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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06Q
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1402812
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-06-19 
確定日 2023-10-06 
異議申立件数
事件の表示 特許第7192154号発明「ディスペンサ、生理用品提供装置、およびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7192154号の請求項1〜8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7192154号の請求項1〜8に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年3月4日にした出願であって、同年12月9日に特許権の設定登録がされ、同年12月19日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1〜8に係る特許に対し、令和5年6月19日に、特許異議申立人家田亘久(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
本件特許の請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明8」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
生理用品をユーザに提供するためのディスペンサであって、
前記生理用品を収納する収納部と、
専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む動的QRコード(登録商標)を生成するQRコード生成部と、
前記動的QRコードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求に対する判定結果を受信する通信部と、
前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出させる排出機構と
を備え、前記判定結果は、前記識別情報に基づいて送信される、ディスペンサ。
【請求項2】
前記QRコード生成部によって生成された動的QRコードを表示する表示部をさらに備えた、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記表示部から、広告を表示する、請求項2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記収納部に収納される生理用品は、前記広告による収入によって購入される、請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記表示部から、前記収納部に収納されている生理用品の在庫量に関する情報を表示する、請求項2に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記判定結果が、前記排出許可を示さないのであれば、前記表示部から、前記生理用品を排出できないことを示すメッセージを表示する、請求項5に記載のディスペンサ。
【請求項7】
請求項1に記載のディスペンサと、前記専用サイトと、管理サーバとを備えた生理用品提供装置であって、
前記専用サイトは、
前記排出要求を生成する排出要求生成部を備え、
前記管理サーバは、
前記排出要求に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の排出可否を判定し、前記判定結果を、前記識別情報に基づいて、前記ディスペンサへ送信する、生理用品提供装置。
【請求項8】
生理用品をユーザに提供するためにトイレの個室に設置されたディスペンサに適用されるプログラムであって、
専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む動的QRコードを生成する機能、
前記動的QRコードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記ディスペンサの収納部に収納されている生理用品の排出要求に対する判定結果であって、前記識別情報に基づいて送信された前記判定結果を受信する機能、
前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出するように前記収納部に指示する機能をプロセッサに実現させるためのプログラム。」

第3 申立理由の概要
申立人は、以下の甲第1号証〜甲第10号証(以下、それぞれ「甲1」〜「甲10」という。)を提出して、以下の申立理由により請求項1〜8に係る特許を取り消すべきである旨主張する。

1 証拠方法
甲1:特開2022−24928号公報
甲2:特開平7−302386号公報
甲3:特開2002−177105号公報
甲4:再公表特許2019/117021号
甲5:国際公開第2019/131024号
甲6:「龍谷大 生理用品が買えない学生を無料化で支援」、[online]、2021年9月21日、インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=BECJu90gfrU>
甲7:特開平5−81527号公報
甲8:特開平10−241026号公報
甲9:特開2020−57291号公報
甲10:特開2005−78127号公報

2 申立理由
(1)申立理由1(新規性
本件発明1、2、7、8は、甲1に記載された発明であり、請求項1、2、7、8に係る特許は、特許法第29条第1項に違反するから、取り消されるべきものである。

(2)申立理由2(進歩性
本件発明1〜8は、甲1〜甲10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1〜8に係る特許は、同法第29条第2項に違反するから、取り消されるべきものである。

(3)申立理由3(明確性要件)
本件発明1〜8は明確ではなく、請求項1〜8に係る特許は、同法第36条第6項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

(4)申立理由4(サポート要件)
本件発明1〜8は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえず、請求項1〜8に係る特許は、同法第36条第6項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

(5)申立理由5(実施可能要件
本件発明1〜8について、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえず、請求項1〜8に係る特許は、同法第36条第4項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 甲号証の記載事項等
(1)甲1について
ア 記載事項
甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。

「【0015】
<本発明の第1の実施形態>
[全体構成]
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態における物品提供システムの概略図である。図1に示すように、物品提供管理サーバ1、各決済会社の決済サーバ2(2a、2b、2c、・・・)、ユーザの端末3、物品提供装置4がある。」

「【0018】
物品提供管理サーバ1は、単数又は複数のサーバ装置や記憶装置等を含んで構成されたサーバシステムである。物品提供管理サーバ1は、物品提供装置4に格納された物品を利用者に提供するための処理等を行う。」

「【0021】
・・・物品提供装置4は物品を提供する装置である。物品提供装置4は、図3に示すように、多数の物品5が納められたものが収容される物品収容部41を備える。
【0022】
物品5は、例えば分割可能な球状カプセル内に玩具等が納められたものや、玩具とカプセルとが一体となったものを含む。物品5はひとつの種類の物品だけとは限らず、複数の種類の物品が存在しても良い。この場合、複数の種類の物品は、ひとつのシリーズ(種別)に属する物品として、物品提供装置4の物品収容部41に混在して収容される。」

「【0025】
また、物品提供装置4には、情報表示体45が装着されている。情報表示体45は、決済トリガ情報を含む。決済トリガ情報は、物品提供管理サーバ1に、決済情報の送信をリクエストするトリガとなる情報である。決済トリガ情報は、少なくとも物品提供装置4を識別する物品提供装置識別情報(装置ID)と、物品の購入するための決済情報の送信をリクエストするための情報を含む。決済情報の送信をリクエストするための情報は、決済情報を、端末3が取得できるものであるならば、種類は問わないが、例えば、物品提供管理サーバ1の決済情報の送信をつかさどるページへのリンク情報であるURL(Uniform Resource Locator)等がある。物品提供管理サーバ1から送信される決済情報は、物品5を説明する物品説明情報と、物品5を購入するための決済方式の情報とを含む。尚、決済トリガ情報には、上述した以外にも、他の情報、例えば、物品提供装置4が設置されている場所を識別する位置情報や店名、物品の価格等の情報、物品提供装置4を管理するために必要な管理情報も含んでも良い。
【0026】
決済トリガ情報を含む情報表示体45は、端末3が決済トリガ情報を取得できるものならば、形態は問わないが、代表的な例として、一次元バーコード又は二次元バーコードがある。情報表示体45の物品提供装置4への装着の方法であるが、情報表示体45が印刷されたシートを物品提供装置4に貼付する方法や、物品提供装置4がディスプレイを備えている場合はそのディスプレイに情報表示体45を表示する方法等が考えられる。」

「【0048】
次に、端末3の構成について説明する。図7は端末3の機能構成例を示すブロック図である。図7に示すように、端末3は、操作入力部301と、撮影部302と、処理部303と、画像表示部304と、音出力部305と、通信部306と、記憶部307とを備える。」

「【0051】
処理部303は、記憶部307に格納されるプログラムやデータ、操作入力部301からの操作入力信号等に基づいて端末3の動作を統括的に制御する。処理部303の機能は、例えば、CPUやGPU等のマイクロプロセッサ、ASIC、ICメモリ等の電子部品によって実現できる。この処理部303は、主な機能部として、演算部51と、画像生成部52と、音生成部53と、通信制御部54とを備える。
【0052】
演算部51は、本実施形態の物品5の購入を行うための種々の処理を実行し、画像生成部52と、音生成部53と、通信制御部54とに出力する。演算部51は、情報取得部510と、決済情報表示部511と、代金支払処理部512とを含む。
情報取得部510は、撮影部302が撮影した物品提供装置4の情報表示体45を読み取り、決済トリガ情報を取得する。」

「【0062】
図8は、物品提供装置4の機能構成例を示すブロック図である。物品提供装置4は、制御部401と、物品提供部402と、通信部403と、記憶部404とを備える。」

「【0065】
通信部403は、通信回線を介して物品提供サーバ1と接続して通信を行う。通信部403の機能は、例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現できる。」

「【0067】
[動作の説明]
本実施の形態の物品提供システムの動作を、ユーザがある物品提供装置4(装置ID「G001」)に格納されている物品を、端末3に搭載されているWebブラウザを用いて、購入する場合を例に説明する。
図9は本実施の形態の物品提供システムのシーケンス図である。
【0068】
ユーザによる操作に応じて、端末3の情報取得部510は、撮影部302の撮影機能を用いて、物品提供装置4に装着されている情報表示体45を読み取り、物品提供装置4の装置IDと、(送信先)リンク先を含む決済トリガ情報を取得する(Step1)。情報表示体を読み取るための操作画面を図10に例示する。例えば、ユーザは、撮影部302の撮影機能を起動させ、物品提供装置4に装着された情報表示体45を端末3の画面に表示された枠に収めると、情報取得部510は情報表示体45の決済トリガ情報を取得する。
【0069】
決済情報表示部511は、情報取得部510により取得された決済トリガ情報に基づいて、取得した物品提供装置IDを含む決済情報の送信を要求するリクエストを送信(Step2)。本実施形態では、リンク先として物品提供管理サーバ1のURL等が設定されている。よって、この例では、物品提供装置ID「G001」を含むリクエストが物品提供管理サーバ1に送信される。
【0070】
物品提供管理サーバ1の決済情報提示部121の言語識別部1210は、端末3からのリクエストから、端末3に設定されている言語を識別する(Step3)。
【0071】
決済情報提示部121は、リクエストに含まれる装置IDに対応し、言語識別部1210が識別した言語に対応する決済情報を、記憶部11の物品提供装置データD1から取得する(Step4)。尚、言語識別部1210が識別した言語に対応する決済情報が存在しない場合は、予め設定された言語(例えば、英語)の決済情報を取得するようにする。そして、決済情報提示部121は、取得した決済情報を端末3に送信する(Step5)。
【0072】
・・・端末3の決済情報表示部511は、決済情報を受信して画面に表示する(Step6)。決済情報の表示画面を例示する。
・・・
【0075】
支払いボタンの押下に応じて、物品決済情報送信部512は、複数の決済方式を選択可能に画面表示し、ユーザの選択入力を受け付ける(Step7)。複数の決済方式は、本実施形態において選択可能な各決済方式a、b、cに対応する。決済方式の選択入力画面を図13、図14に例示する。図13は日本語の決済方式の例であり、図14は英語の決済方式の例である。図13、図14に示されるように、各言語で、決済方式が異なる点に留意すべきである。
【0076】
いずれかの決済方式が選択され、選択ボタンが押下されると、物品決済情報送信部512は、選択された決済方式による決済に必要な決済関連情報の入力画面を表示して入力を受け付ける(Step8)。決済関連情報の入力項目の例としては、決済方式がプリペイド決済の場合には、氏名、クレジットカード番号、カード有効期限等がある。決済方式がプリペイド式決済の場合には、ユーザ識別情報等がある。決済方式がポストペイ式の場合にはクレジットカード番号等がある。これは一例であり、これに限定されない。
【0077】
決済関連情報が入力され、入力画面の確定ボタンが押下されると、物品決済情報送信部512は、装置IDと、選択された決済方式と、入力された決済関連情報とを支払要求とともに物品提供管理サーバ1に送信する(Step9)。
・・・
【0079】
物品提供管理サーバ1の物品提供許可部122は、端末3からの支払要求に応じて、受信した装置IDに対応する代金を記憶部11の物品提供装置データD1から取得し、ユーザが選択した決済方式に対応する決済サーバに、代金と決済関連情報とを送信して決済を要求する(Step10)。本例では、装置ID「G001」に対応する代金「500円」と決済関連情報とが、決済方式bに対応する決済サーバ2bに送信される。尚、これらの決済は、通信で行われるため、物品提供装置4で1回毎に現金で決済が行われる場合と異なり、二以上の決済がほぼ同時行われるケースが生じる可能性がある。このような場合、物品提供管理サーバ1に先着した決済を優先し、以降の決済受付まで10秒程度度通信をブロックすることで、決済の混線を防止する。
【0080】
決済サーバ2bの決済部221は、決済要求とともに受信した決済関連情報と、記憶部21に記憶されているユーザ決済用データとを用いて、決済方式bに応じた決済処理を行う(Step11)。例えば、クレジットカード決済の場合には、受信したクレジットカード番号に対応付けられた請求データ(請求金額、カード使使用日等)を生成して記憶部21に記憶する。プリペイド式決済の場合には、記憶部21に記憶されている、受信したユーザ識別情報に対応するチャージ金額から代金分を減額して更新する。また、ポストペイ式決済の場合には、受信したクレジットカード番号に対応付けられた請求データ(請求金額、支払い日等)を生成して記憶部21に記憶する。
【0081】
決済処理が完了すると、決済部221は、装置ID「G001」に対応する代金「500円」に関する決済完了通知を物品提供管理サーバ1に送信する(Step12)。
【0082】
物品提供管理サーバ1の物品提供許可部122は、決済サーバ2bからの決済完了通知を受信すると、装置ID「G001」の物品提供装置4に対して物品の提供を許可する許可情報を送信する(Step13)。
【0083】
装置ID「G001」の物品提供装置4の制御部401は、物品提供サーバ1からの許可情報を受信すると、物品提供部402にハンドル42または回転盤のロック状態を解除させる(Step14)。また、制御部401は、物品提供サーバ1からの許可情報を受信すると、時間の計測を開始する(Step15)。そして、物品提供装置4は、所定時間内に、ユーザによるハンドル42の回転操作が行われると、物品を提供する(Step16)。物品の提供が完了すると、物品提供サーバ1に提供完了通知を送信し、物品提供部402にハンドル42または回転盤をロックさせる(Step17)。一方、計測開始から所定時間内に、ユーザによるハンドル42の回転操作が行われない場合は、制御部401は、物品提供部402にハンドル42または回転盤をロックさせる(Step17)。そして、物品の提供の決済を取り消す決済取消要求を、物品提供管理サーバ1に送信する(Step18)。」

【図1】


【図3】


【図9】


イ 認定事項
(ア)【0018】及び【0021】の記載によれば、物品提供装置4は、物品5を利用者に提供するためのものであることが認められる。

(イ)【0025】及び【0026】の記載によれば、物品提供装置4は、物品提供管理サーバ1に決済情報の送信をリクエストするためのリンク情報と、物品提供装置識別情報を含む決済トリガ情報を示す二次元バーコードを含む情報表示体45を備えることが認められる。

(ウ)【0062】、【0065】、【0068】、【0069】、【0072】、【0075】〜【0077】、【0079】及び【0082】の記載によれば、通信部403は、端末3によって取得された二次元バーコードのリンク情報に基づいてアクセスされた物品提供管理サーバ1において、前記決済情報を受信した端末3で入力された装置IDと、決済方式と、決済関連情報とを支払要求とともに端末3から受信して、決済方式に対応する決済サーバに、代金と決済関連情報とを送信して決済を要求し、前記決済サーバから決済完了通知を受信した場合に送信する許可情報を受信すること、及び、許可情報は装置IDに基づいて送信されることが認められ、【0083】の記載も参照すると、物品提供部402は、前記許可情報を受信すると、ハンドル42のロック状態が解除され、所定時間内にユーザによるハンドル42の回転操作が行われると、物品5を提供することが認められる。

ウ 甲1発明
上記ア(特に【0062】)及びイを総合ずると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「物品5をユーザに提供するための物品提供装置4であって、
物品5が収容される物品収容部41と、
物品提供管理サーバ1に決済情報の送信をリクエストするためのリンク情報と、物品提供装置識別情報(装置ID)を含む決済トリガ情報を示す二次元バーコードを含む情報表示体45と、
端末3によって取得された二次元バーコードのリンク情報に基づいてアクセスされた物品提供管理サーバ1において、前記決済情報を受信した端末3で入力された装置IDと、決済方式と、決済関連情報とを支払要求とともに端末3から受信して、決済方式に対応する決済サーバに、代金と決済関連情報とを送信して決済を要求し、前記決済サーバから決済完了通知を受信した場合に送信する許可情報を受信する通信部403と、
前記許可情報を受信すると、ハンドル42のロック状態が解除され、所定時間内にユーザによるハンドル42の回転操作が行われると、物品5を提供する物品提供部402を備え、許可情報は装置IDに基づいて送信される、物品提供装置4。」

(2)甲4について
ア 記載事項
甲4には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末によるバーコード情報の読取によって決済サーバを用いた商品の決済処理を行うことができる自動販売機であって、
販売する商品を選択する商品選択ボタンと、
前記商品選択ボタンによって選択した商品の決済に対して前記決済サーバを用いることの選択を受け付ける決済サーバ選択部と、
前記商品選択ボタンによって選択した商品の金額及び該商品の決済を行う決済サーバの所在情報を含む前記バーコード情報を表示する表示部と、
前記商品選択ボタンによる商品の選択及び前記決済サーバ選択部によって前記決済サーバによる決済の選択が行われた場合、前記決済サーバから前記バーコード情報を取得し、該バーコード情報を前記表示部に表示し、前記決済サーバから、前記バーコード情報を読み取った前記携帯端末による前記商品の決済が行われた決済済み情報を受けた場合、前記商品選択ボタンによって選択した商品の搬出処理を行う販売制御部と、
を備え、
前記販売制御部は、前記商品選択ボタンによる商品の選択及び前記決済サーバ選択部によって前記決済サーバによる決済の選択が行われた場合、他の決済処理受付部による決済処理の受付を前記決済サーバによる決済処理が終了するまで禁止させることを特徴とする自動販売機。」

「【0024】
[自動販売機の構成]
図2に示すように、自動販売機2は、メインコントローラ10に本体制御部11、商品選択ボタン群14、表示操作部15、表示部16、外部通信処理部17、非接触式カードリーダライタ21、接触式カードリーダライタ22、コインメカニズム23、及びビルバリデータ24が接続される。
【0025】
本体制御部11には、冷熱装置12及び搬出装置13が接続される。・・・
【0026】
搬出装置13は、ラックごとに設けられたベンドソレノイド、売切スイッチを管理するためのものである。本体制御部11は、メインコントローラ10から送信された搬出命令に従って搬出装置13を制御してラックから商品を搬出する。なお、搬出装置13は、ラックに収納された商品のすべてを搬出した場合に売切信号を本体制御部11に出力する。
【0027】
商品選択ボタン群14は、商品を選択するための複数の商品選択ボタン14aを有する。商品選択ボタン14aは、例えば商品見本の近傍に配置される。各商品選択ボタン14aは、LED表示が可能であり、商品選択が行われた場合に点灯表示され、商品決済が終了すると消灯する。また、現金決済の場合には、投入金額で購入可能な商品に対応する商品選択ボタン14aが点灯される。
【0028】
表示操作部15は、例えばタッチパネルであり、表示と選択操作とが可能である。表示操作部15には、選択操作が可能な決済サーバ選択部15aを表示することができる。決済サーバ選択部15aには、自動販売機2が接続できる決済サーバA,B,Cが表示され、いずれかの決済サーバA,B,Cを選択すると、選択した決済サーバA,B,Cに対して、二次元バーコード情報を用いた決済を行うことが選択される。なお、複数の決済サーバA,B,Cでなく、1つの決済サーバのみが選択可能な場合、決済サーバ選択部15aには、この1つの決済サーバのみが表示される。
【0029】
表示部16は、例えば液晶パネルであり、販売中、釣り切れ、準備中、通信中、お札中止のほか、投入金額、各種設定時の情報等の各種情報を表示するためのものである。表示部16は、決済サーバA,B,Cに対して、二次元バーコード情報を用いて決済する場合、この二次元バーコード情報16aを表示する。この二次元バーコード情報16aには、商品金額を含む商品データ及び選択した決済サーバA,B,Cの所在情報(URL)が含まれる。携帯端末3は、この二次元バーコード情報16aを読み取り、利用者識別情報(URLを含む)を付加して、選択した決済サーバA,B,Cにアクセスして商品の決済を行う。なお、決済サーバには、例えば、「ウィチャットペイ(WeChat Pay)」、「アリペイ(Alipay)」、「ラインペイ(LINE PAY)」、「楽天Pay」などの決済システムにおける決済処理を行うものが含まれる。」

「【0032】
外部通信処理部17は、ネットワークNを介して決済サーバA,B,Cに通信接続する処理を行う。特に、外部通信処理部17は、メインコントローラ10の制御部のもとに、決済サーバA,B,Cにアクセスし、選択された商品の決済を行う決済サーバA,B,Cの所在情報を取得するとともに、この選択された商品の決済が成功しているか否かの確認を定期的に行うポーリングを行う。
【0033】
メインコントローラ10は、制御部10a、販売制御部10b、表示制御部10cを有する。制御部10aは、本体制御部11、商品選択ボタン群14、表示操作部15、表示部16、非接触式カードリーダライタ21、接触式カードリーダライタ22、コインメカニズム23、ビルバリデータ24、及び外部通信処理部17等を集中管理するものである。制御部10aは、図示しない記憶部に記憶された各種設定データに基づいて制御する。
【0034】
販売制御部10bは、自動販売機2本体内の商品の販売に対する商品販売制御を行う。表示制御部10cは、販売制御部10bの指示のもとに、商品選択ボタン群14、表示操作部15、及び表示部16に対する表示制御を行う。販売制御部10bは、商品選択ボタン14aによる商品の選択及び決済サーバ選択部15aによって決済サーバA,B,Cによる決済の選択が行われた場合、決済サーバA,B,Cから決済サーバA,B,Cの所在情報を含む二次元バーコード情報を取得し、該二次元バーコード情報を表示部16に表示し、決済サーバA,B,Cから、表示部16に表示した二次元バーコード情報16aを読み取った携帯端末3による商品の決済が行われた決済済み情報を受けた場合、商品選択ボタン14aによって選択した商品の搬出処理を行う。また、販売制御部10bは、決済サーバ選択部15aによって決済サーバA,B,Cによる決済の選択が行われた場合、他の決済処理受付部による決済処理の受付を決済サーバA,B,Cによる決済処理が終了するまで禁止させる。なお、販売制御部10bは、他の決済処理受付部による商品販売制御も行う。」

「【0041】
決済サーバAは、商品データを受信すると、二次元バーコード情報を外部通信処理部17に送信する(ステップS112)。この二次元バーコード情報には、商品コードや金額などの商品データ以外に決済サーバAの所在情報が含まれる。販売制御部10bは、外部通信処理部17が受信した二次元バーコード情報をもとに二次元バーコードを生成し、この生成した二次元バーコードを二次元バーコード情報16aとして表示部16に表示する(ステップS113)。」

【図1】


【図2】


【図4】


イ 甲4発明
上記アを総合すると、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

「携帯端末3による二次元バーコード情報16aの読取によって決済サーバを用いた商品の決済処理を行うことができる自動販売機2であって、
販売する商品を選択する商品選択ボタン14aと、
商品選択ボタン14aによって選択した商品の決済に対して前記決済サーバを用いることの選択を受け付ける決済サーバ選択部15aと、
商品選択ボタン14aによって選択した商品の金額及び該商品の決済を行う決済サーバの所在情報(URL)を含む二次元バーコード情報を表示する表示部16と、
商品選択ボタン14aによる商品の選択及び決済サーバ選択部15aによって前記決済サーバによる決済の選択が行われた場合、前記決済サーバから二次元バーコード情報16aを取得し、二次元バーコード情報16aを表示部16に表示し、前記決済サーバから、二次元バーコード情報16aを読み取った携帯端末3による前記商品の決済が行われた決済済み情報を受けた場合、商品選択ボタン14aによって選択した商品の搬出処理を行う販売制御部10bと、
を備え、
販売制御部10bは、前記商品選択ボタン14aによる商品の選択及び前記決済サーバ選択部によって前記決済サーバによる決済の選択が行われた場合、他の決済処理受付部による決済処理の受付を前記決済サーバによる決済処理が終了するまで禁止させる自動販売機2。」

2 対比・判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「ユーザ」は、前者の「ユーザ」に相当し、以下同様に、「物品提供装置4」は「ディスペンサ」に、「物品収容部41」は「収納部」に、「物品提供管理サーバ1」は「専用サイト」に、「リンク情報」は「アクセス情報」に、「物品提供装置識別情報」及び「装置ID」は「ディスペンサの識別情報」に、「許可情報」は「排出要求に対する判定結果」及び「排出許可」に、「通信部403」は「通信部」に、「物品提供部402」は「排出機構」に、それぞれ相当する。

後者の「許可情報は装置IDに基づいて送信される」ことは、前者の「前記判定結果は、前記識別情報に基づいて送信される」ことに相当し、後者の「物品5を提供する物品提供部402」は、前者の「物品を排出させる排出機構」に相当する。

後者の「物品5」は、前者の「生理用品」と、「物品」という点で共通し、後者の「二次元バーコード」は、前者の「動的QRコード」と、「2次元コード」という点で共通する。そうすると、後者の「物品5をユーザに提供するための物品提供装置4」は、前者の「生理用品をユーザに提供するためのディスペンサ」と、「物品をユーザに提供するためのディスペンサ」という点で共通し、後者の「物品5が収容される物品収容部41」は、前者の「前記生理用品を収納する収納部」と、「前記物品を収納する収納部」という点で共通し、後者の「物品提供管理サーバ1に決済情報の送信をリクエストするためのリンク情報と、物品提供装置識別情報(装置ID)を含む決済トリガ情報を示す二次元バーコードを含む情報表示体45」は、前者の「専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む動的QRコード(登録商標)を生成するQRコード生成部」と、「専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む2次元コードを提示する2次元コード提示部」という点で共通する。

引用文献1の【0076】の記載によれば、後者の「決済関連情報」には、氏名、クレジットカード番号やユーザ識別情報等(前者の「ユーザ情報」に相当。)が含まれることが認められ、後者の「許可情報」は、物品提供部402から物品5を提供することを許可するものであるから、後者の「二次元バーコードのリンク情報に基づいてアクセスされた物品提供管理サーバ1において、」「装置IDと、決済方式と、決済関連情報とを支払要求とともに端末3から受信して、決済方式に対応する決済サーバに、代金と決済関連情報とを送信して決済を要求し、前記決済サーバから決済完了通知を受信した場合に送信する許可情報を受信する通信部403」は、前者の「前記動的QRコードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求に対する判定結果を受信する通信部」と、「前記2次元コードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記収納部に収納されている物品の排出要求に対する判定結果を受信する通信部」という点で共通する。

そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「物品をユーザに提供するためのディスペンサであって、
前記物品を収納する収納部と、
専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む2次元コードを提示する2次元コード提示部と、
前記2次元コードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記収納部に収納されている物品の排出要求に対する判定結果を受信する通信部と、
物品を排出させる排出機構と
を備え、前記判定結果は、前記識別情報に基づいて送信される、ディスペンサ。」

<相違点1>
物品について、本件発明1では、「生理用品」であるのに対し、甲1発明では、「物品5」である点。

<相違点2>
2次元コードについて、本件発明1では、「動的QRコード(登録商標)」であり、「動的QRコード(登録商標)を生成するQRコード生成部」を備えるのに対し、甲1発明では、「二次元バーコード」であり、「二次元バーコードを含む情報表示体45」を備える点。

<相違点3>
物品を排出させる排出機構について、本件発明1では、前記判定結果が、排出許可を示す場合、「前記収納部に収納されている生理用品を排出させる」のに対し、甲1発明では、前記許可情報を受信すると、「ハンドル42のロック状態が解除され、所定時間内にユーザによるハンドル42の回転操作が行われると、物品5を提供する」点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
甲4発明の「二次元バーコード情報16a」は、甲4の【0034】や図4に示されるように、利用者が選択した商品及び決済サーバに応じて、選択された決済サーバで作成されるものであり、作成のたびに異なるものであるから、本件発明1の「動的QRコード(登録商標)」とは、「動的2次元コード」という点で共通する。
一方、甲1発明の「二次元バーコード」は、物品提供管理サーバ1のリンク情報と装置IDを含むものであり、物品提供管理サーバ1を介して決済サーバとやりとりをするためのものであるのに対して、甲4発明の「二次元バーコード情報16a」は、商品の金額及び該商品の決済を行う決済サーバの所在情報(URL)を含むものであって、甲1発明の「二次元バーコード」とは、含む情報も使用される場面も異なることから、甲1発明において、甲4発明を適用し、「二次元バーコード」を「二次元バーコード情報16a」に置き換える動機付けがあるとは認められない。
そもそも、甲4発明には、本件発明1の「QRコード生成部」に相当する構成はない(二次元バーコード情報16aは選択された決済サーバで作成される)から、甲1発明に甲4発明を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とはならない。
そして、相違点2に係る本件発明1の構成について、甲2、3、5〜10にも、記載も示唆も見いだせない。
また、甲1をみる限り、甲1発明の「二次元バーコード」が含む物品提供管理サーバ1のリンク情報と装置IDは、決済のたびに変化するものとは認められず、変化させることについての記載も示唆もなく、技術的に変化させる必要性があるともいえないことから、仮に動的2次元コードが周知技術であったとしても、甲1発明の「二次元ハーコード」を動的2次元コードに置き換える動機付けがあるとも認められない。
以上によれば、相違点1、3を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲4発明、及び、甲2、3、5〜10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2〜7について
本件発明2〜7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更なる限定を追加したものであるから、本件発明2、7は、上記アで説示したように、甲1発明ではないのは明らかであり、本件発明2〜7は、上記アで説示したのと同様の理由により、甲1発明、甲4発明、及び、甲2、3、5〜10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明8について
物品提供装置4である甲1発明はプログラムで操作するのは明らかであり、甲1発明を動作させるプログラムを「甲1発明2」とする。
本件発明8と甲1発明2とを対比すると、相違点2と同様の相違点があるのは明らかであるから、本件発明8は甲1発明2ではなく、また、上記(1)で説示したのと同様の理由により、本件発明8は、甲1発明2、甲4発明、及び、甲2、3、5〜10に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)小括
以上によれば、申立理由1、2は成り立たない。

3 申立理由3(明確性要件)について
(1)申立人の主張
申立人は、特許異議申立書(48〜50ページ等参照。)において、
(a)本件発明1、8の「動的QRコード」をどのように生成しているのか不明確であるから、本件発明1〜8は不明確であり、
(b)本件発明4の「前記収納部に収納される生理用品は、前記広告による収入によって購入される」について、生理用品の購入主体、及び購入された生理用品を収容部へ収容する主体が明確ではないから、本件発明4は不明確であり、
(c)本件明細書等の【0017】には、課題として、「生理用品の無制限な取り出しを阻止しながら、使用を希望しているユーザへ生理用品を確実に提供するためのディスペンサ、生理用品提供装置、およびプログラムを提供することを目的とする。」と記載されているが、本件発明1〜8のどの構成によって上記課題を解決しているのか不明であり、上記課題を解決するための構成が不足しているのは明らかであるから、本件発明1〜8は不明確である旨主張する。

(2)申立人の主張についての判断
明確性要件は、請求項に係る発明の技術的範囲が明確であることを求める要件であるところ,以下当該主旨を前提に,申立人の上記主張を検討する。
まず、(a)について検討する。本件発明1、8の「動的QRコード」をどのように生成しているのかについては、本件発明1、8の技術的範囲が明確かどうかに関係するものではなく、実施可能要件に関係するものであると認められる。なお、下記5(2)で説示するように、(a)について、実施可能要件は満たすものである。また、本件発明1、8の「動的QRコード」自体についても、【0173】に定義されているように明確である。
次に、(b)について検討すると、本件発明4は、ディスペンサという物の発明であり、生理用品の購入主体、及び購入された生理用品を収容部へ収容する主体が誰であるかは、本件発明4の技術的範囲が明確かどうかには関係ないことである。
最後に、(c)について検討すると、請求項に係る発明が、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲であるかどうかは、サポート要件に関することであり、本件発明1〜8の技術的範囲が明確かどうかに関係するものではない。なお、下記4(2)で説示するように、(c)について、サポート要件は満たすものである。
以上によれば、申立人の上記主張は当を得たものとはいえず、採用できない。そして、本件発明1〜8は明確である。
したがって、申立理由3は成り立たない。

4 申立理由4(サポート要件)について
(1)申立人の主張
申立人は、特許異議申立書(50〜51ページ等参照。)において、
(a)本件発明1、8の「動的QRコード」について、発明の詳細な説明には、どのように生成するか等について具体的な記載がないから、本件発明1〜8は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、
(b)本件明細書等の【0017】には、課題として、「生理用品の無制限な取り出しを阻止しながら、使用を希望しているユーザへ生理用品を確実に提供するためのディスペンサ、生理用品提供装置、およびプログラムを提供することを目的とする。」と記載されているが、本件発明1〜8のどの構成によって上記課題を解決しているのか不明であり、上記課題を解決するための構成が不足しているのは明らかであるから、本件発明1〜8は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、
(c)本件発明4の「前記収納部に収納される生理用品は、前記広告による収入によって購入される」について、生理用品の購入主体が特定されておらず、購入された生理用品を収容部にどのように収容されるのかも特定されていないので、本件発明4は、何かしらの情報処理により整理容認を広告の収入によって購入するディスペンサを含むものであるが、本件明細書等には、そのようなディスペンサは記載されていないから、本件発明4は発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。

(2)申立人の主張についての判断
まず、(a)について検討する。上記3(2)で説示したとおり、本件発明1、8の「動的QRコード」をどのように生成しているのかについては、実施可能要件に関係するものであり、サポート要件に関係するものとは認められない。

次に、(b)について検討する。発明の詳細な説明の【0017】に示されるように、生理用品の無制限な取り出しを阻止しながら、使用を希望しているユーザへ生理用品を確実に提供することが、本件発明1等の課題であると認められるところ、本件発明1は、「前記動的QRコードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求に対する判定結果を受信する通信部」との構成を有し、上記専用サイトにおいて、上記ユーザ情報に基づいて上記判定結果を生成することで、ユーザごとの生理用品の提供数を管理することができ、また、動的QRコードによって、上記専用サイトにアクセスすることで、ディスペンサのそばにいない人からの上記専用サイトを防ぐこともできる。
よって、当業者であれば、本件発明1は上記課題を解決できると理解できると解するのが相当である。本件発明1の上記構成と同様の構成を有する本件発明8についても同様である。
最後に、(c)について検討する。請求項4が引用する請求項3には、「前記表示部から、広告を表示する」と記載されていることを勘案すると、本件発明4の「前記収納部に収納される生理用品は、前記広告による収入によって購入される」との構成は、ユーザが広告を見ることによって、ディスペンサから生理用品をユーザに提供することを表すのは明らかである。そして、発明の詳細な説明の【0044】には、「生理用品提供装置1によってサービスを提供する提供者は、広告スポンサーを募り、表示部63からこのように広告を表示することによって広告収入を得、その収入の一部で生理用品Sを購入し、ディスペンサ60に補充するサイクルを繰り返すことによって、ユーザUに対して生理用品Sを無償で提供するというビジネスモデルを実施することも可能となる。」と記載されているから、本件発明の上記構成は、発明の詳細な説明に記載されたものであると認められる。
以上によれば、申立人の上記主張は当を得たものとはいえず、採用できない。そして、本件発明1〜8は発明の詳細な説明に記載されたものである。
したがって、申立理由4は成り立たない。

5 申立理由5(実施可能要件)について
(1)申立人の主張
申立人は、特許異議申立書(51〜52ページ等参照。)において、
(a)本件発明1、8の「動的QRコード」について、発明の詳細な説明には、どのように生成するか等について具体的な記載がないから、本件発明1〜8について、発明の詳細な説明には、当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されたものではなく、
(b)本件発明4の「前記収納部に収納される生理用品は、前記広告による収入によって購入される」について、生理用品の購入主体が特定されておらず、購入された生理用品を収容部にどのように収容されるのかも特定されていないので、本件発明4は、何かしらの情報処理により整理容認を広告の収入によって購入するディスペンサを含むものであるが、発明の詳細な説明には、そのようなディスペンサは記載されていないから、本件発明4について、発明の詳細な説明には、当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されたものではない旨主張する。

(2)申立人の主張についての判断
まず、(a)について検討する。動的QRコードについては、発明の詳細な説明の【0173】には、「このQRコードは、ワンタイムパスワードのように、時間とともに情報が変動する動的なQRコード(以下、「動的QRコード」と称する)である。なお、動的QRコードの生成方法は、公知であるので、ここでは、詳細説明を省略する。」と記載されており、時間とともに変化する情報としては、例えば、日時があることは、当業者であれば理解できることであるから、動的QRコードをどのように生成するかは、発明の詳細な説明の【0173】に接した当業者であれば明らかである。
次に、(b)について検討する。上記4(2)で説示したように、本件発明4の「前記収納部に収納される生理用品は、前記広告による収入によって購入される」との構成は、発明の詳細な説明の【0044】に接した当業者であれば、どのように構成するかは明らかである。
以上によれば、申立人の上記主張は当を得たものとはいえず、採用できない。そして、本件発明1〜8について、発明の詳細な説明には、当業者が実施可能な程度に明確かつ十分に記載されたものである。
したがって、申立理由5は成り立たない。

第5 むすび
以上によれば、特許異議の申立理由及び証拠によっては、請求項1〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2023-09-28 
出願番号 P2022-033690
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06Q)
P 1 651・ 113- Y (G06Q)
P 1 651・ 537- Y (G06Q)
P 1 651・ 536- Y (G06Q)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 中村 則夫
特許庁審判官 八木 誠
久島 弘太郎
登録日 2022-12-09 
登録番号 7192154
権利者 オイテル株式会社
発明の名称 ディスペンサ、生理用品提供装置、およびプログラム  
代理人 弁理士法人鈴榮特許綜合事務所  

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