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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E01C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E01C
管理番号 1397151
総通号数 17 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-13 
確定日 2023-02-16 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6846829号発明「ハンドガイドローラ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6846829号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−7〕について訂正することを認める。 特許第6846829号の請求項1、2及び4〜7に係る特許を取り消す。 特許第6846829号の請求項3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6846829号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜7に係る特許についての出願は、令和元年9月10日に出願され、令和3年3月4日にその特許権の設定登録がされ、令和3年3月24日に特許掲載公報が発行された。

本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和3年7月13日 : 特許異議申立人 伊藤 裕美(以下「申立人」という。)による請求項1〜7に係る特許に対する特許異議の申立て
令和4年3月 7日付け: 取消理由通知
同年4月27日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年6月16日 : 申立人による意見書の提出
同年8月29日付け: 取消理由通知(決定の予告)(以下、「決定の予告」という。)
なお、令和4年8月29日付けで決定の予告を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかった。


第2 本件訂正の適否
1 訂正の内容
令和4年4月27日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を訂正することを求めるものであり、次の(1)の本件訂正前の特許請求の範囲の記載を、後記(2)の本件訂正後の特許請求の範囲の記載のとおり訂正するものである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記第1カバーは、前記第1カバーの上面から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる側面を有し、
前記側面には、通気孔が形成されていることを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項2】
前記ハンドガイドローラを吊り上げるための吊りフックであって、前記ベースフレームに固定された吊りフックをさらに備え、
前記吊りフックは、前記側面と前記エンジンの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のハンドガイドローラ。
【請求項3】
ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップを有し、
前記第1カバーは、前記燃料油キャップを露出可能な露出孔を有するメインカバーと、前記メインカバーに取り付けられ、前記露出孔を覆うサブカバーとを有してなることを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項4】
前記ベースフレームの後部から延びた操作ハンドルをさらに備え、
前記操作ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項5】
前記エンジンは、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップを有し、
前記第2カバーの上面は、前記冷却水キャップの上面より下に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項6】
前記ベースフレームの前部に位置する作動油タンクをさらに備え、
前記第1カバーは、上から見て、前記作動油タンクと重なっていないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項7】
前記第1カバーは、前記第2カバーと別体であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。」

(2) 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から獲い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記第1カバーは、前記第1カバーの上面の右端から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、前記第1カバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、
前記第1の側面には、通気孔が形成されており、
前記第2の側面は、前記エンジンのレギュレータの放熱板に対向するスリット形状の孔を有していることを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項2】
前記ハンドガイドローラを吊り上げるための吊りフックであって、前記ベースフレームに固定された吊りフックをさらに備え、
前記吊りフックは、前記第1の側面と前記エンジンの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のハンドガイドローラ。
【請求項3】
ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップと、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップとを有し、
前記第1カバーは、
前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、
前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーと
を有してなり、
前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出することを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項4】
前記ベースフレームの後部から延びた操作ハンドルをさらに備え、
前記操作ハンドルは、上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、前記操作ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有し、
前記操作ハンドルの右端である前記操舵ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項5】
前記エンジンは、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップを有し、
前記第2カバーの上面は、前記冷却水キャップの上面より下に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項6】
前記ベースフレームの前部に位置する作動油タンクをさらに備え、
前記第1カバーは、上から見て、前記作動油タンクと重なっていないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項7】
前記第1カバーは、前記第2カバーと別体であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。」

(3) 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次の訂正事項1から訂正事項4である。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第1カバーは、前記第1カバーの上面から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる側面を有し、
前記側面には、通気孔が形成されている」と記載されているのを、
「前記第1カバーは、前記第1カバーの上面の右端から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、前記第1カバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、
前記第1の側面には、通気孔が形成されており、
前記第2の側面は、前記エンジンのレギュレータの放熱板に対向するスリット形状の孔を有している」に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項2、4〜7も同様に訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記吊りフックは、前記側面と前記エンジンの間に位置する」と記載されているのを、
「前記吊りフックは、前記第1の側面と前記エンジンの間に位置する」に訂正する。
また、請求項2の記載を引用する請求項4〜7も同様に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップを有し、
前記第1カバーは、前記燃料油キャップを露出可能な露出孔を有するメインカバーと、前記メインカバーに取り付けられ、前記露出孔を覆うサブカバーとを有してなる」と記載されているのを、
「前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップと、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップとを有し、
前記第1カバーは、
前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、
前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーと
を有してなり、
前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出する」に訂正する。
また、請求項3の記載を引用する請求項4〜7も同様に訂正する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記ベースフレームの後部から延びた操作ハンドルをさらに備え、
前記操作ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」と記載されているのを、
「前記ベースフレームの後部から延びた操作ハンドルをさらに備え、
前記操作ハンドルは、上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、前記操作ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有し、
前記操作ハンドルの右端である前記操舵ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」に訂正する。
また、請求項4の記載を引用する請求項5〜7も同様に訂正する。

(4) 訂正の単位について
本件訂正前の請求項1、2、4〜7について、訂正前の請求項2、4〜7は請求項1の記載を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
本件訂正前の請求項2、4〜7について、訂正前の請求項4〜7は請求項2の記載を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
本件訂正前の請求項3〜7について、訂正前の請求項4〜7は請求項3の記載を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項3に連動して訂正されるものである。
本件訂正前の請求項4〜7について、訂正前の請求項5〜7は請求項4の記載を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項4に連動して訂正されるものである。
そして、訂正前の請求項1、2、4〜7と、訂正前の請求項3〜7は、共通する請求項4〜7を介して、一体として連関しているから、訂正前の請求項1〜7は、特許法120条の5の4項に規定する一群の請求項である。
したがって、訂正事項1〜4による訂正は、一群の請求項[1−7]についてするものである。

2 本件訂正の適否についての判断
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「第1カバー」が「前記第1カバーの上面から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる側面を有し、
前記側面には、通気孔が形成されている」ことを特定していたのを、「前記第1カバーの上面の右側から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、前記第1カバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、
前記第1の側面には、通気孔が形成されており、
前記第2の側面は、前記エンジンのレギュレータの放熱板に対向するスリット形状の孔を有している」ものに限定するものである。
同様に、訂正後の請求項2、4〜7は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、前記と同様の点を限定したものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
訂正事項1に係る「第1カバー」について段落【0035】、【図4】及び【図7】に記載され、「第1カバー」の「第1の側面」について段落【0037】に記載され、「第2カバー」の「第2の側面」について段落【0038】に記載されている。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許についての出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正により訂正後の請求項1に記載された「第1の側面」と、訂正前の請求項2に記載された「前記側面」の記載との整合を図り、「前記第1の側面」として記載を明瞭にした訂正である。
同様に、訂正後の請求項4〜7は、請求項2の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、前記と同様の点の記載を明瞭にしたものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載を釈明を目的とするものに該当する。

新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
訂正事項2に係る「第1カバー」の「第1の側面」に係る記載が段落【0035】、【0037】に記載されている。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(3) 訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3の「エンジン」が「前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップを有し」、「第1カバー」が「前記燃料油キャップを露出可能な露出孔を有するメインカバーと、前記メインカバーに取り付けられ、前記露出孔を覆うサブカバーとを有してなる」ものであるのを、各々を「前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップと、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップとを有(し)」するもの、
「前記第1カバーは、
前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、
前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーと
を有してなり、
前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出する」ものに限定するものである。
同様に、訂正後の請求項4〜7は、請求項3の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、前記と同様の点を限定したものである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
訂正事項3に係る「エンジン」について段落【0024】に記載され、「第1カバー」について段落【0034】、【0046】、【図5】に記載されている。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(4) 訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項4の「操作ハンドル」が「前記操作ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」ものを、
「前記操作ハンドルは、上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、前記操作ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有し、
前記操作ハンドルの右端である前記操舵ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」ものに限定するものである。
同様に、訂正後の請求項5〜7は、請求項4の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、前記と同様の点を限定したものである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
訂正事項4に係る「操作ハンドル」について段落【0029】、【図1】〜【図3】に記載されている。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(5) 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とし、同法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条5項又は6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−7〕について訂正することを認める。


第3 本件特許に係る発明
前記第2において説示したとおり、本件訂正が認められたことから、本件特許の請求項1〜7に係る発明(以下「本件発明1」等といい、全体の発明を「本件発明」という。)は、それぞれ、訂正特許請求の範囲(前記第2の1(2)参照)の請求項1〜7に記載されたとおりのものである。


第4 取消理由(決定の予告)に記載した取消理由、証拠及び判断について
1 取消理由(決定の予告)の概要
当審合議体が令和4年8月29日付け取消理由通知書(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の趣旨は次のとおりである。

本件特許の請求項1、2及び4〜7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明、周知技術、並びに技術常識に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

[証拠]
甲第1号証 「MODEL HV301/ 301D VIBRATING ROLLERS」、酒井重工業株式會社
甲第2号証 「ハンドガイド振動ローラ ふみ丸シリーズ HV201
HV301 HV401 HV501 HV201D HV301D
HV401D HV501D」、酒井重工業株式會社
甲第3号証 「

」(当審による翻訳文:「ソイルコンパクター SAKAIモデル hv301D、KUBOTAディーゼルエンジン、単気筒、良好な状態、中古、本物の日本製を販売しています。」)、YouTube、2018年3月17日、
URL:https://www.youtube.com/watch?v=zY5fDv-cUkE
甲第4号証 「HV301/HV301D 振動ローラ 取扱説明書」、
酒井重工業株式會社、平成4年5月発行
以下、各甲号証を「甲1」等と略すことがある。

<周知技術・技術常識として示した文献>
引用文献1:特開2001−294139号
引用文献2:特開2017−2495号
引用文献3:特開2016−89333号
引用文献4:特開2015−67161号

2 取消理由(決定の予告)に採用した証拠について
(1) 甲1〜4に係る発明の公然実施性について
甲1〜4の以下の記載等からみて、甲1〜4はいずれも酒井重工業株式會社の「HV301D」に係るものであって、当該「HV301D」に係る発明は本件特許出願前に公然実施されたものと認められる。
ア 甲1
(ア)「パーツカタログのご使用について」(2枚目1行)

(イ)「MODEL HV301/ 301D VIBRATING ROLLERS
May−1993
酒井重工業株式會社
・・・
1993.5.500○1(当審注:「○1」は丸数字の1を表す。以下同様。)C.D」(最終頁下部)

イ 甲2
(ア)「ハンドガイド振動ローラ
ふみ丸シリーズ
HV201 HV301 HV401 HV501
HV201D HV301D HV401D HV501D」(1枚目右側1〜4行)

(イ)「酒井重工業株式會社
・・・
19920514−○1−5○TCat.No.0920441728」(1枚目左側下部)

ウ 甲3
(ア)「

」(なお、図中の枠は申立人が付したものである。)

エ 甲4
(ア)「平成4年5月発行
不許複製
HV301/HV301D 振動ローラ
取扱説明書
酒井重工業株式會社
・・・
1993.4.300○1○1C」(後ろから3枚目下部)」

(2) 甲1〜4の記載等について
甲1〜4にはそれぞれ「HV301D」について次の記載等があり、以下の点を看取等することができる。なお、各甲号証の図面等に申立人が記入した部材名については、以下では考慮していない。
ア 甲1
甲1は「HV301」及び「HV301D」(1枚目)の「パーツカタログ」(2枚目)であって、そのうち「HV301D」について記載された頁は目次(5枚目)のとおりであり、また、各部分の図を示した頁(例えば1頁)と当該図に示された部品の「記号」及び「部品名称」等の表を記載した頁(例えば第1−1頁)が一組になっているものと理解できる(なお、「記号」は各図ごとに付されたものであり、他の図で付された「記号」と重複する場合があるものと認められる。)。そこで、以下では、各部品を「部品名称」と「記号」によって特定する。
(ア) 次に示す1頁の「エンジン関係」の図からは、「エンジン1」が燃料タンクを有する点を看取することができる。

<1頁の「エンジン関係」の図>




(イ) 1頁の「エンジン関係」の図における「エンジン1」の形状、及び、当該形状を踏まえて3頁の「コントロール関係」の図から把握される「エンジン1」の位置等を考慮すると、次に示す第6頁の「油圧装置(1)」の図からは、「ポンプASS’Y28」が「エンジン1」の出力軸と接続される点を看取することができる。
また、同図には「タンク47」が示されているところ、この図は「油圧装置」の図であるから、当該「タンク47」は「油圧装置」を作動させる油、すなわち作動油のタンクであることが理解できる。

<6頁の「油圧装置(1)」の図>




(ウ) 上記(ア)及び(イ)の事項、並びに、1頁の「エンジン関係」の図における「エンジン1」、3頁の「コントロール関係」の図における「プッシュロッド1」及び「ハンドル3」、6頁の「油圧装置(1)」の図における「ポンプASS’Y28」及び「タンク47」、11頁の「フレーム」の図における「フック16」及び「フレーム17」、及び、13頁の「フード」の図における「カバー7」及び「カバー1」の形状及び位置等を踏まえると、次に示す13頁の「フード」の図からは以下の点を看取することができる。
・「フレーム17」を有する点。
・「エンジン1」が「フレーム17」に支持され、「燃料タンク」を有する点。
・「カバー7」(以下「第1のカバー7」という。)が「燃料タンク」を上から覆い、「HV301D」の上面の一部を形成する点。
・「カバー1」(以下「第2のカバー1」という。)が「ポンプASS’Y28」を上から覆い、「HV301D」の上面の一部を形成する点。
・「フック16」が「フレーム17」に固定され、「第1のカバー7」と「第2のカバー1」の間に位置する点。
・「プッシュロッド1」及び「ハンドル3」が「フレーム17」の後部から延び、その右端が「第1のカバー7」よりも右に位置する点。
・「タンク47」が「フレーム17」の前方に位置しており、「第1のカバー7」は、上から見て「タンク47」と重なっていない点。
・「第1のカバー7」と「第2のカバー1」とは別体である点。

<13頁の「フード」の図>




(エ) 上記(ア)及び(イ)の事項を踏まえると、次に示す3頁の「コントロール関係」の図から、「ハンドル3」が高さ方向にC字形状の操舵ハンドルを有する点を看取することができる。

<3頁の「コントロール関係」の図>




イ 甲2
(ア) 前記(1)イに摘記した事項から、「HV301D」は「ハンドガイド振動ローラ」であることが分かる。

(イ) 上記アの事項を踏まえると、次に示す甲2の1枚目右側頁の図から、「HV301D」の「第2のカバー1」の上面は「第1のカバー7」の上面より低く、「第1のカバー7」は、「第1のカバー7」の上面の右端から「第2のカバー1」の上面に向けて下方に延びる第1の側面を有する点を看取することができる。

(ウ) 甲2の1枚目左側頁の図に「デラックスシリーズ」は4種類あり、「HV301D」が含まれることが記載され、2枚目右側頁の図に「デラックスシリーズ」と記載され、4種類のハンドガイド振動ローラが記載されていることから、これらのうちのいずれかが「HV301D」であることが分かる。
そして、2枚目右側頁の図より4種類のハンドガイド振動ローラのいずれも「第1のカバー7」に相当する部材の上面の左端から下方に延びる左側の側面を有する点を看取することができる。
よって、「HV301D」の「第1のカバー7」がその上面の左端から下方に延びる第2の側面を有することが分かる。
また、「第1のカバー7」と「エンジン1」の位置関係からみて、「第1のカバー7」の第2の側面がエンジンを左から覆うことは明らかである。

(エ) 甲2の1枚目右側頁の図において、上記第1の側面における黒い部分は開孔であると解するのが自然であって、当該開孔が「第1のカバー7」の内側の「エンジン1」と外部との通気を行うことは明らかであるから、「第1のカバー7」の第1の側面には通気孔が形成されているといえる。

<1枚目右側頁の図>




<1枚目左側頁の図>




<2枚目右側頁の図>




ウ 甲4
次に示す甲4の2頁の図からは、前記アの事項を踏まえると、以下の点を看取することができる。
・「エンジン1」の「燃料タンク」が「燃料給油口」を有する点。
・「エンジン1」が「冷却水給水口」を有する点。

<2頁の図>




エ 甲3
前記ア及びウの事項を踏まえると、次に示す甲3の動画の0分43秒のキャプチャ画面からは、次の点を看取することができる。
・「エンジン1」が「燃料給油口」を塞ぐ燃料給油口キャップを有する点。
・「第1のカバー7」が燃料給油口キャップが露出する開孔を有する点。
・「エンジン1」が「冷却水給水口」を塞ぐ冷却水給水口キャップを有する点。

<甲3の動画の0分43秒のキャプチャ画面>




(3) 甲1〜4から把握される公然実施発明
上記(2)の事項を総合すると、甲1〜4からは次の発明(以下「公然実施発明」という。)が本件特許出願前に公然実施されたものと認められる。

公然実施発明)
「ハンドガイド振動ローラであって、
フレームと、
フレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
エンジンの出力軸と接続されたポンプASS’Yと、
燃料タンクを上から覆い、ハンドガイド振動ローラの上面の一部を形成する第1のカバーと、
ポンプASS’Yを上から覆い、ハンドガイド振動ローラの上面の他の一部を形成する第2のカバーと、を備え、
第2のカバーの上面は第1のカバーの上面より低く、
第1のカバーは、第1のカバーの上面の右端から第2のカバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、第1のカバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、
第1の側面には通気孔が形成されており、
フレームに固定されたフックを備え、
フックは、第1のカバーと第2のカバーとの間に位置し、
エンジンは燃料タンクの燃料給油口を塞ぐ燃料給油口キャップを有し、
第1のカバーは燃料給油口キャップが露出する開孔を有し、
プッシュロッド及びハンドルがフレームの後部から延び、その右端が第1のカバーよりも右に位置し、
ハンドルが高さ方向にC字形状の操舵ハンドルを有し、
エンジンはエンジン冷却水給水口を塞ぐ冷却水給水口キャップを有し、
作動油のタンクがフレームの前方に位置しており、第1のカバーは上から見て作動油のタンクと重なっておらず、
第1のカバーと第2のカバーとは別体であるハンドガイド振動ローラ。」

3 周知技術及び技術常識について
(1) 引用文献1
本件特許の出願前に発行された引用文献1には、次の事項が記載されている。
ア 【0015】
「【0015】図1においてハンドガイドローラHは機体1に、走行駆動源となるエンジンE及びこのエンジンEにより駆動される油圧ポンプP(図1では省略)を搭載している。油圧ポンプPは例えば斜板式可変容量形ピストンポンプ等である。機体1の下部には前後一対の走行ロール(前ロール2,後ロール3)を備えており、それぞれに油圧ポンプPからの圧油の供給を受けて作動する走行油圧モータM1,M2が内装されている。後に詳述するネガティブブレーキ機構は後ロール3側の走行油圧モータM2のみ備えている。機体1の後部には連結用ブラケット4を介して操作桿5が延設されており、操作桿5の先端部には作業者が把持するハンドル6及び操作パネル部7が設けられる。操作パネル部7には前側に倒すと「前進位置」、後側に倒すと「後進位置」、中間の起立位置で「ニュートラル」となる前後進用レバー8やエンジン始動用のエンジンスイッチ9等が取り付けられている。」

イ 【0027】
「【0027】また、停止手段42は以下のように構成される。図3において、エンジンスイッチ9のS端子,B端子はそれぞれセルモータ43の起動端子S及びバッテリ入力端子Bに接続している。ジェネレータ44で発電された電圧はレギュレータ45を介してその端子○5から出力され、この端子○5にエンジンスイッチ9のM端子が接続している。つまり、M端子はジェネレータ44が発電しているときに電圧がかかる端子となる。停止手段42は、前記した切換えバルブ22のソレノイドS1をこのM端子にリレーR1を介して配線51にて接続し、リレーR1の励磁コイルをM端子とエンジンオイル圧力センサ46に接続させることにより構成される。」(当審注:「○数字」は、○の中に数字が入ったものを表す。)

ウ 【図1】




エ 【図3】




オ 図面から看守できる事項
前記アを踏まえると、図1からハンドル6が上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有することが看取できる。

(2) 引用文献2
本件特許の出願前に発行された引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 【0030】
「【0030】
前部車体4の右側面4c及び右側の斜面4dはラジエータ26及びオイルクーラ27と対応して開口形成され、図1に示すように、その開口を閉鎖するようにカバー28が脱着可能に取り付けられている。カバー28は多数のスリット28a(通風口)が形成されると共に、前部車体4の右側面4c及び斜面4dに倣うように折曲形成されている。冷却ファン25によりカバー28のスリット28aを経て外気(空気)が前部車体4内に採り入れられてラジエータ26を流通し、これによりラジエータ26が冷却水の冷却作用を奏する。また、冷却ファン25の気流は隣接するオイルクーラ27にもおよび、カバー28のスリット28aを経て採り入れられた外気がオイルクーラ27を流通し、これによりオイルクーラ27が作動油の冷却作用を奏する。」

イ 【図1】




(3) 引用文献3
本件特許の出願前に発行された引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 【0001】及び【0002】
「【0001】
本発明は、転圧機械の遮熱構造に係り、詳しくは、走行用動力源として搭載されたエンジンの過給機の近接位置にフィルタや油圧ホースなどの油圧機器類、或いはリレーやワイヤハーネスなどの電気機器類(以下、まとめて機器類と総称する)を配設し、エンジンの過給機から機器類を遮って過給機による機器類への熱害を防止する遮熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の転圧機械は、路面の舗装工事でアスファルト舗装材などを締め固めるために使用されており、例えばエンジンを動力源としたHST(Hydro Static Transmission)により走行輪を兼ねた転圧輪を駆動して走行するようになっている。エンジンが搭載されたエンジンルーム内には、エンジンの他にHSTに関連する機器、例えばHSTの油圧回路を構成するフィルタや油圧ホース、或いはHSTを制御するリレーやワイヤハーネスなどの機器類が設置されている。エンジンの冷却水はラジエータにより冷却されているものの、特にエンジンの過給機からは多量の輻射熱が周囲に放射される。そこで、その熱害を防止するために種々の対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。」

イ 【0025】
「【0025】
エンジン22の運転中には、図示しないウォータポンプによりエンジン22とラジエータ27との間で冷却水が循環すると共に、図5中に矢印で示すように、冷却ファン33により車両前方の外気(冷却風)が前壁26及びエンジンフード31のスリット26a,31aからラジエータ27を経てエンジンルーム21内に採り入れられ、エンジン22に沿って前方から後方へと流通した後、エンジンルーム21の下面後半分から下方に排出される。これによりラジエータ27で冷却水と外気との熱交換が行われ、運転中のエンジン22が所定温度に保たれる。」

ウ 【図5】




(4) 引用文献4
本件特許の出願前に発行された引用文献4には、次の事項が記載されている。
「【0066】
図12に示すように、換気経路上においては、吸気口161とレギュレータ42との間に発熱し得る電装部品が配置されていない。例えば、エンジン12からの排気ガスが通ることで発熱し得る排気マニュホルド40は、換気経路の後方側の位置に配置している。このため、吸気口161から取り込んだ空気が温められるのを防止することができる。これにより、吸気口161から取り込んだ空気による冷却性能が低下するのを防止することができる。
【0067】
また、レギュレータ42の表面には、複数の放熱板421が設けられている。これらの放熱板421は、換気経路における換気方向に沿って延在して設けられている。すなわち、本実施の形態において、複数の放熱板421は、それぞれ上下方向に沿って延在して設けられている。このように放熱板421を設けることにより、吸気口161から取り込まれた空気を放熱板421に沿って流通させることができる。これにより、放熱板421を効率的に冷却することができる。この結果、レギュレータ42を効果的に冷却することが可能となる。」

(5) 周知技術1
前記(1)イ及びエに記載されているように、本件特許の出願前に次の技術は周知であった(以下、「周知技術1」という。)。

<周知技術1>
「ハンドガイドローラのエンジンがレギュレータを備えること。」

(6) 周知技術2
前記(2)及び(3)に記載されているように、本件特許の出願前に次の技術は周知であった(以下、「周知技術2」という。)。

<周知技術2>
「エンジン等を冷却するためにスリットを設けること。」

(7) 周知技術3
前記(1)ア、ウ及びオに記載されているように、本件特許の出願前に次の技術は周知であった(以下、「周知技術3」という。)。

<周知技術3>
「ハンドガイドローラのハンドルが上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有すること。」

(8) 技術常識
前記(4)に記載されているように、本件特許の出願前に次の技術は技術常識であった(以下、「技術常識」という。)。

<技術常識>
「エンジン等に用いるレギュレータが放熱板を有すること。」

4 取消理由(決定の予告)の対比・判断
(1) 本件発明1
ア 対比
本件発明1と公然実施発明とを対比する。
(ア) 公然実施発明の「ハンドガイド振動ローラ」及び「フレーム」は、本件発明1の「ハンドガイドローラ」及び「ベースフレーム」にそれぞれ相当する。

(イ) 公然実施発明の「フレームに支持され、燃料タンクを有するエンジン」は、本件発明1の「前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジン」に相当する。

(ウ) 公然実施発明の「エンジンの出力軸と接続されたポンプASS’Y」は、本件発明1の「前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプ」に相当する。

(エ) 公然実施発明の「燃料タンクを上から覆い、ハンドガイド振動ローラの上面の一部を形成する第1のカバー」は、本件発明1の「前記燃料タンクを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバー」に相当する。

(オ) 公然実施発明の「ポンプASS’Yを上から覆い、ハンドガイド振動ローラの上面の他の一部を形成する第2のカバー」は、本件発明1の「前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバー」に相当する。

(カ) 公然実施発明の「第2のカバーの上面は第1のカバーの上面より低」いこと、及び、「第1のカバーは、第1のカバーの上面の右端から第2のカバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、第1のカバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、第1の側面には、通気孔が形成されている」ことは、本件発明1の「前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低」いこと、及び、「前記第1カバーは、前記第1カバーの上面の右端から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、前記第1カバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、第1の側面には、通気孔が形成されている」ことの各々に相当する。

そうすると、本件発明1と公然実施発明は、次の一致点で一致し、次の相違点1で相違する。

<一致点>
「 ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から獲い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記第1カバーは、前記第1カバーの上面の右端から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、前記第1カバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、
前記第1の側面には、通気孔が形成されている、
ハンドガイドローラ。」

<相違点1>
本件発明1の「第2の側面」が「前記エンジンのレギュレータの放熱板に対向するスリット形状の孔を有している」のに対し、公然実施発明の「第2の側面」はそのようなものを備えていない点。

イ 判断
(ア) ハンドガイドローラのエンジンがレギュレータを設けることは周知の技術であり(前記3(5)の周知技術1を参照。)、エンジン等を冷却するためにスリットを設けることが周知の技術(前記3(6)の周知技術2を参照。)である。
そして、エンジン等に用いるレギュレータは放熱板を有することは技術常識(前記3(8)の技術常識を参照。)であるから、エンジンに用いる際に放熱効率を考慮することは自明のことである。
そうすると、公然実施発明のエンジンが放熱板を有するレギュレータを備えるようにし、その際に、エンジンは第1のカバーによりエンジンが有する燃料タンクが上から覆われ、第1のカバーの第2の側面により左側から覆われているところ、放熱が必要なレギュレータを冷却するスリットを設けやすい箇所として、第1のカバーの第2の側面に着目し、レギュレータの放熱板及びスリットの実際の配置を決めることは、当業者であれば、容易になし得たことである。
そして、実際にスリットを形成する位置として、レギュレータの放熱板の周辺の第2の側面を選択することは、エンジンとレギュレータの配置を考慮して、適宜設計し得る程度のことである。
よって、公然実施発明に対し、周知技術1及び2、並びに技術常識を適用し、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ) したがって、本件発明1は公然実施発明、周知技術1及び2、並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2) 本件発明2
ア 対比
本件発明2と公然実施発明とを対比する。
(ア) 公然実施発明の「フック」が「ハンドガイド振動ローラ」を吊り上げるためのものであることは自明であるから、公然実施発明の「フレームに固定されたフック」は、本件発明1の「前記ハンドガイドローラを吊り上げるための吊りフックであって、前記ベースフレームに固定された吊りフック」に相当する。

(イ) そうすると本件発明2と公然実施発明とは、上記相違点1に加え、次の相違点2で相違し、その余の点で一致する。

<相違点2>
「吊りフック」が、本件発明2においては「第1の側面とエンジンの間に位置する」のに対して、公然実施発明においては「第1のカバーと第2のカバーとの間に位置」する点。

イ 判断
(ア) 相違点1については、上記(1)で検討したとおりである。

(イ) 相違点2について検討すると、「第1のカバー」が内部の機構を覆う機能を担うことは自明であるところ、公然実施発明において「第1のカバー」を当該機能を充足した上でさらに「第2のカバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面」が「フック」の位置まで至るようにし、以て「フック」を第1の側面とエンジンの間に位置するものとすることは、当業者が適宜なし得た設定的事項である。

(ウ) したがって、本件発明2は公然実施発明、周知技術1及び2、並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 本件発明4
ア 対比
本件発明4と公然実施発明とを対比する。
(ア)公然実施発明の「フレームの後部から延び、その右端が第1のカバーよりも右に位置」する「プッシュロッド及びハンドル」は、本件発明4の「前記ベースフレームの後部から延びた操作ハンドル」に相当する。

(イ)公然実施発明の「プッシュロッド及びハンドル」の「右端が第1のカバーよりも右に位置」することと、本件発明4の「前記操作ハンドルの右端である前記操舵ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」ことは、「前記操作ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」点で共通する。

(ウ) そうすると本件発明4と公然実施発明とは、上記相違点1及び2に加え、次の相違点3で相違し、その余の点で一致する。

<相違点3>
本件発明4は、「操作ハンドル」が「上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、前記操作ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドル」を有しており、「前記操作ハンドルの右端である前記操舵ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置する」のに対し、公然実施発明は、「操舵ハンドル」が「高さ方向にC字形状」であって、「操舵ハンドル」は「プッシュロッド及びハンドル」の他の部分よりも「右に突出」しておらず、「第1のカバーよりも右に位置」する「プッシュロッド及びハンドルの右端」は「操舵ハンドル」の右端ではない点。

イ 判断
(ア) 相違点1及び2については、上記(1)及び(2)で検討したとおりである。

(イ) 相違点3について検討すると、ハンドガイドローラのハンドルが上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有することは、周知の技術(前記3(7)参照)である。
よって、公然実施発明において「操舵ハンドル」として、上記周知の「上から見てC字形状を有する」ものを採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、公然実施発明の「プッシュロッド及びハンドルの右端が第1のカバーよりも右に位置する」のであるから、「操舵ハンドル」を「上から見てC字形状を有する」ものとする際、「操舵ハンドル」の右端が「操舵ハンドル」を含む「プッシュロッド及びハンドル」全体の右端となり、第1カバーよりも右に位置するようにすることは設計事項程度である。

(ウ) したがって、本件発明4は公然実施発明、周知技術1〜3、並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 本件発明5
ア 対比
本件発明5と公然実施発明とを対比する。
(ア) 公然実施発明の「エンジンはエンジン冷却水給水口を塞ぐ冷却水給水キャップを有し」は、本件発明5の「前記エンジンは、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップを有し」に相当する。

(イ) そうすると本件発明5と公然実施発明とは、上記相違点1〜3に加え、次の相違点4で相違し、その余の点で一致する。

<相違点4>
「第2カバーの上面」が、本件発明5においては「冷却水キャップの上面より下に位置する」のに対して、公然実施発明においてはそのようなものか明らかでない点。

イ 判断
(ア) 相違点1〜3については、上記(1)〜(3)で検討したとおりである。

(イ)上記相違点4について検討すると、公然実施発明において「第1のカバー」は「(エンジンの)燃料タンクを上から覆い」、「第2のカバー」は「ポンプASS’Yを上から覆」うものであり、「冷却水給水口キャップ」は「エンジン」に設けられるものであるから、「第2のカバー」と「冷却水給水口キャップ」との上下方向の位置関係は、「ポンプASS’Y」及び「エンジン」の大きさ等に応じて、当業者が適宜決定することができる設計的事項であると認められる。

(ウ)したがって、本件発明5は公然実施発明、周知技術1〜3、並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明6
ア 対比
本件発明6と公然実施発明とを対比する。
(ア)公然実施発明の「フレームの前方に位置して」いる「作動油のタンク」は、本件発明6の「前記ベースフレームの前部に位置する作動油タンク」に相当する。

(イ)公然実施発明の「第1のカバーは上から見て作動油のタンクと重なっておらず」は、本件発明6の「前記第1カバーは、上から見て、前記作動油タンクと重なっていない」に相当する。

(ウ) そうすると本件発明6と公然実施発明とは、上記相違点1〜4で相違し、その余の点で一致する。

イ 判断
(ア) 相違点1〜4については、上記(1)〜(4)で検討したとおりである。

(イ) したがって、本件発明6は公然実施発明、周知技術1〜3、並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)本件発明7
ア 対比
本件発明7と公然実施発明とを対比する。
(ア) 公然実施発明の「第1のカバーと第2のカバーとは別体である」は、本件発明7の「前記第1カバーは、前記第2カバーと別体である」に相当する。

(イ) そうすると本件発明7と公然実施発明とは、上記相違点1〜4で相違し、その余の点で一致する。

イ 判断
(ア) 相違点1〜4については、上記(1)〜(4)で検討したとおりである。

(イ) したがって、本件発明7は公然実施発明、周知技術1〜3、並びに技術常識から当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 取消理由通知(決定の予告)の対象としなかった本件発明3について
本件発明3と公然実施発明を対比する。
1 対比
(1) 公然実施発明の「エンジンは燃料タンクの燃料給油口を塞ぐ燃料給油口キャップを有し」、「エンジンはエンジン冷却水給水口を塞ぐ冷却水給水口キャップを有」することは、本件発明3の「前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップと、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップとを有」することに相当する。

(2) 公然実施発明の「燃料給油口キャップが露出する開孔」は、本件発明3の「前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔」に相当する。

(3) 上記第4の4(1)アで対比した点を踏まえると、本件発明3と公然実施発明とは、少なくとも次の点で相違する。
<相違点5>
「第1カバー」が、本件発明3では「前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、
前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーと
を有してなり、
前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出する」のに対し、公然実施発明の「第1のカバー」は「燃料給油口キャップが露出する開孔」を有するものの、冷却水給水口のための開孔を有しておらず、開孔を覆うカバーの構造がそのようなものでない点。

2 判断
相違点5に係る本件発明3の構成のような具体的なメインカバー及びサブカバーの構造は、甲1〜4、引用文献1〜4(上記第4の2及び3参照)及び申立人による意見書に添付されたその他の参考資料(特開2014−152485号公報)に記載も示唆もないから、相違点5に係る本件発明3の構成のようにすることは、当業者であれば容易になし得たこととはいえない。

3 申立人の主張について
(1) 申立人は意見書で本件発明3について、次の主張をしている。
「甲第1号証の56/80頁及び57/80頁には、「カバー○7」、「カバー○27」、「ヒンジ○25」が描画されている。また、「カバー○27」の下には、燃料油キャップ及び冷却水キャップが配置されている。したがって、「ヒンジ○25」を支点に「カバー○27」を開ければ燃料油キャップ及び冷却水キャップにアクセスできることは甲第1号証から明らかである。
甲第1号証に接した当業者が、「カバー○27」に代えてゴムシートを選択して当該ゴムシートをどこで留め付けるかは設計事項に過ぎない。
なお、本件公然実施発明では、「カバー○27」を開ければ一度に給油キャップ及び冷却水キャップにアクセスできるから利便性が高い。つまり、本件公然実施発明は、訂正後の請求項3に係る発明よりも優れた効果を奏する。」(申立人が提出した意見書の4頁下から2行〜5頁7行)

(2) しかしながら、本件発明3の「第1カバー」は「前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーとを有してなり、前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出する」ものである。そのため、申立人の主張のように公然実施発明の「第1のカバー」(カバー○7)がヒンジ部と「カバー○27」を有するものであっても、「カバー○27」が「一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出する」構造を有するとは認められず、甲1〜4、引用文献1〜4(上記第4の2及び3参照)及び申立人による意見書に添付されたその他の参考資料(特開2014−152485号公報)に記載も示唆もない。
よって、上記主張は採用できない。

4 小括
したがって、本件発明3は、公然実施発明、引用文献1〜4、及び、その他の参考資料から当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由のうち、取消理由(決定の予告)を通知していない、本件発明1〜7に係る特許について甲1に基づく特許法29条1項3号に関する申立理由1及び本件発明1〜7に係る特許について甲1を主引用例とする特許法29条2項に関する申立理由2について検討する。

1 申立理由1について
(1) 本件発明1
上記第4の2に示したとおり、甲1〜4から公然実施発明を認定できるものであるが、仮に甲2〜4を総合しなくても、甲1から公然実施発明と同じ構成を有する発明を甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)と認定した上で、本件発明1と甲1発明とを対比したとしても、少なくとも上記第4の4(1)アで示した相違点1で相違しており、上記第4の4(1)イに示したとおり相違点1は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1発明ではない。

(2) 本件発明2及び本件発明1又は2を引用する本件発明4〜7
本件発明2及び本件発明1又は2を引用する4〜7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに付加的な発明特定事項によって技術的範囲を限定したものである。
したがって、上記(1)と同じ理由により、本件発明2及び本件発明1又は2を引用する本件発明4〜7のそれぞれは、甲1発明ではない。

(3) 本件発明3
ア 対比
上記第5の1を踏まえ、本件発明3と甲1発明を対比すると本件発明3と甲1発明とは、少なくとも次の点で相違する。
<相違点5’>
「第1カバー」が、本件発明3では「前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、
前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーと
を有してなり、
前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出する」のに対し、甲1発明の「第1のカバー」は「燃料給油口キャップが露出する開孔」を有するものの、冷却水給水口のための開孔を有しておらず、開孔を覆うカバーの構造がそのようなものでない点。

イ 判断
上記第5の2を踏まえると、相違点5’は実質的な相違点であり、本件発明3は甲1発明ではない。同様に、本件発明3を引用する本件発明4〜7のそれぞれも甲1発明ではない。

(4) 申立理由1のまとめ
本件特許の請求項1〜7に係る特許は、甲1発明との関係において特許法29条1項の規定に違反してされたものとはいえないから、申立理由1により取り消されるべきものとすることはできない。

2 申立理由2について
甲1発明を認定できるとした場合、本件発明3については、第5に示したとおりである。
したがって、本件特許の請求項3に係る特許は、甲1発明を主たる引用発明として特許法29条2項の規定に違反してされたものとはいえないから、申立理由2により取り消されるべきものとすることはできない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1、2及び4〜7は、公然実施発明、周知技術1〜3、並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項1、2及び4〜7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項1、2及び4〜7に係る特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明3に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記第1カバーは、前記第1カバーの上面の右端から前記第2カバーの上面に向けて下方に延びる第1の側面と、前記第1カバーの上面の左端から下方に延びて前記エンジンを左側から覆う第2の側面とを有し、
前記第1の側面には、通気孔が形成されており、
前記第2の側面は、前記エンジンのレギュレータの放熱板に対向するスリット形状の孔を有していることを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項2】
前記ハンドガイドローラを吊り上げるための吊りフックであって、前記ベースフレームに固定された吊りフックをさらに備え、
前記吊りフックは、前記第1の側面と前記エンジンの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のハンドガイドローラ。
【請求項3】
ハンドガイドローラであって、
ベースフレームと、
前記ベースフレームに支持され、燃料タンクを有するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と接続された油圧ポンプと、
前記燃料タンクを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の一部を形成する第1カバーと、
前記油圧ポンプを上から覆い、前記ハンドガイドローラの上面の他の一部を形成する第2カバーと、を備え、
前記第2カバーの上面は、前記第1カバーの上面より低く、
前記エンジンは、前記燃料タンクの燃料補給口を塞ぐ燃料油キャップと、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップとを有し、
前記第1カバーは、
前記燃料油キャップを露出可能な第1の露出孔と、前記冷却水キャップを露出可能な第2の露出孔であって、前記第1の露出孔とは別の第2の露出孔とを有するメインカバーと、
前記メインカバーに取り付けられ、前記第1の露出孔および前記第2の露出孔を覆うサブカバーと
を有してなり、
前記サブカバーは、ゴムシートからなり、一端部と他端部の間の位置で前記メインカバーに固定され、一端部をめくると前記第1の露出孔が露出し、他端部をめくると前記第2の露出孔が露出することを特徴とするハンドガイドローラ。
【請求項4】
前記ベースフレームの後部から延びた操作ハンドルをさらに備え、
前記操作ハンドルは、上から見てC字形状を有する操舵ハンドルであって、前記操作ハンドルの他の部分よりも右に突出した操舵ハンドルを有し、
前記操作ハンドルの右端である前記操舵ハンドルの右端は、第1カバーよりも右に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項5】
前記エンジンは、冷却水補充口を塞ぐ冷却水キャップを有し、
前記第2カバーの上面は、前記冷却水キャップの上面より下に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項6】
前記ベースフレームの前部に位置する作動油タンクをさらに備え、
前記第1カバーは、上から見て、前記作動油タンクと重なっていないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
【請求項7】
前記第1カバーは、前記第2カバーと別体であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハンドガイドローラ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2023-01-05 
出願番号 P2019-164252
審決分類 P 1 651・ 113- ZDA (E01C)
P 1 651・ 121- ZDA (E01C)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 居島 一仁
有家 秀郎
登録日 2021-03-04 
登録番号 6846829
権利者 株式会社明和製作所
発明の名称 ハンドガイドローラ  
代理人 稲垣 達也  
代理人 小川 啓輔  
代理人 稲垣 達也  
代理人 小川 啓輔  

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