]を情報処理装置11の番組情報収集処理部116に送信するものであり(【0027】、【0064】)、前記番組検索条件は、番組情報を特定するための条件、例えば、その番組の放送時間、番組に関するキーワード情報、放送局情報、その番組の番組名、又はこれらの組み合わせであり(【0023】)、前記番組検索データは、解析対象の番組を検索(指示)するためのデータであり、情報処理装置11が備える制御部112は、端末装置31から通信I/F部118を介して番組検索データを受信してもよく(【0032】)、 前記番組情報収集処理部116は、[番組情報II]に含まれる番組トピック情報の1つとして、(A)放送開始時刻、(B)放送終了時刻、(C)コンテキスト情報、(D)キーワード情報、などを含む情報である[番組トピック情報III]を抽出して制御部112に出力し、制御部112は、番組情報収集処理部116から出力された[番組トピック情報III]を記憶部113に記憶し(【0065】)、 前記投稿情報管理サーバ装置21は、端末装置31から投稿情報を受信し(投稿受付)、受信した投稿情報を記憶する記憶部を備えるサーバ装置(いわゆる投稿サイト)であって、情報処理装置11から受信した投稿情報検索信号で指示される投稿検索条件を満たす投稿情報を記憶部から検索し、検索した投稿情報を情報処理装置11に送信するものであり(【0025】)、前記投稿検索条件としては、(D)キーワード情報が示すキーワード及び(E)品詞分類データが示す単語に基づいて(G)取得開始時刻と(H)取得終了時刻との間の取得時間内に投稿された投稿情報であり(【0070】)、 情報処理装置11が備える盛り上がり解析処理部122は、投稿情報に基づいて、放送時間情報が示す放送時間から所定の範囲内に投稿された投稿数を一定の単位時間σ(例えば、15分)からなる時間帯毎に計数し、例えば、その時点における最新の時間帯までの予め定めた時間(参照区間、参照区間長は、例えば、3時間)内の観測値について移動平均し、平均化された投稿数(移動平均値)を時間帯毎に算出し(【0044】)、算出した投稿数が所定の投稿数の閾値を超えているか否かを判定し、算出した投稿数と直前の投稿数に基づいて傾斜率を各時間帯について算出し、算出した傾斜率が所定の傾斜率の閾値を超えているか否かを判定し、そして、算出した投稿数が所定の投稿数の閾値を超え、かつ、算出した傾斜率が所定の傾斜率の閾値を超えていると判定した場合、その時間帯に盛り上がりがあると判定し、それ以外の場合には盛り上がりがないと判定し、その番組トピックについて盛り上がりの有無を示す盛り上がり情報を生成し、生成した盛り上がり情報を情報処理装置11が備える制御部112に出力し(【0045】、【0077】)、 前記制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された盛り上がり情報を[番組トピック情報III]に対応付けて記憶部113に記憶する(【0078】)、 情報処理方法。」 (2)甲第2号証(米国特許出願公開第2008/0255904号明細書)(なお、当審訳は特許異議申立人 鈴木里美が提出した抄訳を基に一部合議体で追加、修正した。) ア 「[0002] The following description relates to monitoring the effectiveness of advertisements presented via “off-line” media such as broadcast radio or television.」 (当審訳)「以下の説明は、ラジオまたはテレビのようなオフラインメディアを通じて提供される広告の有効性をモニタリングすることに関するものである。」 イ 「[0022] FIG. 1 is a schematic of an example depicting a system 100 for determining the effectiveness of an advertisement aired on a radio station. The station can be any broadcast station including a radio station and a television station. In some implementations, the system 100 can include a correlation engine 105 that can be operatively coupled to interact with one or more radio stations 110, one or more advertisers 115, and a network 120. The network can be the internet. In some implementations, the correlation engine 105 can be configured to receive information related to a radio station 110. The information can include the content to be played by the radio station 110, the programming schedule, where the schedule can include past, present, and future schedules, special programming, and the like. Additional information can include the theme of content played at the radio station, availability of the radio station to listeners via satellite or on the internet, or both, and the like.」 (当審訳)「[0022]図1は、ラジオ局で放送された広告の有効性を判定するためのシステム100を表した例の概略図である。この局は、ラジオ局及びテレビ局を含む任意の放送局であり得る。いくつかの実装形態では、システム100は相関エンジン105を含み得、相関エンジン105は、1つ以上のラジオ局110、1つ以上の広告主端末115、およびネットワーク120と相互に作用するために動作可能に結合され得る。このネットワークはインターネットであり得る。いくつかの実装形態では、相関エンジン105を、ラジオ局110に関連する情報を受信するように構成することができる。この情報は、ラジオ局110によって再生されるコンテンツ、過去、現在、および将来のスケジュールを含み得るプログラミングスケジュール、特別なプログラミングなどを含み得る。追加情報として、ラジオ局で再生されたコンテンツのテーマや、衛星経由、インターネット経由、またはその両方による、リスナーのラジオ局の利用可能性などを含み得る。」 ウ 「[0026] In some implementations, an advertiser 115 can present advertisements to be aired to a radio station 110. In addition, the advertiser 115 can present metadata related to the advertisement to the radio station 110. The metadata can include information related to the type of advertisement, the target audience, preferred air times, and the like. The radio station 110 can air the advertisement based on the preferences specified by the advertiser 115. The metadata related to an advertisement can be input to the correlation engine 105. In some implementations, the correlation engine 105 can receive the metadata from the advertiser 115. In other implementations, the correlation engine 105 can receive the metadata from the radio station 110. In some implementations, metadata related to specific advertisements can be pushed to the correlation engine 105. In other implementations, the correlation engine 105 can pull metadata related to one or more advertisements from the radio station 110, the advertiser 115, or both. [0027] When an advertisement is aired by a radio station, the correlation engine 105 can monitor the network 120 for activity related to the content of the advertisement. For example, when an advertisement related to an auto dealership in a geographic region, e.g., Los Angeles, is aired at a certain time, the correlation engine 105 can monitor the internet for search lifts related to the advertisement, which is an increase in searches on websites, e.g., www.google.com, for the auto dealership or an increase in network traffic to a web page of a web site related to the advertised product, or both, attributable to the airing of the advertisement, particularly by users accessing the internet in or around Los Angeles. The correlation engine 105 can develop a quantitative relationship between the search lifts for the products and services advertised in the advertisement measured near the time when the advertisement was aired and a number of listeners who listened to the advertisement on the radio and accessed the internet for information related to the advertised product. Particular attention can be devoted to the number of listeners who accessed the internet within a geographical region that the advertiser wishes to target. The quantitative relationship can be presented to an advertiser 115 as a measure of a number of impressions generated by airing the advertisement at the radio station 110 at the pre-determined time. In this manner, a number of impressions generated on a network by advertising on an off-line medium, e.g., a radio station, can be obtained and an advertiser 115 can be provided with a measure of the return on the investment made to advertising. [0028] FIG. 2 depicts a schematic of an example for quantitatively determining the effectiveness of an advertisement aired on a radio station 110 at a given time. In some implementations, advertisers 115 can provide advertisement information 205 to the radio station 110. The advertisement information 205 can include advertisement content, metadata 215 related to the advertisement, and the like. The metadata 215 can include the type of content, preferred air times, and the like. Alternatively or in addition, the advertisement information 205 can also be provided to the correlation engine 105. In some implementations, both the advertisement content and the metadata 215 related to the advertisements can be provided to the correlation engine 105. In other implementations, the advertisement content can be provided to the radio station 110 while the metadata 215 can be provided to the correlation engine 105. Based on the received metadata 215, the correlation engine 105 can provide preferred air times for a given advertisement to the radio station 110. In other implementations, the content of an advertisement can be retained by the advertiser 115. The advertiser 115 can provide only the metadata 215 related to the advertisement to the radio station 110, the correlation engine 105, or both. Before a preferred air time for an advertisement, the radio station 110 can pull the corresponding advertisement from the advertiser 115. In other implementations, before the preferred air time for the advertisement, the correlation engine 105 can pull the advertisement from the advertiser 115 and provide the advertisement to the radio station 110. In other implementations, the correlation engine 105 can instruct the advertiser 115 to provide the advertisement to the radio station 110 before the preferred air time, based on the metadata 215 related to the advertisement stored in the correlation engine 105.」 (当審訳)「[0026] いくつかの実装形態では、広告主端末115は、放送される広告をラジオ局110に提示することができる。加えて、広告主端末115は、広告に関連するメタデータをラジオ局110に提示することができる。メタデータは、広告の種類、ターゲットオーディエンス、好ましい放送時間などに関連する情報を含み得る。ラジオ局110は、広告主端末115によって指定された嗜好に基づいて広告を放送することができる。広告に関連するメタデータを、相関エンジン105に入力することができる。いくつかの実装形態では、相関エンジン105は、広告主端末115からメタデータを受信することができる。他の実装形態では、相関エンジン105は、ラジオ局110からメタデータを受信することができる。いくつかの実装形態では、特定の広告に関連するメタデータを相関エンジン105に送りつけることができる。他の実装形態では、相関エンジン105は、ラジオ局110、広告主端末115、またはその両方から、1つ以上の広告に関連するメタデータを引き出すことができる。 [0027] 広告がラジオ局によって放送されると、相関エンジン105は、広告の内容に関連する活動についてネットワーク120を監視することができる。例えば、ある地理的地域、例えばロサンゼルスの、ある自動車販売店に関連する広告が特定の時間に放送されると、相関エンジン105は、この広告に関連するサーチリフトについてインターネットを監視することができる。ここでのサーチリフトとは、例えばGoogleなどウェブサイト上におけるその自動車販売店の検索数の増加、または、広告された製品に関連するウェブサイトのウェブページヘのネットワークトラフィックの増加、またはその両方であり、特にロサンゼルスまたはその周辺でインターネットにアクセスするユーザによるもので、その広告の放送に起因するものである。相関エンジン105は、広告が放送された時間付近に測定された、その広告において広告された製品およびサービスのサーチリフトと、ラジオで広告を聴取して、広告された製品に関連する情報を求めてインターネットにアクセスしたリスナーの数と、の間の定量的関係を生成することができる。広告主がターゲットにしたい地理的地域内でインターネットにアクセスしたリスナーの数に特に注意を向けることができる。定量的関係を、予め決定された時間にラジオ局110でその広告を放送することによって生成されたインプレッションの数の尺度として、広告主端末115に提示することができる。このようにして、オフライン媒体、例えば、ラジオ上で、広告することによってネットワーク上で生成されたインプレッションの数を得ることができ、広告主端末115に、広告に対してなされた投資に対するリターンの尺度を提供することができる。 [0028] 図2は、所与の時間にラジオ局110で放送された広告の有効性を定量的に判定するための例の概略図を示す。いくつかの実装形態では、広告主端末115は、広告情報205をラジオ局110に提供することができる。広告情報205は、広告コンテンツ、広告に関連するメタデータ215などを含み得る。メタデータ215は、コンテンツの種類、好ましい放送時間などを含み得る。代替的に又は付加的に、広告情報205を相関エンジン105に提供することもできる。いくつかの実装形態では、広告コンテンツおよび広告に関連するメタデータ215の両方を、相関エンジン105に提供することができる。他の実装形態では、広告コンテンツをラジオ局110に提供することができる一方、メタデータ215を相関エンジン105に提供することができる。受信したメタデータ215に基づいて、相関エンジン105は、所与の広告の好ましい放送時間をラジオ局110に提供することができる。他の実装形態では、広告のコンテンツを広告主端末115によって保持することができる。広告主端末115は、広告に関連するメタデータ215のみをラジオ局110、相関エンジン105、またはその両方に提供することができる。広告の好ましい放送時間の前に、ラジオ局110は、広告主端末115から対応する広告を引き出すことができる。他の実装形態では、広告の好ましい放送時間の前に、相関エンジン105は、広告主端末115から広告を引き出し、その広告をラジオ局110に提供することができる。他の実装形態では、相関エンジン105は、相関エンジン105に格納された広告に関連するメタデータ215に基づいて、好ましい放送時間の前にラジオ局110に広告を提供するように広告主端末115に指示することができる。」 エ 「[0030] In some implementations, the correlation engine 105 can receive and store the metadata 215 related to the advertisements, advertisement (ad) air times 220, and the broadcast radius 225 of the radio station 110. The advertisers 115 can provide the metadata 215 and the ad air times 220 to the correlation engine 105. The radio station 110 can provide the broadcast radius 225 to the correlation engine 105 as part of the radio station information 210. In other implementations, the metadata 215, the ad air times 220, and the broadcast radius 225 can be collected by either the advertisers 115 or the radio station 110 and provided to the correlation engine 105. [0031] The correlation engine 105 can include search information 230, searcher information 235, and historical data 240.The search information 230 can include the content of search queries entered at a network location on the network 120. The network location can be a web page of a web site, e.g., www.google.com. A user at the network location can interact with the Google search engine via the web page to search for content. For example, the user can enter a search query in a text box on the web page. The Google search engine can send the entered search query to the correlation engine 105. Alternatively, the correlation engine 105 can be operatively coupled to the Google search engine to receive a search query whenever a search query is entered in the text box at the network location. In addition, the search information 230 can include a specific time when the search was conducted. For example, the time when a search query was entered into a text box at the network location can be included in the search information 230.」 (当審訳)「[0030]いくつかの実装形態では、相関エンジン105は、広告、広告放送時間220、およびラジオ局110の放送区域225に関連するメタデータ215を受信して格納することができる。広告主端末115は、メタデータ215および広告放送時間220を相関エンジン105に提供することができる。ラジオ局110は、ラジオ局情報210の一部として相関エンジン105に放送区域225を提供することができる。他の実装形態では、メタデータ215、広告放送時間220、および放送区域225を、広告主端末115またはラジオ局110のいずれかによって収集し、相関エンジン105に提供することができる。 [0031]相関エンジン105は、検索情報230、検索者情報235、および履歴データ240を含むことができる。検索情報230は、ネットワーク120上のネットワークロケーションで入力された検索クエリの内容を含むことができる。ネットワークロケーションは、例えば、www.google.com、ウェブサイトのウェブページとすることができる。ネットワークロケーションにいるユーザは、コンテンツを検索するために、ウェブページを介してGoogle検索エンジンと対話することができる。例えば、ユーザは、ウェブページのテキストボックスに検索クエリを入力することができる。Google検索エンジンは、入力された検索クエリを相関エンジン105に送信することができる。あるいは、相関エンジン105は、ネットワークロケーションでテキストボックスに検索クエリが入力されるたびに検索クエリを受信するように、Google検索エンジンに動作可能に結合されることができる。さらに、検索情報203は、検索が行われた特定の時刻を含むことができる。例えば、検索クエリがネットワークロケーションでテキストボックスに入力された時刻を検索情報230に含めることができる。」 オ 「[0035] The historical data 240 can also include past information including topics of searches, frequencies of searches for topics, deviations from the search frequencies, causes for deviation, and the like. For example, the frequency of searches related to the National Football League (NFL) may be higher during the regular season and the play-offs than during the off-season. Information collected over previous years may indicate a trend where more search queries related to the NFL are entered during the regular season than during the off-season. The historical data 240 can include the frequency of searches related to the NFL during the off-season, the frequency of searches related to the NFL during the regular season and the play-offs, and an average annual frequency of searches related to the NFL. Similarly, the historical data 240 can include frequency of searches related to any topic searched on the network by entering a search query at the network location provided by the search engine. In addition, the frequency of searches can be gathered and maintained with temporal granularity, e.g., every second, every minute, hourly, daily, weekly, monthly, and the like. The historical data 240 can include each monitored frequency. [0036] The frequency of searches for a topic during a given period may be expected to match the average frequency from previous years within a standard deviation. Events may occur causing a surge in the number of searches related to a topic resulting in the related frequency being significantly greater than the average frequency from previously collected data. For example, an announcement regarding a major trade between teams during the off-season may increase the number of searches related to the NFL, causing the frequency of searches related to the NFL to be greater than the average frequency for that period based on historical data. The increase in frequency over the average frequency can represent a search lift. A search lift can represent an increase in a frequency of search related to a topic at a given time over the average frequency for that topic at that time, where the average frequency can be determined from data collected over previous years. In addition, a search lift can also include an increase in network traffic to a network location that is known to contain information related to the topic causing the surge in network traffic. For example, while a search lift can include an increase in a frequency of searches at network search engines due to the major trade between teams during the off-season, the search lift can also include an increase in traffic to websites containing NFL news, e.g., www.nfl.com, www.espn.com, and the like. Permission to track traffic to the websites may be previously obtained from the websites. Similar search lifts can also result when access to an advertiser's 115 web site increases subsequent to the advertiser's 115 advertisement airing on a radio station 110. [0037] In some implementations, the historical data 240 can be collected by external engines including or operatively coupled to search engines. The correlation engine 105 can be operatively coupled to such external engines to receive the historical data 240. Alternatively, or in addition, the historical data 240 can be collected and monitored by the correlation engine. In some implementations, the correlation engine 105 can receive, collect, and monitor historical data 240 related only to search queries and network locations related to advertisers 115 and radio stations 110 operatively coupled to the correlation engine 105. In other implementations, the correlation engine 105 can collect and monitor historical data 240 of the entire network and use the historical data 240 to detect search lifts related to advertisers 115 and radio stations 110 operatively coupled to the correlation engine 105.」 (当審訳)「[0035]履歴データ240は、検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報も含み得る。例えば、ナショナルフットボールリーグ(NFL)に関連する検索の頻度は、レギュラーシーズン及びプレーオフの間は、オフシーズンの間よりも高い可能性がある。過去数年にわたって収集された情報は、NFLに関連する検索クエリがオフシーズン中よりもレギュラーシーズン中に多く入力される傾向を示している可能性がある。履歴データ240は、オフシーズン中のNFLに関連する検索の頻度、レギュラーシーズン及びプレーオフ中のNFLに関連する検索の頻度、並びにNFLに関連する検索の平均年間頻度を含むことができる。同様に、履歴データ240は、検索エンジンによって提供されるネットワークロケーションで検索クエリを入力することによってネットワーク上で検索された任意のトピックに関連する検索の頻度を含むことができる。さらに、検索の頻度は、時間的粒度、例えば、毎秒、毎分、毎時、毎日、毎週、毎月などで収集および維持することができる。履歴データ240は、監視された各頻度を含むことができる。 [0036]所与の期間におけるトピックの検索頻度は、標準偏差内で過去数年からの平均頻度と一致すると期待され得る。あるトピックに関連する検索の数を急増させる事象が発生し、関連する頻度が以前に収集されたデータの平均頻度よりも大幅に大きくなることがある。たとえば、オフシーズン中のチーム間の主要なトレードに関する発表により、NFLに関連する検索の数が増加し、NFLに関連する検索の頻度が履歴データに基づくその期間の平均頻度よりも大きくなる可能性がある。平均検索頻度に対する検索頻度の増加は、サーチリフトを表すことができる。サーチリフトは、ある時点でのあるトピックに関連する検索頻度の、その時点でのそのトピックの平均頻度に対する増加を表すことができ、平均頻度は、過去数年間に収集されたデータから算出することができる。さらに、サーチリフトには、ネットワークトラフィックの急増を引き起こすトピックに関連する情報を含んでいることがわかっているネットワークロケーションヘのネットワークトラフィックの増加も含み得る。例えば、サーチリフトは、オフシーズン中のチーム間の主要なトレードによる、ネットワーク検索エンジンでの検索頻度の増加を含み得るが、サーチリフトはまた、NFLニュースを含むウェブサイト、例えば、www.nfl.com、www.espn.comなどへのトラフィックの増加も含み得る。ウェブサイトヘのトラフィックを追跡する許可は、事前にウェブサイトから取得され得る。同様のサーチリフトは、広告主115のウェブサイトヘのアクセスが、広告主115の広告がラジオ局110で放送された後で増加した場合にも生じ得る。 [0037]いくつかの実装では、履歴データ240は、検索エンジンを含む、または検索エンジンに動作可能に結合された外部エンジンによって収集され得る。相関エンジン105は、履歴データ240を受信するために、そのような外部エンジンに動作可能に結合され得る。代替的に、または追加的に、履歴データ240は、相関エンジンによって収集および監視されることができる。いくつかの実装では、相関エンジン105は、相関エンジン105に動作可能に結合された広告主端末115およびラジオ局110に関連する検索クエリおよびネットワーク位置のみに関連する履歴データ240を受信、収集、および監視することができる。他の実装では、相関エンジン105は、ネットワーク全体の履歴データ204を収集および監視し、履歴データ240を使用して、相関エンジン105に動作的に結合された広告主端末115およびラジオ局110に関連する検索リフトを検出することができる。」 カ 「[0038] The correlation engine 105 can include a correlation determining system (CDS) 245. The CDS 245 can receive input gathered from the radio station 110, the advertisers 115, and the network 120. In some implementations, the input to the CDS 245 can include the metadata 215 related to advertisements, ad air times 220 received from either the radio station 110 or the advertisers 115 or both, the broadcast radius 225 of the radio station 110, search information 230 and searcher information 235 based on information collected from the network 120, e.g., the internet, and the like. In addition, the CDS 245 can be operatively coupled to the historical data 240. The CDS 245 can receive a time for airing an advertisement from ad air times 220. Subsequent to the advertisement being aired on the radio station 110, the correlation engine 105 can monitor the network 120 for searches related to the advertisement and traffic to network locations related to the advertisement, particularly from network locations within the broadcast radius 225 of the radio station 110 presenting the advertisement. The correlation engine 105 can collect search information 230 and searcher information 235 and provide the collected information to the CDS 245. The CDS 245 can compare the search information 230 and enhanced network traffic to network locations with the historical data 240 for the same products and services. The CDS 245 can identify any search lift related to the advertised products and services, particularly during and substantially close to a time after the advertisement was aired. The CDS 245 can develop a quantitative relationship between the search lift and a number of impressions generated on the network. The number of impressions generated can include a number of hits on a web page of a web site containing information about the advertisement, a number of searches on the internet, where the search query is related to the advertisement, or both. Further, the number of impressions generated can be attributable to the airing of the advertisement. In this manner, the quantitative relationship can be represented as a number of impressions generated on one or more network locations as a result of airing the advertisement on the radio station. [0039] The CDS 245 can transfer the quantitative relationship to the correlation data 250. In some implementations, the CDS 245 can determine quantitative relationships at pre-determined time intervals starting from the instant the advertisement is aired on the radio station 110 and ending at a duration after the time the advertisement was aired. In some implementations, the duration between the air time of the advertisement and when quantitative relationship information is no longer computed, can be pre-determined by the correlation engine 105. In other implementations, the duration can be specified by the advertiser 115. In other implementations, the duration can be specified by the radio station 110. In other implementations, the duration can extend until such time that the search lift decreases and network traffic related to the advertised product matches previous values of traffic gathered and stored in the historical data 240. The correlation data 250 can be averaged over the entire duration or determined for equal intervals of time, where the sum of the intervals equals the duration, or both. The correlation data 250 can subsequently be provided to the advertiser 115. The availability of a quantitative relationship in the form of a number of generated impressions can enable an advertiser 115 to determine a number of listeners that the advertisement reached. In addition, the correlation data 250 can be presented to the radio station 110. The quantitative relationship can enable a radio station 110 to determine the value of airing an advertisement at a given time, and further enable the radio station 110 to specify a price to the advertiser 115 for airing the advertisement at that time. ・・・途中省略・・・ [0041] A search lift related to the advertiser, in this example, the auto dealership, can be detected by monitoring search queries as well as web site traffic. In some implementations, the search lift can be a mathematical function that accounts for the number of impressions based on historical data 305, ad related searches 310, and traffic to network ad locations 315. The search lift due to searches 320 can be the difference between the ad related searches 310 and number of impressions based on historical data 305 related to search queries. Similarly, the search lift due to network location traffic 325 can be the difference between the traffic to ad network location 315 and the number of impressions based on historical data 305. In some implementations, the search lifts 320 and 325 can be associated weights depending on factors including the broadcast radius 225, the search information 230, the searcher information 235, the time when the search lift is calculated, and the like. ・・・途中省略・・・ [0043] Additionally, weights can also be associated based on when the search lift is calculated. For example, search lifts calculated immediately after the airing of an advertisement can be associated a higher weight than search lifts calculated at a significantly longer duration after the airing of the advertisement. In another example, if an advertisement is aired during peak traffic hours, such as during the morning or evening work commute, listeners may access the internet to search for information related to the advertisement upon reaching their offices or homes. In such instances, search lifts calculated at a significantly longer duration after the airing of the advertisement can be associated a high weight. Search lifts associated with weights can subsequently be converted into a number of impressions by conversion to impressions 335. Conversion to impressions 335 can convert search lifts to impressions using statistical functions, e.g., averaging. The converted impressions can be output to correlation data 250. [0044] FIG. 4 is a flow chart depicting an example of a method for enabling an advertiser to determine a return on investment of advertising on a radio station. The station can be any broadcast station including a radio station and a television station. The station can be any broadcast station including a radio station and a television station. In some implementations, advertisement information and radio station information are received at 405. The advertisement information can include one or more of advertisement content, metadata related to the advertisement, advertiser information, and the like. The radio station information can include one or more of broadcast radius, the schedule of content to be aired, availability of content aired at other locations including satellite, on the internet, and the like. The advertisement information related to one or more advertisements can be received from one or more advertisers. The radio station information can be received from one or more radio stations. In some implementations, the advertisement information and the radio station information may be shared between the advertisers and the radio stations.」 (当審訳)「[0038]相関エンジン105は、相関判定システム(CDS)245を含むことができる。CDS245は、ラジオ局110、広告主端末115、およびネットワーク120から収集された入力を受信することができる。いくつかの実装形態では、CDS245への入力は、広告に関連するメタデータ215、ラジオ局110または広告主端末115のいずれか、またはその両方から受信した広告放送時間220、ラジオ局110の放送区域225、例えばインターネット等のネットワーク120から収集された情報に基づく検索情報230および検索者情報235を含むことができる。加えて、CDS245は、履歴データ240に動作可能に結合され得る。CDS245は、広告放送時間220から広告を放送するための時間を受信することができる。ラジオ局110で広告が放送されるのに続いて、相関エンジン105は、広告に関連する検索について、また、特に広告を提示するラジオ局110の放送区域225内のネットワークロケーションからの、広告に関連するネットワークロケーションヘのトラフィックについて、ネットワーク120を監視することができる。相関エンジン105は、検索情報230および検索者情報235を収集し、収集した情報をCDS245に提供することできる。CDS245は、検索情報230およびネットワークロケーションヘの拡張ネットワークトラフィックを、同じ製品およびサービスについての履歴データ240と比較することができる。CDS245は、特に広告が放送された時間の間および実質的に近い時間に、広告された製品およびサービスに関連する任意のサーチリフトを識別することができる。CDS245は、サーチリフトと、ネットワーク上で生成されたインプレッションの数との間の定量的関係を生成することができる。 生成されたインプレッションの数は、広告に関する情報を含むウェブサイトのウェブページ上のヒット数、広告に関連する検索クエリのインターネット上の検索の数、またはその両方を含むことができる。また、生成されたインプレッションの数は、広告の放送に起因する可能性がある。このようにして、定量的関係を、ラジオ局で広告を放送した結果として1つ以上のネットワークロケーション上で生成されたインプレッションの数として表すことができる。 [0039]CDS245は、定量的関係を相関データ250に転送することができる。いくつかの実装では、CDS245は、ラジオ局110で広告が放送された瞬間から始まり、広告が放送された時間後の持続時間で終了する予め定められた時間間隔で定量的関係を決定することができる。いくつかの実装では、広告の放送時間と定量的関係情報がもはや計算されないときとの間の持続時間は、相関エンジン105によって予め決定され得る。他の実装では、持続時間は、広告主115によって指定することができる。他の実装では、持続時間は、ラジオ局110によって指定され得る。他の実装では、持続期間は、検索リフトが減少し、広告された製品に関連するネットワークトラフィックが、履歴データ240に収集され記憶されたトラフィックの以前の値に一致するような時間まで延長することができる。相関データ250は、持続時間全体にわたって平均化することができ、または間隔の合計が持続時間に等しい時間間隔について決定することができ、またはその両方が可能である。相関データ250は、その後、広告主端末115に提供することができる。生成されたインプレッションの数の形態での定量的関係の利用可能性は、広告主端末15が、広告が到達したリスナーの数を決定することを可能にし得る。さらに、相関データ250は、ラジオ局110に提示することができる。定量的関係は、ラジオ局110が所定の時間に広告を放送する価値を決定することを可能にし、さらにラジオ局110がその時間に広告を放送するための広告主端末115への価格を指定することを可能にすることができる。 ・・・途中省略・・・ [0041]広告主、この例では自動車販売店に関連するサーチリフトは、検索クエリだけでなく、ウェブサイトのトラフィックを監視することによって検出することができる。いくつかの実装では、サーチリフトは、履歴データ305に基づくインプレッション数、広告に関連する検索310、およびネットワーク広告ロケーション315へのトラフィックを考慮する数学関数とすることができる。検索320によるサーチリフトは、広告に関連する検索310と検索クエリに関連する履歴データ305に基づくインプレッション数の差とすることができる。同様に、ネットワークロケーショントラフィックによるサーチリフト325は、広告ネットワークロケーション315へのトラフィックと、履歴データ305に基づくインプレッション数との間の差とすることができる。いくつかの実装では、サーチリフト320と325は、放送半径225、検索情報230、検索者情報235、サーチリフトが計算される時間などを含む要因に依存する重みと関連付けることができる。) ・・・途中省略・・・ [0043]加えて、重みは、サーチリフトが計算される時に基づいて関連付けることができる。例えば、広告が放送された直後に計算されたサーチリフトは、広告の放送後、かなり長い時間が経過して計算されたサーチリフトよりも、高い重みで関連付けることができる。別の例では、広告が朝または夕方の通勤時間帯などのピークトラフィック時間帯に放送される場合、リスナーは、オフィスまたは自宅に到達した時点で、広告に関連する情報を検索するためにインターネットにアクセスすることができる。このような場合、広告の放送後、かなり長い時間で計算されたサーチリフトは、高いウェイトを関連付けることができる。重みが関連付けられたサーチリフトは、その後、インプレッション数への変換335によってインプレッション数に変換することができる。インプレッションへの変換335は、統計的関数、例えば、平均化を用いて、サーチリフトをインプレッションに変換することができる。変換されたインプレッションは、相関データ250に出力することができる。 [0044]図4は、広告主がラジオ局への広告の投資収益率を決定することを可能とする方法の一例を示すフローチャートである。局は、ラジオ局およびテレビ局などの任意の放送局であってもよい。いくつかの実装では、広告情報およびラジオ局情報は、405で受信される。広告情報は、広告コンテンツ、広告に関連するメタデータ、広告主情報などのうちの1つまたは複数を含むことができる。ラジオ局情報は、放送半径、放送されるコンテンツのスケジュール、衛星を含む他の場所、インターネット上で放送されるコンテンツの入手可能性などのうちの1つ以上を含むことができる。1つ以上の広告に関連する広告情報は、1以上の広告主から受信することができる。ラジオ局情報は、1または複数のラジオ局から受信することができる。いくつかの実装では、広告情報およびラジオ局情報は、広告主およびラジオ局の間で共有され得る。」 キ 「[0046] The network activity can be monitored for a duration after the airing of the advertisement at 415. In some implementations, the network can be the internet. The network can be monitored for activity related to the content of the advertisement. The activity can include searches on internet search engines related to the content of the advertisement. The relevance of internet searches to the advertisement can be determined by methods including comparing search queries entered at web pages provided by search engines to one or more key words related to the advertisement that can be included in the metadata related to the advertisement. In addition, the activity can include network traffic to web sites related to the content of the advertisement. For example, a listener may visit an advertiser's web site, the URL for which was included in the aired advertisement. Such visits by listeners to the advertisers' web site can be included in the network traffic attributable to the airing of the advertisement.」 (当審訳)「[0046]ネッワークアクティビティを、415での広告の放送後の一定期間監視することができる。いくつかの実装形態では、ネットワークはインターネットであり得る。ネットワークを、広告のコンテンツに関連するアクティビティについて監視することができる。該アクティビティは、広告のコンテンツに関連するインターネット検索エンジン上の検索を含むことができる。広告に対するインターネット検索の関連性は、検索エンジンによって提供されるウェブページで入力された検索クエリを、広告に関連するメタデータに含めることができる広告に関連する1つ以上のキーワードと比較することを含む方法によって判定することができる。さらに、該アクティビティは、広告のコンテンツに関連するウェブサイトヘのネットワークトラフィックを含むことができる。例えば、リスナーは、放送された広告にそのURLが含まれていた、広告主のウェブサイトを訪問し得る。広告主のウェブサイトヘのリスナーによるこのような訪問を、広告の放送に起因するネットワークトラフィックに含めることができる。」 「[0049] A quantitative relationship can be developed between the search lift and a number of listeners that the advertisement reached at 425. In some implementations, the quantitative relationship can include the difference between the number of searches detected upon airing the advertisement and the statistical data collected over previous years. The quantitative relationship can additionally include the difference between the number of hits on an advertiser's web site subsequent to the airing of the advertisement and the statistical data of traffic to the advertiser's website collected over previous years. Further, the search lift can be associated weights based on information related to the type of search detected at the network, the searcher of the information, the location where the search was detected, and the like. [0050] Statistical functions can be employed to combine the search lift and the associated weights to convert the search lift into a number of impressions on the network at 430. The number of impressions can represent a number of listeners who accessed the network to obtain information about the advertised product upon listening to the advertisement aired on the radio station.」 (当審訳:[0049]425において、定量的な関係は、サーチリフトと広告が達したリスナーの数との間で策定することができる。いくつかの実装では、定量的な関係は、放送時に検出された広告の検索数と過去数年にわたって収集された統計データとの差を含むことができる。定量的な関係は、さらに、広告の放送後の広告主のウェブサイトのヒット数と過去数年にわたって収集された広告主のウェブサイトへのトラフィックの統計データとの間の差を含むことができる。また、サーチリフトは、ネットワークで検出された検索のタイプ、情報の検索者、検索が検出された位置、等に関連した情報に基づいた重みと関連付けることができる。 [0050]統計的関数は、サーチリフトと関連する重みを組み合わせて、430でサーチリフトをネットワーク上のインプレッション数に変換するために採用することができる。インプレッション数は、ラジオ局で放送された広告を聴いて、広告された製品に関する情報を得るためにネットワークにアクセスしたリスナーの数を表すことができる。) ク 「[0063] In some implementations, the information gathered by the CDS 245 including the correlation data 250 can be provided to the user, e.g., in the form of a report. The report can include metrics and associated calculations, including graphs, that represent the correlation data 250, the number of impressions generated by airing the advertisement, and the like. The correlation data 250, that represents an effectiveness of airing an advertisement, includes correlation of analytics data to advertisement campaigns, correlation of search lift to advertisement campaigns, correlation of call tracking/reporting to the advertisement campaigns, and the like. This correlation data 250 will be provided to an advertiser who wishes to identify an effectiveness of airing an advertisement during one or more time slots and to identify a return on investment on the advertisement campaign. [0064] In some implementations, an advertiser 115 can access the correlation engine 105 using a computer system, e.g., a desktop computer, a laptop computer, a PDA, and the like. The correlation engine 105 provides a setup screen displayed on the advertiser's computer system into which the advertiser 115 can input advertisement information 205. Upon generating the correlation data 250, the correlation engine 105 can display the report including the correlation data 250 on the display device of the advertiser's computer system. To enable the correlation engine 105 to create the report including the correlation data 250, the advertiser 115 can choose to provide the correlation engine 105, access the advertisement information 205. Subsequently, the advertiser 115 can input the advertisement information 205 using the set up screen. The correlation engine 105 can then determine the correlation data 250 and provide a report that can be viewed for the entire campaign or by separate markets where the advertisement was aired or both. The report can include sections describing campaign performance, correlation of analytics data, correlation of call tracking, correlation of search lift, and the like. The report can be detailed with graphs that overlay advertisement campaign performance to correlation metrics.」 (当審訳)「[0063]いくつかの実装形態では、相関データ250を含むCDS245によって収集された情報を、例えば、レポートの形態で、ユーザに提供することができる。レポートは、相関データ250、広告を放送することによって生成されたインプレッションの数などを表す、グラフを含むメトリクスおよび関連する計算を含み得る。広告を放送することの有効性を表す相関データ250には、分析データと広告キャンペーンとの相関、サーチリフトと広告キャンペーンとの相関、コールトラッキング/レポートと広告キャンペーンとの相関などが含まれる。この相関データ250は、1つ以上のタイムスロットの間に広告を放送することの有効性を特定し、広告キャンペーンに対する投資利益率を特定することを望む広告主に提供されることとなる。 [0064]いくつかの実装形態では、広告主端末115は、コンピュータシステム、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、PDAなどを用いて、相関エンジン105にアクセスすることができる。相関エンジン105は、広告主端末115が広告情報205を入力できる広告主のコンピュータシステム上に表示されるセットアップ画面を提供する。相関データ250を生成すると、相関エンジン105は、相関データ250を含むレポートを広告主のコンピュータシステムの表示装置に表示することができる。相関エンジン105が相関データ250を含むレポートを作成することを可能にするために、広告主端末115は、相関エンジン105に、広告情報205へのアクセスを提供することを選択することができる。続いて、広告主端末115は、セットアップ画面を用いて広告情報205を入力できる。次いで、相関エンジン105は、相関データ250を判定し、キャンペーン全体について、または広告が放送された別個の市場ごとに、またはその両方について見ることができるレポートを提供することができる。レポートには、キャンペーンのパフォーマンス、分析データの相関、コールトラッキングの相関、サーチリフトの相関などを記述するセクションを含めることができる。レポートは、広告キャンペーンのパフォーマンスを相関メトリックにオーバーレイするグラフで詳述することができる。」 ケ 「[0066] The advertiser 115 can be provided with a setup screen including three sections, namely, an analytics section, a call tracking section, and a keywords section. The set-up screen can be used to gather advertisement information 205 about the advertisement, the advertiser, and the like. For example, in the analytics section, the advertiser can specify that the advertisement includes a URL. In some implementations, subsequent to airing an advertisement, the correlation engine 105 can be operatively coupled to telephone lines to monitor and determine a number of phone calls received regarding the advertised products and services. In the call tracking section, the advertiser can specify if the advertiser is employing a mechanism to track phone calls or if the advertiser wishes to employ the correlation engine's mechanism for the same or if the advertiser wishes to use both. In the keywords section, the advertiser can specify from lists of keywords, e.g., four lists of keywords, keywords associated with the advertiser, keywords associated with the advertisement, and the like. In some implementations, the list of keywords can be generated using the content of advertisement. Examples of keyword lists also include the industry that the advertisement targets, competitors, and the like.」 (当審訳)「[0066]広告主端末115は、3つのセクション、すなわち、分析セクション、コールトラッキングセクション、及びキーワードセクションを含む、セットアップ画面を備え得る。セットアップ画面を使用して、広告、広告主などに関する広告情報205を収集することができる。例えば、分析セクションでは、広告主は、広告がURLを含むことを指定することができる。いくつかの実装形態では、広告を放送した後、相関エンジン105を電話回線に作動可能に結合させて、広告された製品およびサービスに関して受信された電話コールの数を監視および判定することができる。コールトラッキングセクションでは、広告主は、広告主が電話コールを追跡するためのメカニズムを使用しているかどうか、または広告主が同じものに対して相関エンジンのメカニズムを使用することを望むかどうか、または広告主がその両方を使用することを望むかどうかを指定することができる。キーワードセクションでは、広告主は、キーワードのリストから、例えば、キーワードの4つのリスト、広告主に関連付けられたキーワード、広告に関連付けられたキーワードなどを指定することができる。いくつかの実装形態では、キーワードのリストを、広告のコンテンツを用いて生成することができる。キーワードリストの例には、広告がターゲットとする業界、競合他社等も含まれる。」 コ「[0070] The report can include correlation of call tracking/reporting where the metrics include a number of calls to a telephone number mentioned in the advertisement, and a ratio of number of listeners to unique phone numbers. For example, it can be calculated that, a total of 500 telephone calls were received during the time when the advertisement aired, and that one out of every 1000 listeners who heard the advertisement called the phone number mentioned in the advertisement. The report can include correlation of search lift where the metrics can include percentage lift of advertiser related keywords, percentage lift of advertisement information related keywords, and the like. The search queries related to an advertiser or the advertisement or both can be normalized by the total volume of queries, the industry terms, competitors, and the like. For example, it can be determined that when the advertisement was aired, a 10% increase in searches on keywords related to the advertiser's brand name was observed, and that a 5% increase in searches on keywords related to the content of the advertisement was observed. Accordingly, other implementations are within the scope of the following claims.」 (当審訳)「[0070]レポートは、メトリックが、広告で言及された電話番号に対するコールの数、及び、一意の電話番号に対するリスナーの数の比率を含む、コールトラッキング/レポートの相関を含むことができる。例えば、広告が放送された時間の間に合計500件の電話コールが受信され、広告を聞いたリスナー1000人に1人が広告で言及された電話番号に電話をかけたと計算することができる。レポートは、メトリックが、広告主関連キーワードのリフト率、広告情報関連キーワードのリフト率などを含み得る、サーチリフトの相関を含むことができる。広告主もしくは広告またはその両方に関連する検索クエリを、照会の総量、業界用語、競合相手などによって正規化することができる。例えば、広告が放送された際に、広告主のブランド名に関連するキーワードの検索に10%の増加が見られ、広告の内容に関連するキーワードの検索に5%の増加が見られたと判定することができる。したがって、他の実装は、以下の特許請求の範囲に含まれる。」 サ 「 」 上記ア〜サの記載事項から、甲第2号証には、以下の発明が記載されている。(以下「特許異議B甲2発明」という。) 「ラジオ局で放送された広告の有効性を判定するためのシステム100を用いて([0022])、所与の時間にラジオ局110で放送された広告の有効性を定量的に判定する方法であって([0028])、 システム100は、1つ以上のラジオ局110、1つ以上の広告主端末115、およびネットワーク120と相互に作用するために動作可能に結合され得る相関エンジン105を含み([0022])、 広告主端末115は、コンテンツの種類、好ましい放送時間などの、広告に関連するメタデータ215などを含む広告情報205([0028])を入力することができ([0064])、分析セクション、コールトラッキングセクション、及びキーワードセクションを含む、セットアップ画面を備え、キーワードセクションでは、広告主は、広告主に関連付けられたキーワード、広告に関連付けられたキーワード、広告がターゲットとする業界、競合他社等を指定することができ([0066])、 相関エンジン105は、検索情報230、検索者情報235、および履歴データ240を含み([0031])、履歴データ240を受信するために、外部エンジンに動作可能に結合されており([0037])、 検索情報230は、ネットワーク120上のネットワークロケーションで入力された検索クエリの内容を含み([0031])、 履歴データ240は、検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報も含み得、さらに、検索の頻度は、時間的粒度、例えば、毎秒、毎分、毎時、毎日、毎週、毎月などで収集および維持することができるものであり([0035])、 また、相関エンジン105は、相関判定システム(CDS)245を含み、CDS245は、ラジオ局110、広告主端末115、およびネットワーク120から収集された入力である、広告に関連するメタデータ215、ラジオ局110または広告主端末115のいずれか、またはその両方から受信した広告放送時間220、ラジオ局110の放送区域225、例えばインターネット等のネットワーク120から収集された情報に基づく検索情報230および検索者情報235を受信することができ、加えて、CDS245は、履歴データ240に動作可能に結合されており([0038])、 ラジオ局110で広告が放送されるのに続いて、相関エンジン105は、広告に関連する検索について、ネットワーク120を監視し、検索情報230および検索者情報235を収集し、収集した情報をCDS245に提供し([0038])、 CDS245は、特に広告が放送された時間の間および実質的に近い時間に、広告された製品およびサービスに関連する任意のサーチリフトを識別することができ、サーチリフトと、ネットワーク上で生成されたインプレッションの数との間の定量的関係を生成し、生成されたインプレッションの数は、広告に関する情報を含むウェブサイトのウェブページ上のヒット数、広告に関連する検索クエリのインターネット上の検索の数、またはその両方を含むものであり([0038])、定量的関係を相関データ250に転送し、その後、相関データ250は、広告主端末115に提供され([0039])、 サーチリフトは、ある時点でのあるトピックに関連する検索頻度の、その時点でのそのトピックの平均頻度に対する増加を表すことができ、平均頻度は、過去数年間に収集されたデータから算出することができるものであり([0036])、検索によるサーチリフトは、広告に関連する検索と検索クエリに関連する履歴データに基づくインプレッション数の差とすることができ、サーチリフトが計算される時間などを含む要因に依存する重みと関連付けることができ([0041])、広告が放送された直後に計算されたサーチリフトは、広告の放送後、かなり長い時間が経過して計算されたサーチリフトよりも、高い重みで関連付けることができ([0043])、 また、広告とインターネット検索の関連性は、検索エンジンによって提供されるウェブページで入力された検索クエリを、広告に関連するメタデータに含めることができる広告に関連する1つ以上のキーワードと比較することを含む方法によって判定することができ([0046])、 相関データ250を含むCDS245によって収集された情報は、例えば、レポートの形態で、ユーザ(広告主)に提供することができ、レポートは、相関データ250、広告を放送することによって生成されたインプレッションの数などを表す、グラフを含むメトリクスおよび関連する計算を含み得るものであって、広告を放送することの有効性を表す相関データ250には、分析データと広告キャンペーンとの相関、サーチリフトと広告キャンペーンとの相関、コールトラッキング/レポートと広告キャンペーンとの相関などが含まれる([0063])、レポートは、メトリックが、広告主関連キーワードのリフト率、広告情報関連キーワードのリフト率などを含み得る、サーチリフトの相関を含むことができ、例えば、広告が放送された際に、広告主のブランド名に関連するキーワードの検索に10%の増加が見られ、広告の内容に関連するキーワードの検索に5%の増加が見られたと判定することができる([0070])、 広告の有効性を定量的に判定する方法。」 (3)甲第3号証(米国特許出願公開第2008/0133342号明細書)(なお、当審訳は特許異議申立人 鈴木里美が提出した抄訳を使用した。) ア 「[0045] The effectiveness of offline media can be assessed based on the comparison (step 210). One or more reports can be generated for an advertiser indicating when offline advertisements were presented and the corresponding levels of online user events. For example, if the advertisement presentation in offline media, e.g., a television commercial advertisement, induces an increase in user events over historical levels, such an increase may indicate that the advertisement is effective. In contrast, if the offline media does not significantly affect the user events, it can reveal that the advertisement did not generate a desired level of user interest.」 (当審訳)「[0045]オフライン媒体の有効性は、比較に基づいて評価できる(ステップ210)。オフライン広告がいつ表示されたかと、複数のオンラインユーザイベントのうちの対応するレベルとを表す1つ以上のレポートが、広告主のために生成されてよい。例えば、オフライン媒体中の広告表示、例えば、テレビコマーシャル広告が履歴レベルでのユーザイベント増加を含む場合、そのような増加は、広告が効果的であったことを示すと見てよい。対照的に、オフライン媒体がユーザイベントに有意な影響を及ぼしていない場合、広告が所望のレベルのユーザの関心を引き起こしてないということが明らかとなる。」 (4)甲第4号証(特開2020−160938号公報) ア 「【0018】 具体的には例えば、或る商品又はサービスを広告対象とする運用型広告の成果は、同時期にその商品又はサービスに関連するテレビCMなどが配信されるか否かなどによって変化する。詳細には、関連するテレビCMなどが配信される時期には、前記商品又はサービスに関連するインターネット上のキーワード検索数が増大し、広告在庫量(インプレッション数)などの運用型広告の成果も増大することが予測される。計画策定システム1は、テレビCMの配信などの後述する外生的イベントの影響を加味しながら運用型広告の成果が最大になるように運用型広告の配信計画を策定するためのシステムである。」 イ 「【0022】 ここでいう外生的イベントとは、当該イベントの実施を事前に計画でき、当該イベントの実施又は実施の予告が運用型広告の成果に影響し得る、運用型広告の配信とは異なるイベントである。本実施形態でいう外生的イベントには、例えば、広告主の商品又はサービスのマーケティングに影響を与え、事前に計画でき、さらに実施に関する計画の変更が困難であるイベントが含まれる。また、外生的イベントには、例えば、当該イベントが実施されることで広告キャンペーンに係る商品、サービス又はブランドに関連するインターネット上のキーワード検索をユーザに対して促し得るイベントが含まれる。 【0023】 例えば、外生的イベントには予約型広告の配信が含まれる。予約型広告は、価格、期間、出稿内容(掲載面、配信量、掲載内容等)があらかじめ定められている広告である。予約型広告は、運用型広告よりも計画の変更が困難である。予約型広告の典型例は、テレビCM、ラジオCM、新聞広告及び雑誌広告の4マス広告や、屋外広告、交通広告、運用型広告以外のインターネット広告などである。また例えば、外生的イベントには、広告主の商品又はサービスのプレスリリースや、前記商品又はサービスの展示会での展示が含まれる。また例えば、外生的イベントには、テレビやラジオなどのコンテンツ出力装置の番組の地上波等による放送又はインターネットの通信等による配信が含まれる。このような外生的イベントは、事前の計画とイベントの実施とがほぼ同時期に行われる。ただし、事前の計画とイベントの実施との間には若干のズレが存在する場合もある。なお、外生的イベントのうち予約型広告に含まれるテレビCMやラジオCMの配信については放送局がその実施(配信)を行い、新聞広告及び雑誌広告の掲載については出版社が行う。よって、これらの予約型広告の実施に広告主は間接的に寄与する。他方、外生的イベントのうちプレスリリースや展示会での展示などの実施については広告主は直接的に寄与する。つまり、本実施形態でいう外生的イベントには、広告主が当該イベントの実施に直接的又は間接的に寄与し、広告キャンペーンに関連する(すなわち、当該広告キャンペーンに関連する広告活動の一部を構成する)イベントが含まれる。」 ウ 「【0030】 記憶部112には、図5に示すように、広告キャンペーンのキャンペーン期間の開始時点から終了時点までの期間全体のイベント計画情報P1が記憶されている。特に、記憶部112には、現在がキャンペーン期間の途中である場合、過去のイベント計画情報P1と将来のイベント計画情報P1との両方が記憶されている。 (イベント成果情報R1) イベント成果情報R1は、外生的イベントの実施による成果(換言すれば実施による効果)を表す情報である。イベント実績情報R1には、外生的イベントの実施による成果を表す各種指標の指標値が含まれる。 【0031】 例えば、イベント成果情報R1には、ユーザ属性情報に基づいて分類されたセグメントごとの、外生的イベントに関する露出数、接触回数の分布及び統計量、到達人数、到達率、態度変容指標の指標値などの情報が含まれる。なお、ここでいうユーザ属性情報としては、デモグラフィック属性情報、サイコグラフィック属性情報、ジオグラフィック属性情報等が挙げられる。」 エ 「【0036】 態度変容指標は、広告認知率、ブランド知名率、ブランド理解率、購入意向等である。態度変容指標の指標値は、調査パネルに対してアンケートを実施することで取得できる。 なお、イベント成果情報R1には、前述した露出数等以外にも、例えば、或る予約型広告等に関する商品やサービス等に関連するキーワード検索回数、広告主のウェブサイトへの流入量、広告される商品又はサービスに関する資料の請求数などが含まれていてもよい。さらに、イベント成果情報R1には、広告される商品又はサービス等に関するアプリケーションソフトのインストール回数、前記アプリケーションソフトの起動数、広告主の店舗への送客回数、商品又はサービスの購買量など種々の変数が含まれていてもよい。」 オ 「【0046】 記憶部112には、図5に示すように、キャンペーン期間の開始時点から過去の所定時点T1までの運用型成果情報R2が記憶されている。つまり、運用型成果情報R2が取得されるまでにタイムラグ(T1と現在との間の期間)が存在する。」 (5)甲第5号証(米国特許出願公開第2016/0156972号明細書)(なお、当審訳は特許異議申立人 鈴木里美が提出した抄訳を使用した。) ア 「[0003] Frequently upon viewing or listening to items of content in a broadcast, a user may be intrigued and decide to search on the Internet for additional information, such as searches for song lyrics, product information, celebrity sightings, current events, recipes, or any other such information. By correlating content and search queries, it may be possible for an audience measurement service to infer that searchers are likely audience members of the content, through both a contextual relationship (e.g. a search for information corresponding to the item of content) and through a temporal relationship (e.g. a search being made within a few minutes of the item of content being broadcast in the user's geographic region). Additionally, search query information sent by user-specific devices and/or logged-in accounts may be linked to specific individuals in a household. In some implementations, the correlation may not allow generation of raw viewership numbers, as viewership for highly interesting or engaging content may be over-represented (due to increased searches related to the content) while viewership for typical content may be under-represented (as viewers of less interesting content such as the weather or an unamusing sitcom may be less likely to initiate searches related to the content. Accordingly, in such implementations, the audience measurement service may be measuring the relative size of the engaged audience or relative “engaging-ness” or likelihood of a viewer of the content to become engaged and actively seek additional information. 」 (当審訳)「[0003] ブロードキャスト内のコンテンツのアイテムを頻繁に見たり聴いたりすると、ユーザは興味をそそられ、歌詞、製品情報、有名人の目撃、現行のイベント、レシピ、または他の任意のそのような情報の検索など、追加情報をインターネット上で検索することを決意し得る。コンテンツと検索クエリーを相関させることによって、オーディエンス測定サービスは、コンテキスト関係(例えば、コンテンツのアイテムに対応する情報の検索)と、時間的関係(例えば、ユーザの地理的領域でコンテンツのアイテムがブロードキャストされてから数分以内に行われる検索)と、の両方を通じて、検索者がコンテンツのオーディエンスメンバーである可能性が高いと推論することができ得る。さらに、ユーザ固有のデバイスおよび/またはログインアカウントによって送信された検索クエリー情報は、世帯内の特定の個人にリンクされ得る。いくつかの実装形態では、(コンテンツに関連する検索の増加のため)非常に興味深いまたは魅力的なコンテンツの視聴者数が過大に表現され得る一方で、(天気や面白くないシットコムなどのあまり興味のないコンテンツの視聴者がコンテンツに関連する検索を開始する可能性が低いため)典型的なコンテンツの視聴者が過小に表現され得るため、相関関係では生の視聴者数の生成ができない可能性がある。したがって、そのような実装において、オーディエンス測定サービスは、関与しているオーディエンスの相対的なサイズ、または相対的な「魅力的さ」、またはコンテンツの視聴者が関与して積極的に追加情報を求める可能性を、測定している可能性がある。」 イ 「[0025] Referring to the middle illustration of FIG. 1, a content stream 112, such as a terrestrial, satellite, or cable broadcast channel or stream of content may include a plurality of content items 114, 116 over time 102. Content may include television programs, movies, advertisements, documentaries, news programming including breaking news items, music or music videos, talk shows, product descriptions, or a combination of these (e.g. a television show including music in a theme song, and displaying a product during a scene). Content 114, 116 may be of any length, including 30 second commercials and two hour movies. Although only one content stream 112 is illustrated, a plurality of streams of content 112 may be broadcast to any number of recipients in a geographical area or by connection to a common network service, by a plurality of providers. As discussed above, responsive to viewing an item of content 114, some viewers may initiate a search query for information corresponding to the item of content 114, such as a keyword, a product name, an actor or actress name, a song lyric, a geographic location, or any other such information. In some implementations, search queries may be text strings, such as one or more keywords, while in other implementations, search queries may include images or audio recordings. [0026]As shown in the relationship of the top illustration and middle illustration of FIG. 1, responsive to viewing an item of content 114 in a content stream 112, a search service may receive an increased search volume 100 for a corresponding query or queries, and identify the increased volume as a spike 108. As shown, spikes 108 will typically occur at some point after the item of content 114 is broadcast or after the broadcast of the item 114 begins, as it takes time for viewers to initiate a search request. However, spikes 108 that occur a significant time later may not be associated with broadcast of the item of content 114. Accordingly, in many implementations, a spike 108 may only be associated with a corresponding item of content 114 that was broadcast within a predetermined time period before the spike 108, such as within one minute, 10 minutes, half an hour, or any other such time. In some implementations, the time period may be set responsive to the search volume 100. If a search query is very rare, such as one search per day or less, then a spike of queries 108 may be a rate of one search per hour. Such a spike 108 may be associated with an item of content 114 broadcast up to a day or more previously. However, if the search query is very common (e.g. ten searches per minute), then a spike of queries 108 (e.g. one hundred searches per minute), may be associated with an item of content 114 broadcast only up to a few minutes previously. Similarly, in some implementations, the time period may be set responsive to the frequency of display of the item of content. If an advertisement is broadcast once an hour on some stream 112 of a plurality of streams, then a corresponding spike 108 in search volume may only be associated with the most recent broadcast of the advertisement, or a broadcast of the advertisement within the past ten minutes or other such time period.」 (当審訳)「[0025]図1の中央の図を参照すると、地上波、衛星、もしくはケーブルのブロードキャストチャネル、またはコンテンツのストリームなどのコンテンツストリーム112は、経過時間102にわたって複数のコンテンツアイテム114、116を含み得る。コンテンツには、テレビ番組、映画、広告、ドキュメンタリー、ニュース速報アイテムを含むニュース番組、音楽またはミュージックビデオ、トークショー、製品説明、またはこれらの組み合わせ(例えば、テーマソングに音楽を含むテレビ番組や、シーン中に製品を表示するなど)が含まれ得る。コンテンツ114、116は、30秒のコマーシャルおよび2時間の映画を含む、任意の長さのものであり得る。1つのコンテンツストリーム112のみが図示されているが、複数のコンテンツストリーム112が、地理的領域内の任意の数の受信者に対して、または複数のプロバイダによる共通のネットワークサービスヘの接続によって、ブロードキャストされ得る。上で論じたように、コンテンツ114のアイテムの視聴に応じて、一部の視聴者は、コンテンツ114のアイテムに対応する情報、例えば、キーワード、製品名、俳優または女優の名前、曲の歌詞、地理的ロケーション、または他の任意のそのような情報についての検索クエリーを開始し得る。いくつかの実装形態では、検索クエリーは、1つ以上のキーワードなどのテキスト文字列であってもよく、一方、他の実装形態では、検索クエリーは、画像または音声録音を含み得る。 [0026]図1の上図と中央図との関係に示すように、コンテンツストリーム112内のコンテンツ114のアイテムの視聴に応じて、検索サービスは、対応する1つのクエリーまたは複数のクエリーに対して増加した検索ボリューム100を受信して、増加したポリュームをスパイク108として識別し得る。図示されるように、視聴者が検索要求を開始するのに時間がかかるので、スパイク108は、典型的には、コンテンツ114のアイテムがブロードキャストされた後、またはアイテム114のブロードキャストが開始された後のある時点で発生する。しかしながら、かなりの時間経過後に発生するスパイク108は、コンテンツ114のアイテムのブロードキャストと関連していない可能性がある。したがって、多くの実装形態において、スパイク108は、スパイク108より前の所定の期間内、例えば1分以内、10分以内、30分以内、または他の任意のそのような時間内に、ブロードキャストされたコンテンツ114の対応するアイテムにのみ関連付けられ得る。いくつかの実装形態では、該期間は、検索ボリューム100に応じて設定され得る。例えば、検索が1日当たり1回以下のように検索クエリーが非常にまれである場合、クエリーのスパイク108は、1時間当たり1回の検索割合であり得る。このようなスパイク108を、1日以上前にブロードキャストされたコンテンツ114のアイテムに関連付けし得る。しかしながら、検索クエリーが非常によくある場合(例えば、1分間に10回の検索)、クエリーのスパイク108(例えば、1分当たり100回の検索)が、ほんの数分前にブロードキャストされたコンテンツ114のアイテムに関連付けられ得る。同様に、いくつかの実装形態では、該期間は、コンテンツのアイテムの表示頻度に応じて設定され得る。広告が複数のストリームのうちの何らかのストリーム112上で1時間に1回ブロードキャストされる場合、検索ボリューム内の対応するスパイク108は、直近の広告のブロードキャストにのみ、または過去10分以内の広告のブロードキャストにのみ、または他のそのような期間にのみ、関連付けられ得る。」 (6)甲第6号証(特開2019−125939号公報) ア 「【0013】 入力部11は、コンテンツを入力する。コンテンツは、テレビ局からテレビジョン放送によって提供される。コンテンツは、複数のコマーシャル及び番組が含まれる。各コマーシャル及び各番組は、映像及び音響によって構成される。」 (7)甲第7号証(特開2021−026306号公報) ア 「【0021】 データベース110に記憶された各放映データは、CMを識別するCM識別子と、CMを放映する会社名と、CMの対象である商品、サービス又はブランド(以下「商品等」と呼ぶ。)の名称とを含む。CMは、同一の商品等を対象とするものであっても異なるバージョンのものが複数存在することがあり、その場合には異なるCM識別子が付与されることがある。会社名と商品等の名称については、いずれか一方のみが含まれることもあり、また、これらの正式名称の略称が用いられることもある。また、放映データには、放映開始日時、放映終了日時、CMの秒数、出演したタレント名、使用された曲名、使用された曲のアーティスト名などをさらに含んでもよい。」 第5 当審の判断 1 特許異議Aについて (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と特許異議A甲1発明とを対比する。 (ア)「TVCMの効果を分析するための方法であって、」について 特許異議A甲1発明に係る方法は、「TVキャンペーン中の分ごとの集計検索ボリュームの時系列データを調べ、キャンペーンの広告スポットと因果関係を有する可能性のある検索数の増分を測定」し「テレビ広告主がテレビキャンペーンを最適化するために役立てる」ための「方法」であるから、後述の相違点は別として、本件特許発明1の「TVCMの効果を分析するための方法」に相当する。 (イ)「コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、」について 特許異議A甲1発明に係る方法はコンピュータによって実行されていることは明らかであり、コンピュータは当該方法を実行するにあたって、ユーザーであるテレビ広告主からTV広告に関する何かしらの情報を取得していることも明らかである。 しかしながら、特許異議A甲1発明においては、本件特許発明1で特定されている「ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信」しているとの事項は特定されていない。 してみると、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、「コンピュータが、TV広告に関する情報を取得するステップ」を有している点で共通しているものの、特許異議A甲1発明には、コンピュータが「ユーザ端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信」している旨特定されていない点で相違している。 (ウ)「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、」について 上記(イ)で言及したように、特許異議A甲1発明に係る方法はコンピュータによって実行され、コンピュータは当該方法を実行するにあたって、ユーザーであるテレビ広告主からTV広告に関する何かしらの情報を取得していることを踏まえると、前記「TV広告に関する何かしらの情報」はTV広告を特定し得る情報であることは必要不可欠であるから、本件特許発明1の「放映データ」に対応するものといえる。 してみると、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、「前記コンピュータが、放映データを取得するステップ」を有している点で共通しているものの、特許異議A甲1発明においては、「TV広告に関する何かしらの情報」は、TV広告主から取得したものであって、本件特許発明1のように「前記入力に関連づけられ」て「取得」したものではない点で相違している。 (エ)「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、」について 特許異議A甲1発明における「TV広告の放映による検索数の増分」は、「Googleの検索ログから取得」した「前記TV広告に関連する2つのキーワードである「Android」と「Cool」の検索に関する集計された時系列データ」から「測定」したものであるから、本件特許発明1の「検索スコア」に対応するものといえるが、本件特許発明1のように「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から」「取得」したものではない。 してみると、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、「前記コンピュータが、放映時刻における検索スコアを取得するステップ」を有している点で共通しているものの、特許異議A甲1発明は、「TV広告の放映による検索数の増分」を本件特許発明1のように「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から取得」していない点で相違している。 (オ)「前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと、」について 特許異議A甲1発明においては、「検索数の増分を測定した結果を時間帯と曜日ごとに分類し、」「前記分類したものをテレビ広告主がテレビキャンペーンを最適化するために役立て」ている。 ここで、本件特許明細書の【0027】の「データベース104には、放映された過去のTVCMに関する放映データが記憶されている。放映データは、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含む。ここで、放映時刻は、放映開始日時及び放映終了日時を含んでもよく、TVCMの長さが30秒であれば放映終了日時は放映開始日時の30秒後となる。これは一定の期間であるものの、分単位等の一定の単位でみればある時点であり、放映時刻と表現する。また、放映データは、TVCMが放映された地域情報を含んでもよい。地域情報としては、都道府県名、関東・中京等の地域名、TVCMを放映した放映局名等が挙げられる。」なる記載を参酌すると、本件特許発明1の「放映データに含まれる項目」の一つとして「放送時刻」が例示されていることから、特許異議A甲1発明の「時間帯」は、本件特許発明1の「放映データに含まれる項目」に対応するものといえる。 そして、上記(ウ)及び(エ)で言及したように、特許異議A甲1発明の「TV広告に関する何かしらの情報」と「TV広告の放映による検索数の増分」は、それぞれ、本件特許発明1の「放映データ」と「検索スコア」に対応するものである。 以上のことを踏まえると、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、「前記コンピュータが、放映データに含まれる項目及び放映データに関連づけられた検索スコアを取得するステップ」を有している点で共通している一方で、当該「放映データに含まれる項目及び放映データに関連づけられた検索スコア」をユーザー端末に送信するとは特定されていない点で相違している。 (カ)「前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、」について 上記(エ)で言及したように、特許異議A甲1発明における「TV広告の放映による検索数の増分」は、「Googleの検索ログから取得」した「前記TV広告に関連する2つのキーワードである「Android」と「Cool」の検索に関する集計された時系列データ」から「測定」したものであり、前記「Google」と「TV広告に関連する2つのキーワードである「Android」と「Cool」」は、それぞれ、本件特許発明1の「検索エンジン」と「第1のワード」に相当するものである。 また、「広告スポットの事後期間」は、本件特許1の「ある時点の以後又は後の第1の期間」に相当し、「広告スポットの事後期間」の「Android」と「Cool」の「検索ボリューム」は、「ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値」に相当する。 してみると、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、「前記検索スコアは、検索エンジンの第1のワードによる検索数の増加を表す値であり、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値を用いて定まる」という点で共通しているものの、特許異議A甲1発明は「検索スコア」について、本件特許発明1のように「ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる」との事項は特定されていない点で相違している。 (キ)「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである」について 上記(カ)で言及したように、特許異議A甲1発明における「TV広告に関連する2つのキーワードである「Android」と「Cool」」は、本件特許発明1の「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、複数のワード」に対応するものであるから、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、複数のワードである」という点で共通している。 したがって、本件特許発明1と特許異議A甲1発明は、 「TVCMの効果を分析するための方法であって、 コンピュータが、TV広告に関する情報を取得するステップと、 前記コンピュータが、放映データを取得するステップと、 前記コンピュータが、放映時刻における検索スコアを取得するステップと、 前記コンピュータが、放映データに含まれる項目及び放映データに関連づけられた検索スコアを取得するステップと、 を含み、 前記検索スコアは、検索エンジンの第1のワードによる検索数の増加を表す値であり、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値を用いて定まり、 前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、複数のワードである。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 本件特許発明1は、「コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信」しているのに対して、特許異議A甲1発明は、コンピュータは、テレビ広告主からTV広告に関する何かしらの情報を取得しているものの、当該情報の具体的内容が特定されていない点、さらに、当該情報が「ユーザー端末」(テレビ広告主の端末)から入力されたのか特定されていない点。 (相違点2) 本件特許発明1は、「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得」しているのに対して、特許異議A甲1発明においては、「TV広告に関する何かしらの情報」は、TV広告主から取得したものであって、「前記入力に関連づけられ」て「取得」したものではない点。 (相違点3) 特許異議A甲1発明は、本件特許発明1の「検索スコア」に対応する「TV広告の放映による検索数の増分」を本件特許発明1のように「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から取得」していない点。 (相違点4) 特許異議A甲1発明は、本件特許発明1のように、ユーザー端末を有しておらず、そして、「放映データに含まれる項目及び放映データに関連づけられた検索スコア」をユーザー端末に送信するとは特定されていない点。 (相違点5) 特許異議A甲1発明には「TV広告の放映による検索数の増分」について、本件特許発明1のように「ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる」との事項は特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、相違点3について検討する。 上記(エ)で言及したように、特許異議A甲1発明における「TV広告の放映による検索数の増分」は、コンピュータが「Googleの検索ログから取得」した「前記TV広告に関連する2つのキーワードである「Android」と「Cool」の検索に関する集計された時系列データ」から「測定」したものであり、本件特許発明1のように「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から」「取得」したものではない。 また、特許異議Aにおいて提示された甲第2〜4号証、特許異議Bにおいて提示された甲第1〜5号証のいずれにも、「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する」との技術事項は記載されておらず、また、当該技術事項が本件特許出願の出願日前に当業者にとって周知であるとの合理的な理由も証拠もない。 してみると、特許異議A甲1発明において「TV広告の放映による検索数の増分」を得るために「(コンピュータが)測定する」構成を本件特許発明1のように「放映データ(「TV広告に関する何かしらの情報」)と検索スコア(「TV広告の放映による検索数の増分」)とが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から取得する」ように構成を変更することは当業者といえども容易になし得るものではない。 以上のとおりであるから、相違点1、2及び4について判断するまでもなく、本件特許発明1は、特許異議A甲1発明及び特許異議Aにおいて提示された甲第2〜4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2〜10について 本件特許発明2、7、8、9、10、請求項1又は2を引用する本件特許発明3〜6のいずれの発明にも、本件特許発明1が備える「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得」するという構成又は実質的に同様な構成が備わっているから、上記(1)の「イ 判断」で検討したのと同様の理由により、本件特許発明2、7、8、9、10、請求項1又は2を引用する本件特許発明3〜6は、特許異議A甲1発明及び特許異議Aにおいて提示された甲第2〜4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)特許異議Aについてのまとめ 以上、検討したとおり、本件特許発明1〜10は何れも、特許異議A甲1発明と同一とはいえず、また、特許異議A甲1発明と特許異議Aにおいて提示された甲第2〜4号証に記載された技術事項(周知技術)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、異議申立Aで申し立てた申立理由(特許法第29条第1項第3号(新規性)及び特許法第29条第2号(進歩性))は理由がない。 2 特許異議Bについて (1)本件特許発明1について(甲第1号証が主たる証拠の場合) ア 対比 本件特許発明1と特許異議B甲1発明とを対比する。 (ア)「TVCMの効果を分析するための方法であって、」について 特許異議B甲1発明に係る情報処理方法は、「放送局により放送されるテレビジョン放送番組」である「配信されたコンテンツに対する反応を高い精度で判定する」ものであり、「反応を高い精度で判定する」ことは、いわゆる、放送されたコンテンツが視聴者に与える効果(影響)を分析しているといえる。 してみると、本件特許発明1と特許異議B甲1発明は、「放送されたコンテンツの効果を分析するための方法」という点で共通している。一方、本件特許発明1と特許異議B甲1発明は、分析の対象となる「コンテンツ」を「TVCM」に特定しているか否かという点で相違している。 (イ)「コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、」について 特許異議B甲1発明においては、「情報処理装置11は、指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報を番組情報管理サーバ装置22から取得し、・・・途中省略・・・前記番組情報管理サーバ装置22は、情報処理装置11から番組検索データを受信し(検索受付)、番組検索データで指示される番組検索条件を満たす番組情報を記憶部から検索し、検索した番組情報を情報処理装置11に送信するものであり、前記番組検索条件は、番組情報を特定するための条件、例えば、その番組の放送時間、番組に関するキーワード情報、放送局情報、その番組の番組名、又はこれらの組み合わせであり、前記番組検索データは、解析対象の番組を検索(指示)するためのデータであり、情報処理装置11が備える制御部112は、端末装置31から通信I/F部118を介して番組検索データを受信」してもよいとの構成を踏まえると、前記「情報処理装置11」及び「端末装置31」は、それぞれ、本件特許発明1の「コンピュータ」及び「ユーザー端末」に対応する。 しかしながら、特許異議B甲1発明においては、「解析対象の番組を検索(指示)するためのデータ(番組検索データ)」の具体的内容は「その番組の放送時間、番組に関するキーワード情報、放送局情報、その番組の番組名、又はこれらの組み合わせであり」であり、本件特許発明1のように「会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである」ではない点で相違している。一方、コンピュータがユーザー端末から受信する入力について、本件特許発明1と特許異議B甲1発明は、「解析対象のコンテンツを指示するためのデータ」という点で共通しているといえる。 してみると、本件特許発明1と特許異議B甲1発明は、「コンピュータが、ユーザー端末から、解析対象のコンテンツを指示するためのデータを受信する」という点で共通し、ユーザー端末からの入力の具体的内容が相違している。 (ウ)「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、」について 特許異議B甲1発明の「情報処理装置11」は、「指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報[番組情報II]を番組情報管理サーバ装置22から取得」し、「[番組情報II]に含まれる」「[番組トピック情報III]を抽出」するのであるから、前記「指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報[番組情報II]」及び「[番組トピック情報III]」は、本件特許発明1の「前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データ」に対応する。 してみると、特許異議B甲1発明は、本件特許発明1の「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップ」に相当する構成を備えているといえる。 (エ)「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、」について 特許異議B甲1発明の「情報処理装置11」は、「指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報を番組情報管理サーバ装置22から取得し、取得した番組情報に基づいて、その番組情報に係る投稿情報を検索するための投稿検索条件を定め、投稿検索条件を満たす投稿情報を投稿情報管理サーバ装置21から取得し、取得した投稿情報に基づいて、その番組情報に関する投稿者の反応を解析し、解析した反応を示す反応情報(盛り上がりを示す盛り上がり情報)を生成」するものである。 本件特許発明1の「検索スコア」と特許異議B甲1発明の「投稿情報」は、放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応という観点においては類似した性質の情報といえるかもしれないが、両者は「検索エンジンに対して入力された情報」と「投稿サイトに投稿された情報」であって、技術的に異なるものであり、特許異議B甲1発明の「投稿サイト」は、「検索エンジン」に対してワードを入力し、検索するものではないから、特許異議B甲1発明には「検索スコア」という概念はない。 また、特許異議B甲1発明において、取得する「投稿情報」は、「放映データ」と関連付けて記憶している「コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体」から取得するものでもない。 したがって、特許異議B甲1発明は、本件特許発明1が備える「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップ」に相当する構成を備えていない。 (オ)「前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと、」について 特許異議B甲1発明の「情報処理装置11」は、「指示された条件(番組検索条件)を満たす番組情報を番組情報管理サーバ装置22から取得し、取得した番組情報に基づいて、その番組情報に係る投稿情報を検索するための投稿検索条件を定め、投稿検索条件を満たす投稿情報を投稿情報管理サーバ装置21から取得し、取得した投稿情報に基づいて、その番組情報に関する投稿者の反応を解析し、解析した反応を示す反応情報(盛り上がりを示す盛り上がり情報)を生成し、処理装置11が備える制御部112は、盛り上がり解析処理部122から入力された盛り上がり情報を通信処理部117及び通信I/F部118を介して、送信先として予め設定された端末装置31に送信する」ものであり、「情報処理装置11」が「端末装置31」に「送信する」ものは、「盛り上がり情報」であって、本件特許発明1が送信する「各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータ」とは異なる。 上記(エ)のとおり、特許異議B甲1発明の「投稿情報に基づいて、その番組情報に関する投稿者の反応を解析し、解析した反応を示す反応情報(盛り上がりを示す盛り上がり情報)」と、本件特許発明1の「検索スコア」は、「放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応に関するデータ」という点で共通する。 したがって、特許異議B甲1発明と本件特許発明1は、「前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応に関するデータを送信するステップ」を有する点で共通し、「放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応に関するデータ」が、本件特許発明1では、「前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータ」であるのに対し、特許異議B甲1発明では、「その番組情報に関する投稿者の反応を解析し、解析した反応を示す反応情報(盛り上がりを示す盛り上がり情報)」である点で相違する。 (カ)「前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、」 「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである」について 上記(エ)で言及したように、特許異議B甲1発明は、本件特許発明1の「検索スコア」を取得する構成を備えていないのであるから、本件特許発明1が備える「前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり」に相当する構成を備えていない。 また、特許異議B甲1発明の「キーワード」は、配信されたコンテンツに対する視聴者の反応である投稿情報を投稿情報管理サーバ装置21から収集するために用いられる情報であり、本件特許発明1のように検索エンジンに対して入力された検索数を得るためのものではない。 したがって、特許異議B甲1発明は、本件特許発明1が備える「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである」に相当する構成を備えていない。 したがって、本件特許発明1と特許異議B甲1発明は、 「配信されたコンテンツの効果を分析するための方法であって、 コンピュータが、ユーザー端末から、解析対象のコンテンツを指示するためのデータを受信するステップと、 前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、 前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応に関するデータを送信するステップと を含む、 方法。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 効果の分析を行う対象の「コンテンツ」が、本件特許発明1は、「TVCM」であるのに対し、特許異議B甲1発明は、「テレビジョン放送番組」である点。 (相違点2) 本件特許発明1は、効果の分析を行う対象であるTVCMを特定するためにユーザー端末から「会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれか」をコンピュータが受信しているのに対し、特許異議B甲1発明は、解析対象の番組を検索(指示)するために、「ユーザー端末」(端末装置31)から「その番組の放送時間、番組に関するキーワード情報、放送局情報、その番組の番組名、又はこれらの組み合わせ」を「コンピュータ」(情報処理装置11)が受信している点。 (相違点3) 本件特許発明1は、「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップ」を備えているのに対し、特許異議B甲1発明は、かかるステップに相当する構成を備えていない点。 (相違点4) 「放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応に関するデータ」が、本件特許発明1では、「前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータ」であるのに対し、特許異議B甲1発明では、「その番組情報に関する投稿者の反応を解析し、解析した反応を示す反応情報(盛り上がりを示す盛り上がり情報)」である点。 (相違点5) 本件特許発明1は、「前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、」「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである」との構成を備えているのに対し、特許異議B甲1発明は、かかる構成を備えていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、相違点3について検討する。 上記(エ)で言及したように、本件特許発明1の「検索スコア」と特許異議B甲1発明の「投稿情報」は、放送されたコンテンツに対する視聴者のインターネットでの反応という観点においては類似した性質の情報といえるかもしれないが、両者は「TVCM」について「検索エンジンに対して入力された情報」と「テレビジョン放送番組」について「投稿サイトに投稿された情報」という技術的には異なるものである。 そして、特許異議Bにおいて提示された甲第2〜7号証、特許異議Aにおいて提示された甲第1〜4号証のいずれにも、「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する」との技術事項は記載されておらず、また、当該技術事項が本件特許出願の出願日前に当業者にとって周知であるとの合理的な理由も証拠もない。 また、特許異議Bにおいて提示された甲第2〜5号証に「コンテンツを評価する際に検索数の増加を用いること」(異議申立Bの異議申立書第57ページ)、特許異議Aにおいて提示された甲第1号証に同様のことが記載されているとしても、特許異議B甲1発明において取得する情報を「投稿情報」から「検索数の増加(検索スコア)」に変更し、更にそのための構成を本件特許発明1のように「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する」構成に変更することは当業者といえども容易になし得るものではない。 以上のとおりであるから、相違点1、2、4および5について判断するまでもなく、本件特許発明1は、特許異議B甲1発明及び特許異議Bにおいて提示された甲第2〜7号証、特許異議Aにおいて提示された甲第1〜4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2〜10について 本件特許発明2、7、8、9、10、請求項1又は2を引用する本件特許発明3〜6のいずれの発明にも、本件特許発明1が備える「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得」するという構成又は実質的に同様な構成が備わっているから、上記(1)の「イ 判断」で検討したのと同様の理由により、本件特許発明2、7、8、9、10、請求項1又は2を引用する本件特許発明3〜6は、特許異議B甲1発明及び特許異議Bにおいて提示された甲第2〜7号証、特許異議Aにおいて提示された甲第1〜4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)特許異議Bについてのまとめ(その1) 以上、検討したとおり、本件特許発明1〜10は何れも、特許異議B甲1発明と特許異議Bにおいて提示された甲第2〜7号証、特許異議Aにおいて提示された甲第1〜4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、異議申立Bで申し立てた申立理由(特許異議B甲1発明を主たる証拠とした進歩性)についての主張には理由がない。 (4)本件特許発明1について(甲第2号証が主たる証拠の場合) ア 対比 本件特許発明1と特許異議B甲2発明とを対比する。 (ア)「TVCMの効果を分析するための方法であって、」について 特許異議B甲2発明に係る方法は、「所与の時間にラジオ局110で放送された広告の有効性を定量的に判定する方法」であり、「広告の有効性を定量的に判定する」ことは「CMの効果を分析」しているといえる。 してみると、本件特許発明1と特許異議B甲2発明は、「CMの効果を分析するための方法」という点で共通している。一方、本件特許発明1と特許異議B甲2発明は、CM(広告)が「TVCM」に特定されているか否かという点で一応相違している。 (イ)「コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、」について 特許異議B甲2発明においては、「相関エンジン105は、相関判定システム(CDS)245を含み、CDS245は、ラジオ局110、広告主端末115、およびネットワーク120から収集された入力である、広告に関連するメタデータ215、ラジオ局110または広告主端末115のいずれか、またはその両方から受信した広告放送時間220、ラジオ局110の放送区域225、例えばインターネット等のネットワーク120から収集された情報に基づく検索情報230および検索者情報235を受信」することができるのであり、前記「相関エンジン105」及び「広告主端末115」は、それぞれ、本件特許発明1の「コンピュータ」及び「ユーザー端末」に相当する。 また、特許異議B甲2発明の「広告主端末115」は、キーワードセッションのセットアップ画面において、「広告主に関連付けられたキーワード、広告に関連付けられたキーワード」を入力することができ、「相関エンジン105」の「CDS245」は、「レポートの形態で、ユーザ(広告主)に提供することができ、レポートは、相関データ250、広告を放送することによって生成されたインプレッションの数などを表す、グラフを含むメトリクスおよび関連する計算を含み」、「メトリックが、広告主関連キーワードのリフト率、広告情報関連キーワードのリフト率などを含み得る、サーチリフトの相関を含むことができ、例えば、広告が放送された際に、広告主のブランド名に関連するキーワードの検索に10%の増加が見られ、広告の内容に関連するキーワードの検索に5%の増加が見られたと判定することができる」ものである。 そうすると、特許異議B甲2発明では、広告主端末115から、ブランド名などの広告主に関連付けられたキーワード、又は、広告に関連付けられたキーワードを入力しているといえる。 よって、特許異議B甲2発明の「広告主端末115」が広告主からブランド名などの広告主に関連付けられたキーワード、又は、広告に関連付けられたキーワードを入力し、「相関エンジン105」で受信することは、本件特許発明1の「コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップ」に相当する。 (ウ)「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、」について 特許異議B甲2発明においては、「相関エンジン105は、相関判定システム(CDS)245を含み、CDS245は、ラジオ局110、広告主端末115、およびネットワーク120から収集された入力である、広告に関連するメタデータ215、ラジオ局110または広告主端末115のいずれか、またはその両方から受信した広告放送時間220、ラジオ局110の放送区域225、例えばインターネット等のネットワーク120から収集された情報に基づく検索情報230および検索者情報235を受信」することができる。 ここで、本件特許明細書の【0027】の「データベース104には、放映された過去のTVCMに関する放映データが記憶されている。放映データは、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含む。ここで、放映時刻は、放映開始日時及び放映終了日時を含んでもよく、TVCMの長さが30秒であれば放映終了日時は放映開始日時の30秒後となる。これは一定の期間であるものの、分単位等の一定の単位でみればある時点であり、放映時刻と表現する。また、放映データは、TVCMが放映された地域情報を含んでもよい。地域情報としては、都道府県名、関東・中京等の地域名、TVCMを放映した放映局名等が挙げられる。」なる記載を参酌すると、本件特許発明1の「放映データ」には「放送時刻」や「TVCMが放映された地域情報」が含まれるのであるから、特許異議B甲2発明の上記(イ)の広告主端末115から入力される「広告主からブランド名などの広告主に関連付けられたキーワード、又は、広告に関連付けられたキーワード」により検索対象となる、広告に付与された「コンテンツの種類、好ましい放送時間などの、広告に関連するメタデータ215などを含む広告情報205」と、本件特許発明1の「TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名」などの「放映データ」とは、「放送データ」である点で共通する。 よって、特許異議B甲2発明の「相関エンジン105」が、広告主端末115から入力されたキーワードにより検索される広告に付与された「広告に関連するメタデータ215などを含む広告情報」を受信することと、本件特許発明1の「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップ」とは、「前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放送データを取得するステップ」である点で共通する。 (エ)「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、」について 特許異議B甲2発明において、「履歴データ240」は「検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報も含み得、さらに、検索の頻度は、時間的粒度、例えば、毎秒、毎分、毎時、毎日、毎週、毎月などで収集および維持することができる」こと、相関エンジン105が含む「CDS245」は「履歴データ240に動作可能に結合されて」おり、また「特に広告が放送された時間の間および実質的に近い時間に、広告された製品およびサービスに関連する任意のサーチリフトを識別することができる」こと等を考慮すると、「履歴データ240」には、「検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報」を含み、「広告された製品およびサービスに関連する情報」や「時間(時刻)情報」との関連を、キーワードや時間により特定するものと解される。そうすると、「履歴データ240」には、「トピックに対する検索の頻度」が記憶されているが、記憶された「トピックに対する検索頻度」が「広告された製品およびサービスに関連する情報や時間(時刻)情報」に関連付けられたものではないと解される。 また、前記「広告された製品およびサービスに関連する情報や時間(時刻)情報」は、本件特許発明1の「放映データ」に対応し、前記「履歴データ240」を記憶する記憶手段は、本件特許発明1の「コンピュータの記憶部」に対応する。そして、前記「トピックに対する検索の頻度」は「検索に関する情報」という概念で本件特許発明1の「検索スコア」と共通している。 してみると、本件特許発明1と特許異議B甲2発明とは、「前記コンピュータが、検索に関する情報が記憶された前記コンピュータの記憶部から、各放送データに含まれる放送時刻における検索に関する情報を取得するステップ」を備えるという点で共通しており、一方、本件特許発明1の「検索スコア」に対応するものは、下記(オ)で言及するように特許異議B甲2発明の「サーチリフト」であり、本件特許発明1の「検索スコア」と特許異議B甲2発明の「トピックに対する検索の頻度」は異なるものであるから、特許異議B甲2発明の「履歴データ240」として、本件特許発明1の「検索スコア」に対応する「サーチリフト」は記憶されておらず、また、それに伴って「履歴データ240」から「各放送データに含まれる放送時刻における検索スコアを取得」していない点で相違している。 (オ)「前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと、」について 特許異議B甲2発明においては、「CDS245は、特に広告が放送された時間の間および実質的に近い時間に、広告された製品およびサービスに関連する任意のサーチリフトを識別することができ、サーチリフトと、ネットワーク上で生成されたインプレッションの数との間の定量的関係を生成し、生成されたインプレッションの数は、広告に関する情報を含むウェブサイトのウェブページ上のヒット数、広告に関連する検索クエリのインターネット上の検索の数、またはその両方を含むものであり、定量的関係を相関データ250に転送し、その後、相関データ250は、広告主端末115に提供」されるのであって、「相関データ250を含むCDS245によって収集された情報は、例えば、レポートの形態で、ユーザ(広告主)に提供することができ、レポートは、相関データ250、広告を放送することによって生成されたインプレッションの数などを表す、グラフを含むメトリクスおよび関連する計算を含み得るものであって、広告を放送することの有効性を表す相関データ250には、分析データと広告キャンペーンとの相関、サーチリフトと広告キャンペーンとの相関、コールトラッキング/レポートと広告キャンペーンとの相関などが含まれる」ものである。 ここで、前記「サーチリフト」とは「ある時点でのあるトピックに関連する検索頻度の、その時点でのそのトピックの平均頻度に対する増加を表すことができ、平均頻度は、過去数年間に収集されたデータから算出することができるもの」であるから、本件特許発明1の「検索スコア」に対応する。 してみると、特許異議B甲2発明は、本件特許発明1が備える「前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップ」に相当する構成を備えているといえる。 (カ)「前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、」について 特許異議B甲2発明における「CDS245は、特に広告が放送された時間の間および実質的に近い時間に、広告された製品およびサービスに関連する任意のサーチリフトを識別することができ、サーチリフトと、ネットワーク上で生成されたインプレッションの数との間の定量的関係を生成し、生成されたインプレッションの数は、広告に関する情報を含むウェブサイトのウェブページ上のヒット数、広告に関連する検索クエリのインターネット上の検索の数、またはその両方を含むものであり」、「サーチリフトは、ある時点でのあるトピックに関連する検索頻度の、その時点でのそのトピックの平均頻度に対する増加を表すことができ、平均頻度は、過去数年間に収集されたデータから算出することができるものであり」、「広告とインターネット検索の関連性は、検索エンジンによって提供されるウェブページで入力された検索クエリを、広告に関連するメタデータに含めることができる広告に関連する1つ以上のキーワードと比較することを含む方法によって判定することができ」等の構成を踏まえると、前記「広告に関連するメタデータに含めることができる広告に関連する1つ以上のキーワード」は、本件特許発明1の「第1のワード」に対応する。そして、前記「その時点」は本件特許発明1の「ある時点の以後又は後の第1の期間」に対応し、前記「過去数年間」は同「前記ある時点の以前又は前の第2の期間」に対応する。また、上記(オ)で言及したように、前記「サーチリフト」は本件特許発明1の「検索スコア」に対応する。 してみると、特許異議B甲2発明は、本件特許発明1が備える「前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、」に相当する構成を備えているといえる。 (キ)「前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである」について 特許異議B甲2発明の「キーワード」は、「広告に関連するメタデータに含めることができる広告に関連する1つ以上」のものであるから、本件特許発明1と特許異議B甲2発明は、「前記第1のワードは、各放映データの対象とするCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワードである」という点で共通している。一方、本件特許発明1と特許異議B甲2発明は、上記(ア)と同様に、CM(広告)が「TVCM」に特定されているか否かという点で一応相違している。 したがって、本件特許発明1と特許異議B甲2発明は、 「CMの効果を分析するための方法であって、 コンピュータが、ユーザー端末から、会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力を受信するステップと、 前記コンピュータが、前記入力に関連づけられた1又は複数の放送データを取得するステップと、 前記コンピュータが、検索に関する情報が記憶された前記コンピュータの記憶部から、各放送データに含まれる放映時刻における検索に関する情報を取得するステップと、 前記コンピュータが、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放送データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放送データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと を含み、 前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値であり、 前記第1のワードは、各放送データの対象とするCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワードである。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 「放送」及び「放送データ」が、本件特許発明1は、TVの「放映」、「放映データ」であるのに対し、特許異議B甲2発明では、ラジオ局の「放送」、「放送データ」であり、また、効果を分析する対象である「CM(広告)」が、本件特許発明1は「TVCM」であるのに対し、特許異議B甲2発明は「ラジオ局で放送された広告」である点。 (相違点2) 「コンピュータの記憶部」に記憶された「検索に関する情報」が、本件特許発明1では、「放映データ」と関連づけられたものであるのに対し、特許異議B甲2発明では関連づけられておらず、また、「検索に関する情報」が、本件特許発明1では、「検索スコア」であるのに対し、特許異議B甲2発明では、本件特許発明1の「検索スコア」に対応する「サーチリフト」は記憶されておらず、また、それに伴って「履歴データ240」から「各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得」していない点。 イ 判断 事案に鑑みて、相違点2について検討する。 特許異議B甲2発明において、「サーチリフトは、ある時点でのあるトピックに関連する検索頻度の、その時点でのそのトピックの平均頻度に対する増加を表すことができ、平均頻度は、過去数年間に収集されたデータから算出することができるもの」であるから、前記「平均頻度」は「履歴データ240に記憶されている情報」を用いて「算出」されると解される。 そうすると、CDS245は、「(広告された製品およびサービスに関連する任意の)サーチリフト」を「相関エンジン105がラジオ局110で広告が放映されるのに続いて、広告に関連する検索についてネットワーク120を監視して収集した検索情報230」と「履歴データ240に記憶されている情報を用いて算出される平均頻度」を用いて「識別(生成)」していると解される。 してみると、特許異議B甲2発明の「履歴データ240」には「サーチリフト」は記憶されていない。そして、特許異議B甲2発明においては「履歴データ240」に「検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報」が記憶されていれば「サーチリフト」を「識別(生成)」するのに十分であり、あえて「履歴データ240」に「サーチリフト」を記憶するように構成を変更する動機はない。 また、「履歴データ240」から、放送データに基づいて「検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報」を検索することは想定されていないから、「放送データ」と「検索のトピック、トピックに対する検索の頻度、検索頻度からの乖離、乖離の原因などを含む過去の情報」を関連付けて記憶する動機もない。 したがって、特許異議B甲2発明の「履歴データ240」に係る構成を本件特許発明1のように「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する」構成に変更することは当業者といえども容易になし得るものではない。 そして、上記(1)で検討したように特許異議Bにおいて提示された甲第1号証には「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する」との技術事項は記載されておらず、また、当該技術事項が本件特許出願の出願日前に当業者にとって周知であるとの合理的な理由も証拠もない。また、特許異議Bにおいて提示された甲第3〜7号証についても同様である。 以上のとおりであるから、相違点1について判断するまでもなく、本件特許発明1は、特許異議B甲2発明及び特許異議Bにおいて提示された甲第1号証及び甲第3〜7号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件特許発明2〜10について 本件特許発明2、7、8、9、10、請求項1又は2を引用する本件特許発明3〜6のいずれの発明にも、本件特許発明1が備える「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得」するという構成又は実質的に同様な構成が備わっているから、上記(4)の「イ 判断」で検討したのと同様の理由により、本件特許発明2、7、8、9、10、請求項1又は2を引用する本件特許発明3〜6は、特許異議B甲2発明及び特許異議Bにおいて提示された甲第1号証及び甲第3〜7号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)特許異議Bについてのまとめ(その2) 以上、検討したとおり、本件特許発明1〜10は何れも、特許異議B甲2発明及び特許異議Bにおいて提示された甲第1号証及び甲第3〜7号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、異議申立Bで申し立てた申立理由(特許異議B甲2発明を主たる証拠とした進歩性)についての主張には理由がない。 (7)記載不備に関する申立理由について ア 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)(特許異議Bの申立書第91〜94ページ) (ア)「入力」と無関係の「検索スコア」が含まれること(i−i)に関する主張について 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「装置100は、ユーザー端末110から入力を受信する(S201)。入力としては、自社又は他社の会社名又はその略称、自社又は他社の商品等の名称又はその略称等が挙げられる。(【0026】) ・・・途中省略・・・ 装置100は、受信した入力に関連づけられた1又は複数の放映データをデータベース104から取得する(S202)。たとえば、ユーザー端末110から競合の商品名が入力された場合、当該商品名を含む1又は複数の放映データを抽出すればよい。(【0028】) ・・・途中省略・・・ 次いで、装置100は、取得された各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する(S203)。データベース104には、各放映データについて、あらかじめ検索スコアを算出して、当該放映データと関連づけて記憶しておくことができる。(【0029】)」との記載を参酌すると、装置100はユーザー端末110からの「入力」に対応する各放映データに含まれる放映時刻における「検索スコア」を取得していることが理解できる。 よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 してみると、「請求項1の構成1Dには「各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する」と記載されているが、ここで取得する「検索スコア」は、ユーザーからの「入力」に対応する「検索スコア」に限定されておらず、「全ての第1のワード」に関する「検索スコア」である。」と解釈に基づく異議申立人の主張は、実施可能要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 (イ)「放映データに含まれる項目」が不明であること(i−ii)に関する主張について 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「データベース104には、放映された過去のTVCMに関する放映データが記憶されている。放映データは、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含む。ここで、放映時刻は、放映開始日時及び放映終了日時を含んでもよく、TVCMの長さが30秒であれば放映終了日時は放映開始日時の30秒後となる。これは一定の期間であるものの、分単位等の一定の単位でみればある時点であり、放映時刻と表現する。また、放映データは、TVCMが放映された地域情報を含んでもよい。地域情報としては、都道府県名、関東・中京等の地域名、TVCMを放映した放映局名等が挙げられる。(【0027】) 装置100は、受信した入力に関連づけられた1又は複数の放映データをデータベース104から取得する(S202)。たとえば、ユーザー端末110から競合の商品名が入力された場合、当該商品名を含む1又は複数の放映データを抽出すればよい。この際、装置100は、略称を含めて商品名の表記揺れが想定される場合には各商品の表記候補を関連づけて記憶しておき、必要に応じて補正をしてもよい。放映データに含まれる項目については、商品などの名称以外についても同様に補正を行うことが考えられる。(【0028】) ・・・途中省略・・・ そして、装置100は、ユーザー端末110に、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部及び各放映データに関連づけられた検索スコアを送信する(S204)。(【0031】) ここで、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部として、たとえばTVCMのクリエイティブ識別子を送信すれば、ユーザー端末110は、クリエイティブ識別子ごとに検索スコアを演算して、クリエイティブの違いによる効果を分析することができる(S205)。ここで、検索スコアに対して施す演算としては、合計値、平均値、中央値、標準偏差の算出等が挙げられる。これらの演算の際に、外れ値の除外を行ってもよい。必要に応じてデータベース104を参照することで、各放映データで表されるTVCMの広告費が判定又は推定可能であれば、演算として、広告費に対する検索スコアの費用対効果の算出も挙げられる。さらに放映時刻も送信すれば、横軸に時間、縦軸に検索スコアをとり、クリエイティブ識別子ごとの効果をグラフとして可視化することができる。(【0032】) 」と記載されている。 してみると、「放映データに含まれる項目」について上記下線のとおり例示されているから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 したがって、本件特許発明1において「放映データに含まれる項目」の内容が特定されていないとの解釈に基づく異議申立人の主張は、実施可能要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 (ウ)異なる概念の「放映データ」が区別されていないこと(i−iii)に関する主張について 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「データベース104には、放映された過去のTVCMに関する放映データが記憶されている。放映データは、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含む。ここで、放映時刻は、放映開始日時及び放映終了日時を含んでもよく、TVCMの長さが30秒であれば放映終了日時は放映開始日時の30秒後となる。これは一定の期間であるものの、分単位等の一定の単位でみればある時点であり、放映時刻と表現する。また、放映データは、TVCMが放映された地域情報を含んでもよい。地域情報としては、都道府県名、関東・中京等の地域名、TVCMを放映した放映局名等が挙げられる。(【0027】) 装置100は、受信した入力に関連づけられた1又は複数の放映データをデータベース104から取得する(S202)。たとえば、ユーザー端末110から競合の商品名が入力された場合、当該商品名を含む1又は複数の放映データを抽出すればよい。この際、装置100は、略称を含めて商品名の表記揺れが想定される場合には各商品の表記候補を関連づけて記憶しておき、必要に応じて補正をしてもよい。放映データに含まれる項目については、商品などの名称以外についても同様に補正を行うことが考えられる。 ・・・以下省略・・・(【0028】) 次いで、装置100は、取得された各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する(S203)。データベース104には、各放映データについて、あらかじめ検索スコアを算出して、当該放映データと関連づけて記憶しておくことができる。(【0029】)」と記載されており、当該「放映データ」は「放映された過去のTVCMに関するものであり、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子などの項目を含んでおり、更に、あらかじめ算出された検索スコアが関連付けられてデータベース104に記憶されているもの」であることが明確に理解できる。 よって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 したがって、本件特許発明1において、「異なる概念の「放映データ」が区別されていない」との解釈に基づく異議申立人の主張は、実施可能要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 (エ)「取得した検索スコア」と「送信される検索スコア」とが関係づけられていないこと(i−iv)に関する主張について 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「装置100は、ユーザー端末110から入力を受信する(S201)。入力としては、自社又は他社の会社名又はその略称、自社又は他社の商品等の名称又はその略称等が挙げられる。(【0026】) ・・・途中省略・・・ データベース104には、放映された過去のTVCMに関する放映データが記憶されている。放映データは、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含む。(【0027】) ・・・途中省略・・・ 装置100は、受信した入力に関連づけられた1又は複数の放映データをデータベース104から取得する(S202)。たとえば、ユーザー端末110から競合の商品名が入力された場合、当該商品名を含む1又は複数の放映データを抽出すればよい。(【0028】) ・・・途中省略・・・ 次いで、装置100は、取得された各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する(S203)。データベース104には、各放映データについて、あらかじめ検索スコアを算出して、当該放映データと関連づけて記憶しておくことができる。(【0029】) ・・・途中省略・・・ そして、装置100は、ユーザー端末110に、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部及び各放映データに関連づけられた検索スコアを送信する(S204)。(【0031】)」と記載され、上記S203で取得した「検索スコア」とS204でユーザー端末110に送信する「検索スコア」とは同じものであることが明確に理解できる。 よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。 したがって、「請求項1では、構成1Eおける「ユーザー端末に送信される検索スコア」は、構成1Dにおける「取得した検索スコア」とは無関係なものとして記載されている。」との解釈に基づく異議申立人の主張は、実施可能要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 イ 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)(特許異議Bの申立書第94〜96ページ) (ア)「入力」と無関係の「検索スコア」が含まれること(ii−i)に関する主張について 本件特許発明1の構成1Dにおける「放映データと検索スコアとが関連付けられた」「記憶部」等から取得される「各放映データに含まれる放映時刻における検索スコア」は、「会社名、商品名、サービス名又はブランド名のいずれかである入力」に関連付けられた「放映データ」に関連付けられた「検索スコア」である。 そして、上記ア(ア)で言及したように、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0026】〜【0029】の記載を参酌すると、装置100はユーザー端末110からの「自社又は他社の会社名又はその略称、自社又は他社の商品等の名称又はその略称等」の「入力」に対応する各放映データに含まれる放映時刻における「検索スコア」を取得していることが理解できる。 よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、「本件特許発明1は、ユーザーからの「入力」とは無関係の「第1のワード」に起因する「検索スコア」を含んだ「膨大な検索スコア」を取得する。この「膨大な検索スコア」は、ユーザーからの「ユーザーに対応した「検索数の増加を表す値」ではない」との解釈に基づく異議申立人の主張は、サポート要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 (イ)「放映データに含まれる項目」が不明であること(ii−ii)に関する主張について 上記ア(イ)で言及したように、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0027】、【0028】、【0031】、【0032】に、「放映データ」が、「放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含」み、「放映時刻は、放映開始日時及び放映終了日時を含んでもよく」、「TVCMが放映された地域情報を含んでもよい」と記載され、「ユーザー端末110」に「放映データに含まれる項目の少なくとも一部を送信」し、一例として、「TVCMのクリエイティブ識別子」、「放映時刻」が記載されているから、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、本件特許発明1における構成要件1Eのコンピュータが各放映データに関連付けられた検索スコアとともにユーザー端末に送信する項目は、「放映データに含まれる項目」のうち任意の項目でよいのであるから、本件特許発明1において「放映データに含まれる項目」の内容が特定されていないとの解釈に基づく異議申立人の主張は、サポート要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 (ウ)異なる概念の「放映データ」が区別されていないこと(ii−iii)に関する主張について 本件特許発明1の構成1Cにおいて取得される「放映データ」は、「入力に関連づけられた」「複数の放映データ」であり、構成1Dにおける「放映データ」は、「放映データと検索スコアとが関連付けられた」「記憶部」等から「検索スコア」を取得する対象となる「各放映データ」であるから、構成1Cの「複数の放映データ」と構成1Dの「各放映データ」とで意味するところに違いはない。 上記ア(ウ)で言及したように、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0027】〜【0029】には、「放映データ」は「放映された過去のTVCMに関するものであり、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子などの項目を含んでおり、更に、あらかじめ算出された検索スコアが関連付けられてデータベース104に記憶されているもの」であることが記載されている。 よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、本件特許発明1において「異なる概念の「放映データ」が区別されていない」との解釈に基づく異議申立人の主張は、サポート要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 (エ)「取得した検索スコア」と「送信される検索スコア」とが関係づけられていないこと(ii−iv)に関する主張について 本件特許発明1の構成1Cにおいて取得される「放映データ」は、「入力に関連づけられた」「複数の放映データ」であるところ、構成1Dにおいて取得される「検索スコア」は、「放映データと検索スコアとが関連付けられた」「記憶部」等から取得される「各放映データに含まれる放映時刻における検索スコア」であり、構成1Eにおいて送信される「検索スコア」は、「各放映データに関連づけられた検索スコア」であるから、両「検索スコア」はいずれも、「入力に関連づけられた」「放映データ」に関連づけられた「検索スコア」であって、その意味するところに差異はない。 そして、上記ア(エ)で言及したように、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0026】〜【0031】の記載を参酌すると、S203で取得した「検索スコア」とS204でユーザー端末110に送信する「検索スコア」とは同じものであることが明確である。 よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、「本件特許発明1は、構成1Dで「検索スコア」を取得するものの、その「検索スコア」を利用することなく、他の「検索スコア」をユーザー端末に送信するように構成されている」との解釈に基づく異議申立人の主張は、サポート要件違反の主張として前提において誤っており、理由がない。 ウ 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)(特許異議Bの申立書第96〜97ページ) (ア)構成1Dにおける「検索スコアの取得」に関して(iii−i)の主張について 本件特許発明1の構成要件1Dの「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップ」について、「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータ」の記憶部等から、「各放映データに含まれる放映時刻における検索スコア」を取得するのであるから、記憶部等には、「放映時刻を含む放映データ」と「検索スコア」とが関連付けて記憶されていることは明らかである。 したがって、本件特許発明1は、明確である。 よって、「請求項1には、「放映時刻と検索スコアとの関連付けが定められたデータベースを記憶している記憶部」などは記載されておらず、「放映データと放映時間との対応関係」についても特定されていない。」との異議申立人の主張は、理由がない。 (イ)構成1Dにおける「放映データと検索スコアとが関連付けられたコンピュータの記憶部」に関して(iii−ii)の主張について 本件特許発明1の構成1Dは、「前記コンピュータが、放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部又は前記コンピュータからアクセス可能な記憶装置若しくは記憶媒体から、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップ」であり、「コンピュータ」が「記憶部」等から、「各放映データに含まれる放映時刻における検索スコア」を取得するから、取得される「検索スコア」は、「放映データ」に関連づけられたものであって、「コンピュータの記憶部」等に記憶されていることは明らかである。 よって、「放映データと検索スコアとが関連付けられた前記コンピュータの記憶部」等の記載は、放映データと検索スコアとが関連付けられて記憶されている、コンピュータの記憶部等を意味するものであり、他の解釈の余地はない。 したがって、本件特許発明1は、明確である。 よって、本件特許発明1の「放映データと検索スコアとが関連付けられたコンピュータの記憶部」は、「関連付けられているのが何と何であるのか、複数の解釈が可能で有り、どのような構成を表しているのか不明である。」 との異議申立人の主張は理由がない。 エ 請求項2〜10についても請求項1と同様に実施可能要件、サポート要件、明確性要件に違反しているとの主張について(特許異議Bの申立書第97〜98ページ) 上記ア、イ、ウで検討したとおり、請求項1に従属する請求項3〜6及び請求項1と同様の記載を含んでいる請求項2、7、8、9についても実施可能要件、サポート要件、明確性要件に違反していない。 よって、異議申立人の主張は理由がない。 (8)特許異議Bについてのまとめ(その3) 以上、検討したとおり、異議申立Bで申し立てた申立理由(特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)、特許法第36条第6項1号(サポート要件違反)、特許法第36条第6項2号(明確性要件違反))は理由がない。 (9)特許異議Bについてのまとめ 上記(3)、(6)、(8)で示したとおり、異議申立Bで申し立てた申立理由(特許法第29条第2項(進歩性)、特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)、特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)、特許法第36条第6項第2号(明確性要件違反))は理由がない。 第6 むすび したがって、特許異議Aの理由及び証拠又は特許異議Bの理由及び証拠によっては、請求項1〜10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1〜10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2023-02-13 |
出願番号 | P2021-122338 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(G06Q)
P 1 651・ 121- Y (G06Q) P 1 651・ 113- Y (G06Q) P 1 651・ 536- Y (G06Q) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
高瀬 勤 |
特許庁審判官 |
佐藤 智康 後藤 亮治 |
登録日 | 2022-03-14 |
登録番号 | 7041311 |
権利者 | ノバセル株式会社 |
発明の名称 | TVCMの効果を分析するための装置、方法及びそのためのプログラム |
代理人 | 弁理士法人六本木通り特許事務所 |