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審決分類 審判 一部無効 1項3号刊行物記載  H02G
管理番号 1404530
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2022-06-29 
確定日 2023-11-06 
事件の表示 上記当事者間の特許第6709958号発明「配線器具」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第6709958号発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

2 答弁の趣旨
本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

第2 手続の経緯
(1)本件特許の出願から設定登録までの経緯
平成29年 1月13日 : 出願(特願2017−4710号)
令和 2年 4月 7日付け: 特許査定
令和 2年 5月28日 : 設定登録(特許第6709958号)

(2)本件無効審判の手続の経緯
令和 4年 6月29日 : 審判請求書の提出
令和 4年11月18日 : 審判事件答弁書の提出
令和 4年12月27日付け: 答弁書副本の送付通知(弁駁指令)
令和 5年 2月 3日 : 審判事件弁駁書の提出
令和 5年 4月20日付け: 審理事項通知
令和 5年 5月29日 : 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
令和 5年 6月 1日 : 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
令和 5年 6月14日 : 口頭審理(第1回口頭審理調書)
令和 5年 6月14日 : 上申書(請求人:以下、「請求人
上申書1」という。)の提出
令和 5年 6月15日 : 上申書(被請求人:以下、「被請求人
上申書1」という。)の提出
令和 5年 6月28日 : 上申書(請求人:以下、「請求人
上申書2」という。)の提出
令和 5年 6月28日 : 上申書(被請求人:以下、「被請求人
上申書2」という。)の提出

第3 本件特許発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明1」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される以下のとおりのものである。
(請求人が審判請求書第3頁〜4頁に示した分説に従って示す。以下、付された符号に従って「構成要件A」ないし「構成要件G」という。)

「A.差込式の外側端子を接続可能に構成された内側端子と、
B.前記内側端子が実装される第1基板と、
C.前記第1基板に電気的に接続され、前記内側端子に対する前記外側端子の差込方向において前記第1基板と並べて配置される第2基板と、
D.前記差込方向において前記第1基板に対して前記第2基板側に配置され、前記第1基板を支持する支持部材と、
E.前記第1基板、前記第2基板及び前記支持部材を収納するハウジングと、
を備え、
F.前記支持部材は、前記差込方向における前記第2基板側から前記第1基板を支持する支持部と、前記差込方向における前記第1基板側から前記ハウジングに接触する接触部と、を有している
G.ことを特徴とする配線器具。」

第4 請求人の主張及び証拠方法
1 無効理由
「本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。」(審判請求書第3頁)

2 証拠方法
請求人は、審判請求書に以下の甲第1号証、甲第2号証を添付して提出し、審判事件弁駁書に以下の甲第3号証、甲第4号証を添付して提出した。
(以下、甲第1号証ないし甲第4号証を「甲1」ないし「甲4」という。)

甲第1号証:米国特許出願公開2013/0280956号明細書
甲第2号証:対比表
甲第3号証:甲1の実施品である製品に関する説明
甲第4号証:甲3の製品カタログ(第1頁から第4頁までがPASS&
SEYMOUR社のカタログの電子データの写しであり、
第5頁はそのカタログの電子データの更新日を示す証拠で
ある。第1回口頭審理調書「請求人 4」を参照。)

第5 被請求人の主張及び証拠方法
1 主張の概要
「甲1は、本件特許発明1の構成要件Fを有しないから、本件特許発明1と甲1が同一であるとの請求人が主張する無効理由は、理由がない。」(審判事件答弁書第5頁、第8頁)

2 証拠方法
被請求人は、審判事件答弁書に以下の乙第1号証を添付して提出し、被請求人上申書2に添付して以下の乙第2号証、乙第3号証を提出した。

乙第1号証:
令和4年(ワ)第2501号侵害事件における被告準備書面(1)
乙第2号証:
令和4年(ワ)第2501号侵害事件における被告準備書面(8)
乙第3号証:
令和4年(ワ)第2501号侵害事件における訴状

第6 当審の判断
1 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
ア.甲1には、図面とともに次の事項が記載されている。(日本語訳は請求人による。なお、下線部については当審で付した。)

(ア)「
[0003] The present invention relates generally toelectrical wiring devices, and particularly to devices that include relatively high current USB charging receptacles.
(中略)
[0039] Referring to FIG. 3, an exploded view of the device depicted in FIG. 1 is disclosed. As noted above, the device 10 includes a housing assembly that has back body member 14 coupled to the front cover member 12. The plurality of terminals (18, 19) is configured to connect the device 10 to a source of AC power. The back body member 14 includes compartments 14-2, 14-3. The compartment 14-2 is configured to accommodate a separator member 15 that is further configured to divide compartment 14-2 into a lower compartment and an upper compartment. Thus, during assembly, the AC printed circuit board (PCB) assembly 140 is inserted into the first compartment 14-2, the separator member 15 is disposed over top, and then the low voltage PCB assembly 120 is placed on top of the separator 15.
(中略)
[0042] Referring to the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 disposed over the separator member 15, it includes a universal serial bus (USB) charging interface circuit that is configured to convert the modulated power signal (of the AC assembly 140) into a low voltage direct current (DC) charging signal. The low voltage PCB assembly 120 includes two single port USB sockets 120-1, 120-2 coupled to the USB charging interface circuit. Low voltage PCB 122 is parallel to separator member 15. Thus the sockets 120-1, 120-2 are each accessible via the USB apertures 12-1 formed in the front cover member 12. In an embodiment of the invention, the center lines of the two single port USB sockets are spaced apart by about 0.5 inches whereas known unitized dual port USB sockets are spaced apart by about 0.3 inches. Series “A” USB plugs are about 0.3 inches wide. By using single port sockets and going to a greater separation distance it is easier to insert and remove a plug while the other one is in use. The USB charging interface circuit is configured to provide the low voltage DC charging signal to two devices-under-charge at a maximum predetermined charging current. In one embodiment, the maximum charging current provided by assembly 120 is approximately 2.1 Amperes.
(中略)
[0057] Referring to FIG. 8, a perspective view of the AC printed circuit board (PCB) assembly depicted in FIGS. 3 and 6 is disclosed. The AC PCB assembly 140 components and interconnections are shown schematically in FIG. 7 which was described above. Various components of the AC PCB assembly 140, such as transformer 140-2, capacitors C1 and C2, and inductor coil L1 are shown as being mounted on the printed circuit board 142. The secondary conductors 144A (hot) and 144B (neutral) are shown as being connected to the transformer (T1) 140-2. Hot and neutral conductors (18′, 19′) are connected to terminals 18, 19 shown in FIGS. 5-7 In another embodiment of the invention, conductors 18′ and 19′ are connected to neutral terminal 19 and to either terminal 17-10 or 17-20, respectively. Switch actuator 12-3 still controls a remote load but now in addition turns line voltage to the charger on and off.
[0058] Referring to FIG. 9, a perspective view of the low voltage printed circuit board (PCB) assembly 120 depicted in FIGS. 3 and 6 is disclosed. The low voltage PCB assembly components and interconnections are shown schematically in FIG. 7 described above. Various components of the low voltage PCB assembly 120, such as capacitors C5, C14, C13, and CY1, as well as the USB connectors (120-1, 120-2), are shown as being mounted on the printed circuit board 122.
(中略)
[0060] Referring to FIGS. 11A-H, flow diagrams illustrating an assembly sequence for the electrical wiring device depicted in FIG. 10 are disclosed. In FIG. 11A, the back body member 14 is coupled to the mounting strap 16. In FIGS. 11B and 11C, two AC PCB assemblies 140 are installed inside the back body 14. In FIGS. 11D and 11E, the hot line contact 18 and the neutral line contact 19 are installed in the back body member and coupled to the two AC PCB assemblies 140. FIG. 11F shows the separator member 15 being connected to the back body 14 to enclose the two AC PCB assemblies 140 there within. In FIGS. 11G and 11H, two low voltage PCB assemblies 120 are coupled to the top side of the separator member 15. The PCB assemblies may employ the same printed circuit board 122 that has been described with one of the single port USB receptacles omitted. The secondary connections (144A, 144B) from the transformer 140-2 are connected to the low voltage PCB assemblies 120. Once these steps are finished, the front cover 12 (not shown in this view) is coupled to the back cover 14 to complete the device 10 assembly.

(日本語訳:「
[0003] 本発明は、一般に電気配線装置に関し、特に、比較的大電流のUSB充電レセプタクルを含む装置に関するものである。
(中略)
[0039] 図3を参照すると、図1に描かれた装置の分解図が開示されている。上述したように、装置10は、フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリを含む、複数の端子(18、19)は、装置10をAC電源の供給源に接続するように構成される。バックボディ部材14は、区画14−2、14−3を含む。区画14−2は、区画14−2を下部区画と上部区画とに分割するようにさらに構成されたセパレータ15を収容するように構成されている。したがって、組み立ての際にACプリント回路基板(PCB)アセンブリ140が第1の区画14−2に挿入され、セパレータ15が上に配置され、その後、低電圧PCBアセンブリ120がセパレータ15の上に配置される。
(中略)
[0042] セパレータ15の上に配置された低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120を参照すると、(ACアセンブリ140の)変調電力信号を低電圧直流(DC)充電信号に変換するように構成されたユニバーサルシリアルバス(USB)充電インターフェース回路を含んでいる。低電圧PCBアセンブリ120は、USB充電インターフェース回路に結合された2つのシングルポートUSBソケット120−1、120−2を含む。低電圧PCB122は、セパレータ15に平行である。従って、ソケット120−1、120−2はそれぞれ、フロントカバー12に形成されたUSB開口部12−1を介してアクセス可能である。本発明の実施形態では、2つのシングルポートUSBソケットの中心線は約0.5インチ離れているのに対し、公知のユニット化されたデュアルポートUSBソケットは約0.3インチ離れている。シリーズ”A”のUSBプラグは約0.3インチ幅です。シングルポートソケットを使用し、より大きな間隔にすることで、他のプラグが使用されている間、プラグを挿入したり取り外したりすることが容易になります。USB充電インターフェース回路は、低電圧DC充電信号を、最大所定の充電電流で2つの充電不足の機器に供給するように構成されている。一実施形態では、アセンブリ120によって提供される最大充電電流は、約2.1アンペアである。
(中略)
[0057] 図8を参照すると、図3および図6に描かれたACプリント回路基板(PCB)アセンブリの透視図が開示されている。AC PCBアセンブリ140の構成要素および相互接続は、上述した図7に模式的に示されている。トランス140−2、コンデンサC1及びC2、インダクタコイルL1などのAC PCBアセンブリ140の様々な構成要素は、プリント回路基板142上に実装されているように示されている。二次導体144A(ホット)および144B(ニュートラル)は、トランス(T1)140−2に接続されているものとして示されている。ホット及びニュートラル導体(18’、19’)は、図5〜7に示す端子18、19に接続されている。本発明の別の実施形態では、導体18’、19’は、それぞれニュートラル端子19と端子17−10または17−20のどちらかに接続される。スイッチアクチュエータ12−3は依然として遠隔負荷を制御するが、今度はそれに加えて充電器へのライン電圧をオン/オフする。
[0058] 図9を参照すると、図3および図6に描かれた低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120の透視図が開示されている。低電圧PCBアセンブリの構成要素および相互接続は、上述した図7に概略的に示されている。コンデンサC5、C14、C13、およびCY1などの低電圧PCBアセンブリ120の様々なコンポーネント、ならびにUSBコネクタ(120−1、120−2)は、プリント回路基板122上に実装されているものとして示されている。
(中略)
[0060] 図11A〜Hを参照すると、図10に描かれた電気配線装置のための組立順序を示す流れ図が開示されている。図11Aにおいて、背面ボディ部材14は、取付ストラップ16に結合される。図11Bおよび図11Cにおいて、2つのAC PCBアセンブリ140が背面ボディ14の内部に設置される。図11Dおよび11Eにおいて、ホットラインコンタクト18およびニュートラルラインコンタクト19は、バックボディメンバーに設置され、2つのAC PCBアセンブリ140に結合される。図11Fは、セパレータ15が背面ボディ14に連結されて、2つのAC PCBアセンブリ140をその内部に囲んでいる状態を示している。図11G及び11Hでは、2つの低電圧PCBアセンブリ120がセパレータ15の上側に結合されている。PCBアセンブリは、シングルポートUSBレセプタクルの1つを省略して説明してきたのと同じプリント回路基板122を採用することができる。トランス140−2からの二次接続部(144A、144B)は、低電圧PCBアセンブリ120に接続される。これらのステップが終了すると、フロントカバー12(この図には示されていない)がバックカバー14に結合され、装置10のアセンブリが完成する。



(イ)「






イ.甲1発明
(ア)上記ア(ア)の段落0003、0039の記載及び(イ)のFIG.3によると、甲1には、フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリ、AC PCBアセンブリ140、セパレータ15、低電圧PCBアセンブリ120を備える電気配線装置10が記載されているといえる。
(イ)上記ア(ア)の段落0042、0058の記載及び(イ)のFIG.3によると、低電圧PCBアセンブリ120には、フロントカバー12に形成されたUSB開口部12−1を介してアクセス可能なUSBソケット120−1、120−2が実装されているといえる。
(ウ)上記ア(ア)の段落0057の記載及び(イ)のFIG.7によると、AC PCBアセンブリ140と低電圧PCBアセンブリ120とは電気的に接続されたものであるといえる。
また、上記ア(ア)の段落0039の記載及び(イ)のFIG.3、7によると、AC PCBアセンブリ140の上にセパレータ15が配置され、セパレータ15の上に低電圧PCBアセンブリ120が配置されるといえる。
よって、甲1には、AC PCBアセンブリ140と低電圧PCBアセンブリとは電気的に接続され、AC PCBアセンブリ140の上にセパレータ15が配置され、セパレータ15の上に低電圧PCBアセンブリ120が配置されていることが記載されているといえる。
(エ)上記ア(ア)の段落0039の記載及び(イ)のFIG.3によると、ハウジングアセンブリは、低電圧PCBアセンブリ120、AC PCBアセンブリ140、セパレータ15を収納するものであるといえる。
(オ)上記ア(ア)の段落0042の「セパレータ15の上に配置された低電圧プリント回路基板(PCB)アセンブリ120」との記載及び(イ)のFIG.3によれば、セパレータ15は低電圧PCBアセンブリ120を載置する載置面を有しているといえる。
(カ)以上のとおりであるから、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「フロントカバー12に結合されたバックボディ部材14を有するハウジングアセンブリ、低電圧PCBアセンブリ120、AC PCBアセンブリ140、セパレータ15を備える電気配線装置10であって、
低電圧PCBアセンブリ120には、フロントカバー12に形成されたUSB開口部12−1を介してアクセス可能なUSBソケット120−1、120−2が実装され、
AC PCBアセンブリ140と低電圧PCBアセンブリとは電気的に接続され、AC PCBアセンブリ140の上にセパレータ15が配置され、セパレータ15上に低電圧PCBアセンブリ120が配置され、
セパレータ15は、低電圧PCBアセンブリ120を載置する載置面を有しており、
ハウジングアセンブリは、低電圧PCBアセンブリ120、AC PCBアセンブリ140、セパレータ15を収納する、
電気配線装置10。」

(2)甲第3号証
甲3には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下記ウ.についての日本語訳は省略する。)

ア.「



イ.「



ウ.「



エ.上記アないしウによると、甲3には、請求人が甲1発明の実施品であると主張する製品(型番TM8USBW)に関して、当該製品の分解写真及び購入履歴が記載されていると認められる。

(3)甲第4号証
甲4には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下記アないしウの日本語訳については省略する。)

ア.「

」(第3頁)

イ.「

」(第4頁)

ウ.「

」(第5頁)

エ.上記ア、イによると、甲4には、請求人が甲3に記載された製品と同一であると主張する製品(型番TM8USBWCC6)に関して、当該製品の外観が記載されていること、及び、上記ウによると、甲4に係る電子データのプロパティでは、当該電子データの作成日と更新日とが2013年10月21日となっていることが認められる。

2 本件特許発明1と甲1発明との対比
ア.甲1発明のハウジングアセンブリ、AC PCBアセンブリ140、セパレータ15、低電圧PCBアセンブリ120を備える電気配線装置10は、配線器具に係るものであるから、本件特許発明1の「配線器具」に相当する。

イ.甲1発明のUSBソケットは、本願出願時の技術常識によると、差込式のUSBプラグが接続可能に構成された端子であると認められるから、甲1発明の「フロントカバー12に形成されたUSB開口部12−1を介してアクセス可能なUSBソケット120−1、120−2」は、フロントカバー12の外側からUSBプラグ(外部端子)が接続可能に構成された、電気配線装置10の内側の端子であるといえる。
よって、甲1発明の「フロントカバー12に形成されたUSB開口部12−1を介してアクセス可能なUSBソケット120−1、120−2」は、本件特許発明1の「差込式の外側端子を接続可能に構成された内側端子」に相当する。

ウ.甲1発明のUSBソケット120−1、120−2が実装された「低電圧PCBアセンブリ」は、上記イ.をふまえると、内側端子が実装されたプリント回路基板(PCB)であるといえるから、本件特許発明1の「前記内側端子が実装される第1基板」に相当する。

エ.甲1発明のAC PCBアセンブリ140は、プリント回路基板(PCB)に係るものであるところ、甲1のFIG.3によると、USBソケット120−1、120−2のUSBプラグの差込方向において、低電圧PCBアセンブリ120と並べて配置されていることが見て取れるから、甲1発明のAC PCBアセンブリ140は、低電圧PCBアセンブリ120と電気的に接続され、USBソケット120−1、120−2のUSBプラグの差込方向において、上記低電圧PCBアセンブリ120と並べて配置された基板であるといえる。
そして上記ウ.のとおりであるから、甲1発明の「AC PCBアセンブリ140」は、本件特許発明1の「前記第1基板に電気的に接続され、前記内側端子に対する前記外側端子の差込方向において前記第1基板と並べて配置される第2基板」に相当する。

オ.甲1のFIG.3によると、甲1発明のセパレータ15は、低電圧PCBアセンブリ120に対してAC PCBアセンブリ140側に配置されていること、及び、当該セパレータ15の載置面によって低電圧PCBアセンブリ120を支持する部材であることが見て取れる。
そして上記ウ.のとおりであるから、甲1発明の「セパレータ15」は、本件特許発明1の「前記差込方向において前記第1基板に対して前記第2基板側に配置され、前記第1基板を支持する支持部材」に相当する。

カ.甲1発明の「ハウジングアセンブリ」は、低電圧PCBアセンブリ120、AC PCBアセンブリ140、セパレータ15を収容するものであるから、本件特許発明1の「前記第1基板、前記第2基板及び前記支持部材を収納するハウジング」に相当する。

キ.甲1のFIG.3によると、甲1発明の「セパレータ15」の「載置面」は、AC PCBアセンブリ側から低電圧PCBアセンブリを支持していることが見て取れるところ、上記オ.のとおりであるから、上記「セパレータ15」の「載置面」は、本件特許発明1の「前記差込方向における前記第2基板側から前記第1基板を支持する支持部」に相当する。

ク.したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、また、一応相違している。

[一致点]
「差込式の外側端子を接続可能に構成された内側端子と、
前記内側端子が実装される第1基板と、
前記第1基板に電気的に接続され、前記内側端子に対する前記外側端子の差込方向において前記第1基板と並べて配置される第2基板と、
前記差込方向において前記第1基板に対して前記第2基板側に配置され、前記第1基板を支持する支持部材と、
前記第1基板、前記第2基板及び前記支持部材を収納するハウジングと、
を備え、
前記支持部材は、前記差込方向における前記第2基板側から前記第1基板を支持する支持部を有している
ことを特徴とする配線器具。」

[一応の相違点]
本件特許発明1の「支持部材」は、「前記差込方向における前記第1基板側から前記ハウジングに接触する接触部」との事項を有しているのに対して、甲1発明の「セパレータ15」は、当該事項を有することが特定されていない点。

3 判断
甲1には、セパレータ15の背面側の構成について何らの説明されておらず、セパレータ15と背面本体部材14とが接触することについても何らの説明がなく、図面の記載をみても、これらの構成を示唆又は開示する記載がない。
ここで、本願出願時の技術常識からすると、甲1発明のセパレータ15をハウジングアセンブリに収納する際に、セパレータ15の側面をバックボディ部材の壁状部に固着することで差込方向とは異なる方向に接触することや、セパレータ15を第2基板で支持することなど、当業者であれば様々な構成とすることが可能である。
また、甲1発明においてセパレータ15をハウジングアセンブリに収納する際に、「前記差込方向における前記第1基板側から前記ハウジングに接触する」以外のものを除外する理由があるとはいえない。
よって、甲1発明のセパレータ15に関して、「前記差込方向における前記第1基板側から前記ハウジングに接触する接触部」を有することが特定されているとは認められない。
したがって、上記一応の相違点は、実質的な相違点であるから、本件特許発明1と甲1発明とが、同一であるということはできない。

4 請求人の主張について
請求人は、審判請求書、審判事件弁駁書、令和5年6月1日に提出した口頭審理陳述要領書、請求人上申書1、及び、請求人上申書2において、以下の点を主張している。

(1)主張1
甲1には、セパレータ15の裏面がバックボディ部材14に接触する点について、明確な記載はなされていない。しかしながら、「技術常識からすると、甲1に記載されたセパレータ15の裏面は、バックボディ部材14の段差に接触するものといえる」から、本件特許発明1と甲1に記載された発明とは同一である。(審判事件弁駁書第2頁18行〜第3頁3行、第4頁2行〜4行)

(2)主張2
請求人が甲1の実施品(甲3製品)を入手して確認したところ、セパレータ15がバックボディ部材14に装着された状態で、バックボディ部材14がセパレータ15の裏面の赤枠部分に接触していることが確認された(上記(2)イ 写真4)。
甲3製品(TM8USBW)は特許表示として「www.legrand.us/patents」(甲3製品の販売元のホームページ)に特許番号が記載されており、その中には甲1に係る米国特許出願が特許化されたものが含まれている(US 8,758,031)。
また、甲1の図1〜図3、図8及び図9と甲3製品の写真(上記(2)イ 写真4)を並べて表示させると、各部品の形状が同一であることがわかる。即ち、甲3製品は、甲1の実施品であることが明らかである。
そして、この実施品は、本件特許の出願日より前の2013(平成25年)10月21日に作成されたカタログ(上記(3)甲第4号証)に掲載されており、本件特許の出願日より前に公然実施がなされている製品である。
よって、甲3製品は、セパレータ15の裏面がバックボディ部材14の一部に接触するものであるところ、甲3製品は、甲1発明の実施品であるから、甲1発明においても、セパレータ15の裏面がバックボディ部材14の一部に接触するものといえる。(審判事件弁駁書第3頁4行目〜第4頁1行目、請求人上申書1に添付されたプレゼンテーション資料第15頁「1.甲第3号証の製品が甲第1号証の実施品である理由まとめ」)

5 請求人の主張に関する検討
(1)主張1について
本願出願時の技術常識からすると、甲1発明のセパレータ15をハウジングアセンブリに収納する際に、セパレータ15の側面をバックボディ部材の壁状部に固着することで差込方向とは異なる方向から接触することや(下記アを参照)、セパレータ15を第2基板で支持することなど(下記イを参照)、当業者であれば様々な構成とすることが可能である。(被請求人が令和5年5月29日に提出した口頭審理陳述要領書第6頁〜第7頁、被請求人上申書1に添付されたプレゼンテーション資料第6頁、第9頁)
また、甲1には、甲1発明においてセパレータ15をハウジングアセンブリに収納する際に、「セパレータ15の裏面は、バックボディ部材14の段差に接触する」こと以外のものを除外すべき事情が記載されているとはいえない。
そうすると、甲1発明のセパレータ15に関して、「技術常識からすると、甲1に記載されたセパレータ15の裏面は、バックボディ部材14の段差に接触する」とまではいえず、甲1には「前記差込方向における前記第1基板側から前記ハウジングに接触する接触部」を有することが特定されているとは認められない。
よって、請求人の上記4(1)に係る主張は採用できない。

ア.「

」(被請求人上申書1に添付されたプレゼンテーション資料第6頁)

イ.「

」(被請求人上申書1に添付されたプレゼンテーション資料第9頁)

(2)主張2について
甲3には、甲1との関係について記載されていないから、甲3製品は、甲第1号証の記載に忠実に従って作成された実施品であるとはいえない。
また、甲4においても、甲1との関係について記載されていないところ、販売されている製品は日々改良が加えられるものであることが技術常識であることからすると、甲4において、甲3製品と同様の外観及び型番の製品が記載されていることをもって、甲3製品と甲4に記載された製品とが同じ構成を備えるものであるとはいえない。
加えて、技術常識からすると、製品の販売元のホームページ等における製品に関係する特許番号の掲示は、製品の一部の構成が特許番号の特許と関連していることを意味しているに過ぎない。
そうすると、甲3製品及び甲4に記載された製品が甲1発明に係る特許を使用していたとしても、甲1発明と甲3製品と甲4に記載された製品とが同じ構成を備えていると認める証拠はないため、仮に、請求人が主張するように、甲3製品の販売元のホームページ等において甲1に係る特許番号の表示があるとしても、甲3製品が備える構成について甲1に対応する記載がないものを、甲1に記載されているに等しいものと認めることはできない。
以上のとおりであるから、甲1発明が、上記相違点に係る「接触部」を有していると認めるに足りる証拠はないため、請求人の上記4(2)に係る主張は採用できない。

6 小括
上記で検討したとおり、本件特許発明1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではないため、同法第123条第1項第2号によって無効とすべきものでない。

第7 むすび
以上、請求人の主張する理由及び提出した証拠によっては本件特許発明1に係る特許を無効にすることはできない。
そして、審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2023-08-30 
結審通知日 2023-09-04 
審決日 2023-09-28 
出願番号 P2017-004710
審決分類 P 1 123・ 113- Y (H02G)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 吉田 美彦
特許庁審判官 林 毅
脇岡 剛
登録日 2020-05-28 
登録番号 6709958
発明の名称 配線器具  
代理人 森林 克郎  
代理人 押久保 政彦  
代理人 弁理士法人IP−FOCUS  
代理人 小菅 一弘  

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