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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1409053
総通号数 28 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-01-15 
確定日 2024-04-16 
事件の表示 特願2021− 50612「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月 6日出願公開、特開2022−148794、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月24日の出願であって、令和5年3月29日に手続補正書が提出され、同年6月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月24日に意見書が提出されたところ、同年10月12日付け(送達日:同月17日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、令和6年1月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年2月8日付けで前置報告されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2020−99381号公報

第3 審判請求時の補正について
1 本件補正
令和6年1月15日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正後:令和6年1月15日に提出された手続補正書による補正)
「【請求項1】
A 時刻を調整可能な時刻調整画面が表示可能であり、
D 遊技機で発生し得る或る事象を検知可能であり、
E 或る事象に関する履歴を表示可能な履歴画面が表示手段に表示可能であり、
F 履歴画面には或る事象に関する時刻が表示可能であり、
G 履歴画面に表示可能な或る事象には所定の異常を含み、
H 時刻調整画面にて変更操作がされると時刻が変更可能であり、時刻調整画面にて決定操作がされると変更操作により変更された時刻に決定可能であり、
J 時刻調整画面が表示されており、時刻調整画面にて時刻が或る時刻から他の或る時刻へ変更操作がされた後であって、変更操作後の他の或る時刻へ決定操作がされていないときに前記所定の異常を検知し、
K その後他の或る時刻へ決定操作がされてから履歴画面が表示されたときは、時刻調整画面にて変更操作がされる前の或る時刻に基づいた時刻が当該所定の異常に関する時刻として履歴画面に表示可能である
M 遊技機。」へと補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。また、符号A等は、分説するため当審で付した。)。

2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「所定の事象」が「所定の異常」であることを限定するものである。
そうすると、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

新規事項の追加の有無について
本件補正は、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0644】、【0645】、【0652】、【0668】〜【0670】、図124及び図127に記載された事項であり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、当該補正後の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たすものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

第4 本願発明
上記第3のとおり、本件補正は適法にされたものであるから、本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第3 1」に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである。

第5 原査定の引用文献
原査定で引用文献1として引用された特開2020−99381号公報には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審にて付した。以下同じ。

1 記載事項
「【0015】
図1は、この実施の形態に係るパチンコ遊技機1の正面図である。パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、遊技機用枠3とを備えている。その他、パチンコ遊技機1は、遊技機用枠3を回動可能に支持する外枠などを備えている。遊技盤2は、遊技盤面を構成するゲージ盤である。遊技機用枠3は、遊技盤2を固定する台枠である。遊技盤2には、ガイドレールなどによって囲まれた遊技領域が形成されている。発射装置から発射された遊技球(遊技媒体)は、発射通路を通過して、遊技領域に打ち込まれる。遊技機用枠3には、ガラス窓を有するガラス扉枠が回動可能に設けられている。」

「【0057】
図5は、主基板11において、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103が実行する遊技制御メイン処理の一例を示すフローチャートである。遊技制御メイン処理では、割込禁止に設定する(ステップS1)。続いて、必要な初期設定を行う(ステップS2)。初期設定には、スタックポインタの設定、内蔵デバイス(CTC(カウンタ/タイマ回路)、パラレル入出力ポート等)のレジスタ設定、RAM102をアクセス可能状態にする設定等が含まれる。」

「【0060】
ステップS5の設定確認処理では、予め定められた設定確認条件が成立したか否かを判定する。例えば、設定確認条件は、ステップS5の設定確認処理が実行される電力供給の開始時にて、扉開放センサ90からの出力信号がオンであること、および、設定キー51がオンであることが、ともに満たされた場合に成立する。扉開放センサ90からの出力信号がオフである場合や、設定キー51がオフである場合には、設定確認条件が成立しなかったと判定し、設定確認処理を終了する。扉開放センサ90からの出力信号がオンである場合であって、なおかつ設定キー51がオンである場合には、設定確認条件が成立したと判定する。なお、ステップS5の設定確認処理が実行されるのは、ステップS3において、クリアスイッチがオフであることを含めた復旧条件が成立した場合である。したがって、設定確認条件が成立し得るのは、クリアスイッチがオフである場合となるので、クリアスイッチがオフであることも、設定確認条件に含めることができる。ステップS5の設定確認処理では、設定確認条件が成立した場合に、パチンコ遊技機1において設定されている設定値を確認可能な設定確認状態となり、主基板11から演出制御基板12に対して、設定確認開始コマンドが送信される。パチンコ遊技機1が設定確認状態であるときには、パチンコ遊技機1における遊技の進行を停止させる遊技停止状態としてもよい。遊技停止状態であるときには、打球操作ハンドルの操作による遊技球の発射、各種スイッチによる遊技球の検出などが停止され、また、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20において、はずれ図柄などを停止表示したり、はずれ図柄とは異なる遊技停止状態に対応した表示が行われたりするように制御すればよい。設定確認状態においては、パチンコ遊技機1にて設定されている設定値を表示モニタ29の表示により確認することが可能となっている。設定確認状態を終了するときには、これに伴う遊技停止状態が終了し、主基板11から演出制御基板12に対して、設定確認終了コマンドが送信される。」

「【0065】
CPU103が実行する遊技制御用タイマ割込処理は、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を含んでいればよい。スイッチ処理は、CPU103がスイッチ回路110を介して各種スイッチから受信する検出信号の有無を判定する処理である。メイン側エラー処理は、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする処理である。情報出力処理は、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報(大当りの発生回数等を示す情報)、始動情報(始動入賞の回数等を示す情報)、確率変動情報(確変状態となった回数等を示す情報)などのデータを出力可能とする処理である。遊技用乱数更新処理は、主基板11の側で用いられる遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新可能とする処理である。特別図柄プロセス処理は、特図ゲームの実行および保留の管理や、大当り遊技状態や小当り遊技状態の制御、遊技状態の制御などを実現可能とする処理である。普通図柄プロセス処理は、ゲートスイッチ21からの検出信号に基づく(通過ゲート41に遊技球が通過したことに基づく)普図ゲームの実行および保留の管理や、「普図当り」に基づく可変入賞球装置6Bの開放制御などを実現可能とする処理である。コマンド制御処理は、送信設定された演出制御コマンドを演出制御基板12などのサブ側の制御基板に対して伝送可能とする処理である。」

「【0118】
図14および図15は、メンテナンス履歴画面を表示する具体例を示している。パチンコ遊技機1への電力供給が開始されたときに、遊技制御メイン処理のステップS5にて設定確認処理が実行され、設定確認条件が成立すると、主基板11から演出制御基板12に対して設定確認開始コマンドが送信される。この設定確認開始コマンドを受信すると、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131は、例えば演出制御用タイマ割込処理のステップS78にてメンテナンスモード処理が実行されたときに、図14(A)に示すような設定確認中表示を行う。設定確認中表示は、例えば画像表示装置5において「設定確認中です」などの文字表示を行う。設定確認中表示には、画像表示装置5において「プッシュボタン押下でメンテナンスモードに移行します」などの文字表示が含まれている。このように、設定確認中表示では、メンテナンスモードに移行するための操作を促す表示が行われる。このとき、遊技場の係員や製造業者の担当者がプッシュボタン31Bを押下する動作の検出があると、画像表示装置5では、図14(B)に示すようなメンテナンスモードメニュー画面が表示され、メンテナンスモードに移行する。メンテナンスモードメニュー画面には、「メンテナンス履歴」、「設定変更/確認履歴」、および「現在時刻設定」の選択肢が表示されているとともに、現在時刻が表示されている。
【0119】
メンテナンスモードメニュー画面において、「メンテナンス履歴」の選択肢012IW106を選択すると、画像表示装置5では、図14(C)に示すようなメンテナンス履歴画面の表示に切り替わる。メンテナンス履歴画面では、日時とログ内容とが対応付けて表示され、最新のログ情報が上位となるように順に表示される。一例として、VDP140にて内部状態の異常が発生したことを示すVDPエラー、第1大入賞口や第2大入賞口などの入賞口への不正入賞を検出したことを示す不正入賞エラー、カウントスイッチ23など各種スイッチの異常を検出したことを示すスイッチ異常エラー、賞球異常を検出したことを示す賞球異常エラー、異常磁気を検出したことを示す磁石エラーの各ログ情報、さらには、確変不成立を検出したことを示すログ情報が表示される。メンテナンス履歴画面が複数ページある場合には、次のページの選択操作を行うと、図14(D)に示すようなメンテナンス履歴画面の2ページ目に移行する。この場合には、設定変更の開始や設定変更の終了のログ情報、電断日時や電源投入日時のログ情報、さらには、左打ち報知や満タン報知のログ情報が表示される。さらに次のページがある場合には、次のページの選択操作を行うと、図15(E)に示すようなメンテナンス履歴画面の3ページ目に移行する。このときには、設定確認の開始や設定確認の終了のログ情報、設定確認中のメンテナンスモード中に現在時刻設定が行われた旨のログ情報、初期化処理によるRAMクリアが実行されたことを示すログ情報などが表示される。さらに次のページの選択操作を行うと、図15(F)に示すようなメンテナンス履歴画面の4ページ目に移行する。ここでは、パチンコ遊技機1への電源投入時に何らかのRAM異常が発生したことを示すRWM異常エラーのログ情報、それより後の日時に対応した電断日時や電源投入日時のログ情報が表示される。これらのログ情報により、RWM異常エラーが発生したことから、遊技場の係員が一旦はパチンコ遊技機1の電力供給を停止した後にクリアスイッチをオンしながら電源を再投入して、初期化処理によるRAMクリアが行われたことを、事後的に確認できる。また、CPU131において例外事象が発生したことを示すCPU例外事象のログ情報、それより後の日時に対応した電断日時や電源投入日時のログ情報が表示される。これらのログ情報により、CPU例外事象が発生したことから、遊技場の係員がパチンコ遊技機1の電力供給を停止したが、次の日に電源を投入したときには、CPU例外事象が発生しなくなったことを、事後的に確認できる。
【0120】
なお、図15(E)に示すようなメンテナンス履歴画面の3ページ目では、現在時刻設定が行われた旨のログ情報として、設定確認が開始された旨のログ情報よりも、早い時刻を示すログ情報が表示されている。例えば設定確認が開始されたのが2018/03/21(水)の09:36:28であるのに対して、現在時刻を設定したのが2018/03/21(水)の09:36:16とされている。このように、現在時刻設定の前後で日時の不整合が生じるのは、現在時刻設定が行われると、設定後の日時情報を読み出してログ情報が記録されるためである。この例では、ログ情報が発生した順にログ領域にログ情報が記録され、現在時刻設定の前後で日時が整合しなくなる場合であっても、ログ情報が発生した順にログ情報が表示される。
【0121】
メンテナンス履歴画面の表示に加えて、あるいはメンテナンス履歴画面の表示に代えて、画像表示装置5に2次元バーコードを表示して、ログ情報を取得可能にしてもよい。例えば検査装置に接続された撮影装置を用いて、画像表示装置5に表示された2次元バーコードを撮影する。このような2次元バーコードの撮影により、検査装置にログ情報を提供することができる。その他、ログ情報の出力は、表示出力、無線出力、赤外線出力、音声出力、超音波出力、あるいは、これらの一部または全部の組合せといった、任意の出力方式を用いたものであればよい。ログ情報に限定されず、任意の情報出力は、表示出力、無線出力、赤外線出力、音声出力、超音波出力、あるいは、これらの一部または全部の組合せといった、任意の出力方式を用いたものであればよい。
【0122】
メンテナンス履歴画面にて表示可能なログ情報は、バックアップデータに示されるログ情報の全部であってもよいし、バックアップデータに示されるログ情報の一部であってもよい。例えば、メンテナンス履歴画面では、CPU131の例外事象といった、制御装置の内部状態に応じて成立可能な事象の発生条件に対応するログ情報を表示可能である。また、メンテナンス履歴画面では、VDP140のエラー割込要求といった、処理装置の内部状態に応じて成立可能な事象の発生条件に対応するログ情報を表示可能である。メンテナンス履歴画面では、演出制御中バックアップ処理におけるエラー発生時、時刻変更時、電源再投入時の判定といった、CPU131による処理結果に応じて成立可能な特定事象の発生条件に対応するログ情報を表示可能である。その一方で、メンテナンス履歴画面では、演出制御中バックアップ処理における遊技者履歴データのデータ更新時、節電設定時、名称設定時の判定といった、特定事象以外の事象の発生条件に対応するログ情報を表示しない。このように、バックアップデータとして記憶されるログ情報は、メンテナンス履歴画面にて表示されないログ情報を含んでいてもよい。あるいは、通常のメンテナンス履歴画面では表示されないが、特別なメンテナンス履歴画面では表示可能なログ情報を設けてもよい。特別なメンテナンス画面は、例えばスティックコントローラ31Aやプッシュボタン31Bに対する所定操作となる動作の検出結果といった、任意の検出結果に応じて表示可能であればよい。この場合に、スティックコントローラ31Aやプッシュボタン31Bに対する操作手順は、遊技場の係員には通知されず、パチンコ遊技機1の製造業者における担当者が認識可能なものであればよい。検出結果に限定されず、任意の制御や処理に応じて、特別なメンテナンス履歴画面を表示可能であればよい。このように、複数種類のログ情報のうち特定種類のログ情報という範囲では、メンテナンス履歴画面に表示されないという限界としての制限が設けられてもよい。特定種類以外のログ情報という範囲では、メンテナンス履歴画面に表示可能であればよい。あるいは、複数種類のログ情報のうち特定種類のログ情報という範囲では、特別なメンテナンス履歴画面にのみ表示可能となり通常のメンテナンス履歴画面に表示されないという限界としての制限が設けられてもよい。
【0123】
図16は、メンテナンスモード中に設定変更/確認履歴の選択操作が行われた場合の具体例を示している。図16(A)に示すような設定確認中表示が行われているときに、遊技場の係員や製造業者の担当者によるプッシュボタン31Bを押下する動作の検出に応じて、図16(B)に示すようなメンテナンスモードメニュー画面が表示される。そして、「設定変更/確認履歴」の選択肢012IW107が選択操作される。この場合に、画像表示装置5では、図16(C)に示すような設定変更/確認履歴画面の表示に切り替わる。設定変更/確認履歴画面では、日時と、設定変更であるか設定確認であるかと、変更後の設定値または確認した設定値とが対応付けて表示され、最新のログ情報が上位となるように順に表示される。なお、メンテナンスモードメニュー画面の表示中に「現在時刻設定」の選択肢が選択操作された場合には、画像表示装置5において現在時刻設定画面の表示に切り替わる。現在時刻設定画面では、スティックコントローラ31Aの左右の傾倒操作により年、月、日、曜日、時、分、または秒の項目が選択され、スティックコントローラ31Aの前後の傾倒操作により項目毎の数字が選択される。現在時刻設定画面が表示された後に、遊技場の係員や製造業者の担当者がプッシュボタン31Bを押下すると、現在表示中の日時に現在の日時が設定される。」













2 引用発明
上記1からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。なお、引用箇所の段落番号を併記した。

「遊技制御メイン処理にて設定確認処理が実行され、設定確認条件が成立すると、設定確認中表示を行い、画像表示装置5においてメンテナンスモードに移行するための操作を促す表示が行われ、プッシュボタン31Bを押下する動作の検出があると、メンテナンスモードメニュー画面が表示され(【0118】)、
メンテナンスモードメニュー画面において、「メンテナンス履歴」の選択肢を選択すると、メンテナンス履歴画面の表示に切り替わり、メンテナンス履歴画面では、日時とログ内容とが対応付けて表示され、最新のログ情報が上位となるように順に表示され、ログ内容の一例としては、不正入賞を検出したことを示す不正入賞エラー、各種スイッチの異常を検出したことを示すスイッチ異常エラー、賞球異常を検出したことを示す賞球異常エラー、異常磁気を検出したことを示す磁石エラーの各ログ情報、設定変更の開始や設定変更の終了のログ情報、電断日時や電源投入日時のログ情報が表示され、「メンテナンス履歴」、「設定変更/確認履歴」、および「現在時刻設定」の選択肢が表示されているとともに、現在時刻が表示され(【0118】、【0119】)、
メンテナンスモードメニュー画面の表示中に「現在時刻設定」の選択肢が選択操作された場合には、現在時刻設定画面の表示に切り替わり、スティックコントローラ31Aの左右の傾倒操作により年、月、日、曜日、時、分、または秒の項目が選択され、スティックコントローラ31Aの前後の傾倒操作により項目毎の数字が選択され、プッシュボタン31Bを押下すると、現在表示中の日時に現在の日時が設定され(【0123】)、
現在時刻設定が行われると、設定後の日時情報を読み出してログ情報が記録され、現在時刻設定が行われると、設定後の日時情報を読み出してログ情報が記録され、ログ情報が発生した順にログ領域にログ情報が記録され、現在時刻設定の前後で日時が整合しなくなる場合であっても、ログ情報が発生した順にログ情報が表示される(【0120】)
パチンコ遊技機1(【0015】)。」

第6 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。

(1)構成Aについて
引用発明の「現在時刻設定画面」、「表示」されることは、それぞれ本願発明の「時刻を調整可能な時刻調整画面」、「表示可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

(2)構成Dについて
引用発明の「「不正入賞エラー」、「スイッチ異常エラー」、「賞球異常エラー」又は「磁石エラー」」、「検出」されることは、それぞれ本願発明の「遊技機で発生し得る或る事象」、「検知可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Dに相当する構成を有する。

(3)構成Eについて
引用発明の「日時とログ内容とが対応付けて表示され」る「メンテナンス履歴画面」、「画像表示装置5」、「表示され」ることは、それぞれ本願発明の「或る事象に関する履歴を表示可能な履歴画面」、「表示手段」、「表示可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Eに相当する構成を有する。

(4)構成Fについて
引用発明の「メンテナンス履歴画面では、日時とログ内容とが対応付けて表示され」ることは、本願発明の「履歴画面には或る事象に関する時刻が表示可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Fに相当する構成を有する。

(5)構成Gについて
引用発明の「「不正入賞エラー」、「スイッチ異常エラー」、「賞球異常エラー」又は「磁石エラー」」は、本願発明の「所定の異常」に相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Gに相当する構成を有する。

(6)構成Hについて
引用発明の「スティックコントローラ31Aの左右の傾倒操作」、「スティックコントローラ31Aの前後の傾倒操作により項目毎の数字が選択され」ること、「プッシュボタン31Bを押下する」こと、「現在表示中の日時に現在の日時が設定され」ることは、それぞれ本願発明の「変更操作」、「時刻を変更可能であ」ること、「決定操作がされる」こと、「変更された時刻に決定可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Hに相当する構成を有する。

(7)構成Jについて
引用発明では「メンテナンスモードメニュー画面の表示中に「現在時刻設定」の選択肢が選択操作された場合には、現在時刻設定画面の表示に切り替わり、スティックコントローラ31Aの左右の傾倒操作により年、月、日、曜日、時、分、または秒の項目が選択され、スティックコントローラ31Aの前後の傾倒操作により項目毎の数字が選択され、プッシュボタン31Bを押下すると、現在表示中の日時に現在の日時が設定され」ることから、「スティックコントローラ31Aの前後の傾倒操作により項目毎の数字が選択され」る前に表示されている時刻が、本願発明の「或る時刻」に相当し、「選択され」たときに表示されている時刻が、本願発明の「他の或る時刻」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは「時刻調整画面が表示されており、時刻調整画面にて時刻が或る時刻から他の或る時刻へ変更操作がされた後であって、変更操作後の他の或る時刻へ決定操作がされていないとき」がある点で共通する。

(8)構成Lについて
引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は本願発明の構成Lに相当する構成を有する。

(9)一致点及び相違点について
a 一致点
以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、
「A 時刻を調整可能な時刻調整画面が表示可能であり、
D 遊技機で発生し得る或る事象を検知可能であり、
E 或る事象に関する履歴を表示可能な履歴画面が表示手段に表示可能であり、
F 履歴画面には或る事象に関する時刻が表示可能であり、
G 履歴画面に表示可能な或る事象には所定の異常を含み、
H 時刻調整画面にて変更操作がされると時刻を変更可能であり、時刻調整画面にて決定操作がされると変更操作により変更された時刻に決定可能であり、
J’時刻調整画面が表示されており、時刻調整画面にて時刻が或る時刻から他の或る時刻へ変更操作がされることがある
M 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

b 相違点1(構成J)
「時刻調整画面が表示されており、時刻調整画面にて時刻が或る時刻から他の或る時刻へ変更操作がされた後」について、
本願発明では、「変更操作後の他の或る時刻へ決定操作がされていないときに前記所定の異常を検知」するのに対して、
引用発明では、不正入賞エラー、スイッチ異常エラー、賞球異常エラー、磁石エラー等を検出可能であるか否かが不明である点。

c 相違点2(構成K)
本願発明では、「その後他の或る時刻へ決定操作がされてから履歴画面が表示されたときは、時刻調整画面にて変更操作がされる前の或る時刻に基づいた時刻が当該所定の異常に関する時刻として履歴画面に表示可能である」のに対して、
引用発明では、上記相違点1で示すとおり、「現在時刻設定画面の表示に切り替わり、スティックコントローラ31Aの左右の傾倒操作により年、月、日、曜日、時、分、または秒の項目が選択され、スティックコントローラ31Aの前後の傾倒操作により項目毎の数字が選択され、プッシュボタン31Bを押下すると、現在表示中の日時に現在の日時が設定され」る前に、不正入賞エラー、スイッチ異常エラー、賞球異常エラー、磁石エラー等を検出可能であるか否かが不明であるため、「メンテナンス履歴画面」に「日時とログ内容」とをどのように表示するのかについても不明である点。

2 判断
・相違点2について
事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
前置報告において、引用文献2として引用された特開2018−29845号公報には、設定確認処理の実行中に行われるタイマ割込処理においてエラーを検出可能とした遊技機(特に、【0123】〜【0125】、【0136】、【0169】〜【0182】、【0286】、【0432】〜【0434】参照。以下「前置報告の引用文献記載の技術事項」という。)が記載されているものの、引用発明の「設定確認中表示を行」っている「メンテナンスモードメニュー画面の表示中」の「現在時刻設定画面の表示」中の制御について、上記引用文献1(特開2020−99381号公報)を参照すると、遊技制御用タイマ割込処理はメイン側エラー処理を含んでおり(【0065】)、設定確認開始コマンドが送信されるのは、遊技制御メイン処理内の設定確認処理が行われたときであり(【0057】〜【0060】)、割込禁止に設定されている(【0057】)。
そうすると、上記引用文献1では、現在時刻設定画面の表示中は、割込禁止されており、タイマ割込処理において検出する、不正入賞エラー、スイッチ異常エラー、賞球異常エラー、磁石エラーは検出されないこととなるから、引用発明にタイマ割込処理においてエラーを検出可能とした前置報告の引用文献記載の技術事項を適用することを阻害する要因があるといえ、適用することが容易とはいえない。

仮に、引用発明に前置報告の引用文献記載の技術事項を適用して、現在時刻設定画面の表示中にエラーを検出可能とすることが容易に想到できたとした場合について、以下検討することとする。
引用発明に前置報告の引用文献記載の技術事項を適用して、現在時刻設定画面の表示中にエラーを検出可能であるとすると、現在表示中の日時に現在の日時が設定される前に発生したエラーについて、日時とログ内容とをどのように対応付けて表示するかについては、例えば、(1)設定前の日時と対応づけて表示する、(2)設定後の日時と対応づけて表示する、(3)その他の表示とする、(4)日時と対応づけて表示せずに空欄とする、等の選択肢が考えられることとなるが、同様の状況となった場合に、そのいずれの表示とするかについて、周知の事項でもなく、どのような表示とするかについて設計事項といえる事情もない。

そして、本願発明は、変更操作後の他の或る時刻へ決定操作がされていないときに所定の異常を検知し、その後他の或る時刻へ決定操作がされてから履歴画面が表示されたときは、時刻調整画面にて変更操作がされる前の或る時刻に基づいた時刻が当該所定の異常に関する時刻として履歴画面に表示可能とすることによって、所定のエラーが発生した後に時刻が変更された場合に、変更後の時刻が所定のエラーの発生時刻に影響を与えてしまうと、履歴画面に表示される各エラーの発生順序が入れ替わってしまう虞があるが、そのような虞を避けることができる(【0670】)という格別の効果を奏するものである。

したがって、本願発明は、相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても引用発明及び前置報告の引用文献記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
上記第6のとおり、本願発明は、原査定の理由に加え、前置報告の理由を加味しても、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2024-04-02 
出願番号 P2021-050612
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 澤田 真治
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 大西 正悟  

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