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審決分類 審判 全部申し立て 1項1号公知  G06Q
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1404830
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-07-25 
確定日 2023-12-08 
異議申立件数
事件の表示 特許第7212430号発明「ECの海外への提供を支援するための支援方法、そのためのプログラム、又は支援サーバ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7212430号の請求項1〜5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7212430号の請求項1〜5に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成28年8月29日を国際出願日とする出願である特願2017−538008号(優先権主張 平成27年8月28日)の一部を令和3年4月19日に新たな特許出願(特願2021−70059号)とし、さらにその一部を同年11月12日に新たな特許出願(特願2021−184625号)としたものであって、令和5年1月17日にその特許権の設定登録がされ、同年1月25日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、同年7月25日に特許異議申立人 金澤毅(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
特許第7212430号の請求項1〜5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明5」といい、併せて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ECの海外への提供を支援するための支援方法であって、
ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品を販売するための第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップと、
前記ユーザーのユーザー端末のウェブブラウザを、前記ECサイトから、前記ECサイトを提供する第1のサーバとは異なる第2のサーバであって、前記ECサイトから1又は複数の商品の代理購入を行う者の第2のサーバにより提供される第2のウェブページに転送させるためのボタン又はバナーを表示させるステップと
を含み、
前記第2のウェブページは、前記ある商品を購入する旨を前記第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに通知するためのページであり、
前記ボタン又はバナーは、前記所在国に配送可の場合に表示される。
【請求項2】
請求項1に記載の支援方法であって、
前記ボタンは、前記第1のウェブページの下部に表示される。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の支援方法であって、
前記判定は、前記ユーザー端末に割り当てられたIPアドレスに基づいて行う。
【請求項4】
コンピュータに、ECの海外への提供を支援するための支援方法を実行させるためのプログラムであって、前記支援方法は、
ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品を販売するための第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップと、
前記ユーザーのユーザー端末のウェブブラウザを、前記ECサイトから、前記ECサイトを提供する第1のサーバとは異なる第2のサーバであって、前記ECサイトから1又は複数の商品の代理購入を行う者の第2のサーバにより提供される第2のウェブページに転送させるためのボタン又はバナーを表示させるステップと
を含み、
前記第2のウェブページは、前記ある商品を購入する旨を前記第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに通知するためのページであり、
前記ボタン又はバナーは、前記所在国に配送可の場合に表示される。
【請求項5】
ECの海外への提供を支援するための装置であって、
ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品を販売するための第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定し、
前記ユーザーのユーザー端末のウェブブラウザを、前記ECサイトから、前記ECサイトを提供する第1のサーバとは異なる第2のサーバであって、前記ECサイトから1又は複数の商品の代理購入を行う者の第2のサーバにより提供される第2のウェブページに転送させるためのボタン又はバナーを表示させ、
前記第2のウェブページは、前記ある商品を購入する旨を前記第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに通知するためのページであり、
前記ボタン又はバナーは、前記所在国に配送可の場合に表示される。」

第3 申立理由の概要
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証及び甲第2号証(以下、それぞれ「甲1」及び「甲2」という。)を証拠として提出している。

甲第1号証(甲1):ウェブページ、NEWS RELEASE、「「価格.com」とベリトランスがサービス連携、商品の海外配送に対応 カートの多言語化・海外配送が可能なベリトランスの新サイト「BuySmartJapan」で4言語での購入画面の表示と、120の国と地域へ海外配送が可能に」、株式会社カカクコム、ベリトランス株式会社、[ONLINE]、公知日:2013年11月6日、検索日:2022年3月29日、インターネット<URL:https://corporate.kakaku.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/11/20131106.pdf>
甲第2号証(甲2):ウェブページ、「BuySmartJapan ショッピングガイド」の動画データ、ベリトランス株式会社、公知日:2014年6月25日、検索日:2022年3月29日、インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=1oVrHeqe04A>

2 特許異議の申立理由
異議申立人の主張する特許異議の申立ての理由の概要は以下のとおりである。
(1) 新規性
本件発明は、甲1及び甲2に基づいて認定される公然知られた発明(以下「公知発明」という。)であり、かつ、公然実施をされた発明(以下「公然実施発明」という。)であって、特許法29条1項1号又は同項2号に該当するから、本件発明についての特許は、同条同項の規定に違反してされたものである。

(2) 進歩性
本件発明は、上記(1)の公知発明及び公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。

第4 当審の判断
1 甲1及び甲2に基づく公然実施発明
(1) 甲1について
ア 甲1は、株式会社カカクコムとベリトランス株式会社の「「価格.com」とベリトランスがサービス連携、商品の海外配送に対応 カートの多言語化・海外配送が可能なベリトランスの新サイト「BuySmartJapan」で4言語での購入画面の表示と、120の国と地域へ海外配送が可能に」と題するプレスリリースのウェブページであり、本件特許についての出願の優先日前である「2013年11月6日」の記載とともに以下のとおり表示されている。


イ 上記アによれば、以下の事項が看取できる。
(ア) 「株式会社カカクコム(東京都渋谷区 代表取締役社長 田中 実、東証コード:2371、以下:カカクコム)とベリトランス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:沖田 貴史、以下:ベリトランス)は、ベリトランスの新サイト「BuySmartJapan(読み:バイスマートジャパン)」を利用することで「価格.com(読み:価格ドットコム)」へ海外からアクセスするユーザが、掲載商品を購入できるようにしました。」

(イ) 「購買支援サイト「価格.com」は、月間約4,500万人の方々にご利用いただいていますが、そのうち海外在住のユーザは100万人以上にのぼります。しかしながら、「価格.com」掲載店舗で海外発送に対応しているお店は少なく、これらのユーザが商品購入を望んでも、購入できない状況がありました。そこでこの度「価格.com」は、ベリトランスの提供する「BuySmartJapan」と連携し、新たに4か国語(英語、中国語、韓国語、日本語)に対応したショッピングカートを用意することで、日本以外の120の国と地域への商品発送を開始します。」

(ウ) 「【「BuySmartJapan」の仕組み】
「BuySmartJapan」は、ベリトランスの提供するクロスボーダープラットフォーム「Veritrans XP」を利用しており、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、日本語の4言語に対応しているショッピングカートと120の国と地域への海外配送を実現するベリトランスの新サイトです。「価格.com」とのシステム連携を行い、掲載商品の情報を取得し、海外(日本以外のIPアドレス)からアクセスしたユーザに対応した言語での購入画面を表示します。決済手段はクレジットカード決済に加え、支付宝(アリペイ)、銀聯(ギンレン)、Paypal(ペイパル)決済に対応し、海外からアクセスするユーザがシンプルに安心して購入できる仕組みを提供しています。なお、購入された商品はベリトランスが「価格.com」掲載店舗から代理購入を行い、商品を発送します。」

(エ) 「【スキーム図】
○1海外ユーザが価格.comにアクセス。
商品詳細ページ確認。
○2BuySmartJapanのバナーをクリックし、BuySmartJapanに遷移。
商品を購入。
○3BuySmartJapanが価格.com掲載店舗から商品を購入。
○4価格.com掲載店舗が日本国内のBuySmartJapan配送センターに商品を配送。
○5BuySmartJapan配送センターから商品を海外のユーザに発送。」
(甲1に表示された「〇」中に数字を配置した記号は、「〇1」等で示す。)

(2) 甲2について
甲2は、「BuySmartJapan ショッピングガイド」と題する動画であり、該動画が表示されるウェブページには、本件特許についての出願の優先日前である「2014/06/25」の記載がある。そして、コンピュータにより甲2の動画を再生すると、再生開始からの下記の各経過時間において、以下のとおりの表示画面が表示される。

ア 動画再生時27秒時点の表示画面


上記表示画面は、甲2の動画を再生したときの再生開始から27秒経過時点の表示画面(以下「表示画面A」という。)を示す。
表示画面Aは、「価格.com」の特定のヘッドホンに関するウェブページを表示するものであって、「購入可能な商品の場合、バナーがあらわれます。複数カラーがあるのでブラックを選択します。」との吹出し画像の表示より、前記特定のヘッドホンは購入可能な商品であることが看取できる。

イ 動画再生時29秒時点の表示画面


上記表示画面は、甲2の動画を再生したときの再生開始から29秒経過時点の表示画面(以下「表示画面B」という。)を示す。
表示画面Bは、表示画面Aにおける複数カラーのうちのブラックを選択することで表示される画面を表しており、「価格.com」の特定のヘッドホン[ブラック]に関するウェブページを表示するものである。当該「ウェブページ」には、前記特定のヘッドホン[ブラック]の最安価格、価格帯が具体的に表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されている。
また、前記「ウェブページ」には、その下方に、
「日本国外へお住まいの方へ」
「こちらのバナーは日本以外のIPからサイトを閲覧されている方にのみ表示しております。」
「ご覧の商品を日本から世界120以上の国や地域にお届け致します。」
の各表示を含むバナーが表示されている。
さらに、表示画面Bには「ほしい商品ページにバナーが現れますので、クリック!」の吹き出し画像が表示されている。

ウ 動画再生時33秒時点の画面


上記表示画面は、甲2の動画を再生したときの再生開始から33秒経過時点の表示画面(以下「表示画面C」という。)を示す。
表示画面Cは、表示画面Bの「ウェブページ」で「バナー」をクリックすることで表示される画面を表している。
表示画面Cによれば、前記バナーをクリックすると、
「こちらからは購入代行のサイトになります。」
「購入代行サービスとは、ユーザーが海外から日本の商品を購入したい際に、お客様の代わりに日本のECサイトで商品を購入してお客様に海外発送するサービスです。」
の各表示と、
「購入代行サービスの利用を開始する」と表示されたボタンと、
が表示されるポップアップウインドウが画面中央に表示されることが看取できるとともに、
「BuySmartJapan.comの商品詳細ページへ移動します。」
の表示が看取できる。

エ 動画再生時41秒時点の画面


上記表示画面は、甲2の動画を再生したときの再生開始から41秒経過時点の表示画面(以下「表示画面D」という。)を示す。
表示画面Dは、表示画面Cの「購入代行サービスの利用を開始する」と表示されたボタンをクリックすると表示される「BuySmartJapanの商品詳細ページ」の画面であり、表示画面Cに表示された「BuySmartJapanの商品詳細ページ」が表示されたもの、すなわち、表示画面Bの特定のヘッドホン[ブラック]についての商品詳細ページが表示されたものといえる。
表示画面Dからみて、前記商品詳細ページは、「当サービスは、日本国外にお住まいの方に向けたサービスになります。日本国内への発送は承っておりません。」との表示とともに、通常価格、手数料、配送料金が表示され、数量を入力するボックスと、「購入する」と表示したボタンが表示されるウェブページといえる。

(3) 甲1及び甲2に基づくサービスの概要
甲1は、2013年11月6日に公表されたプレスリリースであって、表題のとおり、ベリトランス株式会社の新サイト「BuySmartJapan」によって、株式会社カカクコムの「価格.com」で取り扱う商品の海外発送を可能とした連携サービスについて記載されているものである。また、甲1には、「「価格.com」掲載店舗で海外発送に対応しているお店は少なく、海外在住のユーザが商品購入を望んでも、購入できない状況」であるところ(上記(1)イ(イ))、「ベリトランスの新サイト「BuySmartJapan(読み:バイスマートジャパン)」を利用することで「価格.com(読み:価格ドットコム)」へ海外からアクセスするユーザが、掲載商品を購入できるようにしました。」(同(ア))、「購入された商品はベリトランスが「価格.com」掲載店舗から代理購入を行い、商品を発送します。」(同(ウ))と記載されている。なお、上記(1)イ(ア)の「海外からアクセスするユーザ」は、同(ウ)によれば「海外(日本以外のIPアドレス)からアクセスしたユーザ」のことである。
次に、甲2について検討するに、甲2は、不特定多数がアクセス可能な動画共有サイトである「YouTube」において、2014年6月25日に共有開始された「BuySmartJapan ショッピングガイド」と題する動画である。そして、上記(2)ア〜エによれば、「ユーザーが海外から日本の商品を購入したい際に、お客様の代わりに日本のECサイトで商品を購入してお客様に海外発送する」「購入代行サービス」の手順であって、「価格.com」のウェブサイトに掲載した商品を「BuySmartJapan」を利用して海外発送するための手順が示されているから、甲2には、甲1と同様、「BuySmartJapan」と「価格.com」が連携する同じサービスが記載されているということができる。
そうすると、甲2の動画が共有開始された2014年6月25日において、次のサービス(以下「本件サービス」という。)が実施されていたということができる。

[本件サービス]
「「価格.com」掲載店舗で海外発送に対応しているお店は少なく、海外在住のユーザが商品購入を望んでも、購入できない状況において、海外(日本以外のIPアドレス)から「価格.com」のサイトにアクセスしたユーザに対して、ベリトランスが「価格.com」掲載店舗から代理購入を行い、商品を海外発送するサービス」

(4) 公然実施発明
ア 甲1、甲2から把握できる具体的な本件サービス
上記(3)の本件サービスについて、甲1及び甲2に基づき、さらに検討する。

(ア) 甲1の「ベリトランスの新サイト「BuySmartJapan」」(上記(1)イ(ア))及び「購買支援サイト「価格.com」」(同(イ))について、一般にサイトの運営管理を行うためには当該サイトの運営管理を行うためのコンピュータであるサーバが用いられるから、本件サービスを実施する際に、「新サイト「BuySmartJapan」を運営管理するための「BuySmartJapan」のサーバと、購買支援サイト「価格.com」を運営管理するための「価格.com」のサーバを用いること」は明らかである。

(イ) 甲1の【スキーム図】(上記(1)ア)は、本件サービスの流れを示すものであるところ、「○1海外ユーザが価格.comにアクセス。商品詳細ページ確認。」(同イ(エ))とは、海外ユーザが「価格.com」のサイトにコンピュータ等の端末でアクセスすると、「価格.com」のサイトから海外ユーザの端末に対して商品詳細ページが提供され、海外ユーザが当該商品詳細ページの内容の確認を行うことである。また、「○2BuySmartJapanのバナーをクリックしBuySmartJapanに遷移。商品を購入。」(同(エ))とは、海外ユーザが「BuySmartJapan」のバナーをクリックすると、「価格.com」のサイトから「BuySmartJapan」のサイトに遷移して、所定の商品購入の手続を行うことである。そうすると、本件サービスは、「海外ユーザが「価格.com」のサイトに海外ユーザの端末でアクセスすると、「価格.com」のサイトから海外ユーザの端末に商品詳細ページが提供され、海外ユーザが「BuySmartJapan」のバナーをクリックすると、「価格.com」のサイトから「BuySmartJapan」のサイトに遷移して、所定の商品購入の手続を行うものである」といえる。

(ウ) 次に、甲2の手順では、「価格.com」の特定の商品の詳細を示すウェブページにおいて、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるとともに、画面下方に「日本国外にお住いの方へ」とともに「こちらのバナーは日本以外のIPからサイトを閲覧されている方にのみ表示しています。」という記載を含むバナー画像が表示されるところ(上記(2)イ)、「日本以外のIP」とは、甲1の「海外(日本以外のIPアドレス)からアクセスしたユーザに対応した言語での購入画面を表示します。」(上記(1)イ(ウ))との記載から、「日本以外のIPアドレス」を意味することが明らかである。そうすると、本件サービスは、「「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページにおいて、画面下方に日本以外のIPアドレスからサイトを閲覧している方にのみ表示する旨の記載を含むバナーを表示させる」ものであるといえる。

(エ) さらに、甲2の手順によれば、本件サービスは、「前記「価格.com」の特定の商品の詳細を示すウェブページにおいて、前記バナーをクリックすると、画面中央に「こちらからは購入代行のサイトになります。」という手順(上記(2)ウ)及び「購入代行サービスの利用を開始する」と表示されたボタンを含むポップアップウインドウを表示させ」、前記ボタンがクリックされると「BuySmartJapan」のサイトに遷移する手順(同上)を含むものであるといえる。

(オ) なお、上記(エ)の「ポップアップウインドウ」は、「ユーザー」が「海外(日本以外のIPアドレス)からアクセス」した場合、すなわち、「海外ユーザ」の場合に表示されるものである。そうすると、本件サービスは、「前記ポップアップウインドウにおいて、海外ユーザが前記ボタンをクリックすると、「BuySmartJapan」の特定の商品についての商品詳細ページに遷移させるものである。そして、当該商品詳細ページは、「当サービスは、日本国外にお住まいの方に向けたサービスになります。日本国内への発送は承っておりません。」との表示とともに、海外ユーザが選択した商品の商品情報と選択した商品の数量を入力する欄と、「購入する」と表示したボタンが表示されるウェブページ」であるといえる。

公然実施発明
上記アによれば、本件特許についての出願の優先日である2015年(平成27年)8月28日より前に、本件サービスについて、以下の発明(以下「公然実施発明」という。)が実施されていたと認められる。

公然実施発明]
「価格.com」掲載店舗で海外発送に対応しているお店は少なく、海外在住のユーザが商品購入を望んでも、購入できない状況において、海外(日本以外のIPアドレス)から「価格.com」のサイトにアクセスしたユーザに対して、ベリトランスが「価格.com」掲載店舗から代理購入を行い、商品を海外発送するサービスの方法であって、
ベリトランスの新サイト「BuySmartJapan」を運営管理するための「BuySmartJapan」のサーバと、購買支援サイト「価格.com」を運営管理するための「価格.com」のサーバを用い、
海外ユーザが「価格.com」のサイトに海外ユーザの端末でアクセスすると、「価格.com」のサイトから海外ユーザの端末に商品詳細ページが提供され、海外ユーザが「BuySmartJapan」のバナーをクリックすると、「価格.com」のサイトから「BuySmartJapan」のサイトに遷移して、所定の商品購入の手続を行うものであり、
「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページにおいて、画面下方に日本以外のIPアドレスからサイトを閲覧している方にのみ表示する旨の記載を含むバナーを表示させ、
前記「価格.com」の特定の商品の詳細を示すウェブページにおいて、前記バナーをクリックすると、画面中央に「こちらからは購入代行のサイトになります。」という記載と「購入代行サービスを利用する」と表示されたボタンを含むポップアップウインドウを表示させ、
前記ポップアップウインドウにおいて、海外ユーザが前記ボタンをクリックすると、「BuySmartJapan」の特定の商品についての商品詳細ページに遷移させ、当該商品詳細ページは、「当サービスは、日本国外にお住まいの方に向けたサービスになります。日本国内への発送は承っておりません。」との表示とともに、海外ユーザが選択した商品の商品情報と選択した商品の数量を入力する欄と、「購入する」と表示したボタンが表示されるウェブページである
方法。

2 検討
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と公然実施発明を対比する。
(ア) 「EC」とは「電子商取引」のことであるところ、公然実施発明の「購買支援サイト「価格.com」」は、ウェブページを介して商品の購買を支援するサイト、すなわち、ネット上における店舗とユーザーの電子商取引に関するサイトであるから、「ECサイト」ということができる。
そうすると、公然実施発明における「「価格.com」掲載店舗で海外発送に対応しているお店は少なく、海外在住のユーザが商品購入を望んでも、購入できない状況において、海外(日本以外のIPアドレス)からアクセスしたユーザに対して、「価格.com」掲載店舗から代理購入を行い、商品を海外発送する方法」は、「価格.com」掲載店舗で商品の海外発送に対応していないお店に対して、商品を海外発送できるように支援するものであるから、本件発明1の「ECの海外への提供を支援する支援方法」に相当する。

(イ) 公然実施発明の「「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページ」は、ECサイトのウェブページであって、商品の詳細等が示されているから、商品に関するウェブページであるということができる。しかしながら、商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されているように、当該ウェブページ自体は、商品を販売するウェブページではない。
そうすると、公然実施発明の「「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページ」と、本件発明1の「ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品を販売するための第1のウェブページ」は、「ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品に関する第1のウェブページ」の点で共通する。
なお、公然実施発明は、上記「ウェブページ」において、「画面下方に日本以外のIPアドレスからサイトを閲覧している方にのみ表示する旨の記載を含むバナーを表示させ」るものである。そうすると、公然実施発明は、「バナーを表示させ」るために、上記「ウェブページ」に「アクセスしたユーザ」が「日本以外のIPアドレスからサイトを閲覧しているか」を判定、すなわち、「ウェブページ」に「アクセスしたユーザ」の端末の「IPアドレス」によって、ユーザーの所在国が日本か日本以外の国かを判定するステップを備えているといえる。したがって、公然実施発明の当該ステップは、本件発明1の「第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップ」に相当する。
以上によれば、公然実施発明の「「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページ」にアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップと、本件発明1の「ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品を販売するための第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップ」とは、「ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品に関する第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップ」で共通する。

(ウ)a 公然実施発明の「海外ユーザの端末」は、本件発明1の「ユーザーのユーザー端末」に相当する。また、公然実施発明の「海外ユーザの端末」は、「価格.com」の「ウェブページ」及び「BuySmartJapan」の「商品詳細ページ」を表示するものであるから、これらのウェブページを表示するための「ウェブブラウザ」を備えているといえる。
公然実施発明の「購買支援サイト「価格.com」を運営管理するための「価格.com」のサーバ」は、上記(ア)のとおり、「購買支援サイト「価格.com」」が「ECサイト」といえるから、本件発明1の「ECサイトを提供する第1のサーバ」に相当する。
公然実施発明の「ベリトランス」は、「「価格.com」掲載店舗」から商品を「代理購入」するものであって、「ECサイト」である「価格.com」から商品を代理購入するものではない。したがって、公然実施発明の「「価格.com」掲載店舗」から商品を「代理購入」する「ベリトランス」と、本件発明1の「ECサイトから1又は複数の商品の代理購入を行う者」とは、「1又は複数の商品の代理購入を行う者」で共通する。
公然実施発明の「ベリトランスの「BuySmartJapan」を運営管理するための「BuySmartJapan」のサーバ」は、「価格.com」のサーバ(第1のサーバ)とは異なるから、本件発明1の「第1のサーバ」とは異なる「第2のサーバ」に相当する。
公然実施発明の「「BuySmartJapan」の特定の商品についての商品詳細ページ」は、「BuySmartJapan」のサーバ(第2のサーバ)によって提供されるから、本件発明1の「第2のウェブページ」に相当する。
公然実施発明の「BuySmartJapan」の「「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページ」で表示される「バナー」は、当該「バナー」をクリックすると「購入代行サービスを利用する」と表示されたボタンを含むポップアップウインドウを表示させ、さらに前記ボタンをクリックすると、「BuySmartJapan」の特定の商品についての商品詳細ページに遷移させるものであるところ、上記「バナー」はECサイトのウェブページを第2のウェブページに遷移(転送)させる目的で表示されるものであるから、本件発明1の「前記ユーザーのユーザー端末のウェブブラウザを、前記ECサイトから」、「第2のウェブページに転送させるための」「バナー」に相当する。
g 上記fにおける公然実施発明の「バナー」は、本件発明1に「ボタン又はバナー」と択一的に記載された選択肢の一方の「バナー」に相当する。
h 上記a〜gによれば、公然実施発明の「海外ユーザの端末」のウェブブラウザを、「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページ」から、「ベリトランスの「BuySmartJapan」を運営管理するための「BuySmartJapan」のサーバ」により提供される「「BuySmartJapan」の特定の商品についての商品詳細ページ」に遷移させるための「バナー」を表示させるステップは、本件発明1の「前記ユーザーのユーザー端末のウェブブラウザを、前記ECサイトから、前記ECサイトを提供する第1のサーバとは異なる第2のサーバであって、前記ECサイトから1又は複数の商品の代理購入を行う者の第2のサーバにより提供される第2のウェブページに転送させるためのボタン又はバナーを表示させるステップ」に相当する。

(エ) 公然実施発明の「「BuySmartJapan」の特定の商品についての商品詳細ページ」(第2のウェブページ)は、「海外ユーザが選択した商品の商品情報と選択した商品の数量を入力する欄と、「購入する」と表示したボタンが表示されるウェブページである」から、海外ユーザは、商品の数量を入力して「購入する」と表示したボタンをクリックすることで、当該商品を購入する旨を通知することができる。しかしながら、上記(イ)のとおり、公然実施発明の「「価格.com」の特定の商品の詳細を示し、商品の最安価格、価格帯が表示され、さらに、当該商品を購入できるショップの「ショップ一覧」へのリンクボタンが表示されるウェブページ」(ECサイトの第1のウェブページ)は、商品を販売するウェブページではないから、「第1のウェブページ」で商品の「個数又はサイズ」を「指定」することはない。
そうすると、公然実施発明の「当該商品詳細ページ」が、「海外ユーザが選択した商品の商品情報と選択した商品の数量を入力する欄と、「購入する」と表示したボタンが表示されるウェブページ」であることと、本件発明1の「前記第2のウェブページは、前記ある商品を購入する旨を前記第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに通知するためのページ」であることは、「前記第2のウェブページは、前記ある商品を購入する旨を通知するためのページ」であることで共通する。

(オ) 公然実施発明は、「価格.com」掲載店舗で海外発送に対応しているお店は少なく、海外在住のユーザが商品購入を望んでも、購入できない状況において、海外(日本以外のIPアドレス)から「価格.com」のサイトにアクセスしたユーザに対して、ベリトランスが「価格.com」掲載店舗から代理購入を行い、商品を海外発送するサービスの方法である。そして、上記(イ)で説示したとおり、「前記ウェブページ」に「アクセスしたユーザ」の端末の「IPアドレス」が日本か日本以外の国かを判定し、日本以外の国からアクセスした海外ユーザの端末にのみ、画面下方に日本以外のIPアドレスからサイトを閲覧している方にのみ表示する旨の記載を含む「バナー」を表示し、当該「バナー」をクリックして遷移した、「商品詳細ページ」において「当サービスは、日本国外にお住まいの方に向けたサービスになります。日本国内への発送は承っておりません。」と表示されるものである。そうすると、公然実施発明の「バナー」は、「BuySmartJapan」が発送を行わない日本と判定されたユーザの端末には表示されずに、「BuySmartJapan」が発送を行う日本国外に住むと判定された海外ユーザの端末に表示されるもの、すなわち、ユーザの所在国に商品を配送可の場合に表示されるものである。
そうすると、公然実施発明の「バナー」が、「BuySmartJapan」が発送を行わない日本と判定されたユーザの端末には表示されずに、「BuySmartJapan」が発送を行う日本国外に住むと判定された海外ユーザの端末に表示されることは、本件発明1の「前記バナーは、前記所在国に配送可の場合に表示される」ことに相当する。

以上によれば、本件発明1と公然実施発明とは、次の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
ECの海外への提供を支援するための支援方法であって、
ECサイトの第1のウェブページであって、ある商品に関する第1のウェブページにアクセスしたユーザーの所在国を判定するステップと、
前記ユーザーのユーザー端末のウェブブラウザを、前記ECサイトから、前記ECサイトを提供する第1のサーバとは異なる第2のサーバであって、1又は複数の商品の代理購入を行う者の第2のサーバにより提供される第2のウェブページに転送させるためのバナーを表示させるステップと
を含み、
前記第2のウェブページは、前記ある商品を購入する旨を通知するためのページであり、
前記バナーは、前記所在国に配送可の場合に表示される。

[相違点]
[相違点1]
本件発明1は、「ECサイトから」「商品の代理購入」を行うため、ある商品に関するECサイトの第1のウェブページは「ある商品を販売するため」のウェブページであるのに対し、公然実施発明は、「価格.com」掲載店舗から商品の代理購入を行うため、ある商品に関するECサイト(「価格.com」のサイト)の第1のウェブページは「ある商品を販売するため」のウェブページではなく、「価格.com」掲載店舗が商品を販売することを支援するためのウェブページである点。

[相違点2]
ある商品を購入する旨を通知するための「第2のウェブページ」について、本件発明1は、「第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに」通知するのに対し、公然実施発明は、「選択した商品の数量を入力する欄」は表示(通知)するものの、「第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに」通知するものではない点。

イ 判断
(ア) 新規性(特許法29条1項1号又は同項2号)
上記アのとおり、本件発明1と公然実施発明を対比すると相違点があるから、本件発明1は公然実施発明であるとはいえない(2号関係)。
なお、異議申立人の主張する甲1及び甲2に基づいて、上記1(3)における[本件サービス]の具体的な構成をさらに検討することによって、公知発明を認定することができたとしても、当該公知発明は、結局のところ、上記[公然実施発明]と同様の構成として認定されるにすぎない(この点に関し、異議申立人も「公用発明(公然実施発明)」と異なる「公知発明」について、本件発明の新規性及び進歩性の欠如を主張するものではない。)。そうすると、本件発明1と、そのように認定された公知発明を対比すると、上記アのとおりの相違点があるから、本件発明1は公知発明であるとはいえない(1号関係)。

(イ) 進歩性(特許法29条2項
相違点1について検討するに、公然実施発明におけるECサイトである「価格.com」のサイトは、「価格.com」に掲載された店舗が商品を販売することを支援するためのサイトであって、「価格.com」のサイト自身が商品を販売するものではないし、商品を販売することが予定されているものでもない。
そうすると、公然実施発明において、商品を販売せず、販売することが予定もされていない「価格.com」のサイトについて、当該サイト自身で商品を販売するように変更しようと想起することはないから、「価格.com」のサイトの第1のウェブページを「ある商品を販売するため」のウェブページに変更することの動機付けはない。
そして、相違点2についても検討するに、「価格.com」のサイトが、商品を販売せず、販売することが予定もされていない以上、「価格.com」のサイトの第1のウェブページにおいて、販売するための選択肢である「個数又はサイズ」が「指定」されることはないから、「第2のウェブページ」において、ある商品を購入する旨を「第1のウェブページで指定された個数又はサイズとともに」通知するように変更することの動機付けもない。
したがって、公然実施発明において、相違点1及び相違点2に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではなく、上記(ア)で検討した公知発明において、相違点1及び相違点2に係る構成を採用することも、同様に、当業者であっても容易に想到し得るものではない。
以上によれば、本件発明1は、公然実施発明又は公知発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 異議申立人の主張について
(ア) これに対し、異議申立人は、「価格.com」の「商品詳細ページ」は、本件発明1の「ECサイト」の「第1のウェブページ」に相当する旨主張する(特許異議申立書8頁中段)。
しかしながら、「価格.com」の「商品詳細ページ」が、商品を販売するウェブページであるといえないことは、上記ア(イ)のとおりである。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。

(イ) また、異議申立人は、「BuySmartJapan」の「購入画面」では、「価格.com」の「商品詳細ページ」で指定された「カラー」を通知するが、当該「カラー」は、「商品詳細ページ」で指定する情報として「個数又はサイズ」と技術的に同義であるから、一致点である旨主張する(同9頁中段)。
しかしながら、上記イ(イ)のとおり、「価格.com」のサイトの第1のウェブページにおいて、「個数又はサイズ」が「指定」されることはないから、「カラー」と同様に「個数又はサイズ」が「商品詳細ページ」で「指定」されることを前提とする異議申立人の主張は、その前提において誤りである。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。

エ 本件発明1についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1は、特許法29条1項1号又は同項2号に該当せず、また、本件発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
したがって、本件発明1に係る特許は、取り消されるべきものではない。

(2) 本件発明2及び本件発明3について
本件発明2及び本件発明3は、上記第2のとおり、本件発明1の構成にさらに構成を付加し、本件発明1を限定したものであるから、上記(1)アの[相違点]を有する。
そうすると、上記(1)イと同様、本件発明2及び本件発明3は、公然実施発明又は公知発明であるとはいえないし、公然実施発明又は公知発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、本件発明2及び本件発明3は、特許法29条1項1号又は同項2号に該当せず、特許を受けることができるものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとはいえないから、本件発明2及び本件発明3に係る特許は、取り消されるべきものではない。

(3) 本件発明4及び本件発明5について
本件発明4は、本件発明1の「支援方法」について、カテゴリーの異なる「支援方法を実行させるためのプログラム」とした発明である。
そうすると、本件発明4は、甲1及び甲2から認定される「支援方法を実行させるためのプログラム」(公然実施プログラム発明又は公知プログラム発明)と対比すると、上記(1)アの[相違点]と同様の相違点を有することとなるから、上記(1)イと同様、本件発明4は、公然実施プログラム発明又は公知プログラム発明であるとはいえないし、公然実施プログラム発明又は公知プログラム発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
また、本件発明5も、本件発明1の「支援方法」について、カテゴリーの異なる「支援するための装置」とした発明である。
そうすると、本件発明5は、甲1及び甲2から認定される「支援するための装置」(公然実施装置発明又は公知装置発明)と対比すると、上記(1)アの[相違点]と同様の相違点を有することとなるから、上記(1)イと同様、本件発明5は、公然実施装置発明又は公知装置発明であるとはいえないし、公然実施装置発明又は公知装置発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、本件発明4及び本件発明5は、特許法29条1項1号又は同項2号に該当せず、特許を受けることができるものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとはいえないから、本件発明4及び本件発明5に係る特許は、取り消されるべきものではない。

第6 むすび
以上によれば、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2023-11-27 
出願番号 P2021-184625
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06Q)
P 1 651・ 111- Y (G06Q)
P 1 651・ 112- Y (G06Q)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 伏本 正典
特許庁審判官 梶尾 誠哉
相崎 裕恒
登録日 2023-01-17 
登録番号 7212430
権利者 株式会社ジグザグ
発明の名称 ECの海外への提供を支援するための支援方法、そのためのプログラム、又は支援サーバ  
代理人 弁理士法人六本木通り特許事務所  

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