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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1400162
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-07-22 
確定日 2023-06-29 
事件の表示 特願2021−180581「遊技台」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年11月4日の出願であって、令和4年1月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月12日付け(送達日:同月26日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年7月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 令和4年7月22日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月22日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、本件補正前の請求項2〜5を削除し、請求項1に、
(補正前:令和4年3月3日提出の手続補正書でした手続補正)
「【請求項1】
前方に開口部を有する箱状の筐体と、
前記筐体の開口部に開閉可能に配設された扉体と、
電源コードを伝って電力が供給され、電源スイッチを備えた電源装置と、
或る表示を示す表示手段と、
外部電源を所定の電圧に変換する変換手段と、
を備えた遊技台であって、
前記電源スイッチは、前記扉体が開放状態の場合に操作可能であり、
前記電源装置は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記電源コードが前記筐体の背部から延伸されるよう構成され、
前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含み、
前記表示手段は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側の第一の領域に配置され、
前記所定の電圧は、前記遊技台の内部において表示される一方で、前記表示手段では表示されない、
ことを特徴とする遊技台。」とあったものを、
(補正後:令和4年7月22日提出の手続補正書でした手続補正)
「【請求項1】
前方に開口部を有する箱状の筐体と、
前記筐体の開口部に開閉可能に配設された扉体と、
電源コードを伝って電力が供給され、電源スイッチを備えた電源装置と、
或る表示を示す表示手段と、
外部電源を所定の電圧に変換する変換手段と、
を備えた遊技台であって、
前記電源スイッチは、前記扉体が開放状態の場合に操作可能であり、
前記電源装置は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記電源コードが前記筐体の背部から延伸されるよう構成され、
前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含み、
前記所定の電圧は、前記筐体の前記遊技台の内部において表示される一方で、前記表示手段では表示されないものであり、
前記表示手段は、前記筐体の背部外面の左右方向において前記電源装置が配置されている側の第一の領域に配置され、
前記筐体の背部には、該筐体の内部と外部を貫通する貫通孔が設けられ、
前記筐体の背部の左右方向における中点を上下方向に通る仮想の直線を第一の仮想直線とし、
前記筐体の背部の上下方向における中点を左右方向に通る仮想の直線を第二の仮想直線とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第一の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第二の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第三の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第四の仮想領域とし、
前記第一の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第二の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第三の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第四の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第一の領域と前記電源装置と前記貫通孔は、前記第二の仮想領域に含まれており、
前記第一の領域は、前記電源装置の近傍かつ該電源装置と重畳しない箇所に位置しており、
前記第一の領域は、前記貫通孔の近傍に位置しており、
前記第一の領域は、前記第二の仮想領域において、前記貫通孔よりも前記筐体の側端側に位置している、
ことを特徴とする遊技台。」とする補正を含むものである(下線は補正前後の箇所を明示するために当審において付した。)。

2 補正の適否について
(1) 補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である
「表示手段」の配置について、「表示手段」が配置される「第一の領域」が「筐体の背部」における領域とされていたところを「筐体の背部外面」における領域とするとともに、「前記筐体の背部には、該筐体の内部と外部を貫通する貫通孔が設けられ、・・・前記第二の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、・・・前記第一の領域と前記電源装置と前記貫通孔は、前記第二の仮想領域に含まれており、前記第一の領域は、前記電源装置の近傍かつ該電源装置と重畳しない箇所に位置しており、前記第一の領域は、前記貫通孔の近傍に位置しており、前記第一の領域は、前記第二の仮想領域において、前記貫通孔よりも前記筐体の側端側に位置している」とする限定を含むものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

(2) 新規事項について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0068】、【0095】、【0159】、図5、図6、図10の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(符号A等は、分説するため当審において付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 前方に開口部を有する箱状の筐体と、
B 前記筐体の開口部に開閉可能に配設された扉体と、
C 電源コードを伝って電力が供給され、電源スイッチを備えた電源装置と、
D 或る表示を示す表示手段と、
E 外部電源を所定の電圧に変換する変換手段と、
F を備えた遊技台であって、
G 前記電源スイッチは、前記扉体が開放状態の場合に操作可能であり、
H 前記電源装置は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記電源コードが前記筐体の背部から延伸されるよう構成され、
I 前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含み、
J 前記所定の電圧は、前記遊技台の内部において表示される一方で、前記表示手段では表示されないものであり、
K 前記表示手段は、前記筐体の背部外面の左右方向において前記電源装置が配置されている側の前記筐体の背部における第一の領域に配置され、
L 前記筐体の背部には、該筐体の内部と外部を貫通する貫通孔が設けられ、
M 前記筐体の背部の左右方向における中点を上下方向に通る仮想の直線を第一の仮想直線とし、
前記筐体の背部の上下方向における中点を左右方向に通る仮想の直線を第二の仮想直線とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第一の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第二の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第三の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第四の仮想領域とし、
前記第一の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第二の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第三の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第四の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第一の領域と前記電源装置と前記貫通孔は、前記第二の仮想領域に含まれており、
N 前記第一の領域は、前記電源装置の近傍かつ該電源装置と重畳しない箇所に位置しており、
前記第一の領域は、前記貫通孔の近傍に位置しており、
前記第一の領域は、前記第二の仮想領域において、前記貫通孔よりも前記筐体の側端側に位置している、
F ことを特徴とする遊技台。」

(2)引用文献1に記載された発明
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2021−23787号公報(令和3年2月22日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために当審において付した。以下同様。)
(ア) 「【発明を実施するための形態】
【0016】
(遊技機10)
本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10の方を向いて位置している遊技者から見て、遊技機10から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向及び「上」や「下」等の上下方向も、遊技者から見た場合の左方向や右方向、又は上方向や下方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、遊技機10の所定位置に固定した場合における遊技者から見た方向を意味する。
【0017】
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンを、以下、図1〜図5を参照しながら説明する。本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンは、前面側が開放され、他の面を板状態で形成される直方体状の筐体12と、この筐体12の前面側を開閉可能に覆う前扉14とを備えている。
【0018】
また筐体12の背板12aには、当該背板12aの下部側であって、後述する第2電源装置43の後方の位置に後述する第1電源装置47から延びる電源ケーブル48を外部電源(AC電源)と接続させる電源供給口12bを備える。
ここで、第2電源装置43の後方の位置は、第2電源装置43の真後ろに限定されず、斜め後方を含むものである。」

(イ) 「【0038】
前記前扉14の下部に相当する筐体12の内部には、メダルを貯留することができるとともに、メダルを払い出すことができるホッパーユニット24と、各部品に電力を供給する第1電源装置47と、第2電源装置43と、が配置されている。」

(ウ) 「【0040】
(第1電源装置47)
第1電源装置47は、図5に示すように、遊技機10の筐体12の外部に設けられた外部電源(図示せず)と電源ケーブル48を介して接続されるものである。
【0041】
具体的には、第1電源装置47に接続された電源ケーブル48が電源供給口12bから筐体12の外部に出て、外部電源(AC電源)に接続されている。
【0042】
なお、電源ケーブル48は、第1電源装置47から直接外部電源に接続される場合に限定されず、電源供給口12bに電源コネクタを備え、第1電源装置47からの電源ケーブル48は、電源コネクタに接続され、当該電源コネクタに接続される電源ケーブルが外部電源に接続されるようにしても良い。」

(エ) 「【0047】
(第2電源装置43)
第2電源装置43は、第1電源装置47の近傍、具体的には、第1電源装置47の左側の隣に配置され、第1電源装置47から電力が供給されるものである。
また、第2電源装置43は、上述したように、電源供給口12bの前方の位置に配置される。
【0048】
第2電源装置43には、第1電源装置47からの電源供給のオンとオフとを切り替える電源スイッチ44と、設定変更処理のための設定キースイッチ45とが設けられている。
すなわち、第2電源装置43は、第1電源装置47から供給された電力を、第2電源装置43に接続されている各部品に供給するか否かを設定する電源スイッチ44を備えている。」

(オ) 「【0053】
・・・外部電源から第1電源装置47に電力が供給される。
第1電源装置47からは、プロジェクタ装置84、扉開閉用スイッチ19、液晶表示装置85、サブ制御基板300、第2電源装置43に電力が供給される。
【0054】
第1電源装置47には、電源供給のオンとオフとを切り替える電源スイッチを備えないため、外部電源に電源ケーブルが接続されている限り、これらのプロジェクタ装置84、扉開閉用スイッチ19、液晶表示装置85、サブ制御基板300、第2電源装置43に電力が供給されるようにされている。
【0055】
第1電源装置47からプロジェクタ装置84に供給される電力は、プロジェクタ装置84を起動しておくために供給されるものであり、プロジェクタ装置84の起動を素早く行うことが可能となる。
なお、第2電源装置43がオフになった場合には、プロジェクタ装置84が当該オフになったことを示す信号を受信し、プロジェクタ装置84を待機状態とするようにしても良い。かかる待機状態であっても、プロジェクタ装置84への電力供給がオフになっている場合に比べ、プロジェクタ装置84が素早く起動できる。
【0056】
また、第1電源装置47から扉開閉用スイッチ19、液晶表示装置85に供給される電力は、第2電源装置43の電源スイッチが切られた状態、特に遊技店の営業時間外の夜間などであっても、前扉の開閉を検知することが可能となる。
【0057】
第1電源装置47からサブ制御基板300に供給される電力は、主として、サブ制御基板300のCPU、ROM、RAMなどに供給されるものであり、後述する前扉状態記憶手段330、前扉状態表示制御手段340の処理を実行することが可能となる。
なお、サブ制御基板300のうち、後述する前扉状態記憶手段330、前扉状態表示制御手段340の処理を実行するCPUやROM、RAMのみを第1電源装置47から電力が供給されるようにすることで、常時給電した場合であってもサブ制御基板300のすべてに常時給電する場合に比べ、最小限の消費電力により前扉14の状態の変化を24時間監視することが可能となる。
【0058】
また、第2電源装置43からは、メイン制御基板200に電力が供給される。そして、メイン制御基板200からリールユニット60や、各種のスイッチ(スタートスイッチ40、ストップスイッチ50など)やセンサ(投入センサ92など)、サブ制御基板300などに電力が供給される。
ここで、メイン制御基板200からサブ制御基板300へ供給される電力は、主として、演出用ランプ78やスピーカー72などに供給されるものである。」

(カ) 「【0073】
・・・遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置100が形成されている。この制御装置100は、主制御装置の一例であり遊技を進行させて遊技状態を制御するメイン制御基板200と、このメイン制御基板200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うための制御を行うサブ制御基板300とを備えている。
・・・
【0077】
メイン制御基板200及びサブ制御基板300は、CPU、ROM、RAM、I/Oポートを備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUは、タイマ割込などの割込機能を持ち、ROMに記憶されたプログラムを実行して、種々の処理を行う。ROMは、CPUが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶し、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の一時的な記憶領域、例えば遊技機10の状態を記憶するための記憶領域や、役抽選の抽選結果を記憶するための記憶領域として使用される。」

(キ) 「【図1】



(ク) 「【図3】



(ケ) 「【図4】



(コ) 認定事項1
a 【0048】の「第2電源装置43は、第1電源装置47から供給された電力を、第2電源装置43に接続されている各部品に供給するか否かを設定する電源スイッチ44を備えている。」との記載から、図中符号43、44、47は「第2電源装置」、「電源スイッチ」、「第1電源装置」をそれぞれ表し、【0015】には「【図3】本発明の実施の形態であって、筐体の概略正面図である。」との記載があることから、図3には、第2電源装置43が筐体内において正面から見て左下方向に位置していることが看取されるとともに、電源スイッチ44が第2電源装置43の前面に位置していることが看取される。

b 【0025】の「前記前扉14の下部には下パネル22が設けられている。」との記載から、図中符号14、22は「前扉」、「下パネル」を表し、【0066】の「前扉14の下部左右に配置された下部スピーカー76」との記載から、図中符号76「下部スピーカー」を表し、【0015】には「【図1】本発明の実施の形態であって、遊技機の概略正面図である。」との記載があるから、図1には、前扉14を閉じた状態で、遊技機を正面から見て左下方向に、当該前扉14に設けられた下パネル22及び下部スピーカー76が位置していることが看取される。

c 前記a、bより、前扉14を閉じた状態では、第2電源装置43の前面に位置する電源スイッチ44の前方に、前扉14に設けられた下パネル22や下部スピーカー76が位置しており、遊技機の前方から電源スイッチ44を操作することができないと解される。そして、電源スイッチ44の操作は、前扉14を開放した状態で可能となると解される。
したがって、引用文献1には、「電源スイッチ44は、前扉14が開放状態の場合に操作可能である」ことが記載されていると認められる。

(サ) 認定事項2
a 【0041】に「第1電源装置47に接続された電源ケーブル48が電源供給口12bから筐体12の外部に出て、外部電源(AC電源)に接続されている。」との記載がある。ここで、【0038】の「筐体12の内部には、・・・第1電源装置47と、・・・が配置されている。」との記載より、第1電源装置47は筐体12の内部に配置されるから、【0041】の当該記載のように「第1電源装置47に接続された電源ケーブル48が」「筐体12の外部に出」るための「電源供給口12b」は、筐体12の内部と外部を貫通する貫通部として設けられたものである。

b 【0018】の「筐体12の背板12aには、・・・電源供給口12bを備える。」との記載から、図中符号12、12a、12bは、「筐体」、「背板」、「電源供給口」をそれぞれ表し、【0015】には「【図4】本発明の実施の形態であって、遊技機の背面側から見た外観斜視図である。」との記載があるから、図4には、電源供給口12bが、背板12aの一部が欠けてくぼんだような態様の部位であることが看取される。
そうすると、前記電源供給口12bは、背板12aに設けられた孔である。

c 前記a、bより、引用文献1には、「電源供給口12bが、筐体12の内部と外部を貫通する貫通孔として設けられている」ことが記載されている。

(シ) 認定事項3
図3には、遊技機の筐体12を正面から見て左方向かつ下方向であって、筐体12の底部の直上に、第1電源装置47及び第2電源装置43が配置されていることが看取される。
そして、【0017】に「直方体状の筐体12」と記載されており、筐体12の当該記載の形状から、上記の「遊技機の筐体12を正面から見て左方向かつ下方向」という位置は、筐体12を背面から見た場合には、右方向かつ下方向となる位置である。
したがって、引用文献1には、「筐体12を背面から見た場合の右方向かつ下方向であって、筐体12の底部の直上に、第1電源装置47及び第2電源装置43が配置されている」ことが記載されている。

(ス) 認定事項4
図4には、電源供給口12bが、遊技機の筐体12の背板12aを背面側から見た場合の右方向かつ下方向であって、背板12aの端から離れた位置に配置されていることが看取される。
したがって、引用文献1には、「筐体12の背板12aを背面側から見た場合の右方向かつ下方向であって、背板12aの端から離れた位置に、電源供給口12bが配置されている」ことが記載されている。

イ 引用発明
前記アに基づき、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(符号a等は本件補正発明の符号A等に概ね対応させて当審において付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 前面側が開放され、他の面を板で形成される直方体状の筐体12と(【0017】)、
b この筐体12の前面側を開閉可能に覆う前扉14と(【0017】)、
ceh 筐体12の内部に配置され、電源ケーブル48を介して外部電源に接続され、外部電源から電力が供給され、サブ制御基板300を含む各部品に電力を供給する第1電源装置47と(【0038】、【0040】、【0053】、【0057】)、
筐体12の内部に配置され、第1電源装置47から電力が供給され、接続されている各部品に当該電力を供給するか否かを設定する電源スイッチ44を備え、メイン制御基板200に電力を供給する第2電源装置43と(【0038】、【0047】、【0048】、【0058】)、
第1電源装置47から延び、筐体12の背板12aに設けた電源供給口12bから筐体12の外部に出て、筐体12の外部に設けられた外部電源に接続される電源ケーブル48とを備え(【0018】、【0040】、【0041】)、
g 電源スイッチ44は、前扉14が開放状態の場合に操作可能であり(認定事項1)、
l 電源供給口12bが、筐体12の背板12aに、筐体12の内部と外部を貫通する貫通孔として設けられ(【0018】、認定事項2)、
m 筐体12を背面から見た場合の右方向かつ下方向であって、筐体12の底部の直上に、第1電源装置47、第2電源装置43が配置され(認定事項3)、
筐体12の背板12aを背面から見た場合の右方向かつ下方向であって、背板12aの第2電源装置43の後方の位置に、電源供給口12bが配置されている(【0018】、認定事項4)、
f 遊技機10としてのスロットマシン(【0017】)。」

(3) 周知事項
ア 周知事項1
(ア) 周知例1
新たに提示する本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第6793987号公報(令和2年12月2日発行、以下「周知例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
a 「【0044】
電源装置18は、外部電源を交流から直流に変換し、電源ラインを介してスロットマシン1の各機器に電力を供給する。後述するように、電源装置18は、3段階の電源電圧の電源ラインを介して電力を供給する。電源装置18は、電源スイッチ31と設定キースイッチ32とを備えている。電源スイッチ31は、一般的なロッカースイッチであり、電源スイッチ31をONからOFFに切り替えるとスロットマシン1の電力供給が切断され、電源スイッチ31をOFFからONに切り替えるとスロットマシン1に電力供給が開始される。・・・」

b 「【0058】
図7,8に示すように、サブ接続基板23は、サブ接続基板本体52の背面側に、コネクタ45f〜45m、コンデンサ47b,47c、抵抗48c,48d、ダイオード49bなどの電子部品を配設してなるものである。・・・サブ接続基板本体52の背面側上部には、LEDからなる3つのモニタランプ50a〜50cが配設される。モニタランプ50a〜50cは、電源装置18から供給される3種類の電源ラインの通電状態を示すものであり、サブ接続基板本体52の表面には、各モニタランプ50a〜50cの脇に、対応する電源ラインの電圧値(「5V」、「20V」、「30V」)が夫々表示されている。」

c 「【0087】
図18は、電源装置18から主要な機器への電力供給回路を示したものである。
上述のように、電源装置18は外部電源を交流から直流に変換して、5V/20V/30Vの電源電圧の電源ラインを介して各機器に電力を供給する。なお、図示は省略しているが、各電源ラインの電力は、いくつかの機器には、レギュレータ等により所要の電圧に変換された後で、各機器に供給される。図18に示すように、3本の電源ラインは、電源接続基板80やサブ接続基板23、スピーカ接続基板82、演出用ランプ接続基板83などの中継基板を経由して各機器に接続される。例えば、メイン制御基板20には、電源接続基板80を経由して、5Vと30Vの電源ラインが接続される。5Vの電源ラインから供給される電力は、メイン制御基板20のロジック回路の電源に使用され、30Vの電源ラインは、メイン制御基板20を経由してリールモータ33などの駆動電力として使用される。また、払出モータ36には、電源接続基板80を経由して30Vの電源ラインが接続される。
【0088】
また、図18,19に示すように、3本の電源ラインは、電源装置18から電源接続基板80を経由してサブ接続基板23に接続される。そして、5Vの電源ラインは、サブ接続基板23を経由して、サブ制御基板21、画像制御基板22、画像表示器12、及び役物駆動基板84と接続されて、それらのロジック回路へ電力を供給する。具体的には、サブ制御基板21、画像制御基板22、及び役物駆動基板84は、サブ接続基板23から5Vの電源ラインが直接接続され、画像表示器12は、サブ接続基板23から画像制御基板22を経由して、5Vの電源ラインが接続される。一方、20Vと30Vの2本の電源ラインは、さらに、サブ接続基板23を経由して、リールバックランプ35、スピーカ11a〜11d、演出用ランプ13a,13b、画像表示器12、役物駆動モータ10bなどの駆動装置と接続されて、各駆動装置へ駆動電力を供給する。具体的には、リールバックランプ35には、サブ接続基板23からサブ制御基板21を経由して、30Vの電源ラインから駆動電力が供給される。また、スピーカ11a〜11dには、サブ接続基板23からスピーカ接続基板82を経由して、20Vの電源ラインから駆動電力が供給される。また、演出用ランプ13a,13bには、サブ接続基板23から演出用ランプ接続基板83を経由して、30Vの電源ラインから駆動電力が供給される。また、画像表示器12には、サブ接続基板23から画像制御基板22を経由して、30Vの電源ラインから液晶バックライトに駆動電力が供給される。また、役物駆動モータ10bには、サブ接続基板23から役物駆動基板84を経由して、30Vの電源ラインから駆動電力が供給される。
【0089】
図19に示すように、サブ接続基板23に配設された3つのモニタランプ50a〜50cは、サブ接続基板23が中継する3本の電源ラインに夫々接続される。そして、5Vの電源ラインの通電状態では、当該電源ラインから第1モニタランプ50aに電力が供給されることにより第1モニタランプ50aが点灯し、5Vの電源ラインの非通電状態では、当該電源ラインから第1モニタランプ50aへの電力供給が停止することにより第1モニタランプ50aが消灯する。同様に、20Vの電源ラインの通電状態では、当該電源ラインから第2モニタランプ50bに電力が供給されることにより第2モニタランプ50bが点灯し、20Vの電源ラインの非通電状態では、当該電源ラインから第2モニタランプ50bへの電力供給が停止することにより第2モニタランプ50bが消灯する。また、30Vの電源ラインの通電状態では、当該電源ラインから第3モニタランプ50cに電力が供給されることにより第3モニタランプ50cが点灯し、30Vの電源ラインの非通電状態では、当該電源ラインから第3モニタランプ50cへの電力供給が停止することにより第3モニタランプ50cが消灯する。
【0090】
このように、本実施例では、サブ接続基板23の各モニタランプ50a〜50cが、各電源ラインの通電状態に応じて点灯/消灯するため、遊技場のスタッフは、かかるモニタランプ50a〜50cを確認することによって、各機器への電力供給が正常に行われているかを確認できる。」

d 「【図8】



e 「【図18】



f 前記a〜eからみて、周知例1には、次の技術的事項が記載されている。
「外部電源を交流から直流に変換して、5V/20V/30Vの電源電圧の3本の電源ラインを介して各機器に電力を供給する電源装置18と(【0044】、【0087】)、
当該3本の電源ラインが電源装置18から接続されるサブ接続基板23を備え(【0088】、図18)、
サブ接続基板23は、サブ接続基板本体52の背面側に電子部品を配設してなり、サブ接続基板本体52の背面側上部に、LEDからなり、電源装置18から供給される3種類の電源ラインの通電状態を示す3つのモニタランプ50a〜50cが配設され、サブ接続基板本体52の表面に、各モニタランプ50a〜50cの脇に、対応する電源ラインの電圧値(「5V」、「20V」、「30V」)が夫々表示され、遊技場のスタッフは、モニタランプ50a〜50cを確認することによって、各機器への電力供給が正常に行われているかを確認できる(【0058】、【0090】、図8)、
スロットマシン1(【0044】)。」(以下「周知例1に記載の技術的事項」という。)

(イ) 周知例2
新たに提示する本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009−34424号公報(平成21年2月19日発行、以下「周知例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技制御を行う遊技制御用ICを搭載した制御基板を備えたパチスロ機、パチンコ機などの遊技台に関するものである。
・・・
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の一例として、パチンコ機に関する実施例を示す。」

b 「【0058】
電源管理部500は、パチンコ機100に外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して主制御部300、払出制御部400などの各制御部や払出装置154などの各装置に供給する。・・・」

c 「【0082】
図9は入力系の周辺デバイスの制御回路の構成、特に、図4の主制御部300のセンサ回路320、あるいは図4の払出制御部400のセンサ回路420の入力制御に用いることができる入力制御回路の構成を示している。図9の回路は、遊戯領域に設けられた各種センサから検出情報を入力する制御を行う。
【0083】
本実施例では、図9、図10に示すように、制御基板への入力信号の状態、および電源信号の状態をモニタするため、LEDによるラインモニタを設ける。
・・・
【0093】
さらに、図9の回路を含む回路基板に対して入力される5Vおよび12Vの電源ラインの状態をモニタするためにLED10およびLED11を設ける。すなわち、LED10およびLED11は電源ラインモニタであり、それぞれのカソードを接地し、また、アノードは電流制限用の抵抗を介して5Vおよび12Vの各電源ラインでプルアップする。したがって、電源基板162から供給される5Vおよび12Vの電源ラインが正常であれば、これらLED10およびLED11が点灯することになる。」

d 「【0095】
さらに、本実施例においては、図6〜図9に示した制御回路を塔載した回路基板の実装においては、図10に示すような特徴的な構成を用いる。図10の回路基板は、主制御部300、あるいは払出制御部400を構成する制御基板として実装することができる。
・・・
【0097】
図10の回路基板には、基板上に図9のLED1〜LED11が配置される(図10右上方)。
・・・
【0099】
また、図10の回路基板では、基板上に電源コネクタ1002を配置する(図10下中央)。電源コネクタ1002には、電源基板162から図10の制御基板に電力を供給する電力供給ワイヤハーネスのコネクタが接続される。電源コネクタ1002の信号端子には、上述のLED10、LED11によりそれぞれモニタされる5Vおよび12Vの各電源ラインを含む。・・・
【0100】
なお、各LED1〜LED11の近傍の基板上面には、それぞれのLEDの表示の意味を示すため、上記の信号名や、電源ラインの電圧値などを示す文字や記号を印刷(たとえばレジスト1003の印刷と同時に行うことができる)ないし刻印するようにしてもよい。なお、この場合、LEDの表示の意味を示す文字や記号の色は、文字や記号が対応する各LEDの表示色と同じ(ないし類似の)色とするとより判りやすくなる。このような構成により、各LEDの表示の意味をよりはっきりと保守作業者に伝えることができる場合がある。」

e 「【図9】



f 前記a〜eからみて、周知例2には、次の技術的事項が記載されている。
「各制御部と、外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して各制御部に供給する電源管理部500とを備え(【0058】)、
各制御部の回路基板に対して入力される5Vおよび12Vの電源ラインの状態をモニタするために、基板上にLED10およびLED11を設け、各LED1〜LED11の近傍の基板上面には、それぞれのLEDの表示の意味を示すため、上記の信号名や、電源ラインの電圧値などを示す文字や記号を印刷し、各LEDの表示の意味をよりはっきりと保守作業者に伝えるようにした(【0093】、【0097】、【0100】、図9)、
パチスロ機(【0001】)。」(以下「周知例2に記載の技術的事項」という。)

(ウ) 周知例1に記載の技術的事項(前記(ア)f)及び周知例2に記載の技術的事項(前記(イ)f)を総合すると、
「交流の外部電源を変換手段によって直流に変換して得られた所定の電圧が、スロットマシンの内部において表示され、当該変換手段から供給される電力の当該電圧値を作業者が容易に確認できるスロットマシン。」
は、スロットマシンの技術分野において、本願出願前に周知(以下「周知事項1」という。)であると認められる。

イ 周知事項2
(ア) 電気用品安全法におけるスロットマシンの位置付け
a 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019−55079号公報(平成31年4月11日出願公開、以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
(a) 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者に遊技上の利益を付与するか否かを抽選により決定する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技者によるメダル(遊技媒体)のベットおよびスタートスイッチの操作に応じて、当選役の抽選を行うとともに、種々の図柄が記された複数のリールが回転する。そして、抽選結果と遊技者によるストップスイッチの操作に応じてリールが順次停止され、払い出しの対象となるライン上である有効ライン上に、当選役に対応する図柄組み合わせが表示されると、所定枚数のメダルが払い出されるなど、遊技上の利益(以下、単に遊技利益という)が遊技者に付与されることとなる。
【0003】
このようなスロットマシンは、電気製品の安全性を確保するための電気用品安全法(PSE法)において、「特定電気用品以外の電気用品」に位置付けられ、その製品が技術基準に適合していることを、例えば、雑音端子電圧測定等の自主検査により確認する必要がある。・・・」

(b) 前記(a)からみて、引用文献2には、次の事項が記載されている。
「スロットマシンが、電気用品安全法において、「特定電気用品以外の電気用品」に位置付けられること。」(以下「引用文献2の記載事項」という。)

b 電気用品安全法の関係法令における規定
1962年8月14日に公布された政令である電気用品安全法施行令の第1条
「電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号。以下「法」という。)第2条第1項の電気用品は、別表第一の上欄及び別表第二に掲げるとおりとする。」
と規定され、同施行令別表第二に「

・・・

・・・

・・・
」と規定され、上記別表第二中に「電動力応用機械器具」として掲げられている「電気遊戯盤」については、1962年8月14日に公布された電気用品安全法施行規則の別表第二に「

・・・

・・・

・・・
」との規定があり、「電動力応用機械器具」に含まれる「電気遊戯盤」の「種別」として「(4)スロットマシン盤」の種別が設けられている。

c 前記bより、前記aの引用文献2の記載事項は、前記bで示した法令に規定されている事項であって、法令の公布により本願出願前に周知であると認められる。

(イ) 電気用品安全法における定格電圧の表示に係る規定
a 電気用品安全法の所管官庁である経済産業省のウェブサイトに掲載され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「電気用品安全法|届出・手続の流れ」、[online]、経済産業省、2017年10月26日掲載、[2023年3月1日検索]、インターネット<URL:https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/procedure_08.html>(以下「電子的技術情報1」という。)には、次の事項が記載されている。
(a) 「届出事業者は、基準に適合し、検査等を実施した電気用品について、国が定めた表示(PSEマーク等)を付すことができます。
電安法に基づき届出事業者が付す表示事項は、以下の4項目です。
このうち、1.〜3.は、原則、近接して表示する必要があります。
1.記号
2.届出事業者名
3.登録検査機関名称(特定電気用品の場合)
4.定格電圧、定格電流等の諸元」([表示]第1〜7行)

ここで、上記記載中の「届出事業者」は、「電気用品の製造又は輸入を行う者」のことである(電気用品安全法第3条第4条)。

(b) 「電気用品毎に表示すべき事項及び表示の方法が異なります。
具体的には、技術基準省令解釈の各別表の附表に規定されています。
・・・
● 電熱器具、電動力応用機械器具、光源及び光源応用機械器具、電子応用機械器具、その他の交流用電気機械器具?→?別表第8の附表第6
・・・」([表示][4.定格電流、定格電圧等]第1〜11行)

(c) [表示][表示例]において「特定電気用品以外の表示」として示した図に、矩形が記載され、当該矩形の内部に「P」、「S」、「E」の3文字とそれら3文字を囲む円が記載され、当該円の右側に「経済産業電気株式会社」と記載され、当該円の下側に「100V 30W 50/60Hz 屋外用 ・・・」と記載されていることが看取され、上記「100V 30W 50/60Hz 屋外用 ・・・」との記載の右側に「製品により記載事項が異なる」と記載されていることが看取される。





(d) 「最終更新日:2017年10月26日」(上記ウェブサイトの末尾)

(e) 前記(a)〜(c)より、上記電子的技術情報1には、次の事項が記載されていると認められる。
「電気用品安全法に規定される電気用品に、定格電圧等を表示事項に含む表示が付されること。」

(f) 電子的技術情報1は、前記(d)より、本願出願前に公表されたものである。また、電子的技術情報1を掲載するウェブサイトは、電気用品安全法の所管官庁である経済産業省が設置しているものであり、「電気用品安全法」という法令名をタイトルとするものであるから、当該ウェブサイトに掲載された事項は、法令等に規定されている事項として電気用品にかかわる事業者等に広く知られることとなったと認められる。そうすると、前記(e)に示した事項は、法令等に規定されている事項として本願出願前に周知であると認められる。

b 前記a(b)に示した記載中の「技術基準省令解釈」の「別表第8」に該当する、経済産業省が発出した通達であって、経済産業省により頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「別表第八 電気用品安全法施行令(昭和三十七年政令第三百二十四号)別表第一第六号から第九号まで及び別表第二第七号から第十一号までに掲げる交流用電気器具並びに携帯発電機」、[online]、経済産業省、[2023年3月1日検索]、
インターネット<URL:
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/beppyoudai8.pdf>(以下「電子的技術情報2」という。)には、附表第6に「

・・・

・・・
」との規定がある。
(a) 上記附表第6には、次の事項が規定されている。
「電気用品の表示の方式に関し、電気遊戯盤について、表示すべき事項に定格電圧が含まれ、当該表示の方法は、表面の見やすい箇所に容易に消えない方法とすること。」

(b) 上記電子的技術情報2に記録されている通達に関して参照するために提示する「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の全部改正について」、[online]、経済産業省、[2023年3月1日検索]、インターネット<URL:https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/130701_sinkaishaku.pdf>には、次の事項が記載されている。
i 「20130605商局第3号 平成25年7月1日」(第1ページ第2〜3行)

ii 「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(平成24・01・商局第1号)の全部を別添のとおり改訂する。
本解釈は、平成26年1月1日から適用する。」(第1ページ第6〜8行)

iii 「目次(概要)
・・・
別表第八 電気用品安全法施行令(昭和三十七年政令第三百二十四号)別表第一第六号から第九号まで及び別表第二第七号から第十一号までに掲げる交流用電気器具並びに携帯発電機
・・・」(第3ページ第1〜12行)

iv 前記i〜iiiより、上記電子的技術情報2に記録されている通達は、本願出願前に発出されたものであって、当該通達に規定された事項は、本願出願前に電気用品にかかわる事業者等に広く知られることとなったと認められる。

(c) 前記(b)ivに述べた点を踏まえると、前記(a)に示した事項は、法令等に規定されている事項として本願出願前に周知であると認められる。

c 前記a(f)、b(c)より、次の事項が、法令等に規定されている事項として本願出願前に周知であると認められる。
「電気用品安全法に規定される電気用品に、定格電圧等を表示事項に含む表示が付され、電気遊戯盤については、当該表示に表示すべき事項に定格電圧が含まれ、当該表示の方法は、表面の見やすい箇所に容易に消えない方法とすること。」

(ウ) 前記(ア)c、(イ)cに示した事項、及び、スロットマシンは前記(ア)bより「電気遊戯盤」に含まれることから、「スロットマシンに、定格電圧を表示事項に含む表示を付し、当該表示の方法を表面の見やすい箇所に容易に消えない方法とすること。」(以下「周知事項2」という。)は、法令等に規定されている事項として本願出願前に周知であると認められる。

ウ 周知事項3
(ア) 上記電子的技術情報2には、前記イ(イ)bに示した規定が記載されており、当該規定において、スロットマシンを含む「電気遊戯盤」に関し、「定格電圧」が「表示すべき事項」に含まれている一方で、定格電圧以外の電圧は「表示すべき事項」に含まれていない。

(イ) 前記イ(イ)a(b)より、上記電子的技術情報1には、スロットマシンを含む「電気遊戯盤」等の「電動力応用機械器具」について、定格電圧等の諸元のうち表示すべき事項が規定されている法令等として、上記電子的技術情報2に記録されている通達の名称が記載されているが、その他の法令等の名称は記載されていない。

(ウ) 上記電子的技術情報1、2の公表時期等に関して前記イ(イ)a(f)、イ(イ)b(b)ivに示した点を踏まえつつ、前記(ア)、(イ)に示した事項を総合すると、「スロットマシンにおいて、電気用品安全法に基づいてする表示において、定格電圧以外の電圧を表示しないことが法令等において許容されていること。」(以下「周知事項3」という。)は、本願出願前に周知であると認められる。

エ 周知事項4
(ア) 周知例3
a 新たに提示する電子的技術情報である「希少 パチスロメーシー 餓狼伝説Special 5号機 実機 コイン不要機付 コインカウンター 直接渡し可 領収書 127」、[online]、ヤフオク!、2022年9月20日掲載、[2022年9月27日検索]、インターネット<URL:http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e1064451803>(以下「電子的技術情報3」という。)において、「商品情報」のヘッダ直下に掲載された写真の下方に列挙されている上下2列からなる写真群(以下「写真群」という。)から、次の事項が看取される。
(a) 上記写真群のうち上列の最も左の写真に、筐体と、当該筐体の上下方向の中央よりやや上方において左右方向に並んで3個設けられ、ベル、REPLAY、赤7等の図柄が描かれた部材とを有する装置が映っていること。


(b) 上記写真群のうち上列の右から2番目の写真の左半分に、茶色の部材に取り付けられた、背景色が黒色の略矩形の表示部材が映っており、当該表示部材に、「P」、「S」、「E」の3文字とそれら3文字を囲む円が印刷されており、
「製造者名 株式会社 SNKプレイモア
型式名 ガロウデンセツスペシャル
製造番号 012439
製造年月 2007年12月
使用電源 AC100V 50/60Hz 95W 屋内用」
と印刷されており、上記「AC100V」以外には電圧値が印刷されていないこと。


(c) 上記写真群のうち上列の最も右の写真に、筺体が映っており、当該筐体を構成する茶色の板状の部材が、以下の部位を有すること。
i 上記部材の左上隅に取り付けられた、背景色が黒色の略矩形の表示部材。
ii 上記部材の左上部であって、前記iの矩形片の下部に設けられた、円形の孔。


b 前記a(a)に示した図柄が描かれた部材は、スロットマシンが特徴的に有する部品であるリールと解されるから、電子的技術情報3に記録されている装置は、スロットマシンであり、前記a(b)より、当該スロットマシンは、「ガロウデンセツスペシャル」という型式名のものである。

c 電子的技術情報3に記録されている装置が、前記bで示したように、スロットマシンであって、前記a(a)の写真は、遊技者がリールの図柄を視認できるように構成された、当該スロットマシンの前部の外側を記録したものであるから、リールが映っていない前記a(c)の写真は、当該スロットマシンの筐体の背部の外側を記録したものである。

d 前記a(b)に示した表示部材は、製造番号及び製造年月の表示が含まれているから、製造者が製造時に付したものであり、少なくとも、2007年12月に製造された当該型式名のスロットマシンには貼付されていたと認められる。

e 電子的技術情報3に記録されている装置について参照するため新たに提示する電子的技術情報である「餓狼伝説スペシャル」、[online]、P−WORLD 機種インデックス、[2023年3月1日検索]、インターネット<URL:https://www.p-world.co.jp/machine/database/5009>には、「型式名:ガロウデンセツスペシャル」、及び、「導入開始:2008年1月」という記載がある。当該記載の「導入」は、遊技店への導入、すなわち、遊技店に設置されたことと解される。そうすると、「ガロウデンセツスペシャル」という型式名のスロットマシンについて、少なくとも当該型式名のスロットマシンの筐体の外面に看取される事項は、2008年1月に、当該型式名のスロットマシンが遊技店に設置されたことにより、不特定の者に知られることとなったと認められる。

f 前記a〜eより、本願出願前に、「ガロウデンセツスペシャル」という型式名のスロットマシン(以下「周知例3」という。)において、次の事項が公然実施されたと認められる。
「筐体の背部の外側における左上隅に表示部材を取り付け、当該表示部材に、製造者名、型式名、製造番号、製造年月、使用電源の電圧、周波数、電力が印刷され、当該表示部材に使用電源の電圧以外の電圧は印刷されておらず、
上記背部の外側における左上部であって、上記表示部材の下部に、円形の孔が設けられた
スロットマシン。」(以下「周知例3において公然実施された事項」という。)

(イ) 周知例4
a 新たに提示する電子的技術情報である「パチスロ実機 押忍!番長 デンセツノオトコD 大都技研 Daito 100V ドアキー&設定キー付き MISAO Ver.押番 コイン不要機 現状売り切り」、[online]、ヤフオク!、2022年9月12日掲載、[2022年9月27日検索]、インターネット<URL:https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/1061102958>(以下「電子的技術情報4」という。)において、写真群から次の事項が看取される。
(a) 上記写真群のうち上列の最も左の写真に、筐体と、当該筐体の上下方向の中央よりやや上方において左右方向に並んで3個設けられ、赤7、ベル等の図柄が描かれた部材とを有する装置が映っていること。


(b) 上記写真群のうち下列の左から3番目の写真に、黒色の面材に取り付けられた、背景色が白色の略矩形の表示部材(以下「表示部材1」という。)が映っており、表示部材1に、
「型式名 デンセツノオトコD
製造番号 094873
製造年月 2005.4
製造業者 株式会社大都技研」
と印刷されていること。


(c) 上記写真群のうち下列の左から2番目の写真に、黒色の面材に取り付けられた、背景色が白色の略矩形の表示部材(以下「表示部材2」という。)が映っており、表示部材2に、「P」、「S」、「E」の3文字とそれら3文字を囲む円が印刷されており、
「製造業者名 株式会社大都技研
定格電圧 AC 100V
定格周波数 50/60Hz
定格消費電力 130W
最大消費電流 2.5A
使用場所 屋内用
・・・」
と印刷されており、上記「AC 100V」以外には電圧値が印刷されていないこと。


(d) 上記写真群のうち下列の最も左の写真に、筺体が映っており、当該筐体を構成する黒色の板状の部材が、以下の構成を有すること。
i 上記部材の右下隅に設けられた、黒色のケーブルが通されている、略円形の孔。
ii 上記部材の左上隅に取り付けられた表示部材1。
iii 上記部材の上下方向の中央付近であって右端に近接した位置に取り付けられ、前記iで示した孔よりも上記部材の右端に近い位置にまで広がっている、表示部材2。


b 前記a(a)に示した図柄が描かれた部材は、スロットマシンが特徴的に有する部品であるリールと解されるから、電子的技術情報4に記録されている装置は、スロットマシンであり、前記a(b)より、当該スロットマシンは、「デンセツノオトコD」という型式名のものである。

c 電子的技術情報4に記録されている装置が、前記bで示したように、スロットマシンであって、前記a(a)の写真は、遊技者がリールの図柄を視認できるように構成された、スロットマシンの前部の外側を記録したものであるから、リールが映っていない前記a(d)の写真は、当該スロットマシンの筐体の背部の外側を記録したものである。

d 前記a(b)に示した表示部材は、製造番号及び製造年月の表示が含まれているから、製造者が製造時に付したものであり、少なくとも、2005年4月に製造された当該型式名のスロットマシンには貼付されていたと認められる。

e 電子的技術情報4に記録されている装置について参照するため新たに提示する電子的技術情報である「押忍!番長「2005年」」、[online]、P−WORLD 機種インデックス、[2023年3月1日検索]、インターネット<URL:https://www.p-world.co.jp/machine/database/3819>には、「機種情報 備考 型式名:デンセツノオトコD」、及び、「導入開始:2005年7月」という記載がある。そうすると、「デンセツノオトコD」という型式名のスロットマシンについて、少なくとも当該型式名のスロットマシンの筐体の外面に看取される事項は、2005年7月に、当該型式名のスロットマシンが遊技店に設置されたことにより、不特定の者に知られることとなったと認められる。

f 前記a〜eより、本願出願前に、「デンセツノオトコD」という型式名のスロットマシン(以下「周知例4」という。)において、次の事項が公然実施されたと認められる。
「筐体の背部の外側の左上隅に表示部材を取り付け、当該表示部材に、型式名、製造番号、製造年月、製造業者が印刷され、
上記筐体の背部の外側の上下方向の中央付近であって右端に近接した位置に上記表示部材とは別個の表示部材を取り付け、当該別個の表示部材に、製造業者、定格電圧、定格周波数、定格消費電力、最大消費電流、使用場所等が印刷され、当該表示部材に定格電圧以外の電圧は印刷されておらず、
上記背部の外側における右下隅であって、上記表示部材の下方に、黒色のケーブルが通されている、略円形の孔が設けられ、
上記別個の表示部材は、上記孔と比べて、上記背部の外側の右端に近い位置にまで広がっている
スロットマシン。」(以下「周知例4において公然実施された事項」という。)

(ウ) 周知例3において公然実施された事項(前記(ア)f)及び周知例4において公然実施された事項(前記(イ)f)を総合すると、
「定格電圧等を印刷した表示部材を取り付けたスロットマシンにおいて、当該表示部材をスロットマシンの筐体の背部の外側に取り付け、背部の外側において当該表示部材を取り付ける位置には種々の位置が選択されること。」
は、スロットマシンの技術分野において、本願出願前に周知(以下「周知事項4」という。)であると認められる。

(4) 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 特定事項Aについて
引用発明の特定事項aの「筐体12」は、本件補正発明の特定事項Aの「筐体」に相当し、
引用発明の特定事項aの「前面側が開放され、他の面を板で形成される直方体状」であることは、本件補正発明の特定事項Aの「前方に開口部を有する箱状」であることに相当する。
したがって、引用発明の特定事項aは、本件補正発明の特定事項Aに相当する構成を備えている。

イ 特定事項Bについて
引用発明の特定事項bの「前扉14」は、本件補正発明の特定事項Bの「扉体」に相当し、
引用発明の特定事項bの「この筐体12の前面側を開閉可能に覆う」ことは、本件補正発明の特定事項Bの「前記筐体の開口部に開閉可能に配設された」ことに相当する。
したがって、引用発明の特定事項bは、本件補正発明の特定事項Bに相当する構成を備えている。

ウ 特定事項Cについて
引用発明の特定事項cehの「電源ケーブル48」、「電源スイッチ44」、「第2電源装置43」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Cの「電源コード」、「電源スイッチ」、「電源装置」に相当し、
引用発明の特定事項cehの「第2電源装置43」は、「第1電源装置47から電力が供給され」、当該「第1電源装置47」は、「電源ケーブル48を解して外部電源に接続され、外部電源から電力が供給され」るものであるから、本件補正発明の特定事項Cの「電源装置」が備える「電源コードを伝って電力が供給され」るという構成を備えている。
したがって、引用発明の特定事項cehは、本件補正発明の特定事項Cに相当する構成を備えている。

エ 特定事項Eについて
本件補正発明の特定事項Eの「外部電源」は、電力を供給するものであることが明らかであるから、本件補正発明の特定事項Eの「外部電源を所定の電圧に変換する変換手段」は、「外部電源」から電力が供給される手段である。
したがって、引用発明の特定事項cehと本件補正発明の特定事項Eとは、「外部電源」から電力を供給される手段を備える点で共通する。

オ 特定事項Fについて
引用発明の特定事項fの「遊技機10としてのスロットマシン」は、本件補正発明の特定事項Fの「遊技台」に相当する。
したがって、引用発明の特定事項fは、本件補正発明の特定事項Fに相当する構成を備えている。

カ 特定事項Gについて
前記イ、ウより、引用発明の「電源スイッチ44」、「前扉14」は、それぞれ、本件補正発明の「電源スイッチ」、「扉体」に相当するから、
引用発明の特定事項gの「電源スイッチ44は、前扉14が開放状態の場合に操作可能」であることは、本件補正発明の特定事項Gの「前記電源スイッチは、前記扉体が開放状態の場合に操作可能」であることに相当する。
したがって、引用発明の特定事項gは、本件補正発明の特定事項Gに相当する構成を備えている。

キ 特定事項Hについて
引用発明の特定事項cehの「第2電源装置43」が「筐体12の内部に配置され」ることは、本件補正発明の特定事項Hの「前記電源装置」が「前記筐体の内部に配置される」ことに相当し、
引用発明の特定事項cehの「電源コード48」が「筐体12の背板12aに設けた電源供給口12bから筐体12の外部に出て、第1電源装置47から延び」ることは、本件補正発明の特定事項Hの「前記電源コードが前記筐体の背部から延伸されるよう構成され」ることに相当する。
したがって、引用発明の特定事項cehは、本件補正発明の特定事項Hに相当する構成を備えている。

ク 特定事項Lについて
引用発明の特定事項lの「筐体12の背板12aに」「設けられ」た「筐体12の内部と外部を貫通する貫通孔」である「電源供給口12b」は、本件補正発明の「前記筐体の背部」に「設けられ」た「該筐体の内部と外部を貫通する貫通孔」に相当する。
したがって、引用発明の特定事項lは、本件補正発明の特定事項Mに相当する構成を備えている。

ケ 特定事項Mについて
引用発明の特定事項mの「筐体12」は、特定事項aのとおり「直方体状」であるから、その「背板12a」によって構成される背部は、長方形状であり、そうすると、
左右方向における中点を上下方向に通る仮想の直線(以下「上下方向の仮想直線」という。)を設定することが可能であり、
上下方向における中点を左右方向に通る仮想の直線(以下「左右方向の仮想直線」という。)を設定することが可能であり、
当該上下方向の仮想直線と左右方向の仮想直線により四分割に形成された仮想領域を設定することが可能であり、
当該仮想領域のうちの一つは、前記筐体の背部の左右方向における右方向側、かつ、前記筐体の背部の上下方向における上方向側の領域(以下「右上側領域」という。)となり、
当該仮想領域のうちの一つは、前記筐体の背部の左右方向における右方向側、かつ、前記筐体の背部の上下方向における下方向側の領域(以下「右下側領域」という。)となり、
当該仮想領域のうちの一つは、前記筐体の背部の左右方向における左方向側、かつ、前記筐体の背部の上下方向における上方向側の領域(以下「左上側領域」という。)となり、
当該仮想領域のうちの一つは、前記筐体の背部の左右方向における左方向側、かつ、前記筐体の背部の上下方向における下方向側の領域(以下「左下側領域」という。)となり、
上記「右上側領域」、「右下側領域」、「左下側領域」、「左上側領域」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Mの「第一の仮想領域」、「第二の仮想領域」、「第三の仮想領域」、「第四の仮想領域」に相当する。
そして、引用発明の特定事項mにおける「電源供給口12b」は、「筐体12の背板12aを背面から見た場合の右方向かつ下方向」に配置されているから、上記右下側領域に位置しており、
引用発明の特定事項mにおける「第2電源装置43」は、筐体12を背面から見た場合の右方向かつ下方向」に配置されているから、上記右下側領域に位置している。
したがって、引用発明の特定事項mと本件補正発明の特定事項Mとは、
「前記筐体の背部の左右方向における中点を上下方向に通る仮想の直線を第一の仮想直線とし、
前記筐体の背部の上下方向における中点を左右方向に通る仮想の直線を第二の仮想直線とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第一の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第二の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第三の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第四の仮想領域とし、
前記第一の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第二の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第三の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第四の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記電源装置と前記貫通孔は、前記第二の仮想領域に含まれて」いる点で共通している。

コ 前記ア〜サからみて、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
A 前方に開口部を有する箱状の筐体と、
B 前記筐体の開口部に開閉可能に配設された扉体と、
C 電源コードを伝って電力が供給され、電源スイッチを備えた電源装置と、
E′外部電源から電力を供給される手段と、
F を備えた遊技台であって、
G 前記電源スイッチは、前記扉体が開放状態の場合に操作可能であり、
H 前記電源装置は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記電源コードが前記筐体の背部から延伸されるよう構成され、
L 前記筐体の背部には、該筐体の内部と外部を貫通する貫通孔が設けられ、
M′前記筐体の背部の左右方向における中点を上下方向に通る仮想の直線を第一の仮想直線とし、
前記筐体の背部の上下方向における中点を左右方向に通る仮想の直線を第二の仮想直線とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第一の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第二の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第三の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第四の仮想領域とし、
前記第一の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第二の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第三の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第四の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記電源装置と前記貫通孔は、前記第二の仮想領域に含まれている、
G 遊技台。

そして、両者は、以下の点で相違する。
<相違点1> (特定事項E、I)
外部電源から電力を供給される手段が、
本件補正発明では、外部電源を所定の電圧に変換する変換手段であり、前記所定の電圧は、前記遊技台の内部において表示されるのに対し、
引用発明では、サブ制御基板300を含む各部品に電力を供給する第1電源装置47である点。

<相違点2> (特定事項D、H、I、J、K、M、N)
定格電圧表示を含む表示に関して、遊技台が、
本件補正発明では、或る表示を示す表示手段を備え、前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含み、変換手段によって外部電源を変換してなる所定の電圧は、前記表示手段では表示されないものであり、前記表示手段は、前記筐体の背部外面の左右方向において前記電源装置が配置されている側の前記筐体の背部における第一の領域に配置され、前記第一の領域は、第二の仮想領域に含まれており、前記第一の領域は、前記電源装置の近傍かつ該電源装置と重畳しない箇所に位置しており、前記第一の領域は、前記貫通孔の近傍に位置しており、前記第一の領域は、前記第二の仮想領域において、前記貫通孔よりも前記筐体の側端側に位置しているのに対し、
引用発明では、定格電圧表示を含む表示を示す表示手段を備えるかどうか不明である点。

(5)判断
上記の各相違点について検討する。
ア 相違点1について
(ア) 外部電源を所定の電圧に変換する変換手段は、外部電源の交流電力を変換して得られる所定の電圧の直流電力によってスロットマシンが備える制御基板等を駆動するために、スロットマシンが当然備える構成である。そうすると、引用発明においても、外部電源と電源ケーブル48を介して接続されて電力が供給され、サブ制御基板300等に電力を供給する第1電源装置47は、外部電源を所定の電圧に変換する変換手段を備えたものであるといえ、引用発明は、外部電源から電力を供給される手段が、「外部電源を所定の電圧に変換する変換手段」であるという本件補正発明の構成を備えたものである。

(イ) スロットマシンの技術分野において、前記(3)ア(ウ)に示した周知事項1が、本願出願前に周知である。
そして、引用発明と周知事項1は、スロットマシンの技術分野に属し、外部電源を変換する変換手段を備える点で共通しているから、引用発明において、当該変換手段から電力を供給する電力線に印加される電圧値を作業者が容易に確認できるようにするために、周知事項1を適用して、外部電源を変換手段によって変換して得られた所定の電圧をスロットマシンの内部において表示することにより、「前記所定の電圧は、前記遊技台の内部において表示される」という本件補正発明の構成を備えたものとすることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ) 前記(ア)、(イ)より、本件補正発明の上記相違点1に係る構成は、引用発明及び周知事項1に基いて、当業者が容易に想到できたものである。

イ 相違点2について
(ア) スロットマシンに関し、前記(3)イ(ウ)に示した周知事項2が、法令等に規定されている事項として本願出願前に周知である。
そして、スロットマシンを、周知事項2に適合したものとすることは、法令等を遵守するために当然であって、引用発明のスロットマシンも、周知事項2のように表面の見やすい箇所に定格電圧表示を含む表示を示す表示手段を備えたものである。そうすると、引用発明は、「或る表示を示す表示手段を備え、前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含」むという本件補正発明の構成を備えたものである。

(イ) 引用発明が備える上記表示手段は、表面に設けられており、主に、スロットマシンの電力線を外部電源に接続する作業者が、定格電圧を確認するために視認することが想定されるところ、当該作業においては、スロットマシン内部において外部電源から変換して利用される電力の電圧値の情報は不要である。また、前記(3)ウ(ウ)に示した周知事項3のとおり、定格電圧以外の電圧は、上記表示手段に表示しないことが法令等において許容されている。そうすると、引用発明において「変換手段によって外部電源を変換してなる所定の電圧」が、当該表示手段で表示されることには、特段の意義が見出せないので、引用発明において当該表示を行わず、「前記所定の電圧が、前記表示手段で表示されない」という本件補正発明の構成を備えたものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。

(ウ) 引用発明は、第2電源装置43(前記(4)ウより、本件補正発明の「電源装置」に相当)の配置が、「筐体12を背面から見た場合の右方向かつ下方向であって、筐体12の底部の直上」であり、電源供給口12b(前記(4)クより、本件補正発明の「貫通孔」に相当)の配置が、「筐体12の背板12aを背面から見た場合の右方向かつ下方向であって、背板12aの第2電源装置43の後方の位置」とされたものである(前記(2)イ)。
ここで、表示部材の配置に関し、前記(3)エ(ウ)に示した周知事項4が、本願出願前に周知である。当該周知事項4の「表示部材」は、本件補正発明の「表示手段」に相当する。
そして、引用発明と周知事項4は、スロットマシンの技術分野に属し、定格電圧を表示事項に含む表示手段をスロットマシンの表面に備える点で共通しているから、引用発明における当該表示手段の配置を検討するにあたって、周知事項4を採用して、当該表示手段を設ける部位を筐体の背部とすることは、当業者が容易になし得たことである。
その際、上記筐体の背部における上記表示手段の配置は、当業者が適宜選択し得る設計的事項に過ぎないから、引用発明における上記表示手段の配置を、周知例4のように上記筐体の背部の上下方向の中央付近であって右端に近接した位置とする(前記(3)エ(イ)f)ことにより、「筐体の背部外面の左右方向において電源装置が配置されている側」に「配置され」、「電源装置」及び「貫通孔」の「近傍に位置」し、「貫通孔よりも前記筐体の側端側に位置している」という本件補正発明の構成を備えたものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。また、上下方向の配置に関し、上記背部の上下方向の中央付近のうち下方に寄った位置を選択して、「第一の領域」が「第二の仮想領域に含まれ」、筐体の底部の直上に位置する「電源装置」とは「重畳しない箇所」とするという本件補正発明の構成を備えたものとすることも、上記表示手段の配置を上記周知例4に倣いつつ適宜選択すれば実現される程度のことであって、当業者が適宜なし得たことである。

(エ) 前記(ア)〜(ウ)より、本件補正発明の上記相違点2に係る構成は、引用発明及び周知事項2〜4に基いて、当業者が容易に想到できたものである。

ウ 効果について
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び周知事項1〜4から予測し得た範囲内のものであって、格別なものではない。

エ 請求人の主張について
(ア) 請求人は、審判請求書において、特に、次の主張をするところである。
「審査官殿の拒絶査定の理由に対して、本審判の請求人は、旧請求項1の内容に、引用文献1〜4には記載や示唆の無い発明特定事項(W)〜(Y)を追加する補正を行いました。
これらの発明特定事項(W)〜(Y)等によって特定される技術思想は、「筐体の背部の第二の仮想領域において、表示手段が電源装置の近傍かつ電源装置と重畳しない箇所に位置するとともに、表示手段を貫通孔の近傍かつ貫通孔よりも筐体の側端側に配置する」といった技術思想であり、本願発明特有のものです。
本願発明は、このような特有の技術思想を備えることから、「不正行為者が不正治具を筐体の上側から挿入させ、貫通孔を介して筐体内部の制御基板にアクセスしようとすると、不正治具が貫通孔に至る前に表示手段に至ることになり、不正治具を挿入する際の痕跡等が表示手段にも残ってしまうリスクがあるため、不正行為者による不正行為を効果的に抑止することができる。特に、筐体の背部は、遊技台の入れ替え等を行う場合に、ハーネスやコンセントの脱着等の作業時において店員等が頻繁に目にする箇所であるため、表示手段に不正行為の痕跡等が残っていれば、不正行為を一早く発見することができ、不正行為を未然に防止することができる」といった顕著な効果を有します。」

(イ) 上記主張について検討する。
上記主張において発明特定事項(W)〜(Y)等によって特定される技術思想とされるうち「筐体の背部の第二の仮想領域において、表示手段が電源装置の近傍かつ電源装置と重畳しない箇所に位置する」構成は、前記イで検討したとおり、引用発明において周知例4のように表示手段の配置を筐体の背部の上下方向の中央付近であって右端に近接した位置とすれば実現される構成であり、また、「表示手段を貫通孔の近傍かつ貫通孔よりも筐体の側端側に配置する」構成は、周知例4において公然実施されている(前記(3)エ(イ)a(c))。
そうすると、上記主張の技術思想は、引用発明及び周知例4により公然実施された事項が備えるものであって、本件補正発明特有のものとはいえず、当該技術思想を備えることによって奏するとされる作用効果も、引用発明及び周知例4により公然実施された事項から予測し得た程度のものである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

オ 小括
前記ア〜エから、本件補正発明は、引用発明及び周知事項1〜4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(6)むすび
前記(1)〜(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年3月3日提出の手続補正書により補正された、前記第2の1で示した補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。
進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2021−23787号公報
2.特開2019−55079号公報
3.特開2002−119649号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2007−136094号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献1の記載事項、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の3(2)に記載したとおりである。

4 周知事項1〜3
周知事項1〜3は、前記第2の3(3)ア〜ウに記載したとおりである。ここで、周知事項2を認定する基礎となる、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の記載事項は、前記第2の3(3)イ(ア)aに記載したとおりである。

5 対比・判断
(1) 本願発明は、前記「第2の1 補正の内容」において検討したとおり、本件補正発明における「表示手段」の配置に関し、
「表示手段」が配置される「第一の領域」が位置する「筐体の背部外面」について「外面」という限定を省くとともに、
「前記筐体の背部の左右方向における中点を上下方向に通る仮想の直線を第一の仮想直線とし、
前記筐体の背部の上下方向における中点を左右方向に通る仮想の直線を第二の仮想直線とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第一の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第二の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第三の仮想領域とし、
前記第一の仮想直線と前記第二の仮想直線により四分割に形成された仮想領域のうちの一つを第四の仮想領域とし、
前記第一の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第二の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第三の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されている側の領域であり、
前記第四の仮想領域は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されてない側、かつ、前記筐体の背部の上下方向において前記電源装置が配置されていない側の領域であり、
前記第一の領域と前記電源装置と前記貫通孔は、前記第二の仮想領域に含まれており、
前記第一の領域は、前記電源装置の近傍かつ該電源装置と重畳しない箇所に位置しており、
前記第一の領域は、前記貫通孔の近傍に位置しており、
前記第一の領域は、前記第二の仮想領域において、前記貫通孔よりも前記筐体の側端側に位置している」という限定を省くものである。

(2) 前記(1)より、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
前方に開口部を有する箱状の筐体と、
前記筐体の開口部に開閉可能に配設された扉体と、
電源コードを伝って電力が供給され、電源スイッチを備えた電源装置と、
を備えた遊技台であって、
前記電源スイッチは、前記扉体が開放状態の場合に操作可能であり、
前記電源装置は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記電源コードが前記筐体の背部から延伸されるよう構成される
遊技台。

そして、両者は、上記相違点1及び以下に示す相違点2′で相違する。
<相違点2′>
定格電圧表示を含む表示に関して、遊技台が、
本件補正発明では、或る表示を示す表示手段を備え、前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含み、変換手段によって外部電源を変換してなる所定の電圧は、前記表示手段では表示されないものであり、前記表示手段は、前記筐体の背部の左右方向において前記電源装置が配置されている側の前記筐体の背部における第一の領域に配置されるのに対し、
引用発明では、定格電圧表示を含む表示を示す表示手段を備えるかどうか不明である点。

(3) 上記相違点2′について検討する。
ア 前記第2の3(5)イ(ア)で説示したとおり、スロットマシンを、法令等に規定された事項として周知である周知事項2に適合したものとすることは、法令等を遵守するために当然であって、引用発明は、「或る表示を示す表示手段を備え、前記或る表示は、前記遊技台の定格電圧を示す定格電圧表示を含」むという本願発明の構成を備えたものである。

イ 前記第2の3(5)イ(イ)で説示したとおり、周知事項3等に照らしてみると、引用発明において「変換手段によって外部電源を変換してなる所定の電圧」が、当該表示手段で表示されることには、特段の意義が見出せないので、引用発明において当該表示を行わず、「前記所定の電圧が、前記表示手段で表示されない」という本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が適宜なし得たことである。

ウ 引用発明において表示手段が設けられた上記「表面の見やすい箇所」を、筐体の背部の領域とすることは、スロットマシンの表面のうちから上記表示手段を設けても遊技に支障のない配置を選択すればなし得たことに過ぎず、当業者が適宜なし得たことであり、その際、当該領域を、筐体の背部の左右方向において電源装置が配置されている側における第一の領域とすることは、引用発明の筐体の背部において第2電源装置43が配置されている右方向も、上記表示手段を設けても遊技に支障のない領域を有しており、そのような領域を単に選択すれば実現されることであって、当業者が適宜なし得たことである。

エ 前記ア〜ウより、上記相違点2′に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知事項2、3に基いて、当業者が容易に想到できたものである。

(4) 前記「第2の3(5)ア」での相違点1に係る検討、及び、前記(3)での相違点2′に係る検討より、本願発明は、引用発明及び周知事項1〜3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知事項1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2023-03-30 
結審通知日 2023-04-04 
審決日 2023-05-10 
出願番号 P2021-180581
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技台  
代理人 横田 一樹  
代理人 佐原 雅史  

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