• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H05K
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H05K
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H05K
管理番号 1406722
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-08-30 
確定日 2024-01-18 
異議申立件数
事件の表示 特許第7249478号発明「電磁波遮蔽性成形体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7249478号の請求項1〜3、8〜14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7249478号の請求項1〜14に係る特許についての出願は、平成30年10月15日(優先権主張 平成29年10月30日、平成29年10月30日)の出願であって、令和5年3月23日にその特許権の設定登録がされ、同年同月31日に特許掲載公報が発行された。その後、同年8月30日に特許異議申立人 弁理士法人朝日奈特許事務所(以下「申立人1」という。)により、その請求項1〜3、13に係る特許に対し特許異議の申立てがされ、また、同年9月22日に特許異議申立人 村上 兄(以下「申立人2」という。)により、その請求項8〜14に係る特許に対し特許異議の申立てがされ、令和5年10月18日に申立人1から手続補正書(1)及び(2)が提出された。(以下、申立人1により提出された特許異議申立書を「申立書1」、申立人2により提出された特許異議申立書を「申立書2」という。)

第2 本件発明
特許第7249478号の請求項1〜3、8〜14の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1〜3、8〜14」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜3、8〜14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体であって、
前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が0.1〜1.0mmの範囲であり、
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.1〜20質量%であり、
前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.01mm〜5mmで、59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が10dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が25%以上のものである、電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項2】
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.1〜5質量%であり、
前記熱可塑性樹脂組成物がカルボキシル基またはカルボニル基を有する酸変性ポリプロピレンを含有していないものである、請求項1記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項3】
前記炭素繊維が、前記成形体中における0.5mm以上の繊維長のものの割合が70質量%以下のものである、請求項1記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
・・・(中略)・・・
【請求項8】
熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体であって、
前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が1.05〜5.0mmの範囲のものであり、
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.05〜45質量%であり、
前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.1mm〜5mmで、59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである、電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項9】
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.1〜5質量%であり、
前記熱可塑性樹脂組成物がカルボキシル基またはカルボニル基を有する酸変性ポリプロピレンを含有していないものである、請求項8記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項10】
前記成形体中の炭素繊維の含有割合(R)と前記成形体の厚み(T)の積(R・T)の範囲が0.05〜16または16超である、請求項8記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項11】
前記電磁波の遮蔽性かつ吸収性が周波数75GHz〜82GHzのものである、請求項8〜10のいずれか1項記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項12】
前記電磁波の遮蔽性かつ吸収性が周波数70GHz〜85GHzのものである、請求項8〜10のいずれか1項記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、プロピレン単位を含む共重合体およびそれらの変性物、スチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートから選ばれるものである、請求項1〜12のいずれか1項記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。
【請求項14】
送受信アンテナ用保護部材である、請求項1〜13のいずれか1項記載の電磁波遮蔽吸収性成形体。」

第3 申立理由の概要
1 申立人1の主張
申立人1は、証拠として甲第1号証〜甲第4号証(以下、それぞれ「甲1−1」〜「甲1−4」という。)を提出し、以下の申立理由1により本件発明1〜3、13に係る特許を取り消すべきものである旨主張した。
(1) 申立理由1(進歩性
本件発明1〜3、13は、甲1−1〜甲1−4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1〜3、13に係る特許は、同法第113条第2号により取消されるべきものである。
[証拠]
甲1−1: 米国特許第6051307号明細書
甲1−2: 特許第6122375公報
甲1−3: 畠山 賢一、「電磁波の吸収・遮蔽技術」、エレクトロニクス実装学会誌、Vol.3、No.1(2000)、第66頁〜第73頁
甲1−4: 特開2003−309395号公報

2 申立人2の主張
申立人2は、証拠として甲第1号証〜甲第7号証(以下、それぞれ「甲2−1」〜「甲2−7」という。)を提出し、以下の申立理由2〜4により、本件発明8〜14に係る特許を取り消すべきものである旨主張した。
(1) 申立理由2(新規性進歩性
ア 本件発明8〜14は、甲2−1、又は甲2−2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであるから、本件発明8〜14に係る特許は、同法第113条第2号により取消されるべきものである。
イ 本件発明8〜14は、甲2−1、甲2−3〜甲2−6に記載された発明、又は、甲2−2〜甲2−7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明8〜14に係る特許は、同法第113条第2号により取消されるべきものである。
[証拠]
甲2−1: 特開2015−007216号公報
甲2−2: 特開2000−218711号公報
甲2−3: 林達郎ら、「高機能電磁波吸収材料の開発(第1報)」、奈良県工業技術センター研究報告、No.32、2006
甲2−4: 特開2004−296758号公報
甲2−5: 特開2001−077584号公報
甲2−6: 特開2006−173264号公報
甲2−7: 播摩一成ら、「繊維強化ポリプロピレンにおける射出成形品の繊維長分布が機械的特性に及ぼす影響」、成形加工、第29巻第10号、2017
(2) 申立理由3(サポート要件)
本件発明8〜14の特許請求の範囲の記載が、以下の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件発明8〜14に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。
「本件特許発明8では「熱可塑性樹脂」と特定されている。これに対し、本件特許明細書では、【発明が解決しようとする課題】欄で示した「特定周波数の電磁波の遮蔽性と吸収性が優れている電磁波遮蔽吸収性成形体を提供する」 ことを直接示す例示としては、実施例1〜33においていずれも「熱可塑性樹脂」としてポリプロピレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いた例以外に、遮蔽性と吸収性が優れていることを表したものは記載されていない。
通常、性能が確認できた事例に則して特許請求の範囲の発明は記載されるべきものであるところ、本件特許発明8では発明の詳細な説明において直接性能が確認できた熱可塑性樹脂に特定せず、あらゆる熱可塑性樹脂であってもよいものとして記載されており、技術常識に照らしても、請求項8に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明で開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件特許発明8及び本件特許発明8を直接又は間接に引用する本件特許発明9〜14は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。」(申立書2、26ページ下から5行〜27ページ9行)
(3) 申立理由4(明確性要件)
本件発明8〜14の特許請求の範囲の記載が、以下の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件発明8〜14に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。
「本件特許発明8では「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数・・・の電磁波の吸収性が5%以上のものである」(下線付与)と特定されている。
本件特許明細書には「吸収性」をどのように測定又は算出するのか明確に記載されていないため、本件特許発明8における「吸収性」との記載は明確でない。
なお、本件特許明細書の【0023】には、「下記式3〜6から電磁波吸収性を求めた。」との記載があるが、式3〜式6には「電磁波吸収性」は記載されていない。同段落の文末には、式6として「吸収率(%)=100−透過率−反射率」との記載があるものの、「吸収率」と「電磁波吸収性」とが同義であるとは一義的に認められない。
したがって、本件特許発明8及び本件特許発明8を直接又は間接に引用する本件特許発明9〜14は明確でない。」(申立書2、27ページ11〜22行)

第4 申立理由1(進歩性)についての当審の判断
1 甲1−1〜甲1−4について
(1) 甲1−1及び引用発明1−1
ア 甲1−1の記載
甲1−1には次の記載がある。(下線は引用箇所を示すために当審において付加した。)
(ア) 「Since the molded article made of the thermoplastic resin containing the carbon fibers proposed in the present invention are excellent in conductivity and appearance, it may be used as follows.
(1) An Article With an Electromagnetic Interference Shield (EMI Shield) Function
The conductive article of the present invention can be employed for housings or internal parts for electronic and electrical appliances such as personal computers, word processors, compact disc players, portable stereos, cellular phones, transceivers and cameras, and as internal parts for slot machines, and the like. In this case, the carbon fiber content in the article is preferably 2 to 30% by weight, more preferably 5 to 25% by weight, particularly preferably 10 to 20% by weight, based on the total amount of the thermoplastic resin and the carbon fiber. The content of the carbon fiber having a length of more than 1.5 mm in the article is preferably 0.1 to 4.7% by weight, more preferably 0.5 to 4.7% by weight, based on the total amount of the thermoplastic resin and the carbon fiber. The volume resistivity of the article is preferably 10-4 to 103 Ω・cm, more preferably 10-4 to 10 Ω・cm, most preferably 10-4 to 1 Ω・cm.」(第7欄18〜39行、当審訳:「本発明において提案される炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品は、導電性および外観に優れるため、以下のように使用することができる。
(1)電磁干渉シールド(EMIシールド)機能を有する物品
本発明の導電性物品は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、コンパクトディスクプレーヤー、ポータブルステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子機器および電気機器の筐体または内部部品に採用すること、スロットマシンの内部部品として採用すること等ができる。この場合、物品中の炭素繊維の含有量は、熱可塑性樹脂および炭素繊維の合計量に基づく、2〜30重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましく、10〜20重量%が特に好ましい。物品中の1.5mm超の長さを有する炭素繊維の含有量は、熱可塑性樹脂および炭素繊維の合計量に基づく、0.1〜4.7重量%が好ましく、0.5〜4.7重量%がより好ましい。物品の体積抵抗率は、10−4〜103Ω・cmが好ましく、10−4〜10Ω・cmがより好ましく、10−4〜1Ω・cmが最も好ましい。」
(イ) 「(h) Electromagnetic Interference Shield (EMI Shield)
A thermoplastic resin, if necessary, was formed into dried pellets, and injection molded in the general molding cycle using Injection Molding Machine-2 wherein a cylinder temperature was adjusted so as to be adequate for the thermoplastic resin to form a plate (W 100 mm×L 100 mm×T 2 mm). Using a network analyzer MS4661A manufactured by Anritsu Corporation, Japan, the EMI shield effect of the resultant plate was measure at a frequency of 100 to 1,000 MHz in an electromagnetic black box. The results shown in Table are the attenuation values at 500 MHz.」(第10欄11〜22行、当審訳:「(h)電磁干渉シールド(EMIシールド)
熱可塑性樹脂を必要に応じて乾燥ペレットに形成し、熱可塑性樹脂に適するようにシリンダー温度を調整した射出成形機−2を使用して、通常の成形サイクルで射出成形し、プレート(幅100mm×長さ100mm×厚み2mm)を形成した。アンリツ株式会社(日本)製のネットワークアナライザーMS4661Aを使用して、得られたプレートのEMIシールド効果を、電磁ブラックボックス内で周波数100〜1000MHzで測定した。表に示されている結果は、500MHzでの減衰値である。」
(ウ) 「EXAMPLE 24
The carbon fiber roving (CF-R) was immersed in AS emulsion, wrung out so that the solid emulsion content attached thereto was 20% by weight in a dried state, and dried. Subsequently, the strand of the roving was cut into pellets with a length of 5.5 mm. 15% by weight of the cut carbon fiber coated with AS emulsion was mixed with 85% by weight of ABS-1 pellets without containing carbon fibers. The resultant mixture was molded into an article according to the same process as in Example 1. The resultant article was excellent in the dispersibility of the carbon fibers. The contents of (a) the carbon fiber having a length of more than 1.5 mm, (b) the carbon fiber having a length of 0.5 to 1.5 mm and (c) the carbon fiber having a length of less than 0.5 mm were 3.0% by weight, 4.9% by weight and 7.1% by weight, respectively based on the total amount of carbon fibers and resin. The weight ratio of (a), (b) and (c) was 1/1.6/2.4.
The resultant molded article had a good appearance, a surface gloss of 75%, a bending strength of 16 kg/mm2, a flexural modulus of 1,050 kg/mm2, and a volume resistivity of 0.3 Ω・cm.
EXAMPLE 25
The carbon fiber roving (CF-R) plated with a nickel metal was immersed in AS emulsion, wrung out so that the solid emulsion content attached thereto be 20% by weight in a dried state, and dried. Then, using a single-screw extruder, the carbon fiber roving was coated with the melted ABS-1 resin so that the carbon fiber content in a pellet be 15% by weight. Using a cutter, the resultant strand was cut into pellets with a length of 5.5 mm and a carbon fiber content of 15% by weight.
Using the resultant pellets, a molded article was prepared according to the same process as in Example 1. The resultant article had excellent carbon fiber dispersion. The contents of (a) the carbon fiber having a length of more than 1.5 mm, (b) the carbon fiber having a length of 0.5 to 1.5 mm and (c) the carbon fiber having a length of less than 0.5 mm were 3.5% by weight, 5.2% by weight and 6.3% by weight, respectively based on the total amount of carbon fibers and resin. The weight ratio of (a), (b) and (c) was 1/1.5/1.8.
The resultant molded article had a good appearance, a surface gloss of 76%, a bending strength of 16 kg/mm2, a flexural modulus of 1,050 kg/mm2, and a volume resistivity of 0.08 Ω19 cm.」(第12欄35行〜第13欄15行、当審訳:「実施例24
炭素繊維ロービング(CF−R)をASエマルションに浸漬し、付着したエマルション固形分が乾燥状態で20重量%となるように抽出し、乾燥させた。続いて、ロービングのストランドを長さ5.5mmのペレットに切り出した。ASエマルションで被覆した15重量%の切断された炭素繊維を、炭素繊維を含まない85重量%のABS−1ペレットと混合した。得られた混合物を実施例1と同様のプロセスによって物品に成形した。得られた物品は、炭素繊維の分散性に優れていた。(a)1.5mm超の長さを有する炭素繊維、(b)0.5〜1.5mmの長さを有する炭素繊維、および(c)0.5mm未満の長さを有する炭素繊維の含有量は、それぞれ、炭素繊維および樹脂の合計量に基づく、3.0重量%、4.9重量%、および7.1重量%であった。(a)、(b)および(c)の重量比は、1/1.6/2.4であった。
得られた成形品は、外観が良好であり、表面光沢が75%、曲げ強度が16kg/mm2、曲げ弾性率が1050kg/mm2、体積抵抗率が0.3Ω・cmであった。
実施例25
ニッケル金属でめっきされた炭素繊維ロービング(CF−R)をASエマルションに浸漬し、付着したエマルション固形分が乾燥状態で20重量%となるように抽出し、乾燥させた。次いで、単軸押出機を使用して、ペレット中の炭素繊維の含有量が15重量%となるように、炭素繊維ロービングを溶融したABS−1樹脂で被覆した。切断機を使用して、得られたストランドを、長さが5.5mm、炭素繊維の含有量が15重量%のペレットに切断した。
得られたペレットを使用して、実施例1と同様のプロセスによって成形品を作製した。得られた物品は、炭素繊維の分散性が優れていた。(a)1.5mm超の長さを有する炭素繊維、(b)0.5〜1.5mmの長さを有する炭素繊維、および(c)0.5mm未満の長さを有する炭素繊維の含有量は、それぞれ、炭素繊維および樹脂の合計量に基づく、3.5重量%、5.2重量%、および6.3重量%であった。(a)、(b)および(c)の重量比は、1/1.5/1.8であった。
得られた成形品は、外観が良好であり、表面光沢が76%、曲げ強度が16kg/mm2、曲げ弾性率が1050kg/mm2、体積抵抗率が0.08Ω19cmであった。」
(エ) 「1. A molded article comprising:
a thermoplastic resin/carbon fiber mixture comprising:
(1) 70 to 99.5% by weight of a thermoplastic resin, and
(2) 0.5 to 30% by weight of carbon fibers;
wherein the carbon fiber comprises,
(a) carbon fibers having a length of more than 1.5 mm being contained in an amount of 0.1 to 4.7% by weight,
(b) carbon fibers having a length of 0.5 to 1.5 mm being contained in an amount of 0.2 to 10.7% by weight, and
(c) carbon fibers having a length of less than 0.5 mm being contained in an amount of 0.2 to 14.6% by weight, wherein the weight % is based on the total amount of the thermoplastic resin and the carbon fibers.」(第17欄、当審訳:「(請求項1) 熱可塑性樹脂/炭素繊維混合物からなる成形品であり、
(1)70〜99.5重量%の熱可塑性樹脂と、
(2)0.5〜30重量%の炭素繊維を含み、
炭素繊維は、
(a)1.5mm超の長さを有する炭素繊維が0.1〜4.7重量%の量で含まれ、
(b)0.5〜1.5mmの長さを有する炭素繊維が0.2〜10.7重量%の量で含まれ、かつ、
(c)0.5mm未満の長さを有する炭素繊維が0.2〜14.6重量%の量で含まれ、
重量%は、熱可塑性樹脂および炭素繊維の合計量に基づくことを特徴とする成形品。」)
(オ) 「12. A method of reducing electromagnetic radiation comprising: placing the molded article according to claim 1 in the path of the electromagnetic radiation, wherein the molded article has a volume resistivity of 10-4 to 103 Ω・cm.」(第18欄28〜31行、当審訳:「(請求項12) 電磁放射線を低減する方法であり、請求項1に記載の成形品を電磁放射線の経路に配置する工程を含み、該成形品が10−4〜103Ω・cmの体積抵抗率を有することを特徴とする方法。」)

(カ) 「表1

」(第13欄)
(キ) 「表2

」(第15欄)
(ク) 「表4

」(第15欄)
イ 引用発明1−1
(ア) 上記ア(ア)の記載によると甲1−1には、
「電磁干渉シールド(EMIシールド)機能を有する物品として、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、コンパクトディスクプレーヤー、ポータブルステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子機器および電気機器の筐体または内部部品に採用すること、スロットマシンの内部部品として採用すること等ができる、炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品」が記載されているといえる。
(イ) 上記ア(イ)の記載、及び上記(ク)の表4によると、甲1−1には、実施例1、2、8〜15、24、25として、500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36dB以上である、幅100mm×長さ100mm×厚み2mmのプレートとして成形された成形品が記載されているといえる。
(ウ) 各繊維長についての炭素繊維の含有量
上記ア(カ)の表1、上記ア(キ)の表2、上記ア(ウ)の記載によると、実施例1、2、8〜15、24、25の成形品における、1.5mmを超える長さの炭素繊維の含有量は1.1〜3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維の含有量は1.6〜5.2wt%、0.5mm未満の炭素繊維の含有量は2.3〜7.1wt%である。
(エ) 炭素繊維の含有量
上記ア(カ)の表1、上記ア(キ)の表2、上記ア(ウ)の記載によると、実施例1、2、8〜15、24、25の成形品において、炭素繊維の含有量は、5〜15wt%である。
(オ) 以上を踏まえると、甲1−1には次の発明(以下「引用発明1−1」という。)が記載されているといえる。
「電磁干渉シールド(EMIシールド)機能を有する物品として、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、コンパクトディスクプレーヤー、ポータブルステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子機器および電気機器の筐体または内部部品に採用すること、スロットマシンの内部部品として採用すること等ができる、炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品(上記(ア))であって
成形品における、1.5mmを超える長さの炭素繊維の含有量は1.1〜3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維の含有量は1.6〜5.2wt%、0.5mm未満の炭素繊維の含有量は2.3〜7.1wt%であり(上記(ウ))、
成形品において、炭素繊維の含有量は、5〜15wt%であり(上記(エ))、
幅100mm×長さ100mm×厚み2mmのプレートとして成形された成形品の、500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36dB以上である(上記(イ))
成形品。」

(2) 甲1−2
甲1−2には次の記載がある。
「【請求項1】 熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料からなる基材を有し、一方の端面から他方の端面へ貫通する複数の貫通孔が形成されてなる多孔構造体であって、
前記一方の端面および他方の端面において、前記複数の貫通孔の開口総面積が、端面の総面積の10〜90%であり、 前記複合材料が炭素繊維を5〜60重量%含有しており、繊維長さが0.05〜1.0mmである炭素繊維の割合が、炭素繊維全体に対し70重量%以上であることを特徴とする多孔構造体。
・・・(中略)・・・
【請求項5】 前記基材の厚みが0.05mm〜100mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔構造体。
・・・(中略)・・・
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料からなる多孔構造体に関し、より詳しくは、複合材料からなり、軽量かつ高剛性で、熱曲げ加工が可能であり、フィルター、梱包体、断熱材、防振材、防音材に好適な多孔構造体に関する。
・・・(中略)・・・
【0033】
基材の大きさはとくに限定されないが、加工性の点から、通常は100〜1000mm角のサイズで厚みが0.2〜10mm程度のものが用いられる。
・・・(中略)・・・
【0054】
(実施例1)
ナイロン6を70重量%、炭素繊維(繊維長さ0.20〜0.30mmの炭素繊維が、炭素繊維全体に対し50重量%含まれている)を30重量%含有する複合材料を用いて、厚み1.5mm、幅800mm、長さ1100mmのシート状の基材2を1枚作成する。この基材を用いて、図5に示すパンチングマシーン80にて多孔構造体を製造する。
・・・(中略)・・・
【0055】
(実施例2)
PPを80重量%、炭素繊維(繊維長さ0.20〜0.30mmの炭素繊維が、炭素繊維全体に対し50重量%含まれている)を20重量%含有する複合材料を用いて、厚み1.0mm、幅800mm、長さ10mのシートを1枚作成し、パンチングマシーンのテーブル上にクランプで固定する。横断面形状が直径6mmの略円形状である上型をパンチングマシーンに取り付け、シートの長手方向および上述の斜め方向(実施例1を参照)に沿って9mm間隔で基材を打ち抜くことにより、貫通孔が千鳥状に配列されたシート状の多孔構造体を得る。
・・・(中略)・・・
【0059】
(実施例6)
PPSを80重量%、炭素繊維(繊維長さ0.20〜0.30mmの炭素繊維が、炭素繊維全体に対し50重量%含まれている)を20重量%含有する複合材料を用いて、厚み0.6mm、幅800mm、長さ1100mmのシート状の基材を1枚作成し、パンチングマシーンのテーブル上にクランプで固定する。横断面形状が直径5mmの略円形状である上型をパンチングマシーンに取り付け、8mm間隔で放射状に貫通孔を形成することにより、シート状の多孔構造体を得る。」

(3) 甲1−3
甲1−3には次の記載がある。


」(68ページ右欄)



」(70ページ)


」(71ページ右欄)


」(72ページ左欄)

(4) 甲1−4
甲1−4には次の記載がある。
「【請求項3】導電性繊維が炭素繊維である、請求項1または2に記載の電波吸収材。
【請求項4】炭素繊維が、長さが0.1〜20mmの範囲内、アスペクト比(繊維長/繊維直径)が5以上である、請求項3に記載の電波吸収材。
・・・(中略)・・・
【0018】導電性繊維は、特別な処理を施さなくてもそれ自身で導電性を有し、かつ高強度、高弾性、しかも比重が小さいという優れた特長を有する炭素繊維が好ましく用いられる。
・・・(中略)・・・
【0053】【表1】



2 甲1−1を主引用例とした進歩性について
(1) 対比
本件発明1と引用発明1−1とを対比する。
ア 所定の電磁波遮蔽効果を発揮する際に、電磁波がまったく吸収されないとはいえないから、500MHzの減衰値で36dB以上という所定の電磁波遮蔽効果を有する「炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品」である引用発明1−1においても、電磁波は遮蔽とともに吸収されているといえる。
そうすると、引用発明1−1は、「熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体」といえる点で本件発明1と共通する。
イ 「成形品において、炭素繊維の含有量は5〜15wt%」である引用発明1−1は、「前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.1〜20質量%であり」といえる点で本件発明1と共通する。
ウ 「厚み2mmのプレートとして成形された成形品」である引用発明1−1は、「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.01mm〜5mmで」あるといえる点で本件発明1と共通する。
エ 一致点・相違点
以上を踏まえると、本件発明1と引用発明1−1とは次の点で一致し、相違する。
(ア) 一致点
「熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体であって、
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.1〜20質量%であり、
前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.01mm〜5mmである、電磁波遮蔽吸収性成形体。」
(イ) 相違点1
成形体中の炭素繊維について、本件発明1が、「前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が0.1〜1.0mmの範囲であり」と特定しているのに対し、引用発明1−1は、重量平均繊維長を特定しておらず、「成形品における、1.5mmを超える長さの炭素繊維の含有量は1.1〜3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維の含有量は1.6〜5.2wt%、0.5mm未満の炭素繊維の含有量は2.3〜7.1wt%であり」と特定している点(以下「相違点1」という。)。
(ウ) 相違点2
成形体の電磁波の遮蔽性及び吸収性について、本件発明1が、「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、・・・59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が10dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が25%以上のものである」と特定しているのに対し、引用発明1−1は、「500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36dB以上である」と特定し、吸収性についての特定がない点(以下「相違点2」という。)。

(2) 相違点についての判断
事案に鑑み相違点2について先に検討する。
引用発明1−1は、「電磁干渉シールド(EMIシールド)機能を有する物品として、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、コンパクトディスクプレーヤー、ポータブルステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子機器および電気機器の筐体または内部部品に採用すること、スロットマシンの内部部品として採用すること等ができる、炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品」である。
そして、甲1−1には、いわゆるミリ波帯といわれる周波数帯に含まれる、59GHz〜100GHzという特定の周波数帯の電磁波への適用について何ら記載や示唆がされていないから、500MHzでの電磁波遮蔽効果を特定する引用発明1−1には、周波数帯が異なる59GHz〜100GHzという特定の周波数帯の電磁波について、特定の遮蔽性や吸収性を得るという動機付けは存在しない。
また、甲1−3の図9、10には、ミリ波帯の遮蔽性についての記載はあるが、甲1−2〜甲1−4のいずれも、「炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品」について、相違点2に係る「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が10dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が25%以上のものである」という具体的な特性は、記載も示唆もされていない。
そうすると、引用発明1−1において、相違点2に係る本件発明1の構成を採用する動機付けがなく、容易想到とはいえないから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1−1、及び甲1−2〜甲1−4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1の構成をすべて含む本件発明2、3、13についても同様である。

(3) 申立人1の主張について
ア 重量平均繊維長について
(ア) 申立人1は重量平均繊維長について次の主張をした。
「また、甲1発明における「炭素繊維は、(a)1.5mm以上の長さを有する炭素繊維が0.1〜4.7重量%の量で含まれ、(b)0.5〜1.5mmの長さを有する炭素繊維が0.2〜10.7重量%の量で含まれ、かつ、(c)0.5mm未満の長さを有する炭素繊維が0.2〜14.6重量%の量で含まれる」は、本件特許発明1における「前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が0.1〜1.0mmの範囲であり」に相当する。」(申立書1 18ページ13〜18行)
(イ) しかしながら、引用発明1−1は、成形体中の炭素繊維の重量平均繊維長を特定するものではなく、また、引用発明1−1は、成形体中の炭素繊維の重量平均繊維長が0.1〜1.0mmの範囲と特定し得る程度に、その炭素繊維の長さの分布が明らかでない。
したがって、申立人1の主張は採用できず、本件発明1と引用発明1−1とは、上記(1)エ(イ)の相違点1のとおり相違する。

イ 電磁波の遮蔽性について
(ア) 申立人1は、電磁波の遮蔽性について次の主張をした。
「<構成要件1Eについて>
甲第1号証の上記開示によれば、甲1発明の成形品は、10−4〜103Ω・cmの体積抵抗率を有し、電磁放射線の経路に配置されることにより、電磁放射線を低減し得る(請求項12)。
そうすると、甲1発明の成形品は、導電材である炭素繊維を含む成形品であり、これが遮蔽効果を有するのは、たとえば甲第3号証や甲第4号証に記載のとおり周知である。
すなわち、甲第3号証によれば、1940年代からカーボンを付着させた獣毛を用いた電波吸収体として開発されていたことが開示されている(第68頁右欄第1行目〜第28行目)。また、表2、図9、図10等を参照し、遮蔽材として伝搬損失型の電波吸収材があり、炭素繊維と同じカーボンを用いた遮蔽量のデータも開示されている。
また、甲第4号証によれば、導電性繊維が、それ自体が導電性を有する繊維であり([0018])、長さ0.1〜20mmであり、かつ、アスペクト比が5以上である炭素繊維である電波吸収材が挙げられている(請求項3〜4)。また、甲4発明の具体例である実施例(実施例1〜3)に関する、1−20GHzで10dB以上のデータが挙げられていることから、炭素繊維が導電性を有しているので、電波遮蔽を有するのは明白であり、より電波遮蔽が高くなる高周波数で測定したに過ぎないことが読み取れる。
以上を総合すると、甲1発明の成形品は、任意の周波数と遮蔽の効果とをシートの厚みで増加させたものであるから、59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が10dB以上になるといえる。
以上より、甲1発明は、構成要件1Eを具備しているか、具備しているに等しい。」(申立書1 18ページ下から6行〜19ページ18行)
(イ) しかしながら、引用発明1−1は、「500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36dB以上である」との遮蔽性を有するが、周波数帯の異なる59GHz〜100GHzでの遮蔽性を何ら特定しておらず、また、甲1−3、甲1−4には、具体的に、引用発明1−1の「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が10dB以上」であることについて記載も示唆もされていない。
したがって、申立人1の主張は採用できず、本件発明1と引用発明1−1とは、遮蔽性について、上記(1)エ(ウ)の相違点2のとおり相違する。
また、上記(2)のとおり、引用発明1−1において相違点2に係る本件発明1の構成を採用することは容易想到ではない。

ウ 電磁波の吸収性について
(ア) 申立人1は電磁波の吸収性について次の主張をした。
「<構成要件1Fについて>
構成要件1Fは、本件特許発明1の電磁波遮蔽吸収性成形体の、59GHz〜100GHzの周波数領域における電磁波の吸収性が25%以上であることを規定している。
しかしながら、炭素繊維が広い周波数範囲で電波遮蔽性を有するのは、公知である。そのため、構成要件1Fは、炭素繊維の周知な性質を単に規定しているに過ぎず、甲1発明の炭素繊維もまた、構成要件1Fに関する電磁波の吸収性を示す蓋然性が極めて高い。
したがって、構成要件1Fは、甲1発明における実質的な相違点ではないし、もし仮に相違点であると判断される場合であっても、当業者は、甲1発明において、構成要件1Fを具備させることについて、何ら困難ではない。」(申立書1 20ページ下から6行〜21ページ5行)
(イ) しかしながら、引用発明1−1は、59GHz〜100GHzでの電磁波の吸収性を何ら特定しておらず、また、上記(2)のとおり、甲1−1〜甲1−4のいずれにも、「炭素繊維を含む熱可塑性樹脂から作製される成形品」について、相違点2に係る「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における・・・電磁波の吸収性が25%以上のものである」という具体的な特性は記載も示唆もされていない。
そうすると、引用発明1−1において「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における・・・電磁波の吸収性が25%以上のものである」蓋然性が極めて高いとはいえず、本件発明1と引用発明1−1とは、吸収性について、上記(1)エ(ウ)の相違点2のとおり相違する。
また、上記(2)のとおり、引用発明1−1において相違点2に係る本件発明1の構成を採用することは容易想到ではない。
したがって、申立人1の主張は採用できない。

3 まとめ
以上のとおり、本件発明1〜3、13は、引用発明1−1、及び甲1−2〜甲1−4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえないから、申立理由1(進歩性)は理由がない。

第5 申立理由2(新規性進歩性)についての当審の判断
1 甲2−1〜甲2−7について
(1) 甲2−1及び引用発明2−1
ア 甲2−1の記載
甲2−1には、以下の記載がある。(下線は引用箇所を示すために当審において付加した。)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱可塑性樹脂、
(B)繊維長3〜30mmの炭素長繊維0.5〜5質量%を含有する、ミリ波の遮蔽性能を有している成形体用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分の熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートから選ばれるものである、請求項1記載のミリ波の遮蔽性能を有している成形体用の熱可塑性樹脂組成物。
・・・(中略)・・・
【請求項4】
ミリ波が、波長1〜300GHzの範囲のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のミリ波の遮蔽性能を有している成形体用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなるミリ波の遮蔽性能を有している成形体であって、
前記成形体中に残存する(B)成分の炭素長繊維に由来する炭素繊維の重量平均繊維長が1mm以上であり、
前記成形体の表面抵抗率が1×105〜109Ω/□の範囲である、ミリ波の遮蔽性能を有している成形体。
・・・(中略)・・・
【請求項7】
ミリ波レーダの送受信アンテナの保護部材用である請求項5記載のミリ波の遮蔽性能を有している成形体。
・・・(中略)・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ミリ波レーダ用として適した、ミリ波の遮蔽性能を有している成形体用の熱可塑性樹脂組成物と、それから得られる成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課題の解決手段として、(A)熱可塑性樹脂、(B)繊維長3〜30mmの炭素長繊維0.5〜5質量%を含有する、ミリ波の遮蔽性能を有している成形体用の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
・・・(中略)・・・
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体は、ミリ波の遮蔽性能が優れていることから、特にミリ波レーダの送受信アンテナの保護部材用として適している。
・・・(中略)・・・
【発明を実施するための形態】
【0011】
<熱可塑性樹脂組成物>
(A)成分の熱可塑性樹脂は特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜選択することができる。
(A)成分としては、ポリプロピレン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびこれらの混合物から選ばれるものが好ましい。
・・・(中略)・・・
【0014】
(B)成分として樹脂含浸炭素長繊維束を使用するとき、樹脂含浸炭素長繊維束中の(B)成分の炭素長繊維の含有割合は、10〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。
なお、この場合に樹脂含浸炭素長繊維束に含まれている(A)成分の熱可塑性樹脂は、(A)成分の含有量として計算する。
【0015】
組成物中における(B)成分の炭素長繊維の含有割合は、ミリ波の遮蔽性能を高めるため、0.5〜5質量%であり、0.5〜3質量%が好ましく、0.8〜2質量%がより好ましい。
・・・(中略)・・・
【0017】
<成形体>
本発明の成形体は、上記した熱可塑性樹脂組成物を成形したものであり、形状および大きさなどは用途に応じて選択することができる。
【0018】
本発明の成形体は、ミリ波(所定周波数帯域の電磁波)の遮蔽性能を高めるため、残存する(B)成分の炭素長繊維に由来する炭素繊維の重量平均繊維長が1mm以上であることが好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましい。
重量平均繊維長は実施例に記載の方法により測定されるものである。
・・・(中略)・・・
【0020】
本発明の成形体は、ミリ波の遮蔽性能を有しているものであり、ミリ波の遮蔽性能を有しているとは、実施例の測定方法で求められるミリ波(所定周波数帯域の電磁波)における電磁波シールド性(放射波の透過阻害性)で評価されるものである。
本発明の成形体における電磁波シールド性は、30dB以上であり、40dB以上であることがより好ましく、50dB以上がさらに好ましい。
本発明におけるミリ波の周波数帯域は、300mm(1GHz)〜1mm(300GHz)の範囲であり、20mm(15GHz)〜3mm(100GHz)の範囲がより好ましい。
ミリ波の遮蔽性能は、実施例に記載の方法により測定されるものである。
・・・(中略)・・・
【0022】
本発明の成形体は、上記した熱可塑性樹脂組成物を射出成形、プレス成形などの公知の樹脂成形方法を適用して製造することができる。
本発明の成形体は、ミリ波レーダ用として適しており、特にミリ波レーダの送受信アンテナの保護部材用として適している。
【実施例】
【0023】
製造例1(樹脂含浸炭素長繊維束の製造)
炭素長繊維(トレカT700SC,引張強度4.9GPa)からなる繊維束(約24000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。
そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度280℃)から溶融状態のポリプロピレン(サンアロマー(株)製,PMB60A)を供給し、繊維束にポリプロピレンを含浸させた。
その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより所定長さに切断し、長さ8mmのペレット(円柱状成形体)を得た。
炭素長繊維長さは前記ペレット長さと同一となる。このようにして得たペレットは、炭素長繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。
【0024】
実施例1
製造例1により得たペレット(炭素長繊維含有量40質量%)3質量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製,PMB60A)のペレット97質量%を使用し、射出成形機(J-150EII;(株)日本製鋼所製)により、成形温度240℃、金型温度60℃で成形して成形体を得た。
得られた成形体を使用して、表1に示す各測定を実施した。
・・・(中略)・・・
【0027】
(1)重量平均繊維長
成形品から約3gの試料を切出し、硫酸によりPPを溶解除去して炭素繊維を取り出した。取り出した繊維の一部(500本)から重量平均繊維長を求めた。計算式は、特開2006−274061号公報の〔0044〕、〔0045〕を使用した。
【0028】
(2)電磁波シールド性
図1に示す測定装置を使用した。
上下方向に正対させた1対のアンテナ(広帯域アンテナ;シュワルツベック,BBHA9120A,2−18GHz)11、12の間に測定対象となる成形体10(縦150mm、横150mm、厚み2mm)を保持した。アンテナ12と成形体10の間隔は85mm、成形体10とアンテナ11との間隔は10mmである。
この状態にて、下側のアンテナ12から電磁波(1〜18GHz)を放射して、測定対象となる成形体10を透過した電磁波を上側のアンテナ11で受信して、下記式1から電磁波シールド性(放射波の透過阻害性)を求めた。
式1のS21は、透過電磁波と入射電磁波の比を表すSパラメータ(式2)で、ネットワークアナライザにより測定できる。
式1では、電磁波シールド性(dB)を正の値で表すため、Sパラメータの逆数の対数をとった。図1の測定装置では、0〜約55dBの範囲が測定可能で、電磁波シールド性が測定上限を超える場合は表1において「>55(dB)」と表記した。
表1に測定結果を示し、電磁波シールド性の変化を図2に示す。
電磁波シールド性=20log(1/|S21|)(単位:dB) (式1)
S21=(透過電磁波)/(入射電磁波) (式2)
・・・(中略)・・・
【0032】【表1】

【0033】
表中、PPはポリプロピレン、CFは炭素繊維を示す。
電磁波シールド性は、数値が大きくなるほどミリ波の遮蔽性能が優れていることを示している。
実施例1と比較例1、実施例3と比較例2の対比から、同量であれば長繊維を使用することで電磁波シールド性を高められることが確認できた。
比較例3では、短繊維の炭素繊維の含有量を増加させることで電磁波シールド性が高められることが確認されたが、比較例3では、実施例1の16倍量以上もの炭素繊維を使用しているにも拘わらず、実施例1の方が電磁波シールド性に優れていた。
比較例4では、炭素長繊維の含有量を増加させると、実施例1〜3を超える電磁波シールド性を得られることが確認されたが、この場合も実施例1の16倍量以上もの炭素繊維を使用しており、経済的に不利であるとともに密度が大きく、成形体の軽量化にも不利である。
【0034】
表1および図2に示す周波数帯域は1〜18GHzであるが、前記範囲の電磁波シールド性が表1および図2に示す状態であるときには、1〜300GHzの周波数帯域においても表皮深さが厚みより十分小さくなることから、炭素繊維配合樹脂が損失媒質として振る舞うので、減衰定数がGHz領域では周波数が高くなるほど大きくなり、高い電磁波シールド性を示すことは知られている。
この事実は、例えば非特許文献1の記載、特にp39−p40にかけての「2.3 損失媒質を利用する電磁遮へい」の記載と「図9 導電材の2層構造の遮へい特性」から確認できる。」

イ 引用発明2−1
(ア) 段落0007、0028の記載によると、甲2−1には、「(A)熱可塑性樹脂と(B)炭素長繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、ミリ波の遮蔽性能を有している、縦150mm、横150mm、厚み2mmの成形体」が記載されているといえる。
(イ) 段落0032の表1には、実施例1〜3の成形体について、重量平均繊維長が2.5〜3.3mmであり、炭素繊維含有割合が1.2〜5質量%であり、10GHz〜16GHzの電磁波シールド性が30dB以上であることが開示されている。
(ウ) 以上を踏まえると、甲2−1には次の発明(以下「引用発明2−1」という。)が記載されているといえる。
「(A)熱可塑性樹脂と(B)炭素長繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、ミリ波の遮蔽性能を有している、縦150mm、横150mm、厚み2mmの成形体であって、
重量平均繊維長が2.5〜3.3mmであり、
炭素繊維含有割合が1.2〜5質量%であり、
10GHz〜16GHzの電磁波シールド性が30dB以上である
成形体。」

(2) 甲2−2及び引用発明2−2
ア 甲2−2の記載
甲2−2には、以下の記載がある。(下線は引用箇所を示すために当審において付加した。段落0051等の「ABS(1)」等の樹脂名の後の括弧付き数字は、丸付き数字を意味する。)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素繊維を含む熱可塑性樹脂成形品において、マトリックスたる熱可塑性樹脂が70〜99.5wt%、成形品中に含まれる炭素繊維は、全含有量が0.5〜30wt%であり、更に(a)1.5mmを超える長さの炭素繊維が0.1〜4.7wt%(熱可塑性樹脂と炭素繊維のトータル量基準。以下同様)、(b)0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維が0.2〜10.7wt%、(c)0.5mm未満の長さの炭素繊維が0.2〜14.6wt%であることを特徴とする炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品。
【請求項2】 炭素繊維を含む熱可塑性樹脂成形品において、(a)1.5mmを超える長さの炭素繊維と(b)0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維と(c)0.5mm未満の長さの炭素繊維との比率が、重量比で1/0.5〜2.5/0.5〜3.0であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品。
・・・(中略)・・・
【請求項12】 請求項1〜11いずれかに記載の炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品であって、体積固有抵抗値が10-4〜103Ω・cmであることを特徴とする電磁波遮蔽成形品。
・・・(中略)・・・
【0015】本発明で使用するマトッリクスである熱可塑性樹脂は、特に制限はなく、従来成形材料として使用されているものから任意に選択して使用することができる。例えば、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びアクリル系樹脂等が挙げられる。
・・・(中略)・・・
【0036】上記の成形に使用するマトリックスである熱可塑性樹脂と炭素繊維を含有する樹脂ペレットカット品のペレット長さあるいは熱可塑性樹脂と炭素繊維カット品の繊維の長さ(カット品のペレット長さあるいは炭素繊維カット品の繊維の長さは成形前の繊維長に相当する)は、成形品中の炭素繊維の長さを決定する一つの要因であり、この長さは2〜10mmであることが好ましく、更に好ましくは3〜7mmである。2mm未満では導電性付与効果が小さくなりやすく、10mmを超えると成形時にホッパー等でブリッジを生じやすく、成形加工性が低下しやすい。
・・・(中略)・・・
【0041】本発明に係る炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品は、導電性機能に優れ且つ表面状態に優れていることから、種々の用途に使用できる。以下に具体例を列挙する。
【0042】(1)電磁波遮蔽成形品
成形品に導電機能を持たせることにより、例えばパーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、CDプレーヤー、ヘットホンステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子・電気機器のハウジング又は内装部品あるいはパチンコ台の内装部品等の電磁波遮蔽成形品に使用できる。これらの用途に使用する場形品中に含まれる炭素繊維は、その全含有量が、好ましくは2〜30wt%、更に好ましくは5〜25wt%、特に好ましくは10〜20wt%である。また、1.5mmを超える長さの炭素繊維は、好ましくは0.1〜4.7wt%、更に好ましくは0.5〜4.7wt%である。成形品の体積固有抵抗値は、好ましくは10-4〜103Ω・cm、更に好ましくは10-4〜10Ω・cm、更により好ましくは10-4〜1Ω・cmである。
・・・(中略)・・・
【0051】3.熱可塑性樹脂
・HIPS:旭化成工業(株)製「スタイロンEXG11」
・PMMA:旭化成工業(株)製「デルペット80N」
・AS:旭化成工業(株)製「スタイラックAS783」
・ABS(1):旭化成工業(株)製「スタイラックABS100」
・ABS(2):旭化成工業(株)製「スタイラックID32F」
・PPE(1):旭化成工業(株)製「ザイロン100Z」
・PPE(2):旭化成工業(株)製「ザイロンX9830」
・PE(1):旭化成工業(株)製「サンテツクHD・J340」
・PE(2):旭化成工業(株)製「サンテツクHD・J751」
・PP:日本ポリオレフィン(株)製「ジェーアロマーM1700」
・POM:旭化成工業(株)製「テナック−C4510」
・PA:旭化成工業(株)製「レオナ1300S」
・・・(中略)・・・
【0060】(f)成形品中の炭素繊維長
射出成形機−1を用いて、成形温度、乾燥に関しては前記と同様にし、成形品を得た。成形品のゲート部からエンド部に直線を引き、その中間の80%の長さの部分から測定用試験片を切り出し、当該試験片をエアー中、500〜600℃、30分間焼成し、この焼成品を電顕観察し、成形品中に含まれる炭素繊維の長さ及びその分布を測定した。
・・・(中略)・・・
【0062】(h)電磁波遮蔽効果の測定
射出成形機−2を用いて、シリンダー温度を使用する熱可塑性樹脂に適した成形温度にし、乾燥が必要な樹脂は、乾燥ペレットとし、通常の成形サイクルに従い、プレート(幅100mm×長さ100mm×厚み2mm)を成形した。このプレートをアンリツ(株)製のネットワークアナライザー「MS4661A」を用いて、電磁暗箱で周波数100〜1000MHzの範囲で測定し、500MHzの減衰値で表した。
・・・(中略)・・・
【0064】実施例1
径が7μmの炭素繊維ロービング(CF−R)をASエマルジョンに浸漬し、エマルジョン固形分が乾燥基準で20wt%付着するようにエマルジョンを絞り、付着量を調整して乾燥した。その後、ABS(1)を単軸押出機で押し出し、ペレット中の炭素繊維濃度が15wt%になるようにABS(1)を炭素繊維ロービングに押出被覆し、長さが5.5mmとなるようにストランドをカッターで切断し、炭素繊維を含有する樹脂ペレットを作成した。このストランド切断時に、炭素繊維の毛羽立ちやペレットからの抜け落ちがなく、順調に樹脂ペレットを作成することができた。
【0065】射出成形機−1を、樹脂温度:220℃、背圧:20kg/cm2G、スクリュー回転数:100rpm、射出スピード:設備仕様の80%、ゲートの形状:1mmφのピンゲートに設定し、上記樹脂ペレットを用いて成形を行い、成形品を得た。成形品中の炭素繊維の分散性は極めて良好で、成形品中において、1.5mmを超える(マックス5.5mm)長さの炭素繊維は3.3wt%であった。また、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は、5.0wt%、0.5mm未満の長さの炭素繊維は、6.7wt%(各長さの炭素繊維重量比:1/1.5/2.0)であった。
【0066】この成形品の表面状態は良く、表面光沢は75%、曲げ強度は17kg/mm2、曲げ弾性率は、1100kg/mm2であった。また、この成形品の電気的測定をした結果、体積固有抵抗値は0.5Ω・cmであった。
【0067】結果を表1に示す。
・・・(中略)・・・
【0069】実施例2〜6、比較例2〜4
実施例2、4、5及び比較例2は、樹脂ペレット中の炭素繊維濃度を変えた以外、実施例1と同様にして成形品を得た。実施例3、6及び比較例3は、熱可塑性樹脂としてABS(2)を用い、樹脂ペレット中の炭素繊維濃度を変えた以外、実施例1と同様にして成形品を得た。比較例4は、C−CFと熱可塑性樹脂であるABS(1)とをタンブラーで混合し、2軸押出し、樹脂ぺレットを作成し、この樹脂ペレットを実施例1と同様にして成形品を得た。
【0070】結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

・・・(中略)・・・
【0074】実施例8〜23
炭素繊維ロービング(CF−R)を使用し、表2、表3に示す熱可塑性樹脂、表面処理剤を使用し、炭素繊維含有樹脂ペレットを作成し、この樹脂ペレットを原料として成形を行った。なお、成形時の樹脂温度は、各樹脂に合った条件設定をした。
【0075】結果を表2と表3に示す。
【0076】
【表2】

・・・(中略)・・・
【0081】実施例24
炭素繊維ロービング(CF−R)をASエマルジョンに浸漬し、エマルジョン固形分が乾燥基準で20wt%付着するようにエマルジョンを絞り、付着量を調整して乾燥した。その後、連続して長さが5.5mmとなるようにカットした。このASエマルジョンで表面処理した炭素繊維15重量部と、炭素繊維を含まないピュアーなABS(1)のペレット85重量部とを混合した。この混合物を用いて、実施例1と同様に成形を行って成形品を得た。成形品中の炭素繊維の分散性は良好で、成形品において、1.5mmを超える長さの炭素繊維は3.0wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は4.9wt%、0.5mm未満の長さの炭素繊維は、7.1wt%(各長さの炭素繊維重量比:1/1.6/2.4)であった。
・・・(中略)・・・
【0083】実施例25
ニッケル金属メッキを施した炭素繊維ロービング(CF−R)をASエマルジョンに浸漬し、エマルジョン固形分が乾燥基準で20wt%付着するようにエマルジョンを絞り、付着量を調整して乾燥した。その後、ABS(1)を単軸押出機で押し出し、樹脂ペレット中の炭素繊維濃度が15wt%になるようにABS(1)を押出被覆し、長さが5.5mmとなるようにストランドをカッターで切断し、炭素繊維を含有する樹脂ペレットを作成した。
【0084】このペレットを用い、実施例1と同様に成形して成形品を得た。成形品中の炭素繊維の分散性は極めて良好で、成形品において、1.5mmを超える長さの炭素繊維は3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は5.2wt%、0.5mm未満の長さの炭素繊維は6.3wt%(各長さの炭素繊維重量比:1/1.5/1.8)であった。
・・・(中略)・・・
【0089】
【表4】


イ 引用発明2−2
(ア) 段落0041、0042の記載によると、甲2−2には、「例えばパーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、CDプレーヤー、ヘットホンステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子・電気機器のハウジング又は内装部品あるいはパチンコ台の内装部品等の電磁波遮蔽成形品に使用できる炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品」が記載されているといえる。
(イ) 段落0062の記載、及び、段落0089の表4によると、甲2−2には、実施例1、2、8〜15、24、25として、500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36dB以上である、幅100mm×長さ100mm×厚み2mmのプレートとして成形された成形品が記載されているといえる。
(ウ) 繊維長
段落0071の表1、段落0076の表2、段落0065、0081、0084の記載によると、実施例1、2、8〜15、24、25の成形品において、1.5mmを超える(マックス5.5mm)長さの炭素繊維は1.1〜3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は1.6〜5.2wt%、0.5mm未満の炭素繊維は2.3〜7.1wt%である。
(エ) 炭素繊維の全含有量
段落0071の表1、段落0076の表2、段落0065、0081、0084の記載によると、実施例1、2、8〜15、24、25の成形品において、炭素繊維の全含有量は、5〜15wt%である。
(オ) 以上を踏まえると、甲2−2には次の発明(以下「引用発明2−2」という。)が記載されているといえる。
「例えばパーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、CDプレーヤー、ヘットホンステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子・電気機器のハウジング又は内装部品あるいはパチンコ台の内装部品等の電磁波遮蔽成形品に使用できる炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品(上記(ア))であって、
成形品において、1.5mmを超える(マックス5.5mm)長さの炭素繊維は1.1〜3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は1.6〜5.2wt%、0.5mm未満の炭素繊維は2.3〜7.1wt%であり(上記(ウ))、
成形品において、炭素繊維の全含有量は、5〜15wt%であり(上記(エ))、
幅100mm×長さ100mm×厚み2mmのプレートとして成形された成形品の500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36dB以上である(上記(イ))
炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品。」

(3) 甲2−3
甲2−3には次の記載がある。


」(20ページ)

(4) 甲2−4
甲2−4には次の記載がある。
「【0006】
したがって、本発明は、ミリ波帯域の所望の周波数において、優れた吸収性能を有し、かつ、耐久性・耐候性に優れたミリ波電波吸収体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本第1発明は、反射層の上に吸収層を積層した板状のミリ波電波吸収体に関する。前記吸収層は厚さが1.0mm〜5.0mmで、樹脂またはゴムのポリマー100重量部に対し(以下、“PHR”で表記する)カーボンブラック(以下、“CB”という)を1〜30重量部含み、前記CBは、炭素原子の一次粒子が集まった二次粒子の平均粒子径が50nm以下で、かつ、該二次粒子が凝集した凝集体の吸油量が50mL/100g以上に設定され、周波数50GHz〜90GHzにおける前記吸収層の誘電率の実数部が3.0以上であることを特徴とする。」

(5) 甲2−5
甲2−5には次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】近年開発されつつある自動車用レーダーに使われる周波数帯は、60GHz 帯や76GHz 帯であり、その誤差動防止のために、トンネル内やガードレール等の構造物に施工される電波吸収体は、従来から使用されてきた10、或いは35GHz帯よりも高い周波数領域のものが望まれてきている。
【0003】ところで、従来の整合型電波吸収体(吸収材後面に電波の反射板を設け、入射した電波の吸収材表面の反射量と反射板からの反射量とをコントロールして打ち消し合うようにさせ、実際上は電波の反射波を減少させるようにしたもの)は、磁性フェライト(Fe2 O 3 )やカーボンブラックを合成樹脂やゴムに配合したシート状のものを反射板に接着剤を介して接着するものが一般的である。」

(6) 甲2−6
甲2−6には次の記載がある。
「【0023】
本発明の電波吸収体において、吸収の対象となる電波の周波数は、電波吸収体の材質、即ちその材質が有する複素誘電率、その厚さ、層構造を制御することにより調整することができ、本発明の電波吸収体が適用される吸収対象の電波の周波数としては、2〜80GHzが好ましく、特に、2〜10GHzが好ましい。このような周波数の電波を吸収する本発明の電波吸収体の厚さとしては、吸収の対象となる電波の波長の0.01倍以上に相当すると、電波の吸収性能を維持することができるため好ましい。電波吸収体の厚さとしてより好ましくは対象電波の波長の0.02倍以上、さらに好ましくは0.03倍以上であり、このような厚さであれば、上記効果をより顕著に得ることができる。また、吸収の対象とする電波の波長に対して厚さが、1倍以下であれば軽量で取扱い性がよいものとなる。本発明の電波吸収体の厚さはより好ましくは吸収の対象になる電波の波長に対して0.8倍以下、更に好ましくは0.5倍以下であり、このような厚さを有することにより、上記効果をより顕著に得ることができる。本発明の電波吸収体の厚さとしては、具体的には、0.03mm〜15cmなどを挙げることができる。」

(7) 甲2−7
甲2−7には次の記載がある。


」(385ページ右欄)

2 甲2−1を主引用例とした新規性進歩性について
(1) 対比
本件発明8と引用発明2−1とを対比する。
ア 「(A)熱可塑性樹脂と(B)炭素長繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、ミリ波の遮蔽性能を有している、縦150mm、横150mm、厚み2mmの成形体」である引用発明2−1において、ミリ波の遮蔽の際に、電磁波がまったく吸収されないとはいえないから、引用発明2−1は、「熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体」といえる点で本件発明8と共通する。
イ 「重量平均繊維長が2.5〜3.3mm」である引用発明2−1は、「前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が1.05〜5.0mmの範囲のものであり」といえる点で本件発明8と共通する。
ウ 「炭素繊維含有割合が1.2〜5質量%」である引用発明2−1は、「前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.05〜45質量%であり」といえる点で本件発明8と共通する。
エ 厚み2mmの成形体である引用発明2−1は、「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.1mm〜5mmで」といえる点で本件発明8と共通する。
オ 一致点・相違点
以上を踏まえると本件発明8と引用発明2−1とは以下の点で一致し、相違する。
(ア) 一致点
「熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体であって、
前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が1.05〜5.0mmの範囲のものであり、
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.05〜45質量%であり、
前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.1mm〜5mmである、電磁波遮蔽吸収性成形体。」
(イ) 相違点3
形成体の電磁波の遮蔽性及び吸収性について、本件発明8が、「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、・・・59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」ことを特定しているのに対し、引用発明2−1が、電磁波の遮蔽性についてのみ「10GHz〜16GHzの電磁波シールド性が30dB以上」であることを特定し、電磁波の吸収性についての特定がない点(以下「相違点3」という。)。

(2) 相違点3の検討
新規性について
(ア) 電磁波の遮蔽性について
甲2−1の段落0034の、1〜300GHzの周波数帯域についての電磁波シールド性についての記載によると、引用発明2−1においても、10GHz〜16GHzよりも高い周波数である59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁シールド性が30dB以上であるといえる。
したがって、相違点3における電磁波の遮蔽性についての相違は実質的なものではない。
(イ) 電磁波の吸収性について
電磁波の吸収性についての、本件明細書の段落0023記載の式6によると「吸収率(%)=100−透過率−反射率」であり、同段落0019の記載によると「本発明の電磁波遮蔽吸収性成形体は、炭素繊維として長繊維を使用するときは、炭素繊維の含有割合(R)と厚み(T)を調整することで電磁波遮蔽性と電磁波吸収性を調整することができる。」ものである。
しかし、甲2−1には、59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の吸収性、又は反射率について何ら記載も示唆もされていない。
また、本件明細書(段落0032、表3)に記載された実施例26は、熱可塑性樹脂として「PP:ポリプロピレンホモポリマー,商品名「PM900A」,サンアロマー(株)製」及び「PP2:サンアロマーPMB60A(サンアロマー社製、ブロックPP)」(本件明細書段落0024)を用いたものであるのに対し、甲2−1(段落0032、表1)に記載された実施例3は、熱可塑性樹脂として「ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製,PMB60A)」(甲2−1段落0023、0024)のみを用いたものであり、本件明細書に記載された実施例26と甲2−1に記載された実施例3とは、熱可塑性樹脂の組成が異なる。
ここで、成形体中の炭素繊維の重量平均繊維長、炭素繊維の割合、成形体の厚みが同様であっても、上記のとおり熱可塑性樹脂の組成が異なる、本件明細書に記載された実施例26(炭素繊維の重量平均繊維長:2.42mm、炭素繊維の割合:5質量%、成形体の厚み:2mm)と、甲2−1に記載された実施例3(炭素繊維の重量平均繊維長:2.5mm、炭素繊維の割合:5質量%、成形体の厚み:2mm)とは、10GHzでの電磁波の遮蔽性が、それぞれ54dBと26dBとで異なる。
そして、熱可塑性樹脂の組成は電磁波の吸収性についても影響するから、両者の炭素繊維の含有量、成形体の厚みが一致するとしても、10GHzでの遮蔽性が異なるのと同様に、両者の電磁波の吸収性が一致する蓋然性が高いとはいえず、加えて、他に、引用発明2−1の、59GHz〜100GHzでの電磁波の吸収性が5%以上であることを推認し得る証拠もない。
そうすると、相違点3における電磁波の吸収性についての相違は実質的なものであるから、本件発明8は、引用発明2−1ではない。
また、本件発明8の構成をすべて含む本件発明9〜14についても同様である。

進歩性について
甲2−4には、「反射層の上に吸収層を積層した板状のミリ波電波吸収体」(段落0007)についての課題、また、甲2−5には、「整合型電波吸収体(吸収材後面に電波の反射板を設け、入射した電波の吸収材表面の反射量と反射板からの反射量とをコントロールして打ち消し合うようにさせ、実際上は電波の反射波を減少させるようにしたもの)」(段落0003)についての課題が記載されているが、いずれも「熱可塑性樹脂と(B)炭素長繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、ミリ波の遮蔽性能を有している・・・成形体」である引用発明2−1とは電磁波の吸収メカニズムが異なる。
そして、引用発明2−1に、異なるメカニズムにより電磁波を吸収する電波吸収体に係る甲2−4、甲2−5に記載された課題のみを取り出して適用する動機付けがあるとはいえない。
また、甲2−6には、電波吸収体の厚さを調整することが開示されているが、「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」ように、電磁吸収体の厚さを調整することを示唆するものではなく、甲2−3は、単に電磁波の反射及び吸収により、材料が電磁波を遮ることを示すものである。
そうすると、甲2−3〜甲2−6のいずれも、「熱可塑性樹脂と(B)炭素長繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、ミリ波の遮蔽性能を有している・・・成形体」について、相違点3に係る「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における・・・電磁波の吸収性が5%以上のものである」という具体的な特性を示唆するものではない。
したがって、引用発明2−1において、相違点3に係る本件発明8の構成を採用する動機付けがなく、容易想到とはいえないから、本件発明8は、引用発明2−1、及び甲2−3〜甲2−6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明8の構成をすべて含む本件発明9〜14についても同様である。

(3) 申立人2の主張
申立人2は、相違点3に係る構成要件E「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.1mm〜5mmで、59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」について以下のア、イの主張をした。
ア 「上述の通り、甲1発明は本件特許発明8の構成要件A、B、C及びDを備えている。甲1発明は、本件特許発明8と成分及びその含有量が重複している。
甲第1号証の実施例1には「製造例1により得たペレット(炭素長繊維含有量40質量%)3質量%と、ポリプロビレン樹脂(サンアロマー(株)製,PMB60A)のペレット97質量%を使用し、射出成形機(J−1500EII;(株)日本製鋼所製)により、成形温度240℃、金型温度60℃で成形して成形体を得た。」と記載されている。甲1発明の製造方法は、本件特許明細書の【0025】に記載された製造方法と重複する。
このように、甲1発明は、本件特許発明8と同一の組成を有し、同一の製造方法により製造されていると認められる。よって、甲1発明は、本件特許発明8と同一の特性を備えているといえる。つまり、甲1発明は、本件特許発明8の構成要件Eを備える蓋然性が極めて高いと考えられる。
したがって、構成要件Eは実質的な相違点とはいえない。」(申立書2 17ページ16〜最下行)
イ 「さらに、電磁波の吸収性に関し、本件特許明細書の【0019】には、炭素繊維として長繊維を使用するときは、炭素繊維の含有割合(R)と厚み(T)とを調整することで高周波(70GHz〜100Hz)の範囲での電磁波吸収性を調整できることが記載されている。本件特許明細書の実施例26と甲第1号証の実施例3とは、炭素繊維の含有割合及び成形体の厚さが重複する。したがって、甲第1号証の実施例3の成形体は、本件特許明細書の実施例26の成形体と同等の電磁波吸収性を示す蓋然性が極めて高いといえる。
なお、本件特許明細書の実施例26と甲第1号証の実施例3とでは、10GHzにおける遮蔽性がそれぞれ26dBと54dBと異なっているが、これは両者の遮蔽性の測定条件など(例えばアンテナ間の距離等)が異なることによるものと推測される。

以上のことから、本件特許発明8は甲第1号証に記載された発明である。

構成要件Eにおける電磁波の遮蔽性について付記する。甲第4号証の【0006】には、ミリ波帯域(特に50〜90GHz)の周波数において優れた吸収特性を有する電波吸収体を提供することが課題であることが記載されており、甲第5号証の【0002】には、35GHz帯よりも高い周波数領域のものが望まれていることが記載されている。このように、本件特許発明の出願時点において、ミリ波帯域(特に50〜90GHz)の周波数における電磁波の吸収性を高める課題は公知であったといえる。よって、公知の課題に基づき、公知の構成を採用することで、「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の電磁波の吸収性が5%以上のもの」とすることは当業者が容易になし得ることである。

構成要件Dについて付記する。甲第1号証には、成形体の厚みとして2mmのみ記載されている。甲第6号証の【0023】には、電波吸収体の厚さとして0.03mm〜15cmという範囲が記載されている。よって、成形体の厚みをこの範囲内において調整することは当業者が容易になし得ることである。

以上のことから、本件特許発明8は甲第1号証及び甲第3号証〜甲第6号証の記載から当業者が容易に想到し得るものである。」(申立書2 18ページ9〜19ページ11行)

新規性の主張について
上記(2)ア(イ)のとおり、炭素繊維の重量平均繊維長、含有割合、成形体の厚みなどが共通するとしても、本件明細書に記載された実施例26と甲2−1に記載された実施例3とは、少なくとも熱可塑性樹脂の組成が異なり、10GHzでの遮蔽性が異なるのと同様に、両者の電磁波の吸収性が一致する蓋然性が高いとはいえない。
なお、本件明細書(段落0023、以下の「第7」参照)と甲2−1(段落0028、上記1(1)ア参照)に記載された電磁波の遮蔽性の測定において、1対のアンテナと、被測定物である成形体との距離が異なる等の測定条件が相違するが、いずれにおいても電磁波の遮蔽性を、入射電磁波の強度に対する透過電磁波の強度の割合に基づいて算出しているから、このような測定条件の相違が、測定結果にさほど影響するとはいえない。
そして、他に、引用発明2−1の、59GHz〜100GHzでの電磁波の吸収性を推認し得る根拠もなく、本件発明8と引用発明2−1とは、上記(2)ア(イ)のとおり、相違点3における電磁波の吸収性について相違するから、申立人2の主張は採用できない。

進歩性の主張について
上記(2)イのとおり、引用発明2−1に、異なるメカニズムにより電磁波を吸収する電波吸収体に係る甲2−4、甲2−5に記載された課題のみを取り出して適用する動機付けがあるとはいえず、また、甲2−3〜甲2−6のいずれも、「熱可塑性樹脂と(B)炭素長繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、ミリ波の遮蔽性能を有している・・・成形体」について、相違点3に係る「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における・・・電磁波の吸収性が5%以上のものである」という具体的な特性を示唆するものではない。
そうすると、引用発明2−1において、相違点3に係る本件発明8の構成を採用する動機付けがなく、当業者が容易に想到し得るとはいえないから、申立人2の主張は採用できない。

3 甲2−2を主引用例とした新規性進歩性について
(1) 対比
本件発明8と引用発明2−2とを対比する。
ア 「電磁波遮蔽成形品に使用できる炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品」である引用発明2−2において、電磁波遮蔽において、電磁波がまったく吸収されないとはいえないから、引用発明2−2は、「熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体」といえる点で本件発明8と共通する。
イ 「成形品において、炭素繊維の全含有量は、5〜15wt%」である引用発明2−2は、「前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.05〜45質量%であり」といえる点で本件発明8と共通する。
ウ 「幅100mm×長さ100mm×厚み2mmのプレートとして成形された形成品」である引用発明2−2は、「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.01mm〜5mmで」あるといえる点で本件発明8と共通する。
エ 一致点・相違点
以上を踏まえると、本件発明8と引用発明2−2とは次の点で一致し、相違する。
(ア) 一致点
「熱可塑性樹脂と炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる電磁波遮蔽吸収性成形体であって、
前記成形体中の前記炭素繊維の含有割合が0.05〜45質量%であり、
前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、厚みが0.1mm〜5mmである、電磁波遮蔽吸収性成形体。」
(イ) 相違点4
成形体中の炭素繊維について、本件発明8が「前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が1.05〜5.0mmの範囲のものであり」と特定しているのに対し、引用発明2−2は重量平均繊維長を特定しておらず、「「1.5mmを超える(マックス5.5mm)長さの炭素繊維は1.1〜3.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は1.6〜5.2wt%、0.5mm未満の炭素繊維は2.3〜7.1wt%であり」と特定している点(以下「相違点4」という。)。
(ウ) 相違点5
成形体の電磁波の遮蔽性及び吸収性について、本件発明8が「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、・・・59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」ことを特定しているのに対し、引用発明2−2は「500MHzの減衰値で表した電磁波遮蔽効果が36〜65dBである」と特定し、吸収性についての特定がない点(以下「相違点5」という。)。

(2) 相違点についての判断
上記「第4の2(2)」と同様に、事案に鑑み相違点5について先に検討する。
引用発明2−2は「例えばパーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、CDプレーヤー、ヘットホンステレオ、携帯電話、トランシーバー、カメラ等の電子・電気機器のハウジング又は内装部品あるいはパチンコ台の内装部品等の電磁波遮蔽成形品に使用できる炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品」である。
そして、甲2−2には、いわゆるミリ波帯といわれる周波数帯に含まれる、59GHz〜100GHzという特定の周波数帯の電磁波への適用について何ら記載や示唆がされていないから、500MHzでの電磁波遮蔽効果を特定する引用発明2−2には、周波数帯の異なる59GHz〜100GHzという特定の周波数帯の電磁波について、特定の遮蔽性や吸収性を得るという動機付けは存在しない。
また、甲2−7は、単に重量平均繊維長の算出方法を示すものであることに加え、甲2−3〜甲2−6についての上記2(2)イでの検討を踏まえると、甲2−3〜甲2−7のいずれも、「電磁波遮蔽成形品に使用できる炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品」について、相違点5に係る「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、・・・59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」という具体的な特性を示唆するものではない。
そうすると、引用発明2−2において、相違点5に係る本件発明8の構成を採用する動機付けがなく、容易想到とはいえないから、相違点4について検討するまでもなく、本件発明8は、引用発明2−2、及び甲2−3〜甲2−7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明8の構成をすべて含む本件発明9〜14についても同様である。

(3) 申立人2の主張について
ア 重量平均繊維長について
(ア) 申立人2は重量平均繊維長について、次の主張をした。
「構成要件Bについて検討する。
甲第2号証には成形品中における炭素繊維の重量平均繊維長は明記されていない。甲第2号証の実施例2では、成形品中の繊維長が1.5mm超のもの(最大5.5mm)が1.1質量%であり、0.5〜1.5mmのものが1.6質量%であり、0.5mm未満のものが2.3質量%であり、各長さの炭素繊維重量比が1.0/1.5/2.1であることが記載されている。これらの記載から、成形品中における炭素繊維の重量平均繊維長を算出する。重量平均繊維長の計算式としては、甲第7号証の2頁に記載の式(1)を使用する。甲第2号証には各長さの平均繊維長は記載されていないため、各長さの中央値を平均繊維長と仮定すると、繊維長が1.5mm超のもの(最大5.5mm)は中央値が3.5mmで重量比率は1.0/4.6であり、0.5〜1.5mmのものは中央値が1.0mmで重量比率は1.5/4.6であり、0.5mm未満のものは中央値が0.25mmで重量比率は2.1/4.6となる。これら中央値と重量比率とを甲第7号証の式(1)に当てはめて計算すると、甲第2号証における実施例2の重量平均繊維長は、約1.20mmとなる。よって、甲第2号証には重量平均繊維長として1.20mmが記載されているといえ、この数値は本件特許発明8における「前記炭素繊維が、前記成形体中の重量平均繊維長が1.05〜5.0mmの範囲のものであり」を満たす。
したがって、構成要件Bは実質的な相違点とはいえない。」(申立書2 22ページ7〜25行)
(イ) しかしながら、上記「第4の2(3)ア」と同様に、引用発明2−2は、成形体中の炭素繊維の重量平均繊維長を特定するものではない。
また、甲2−7の記載があったとしても、引用発明2−2は、成形体中の炭素繊維の重量平均繊維長が1.05〜5.0mmの範囲と特定し得る程度に、その炭素繊維の長さの分布が明らかでなく、申立人2の主張における「各長さの中央値を平均繊維長と仮定する」との仮定が妥当なものとはいえない。
したがって、申立人2の主張は採用できず、本件発明8と引用発明2−2とは、上記(1)エ(イ)の相違点4のとおり相違する。

イ 電磁波の遮蔽性、及び吸収性について
(ア) 申立人2は、電磁波の遮蔽性、及び吸収性について次の主張をした。
「構成要件Eについて検討する。
上述の通り、甲2発明は本件特許発明8の構成要件A、B、C及びDを備えている。甲2発明は、本件特許発明8と成分及びその含有量が重複している。
甲第2号証の実施例1には「射出成形機−1を、樹脂温度:220℃、背圧:20kg/cm2G、スクリュー回転数:100rpm、射出スピード:設備仕様の80%、ゲートの形状:1mmφのピンゲートに設定し、上記樹脂ペレットを用いて成形を行い、成形品を得た。」と記載されている。甲2発明の製造方法は、本件特許明細書の【0025】に記載された製造方法と重複する。
このように、甲2発明は、本件特許発明8と同一の組成を有し、同一の製造方法により製造されていると認められる。よって、甲2発明は、本件特許発明8と同一の特性を備えているといえる。つまり、甲2発明は、本件特許発明8の構成要件Eを備える蓋然性が極めて高いと考えられる。
したがって、構成要件Eは実質的な相違点とはいえない。

また、電磁波の遮蔽性に関し、甲2発明では、500MHzにおける電磁波遮蔽効果が61dBであることから、本件特許発明8において特定される周波数帯 (59GHz〜100GHz)において30dB以上である蓋然性が極めて高いといえる。
さらに、電磁波の吸収性に関し、本件特許明細書の【0019】には、炭素繊維として長繊維を使用するときは、炭素繊維の含有割合(R)と厚み(T)とを調整することで高周波(70GHz〜100GHz)の範囲での電磁波吸収性を調整できることが記載されている。本件特許明細書の実施例26と甲第2号証の実施例2とは、炭素繊維の含有割合及び成形体の厚さが重複する。したがって、甲第2号証の実施例2の成形体は、本件特許明細書の実施例26の成形体と同等の電磁波吸収性を示す蓋然性が極めて高いといえる。

以上のことから、本件特許発明8は甲第2号証に記載された発明である。

構成要件Eの電磁波の遮蔽性について付記する。甲第4号証の【0006】にミリ波帯域(特に50〜90GHz)の周波数において優れた吸収特性を有する電波吸収体を提供することが課題であることが記載されており、甲第5号証の【0002】には、35GHz帯よりも高い周波数領域のものが望まれていることが記載されている。このように、本件特許発明の出願時点において、ミリ波帯域(特に50〜90GHz)の周波数における電磁波の吸収性を高める課題は公知であったといえる。よって、公知の課題に基づき、公知の構成を採用することで、「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の電磁波の吸収性が5%以上のもの」とすることは当業者が容易になし得ることである。

構成要件Dについて付記する。甲第2号証には、成形体の厚みとして2mmのみ記載されている。甲第6号証の【0023】には、電波吸収体の厚さとして0.03mm〜15cmという範囲が記載されている。よって、成形体の厚みをこの範囲内において調整することは当業者が容易になし得ることである。

以上のことから、本件特許発明8は甲第2号証及び甲第3号証〜甲第7号証の記載から当業者が容易に想到し得るものである。」(申立書2 22ページ下から2行〜24ページ13行)
(イ) 新規性の主張について
a 電磁波の遮蔽性について
甲2−1の段落0034の記載によっても、500MHzにおける電磁波の遮蔽性と、周波数帯が異なる59GHz〜100GHzでの電磁波の遮蔽性との関係は特定できないから、引用発明2−2で59GHz〜100GHzにおける電磁波の遮蔽性が30dB以上である蓋然性が極めて高いとはいえない。
b 電磁波の吸収性について
本件明細書に記載された実施例26は、熱可塑性樹脂として「PP:ポリプロピレンホモポリマー,商品名「PM900A」,サンアロマー(株)製」及び「PP2:サンアロマーPMB60A(サンアロマー社製、ブロックPP)」(本件明細書の段落0024)を用いたものであるのに対し、甲2−2に記載された実施例2は、熱可塑性樹脂として「ABS(1):旭化成工業(株)製「スタイラックABS100」」(甲2−2の段落0051)を用いたものであり、本件明細書に記載された実施例26と甲2−2の実施例2とは、熱可塑性樹脂の組成が異なる。
また、相違点4のとおり、含有する炭素繊維の長さの分布も異なる。
そして、熱可塑性樹脂の組成、及び、含有する炭素繊維の長さの分布は、電磁波に対する特性に影響するから、炭素繊維の含有割合及び成形体の厚さが一致するとしても、本件明細書に記載された実施例26と、甲2−2に記載された実施例2とが、同等の電磁波吸収性を示す蓋然性が極めて高いとはいえない。
c 小括
以上のとおり、本件発明8と引用発明2−2とが、成分及びその含有量の範囲、及び製造方法で重複するとしても、引用発明2−2の電磁波の遮蔽性及び吸収性が、本件発明8の範囲のものである蓋然性が極めて高いとはいえないから、申立人2の主張は採用できず、本件発明8と引用発明2−2とは、上記(1)エ(ウ)のとおり相違点5について相違する。

(ウ) 進歩性の主張について
上記(2)のとおり、500MHzでの電磁波遮蔽効果を特定する引用発明2−2には、周波数帯の異なる59GHz〜100GHzという特定の周波数帯の電磁波について、特定の遮蔽性や吸収性を得るという動機付けは存在せず、また、甲2−3〜甲2−7のいずれも、「電磁波遮蔽成形品に使用できる炭素繊維含有熱可塑性樹脂成形品」について、相違点5に係る「前記電磁波遮蔽吸収性成形体が、・・・59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」という具体的な特性を示唆するものではない。
そうすると、引用発明2−2において、相違点5に係る本件発明8の構成を採用する動機付けがなく、当業者が容易に想到し得るとはいえないから、申立人2の主張は採用できない。

4 まとめ
以上のとおり、本件発明8〜14は、引用発明2−1、又は、引用発明2−2ではなく、また、引用発明2−1及び甲2−3〜甲2−6に記載された発明、又は、引用発明2−2及び甲2−3〜甲2−7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものともいえないから、申立理由2(新規性進歩性)は理由がない。

第6 申立理由3(サポート要件)についての当審の判断
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
発明の詳細な説明には、特許請求の範囲に記載された発明が解決する課題について「特定周波数の電磁波の遮蔽性と吸収性が優れている電磁波遮蔽吸収性成形体を提供すること」(段落0004)と記載されている。
そして、本件発明8は、その電磁波遮蔽吸収性成形体について「59GHz〜100GHzの周波数領域のいずれかの周波数における電磁波の遮蔽性が30dB以上であり、前記周波数の電磁波の吸収性が5%以上のものである」こと、すなわち特定周波数の電磁波の遮蔽性と吸収性を発明特定事項とするものであり、発明の詳細な説明の段落0008の「本発明の組成物は、熱可塑性樹脂と炭素繊維の組み合わせを所定量含有することが特徴であり、電磁波の遮蔽性および吸収性の両方を合わせた性能を得るためには、前記炭素繊維として、短繊維の所定量または長繊維の所定量を使用することが好ましい。」との記載によれば、任意の熱可塑性樹脂を用いたとしても、上記発明特定事項を有することにより、当業者は上記課題を解決できると認識できる。
また、本件発明8の構成をすべて備える本件発明9〜14についても同様である。
したがって、本件発明8〜14の特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するから、申立理由3(サポート要件)は理由がない。

第7 申立理由4(明確性)についての当審の判断
本件明細書の段落0023の記載は次のとおりである。
「(4)電磁波遮蔽性と電磁波吸収性
図1に示す測定装置を使用した。
水平方向に対向させた1対のアンテナ(コルゲートホーンアンテナ)11、12の間に測定対象となる成形体10(縦150mm、横150mm、表に示す厚み)を保持した。アンテナ12と成形体10の間隔は0mm、成形体10とアンテナ11との間隔は0mmである。
この状態にて、下側のアンテナ12から電磁波(65〜110GHz)を放射して、測定対象となる成形体10を透過した電磁波を上側のアンテナ11で受信して、下記式1、式2から電磁波遮蔽性(放射波の透過阻害性)を求め、下記式3〜6から電磁波吸収性を求めた。
電磁波遮蔽性(dB)=20log(1/|S21|) (式1)
S21=(透過電界強度)/(入射電界強度) (式2)
式1のS21は、透過電界強度と入射電界強度の比を表すSパラメータ(式2)で、ネットワークアナライザ20により測定できる。
式1では、電磁波遮蔽性(dB)を正の値で表すため、Sパラメータの逆数の対数をとった。図1の測定装置では、0〜約100dBの範囲が測定可能で、電磁波シールド性が測定上限を超える場合は表1において「>100(dB)」と表記した。
S11=(反射電界強度)/(入射電界強度) (式3)
式3のS11は、反射電界強度と入射電界強度の比を表すSパラメータで、S21と同じく、ネットワークアナライザにより測定できる。
吸収率は、電力基準として、下記式のように百分率で表記した。
透過率(%)=S212×100 (式4)
反射率(%)=S112×100 (式5)
吸収率(%)=100−透過率−反射率 (式6)」
当該記載において、(式6)に示される吸収率が、電磁波吸収性、すなわち本件発明8の「電磁波の吸収性」を意味することは明らかである。
そうすると、本件発明8の「電磁波の吸収性」は、段落0023に記載された(式2)〜(式6)により測定、算出するものであり、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
また、本件発明8の構成をすべて備える本件発明9〜14についても同様である。
したがって、本件発明8〜14の特許請求の範囲の記載は明確性要件に適合するから、申立理由4(明確性)は理由がない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜3、8〜14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜3、8〜14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2024-01-10 
出願番号 P2018-194175
審決分類 P 1 652・ 537- Y (H05K)
P 1 652・ 113- Y (H05K)
P 1 652・ 121- Y (H05K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 河本 充雄
特許庁審判官 松永 稔
中野 浩昌
登録日 2023-03-23 
登録番号 7249478
権利者 ダイセルミライズ株式会社
発明の名称 電磁波遮蔽性成形体  
代理人 古谷 聡  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ