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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1408548
総通号数 28 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-11-24 
確定日 2024-04-16 
事件の表示 特願2018−109144「貨幣精査システム及び貨幣精査方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月12日出願公開、特開2019−212141、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月7日の出願であって、令和4年3月11日付けの拒絶理由通知に対し、同年5月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年9月12日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年11月24日に審判請求がされると同時に手続補正がされ、令和5年10月11日付けの当審における拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」といい、当審拒絶理由通知に係る拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)に対し、同年12月6日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の請求項1〜8に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献A〜Cに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A 特開平10−283425号公報
引用文献B 特開2016−118876号公報
引用文献C 特開2018−55234号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の請求項1〜8に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1〜3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2002−251651号公報
引用文献2 特開平10−283425号公報(上記引用文献A)
引用文献3 特開2018−55234号公報(上記引用文献C)

第4 本願発明
本願の請求項1〜7に係る発明(以下、「本願発明1」〜「本願発明7」といい、併せて「本願発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
所定の店舗に配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置と、
前記所定の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記所定の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、前記店舗で発生した障害及び違算の程度、前記店舗の新人行員数、新規開設店舗、優良店舗、及び/又は、前記店舗の事務量に基づいて設定される精査頻度条件に基づいて自動設定された日時を含む精査情報が記憶される記憶部を有し、
前記貨幣処理装置は、前記情報処理装置から取得された前記精査情報に基づいて精査を実行する貨幣精査システム。
【請求項2】
複数の店舗にそれぞれ配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置と、
前記複数の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記複数の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置には、少なくとも前記精査を行う日時に関する情報を含み、かつ、前記情報処理装置と監査担当者の端末装置との間で共有される精査スケジュール表を用いて前記監査担当者の端末装置で生成された精査情報が記憶される記憶部を有し、
前記貨幣処理装置は、前記情報処理装置から取得された前記精査情報に基づいて精査を実行する貨幣精査システム。
【請求項3】
前記貨幣処理装置には、前記記憶部とは異なる第二の記憶部を有し、
前記精査情報は、ネットワークを介して前記第二の記憶部に保存される請求項1又は2に記載の貨幣精査システム。
【請求項4】
前記精査情報は、精査を行う対象項目に関する情報をさらに含む請求項1乃至3のいずれか一つに記載の貨幣精査システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、精査結果に関する情報を前記記憶部に記憶させる請求項1乃至4のいずれか一つに記載の貨幣精査システム。
【請求項6】
所定の店舗に配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置と、前記所定の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記所定の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置とを備えた貨幣精査システムにおける貨幣精査方法であって、
前記情報処理装置が、前記店舗で発生した障害及び違算の程度、前記店舗の新人行員数、新規開設店舗、優良店舗、及び/又は、前記店舗の事務量に基づいて設定される精査頻度条件に基づいて自動設定された日時を含む精査情報を所定の記憶部に記憶するステップと、
前記貨幣処理装置が、前記情報処理装置から取得した前記精査情報に基づいて精査を実行するステップと
を含む貨幣精査方法。
【請求項7】
複数の店舗にそれぞれ配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置と、前記複数の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記複数の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置とを備えた貨幣精査システムにおける貨幣精査方法であって、
前記情報処理装置が、少なくとも前記精査を行う日時に関する情報を含み、かつ、前記情報処理装置と監査担当者の端末装置との間で共有される精査スケジュール表を用いて前記監査担当者の端末装置で生成された精査情報を所定の記憶部に記憶するステップと、
前記貨幣処理装置が、前記情報処理装置から取得した前記精査情報に基づいて精査を実行するステップと
を含む貨幣精査方法。」

第5 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1
(1) 引用文献1の記載
当審拒絶理由通知で引用された引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。以下同じ。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金融機関等に設置される現金の入出金を管理する現金処理機の精査システムに関し、特にセンターからの命令により営業時間外の時間帯に抜き打ち的に精査を行うと共に、精査の判定結果を本部に通知するようにした現金処理機の精査システムに関する。」
「【0008】本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、監視サーバー(センター)からの指示又は事前に受けていた予約に基づいて、夜間や休日などの銀行員がいないときに抜打ちで現金処理機に対する精査を行うと共に、精査の判定結果を本部の管理者に通知することができる現金処理機の精査システムを提供することにある。」
「【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明のシステム構成例を示しており、金融機関の営業店10には出納機やATMといった現金処理機11が設置されており、現金処理機11は、遠隔監視を行うセンター1に設置された監視サーバー20に通信可能に接続されている。また、金融機関の本部(本店)30には端末(パソコン)31が設置され、センター1の監視サーバー20に通信可能に接続されている。
【0012】監視サーバー20の機能構成は図2に示すようになっており、精査を指示する精査指示部21からの精査命令は精査命令送信部22に入力され、精査命令送信部22は精査命令を営業店10の現金処理機11に送信する。現金処理機11からの精査結果は判定部23に入力され、判定部23の判定結果は、判定結果送信部24から本部30の端末31に送信される。精査の予約日時を設定するための精査予約設定部25が設けられており、これにより予約日時を設定した場合には、その設定日時が精査命令送信部22から現金処理機11に送信される。
【0013】また、現金処理機11として出納機100の構成例を示すと、図3のような構成になる。即ち、装置上部には操作案内や必要情報の表示を行う表示部101と、必要なデータ入力や指示を操作する入力部102とが設けられており、紙幣を入金処理するために投入する入金口103が設けられている。入金口103に投入された紙幣は識別部110で金種、真偽等を識別され、表裏反転部111で表裏を揃えられ、真紙幣は金種(万円、5千円、2千円、千円)毎に一時保留部121〜151を経てそれぞれ収納庫120〜150に収納される。また、偽紙幣等は識別部110からリジェクト口104に排出される。収納庫120〜150に収納された紙幣は、出金指令の場合は出金金種に応じて1枚ずつ繰り出され、出金識別部112を経て出金口106に投出され、2枚出しや斜行等の異常紙幣は表裏反転部111を経てリジェクト庫105に収納される。なお、リジェクト庫105にはシャッタ(図示せず)が設けられており、シャッタが開かないと収納された紙幣を取出すことができないようになっている。
【0014】また、精査命令の場合は、全ての金種紙幣が1枚ずつ順次繰り出され、出金識別部112を経て、更に一時保留部121〜151を経てそれぞれ収納庫120〜150に再収納される。出納機100はまた、監視サーバー20と通信するための通信部160を有すると共に、操作員のIDカードを受付けるためのカードリーダ161を備えている。更に、各金種毎の在高データ等を記憶しているメモリや、全体の制御を行う制御部等を備えている。・・・
【0016】業務時間帯においては、営業店10の出納機100は通常の動作を行う。そして、1日の締め上げ後の夜間や休日には、装置の紙幣搬送系の電源はOFFされるが、通信部160は常時通信可能となっている。このような状態で、夜間又は休日にセンター1の監視サーバー20の精査命令送信部22から、出納機100の通信部160に対して通信で精査命令が送信されると(ステップS1)、出納機100は紙幣搬送系の電源を自動的にONし(ステップS2)、精査処理を行う(ステップS3)。精査処理は収納庫120〜150に収納されている各金種の紙幣を順次1枚ずつ繰り出し、出金識別部112を通して計数し、一時保留部121〜151を経て収納庫120〜150に再収納することによって行われる。・・・」
「【0020】次に、本発明の第2実施例を図6に示して説明する。
【0021】通常業務を行っている間又は夜間、休日において、監視サーバー20から出納機100に対して精査予約命令(精査開始日時の指定であり、開始時刻は業務を行わない夜間や休日)が送信され(ステップS20)、これに対し出納機100は予約の受付を行い(ステップS21)、通常の業務を遂行する(ステップS22)。なお、精査予約は精査予約設定部25で行い、この予約が設定されると精査命令送信部22を経て出納機100に送信される。通常の業務が終了した時点で、出納機100の現金処理部の電源はOFF状態にされる(ステップS23)。そして、出納機100は受付けた予約時刻になるのを待ち(ステップS24)、予約時刻になったときに出納機100の紙幣搬送系の電源を自動的にONし(ステップS25)、上述と同様な精査処理を行う(ステップS26)。精査の結果を監視サーバー20に通信で通知し(ステップS27)、出納機100の紙幣搬送系の電源を自動的にOFFし、動作を終了する(ステップS28)。この場合の監視サーバー20の動作も、図5で説明した内容と同一である。」
「【0024】上述では金融機関における出納機についての精査を説明したが、ATMや現金入出金機等の他の現金処理機に対しても同様に適用することができる。また、上述では精査の判定を監視サーバーで行うようにしているが、現金処理機側で行うことも可能である。更に紙幣についての精査を説明したが、硬貨に関しても同様である。」

「【図1】



ア 上記【0001】及び【0008】によれば、引用文献1には、センターからの命令により営業時間外の時間帯に抜き打ち的に精査を行うと共に、精査の判定結果を本部の管理者に通知するようにした現金処理機の精査システムが記載されている。

イ 上記【0011】によれば、現金処理機の精査システムは、金融機関の営業店10には出納機やATMといった現金処理機11が設置され、遠隔監視を行うセンター1に設置された監視サーバー20に通信可能に接続されており、金融機関の本部(本店)30には端末(パソコン)31が設置され、センター1の監視サーバー20に通信可能に接続されている。
また、上記【図1】によれば、金融機関の営業店10は複数あり、それぞれの営業店10に現金処理機11が設置されていることが理解できる。

ウ 上記【0012】によれば、監視サーバー20は、精査を指示する精査指示部21からの精査命令が精査命令送信部22に入力されると、精査命令送信部22が精査命令を営業店10の現金処理機11に送信する機能と、現金処理機11から精査結果が判定部23に入力されると、判定結果を判定結果送信部24から本部30の端末31に送信する機能と、精査の予約日時を設定するための精査予約設定部25が設けられており、予約日時を設定した場合には、その設定日時を精査命令送信部22から現金処理機11に送信する機能とを有している。

エ 上記【0013】によれば、現金処理機11としての出納機100は、入金口103に投入された紙幣が識別部110で金種、真偽等を識別され、それぞれ収納庫120〜150に収納される。また、上記【0014】及び【0016】によれば、出納機100は、精査命令を受信した場合、全ての金種紙幣が1枚ずつ順次繰り出され、出金識別部112を経て、更に一時保留部121〜151を経てそれぞれ収納庫120〜150に再収納される精査処理を行う。

オ 上記【0021】によれば、現金処理機11としての出納機100は、監視サーバー20から精査予約命令(精査開始日時の指定であり、開始時刻は業務を行わない夜間や休日)が送信されると、予約の受付を行い、通常の業務を遂行し、通常の業務が終了した時点で、現金処理部の電源をOFF状態にして、受付けた予約時刻になるのを待ち、予約時刻になったときに紙幣搬送系の電源を自動的にONして精査処理を行う。

(2) 引用発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
センターからの命令により営業時間外の時間帯に抜き打ち的に精査を行うと共に、精査の判定結果を本部の管理者に通知するようにした現金処理機の精査システムであって、
金融機関の複数の営業店10のそれぞれには出納機やATMといった現金処理機11が設置され、遠隔監視を行うセンター1に設置された監視サーバー20に通信可能に接続されており、金融機関の本部(本店)30には端末(パソコン)31が設置され、センター1の監視サーバー20に通信可能に接続されており、
監視サーバー20は、精査を指示する精査指示部21からの精査命令が精査命令送信部22に入力されると、精査命令送信部22が精査命令を営業店10の現金処理機11に送信する機能と、現金処理機11から精査結果が判定部23に入力されると、判定結果を判定結果送信部24から本部30の端末31に送信する機能と、精査の予約日時を設定するための精査予約設定部25が設けられており、予約日時を設定した場合には、その設定日時を精査命令送信部22から現金処理機11に送信する機能とを有しており、
現金処理機11としての出納機100は、入金口103に投入された紙幣が識別部110で金種、真偽等を識別され、それぞれ収納庫120〜150に収納されており、精査命令を受信した場合、全ての金種紙幣が1枚ずつ順次繰り出され、出金識別部112を経て、更に一時保留部121〜151を経てそれぞれ収納庫120〜150に再収納される精査処理を行うものであり、監視サーバー20から精査予約命令(精査開始日時の指定であり、開始時刻は業務を行わない夜間や休日)が送信されると、予約の受付を行い、通常の業務を遂行し、通常の業務が終了した時点で、現金処理部の電源をOFF状態にして、受付けた予約時刻になるのを待ち、予約時刻になったときに紙幣搬送系の電源を自動的にONして精査処理を行う、
現金処理機の精査システム。

2 引用文献2
(1) 引用文献2の記載
当審拒絶理由通知で引用された引用文献2(原査定で引用された引用文献A)には、以下の記載がある。
「【要約】
【解決手段】 精査スケジューラ7は自動取引装置1やキャリア3の精査のスケジュールを自動的に立てる。スケジュール9では、一回で精査できる何台かの装置をランダムに指定し、一定の期間内に全ての装置の精査を終える。
【効果】 精査スケジューラ7が自動的に精査対象を決定するので、係員による精査指示が不要になる。また、ランダムに精査対象を選択するので、そのつどどの装置が精査対象が係員に判別できず、不正を防止できる。」
「【0027】図8は、スケジューラの動作フローチャート(その1)である。このフローチャートによって、上記スケジューラの更に具体的な動作説明を行う。まず、ステップS1において、既に説明した通り、精査の条件即ちパラメータの設定を行う。ここでは精査期間が10日、精査不可日が金曜日、同時に精査する台数を3台以内とする。ステップS2では、精査対象の装置を認識する。上記の例の場合、全部で10台の装置が精査対象であると認識する。そして、ステップS3において精査実行日を決定する。精査期間が10日であれば、例えば2日おきといった設定を行い、精査不可日を除くように決定する。次に、ステップS4において、各実行日に3台以下の装置をランダムに選択して割り付ける。なお、自動取引装置もキャリアも、それぞれ1台と計算してよい。いずれの場合にも同様の精査が行われるからである。ステップS5では、こうして割り付けられた結果を元にスケジュールを記憶部に記憶する。」
「【0031】図10には、別のスケジュールの説明図を示す。ここでは、精査の条件がこれまでの例と異なる。即ち、媒体補充回収量、たとえば紙幣の補充回収枚数が1500枚以上となった装置から優先的に精査を行うようにする。キャリアと自動取引装置との間の現金の行き来が多い装置ほど早く精査を行うべきであるという趣旨である。この場合も精査期間を10日とし、10日以内に全ての装置が精査を完了するようスケジュールする。精査不可日は金曜日とする。この場合には、予めすべての精査日を決定しておくことはできない。1度に精査する台数を4台とすれば、4台の装置がいずれも所定の閾値即ち補充回収枚数が1500枚という閾値を越えた日に一括して精査を実行する。そして、次の精査は再び残りのいずれか4台が閾値を越えた日とする。このため、各精査日は、その間隔がまちまちとなっている。」

ア 上記【0027】の精査実行日は、精査対象の装置の精査を行うための情報であるから、精査を行う精査情報であるといえる。

イ また、上記【0027】によれば、精査実行日は、精査期間、精査不可日等の精査の条件に基づいて、ランダムに選択して割り付けるものであるから、自動的に生成するものである。

(2) 引用文献2記載事項
上記(1)によれば、引用文献2には、「精査を行う精査情報を自動的に生成すること」が記載されている。

3 引用文献3
(1) 引用文献3の記載
当審拒絶理由通知で引用された引用文献3(原査定で引用された引用文献C)には、以下の記載がある。
「【0021】
精査端末1にて、精査実行スケジュールを設定する場合、操作部13が受け付けた操作に従って、制御部11はプログラムを起動して図3の画面を表示部14に表示する。図3の画面起動時は、精査端末1の制御部11が、あらかじめ記憶部15に記憶されている図4の各取引処理装置2の第1スケジュール43および第2スケジュール開始時刻44、第2スケジュール終了時刻45を参照し、各取引処理装置2の第1スケジュール33および第2スケジュールの開始時刻34、第2スケジュールの終了時刻35に設定時刻を表示する。
【0022】
第1スケジュールは、従来の銀行業務開始前もしくは銀行業務終了後といった、銀行業務時間外に実行する、計数を伴わない精査処理もしくは計数を伴う精査処理の実行時刻を表す。第2スケジュールは、銀行業務時間内に実行する、計数を伴わない精査処理の実行時刻の範囲を表す。計数を伴う精査処理は一般的に処理時間が長いため、業務時間外に行われることが多いが、計数を伴わない精査処理は処理時間が短い場合が多い。したがって、業務時間内に可能であれば、時間外業務も削減されるため、計数無し精査処理を実行することが望ましい。各取引処理装置2の第1スケジュール33および第2スケジュールの開始時刻34、第2スケジュールの終了時刻35を変更する場合は、操作部13が時刻の変更を受け付け、設定ボタン36が押下されることで変更が可能となる。変更を取り消す場合は、キャンセルボタン37が押下されることでキャンセルが可能となる。変更された時刻は、制御部11によって、図4の各取引処理装置2の第1スケジュール43および第2スケジュールの開始時刻44、第2スケジュールの終了時刻45の値が更新され、対応テーブルに格納される。」
「【0036】
なお、本実施形態では、第1スケジュールおよび第2スケジュールの設定方法について、精査端末1より手動で設定したが、図6に示す精査処理の実行結果を精査端末1の記憶部15に蓄積し、過去の精査処理実行履歴データとして利用することで、第1スケジュールおよび第2スケジュールを自動的に決定することも可能である。発明の趣旨、目的が同一であれば、本発明の技術範囲に全て属するものである。」

ア 上記【0022】の第1スケジュールや第2スケジュールは、精査処理の実行時刻であるから、精査を行う精査情報であるといえる。

イ 上記【0036】によれば、第1スケジュールや第2スケジュールは、自動的に決定(生成)するものである。

(2) 引用文献3記載事項
上記(1)によれば、引用文献3には、「精査を行う精査情報を自動的に生成すること」が記載されている。

4 引用文献B
原査定で引用された引用文献Bには、以下の記載がある。
「【0025】
まず、本発明に係るPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200及び棒金収納機400で行われる処理の予定と実績の管理の概要について図1を用いて説明する。図1は、POSレジスタ300、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納機400により構成されるレジユニットにおいて行われる処理の予定の登録、レジユニットへの予定の通知、レジユニットからの処理実績の通知、実績の登録、実績に基づく予定の補正及び補正した予定の通知という一連の処理を説明するための図である。
【0026】
最初に、(a)に示すように管理サーバ800にて、レジユニットで行われる回収などの処理の日程に係る予定を策定し、予定データ834fに登録する。管理サーバ800は、(b)に示すように予定データ834fの内容に基づいて、それぞれのPOSレジスタ300に、当該POSレジスタ300に対応するレジユニットで行う処理の予定の情報を通知する。
【0027】
(b)の予定通知を受け付けたならば、レジユニットは、受け付けた予定を記憶するとともに、(c)で示すように、処理の予定日の前日や当日若しくは処理の予定時刻などに、(b)の予定の通知で受け付けた予定に関する情報をPOSレジスタ300の表示部302又は硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示する。これによって、レジユニットを操作する操作者に対して予定された作業の内容と予定日などの日程にかかる情報を、作業予定の日程又は時刻が近づいたタイミングで知らせることができる。操作者は、通知された予定日になると、予定の処理を実施する。」

第6 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「現金処理機11」は、「金融機関の営業店10」に設置され、「収納庫120〜150」に収納された紙幣の「精査処理」を行うものであるから、本願発明1の「所定の店舗に配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置」に相当する。

イ 引用発明の「監視サーバー20」は、「遠隔監視を行うセンター1」に設置され、「現金処理機11」と「通信可能に接続されて」いる。また、センター1に設置された「監視サーバー20」は、「精査命令を営業店10の現金処理機11に送信する機能」を有し、「現金処理機11」が精査処理を行っているところ、精査処理は、「受付けた予約時刻になるのを待ち、予約時刻になったときに紙幣搬送系の電源を自動的にONして精査処理を行う」ものであるから、「監視サーバー20」は、営業店10に設置された現金処理機11の自動精査を支援しているということができる。なお、引用発明の「現金処理機の精査システム」は、「センターからの命令により営業時間外の時間帯に抜き打ち的に精査を行うと共に、精査の判定結果を本部の管理者に通知するようにした」ものであるから、「監視サーバー20」が支援する「現金処理機11」における自動精査は、「本部の管理者」、すなわち、所定の監査部門によるものであるといえる。
そうすると、引用発明の「監視サーバー20」は、本願発明1の「前記所定の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記所定の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置」に相当する。

ウ 引用発明の「監視サーバー20」は、「精査の予約日時を設定するための精査予約設定部25が設けられており、予約日時を設定した場合には、その設定日時を精査命令送信部22から現金処理機11に送信する機能」を有しているところ、精査の予約日時である「設定日時」は日時を含む精査情報であるといえる。また、精査予約設定部25が精査情報が記憶される記憶部を有していることは明らかである。
そうすると、引用発明の「監視サーバー20」が有する記憶部は、本願発明1の「情報処理装置」が有する「前記店舗で発生した障害及び違算の程度、前記店舗の新人行員数、新規開設店舗、優良店舗、及び/又は、前記店舗の事務量に基づいて設定される精査頻度条件に基づいて自動設定された日時を含む精査情報が記憶される記憶部」と、「日時を含む精査情報が記憶される記憶部」で共通する。

エ 引用発明の「現金処理機11」は、「監視サーバー20から精査予約命令(精査開始日時の指定であり、開始時刻は業務を行わない夜間や休日)が送信されると、予約の受付を行い」、「予約時刻になったときに紙幣搬送系の電源を自動的にONして精査処理を行う」から、当該処理は、本願発明1の「貨幣処理装置」の「前記情報処理装置から取得された前記精査情報に基づいて精査を実行する」に相当する。

以上によれば、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
所定の店舗に配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置と、
前記所定の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記所定の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、日時を含む精査情報が記憶される記憶部を有し、
前記貨幣処理装置は、前記情報処理装置から取得された前記精査情報に基づいて精査を実行する貨幣精査システム。

[相違点1]
日時を含む精査情報について、本願発明1は、「前記店舗で発生した障害及び違算の程度、前記店舗の新人行員数、新規開設店舗、優良店舗、及び/又は、前記店舗の事務量に基づいて設定される精査頻度条件に基づいて自動設定された」ものであるのに対し、引用発明は、そのような情報であるのか不明である点。

(2) 判断
上記相違点1について検討するに、「日時を含む精査情報」を「前記店舗で発生した障害及び違算の程度、前記店舗の新人行員数、新規開設店舗、優良店舗、及び/又は、前記店舗の事務量に基づいて設定される精査頻度条件に基づいて自動設定された」ものとすることは、上記引用文献1、引用文献2(引用文献A)、引用文献3(引用文献C)及び引用文献Bには記載も示唆もなく、ほかに本願出願時に周知技術であったということもできない。
したがって、引用発明において、相違点1に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。

(3) 小括
以上によれば、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
(1) 対比
本願発明2と引用発明を対比する(本願発明2は、本願発明1と同じ構成を含むところ、その構成についての対比は、上記1(1)のとおりである。)。
ア 引用発明は、「金融機関の複数の営業店10のそれぞれには出納機やATMといった現金処理機11が設置」されているから、引用発明の「現金処理機11」は、本願発明2の「複数の店舗にそれぞれ配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置」に相当する。

イ 引用発明は、上記アと同様、「金融機関の複数の営業店10のそれぞれには出納機やATMといった現金処理機11が設置」されているから、引用発明の「監視サーバー20」は、本願発明2の「前記複数の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記複数の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置」に相当する。

ウ 引用発明の「監視サーバー20」は、「精査の予約日時を設定するための精査予約設定部25が設けられており、予約日時を設定した場合には、その設定日時を精査命令送信部22から現金処理機11に送信する機能」を有しているところ、精査の予約日時である「設定日時」は精査を行う日時に関する精査情報であるといえる。
そうすると、引用発明の「監視サーバー20」が有する記憶部は、本願発明2の「少なくとも前記精査を行う日時に関する情報を含み、かつ、前記情報処理装置と監査担当者の端末装置との間で共有される精査スケジュール表を用いて前記監査担当者の端末装置で生成された精査情報が記憶される記憶部」と、「少なくとも前記精査を行う日時に関する情報を含む精査情報が記憶される記憶部」で共通する。

以上によれば、本願発明2と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
複数の店舗にそれぞれ配設され、収納庫内に収納されている貨幣の精査を行う貨幣処理装置と、
前記複数の店舗の外部に配設され、前記貨幣処理装置とネットワークを介して接続されるとともに、所定の監査部門による前記複数の店舗の抜き打ちでの自動精査を支援する情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置には、少なくとも前記精査を行う日時に関する情報を含む精査情報が記憶される記憶部を有し、
前記貨幣処理装置は、前記情報処理装置から取得された前記精査情報に基づいて精査を実行する貨幣精査システム。

[相違点2]
精査情報について、本願発明は、「前記情報処理装置と監査担当者の端末装置との間で共有される精査スケジュール表を用いて前記監査担当者の端末装置で生成された」ものであるのに対し、引用発明は、そのような情報であるのか不明である点。

(2) 判断
上記相違点2について検討するに、「精査情報」を「前記情報処理装置と監査担当者の端末装置との間で共有される精査スケジュール表を用いて前記監査担当者の端末装置で生成された」ものとすることは、上記引用文献1、引用文献2(引用文献A)、引用文献3(引用文献C)及び引用文献Bには記載も示唆もなく、ほかに本願出願時に周知技術であったということもできない。
したがって、引用発明において、相違点2に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。

(3) 小括
以上によれば、本願発明2は、当業者であっても、引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明3〜5について
本願発明3〜5は、上記第4のとおり、本願発明1あるいは本願発明2に構成を付加し限定したものであるから、引用発明と対比すると、上記1(1)及び2(1)で説示した[相違点1]あるいは[相違点2]を有するものである。
そうすると、本願発明3〜5も、上記1(2)及び2(2)と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明6及び7について
本願発明6及び7(いずれも貨幣精査方法)は、上記第4のとおり、本願発明1及び2(いずれも貨幣精査システム)と発明のカテゴリーが異なるのみであって、実質的に相違するものではない。
そうすると、上記1(2)及び2(2)のとおり、本願発明1及び2が、引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明6及び7も、引用文献1〜3から方法の発明として認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 当審拒絶理由についてのまとめ
上記1〜3のとおり、本願発明1〜7は、引用文献1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
原査定は、上記第2のとおり、本件補正前の請求項1〜8に係る発明は、引用文献A〜Cに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、本件補正により補正された請求項1〜7に係る発明は、上記第6のとおり、[相違点1]あるいは[相違点2]に係る構成を有するものであるところ、これらの構成は、引用文献A〜Cには記載されておらず、当業者にとって自明なものでもない。
そうすると、本件補正により補正された請求項1〜7に係る発明は、引用文献A〜Cに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2024-04-03 
出願番号 P2018-109144
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 古川 哲也
梶尾 誠哉
発明の名称 貨幣精査システム及び貨幣精査方法  
代理人 諏訪 淳一  
代理人 中辻 史郎  

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