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審決分類 審判 一部申し立て 1項2号公然実施  G08B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G08B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G08B
管理番号 1400452
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-12 
確定日 2023-07-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第6990459号発明「管理サーバおよび単身者の見守り方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6990459号の請求項1に係る特許を取り消す。 同請求項5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6990459号(以下「本件特許」という。)は、令和2年3月3日に出願され、令和3年12月8日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月12日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和4年7月12日に菖蒲谷道広(以下「申立人」という。)より請求項1、5に対して特許異議の申立てがなされ、令和4年12月28日付けで請求項1に係る特許について取消理由が通知され(以下「取消理由通知」という。)、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかったものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1、5に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
通信装置および家族端末およびセンター端末とネットワークを介して接続される管理サーバであって、
ユーザ情報記憶部に記憶されているユーザ情報と、生活データ記憶部に記憶されている生活データとに基づいて生活データ画面を生成する生活データ画面生成部と、
前記生活データ画面生成部が生成した前記生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する生活データ画面提供部と、
前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が所定時間以上継続したと判定した場合に、アラート画面を生成するアラート画面提供部とを有し、
前記検知データは、前記通信装置が備える人感センサー受光装置がユーザの動きを検知した1時間毎の回数を示し、
前記アラート画面提供部は、生成された前記アラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する、
管理サーバ。
【請求項5】
通信装置と、家族端末と、センター端末と、前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバとを有する単身者の見守り方法であって、
前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程と、
前記管理サーバが、前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程と、
前記管理サーバが、前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程と、
前記管理サーバが、前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程と、
前記管理サーバが、前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程と、
前記管理サーバが、前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程とを有する、
単身者の見守り方法。」

第3 特許異議の申立ての理由について
1 特許異議の申立ての理由の概要
申立人は、証拠方法として、以下の甲第1号証〜甲第6号証(以下、それぞれ「甲1」から「甲6」という。)を提出して、以下に概要を示す特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。

(証拠方法)
甲第1号証:むすびGroup、“「ひとり生活安心サポート事業から」
ICTを活用した地域支え合い体制づくりへ・・・地域包括ケアシステムの展開”、p.1−38、[online]、2014年10月24日、インターネット、<URL:https://musubi-group.org/wp-content/uploads/20141022.ppt>
甲第2号証:<URL:https://musubi-group.org/?page_id=27>
甲第3号証:<URL:https://web.archive.org/web/20161105103415/https:/musub
i-group.org/?page_id=27>
甲第4号証:<https://web.archive.org/web/20170000000000*/http://musubi-group.org/wp-content/uploads/20141022.ppt>
甲第5号証:特開2004−295232号公報
甲第6号証:特開2004−326623号公報

(申立理由の概要)
申立理由1
本件発明1、5は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、本件発明1、5に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。(同法113条2号

申立理由2
本件発明1、5は、本件特許出願前に日本国内または外国において、甲1及び甲2により示される公然実施された発明であって、特許法29条1項2号に該当するから、本件発明1、5に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。(同法113条2号

申立理由3
本件発明1、5は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5に記載された発明および甲1、甲6に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。(同法113条2号

第4 取消理由の概要
1 取消理由通知書に記載した取消理由
本件発明1に係る特許に対して、取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

取消理由1(進歩性欠如)
本件発明1は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲6に記載された発明および甲1に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。

2 当審の判断
前記第1のとおり、当審合議体は、本件発明1に係る特許について、取消理由通知において取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、指定した期間内に特許権者からの応答はなかった。
そして、当該取消理由は妥当なものと認められるので、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

第5 取消理由通知において採用しなかった申立理由について
前記第4のとおり、本件発明1に係る特許は、取消理由1によって、取り消されることから、本件発明1に係る特許を対象とする申立理由1−3については、検討を要しない。
したがって、本件発明5に係る特許を対象とする、申立理由1−3について、以下検討する。

1 甲号証の記載事項
(1) 甲1の記載事項
甲1には、次の事項が記載されている。

ア 3頁
3頁には、「1.むすびGroupの活動紹介」との記載の下に、「『高齢者の見守り事業からの持続可能な社会づくり 地域包括ケアシステムの構築へ・・・』をコンセプトに昨年度岐阜県恵那市笠置町の過疎高齢化からくる問題に取り組み、ICTを活用した見守りシステムを導入しました。」との記載がある。

イ 10頁
10頁には、「ICTを活用した高齢者見守りと地域づくり
−岐阜市恵那市:(株)三恵エンジニアリング」との記載がある。

ウ 11頁
11頁には、以下の記載がある。




エ 23頁
23頁には、「活動資料 平成25年度地域ささえあい事業での取り組み」
「「共助」としての見守り活動
岐阜県恵那市笠置町における
地域自立による高齢者への対応」との記載、及び、
「14.08.05」との記載がある。

オ 24頁
24頁には、「ICTを利用した高齢者見守りと地域づくり概略図」と記載され、右上には、「現在の取り組み」との見出しで、「恵那市笠置町での人感センサーを用いた地域見守り活動の導入」、「実践事例」と記載されている。

カ 32頁
32頁には、以下の記載がある。




キ 34頁
34頁には、以下の記載がある。




ク 35頁
35頁には、「見守り情報とアラーム」、
「・PCやタブレットで、センサー情報が閲覧可能
→遠隔地の子どももセンサー情報を確認
・一定条件でアラームメールは発報」との記載がある。

ケ 36頁
36頁には、以下の記載がある。




コ 甲1に記載された発明

(ア) 前記ア〜ウの記載から、前記ウに記載された「ICTを活用した高齢者見守りと地域づくり」は、岐阜県恵那市笠置町で導入された「ICTを活用した高齢者見守りシステム」(前記ア、イ)を使用したものであることが読み取れ、前記カの記載も合わせると、前記カに記載された「構築した見守りの仕組み」は、岐阜県恵那市笠置町で導入されたICTを活用した高齢者見守りシステムにより構築した見守りの仕組みであると解釈される。

(イ) 前記カの左側挿絵図内から、「離れて住む家族」がPCを用いている様子、及び、高齢者宅の天井に「センサー」が設けられる様子が読み取れ、左側挿絵図直下に「高齢者の動きの有無のみを確認」と記載されていることから、当該見守りの仕組みでは、高齢者がいる宅にセンサーを設け、離れて住む家族がPCを用いて高齢者の動きの有無のみを確認すると解釈される。

(ウ) 前記(イ)、前記クの記載から、当該見守りの仕組みでは、離れて住む家族が、PCを用いてセンサー情報を「見守り情報」として閲覧可能であると解釈される。また、前記キに「センサー写真」として、「この部分にもセンサーがあり、外出を検知」、「動体感知カメラ」と記載され、前記ケに「見守り画面写真」として「センサーデータ閲覧画面」が記載されている。したがって、前記(イ)、前記キ、ク、ケの記載から、当該見守りの仕組みでは、高齢者宅に設けたセンサーは高齢者の動きを検知し、離れて住む家族は、PCを用いて、検知した高齢者の動きをセンサーデータ閲覧画面で閲覧可能であると解釈される。

(エ) 前記ケの左上側写真の「センサーデータ閲覧画面」には、「指定日時」として「2014−05−01」と記載されるとともに、行列形式の表が記載され、当該表の「時間」の列には、
「2014−05−01 08:00:00−2014−05−01 09:00:00」
「2014−05−01 07:00:00−2014−05−01 08:00:00」
「2014−05−01 06:00:00−2014−05−01 07:00:00」
「2014−05−01 05:00:00−2014−05−01 06:00:00」
「2014−05−01 04:00:00−2014−05−01 05:00:00」
「2014−05−01 03:00:00−2014−05−01 04:00:00」
と記載されているから、当該表の各行は1時間毎の表示であると解釈される。また、前記ケの右上側写真の「センサーデータ閲覧画面」には、「2014年07月25日(金)」と記載されるとともに、行列形式の表が表示され、「00」〜「21」と記載されており、「00」〜「21」も1時間毎の表示であると解釈される。

(オ)前記ケの右上側写真に「動体検知数一覧」と記載されているから、「センサーデータ閲覧画面」で表示される数値は、センサーの検知数であると解釈される。したがって、前記(エ)も合わせて検討すると、センサーデータ閲覧画面には、1時間毎のセンサーの検知数が表示されると解釈される。

(カ)前記ケの右上側写真の「センサーデータ閲覧画面」に「動体検知数一覧」と記載されるとともに、行列形式の表中に「氏名」と記載されているから、当該「氏名」はセンサーで検知された高齢者の氏名と解釈される。したがって、前記(オ)も合わせて検討すると、センサーデータ閲覧画面は、センサーで検知される高齢者の氏名と高齢者の動きを検知した1時間毎の検知数に基づいて作成されると解釈される。

(キ) 前記ケの左上側写真の「センサーデータ閲覧画面」には、「通路(ふろトイレ)」、「居室1」、「居室2」、「ドア開閉」、「外出判定」と記載されており、前記キには、ドアにセンサーを設置して、外出の検知とドアセンサーでの検知を行う様子が見て取れるから、前記(エ)、(オ)と合わせて検討すると、検知した高齢者の動きは、高齢者宅の通路(ふろトイレ)、居室、ドアに設置されたセンサーで検知したものであり、センサーデータ閲覧画面には、高齢者の動きを検知した1時間毎の検知数が表示されると解釈される。

(ク) 前記カの右側挿絵図において、「一人暮らしのおじいちゃん宅」「家族」、「見守りサポートセンター(仮)」、「近隣住人等」をつなぐ線は、「一人暮らしのおじいちゃん宅」と「家族」をつなぐ線(以下、「非矢印線」という。)を除き、矢印となっている。非矢印線には「異常検知」及び「メール連絡」との文字が添えられており、当該見守りの仕組みにおいて、家族は高齢者を見守るから、家族はメール連絡を受け取るものと解され、かつ、前記カの右側挿絵図では、「メール連絡」との文字が添えられた他の線が全て矢印になっているから、非矢印線(「一人暮らしのおじいちゃん宅」から「家族」への線)は、家族へ向けた矢印の誤記であると認められる。
そして、前記カの右側挿絵図には、高齢者宅である「一人暮らしのおじいちゃん宅」から、「地域の見守り団体」、「見守りサポートセンター」及び「家族」に矢印が示され、その矢印とともに「異常検知」、「メール連絡」と記載されていることから、当該見守りの仕組みでは、一人暮らしの高齢者宅で異常が検知された際に、地域の見守り団体、見守りサポートセンター及び家族に、異常検知のメール連絡がされるものと解釈される。

(ケ) 前記ケの左下側写真の「アラームメール画面」に「12時間以上人感センサーの反応がありません」と記載され、前記ケの右下側写真の「アラームメール画面」に「見守りサービスが異常を検出しました」、「所定の時間が経過しても動体検知情報を受信できませんでした」と記載されているから、アラームメール画面は、12時間以上センサーの反応がなく、動体検知情報を受信できないときに、異常を検出して生成されると解釈される。

(コ) 前記(ア)〜(ケ)に記載された下線部に着目すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

<甲1発明>
「岐阜県恵那市笠置町で導入されたICTを活用した高齢者見守りシステムにより構築した見守りの仕組みであって、(前記(ア))
高齢者宅に設けたセンサーは高齢者の動きを検知し、(前記(ウ))
検知した高齢者の動きは、高齢者宅の通路(ふろトイレ)、居室、ドアに設置されたセンサーで検知したものであり、(前記(キ))
離れて住む家族は、PCを用いて、検知した高齢者の動きをセンサーデータ閲覧画面で閲覧可能であり、(前記(ウ))
センサーデータ閲覧画面には、高齢者の動きを検知した1時間毎の検知数が表示され、(前記(キ))
センサーデータ閲覧画面は、センサーで検知される高齢者の氏名と高齢者の動きを検知した1時間毎の検知数に基づいて作成され、(前記(カ))
一人暮らしの高齢者宅で異常が検知された際に、見守りサポートセンター及び家族に、異常検知のメール連絡がされ、(前記(ク))
アラームメール画面は、12時間以上センサーの反応がなく、動体検知情報を受信できないときに、異常を検出して生成される、(前記(ケ))
見守りの仕組み。」

(2) 甲5の記載事項
甲5には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ひとり暮らしの高齢者等が元気でいるかどうかを、家族等の者が簡単に確認できる生活状況確認システムに関する。」

イ 「【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明が適用されるシステム全体を示す概略構成図である。
図1において、管理会社1と見守り者2と訪問事業者3と見守り対象者宅4とは通信網6で通信可能に接続されている。見守り対象者宅4は、例えば一人暮らしの高齢者宅等であり、生活(暮らし)の様子を見守られる側の住宅である。
見守り者2は、例えば見守り対象者宅4に居住する見守り対象者の子供や、家族の者であり、見守り対象者の生活の様子を毎日把握したい人、すなわち見守る側の者を示している。」

ウ 「【0024】
訪問者5が所持する携帯端末としては、携帯電話だけではなく、無線LANやその他の通信手段を用いることができる携帯用のパソコン等でも良い。また、訪問者5は、オフィスが近いのであれば、オフィスに帰り、オフィス内のパソコン等の端末を用いて通信を行うこともできる。
管理会社1と見守り者2と訪問者5あるいは訪問事業者3とはインターネット23を介して相互にデータを送受信できるようになっており、見守り対象者宅4に設置された送受信機12と管理会社1とはパケット交換網21を介して相互にデータを送受信できるようになっている。」

エ 「【0031】
T2の定期要求またはT4のリクエストメール送信のいずれかが実行された場合に、管理会社サーバ50は、見守り対象者宅送受信機12に在室状況データ取得要求を行う(T6)。見守り対象者宅送受信機12は、内部メモリに蓄積された在室状況データを管理会社サーバ50に送信する(T8)。
ここで、在室状況データとは、上述したように、生活状況を示すデータの一種であり、どの設置場所のワイヤレスセンサからの信号をいつ受信したのかという場所情報と時間情報が含まれている。
見守り対象者宅送受信機12は、内部メモリに蓄積された在室状況データを送信後、内部メモリの内容を消去し、ふたたびセンサ検知信号を蓄積していく(T10)。
管理会社サーバ50では、取得した在室状況データをサーバ記憶部51に保存するとともに、取得した在室状況データと記憶部51に保存されている過去のデータとを合わせて、過去24時間分(1日分)の在室状況を表すメール本文を作成する(T12)。このメール本文は後述するが、例えば図6のような形式のものである。
【0032】
作成されたメール本文は、まず、訪問事業者携帯端末41に送信され(T14)、訪問事業者携帯端末41ではそのメール本文が受信される(T30)。
一方、管理会社サーバ50では、メール本文作成後、サーバ記憶部51に保管されているデータをチェックし(T16)、新規に保管されている画像又はコメントがあるかどうかを調べて(T18)、新しい保管画像又はコメントがない場合には、メール本文のみを見守り者携帯端末61に送信し(T22)、見守り者携帯端末61はこれを受信する(T22)。新しい保管画像又はコメントとは、見守り者携帯端末61に送信していないコメントや、画像が新たに存在することを連絡していない撮影画像のことである。
T18で、新しい保管画像又はコメントがある場合には、メール本文に画像URL、コメントを挿入し(T24)、画像URL、コメント付きメールを見守り者携帯端末61に送信する(T26)。見守り者携帯端末61はこのメールを受信する(T28)。」

オ 「【0035】
次に上記T12で述べたメール本文を説明するために、その一例を図6に示す。
メール本文は、パソコンや携帯電話等で送受信することができる通常のEメールであって、そのEメールの通信内容を示すEメール本文となっている。識別コード71は、セキュリティのために送信メールごとに付けられるユニークなコードであり、見守り対象者を特定するコードにもなる。この識別コードを用いてメールを返信することで、管理会社サーバ50は返信メールが正当なメールであるか否かの判断が行える。
データ送信日時72は、メールが送信された月日、曜日、時間等を示している。時刻73は、24時間表示で表されており、1時間毎の時系列表示となっている。各時刻の横に示されているセンサデータ74は、在室状況を感知して作動したセンサの設置場所を記号表示したものであり、過去24時間分(1日分)表示されるようになっている。
【0036】
センサの設置場所を示すのが、センサ記号の内容75であり、図6の場合、センサは寝室(B)、居間(L)、玄関(E)、トイレ(T)に設置されていることがわかる。なお、記号等の表記方法は変えられるようになっており、例えば、図8から図10までは、便所(T)、風呂(B)、ねどこ(N)、茶の間(L)と、図6と異なる設置場所名と対応記号が表示された例が示されている。
問い合わせ先77には、問い合わせ先のEメールアドレス、電話番号、会社名等が表示される。」

カ 「【0040】
このように、定期メールは、見守り者、訪問事業者のいずれにも送信され、また、リクエスト返信メールも、見守り者、訪問事業者のいずれにも送信されるので、各メールごとに識別コードを変えても、1つの識別コードについて、この識別コードが付された送信メールが必ず見守り者と訪問事業者とに対して存在する。
したがって、見守り対象者ごとに、識別コード等を管理しておけば、訪問事業者から送信されてくるコメント、撮影画像データがどの見守り対象者に関するものなのかの関連付けや、これらのデータをどの見守り者に配信しなければならないかの関連付け等が容易に行える。
【0041】
この見守り対象者毎に関連情報を管理するデータベースの一例を示したのが図11である。
図11は、見守り対象者A、見守り対象者B、見守り対象者C、・・・ と多数存在する見守り対象者のうち、見守り対象者Aについての例を示しているが、他の見守り対象者についても同様な構成で管理されている。これらのデータ管理領域は、例えばサーバ記憶部51に確保されているものとする。この図の例では、定期メール3が最新情報であり、定期メール3以降の領域は未記録のままとなっている。
定期メール1に付与された識別コードは、識別コードAであり、この識別コードAを付与してメールを送信した相手、すなわち、メール受信者は、見守り者A、見守り者B、訪問事業者Aであることを示している。図11では見守り者は、AとBの2人だけであるが、見守る側の家族の者の人数によっては、見守り者の人数がもっと増える場合もある。管理会社サーバ50からメール受信者に送信したセンサデータの内容は、サーバ記憶部51に蓄積されたセンサデータの何時台から何時台までのデータを送信したかを記録しておく。」

キ 「【0044】
ところで、生活パターンによって、センサデータがどのように表示されるのかの例を図7に示す。図7(a)はいつもの生活パターンの例を示したものである。
図7(a)のX部分のセンサデータは、07 BBTLLとなっていることから午前7時台に、寝室、トイレ、居間と移動したことがわかる。次に午前8時台は、LLとなっているので、この時間帯は居間でくつろいでいるということになる。午前10時台の最後のセンサデータはEで終わっており、午前11時台のセンサの反応はなく、午前12時台の最初のセンサデータはEで始まっているので、午前10時台から午前12時台にかけて外出していたということがわかる。
そして、Y部分のセンサデータから13時台から14時台にかけて一度トイレに行っているものの、ほとんど居間でくつろいでいることになる。
一方、図7(b)は、体調が悪いときの生活パターンの例を示したものであり、Z部分のセンサデータ等を見ると、ずっと寝室にいるようなので、体調不良などが起きていることがわかる。」

ク 甲5に記載された発明
前記ア〜キに記載された下線部に着目すると、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。

「ひとり暮らしの高齢者が元気でいるかどうかを、家族が確認できる生活状況確認システムであって、(【0001】)
管理会社1と見守り者2と訪問事業者3と見守り対象者宅4とは通信網6で通信可能に接続され、
見守り対象者宅4は、一人暮らしの高齢者宅等であり、生活の様子を見守られる側の住宅であり、
見守り者2は、見守り対象者宅4に居住する見守り対象者の子供や、家族の者であり、(【0018】)
管理会社1と見守り者2と訪問者5あるいは訪問事業者3とはインターネット23を介して相互にデータを送受信できるようになっており、
見守り対象者宅4に設置された送受信機12と管理会社1とはパケット交換網21を介して相互にデータを送受信できるようになっており、(【0024】)
見守り対象者宅送受信機12は、内部メモリに蓄積された在室状況データを管理会社サーバ50に送信し、
在室状況データとは、生活状況を示すデータの一種であり、どの設置場所のワイヤレスセンサからの信号をいつ受信したのかという場所情報と時間情報が含まれ、
管理会社サーバ50では、取得した在室状況データをサーバ記憶部51に保存するとともに、取得した在室状況データと記憶部51に保存されている過去のデータとを合わせて、過去24時間分(1日分)の在室状況を表すメール本文を作成し、(【0031】)
作成されたメール本文は、訪問事業者携帯端末41に送信され、
訪問事業者携帯端末41ではそのメール本文が受信され、
メール本文を見守り者携帯端末61に送信し、
見守り者携帯端末61はこのメールを受信し、(【0032】)
1つの識別コードについて、この識別コードが付されたメールが見守り者と訪問事業者とに対して存在し、
見守り対象者ごとに、識別コード等を管理しておけば、データがどの見守り対象者に関するものなのかの関連付けや、これらのデータをどの見守り者に配信しなければならないかの関連付け等が容易に行え、(【0040】)
この見守り対象者毎に関連情報を管理するデータベースのデータ管理領域は、サーバ記憶部51に確保されている、(【0041】)
生活状況確認システム。」

(3) 甲6の記載事項
甲6には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0033】
(ハード構成)
図1は、インターネット安否遠隔監視システム1(以下適宜「本システム1」という。)の構成を示す概略図である。本システム1は、インターネット5にそれぞれ接続された監視端末2と、安否遠隔監視サーバ4と、監視者PC(Personal Computer)6、及び携帯電話網7を介してインターネット5に接続された携帯電話8を含む。ここでは、説明のため監視端末2,監視者PC6、携帯電話8は1つずつを図示したが、実際には多数の端末が管理される。
【0034】
監視端末2は、周知のCPU22、RAM23、ROM24を備えた、コンピュータ21を有する。このコンピュータ21には、インタフェース26を介して通過検出手段を構成する通過センサ30a、30b、30c、30d、30e(以下、これらをまとめて通過センサ30という。)、各種センサ31、浴室用動き検知センサ32、非常ボタン33、モード切替スイッチ34、電源コントローラ35が接続されている。また、コンピュータ21は、インタフェース25を介して、ルータ28、モデム27に接続され、インターネット5に接続されている。ルータ28には、Webカメラとして構成されたカメラ29が接続される。」

イ 「【0046】
安否遠隔監視サーバ4のコンピュータ41は、インターネット5を介して監視端末2から送信された通過センサ30a〜30e、ベッドの圧力センサなどの各種センサ31、浴室用動き検知センサ32、非常ボタン33、モード切替スイッチ34の信号をその都度リアルタイムで受信する。また、異常と判定された場合は電源コントローラ35をオンする制御信号がコンピュータ41により監視端末2に送信される。」

ウ 「【0048】
判定テーブル47は、通過履歴に基づいて、異常が発生しているか否かを判定する基準が記憶されている。本実施形態では、第1の基準として、一定時間、例えば6時間、いずれの通過センサ30も通過を検出しない場合は異常と判定する基準が記憶される。」

エ 「【0069】
次に、異常と判定される場合の具体例を説明する。図4は、長時間通過の検出がないことから異常と判定される場合のマトリクス画面61を示す。ここでは、10時45分〜11時00分に帰宅して、モード切替スイッチ34を「在宅中」に変更したものと思われる。その後11時00分〜11時15分に廊下の通過センサ30b、寝室の通過センサ30cを通過して、11時15分から11時30分の間に居間dに移動したものと推定される。そして、11時30分〜11時45分に居間dの通過センサ30dを通過している。被監視者は、寝室cの通過センサ30cとキッチンeの通過センサ30eのいずれかを通過しなければ外出できないため、このセンサ間のいずれかの位置にいるものと推定される。さらに、ベッドに配置された各種センサ31である圧力センサにより被監視者が認識できなければ、ベッドにはいないことになる。また、食事の準備をすればキッチンeの通過センサ30eが通過を検出するとすれば、被監視者は、昼の時間に、食事もせず、睡眠もせず、排尿もせず、外出もしていないことになる。この時間が所定時間、例えば6時間続けば何らかの問題が生じたと推測できる。そうすると最後に通過を検出した11時45分から6時間経過した17時45分までに通過センサ30の信号を検知できなかった場合は異常と判断する。」

オ 「【0079】
次に、安否遠隔監視サーバ4が異常と判定した場合に監視者に所定の報知手段で報知する方法を説明する。上述のような種々の基準で安否遠隔監視サーバ4のコンピュータ41が異常と判断した場合は、まず、監視者PC6と携帯電話8に対して異常を報知する電子メールを送信する。この電子メールを送信する手段が本発明の所定の報知手段の一例に相当する。この電子メールには、被監視者の異常の状態が判るような内容が生成されて表示される。また、各種センサにより内容がより詳しく推定される場合、例えば火災の場合などはその内容が記載される。電子メールの送信先は、担当の警備会社、消防・警察・救急などの緊急事態の通報先として顧客マスタ48に記憶されているところにも内容に応じて通報される。もちろんこれらの通報は電子メールに限らず、異なる警報手段であってもよい。」

カ 甲6に記載された技術
前記ア〜オに記載された下線部に着目すると、甲6には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。

「インターネット5にそれぞれ接続された監視端末2と、安否遠隔監視サーバ4と、監視者PC(Personal Computer)6、及び携帯電話網7を介してインターネット5に接続された携帯電話8を含むインターネット安否遠隔監視システム1であって、(【0033】)
監視端末2は、コンピュータ21を有し、このコンピュータ21には、インタフェース26を介して通過検出手段を構成する通過センサ30a、30b、30c、30d、30e(以下、これらをまとめて通過センサ30という。)が接続され、また、コンピュータ21は、インターネット5に接続され、(【0034】)
安否遠隔監視サーバ4のコンピュータ41は、インターネット5を介して監視端末2から送信された通過センサ30a〜30eの信号をその都度リアルタイムで受信し、(【0046】)
判定テーブル47は、通過履歴に基づいて、異常が発生しているか否かを判定する基準が記憶され、一定時間、例えば6時間、いずれの通過センサ30も通過を検出しない場合は異常と判定する基準が記憶され、(【0048】)
長時間通過の検出がないことから異常と判定される場合の具体例では、最後に通過を検出した11時45分から6時間経過した17時45分までに通過センサ30の信号を検知できなかった場合は異常と判断し、(【0069】)
安否遠隔監視サーバ4のコンピュータ41が異常と判断した場合は、監視者PC6と携帯電話8に対して異常を報知する電子メールを送信する、(【0079】)
インターネット安否遠隔監視システム1。」

2 申立理由1について
(1) 本件発明5と甲1発明との対比
本件発明5と甲1発明とを対比する。
ア 「通信装置と、家族端末と、センター端末と、前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバとを有する単身者の見守り方法であって、」について

(ア) 甲1発明において、高齢者宅に設けられたセンサーが検知した高齢者の動きは、離れて住む家族が閲覧可能であるから、センサーが検知した高齢者の動きを高齢者宅から宅外へ送出するための装置が当然存在すると認められ、当該装置は通信装置であるといえる。

(イ) 甲1発明では、家族に異常検知のメール連絡がされるから、家族はメール連絡を受ける端末を持っていると認められ、当該端末は家族端末であるといえる。

(ウ) 甲1発明では、見守りサポートセンターに異常検知のメール連絡がされるから、見守りサポートセンターにはメール連絡を受ける端末があると認められ、当該端末はセンター端末であるといえる。

(エ) 甲1発明では、離れて住む家族は、高齢者の動きを閲覧可能であり、一人暮らしの高齢者宅で異常が検知された際に、見守りサポートセンター及び家族に、異常検知のメール連絡がされるから、家族及び見守りサポートセンターは単身者を見守ると認められる。したがって、前記(ア)〜(ウ)と合わせて検討すると、甲1発明は、「通信装置と、家族端末と、センター端末とを有する単身者の見守り方法」であるといえる。

(オ)前記(ア)〜(エ)から、本件発明5と甲1発明とは、「通信装置と、家族端末と、センター端末とを有する単身者の見守り方法」で共通する。
他方、甲1発明では、「前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバ」の有無は不明である。

イ 「前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程と、」について

(ア) 甲1発明において、「氏名」は、ユーザ情報であると認められ、センサーデータ閲覧画面の作成に用いられるから、甲1発明は、ユーザ情報を記憶する工程を備えていると認められる。

(イ) 甲1発明は、前記ア(オ)で検討したように、管理サーバの有無が不明であるから、前記(ア)の工程を実行する主体が管理サーバであるか否かは不明である。

(ウ) 甲1発明は、本件発明5の「通信装置からユーザ情報を取得」する工程を備えていない。

(エ)前記(ア)〜(ウ)より、本件発明5と甲1発明は、「ユーザ情報を記憶する工程」を有する点で共通する。
他方、甲1発明では、ユーザ情報を記憶する主体が管理サーバであるか否かが不明である。また、甲1発明は、本件発明5の「通信装置からユーザ情報を取得」する工程を備えていない。

ウ 「前記管理サーバが、前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程と、」について

(ア) 甲1発明において、高齢者の動きは、高齢者宅の通路(ふろトイレ)、居室、ドアに設置されたセンサーで検知されたものであるから、検知した高齢者の動きは生活データであると認められる。また、前記ア(ア)も合わせて検討すると、甲1発明では、通信装置から生活データを取得するといえる。

(イ) 甲1発明において、高齢者の動きは、センサーデータ閲覧画面の作成に用いられるから、甲1発明は、生活データを記憶する工程を備えていると認められる。

(ウ) 前記(ア)、(イ)より、本件発明5と甲1発明は、「前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程」を有する点で共通する。
他方、甲1発明では、前記ア(オ)に記載したように、管理サーバの有無が不明であるから、通信装置から生活データを取得および記憶する主体が管理サーバであるか否かが不明である。

エ 「前記管理サーバが、前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程と、」について

甲1発明において、センサーデータ閲覧画面は、センサーで検知される高齢者の氏名と高齢者の動きを検知した1時間毎の検知数に基づいて作成され、当該氏名はユーザ情報であると認められる。また、センサーデータ閲覧画面は、検知した高齢者の動きを閲覧可能な画面であるから、生活データ画面であるといえる。よって、前記ウも合わせて検討すると、甲1発明では、ユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成するといえる。
したがって、本件発明5と甲1発明は、「ユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程」を有する点で共通する。
他方、甲1発明では、前記ア(オ)に記載したように、管理サーバの有無が不明であるから、ユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する主体が管理サーバであるか否かが不明である。

オ 「前記管理サーバが、前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程と、」について

甲1発明において、センサーデータ閲覧画面は、検知した高齢者の動きを閲覧するための画面であり、前記アで検討したように、単身者を見守るのは、家族及び見守りサポートセンターであるから、センサーデータ閲覧画面は、家族端末とセンター端末に提供されると認められる。また、前記エも合わせて検討すると、甲1発明では、生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供するといえる。
したがって、本件発明5と甲1発明は、「前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程」を有する点で共通する。
他方、甲1発明では、前記ア(オ)に記載したように、管理サーバの有無が不明であるから、生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する主体が管理サーバであるか否かが不明である。

カ 「前記管理サーバが、前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程と、」について

(ア) 甲1発明では、12時間以上センサーの反応がない場合は、動体検知情報を受信できないから、前記エも合わせて検討すると、前記場合には、センサーデータ閲覧画面では、12時間以上の間、検知数が0になると認められる。また、検知数は、検知データの数値であるといえる。

(イ) 甲1発明において、アラームメール画面は、異常を検出して生成されるから、アラート画面であるといえる。また、アラームメール画面は、12時間以上センサーの反応がなく、動体検知情報を受信できないときに生成されるから、前記(ア)、前記エと合わせて検討すると、アラームメール画面は、センサーデータ閲覧画面において、検知数が0になる時間が12時間継続したと判定した場合に生成すると認められる。

(ウ) 前記(ア)、(イ)、前記エから、甲1発明では、生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成するといえる。

(エ) したがって、本件発明5と甲1発明とは、「前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程」を有する点で共通する。
他方、甲1発明では、前記ア(オ)に記載したように、管理サーバの有無が不明であるから、アラート画面を生成する主体が管理サーバであるか否かが不明である。

キ 「前記管理サーバが、前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程とを有する、」について

甲1発明では、高齢者宅で異常が検知された際に、見守りサポートセンター及び家族に、異常検知のメール連絡がされる。また、甲1発明では、アラームメール画面は、12時間以上センサーの反応がないときに異常を検出して作成される。
したがって、アラームメール画面は、高齢者宅で異常が検知された際に作成され、見守りサポートセンター及び家族にメール連絡によって提供される画面であると認められる。よって、甲1発明では、生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供するといえる。
したがって、本件発明5と甲1発明とは、「前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程」を有する点で共通する。
他方、甲1発明では、前記ア(オ)に記載したように、管理サーバの有無が不明であるから、アラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する主体が管理サーバであるか否かが不明である。

ク 「単身者の見守り方法。」について

前記アで検討したとおり、甲1発明は、単身者の見守り方法であるといえる。

ケ 一致点及び相違点の認定
以上のことから、本件発明5と甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。

<一致点>
「通信装置と、家族端末と、センター端末とを有する単身者の見守り方法であって、
ユーザ情報を記憶する工程と、
前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程と、
ユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程と、
前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程と、
前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程と、
前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程とを有する、
単身者の見守り方法。」

<相違点>
相違点1
本件発明5は、「前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバ」を有するのに対して、甲1発明では、「前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバ」の有無は不明である点。

これに付随して、本件発明5では、「管理サーバー」が実行主体となって、
(A)「前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程」、
(B)「前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程」、
(C)「前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程」、
(D)「前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程」、
(E)「前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程」、及び、
(F)「前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程」を実行するのに対して、
甲1発明では、前記(A)における「ユーザ情報を記憶する工程」及び前記(B)〜(F)の工程の実行主体が、管理サーバであるか否かが不明である点。

相違点2
本件発明5は、「前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程」を有するのに対して、甲1発明では、「通信装置からユーザ情報を取得」する工程を備えていない点。

(2) 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点2について検討すると、甲1発明は、「通信装置からユーザ情報を取得」する工程を備えておらず、当業者における技術常識を参酌しても甲1から当該工程を読み取ることはできない。
したがって、相違点2は、実質的な相違点である。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1に記載された発明であるとはいえない。

(3) 申立人の主張について
申立人は、甲1発明について、特許異議申立書の17頁25行〜27行において、当該見守りサービス装置が、ユーザ宅通信装置からユーザ情報を取得及び記憶することが記載されているに等しい事項と主張している。
しかしながら、前記(2)で検討したように、「通信装置からユーザ情報を取得」する工程は、当業者における技術常識を参酌しても甲1から読み取ることはできず、本件発明5における「通信装置からユーザ情報を取得」する工程は、甲1に記載されているに等しい事項であるとはいえないから、申立人が主張する上記構成は、甲1発明として認定することはできない。

ウ したがって、甲1発明について、申立人が特許異議申立書でした主張は採用できない。

(4) 小括
したがって、本件発明5は、甲1に記載された発明であるとはいえない。

3 申立理由2について
(1) 甲1発明について
ア 甲1発明が公然実施されたものであるか検討すると、前記1(1)ア及びオの記載から、岐阜県恵那市笠置町では、高齢者の見守り事業として、ICTを活用した見守りシステムが実践事例として導入されており、前記1(1)エの記載から、岐阜県恵那市笠置町における高齢者の見守り活動は、平成25年度の事業として取り組まれていたと認められるから、甲1発明は、本件特許出願前に公然実施されたものであると認められる。

イ 申立人は、特許異議申立書の22頁12行〜14行において、甲1及び甲2の記載等によると、甲1発明は「平成25年度地域ささえあい事業」及び「「共助」としての見守り活動」において公然実施されていると主張しているが、甲2について検討するまでもなく、前記アで検討したとおり、甲1発明は公然実施されたものであると認められる。また、甲2を参照して読み取れる技術は、甲1の第23頁〜第25頁から読み取れる技術であると認められるから、甲2を参照しても甲1発明の認定は左右されないと認められる。

(2) 本件発明5と甲1発明との対比
本件発明5と甲1発明との一致点及び相違点は、前記2(1)ケに記載したとおりである。

(3) 相違点についての判断
前記2(2)に記載したとおり、相違点2は、実質的な相違点である。
よって、本件発明5は、甲1に示される公然実施された発明であるとはいえない。

(4) 申立人の主張について
前記2(3)に記載したとおり、甲1発明について、申立人が特許異議申立書でした主張は採用できない。

(5) 小括
したがって、本件発明5は、公然実施された発明であるとはいえない。

4 申立理由3について
(1) 本件発明5と甲5発明との対比
本件発明5と甲5発明とを対比する。

ア 「通信装置と、家族端末と、センター端末と、前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバとを有する単身者の見守り方法であって、」について

(ア) 甲5発明では、家族が確認できる生活状況確認システムを用いて、ひとり暮らしの高齢者が元気でいるかどうかを確認しているからから、甲5発明は、単身者の見守り方法であるといえる。

(イ) 甲5発明の「送受信機12」、「見守り者携帯端末61」、「訪問事業者携帯端末41」は、それぞれ本件発明5の「通信装置」、「家族端末」、「センター端末」に相当し、甲5発明の管理会社1と見守り者2と訪問事業者3と見守り対象者宅4とは通信網6で通信可能に接続されているから、送受信機12、見守り者携帯端末61、訪問事業者携帯端末41は、管理会社サーバ50と通信網6で通信可能に接続されていると認められる。

(ウ) 前記(ア)、(イ)から、甲5発明は、「通信装置と、家族端末と、センター端末と、前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバとを有する見守り方法である」といえる。

(エ) したがって、本件発明5と甲5発明とは、「通信装置と、家族端末と、センター端末と、前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバとを有する単身者の見守り方法」で共通する。

イ 「前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程と、」について

甲5発明では、「前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する」か否かは不明である。

ウ 「前記管理サーバが、前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程と、」について

甲5発明において、管理会社サーバ50では、取得した在室状況データをサーバ記憶部51に保存している。また、在室状況データは、生活状況を示すデータであるから生活データであるといえる。よって、甲5発明は、「前記管理サーバが、前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程」を有するといえる。
したがって、本件発明5と甲5発明とは、「前記管理サーバが、前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程」を有する点で共通する。

エ 「前記管理サーバが、前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程と、」について

(ア) 甲5発明において、識別コードは、見守り対象者ごとに、データがどの見守り対象者に関するものなのかの関連付けを行うものであるから、ユーザ情報であるといえる。

(イ) 甲5発明において、メール本文は、在室状況を表しているから生活データ画面であるといえる。また、メールには識別コードが付され、当該メール本文は在室状況データから作成されるから、メール本文は、ユーザ情報と生活データとに基づいて生成されるといえる。

(ウ) 甲5発明において、在室状況データは、サーバ記憶部51に保存されている。また、見守り対象者毎に関連情報を管理するデータベースのデータ管理領域は、サーバ記憶部51に確保されており、見守り対象者ごとに識別コードを管理しているから、識別コードはサーバ記憶部51に保存されていると認められる。

(エ) 前記(ア)〜(ウ)から、甲5発明は、「前記管理サーバが、前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程」を有するといえる。
したがって、本件発明5と甲5発明とは、「前記管理サーバが、前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程」を有する点で共通する。

オ 「前記管理サーバが、前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程と、」について

甲5発明では、管理会社サーバ50ではメール本文を作成し、作成されたメール本文は、訪問事業者携帯端末41と見守り者携帯端末61に送信されるから、管理会社サーバ50は、作成したメール本文を見守り者携帯端末61と訪問事業者携帯端末41に提供すると認められる。したがって、甲5発明は、「前記管理サーバが、前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程」を有するといえる。
以上より、本件発明5と甲5発明とは、「前記管理サーバが、前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程」を有する点で共通する。

カ 「前記管理サーバが、前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程と、」について

甲5発明では、「前記管理サーバが、前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程」の有無が不明である。

キ 「前記管理サーバが、前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程とを有する、」について

甲5発明では、「前記管理サーバが、前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程」の有無が不明である。

ク 「単身者の見守り方法。」について

前記アで検討したとおり、甲5発明は、単身者の見守り方法であるといえる。

以上のことから、本件発明5と甲5発明とは、以下の点で一致及び相違する。

ケ 一致点及び相違点の認定
<一致点>
「通信装置と、家族端末と、センター端末と、前記通信装置および前記家族端末および前記センター端末とネットワークを介して無線通信接続される管理サーバとを有する単身者の見守り方法であって、
前記管理サーバが、前記通信装置から生活データを取得および記憶する工程と、
前記管理サーバが、前記記憶されたユーザ情報と生活データとに基づいて生活データ画面を生成する工程と、
前記管理サーバが、前記生成した生活データ画面を家族端末とセンター端末に提供する工程とを有する、
単身者の見守り方法。」

<相違点>
相違点3
本件発明5は、「前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程」を有するのに対して、甲5発明は、「前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する」か否かは不明である点。

相違点4
本件発明5は、「前記管理サーバが、前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程」と「前記管理サーバが、前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程」とを有するのに対して、甲5発明は、「前記管理サーバが、前記生活データ画面において検知データの数値が0となる時間が12時間継続したと判定した場合にアラート画面を生成する工程」及び「前記管理サーバが、前記生成されたアラート画面を家族端末とセンター端末とに提供する工程」の有無が不明である点。

(2) 相違点についての判断

相違点3に係る本件発明5の「前記管理サーバが、前記通信装置からユーザ情報を取得および記憶する工程」は、前記甲1、5、6には記載も示唆もされておらず、本件特許出願前において周知技術であるともいえない。
よって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明5は、甲5発明及び甲1、6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3) 申立人の主張について
申立人は、甲5発明について、特許異議申立書の28頁下から4行〜下から2行において、特許異議申立書3(4)カ(ア)d〜hの記載事項に鑑みると、管理サーバ50が、送受信機12から見守り対象者の情報を取得および記憶していることが記載されていると主張し、32頁4行〜11行において、当該見守り対象者の情報がユーザ情報に相当すると主張している。
しかしながら、当該記載事項を検討すると、管理サーバ50が送受信機12から取得する情報は、在室状況データであり、在室状況データは生活情報を示すデータであるから、本件発明5の生活データに相当しており、ユーザ情報として認定することはできないと認められる。
したがって、申立人の前記主張は採用できない。

(4) 小括
したがって、本件発明5は、甲5発明及び甲1、6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび

以上のとおりであるから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるので、同法113条2号に該当し、同法114条2項の規定により、取り消されるべきものである。
他方、本件発明5に係る特許は、申立人による特許異議申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件発明5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
異議決定日 2023-05-30 
出願番号 P2020-035734
審決分類 P 1 652・ 112- ZC (G08B)
P 1 652・ 113- ZC (G08B)
P 1 652・ 121- ZC (G08B)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 土居 仁士
特許庁審判官 高野 洋
丸山 高政
登録日 2021-12-08 
登録番号 6990459
権利者 合同会社むすびdesign
発明の名称 管理サーバおよび単身者の見守り方法  
代理人 鬼澤 正徳  
代理人 原田 貴史  

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