• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C12N
審判 全部申し立て 2項進歩性  C12N
管理番号 1409201
総通号数 28 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2024-01-24 
確定日 2024-04-08 
異議申立件数
事件の表示 特許第7316745号発明「三次元組織体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7316745号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7316745号の請求項1〜12に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成29年3月9日(優先権主張 平成28年5月20日)に出願され、令和5年7月20日にその特許権の設定登録がされ、同年7月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年1月24日に特許異議申立人齊藤恵美子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1〜12に係る発明(以下、本件特許の請求項1〜12に係る発明を、その請求項に付された番号順にしたがい「本件発明1」などといい、これらをまとめて「本件発明」ということがある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
第一の細胞を含む第一の細胞領域と、前記第一の細胞とは異なる第二の細胞を含む第二の細胞領域とが存在し、
前記第二の細胞領域には、前記第一の細胞は存在しておらず、
前記第一の細胞領域には、前記第一の細胞が体積で50%以上存在しており、
前記第一の細胞を含む領域が、前記第二の細胞を含む領域の内部に存在し、
前記第一の細胞領域の表面が、刺激を与える界面に垂直な軸に対して一定の深さに存在し、
前記第一の細胞が、外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーターの下流に連結されたレポーター遺伝子を含み、外部からの刺激に応答して、化学発光、生物発光又は蛍光によって光を発する細胞であることを特徴とする三次元組織体。
【請求項2】
前記第一の細胞領域及び前記第二の細胞領域を含む領域に対する前記第一の細胞領域の割合が、前記第二の細胞領域の割合より少ない請求項1に記載の三次元組織体。
【請求項3】
培養容器の内部に、前記第一の細胞領域及び前記第二の細胞領域が配置されている請求項1から2のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項4】
前記第一の細胞領域が、前記培養容器の周壁に接触していない請求項3に記載の三次元組織体。
【請求項5】
前記第二の細胞が、光を発する細胞ではない請求項1から4のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項6】
前記第二の細胞が、外部からの刺激に応答して、化学発光、生物発光又は蛍光によって光を発する細胞である請求項1から4のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項7】
前記第二の細胞が、レポーター遺伝子が導入されている請求項6に記載の三次元組織体。
【請求項8】
前記第二の細胞が、前記第一の細胞とは異なるレポーター遺伝子が導入されている請求項6から7のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項9】
前記第二の細胞が、前記第一の細胞とは生理学的に種類が異なる請求項6から8のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項10】
前記第一の細胞及び前記第二の細胞とは異なる細胞を、1種類以上含む請求項1から9のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項11】
前記第一の細胞領域が、固定剤により位置が保持されている請求項1から10のいずれかに記載の三次元組織体。
【請求項12】
物質の安全性評価、物質の効能評価、又は薬剤のスクリーニングに用いられる請求項1から11のいずれかに記載の三次元組織体。

第3 異議申立理由の概要及び提出した証拠
1 異議申立理由の概要
申立人が主張する異議申立理由の概要は、次のとおりのものである。

(1)申立理由1(甲1号証に基づく新規性欠如)
本件特許の請求項1〜5、10、12に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、それらの発明に係る本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)申立理由2(甲1号証を主引用例とする進歩性欠如)
本件特許の請求項1〜12に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1号証及び甲2〜5号証に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 証拠方法
甲第1号証:国際公開第2012/036224号
甲第2号証:特開2012−179020号公報
甲第3号証:Methods & Clinical Development (2016) 5, 16009
甲第4号証: Tripluc(R)システム用1液アッセイ試薬 Tripluc(R) Luciferase Assay Reagent, [online], 2016.3.6, インターネット<https://web.archive.org/web/20160306091850/https://lifescience.toyobo.co.jp/detail/detail.php?product_detail_id=105>
甲第5号証:国際公開第2016/021498号
(以下、「甲第1号証」〜「甲第5号証」を、それぞれ「甲1」〜「甲5」という。)

第4 当審の判断
当審は、異議申立人が主張する上記の申立理由1(甲1に基づく新規性欠如)及び申立理由2(甲1を主引用例とする進歩性欠如)は、いずれも理由がなく、ほかに各特許を取り消すべき理由も発見できないから、本件発明1〜12に係る特許は、いずれも取り消すべきものではなく、維持すべきものと判断する。

1 甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同じ。)

甲1a
「発明の名称:細胞シート積層化物の製造方法、それより得られる血管網を有する細胞シート積層化物及びその利用方法」

甲1b
「[0004] ・・・しかしながら、上述した従来技術では心筋様細胞シートの積層化は無限に行えるものではなく、3層程度が限界であり、簡便に多数回積層化できる技術が強く望まれていた。」

甲1c
「[0008] 本発明は、上述したような細胞シートの積層化に関する問題点を解決することを意図してなされたものである。すなわち、本発明は、従来技術と全く異なった発想に基づいて創作した新規な細胞シート積層化物の製造方法、それより得られる血管網を有する細胞シート積層化物及びその利用方法を提供するものである。」

甲1d
「[0009] 本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて研究開発を行ってきた。その結果、動脈−静脈ループを備え、毛細血管網を構築させた血管床を作製し、その血管床上へ細胞シートを積層し、生体外で培地を灌流することで細胞シート内に血管網を構築することが出来、簡便に細胞シートを厚く積層化できることを見出した。また、それにより得られた血管網付き細胞シート積層化物を利用し、生体外において薬剤の生体組織に対する効果を評価ができることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。」

甲1e
「[0045] 本発明の血管床上に積層化した細胞シート積層化物を利用することにより、薬剤の効果についての評価を行うことが可能となる。例えば、血管床上に積層化する細胞シートを構成する細胞として、心筋細胞、心筋芽細胞、筋芽細胞、間葉系幹細胞のような心臓組織を構成する細胞とすれば、心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、心筋症、心筋炎、肥大型心筋症、拡張相肥大型心筋症および拡張型心筋症からなる群より選択される疾患または障害を伴う各疾患の治療を目的に使用される薬剤等の効果を評価することができる。また、例えば、肝実質細胞、類洞内皮細胞、クッパー細胞、星細胞、ピット細胞、胆管上皮細胞、間葉系幹細胞のような肝組織を構成する細胞とすれば、肝酵素欠損症、血友病、凝固異常症、肝不全症、劇症肝炎、肝硬変、肝切除患者の治療、感染症等の治療を目的に使用することができる薬剤等の評価を行うことができる。また、例えば、腎細胞、顆粒細胞、集合管上皮細胞、壁側上皮細胞、足細胞、メサンギウム細胞、平滑筋細胞、尿細管細胞、間在細胞、糸球体細胞のような腎組織を構成する細胞とすれば、腎機能障害、腎不全、糸球体腎炎の治療、感染症等の治療を目的に使用することができる薬剤等の評価を行うことができる。また、例えば、使用する細胞としては、副腎髄質細胞、副腎皮質細胞、球状層細胞、束状層細胞、網上層細胞のような副腎組織を構成する細胞とすれば、副腎皮質不全、副腎皮質機能低下症、クッシング症候群、アルドステロン症、副腎低形成症、副腎酵素欠損症の治療、感染症等の治療を目的に使用することができる薬剤等の評価を行うことができる。また、例えば、使用する細胞としては、表皮角化細胞、メラノサイト、立毛筋細胞、毛包細胞のような皮膚組織を構成する細胞とすれば、皮膚移植、毛髪移植、毛髪再生を目的に使用することができる薬剤等の評価を行うことができる。また、例えば、頬側粘膜、胃粘膜、腸管粘膜、嗅上皮、口腔粘膜、子宮粘膜などの組織から採取されるような粘膜を構成する細胞とすれば、粘膜疾患の治療、感染症を目的に使用することができる薬剤等の評価を行うことができる。
[0046] 本発明の血管床に積層化した細胞シート積層化物を利用した生体外における薬剤等の評価方法については、特に限定されるものではないが、例えば、積層化された細胞シートを構成する細胞に導入されたレポーター遺伝子の発現を検出する方法が挙げられる。レポーター遺伝子としても特に限定するものではないが、例えば、レポーター遺伝子として恒常的にルシフェラーゼ遺伝子が発現する細胞の利用が挙げられる。灌流培地にルシフェラーゼタンパクの基質であるルシフェリンを加えることで発光させることができる。細胞シート内に流入する基質量は、細胞シート内に構築された毛細血管網の量に比例する。蛍光強度を測定することにより、細胞シート内における毛細血管網の構築度合いを比較するができる。また、細胞内のATP量に比例して、ルシフェラーゼタンパクによる発光も変化する。つまり、発光量を比較することで、細胞の代謝を比較することができる。この原理を利用して、血管床上の細胞シート積層化物に、任意の薬剤等を添加した培地を灌流させ、その後に基質を灌流させることで、細胞シート積層化物に対する薬剤の効果を評価することも可能である。検出される発光量の変化により、細胞の代謝に与える薬剤等の評価を行うことが可能である。このほか、任意の薬剤を添加した培地を灌流培養させた後、培地に溶出するサイトカインやその他のタンパク質、細胞代謝物を検出することにより、細胞シート積層化物に対する薬剤等の効果を評価すること、細胞が生ずる電気的信号を検出することができる。」

甲1f
「実施例1
[0050] 移植積層化心筋組織内への血管新生を促進させる手段として、ラットの大腿部の表皮を切開し、大腿動静脈を含む四頭筋骨格筋組織を電気メスにより1.5cm×2.0cm角で切離し、大腿動静脈のみが1.5cm×2.0cm角の四頭筋骨格筋組織と繋がった状態を作り出し、その状態を維持したまま、切開した表皮のみを縫合した。1.5cm×2.0cm角に切離した四頭筋骨格筋組織を一週間生体内に留置することで、毛細血管の短絡(動静脈ループ)を起こさせ、動脈から静脈へ戻る血管網を有する臓器様の血管床を作製した(図1)。動静脈ループが起こった血管床をラットの大腿部から完全に切離し、大腿動脈、大腿静脈それぞれを、培地を灌流させるチューブと繋ぎ、培地を血管床内に循環させることができる組織灌流バイオリアクターを作製した(図2)。
血管床バイオリアクターの作製と並行し、心筋細胞シートの作製を行った。心筋細胞は生後0日のSD系ラットの心臓から単離培養した心筋細胞を使用した。仔ラットから心臓摘出後、組織主要構成要素であるコラーゲンを分解する酵素であるコラゲナーゼ TypeII(Worthington社製)を用い心筋細胞を単離した。単離した心筋細胞を320×104 cell/dishの濃度で温度応答性培養皿(φ35 mm、 Dish Upcell Type-E( Cell Seed社製))に播種した。4日後、心筋細胞が培養皿表面でコンフルエント状態になったところで20℃に温度を降下させることでシート状の心筋細胞群を回収した。このシートを3枚重層化し心筋細胞シートとしてバイオリアクターに接続した血管床上へ移植したところ、細胞シート積層化物を血管床上で培養することができた(図2)。
[0051](血管床内及び血管床上の細胞シート積層化物内の毛細血管網を成熟する方法の探索)
ラットの血清中に含まれる血管新生を促進するサイトカインを探索するため、ラットの心臓に穿刺して採血を行い、ELISA法にて検出を試みた(n=3)。その結果、ラット血清中には16pg/mLのbFGFが存在することが確認された(図4A)。そこで、組織灌流バイオリアクターにて灌流させる培地にbFGFを添加することとした。
[0052] 灌流液として、血清中に存在する濃度の1000倍量である16ng/mLのbFGF添加心筋細胞用培養液を選択し、培養を行った(図3、4)。血管床上に細胞シート積層化物を移植して72時間培養後、血管新生及び管腔構造を確かめるため、培地の代わりに墨汁を還流させて黒く染色される領域を確認した(図4B)その結果、bFGFを添加して培養した細胞シートは、bFGF非添加にて灌流培養を行った細胞シート積層化物に比べ、血管床内及び細胞シート積層化物内に黒く染色された領域が広範囲に見られた。この結果より、培地にbFGFを添加すると、血管床及び細胞シート積層化物内に管腔形成を伴った毛細血管網が構築されることが明らかとなった(図4B)。
[0053] 心筋細胞シートと血管床の間にも毛細血管を介した繋がりが形成されたかどうかについて詳細に確認するため、組織灌流バイオリアクターを用いて30μL/minの流速において墨汁または血液の灌流を行った。その結果、血管床上に移植した心筋細胞シートの一部が墨(図5上段)または血液(図5下段)で強く染まった(図5)。また、H.E染色およびAzan染色における組織切片の観察においても血管床上の心筋細胞シート内部に墨が流入したことが明らかとなった(図5)。さらにCD31と心筋トロポニンT抗体を用いた免疫組織染色により、墨または赤血球が流入した周辺部には血管内皮細胞が管状の構造を形成していることが分かり、血管を介して栄養や酸素が供給されていることが明らかとなった(図5)。つまり、FASEB.J.,20(6),708−710(2006)(非特許文献1)で試みられたような生体内で細胞シートの積層化を行わなくても、in vitro条件下においても、心筋細胞シート内への血管誘導が可能であることが明らかとなった。」

甲1g
「実施例2
[0054](血管床上の心筋細胞シート積層体を利用した薬剤効果の測定方法)
血管床上に積層化した細胞シートは、ルシフェラーゼ遺伝子が導入されたトランスジェニックラットの生後0日の心臓から単離した細胞を使用した。実施例1と同様の方法で、血管床上に細胞シートを積層化し、FGFを添加(16ng/mL)、非添加にて灌流培養を行い、72時間後、培地の代わりにルシフェラーゼタンパクの基質であるルシフェリンを含んだ培地を灌流し、イメージアナライザにて蛍光強度を測定した(図6)。蛍光強度はシュードカラーで表現されており、暖色であるほど蛍光強度が強いことを示す(図6A、C)。基質およびATP濃度に依存して蛍光し、蛍光が強い程、細胞活性が高い事を示す。蛍光強度をグラフ化したものが図6B及びDである。FGFを添加して灌流培養を行うと、非添加で灌流培養したものに比べて、蛍光強度が強い傾向が見られた。このことから、FGFを添加して灌流培養した細胞シート積層化物は、非添加で灌流培養したものよりも成熟した血管網が誘導され、細胞シートに流入する培地の量が増加し、高い細胞活性を示すことが明らかとなった。
[0055] ルシフェラーゼイメージング法を用いて心筋細胞シート積層化物に対する薬剤の評価を試みた。ルシフェラーゼによる蛍光強度は、前述のように細胞活性と細胞シートへ流入するルシフェリン濃度に依存する。積層化した心筋シート積層化物は、血管床上においても拍動が維持されているため、拍動するに合わせて、細胞シート積層化物内の毛細血管は収縮、弛緩する。そのため、収縮時には、灌流する培地の量が一時的に減少する。ルシフェラーゼイメージング法により、蛍光強度を経時的に観察した結果、蛍光強度が増減することが明らかとなった。かかる発見を利用し、心筋細胞に影響を与える薬剤の効果を測定した。薬剤としてはβブロッカーを使用した。βブロッカーとは、交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用を示す薬剤であり、臨床的には降圧薬や労作性狭心症患者の狭心症状予防、不整脈(心房細動、洞性頻脈、期外収縮時の心拍数低下)、心不全患者の心機能改善や突然死亡、心筋梗塞など循環器疾患に対して用いられる。βブロッカーを灌流培地に添加したものと、非添加の培地を用い、実施例1で示した方法により作製した細胞シート積層化物の灌流培地として培養して72時間培養した。その後、ルシフェリンを添加した培地を灌流させて、ルシフェラーゼイメージング法により、経時的に蛍光強度の変化を観察した。その結果、コントロールの薬剤を加えた心筋細胞シートの拍動の強度、発光回数、発光間隔にはほとんど影響を及ぼさなかったが、βブロッカーを添加した培地で灌流培養を行った心筋細胞シート積層化物では、蛍光強度の低下、発光回数の減少、発光間隔の遅延が見られた。このことから、本発明により、心筋細胞シート積層化物を利用することにより、in Vitroにおいて、心筋機能に影響を及ぼす薬剤の影響を簡便かつ定量的に評価できることが明らかとなった。」

甲1h
「請求の範囲
[請求項1] 動脈−静脈ループを備え、毛細血管網が構築された血管床上に細胞シートを積層し、培地を生体外で灌流することで得られる毛細血管網を構築したことを特徴とする細胞シート積層化物。
[請求項2] 血管床が生体組織片である、請求項1の細胞シート積層化物。
[請求項3] 生体組織片が皮弁である、請求項2記載の細胞シート積層化物。
[請求項4] 生体組織片が筋肉由来のものである、請求項2、3のいずれか1項記載の細胞シート積層化物。
・・・
[請求項11] 細胞が、心臓組織、肝組織、腎組織、副腎組織、皮膚組織、粘膜組織をそれぞれ構成する細胞であって、それぞれの組織において、いずれか1種、もしくは2種以上の細胞が混合したものである、請求項1〜10のいずれか1項記載の細胞シート積層化物。
・・・
[請求項15] 請求項11〜14のいずれか1項記載の細胞シート積層化物を利用した薬剤の評価方法。
[請求項16] 細胞シート積層化物を構成する細胞にレポーター遺伝子が導入された請求項15記載の薬剤の評価方法。
[請求項17] レポーター遺伝子がルシフェラーゼ遺伝子である請求項16記載の薬剤の評価方法。
・・・」

2 甲1発明の認定
上記記載事項(甲1f、g)によれば、甲1には、実施例1として、骨格筋組織を用いて作製され血管から培地を灌流させた血管網を有する血管床上で、心臓から単離された細胞を用いて作製された心筋細胞シート積層化物を、FGF等を添加して培養し、血管床及び細胞シート積層化物内に毛細血管網が構築された血管床上の心筋細胞シート積層化物を作製したことが記載されている。また、実施例2の血管床上の心筋細胞シート積層体を利用した薬剤効果の測定方法として、ルシフェラーゼ遺伝子が導入されたトランスジェニックラットの心臓から単離された細胞を用いて前記実施例1に示した方法で作製された血管床上の心筋細胞シート積層化物に対し、FGF又はβブロッカーを灌流させると、ルシフェラーゼタンパクの基質であるルシフェリンを含んだ培地を灌流させて測定した心筋細胞シート積層化物の蛍光強度において、増減が見られたことが記載され、これらの結果を受けて、心筋細胞シート積層化物を利用することにより、心筋機能に影響を及ぼす薬剤の影響を評価できることが明らかとなった旨が記載されている。
ここで、甲1の実施例1([0052])に、「培地にbFGFを添加すると、血管床及び細胞シート積層化物内に管腔形成を伴った毛細血管網が構築されることが明らかとなった(図4B)」と記載されていることから、上記の甲1の実施例1及び2では、心筋細胞シート積層体中には血管床の血管から伸びる血管網がはりめぐらされ、心筋細胞シート積層体には血管床の血管網が付着しているものと認められる。また、上記甲1の実施例2において、蛍光は、灌流により供給されたルシフェリンが心筋細胞シート積層化物のルシフェラーゼ遺伝子産物に接触することにより発せられるものである。
したがって、甲1には、特に実施例2の記載に基づき、次の発明が記載されていると認められる。

「骨格筋組織を用いて作製された血管床上で、心筋細胞シート積層化物を培養して得られる、血管網付き細胞シート積層化物であって、ここで、前記心筋細胞シート積層化物はルシフェラーゼ遺伝子が導入されたトランスジェニックラットの心臓から単離された細胞により作製されたものであり、ルシフェリンと接触することにより発せられる蛍光強度により薬剤の影響を評価できる、血管網付き細胞シート積層化物。」(以下、「甲1発明」という。)

3 本件発明1について
(1)本件発明1と甲1発明の対比
甲1発明の「ルシフェラーゼ遺伝子」は、本件特許の明細書(以下、「本件明細書」という。)の【0021】に「レポーター遺伝子」として「ルシフェラーゼ遺伝子」が例示されていることからみて、本件発明1の「レポーター遺伝子」に相当する。甲1発明において、「細胞シート積層化物」の細胞は、「ルシフェラーゼ遺伝子が導入されたトランスジェニックラットの心臓から単離された細胞」より作製されたものであるからルシフェラーゼ遺伝子を含んでおり、また、当該「細胞シート積層化物」の細胞(心筋の細胞を含むと認められる。)は、「血管網」の細胞(血管の細胞を含むと認められる。)とは異なる細胞である。したがって、甲1発明の「細胞シート積層化物」の細胞及び「血管網」の細胞は、本件発明1の「レポーター遺伝子を含(む)」「第一の細胞」及び「第一の細胞とは異なる第二の細胞」に、それぞれ相当する。
甲1発明において、「細胞シート積層化物」及び「血管網」は、「血管網付き細胞シート積層化物」中でそれぞれ領域を占めて存在するものである。したがって、甲1発明の「細胞シート積層化物」及び「血管網」は、本件発明1の「第一の細胞を含む第一の領域」及び「第二の細胞を含む第二の領域」に、それぞれ相当する。
甲1発明の「血管網付き細胞シート積層化物」は、血管網と積層された細胞シートを含む三次元構造を有しており、甲1の[0009]の「血管網付き細胞シート積層化物を利用し、生体外において薬剤の生体組織に対する効果を評価ができることを見出した」との記載からみて、生体組織に見立てた組織体と呼べるものであるから、本件発明1の「三次元組織体」に相当する。
ここで、甲1発明において、「血管網」と「細胞シート積層化物」とは、それぞれを構成する細胞が混在せずに存在しているものと認められるから、甲1発明においては、「前記第二の細胞領域には、前記第一の細胞は存在しておらず」、「前記第一の細胞領域には、前記第一の細胞が体積で50%以上存在して」いるものと認められる。

そうすると、本件発明1と甲1発明は、「第一の細胞を含む第一の細胞領域と、前記第一の細胞とは異なる第二の細胞を含む第二の細胞領域とが存在し、前記第二の細胞領域には、前記第一の細胞は存在しておらず、前記第一の細胞領域には、前記第一の細胞が体積で50%以上存在しており、前記第一の細胞がレポーター遺伝子を含む三次元組織体。」で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件発明1では「前記第一の細胞を含む領域が、前記第二の細胞を含む領域の内部に存在し、前記第一の細胞領域の表面が、刺激を与える界面に垂直な軸に対して一定の深さに存在し」と特定されているに対し、甲1発明はそのような特定がない点。

(相違点2)「レポーター遺伝子を含む」「第一の細胞」について、本件発明1は、「レポーター遺伝子」が「外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーターの下流に連結された」ものであり、「第一の細胞」が「外部から刺激に応答して、化学発光、生物発光又は蛍光によって光を発する細胞である」のに対し、甲1発明は、レポーター遺伝子のプロモーターについての特定を有さず、「第一の細胞領域」が「ルシフェリンと接触することにより発せられる蛍光強度により薬剤の影響を評価できる」ものである点。

(2)判断
相違点1について、甲1発明は、第一の細胞を含む領域(細胞シート積層化物)が第二の細胞を含む領域(血管網)を含む血管床の「上に」存在し、第一の細胞を含む領域(細胞シート積層化物)の中に第二の細胞を含む領域(血管網)がはりめぐらされたものであり、したがって、甲1発明において、第一の細胞を含む領域が第二の細胞を含む領域の「内部に」存在するとはいえない。また、甲1において、甲1発明の認定の基礎である実施例2では、薬剤(FGF、βブロッカー)による刺激は血管網への灌流により与えられると認められるところ、甲1には、第一の細胞を含む領域(細胞シート積層化物)の表面を、薬剤等の刺激が与えられる方向に対して一定の距離に配置することに関する記載はなく、甲1の記載から、第一の細胞を含む領域の表面を、刺激を与える界面に垂直な軸に対して一定の深さに配置することを、当業者が導き出せるとはいえない。
また、相違点2について、甲1発明は、「ルシフェリンと接触することにより発せられる蛍光強度により薬剤の影響を評価できる」ものであり、甲1の実施例2に「基質およびATP濃度に依存して蛍光し、蛍光が強い程、細胞活性が高い事を示す。」([0054]、FGFを灌流させた場合)、「ルシフェラーゼによる蛍光強度は、前述のように細胞活性と細胞シートへ流入するルシフェリン濃度に依存する。」([0055]、βブロッカーを灌流させた場合)と記載されていることからみて、甲1発明において、蛍光は、ルシフェラーゼが恒常的に存在する状況で、供給されるルシフェリンやATPの量に応じて発せられているものと認められる。したがって、甲1発明のレポーター遺伝子が「外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーターの下流に連結された」ものとはいえない。また、レポーター遺伝子に関する記載がある[0027]、[0046]を含む甲1の他の記載について検討しても、レポーター遺伝子を「外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーターの下流に連結された」ものとすることについての記載はないから、甲1の記載から、そのようなプロモーターを用いることを、当業者が導き出せるとはいえない。
したがって、相違点1、2として挙げた本件発明1の発明特定事項は、甲1に記載されたものとも、甲1の記載より当業者が容易に想到し得たものともいえない。
また、甲2〜5の記載を参照しても、相違点1、2として挙げた本件発明1の発明特定事項を当業者に動機付ける記載は見当たらない。
よって、本件発明1は、甲1〜5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

4 本件発明2〜12について
本件発明2〜12は、本件発明1を直接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 申立人の主張の検討
(1)申立人の主張
申立人の異議申立書における主張をみると、上記3、4で述べた判断とは異なって、大要、次のア〜ウの主張(以下、「主張ア」等という。)をしているので、これらの主張について以下で検討する。
ア 甲1に基づく引用発明の認定について
甲1には、本件発明と対比すべき発明として「筋肉由来の生体組織において血管網を有する臓器様の血管床上に、心臓組織や皮膚組織から得られた細胞にレポーター遺伝子を導入した細胞シートを積層した、細胞シート積層化物、およびに当該細胞シート積層化物を用いた薬剤の評価方法。」の発明(以下、「申立人認定発明」ともいう。)が記載されている。
イ 本件発明1の「内部に存在し」等について
本件発明1の「内部に存在し」に関して、本件明細書中には、「内部」の定義は存在せず、「三次元組織体は、細胞Aを含む領域の内部に、細胞Bを含む領域が存在していればよく、細胞Bを含む領域は、層状でなくてもよい。」(【0017】)と「層状」が含まれるように記載され、かつ、実施例として、「厚みが1.6mmの細胞A(NHDF細胞)を含む領域11の頂部に細胞B(NFkB−luc細胞)を含む領域12を配置した」(実施例3の【0035】)および「細胞Aを含む細胞シートと、細胞Bを含む細胞シートが2枚重ねに積層されるように構築し」(実施例6の【0045】)た場合が記載されていることを考慮すると、甲1発明のように、細胞B(細胞シート)が細胞A(血管床)上に積層された場合も「内部に存在し」に相当する。
また、本件発明1の「刺激を与える界面に垂直な軸に対して一定の深さに存在し」に関して、本件明細書中には、同語に関する特別な定義は存在せず、「細胞Bを含む領域12は、刺激を与える界面に垂直な軸に対して、一定の深さに存在することが好ましい。これにより、刺激源からの距離又は刺激物質の浸透性の影響を評価することができる。」(【0017】)と記載され、かつ、上記実施例3及び6に係る記載を考慮すると、刺激物質が適切に評価できる程度の「距離」や「浸透性」を備えていればよいとの意味と解される。
ウ 本件発明1の「外部からの刺激」及び「プロモーター」について
本件発明1の「外部からの刺激」に関し、本件明細書中に「外部からの刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、刺激物質の曝露及び取り込み、温度や圧等の物理的変化、低酸素や酸化又は紫外線照射等のストレス要因への曝露、培養条件の変更、培養容器や足場材料への接触等の細胞周辺の微小環境に著しい変化をもたらすものなどが挙げられる。」(【0014】)と記載されているのに対し、甲1では、[0054]の記載からみて、FGFの添加によって「成熟した血管網が誘導され、細胞シートに流入する培地の量が増加し、高い細胞活性を示す」という、本件発明1の「外部からの刺激に応答して、化学発光、生物発光又は蛍光によって光を発する」という手段を用いて、本件明細書の「培養条件の変更」や「細胞周辺の微小環境に著しい変化」の「モニター」を行っており、このとき、「ルシフェラーゼ遺伝子」は、「成熟した血管網が誘導され、細胞シートに流入する培地の量が増加し、高い細胞活性を示す」ことに呼応して活性化しており、「ルシフェラーゼ遺伝子」の「プロモーター」も「外部からの刺激で応答して」いる状態であると考えられる。また、甲1には「ルシフェラーゼ遺伝子(レポーター遺伝子)」の発現を調節するプロモーター配列については、「特に限定されるものではなく、レポーター遺伝子発現の検出目的に応じ適宜選択可能である」([0027])と記載されており、特定の標的遺伝子のプロモーター配列の下流にレポーター遺伝子を導入する態様を選択することについても、これを阻害する要因は何ら存在しないものと解される。してみれば、甲1発明は、本件発明1の「前記第一の細胞が、外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーターの下流に連結されたレポーター遺伝子を含み、外部からの刺激に応答して、化学発光、生物発光又は蛍光によって光を発する細胞であることを特徴とする」に該当している。
さらに、甲1発明においては、「外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーター」として、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の天然のプロモーターが用いられているところ、甲2には「3次元培養皮膚細胞を被験物質に曝露したときの標的遺伝子の発現を測定するために、被験物質に特異的に応答する標的遺伝子のプロモーターの下流に連結されたレポーター遺伝子(レポーターアッセイ)を使用する、被験物質の皮膚感作性を評価する方法。」との技術事項が記載されており、申立人認定発明の「心臓組織や皮膚組織から得られた細胞にレポーター遺伝子を導入した細胞シート」を作成する際に、皮膚組織における「外部からの刺激」に対応して、当該「プロモーター」を被験物質に特異的に応答する「被験物質に特異的に応答する標的遺伝子のプロモーター」に交換することは、当業者であれば、容易に想到することである。

(2)申立人の主張に対する判断
ア 申立人の主張アについて
上記2で述べた当審が認定した甲1発明と上記5(1)アで述べた申立人認定発明とは、細胞シートの細胞に関し、甲1の実施例2(甲1における細胞シート積層化物を利用した薬剤の評価方法についての実施例)で用いられた心臓組織から得られた細胞である場合を含む点では共通しているものの、後者において皮膚組織から得られた細胞である場合を含む点で異なっている。
この点、甲1の[0045]や[請求項11]には、皮膚組織から得られた細胞が、用い得るいくつかの細胞の一つとして挙げられている。しかしながら、レポーター遺伝子を有する細胞を含む血管網付き細胞シート積層化物が記載されているのは、上記2において甲1発明の認定の基礎とした実施例2のみであって、実施例2でレポーター遺伝子を有する細胞として用いられたのは心筋細胞のみである。ここで、[0045]や[請求項11]に選択肢として挙げられた複数の細胞のうちことさら皮膚組織から得られた細胞を心筋細胞と同列のものとして引用発明の認定に取り上げる動機付けに係る記載は、甲1には見出せない。
また、たとえレポーター遺伝子を有する皮膚組織から得られた細胞を用いる発明を甲1に記載された発明として認定できるとしても、相違点1、2についての認定は変わるものではなく、上記3(2)及び以下で述べるこれらの相違点に係る判断に影響するものではない。
イ 申立人の主張イについて
本件発明1の「前記第一の細胞を含む領域が、前記第二の細胞を含む領域の内部に存在し」とは、その文言どおり、「第一の細胞を含む領域」の全体が、「第二の細胞を含む領域」に取り囲まれて存在する状態を指すと解するべきである。このことは、「前記第一の細胞領域の表面が、刺激を与える界面に垂直な軸に対して一定の深さに存在し」と、「第一の細胞を含む領域の表面」の、「第二の細胞を含む領域」中の「深さ」を特定していることとも矛盾しない。
これに対して、申立人が挙げる本件明細書【0017】の記載は細胞Bの領域(「第一の細胞領域」)自体が層状であってもなくても良いことを述べたものにすぎず、層状か否かと細胞Bを含む領域(「第一の細胞領域」)が細胞Aの領域(「第二の細胞領域」)の「内部」に存在しているか否かに直接の関係はない。
また、申立人が挙げる実施例6も、請求項1の「前記第一の細胞を含む領域が、前記第二の細胞を含む領域の内部に存在し」及び「前記第一の細胞領域の表面が、刺激を与える界面に垂直な軸に対して一定の深さに存在し」という記載に通常の文言の意味とは異なる意味を与えるものとはいえない。
よって、申立人の主張イは採用することができない。
ウ 申立人の主張ウについて
上記3(2)でも述べたとおり、甲1発明において、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)のプロモーターは、恒常的な発現を行うものであり、FGFやβ−ブロッカーといった外部からの刺激に応答しているとは認められない。よって、甲1発明において、第一の細胞が含むレポーター遺伝子は、「外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーターの下流に連結された」ものでない。
上述のとおり、甲1発明は、「ルシフェリンと接触することにより発せられる蛍光強度により薬剤の影響を評価できる」ものであって、ルシフェラーゼが恒常的に過剰に存在する状況で、供給されるルシフェリンやATPの量の変動に応じた蛍光の検出を行うものである。これに対し、本件発明は、本件明細書に「発光細胞は、レポーター遺伝子が導入されていることが好ましい。これにより、応答をモニターする標的遺伝子の転写活性による発現レベルを測定することができる。この場合、レポーター遺伝子は、発現レベルを測定する標的遺伝子のプロモーターの下流に連結されている。」(【0021】)と記載されるように、レポーター遺伝子の発現レベルの変動に応じた蛍光の検出を行うものである。したがって、本件発明と甲1発明は、蛍光による測定の対象とする外部からの刺激への応答の現象や機序を異にするものである。そして、甲1には、外部からの刺激に応じたレポーター遺伝子の発現レベルの変動を測定することについて記載も示唆もないから、当業者が、甲1発明において、レポーター遺伝子のプロモーターを「外部からの刺激に対する応答をモニターする標的遺伝子のプロモーター」にする動機付けがあるとは認められず、たとえ甲2にそのような標的遺伝子のプロモーターについて開示があるとしても、当業者が甲1と甲2とを組み合わせようとする動機付けがあるともいえない。
よって、申立人の主張ウは採用することができない。

(3)小括
以上より、申立人の主張について検討しても、上記3(2)、4で述べた判断に変わりはない。

6 小括
よって、本件発明1〜12に対する取消理由1(甲1に基づく新規性欠如)及び取消消理由2(甲1を主引用例とする進歩性欠如)は理由がない。

第5 むすび
以上のとおり、本件特許に係る特許異議申立てにおいて申立人が主張する申立理由は、いずれも理由がないから、本件発明1〜12に係る特許は、取り消すことができない。
ほかに、本件発明1〜12に係る特許を取り消すべき理由も発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2024-03-27 
出願番号 P2017-045225
審決分類 P 1 651・ 113- Y (C12N)
P 1 651・ 121- Y (C12N)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 長井 啓子
特許庁審判官 加々美 一恵
鶴 剛史
登録日 2023-07-20 
登録番号 7316745
権利者 株式会社リコー
発明の名称 三次元組織体  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 廣田 浩一  
代理人 伊東 忠重  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ