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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1409947 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-04-27 |
確定日 | 2024-04-08 |
事件の表示 | 特願2021−118983「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月14日出願公開、特開2021−164841〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本願は、平成30年6月4日に出願した特願2018−106597号の一部を令和3年7月19日に新たな特許出願(特願2021−118983)としたものであって、令和4年4月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年11月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和5年2月9日付け(謄本送達日:同月17日)で、令和4年11月22日付けの手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和5年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和5年4月27日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年4月27日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 (1)本件補正は、令和4年7月4日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における (補正前) 「【請求項1】 始動条件が成立すると、遊技者にとって有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、 図柄を変動させてから停止させることにより前記特別遊技判定の結果を報知する図柄制御手段と、 音を出力する出力手段と、 演出を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の信号を受信することが可能であり、 前記特別遊技判定の結果に基づいて、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出と、特別遊技が行われることを示唆する第2演出とを実行可能であり、 操作手段に対する操作を促す操作促進演出を実行可能であり、 前記出力手段から出力される音の出力制御を行うことが可能であり、 前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第2演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 前記図柄の変動開始に応じて前記第1音を出力可能であり、 前記音が停止される所定期間において特別遊技が実行される可能性を示唆する事前演出音を出力することが可能である、遊技機。」を、 審判請求時に提出された手続補正書(令和5年4月27日提出)の特許請求の範囲の請求項1における (補正後) 「【請求項1】 始動条件が成立すると、遊技者にとって有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、 図柄を変動させてから停止させることにより前記特別遊技判定の結果を報知する図柄制御手段と、 音を出力する出力手段と、 演出を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の信号を受信することが可能であり、 前記特別遊技判定の結果に基づいて、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出と、特別遊技が行われることを示唆する示唆演出とを実行可能であり、 操作手段に対する操作を促す操作促進演出を実行可能であり、 前記出力手段から出力される音の出力制御を行うことが可能であり、 前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合、前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するときとがあり、 前記第1演出パターンを実行する場合、前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 前記第2演出パターンを実行する場合、前記第2回数目の前記示唆演出よりも前に、前記操作促進演出を実行してから前記示唆演出として第1示唆演出を実行し、前記操作促進演出及び前記第1示唆演出中は、当該操作促進演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1示唆演出の後、前記第2回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 前記図柄の変動開始に応じて前記第1音を出力可能であり、 前記音が停止される所定期間において特別遊技が実行される可能性を示唆する事前演出音を出力することが可能である、遊技機。」にする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 (2)補正事項 本件補正後の請求項1に係る上記補正は、以下の補正事項からなる。 ア 補正事項1 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2演出」に関して、後記イで「第1演出パターン」に関する記載を追加することに伴い用語の混同を防ぐために「示唆演出」に用語を変更する補正(以下「補正事項1」という。)。 イ 補正事項2 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために、「前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合、前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するときとがあ」るという記載を追加する補正(以下「補正事項2」という。)。 ウ 補正事項3 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であ」るときに「前記第1回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行」することを限定するとともに、「第1音の出力を継続可能であ」るときは「前記第1演出パターンを実行する場合」であることを限定する補正(以下「補正事項3」という。)。 エ 補正事項4 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために、「前記第2演出パターンを実行する場合、前記第2回数目の前記示唆演出よりも前に、前記操作促進演出を実行してから前記示唆演出として第1示唆演出を実行し、前記操作促進演出及び前記第1示唆演出中は、当該操作促進演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1示唆演出の後、前記第2回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止」するという記載を追加する補正(以下「補正事項4」という。)。 2 補正の適否 (1)新規事項について 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0356】、【0385】〜【0415】、【0610】〜【0620】、図44及び図46等の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 (2)補正の目的について 補正事項2では、新たに「第2演出パターン」が追加され、それに伴って補正事項4で「第2演出パターン」がどのような演出であるかについての記載が追加されており、補正事項2及び4の目的は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)、同項第3号に掲げる誤記の訂正、同項第4号に掲げる明りようでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 したがって、本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、本件補正は同項の規定に違反する。 3 独立特許要件について 上記2(2)で述べたとおり、本件補正は目的外補正であることを理由として却下すべきものであるが、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A等は、分説するため当審にて付した。)。 「【請求項1】 A 始動条件が成立すると、遊技者にとって有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、 B 図柄を変動させてから停止させることにより前記特別遊技判定の結果を報知する図柄制御手段と、 C 音を出力する出力手段と、 D 演出を制御する演出制御手段と、を備え、 D 前記演出制御手段は、 E 所定の信号を受信することが可能であり、 F 前記特別遊技判定の結果に基づいて、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出と、特別遊技が行われることを示唆する示唆演出とを実行可能であり、 G 操作手段に対する操作を促す操作促進演出を実行可能であり、 H 前記出力手段から出力される音の出力制御を行うことが可能であり、 I 前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合、前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するときとがあり、 K 前記第1演出パターンを実行する場合、前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 L 前記第2演出パターンを実行する場合、前記第2回数目の前記示唆演出よりも前に、前記操作促進演出を実行してから前記示唆演出として第1示唆演出を実行し、前記操作促進演出及び前記第1示唆演出中は、当該操作促進演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1示唆演出の後、前記第2回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、当該操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 M 前記図柄の変動開始に応じて前記第1音を出力可能であり、 N 前記音が停止される所定期間において特別遊技が実行される可能性を示唆する事前演出音を出力することが可能である、 O 遊技機。」 (2)引用例1の記載事項、引用発明 ア 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用例1として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−75226号公報(平成30年5月17日公開)(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 「【発明を実施するための形態】 【0026】 以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」 「【0029】 遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の画面上では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。 【0030】 一例として、画像表示装置5の画面上には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。 【0031】 このように、画像表示装置5の画面上では、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示することなどが含まれてもよい。」 「【0045】 遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。」 「【0050】 主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を制御することといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えている。 ・・・ 【0052】 演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。 ・・・ 【0054】 図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、始動口スイッチ(第1始動口スイッチ22Aおよび第2始動口スイッチ22B)、カウントスイッチ23といった、各種スイッチからの検出信号を伝送する配線が接続されている。なお、各種スイッチは、例えばセンサと称されるものなどのように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20などの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。 ・・・ 【0056】 主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。」 「【0069】 パチンコ遊技機1においては、遊技媒体としての遊技球を用いた所定の遊技が行われ、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となる。遊技球を用いた遊技の一例として、パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方に設置された打球操作ハンドルが遊技者によって所定操作(例えば回転操作)されたことに基づいて、所定の打球発射装置が備える発射モータなどにより、遊技媒体としての遊技球が遊技領域に向けて発射される。遊技領域を流下した遊技球が、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口(第1始動領域)を通過(進入)すると、図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことなどにより第1始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始される。 【0070】 また、遊技球が普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口(第2始動領域)を通過(進入)すると、図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことなどにより第2始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始される。ただし、普通可変入賞球装置6Bが第2可変状態としての通常開放状態や閉鎖状態であるときには、第2始動入賞口を遊技球が通過困難または通過不可能である。 ・・・ 【0072】 第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターンの決定などが行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図2に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。 ・・・ 【0074】 特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」(特定表示結果)となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態(有利状態)としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄が導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」(非特定表示結果)となる。 【0075】 第1特別図柄表示装置4Aまたは第2特別図柄表示装置4Bに大当り図柄が停止表示(導出)されて可変表示結果が「大当り」となる場合には、画像表示装置5の表示領域において、予め定められた大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示される。一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける所定の有効ライン上に同一の飾り図柄が揃って停止表示されることにより、大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示されればよい。」 「【0082】 飾り図柄の可変表示中には、リーチ演出あるいは「擬似連」などの可変表示演出とは異なり、例えば所定の演出画像を表示することや、メッセージとなる画像表示や音声出力などのように、飾り図柄の可変表示動作とは異なる演出動作により、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる可能性があることや、スーパーリーチによるリーチ演出が実行される可能性があること、可変表示結果が「大当り」となる可能性があることなどを、遊技者に予め告知するための予告演出が実行されることがある。 【0083】 予告演出となる演出動作は、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となるより前(「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rにて飾り図柄が仮停止表示されるより前)に実行(開始)されるものであればよい。また、可変表示結果が「大当り」となる可能性があることを報知する予告演出には、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となった後に実行されるものが含まれていてもよい。このように、予告演出は、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定特別図柄や確定飾り図柄が導出されるまでの所定タイミングにて、大当り遊技状態となる可能性を予告できるものであればよい。こうした予告演出を実行する場合における演出動作の内容(演出態様)に対応して、複数の予告パターンが予め用意されている。」 「【0090】 一例として、主基板11の側で用いられる遊技用乱数には、特図表示結果決定用の乱数値MR1と、大当り種別決定用の乱数値MR2と、変動パターン決定用の乱数値MR3と、普図表示結果決定用の乱数値MR5とが含まれていればよい。特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である。大当り種別決定用の乱数値MR2は、可変表示結果を「大当り」とする場合に、大当り種別を「非確変」、「確変」のいずれかといった、複数種別のいずれかに決定するために用いられる乱数値である。変動パターン決定用の乱数値MR3は、特別図柄や飾り図柄の可変表示における変動パターンを、予め用意された複数パターンのいずれかに決定するために用いられる乱数値である。普図表示結果決定用の乱数値MR5は、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果を「普図当り」として普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を閉鎖状態(通常開放状態)よりも高い頻度で遊技球が通過(進入)しやすい開放状態(拡大開放状態)に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である。」 「【0097】 ステップS208の処理を実行した後に、CPU103は、始動入賞の発生時に対応した所定の遊技用乱数を抽出する(ステップS209)。一例として、ステップS209の処理では、乱数回路104やRAM102の所定領域(遊技制御カウンタ設定部など)に設けられたランダムカウンタ等によって更新される数値データのうちから、特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データが抽出される。こうして抽出された各乱数値を示す数値データが保留データとして、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭にセットされることで記憶される(ステップS210)。」 「【0105】 図3に示すステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。このとき、可変表示結果が「大当り」に決定された場合には、大当り種別を複数種別のいずれかに決定する。大当り種別の決定結果を示すデータがRAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部)に設けられた大当り種別バッファに格納されることにより、大当り種別が記憶される。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄、ハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。」 「【0322】 上記実施の形態では、スーパーリーチのリーチ演出において図23(D)〜図23(H)に示すバトル演出を実行する例を示したが、これは一例である。例えば、例えば、スーパーリーチのリーチ演出の後半(例えば可変表示の終了10秒前など)に、上記実施の形態とは異なる種類のバトル演出として、味方と敵のキャラクタを交互に表示したり、味方と敵の表示に合わせてランプ(遊技効果ランプ9や各種LED)を異なる色で点灯させ、遊技者の動作に基づいて大当りか否かといった当否を報知するようにしてもよい(図28、図29参照)。なお、味方と敵のキャラクタを交互に繰り返し表示すること、味方と敵の表示に合わせて異なる色でランプ(遊技効果ランプ9や各種LED)を繰り返し点灯させることを、特別演出を繰り返し実行するといい、遊技者の動作に基づいて大当りか否かといった当否を報知することを、報知演出を実行するという。また、特別演出が実行されてから報知演出が行われるまでの演出(すなわち特別演出が繰り返し行われ、遊技者の動作に基づいて報知演出が実行されるまでの演出)を報知前演出という。 【0323】 また、報知前演出では、時間経過とともに特別演出の繰り返し速度が速くなればよい(すなわち、味方と敵のキャラクタの表示切り替えの速度と点灯切り替えの速度が徐々に早くなるなど)。そして、報知演出の直前の期間(例えば後述する操作促進演出前の1秒間)には、画像表示装置5の表示が一面黒に表示され、遊技者が表示内容を認識不可能となるブラックアウト表示が行われればよい。その後遊技者の動作(例えばプッシュボタン31Bやスティックコントローラ31Aに対する動作)を促進する操作促進演出(例えば遊技者に所定の動作を促す表示や音声出力を行う演出)を行い、遊技者の動作(操作)を検出したことにより報知演出を実行すればよい。さらに、報知前演出の実行期間中は、背景表示の表示速度を徐々に低下させるとともに、BGMの出力音量も徐々に低下させればよい。これによれば、特別演出が繰り返し行われることにより味方と敵のキャラクタの表示などに遊技者の注目を集めることができる。」 「【0329】 ステップS809の処理を実行した後、演出制御用CPU120は、遊技者による動作を検知したか否かを判定する(ステップS810)。具体的に、ステップS810の処理では、ステップS809により遊技者に指定した動作が行われたか否か判定すればよい。例えば、遊技者にプッシュボタン31Bに対する動作を指定した場合には、当該プッシュボタン31Bに対する動作が行われたか否か、また、スティックコントローラ31Aに対する動作を指定した場合には、当該スティックコントローラ31Aに対する動作が行われたか否かを判定すればよい(両方に対する動作を指定した場合には両方)。遊技者による動作を検知したと判定した場合(ステップS810;Yes)、演出制御用CPU120は、大当りか否かといった当否を報知する報知演出を実行するための報知演出制御を行う(ステップS811)。具体的にステップS811の処理では、大当りであるか否かに応じて演出態様が異なっている。例えば、可変表示結果が「大当り」となる場合には、遊技効果ランプ9や各種LEDをレインボー発光させるとともに、「大当り」となったことを報知する報知画像として、バトルに勝利したことを認識可能に表示する(「味方」の画像を最終的に表示するとともに、勝利したことを示す画像を表示するなど)。これに対し、可変表示結果が「ハズレ」となる場合には、遊技効果ランプ9や各種LEDをレインボー発光させずに、通常の態様(例えば「白」など)で発光させ、「ハズレ」となったことを報知する報知画像として、バトルに敗北したこと(敵が勝利した画像や、味方が敗北した画像など)を認識可能に表示する。」 「【0334】 図28は、変形例における報知前演出などの実行タイミングを示す図であり、より具体的には、報知前演出と報知演出との実行タイミングを示すタイミングチャートである。なお、上述したように、報知前演出は、スーパーリーチのリーチ演出の後半(例えば可変表示の終了10秒前など)に実行が開始される。なお、図28に示す例では、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量は、報知前演出の開始時までは一定の速度および音量となっているものとする(ムービーの速度は「速」で、音量は「大」)。 【0335】 図27のステップS804にて報知前演出期間であると判定されると、ステップS805の処理により、図28に示すように、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量が時間経過とともに徐々に低下する。また、これに合わせて、「味方」と「敵」のキャラクタが交互に表示されるとともに、「味方」のキャラクタに合わせて遊技効果ランプ9や各種LEDが「赤」の色で点灯し、「敵」のキャラクタに合わせて遊技効果ランプ9や各種LEDが「青」の色で点灯する(特別演出を繰り返し行う)。なお、背景として表示されるムービーの速度やBGMとして出力される音量は、徐々に速度を遅くしたり、音量を低下させるなど、再生速度を変化させることにより実現してもよいし、選択された演出制御パターンにて予め徐々に速度や音量が低下していくよう設定された演出制御実行データを用いることにより実現してもよい。また、図示する例では、時間経過とともに表示切り替えの速度(点灯切り替えの速度も同様)が速くなるとともに表示期間(点灯期間も同様)も短くなる。また、図示する例では、表示やランプ(遊技効果ランプ9や各種LED)の切り替え時に非表示期間や消灯期間を設けているが、これらの期間はなくてもよい。また、時間経過とともに非表示期間や消灯期間が短くなり、例えばブラックアウト期間の前2回の切り替え時に、非表示期間や消灯期間がなくなるようにしてもよい。また、図示するように、報知前演出の後半では、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量の変化を停止する(ムービーの速度および音量が一定になる)例を示しているが、ムービー自体を停止し、かつ音量を消音としてもよい。また、操作促進演出の実行時には通常のムービー速度、BGM音量(報知前演出の実行前の速度および音量)となるようにしてもよい。さらに、操作有効期間の開始に伴ってムービーを停止させてもよい。また、BGMについては、それまでに出力されていた音の残響音(エコー)を出力してもよい。また、報知前演出の後半に、出力されていた音の残響音(エコー)を出力し、操作有効期間の開始に伴って音量を消音としてもよい。 【0336】 図27のステップS806にてブラックアウト期間であると判定されると、ステップS807の処理により、図28に示すように、遊技効果ランプ9や各種LEDを消灯し、画像表示装置5の表示を一面黒で表示する(「敵」「味方」のキャラクタを消去し)などのブラックアウト表示の演出制御を行う。そして、図27のステップS808にて操作促進演出期間であると判定されると、ステップS809の処理にて操作促進演出が実行されるとともに、図28に示すように操作有効期間となる。上述したように、この例では操作有効期間と操作促進演出期間が同タイミングで開始され同じ期間となっている。そのため、図示するように、操作有効期間が開始されると、遊技者の動作を促進する操作促進画像が表示されるとともに、例えばプッシュボタン31Bを発光させるなどの操作促進発光が行われる。なお、遊技者による動作を検知した場合には、大当りか否かといった当否を報知する報知演出を実行する。」 「 」 「 」 イ 認定事項 上記アの図28には、「操作有効期間」がオフからオンになる部分に「操作促進演出」、「報知演出」及び「(操作に応じて当否を報知)」と記載されており、また「BGM」については、音量が変化してから一定の状態が続くことが看取できる。 そして、上記アの【0335】の「・・・報知前演出期間であると判定されると、ステップS805の処理により、図28に示すように、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量が時間経過とともに徐々に低下する。・・・また、報知前演出の後半に、出力されていた音の残響音(エコー)を出力し、操作有効期間の開始に伴って音量を消音としてもよい。」との記載と総合すると、「BGMとして出力される音量が時間経過とともに徐々に低下し、報知前演出の後半では、音量を消音としてもよく、報知前演出の後半に、操作有効期間の開始に伴って音量を消音とし、操作有効期間の経過後あるいは操作後も消音を続ける」ことが記載されていると認められる。 ウ 引用発明 上記アに摘記した記載事項及び上記イの認定事項より、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める(記号a等は、本件補正発明の記号A等に対応させて当審にて付した。)。 「a 主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105とを備えて構成され(【0056】、始動入賞の発生時に特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データが抽出され(【0097】)、特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値であり(【0090】)、 b 主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20などの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されており(【0054】)、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御するといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えており(【0050】)、特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄が導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」(非特定表示結果)となり(【0074】)、第1特別図柄表示装置4Aまたは第2特別図柄表示装置4Bに大当り図柄が停止表示(導出)されて可変表示結果が「大当り」となり(【0075】)、 c 効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており(【0045】)、 d、e 中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている演出制御基板12(【0052】)を備え、 f、g 画像表示装置5の画面上では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示され(【0029】)、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる可能性があることや、スーパーリーチによるリーチ演出が実行される可能性があること、可変表示結果が「大当り」となる可能性があることなどを、遊技者に予め告知するための予告演出が実行されることがあり(【0082】)、予告演出となる演出動作は、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となるより前(「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rにて飾り図柄が仮停止表示されるより前)に実行(開始)されるものであればよく、可変表示結果が「大当り」となる可能性があることを報知する予告演出には、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となった後に実行されるものが含まれていてもよく、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定特別図柄や確定飾り図柄が導出されるまでの所定タイミングにて、大当り遊技状態となる可能性を予告できるものであればよく、予告演出を実行する場合における演出動作の内容(演出態様)に対応して、複数の予告パターンが予め用意されており(【0083】)、 f〜m スーパーリーチのリーチ演出の後半(例えば可変表示の終了10秒前など)に、遊技者の動作に基づいて報知演出として大当りか否かといった当否を報知するようにしてもよく(【0322】)、報知演出の直前の期間(例えば操作促進演出前の1秒間)には、画像表示装置5の表示が一面黒に表示され、遊技者が表示内容を認識不可能となるブラックアウト表示が行われればよく、その後遊技者の動作(例えばプッシュボタン31Bやスティックコントローラ31Aに対する動作)を促進する操作促進演出(例えば遊技者に所定の動作を促す表示や音声出力を行う演出)を行い、遊技者の動作(操作)を検出したことにより報知演出を実行すればよく、さらに、報知前演出の実行期間中は、背景表示の表示速度を徐々に低下させるとともに、BGMの出力音量も徐々に低下させればよく(【0323】)、報知前演出は、スーパーリーチのリーチ演出の後半(例えば可変表示の終了10秒前など)に実行が開始され(【0334】)、報知前演出期間であると判定されると、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量が時間経過とともに徐々に低下し、報知前演出の後半では、音量を消音としてもよく、報知前演出の後半に、操作有効期間の開始に伴って音量を消音とし、操作有効期間の経過後あるいは操作後も消音を続ける(【0335】、認定事項) o パチンコ遊技機(【0026】)。」 (3)周知技術 ア 周知技術1 (ア)周知例1 a 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用例2として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−213214号公報(平成29年12月7日公開)(以下「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0011】 [1.パチンコ機の全体構造] 本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1乃至図10を参照して本実施形態のパチンコ機1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態であるパチンコ機の正面図である。図2はパチンコ機の右側面図であり、図3はパチンコ機の左側面図であり、図4はパチンコ機の背面図である。図5はパチンコ機を右前から見た斜視図であり、図6はパチンコ機を左前から見た斜視図であり、図7はパチンコ機を後ろから見た斜視図である。また、図8は本体枠から扉枠を開放させると共に、外枠から本体枠を開放させた状態で前から見たパチンコ機の斜視図である。図9はパチンコ機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して前から見た分解斜視図であり、図10はパチンコ機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して後ろから見た分解斜視図である。」 「【2651】 AUTOグループ3で出力される具体的な音としては、例えば、始動入賞時の保留入賞音、保留表示が変化したことを示す保留変化音、演出ボタンを押下したことを報知するボタン押下音などである。本実施形態では、グループボリューム優先順位が同じ場合には、通常のボリュームでそのまま音を出力する。そのため、AUTOグループ2のブラックアウト演出が実行されて、BGMなどの出力が規制されている状態であっても、AUTOグループ3に属する音は出力される。例えば、遊技球が始動入賞口に入球した場合には、ブラックアウト演出実行中であっても保留入賞音が出力されることになる。」 b 周知例1に記載の事項 上記aに摘記した記載事項より、周知例1には次の事項が記載されている(以下「周知例1の記載事項」という。)。 「ブラックアウト演出が実行されて、BGMなどの出力が規制されている状態であっても、遊技球が始動入賞口に入球した場合には、保留入賞音が出力される(【2651】)パチンコ機1(【0011】)。」 (イ)周知例2 a 記載事項 新たに提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−154738号公報(平成28年9月1日公開)(以下「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0022】 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機、スロットマシン等のその他の遊技機であってもよく、画像表示による演出を実行可能な遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。」 「【0281】 ステップアップ予告演出およびBGM音演出のような特定演出と、ブラックアウト演出のような視認困難演出とが重複して実行されるときに、図20(d)のように、ステップアップ予告については、ステップアップ予告音を消音し、BGM音演出については、図20(e)のようにBGM音を最小限音にするというように、特定演出の種類に応じて、音出力の制限度合が異なる。このように、特定演出の種類に応じて音出力の制限度合が異なることにより、たとえば視認困難演出への注目の妨げにならない特定演出の音出力をあまり制限しない等、特定演出の音出力が一律に制限されず、遊技の興趣を向上させることができる。 ・・・ 【0284】 また、ブラックアウト演出とステップアップ予告演出とが重複して実行されるときについて、図20(f)に示されたエラー音、および、図20(g)に示された入賞音は、演出制御用マイクロコンピュータ100により、それぞれ、ブラックアウト演出が実行される期間中において、特に制限されることなく、規定の音を出力する制御が行なわれる。ブラックアウト演出との重複期間中であっても、エラー音が制限されないことにより、エラー音に応じて、異常状態が生じたことを確実に報知することができる。また、ブラックアウト演出との重複期間中であっても、入賞音が制限されないことにより、入賞音に応じて、入賞が生じたことを確実に報知することができる。」 b 周知例2に記載の事項 上記aに摘記した記載事項より、周知例2には次の事項が記載されている(以下「周知例2の記載事項」という。)。 「ステップアップ予告演出およびBGM音演出のような特定演出と、ブラックアウト演出のような視認困難演出とが重複して実行されるときに、ステップアップ予告については、ステップアップ予告音を消音し、BGM音演出については、BGM音を最小限音にし(【0281】)、入賞音は、特に制限されることなく、規定の音を出力する制御が行なわれる(【0284】)パチンコ遊技機(【0022】)。」 (ウ)周知技術1 上記周知例1の記載事項及び周知例2の記載事項を総合すると、 「パチンコ機において、ブラックアウト演出が実行されてBGMの出力が規制されている状態であっても、保留入賞音が出力されること。」は本願出願前に遊技機の分野で周知(以下「周知技術1」という。)であると認められる。 イ 周知技術2 (ア)周知例3 a 記載事項 原査定と同日付けの補正却下の決定において引用例3として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−189200号公報(平成29年10月19日公開)(以下「周知例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0012】 <<遊技機の基本構成>> 図1は、本実施形態に係る遊技機100の正面図である。図1を参照して遊技機100の基本構成を説明する。遊技機100は、遊技盤101を含む他、図1に示された各構成部材を備える。尚、上下左右とは、特に記述無き限り、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者から見た上下左右を指す。上下方向も左右方向も遊技盤101の盤面に平行である。上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向に平行である。また特に記述無き限り、前方とは、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者に対して近い方を指し、後方は、特に記述無き限り、遊技機100及び遊技盤101に正対する遊技者に対して遠い方を指す。」 「【0217】 図20の変動演出パターンHEp_a12、HEp_a13又はHEp_a21による変動演出が行われる際、上述の各実施例では、複数回の操作演出の内、最後の操作演出(即ちリーチ当落操作演出)においてのみ操作の入力に応じ大当たり確定演出が行われるが、最後の操作演出よりも前の操作演出において操作の入力に応じ大当たり確定演出が行われることがあっても良い。 【0218】 図29(a)及び(b)を参照して、この方法を詳説する。以下、最後の操作演出よりも前の操作演出において、操作の入力に応じて行われる大当たり確定演出を、特に、事前大当たり確定演出と称する。また、事前大当たり確定演出との区別を明確すべく、最後の操作演出において、操作の入力に応じて行われる大当たり確定演出を、最終大当たり確定演出と呼ぶことがある。変動演出において、事前大当たり確定演出が行われた場合にも、その後に最終大当たり確定演出が行われる(但し、事前大当たり確定演出が行われたならば、その後の最終大当たり確定演出を非実行とすることも可能である)。 【0219】 最後の操作演出よりも前の操作演出は、例えば、リーチ煽り操作演出である。上述したように、図20の変動演出パターンHEp_a12、HEp_a52、HEp_a13、HEp_a21及びHEp_a53による各変動演出において、リーチ煽り操作演出の実行後であって且つリーチ当落操作演出の実行前に又はリーチ煽り操作演出の実行前に1回以上の他の操作演出が行われることがあっても良く、この場合、その1回以上の他の操作演出の何れかが、事前大当たり確定演出が実行される、最後の操作演出よりも前の操作演出であって良い。 【0220】 事前大当たり確定演出は、最終大当たり確定演出と同様、判定対象TTが何れかの種類の大当たりに当選しているときにしか実行されない演出であり、従って、事前大当たり確定演出の発生を認知した遊技者は、その時点で、判定対象TTが大当たりに当選していると理解できる。」 「 」 b 周知例3に記載の事項 上記aに摘記した記載事項より、周知例3には次の事項が記載されている(以下「周知例3の記載事項」という。)。 「最後の操作演出よりも前の操作演出において、操作の入力に応じて行われる事前大当たり確定演出を行い(【0217】、【0218】)、最後の操作演出よりも前の操作演出は、例えば、リーチ煽り操作演出であって(【0219】)、変動演出において、事前大当たり確定演出が行われた場合にも、その後に最終大当たり確定演出が行われる(【0218】)遊技機100(【0012】)。」 (イ)周知例4 a 記載事項 原査定と同日付けの補正却下の決定において引用例4として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−184839号公報(平成29年10月12日公開)(以下「周知例4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0011】 [遊技機1の概略構成例] まず、図1及び図2を参照しつつ、遊技機1の概略構成について説明する。ここで、図1は、遊技機1の概略正面図である。図2は、遊技機1の一部を示す平面図である。図1に例示されるように、遊技機1は、入賞や判定に関する役物等が設けられた遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行配置された透明なガラス板を支持しており、このガラス板と遊技盤2とによって、遊技球が流下可能な遊技領域10が形成されている。」 「【0089】 図5の説明に戻り、客待ちメニュー画面が表示された状態で遊技者が演出ボタン26を操作すると、図5(C)に例示されるプレミア演出発生率設定画面が表示される。ここで、プレミア演出は、大当たり遊技が実行されることを示唆する示唆演出である。より詳細に説明すると、プレミア演出は、図柄の変動表示中に行われる予告演出のうちの、大当たり図柄が停止表示されることになる図柄の変動表示中にしか出現しない予告演出であり、他の予告演出に比べて出現率が低い予告演出である。 図5(C)に例示されるように、プレミア演出発生率設定画面は、プレミア演出の出現率に関する2つの選択項目(「通常」と「大幅UP」)と、演出キー27の左キー又は右キーを操作すると2つの選択項目に対するカーソル移動が行えることを示す画像と、演出ボタン26を操作するとプレミア演出の発生率に関する選択を決定できることを示す画像とを有して構成されている。」 「【0175】 装飾図柄の変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、例えばリーチ前演出が実行されている状況において、所定のプレミア演出が実行される場合がある(図11(C)参照)。このプレミア演出は、例えば、所定のキャラクタを液晶画面の右上に表示すると共に、このキャラクタが特定のセリフを発する演出音をスピーカ24から出力する演出として構成される。」 「【0344】 また、本実施形態では、大当たり遊技が実行されることを示唆する示唆演出がプレミア演出である場合について説明したが、示唆演出は、大当たりが実行されることを遊技者が認識できる演出であれば、プレミア演出以外の演出であっても構わない。 【0345】 示唆演出は、例えば、所定の演出モードにおいてのみ実行可能であり、大当たり遊技が実行される場合にしか実行されない演出であってもよい。 また、示唆演出は、例えば枠ランプ37を虹色に発光させると共にスピーカ24から特定の演出音を出力する、いわゆる一発告知と呼ばれる演出であってもよい。 また、示唆演出は、遊技者による入力手段に対する入力とは無関係に実行される演出に限らず、当該入力に応じて実行される演出であってもよい。 また、示唆演出は、例えば、演出キー27の上キーまたは下キーの操作に応じて実行される演出であって、大当たり遊技を実行すると判定された場合に抽選により決定されたキーと同じキーが操作された場合には実行される一方で、決定されたキーと異なるキーが操作された場合には実行されない演出であってもよい。 また、示唆演出は、例えば、所定の入力手段に対する入力を予め定められた回数だけ行ったことを条件として実行される演出であってもよい。 また、示唆演出は、例えば、遊技者に対して演出ボタン26の操作を促すボタン演出(例えば図8(A)に例示されるような演出)が行われていない状態で遊技者が演出ボタン26を用いて所定の操作を行ったことを条件として実行される演出であってもよい。すなわち、示唆演出は、いわゆる裏ボタンの操作が行われたことに応じて実行される演出であってもよい。」 b 周知例4に記載の事項 上記aに摘記した記載事項より、周知例4には次の事項が記載されている(以下「周知例4の記載事項」という。)。 「装飾図柄の変動表示が開始されてから所定時間が経過するとリーチ前演出が実行されている状況において、遊技者による入力手段に対する入力に応じて所定のプレミア演出が実行される場合があり(【0175】、【0344】、【0345】)、プレミア演出は、大当たり遊技が実行されることを示唆する示唆演出である(【0089】)遊技機1(【0011】)。」 (ウ)周知技術2 上記周知例3の記載事項及び周知例4の記載事項を総合すると、 「遊技機において、リーチ演出の実行前に、遊技者による操作演出での操作の入力に応じて大当り確定を報知する予告演出を実行可能とすること。」は本願出願前に遊技機の分野で周知(以下「周知技術2」という。)であると認められる。 (4)対比 本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。 ア 構成Aについて 引用発明の構成aの「始動入賞の発生時」、「大当り遊技」、「特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否か」を「決定」すること及び「主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100」は、それぞれ本件補正発明の「始動条件が成立する」こと、「遊技者にとって有利な特別遊技」、「特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定」及び「判定手段」に相当する。 よって、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する構成を有する。 イ 構成Bについて 引用発明の構成bでは「特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御」しており、「特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄が導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」(非特定表示結果)となり、第1特別図柄表示装置4Aまたは第2特別図柄表示装置4Bに大当り図柄が停止表示(導出)されて可変表示結果が「大当り」とな」っているから、引用発明の構成bは「図柄を変動させてから停止させることにより前記特別遊技判定の結果を報知する」ことに相当する構成を備えているといえる。 また、引用発明の構成bでは「主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20などの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されており」、構成aで「主基板11に」は「遊技制御用マイクロコンピュータ100」が「搭載され」ているから、引用発明の構成bの「遊技制御用マイクロコンピュータ100」は、本件補正発明の「図柄制御手段」に相当する。 よって、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する構成を有する。 ウ 構成Cについて 引用発明の構成cの「効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8R」は、本件補正発明の「音を出力する出力手段」に相当する。 よって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する構成を有する。 エ 構成Dについて 引用発明の構成d、eの「演出制御基板12」は、本件補正発明の「演出制御手段」に相当する。 よって、引用発明の構成d、eは、本件補正発明の構成Dに相当する構成を有する。 オ 構成Eについて 引用発明の構成d、eの「制御信号」は、本件補正発明の「所定の信号」に相当する。 よって、引用発明の構成d、eは、本件補正発明の構成Eに相当する構成を有する。 カ 構成Fについて 引用発明の構成f、gの「可変表示結果が「大当り」となる可能性があること」「を、遊技者に予め告知するための予告演出」及び構成f〜mの「大当りか否かといった当否を報知する」「報知演出」は、それぞれ本件補正発明の「前記特別遊技判定の結果に基づいて、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出」及び「特別遊技が行われることを示唆する示唆演出」に相当する。 よって、引用発明の構成f、g及び構成f〜mは、本件補正発明の構成Fに相当する構成を有する。 キ 構成Gについて 引用発明の構成f〜mの「プッシュボタン31Bやスティックコントローラ31A」、「遊技者の動作」「を促進する」こと及び「操作促進演出」は、それぞれ本件補正発明の「操作手段」、「操作を促す」こと及び「操作促進演出」に相当する。 よって、引用発明の構成f〜mは、本件補正発明の構成Gに相当する構成を有する。 ク 構成Hについて 引用発明の構成f〜mでは「報知前演出期間であると判定されると、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量が時間経過とともに徐々に低下し、報知前演出の後半では、音量を消音としてもよく、報知前演出の後半に、操作有効期間の開始に伴って音量を消音としてもよ」く、構成cの「スピーカ8L、8R」(出力手段)から出力される音量(音)の出力を制御していることから、引用発明は本件補正発明の構成Hに相当する構成を有する。 ケ 構成Iについて 引用発明の構成f〜mでは、「当否を報知するようにしてもよ」いところ、当否を報知する前には構成aで「特図表示結果決定用の乱数値MR1」により「「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否か」を「決定」していることは明らかであるから、「大当り」であることを報知する場合は、本件補正発明の「前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合」に相当するといえる。 そして、構成f、gで「飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となるより前」に「予告演出」(第1演出)が実行され、構成f〜mで「スーパーリーチのリーチ演出の後半」「に、遊技者の動作に基づいて報知演出」(示唆演出)「として大当りか否かといった当否を報知」し、「報知演出の直前の期間には、」「操作促進演出」を行っており、この演出が、本件補正発明の構成Iの「前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターン」に相当する。 また、引用発明の構成f、gで「予告演出を実行する場合における演出動作の内容(演出態様)に対応して、複数の予告パターン」「が予め用意されて」おり、この演出が「第2演出パターン」に相当する。 そうすると、本件補正発明の構成Iと引用発明とは「前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合、前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、第2演出パターンを実行するときとがあ」る点で共通する。 コ 構成Kについて 引用発明の構成f〜mでは、「飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となるより前」に「予告演出」(第1演出)が実行され、構成f〜mで「スーパーリーチのリーチ演出の後半」「に、遊技者の動作に基づいて報知演出」(示唆演出)「として大当りか否かといった当否を報知」し、「報知演出の直前の期間には、」「操作促進演出」を行っており、「報知前演出期間であると判定されると、背景として表示されるムービーの速度、およびBGMとして出力される音量が時間経過とともに徐々に低下し、報知前演出の後半では、音量を消音としてもよく、報知前演出の後半に、操作有効期間の開始に伴って」「音量を消音とし、操作有効期間の経過後も消音を続け」ており、引用発明の構成f〜mの「「飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となるより前」に「予告演出」が実行され、「スーパーリーチのリーチ演出の後半」「に、遊技者の動作に基づいて報知演出として大当りか否かといった当否を報知」し、「報知演出の直前の期間に」「操作促進演出」を行う」場合、「遊技者の動作(操作)を検出したことにより」実行する「報知演出」、「操作促進演出」、「操作有効期間」であって「操作促進演出」が実行されている間、「操作有効期間の経過後あるいは操作後」及び「BGMとして出力される音量」「を消音」することは、それぞれ本件補正発明の「前記第1演出パターンを実行する場合」、「前記第1回数目の前記示唆演出」、「操作促進演出」、「操作促進演出中」、「前記操作促進演出後」及び「音の出力を停止」することに相当する。 そして、「予告演出」において、BGMとして出力される音量を消音とすることについて引用例1には何ら記載はされておらず、飾り図柄の可変表示中は出力が継続されることが技術常識といえることから、「予告演出」の間は、BGMの出力が継続されているといえる。 よって、引用発明の構成f〜mは、本件補正発明の構成Kに相当する構成を有する。 サ 構成Lについて 引用発明の構成f、gでは、「予告演出を実行する場合における演出動作の内容(演出態様)に対応して、複数の予告パターンが予め用意されて」いるものの、その詳細について不明であることから、本件補正発明の構成Lと引用発明とは「前記第2演出パターンを実行する場合がある」点で共通する。 シ 構成Mについて 上記コで説示したとおり、遊技機の技術分野において、飾り図柄の可変表示中はBGM(第1音)の出力が継続されていることが技術常識である。 よって、引用発明において、飾り図柄の可変表示の開始に応じてBGMの出力がされていることが明らかであるといえるから、引用発明は本件補正発明の構成Mに相当する構成を有する。 ス 構成Oについて 引用発明の構成oの「遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明の構成oは、本件補正発明の構成Oに相当する構成を有する。 上記ア〜スによれば、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1〜相違点3で相違する。 <一致点> 「A 始動条件が成立すると、遊技者にとって有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、 B 図柄を変動させてから停止させることにより前記特別遊技判定の結果を報知する図柄制御手段と、 C 音を出力する出力手段と、 D 演出を制御する演出制御手段と、を備え、 D 前記演出制御手段は、 E 所定の信号を受信することが可能であり、 F 前記特別遊技判定の結果に基づいて、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出と、特別遊技が行われることを示唆する示唆演出とを実行可能であり、 G 操作手段に対する操作を促す操作促進演出を実行可能であり、 H 前記出力手段から出力される音の出力制御を行うことが可能であり、 I’ 前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合、前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、第2演出パターンを実行するときとがあり、 K 前記第1演出パターンを実行する場合、前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 L’ 前記第2演出パターンを実行する場合があり、 M 前記図柄の変動開始に応じて前記第1音を出力可能である、 O 遊技機。」 <相違点1>(構成I) 「前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合」について、 本件補正発明では、「前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するとき」があるのに対して、 引用発明では、「飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となった後に実行されるものが含まれていてもよく、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定特別図柄や確定飾り図柄が導出されるまでの所定タイミングにて、大当り遊技状態となる可能性を予告できるものであればよく、予告演出を実行する場合における演出動作の内容(演出態様)に対応して、複数の予告パターンが予め用意されて」はいるものの、構成f〜mで実行される1回(第1回数)の報知演出(示唆演出)より多い回数の報知演出を実行する予告パターンを備えているか否かが明らかではない点。 <相違点2>(構成L) 「前記第2演出パターンを実行する場合」について、 本件補正発明では、「前記第2回数目の前記示唆演出よりも前に、前記操作促進演出を実行してから前記示唆演出として第1示唆演出を実行し、前記操作促進演出及び前記第1示唆演出中は、当該操作促進演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1示唆演出の後、前記第2回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し」ているのに対して、 引用発明では、複数の予告パターンの詳細が不明である点。 <相違点3>(構成N) 本件補正発明では、「前記音が停止される所定期間において特別遊技が実行される可能性を示唆する事前演出音を出力することが可能である」のに対して、 引用発明では、そのように構成されているかが不明である点。 (5)当審の判断 上記相違点1〜相違点3について検討する。 ア 相違点1及び2について 上記相違点1及び2は密接に関係するので併せて検討する。 上記(3)イで説示したとおり、遊技機の技術分野において、遊技者による操作演出での操作の入力に応じてリーチ演出の実行前に、大当り確定を報知する予告演出を実行可能とすることは周知技術2である。 そして、遊技機の分野において、様々な演出を組み合わせて実行することはよく行われていることであって引用発明及び上記周知技術2は、ともリーチ前の演出である点で共通していることから、引用発明のリーチ前の予告演出として、遊技の興趣を向上させるべく上記周知技術2を適用して、遊技者による操作演出での操作の入力に応じてリーチ演出の実行前に、大当り確定を報知する予告演出(示唆演出)を実行可能とするようにし、引用発明でのスーパーリーチのリーチ演出の後半での報知演出(示唆演出)と併せて2回(第2回数)の報知演出(示唆演出)を行うようにすることは当業者が容易になし得たことである。 そして、上記のように適用した場合、そのときの引用発明のリーチ前の予告演出については、BGMとして出力される音量を消音とすることについて引用例1には何ら記載はされておらず、飾り図柄の可変表示中は出力が継続されることが技術常識といえ、さらに、そのときにブラックアウトは実行されないことからしても、BGMの出力が継続されていると認められる。 仮にそうでないとしても、飾り図柄の可変表示中は出力が継続されることが技術常識であることを考慮すると、BGMを継続して出力することに格別の困難性はない。 そうすると、引用発明に上記周知技術2を適用して上記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点3について 上記(3)アで説示したとおり、パチンコ機(遊技機)において、ブラックアウト演出が実行されてBGMの出力が規制されている状態であっても、保留入賞音が出力されることは周知技術1である。 ここで、遊技機では保留入賞によって大当り(特別遊技)抽選を行うことから、保留入賞が生じることで、大当り(特別遊技)が実行される可能性があることを示唆しているといえる。 そうすると、周知技術1の「保留入賞音」は本件補正発明の「事前演出音」に相当する。 そして、遊技者にとって、保留入賞したことが知りたい情報であることは自明であって、引用発明と上記周知技術1とはブラックアウト演出を実行している点でも共通するから、引用発明に上記周知技術1を適用して、引用発明の構成f〜mで「操作有効期間の開始に伴って音量」が「消音」とされたとき(前記音が停止される所定期間)にも保留入賞音(事前演出音)を出力するようにして、上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 ウ そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、上記周知技術1及び2の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。 (6)審判請求人の主張について 審判請求人は、令和5年4月27日提出の審判請求書において、次の点について主に主張をする(下線は当審で付した。)。 「(d)本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用文献1に記載の発明とは少なくとも以下の点で相違します。 本願発明は、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出と、特別遊技が行われることを示唆する示唆演出を実行可能であることを前提として、第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するときとがあるとの構成を有するのに対して、引用文献1にはこのようなことは記載されていません(相違点1)。 また、本願発明は、前記第2演出パターンを実行する場合、前記第2回数目の前記示唆演出よりも前に、操作促進演出を実行してから示唆演出として第1示唆演出を実行し、当該操作促進演出及び第1示唆演出中は、当該操作促進演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であるとの構成を有しているのに対して、引用文献1にはこのようなことは記載されていません(相違点2)。 本願発明では、第1回数目又は第2回数目の示唆演出を実行する前に操作促進演出を実行し、当該操作促進演出を実行する際に音を停止し、当該音が停止される所定期間において、事前演出音を出力することが可能であるとの構成を有しているのに対して、引用文献1にはこのようなことは記載されていません(相違点3)。 引用文献1には、予告演出(本願の第1演出に相当)及び報知演出(本願の示唆演出に相当)を含む演出パターンを実行することは記載されていますが、第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するときとがあることは記載されていません。 また、引用文献1には、少なくとも特別遊技が行われることを示唆する第1示唆演出(すなわち、特別遊技の確定を示す演出)中に、当該第1示唆演出の実行前に出力されていた第1音を継続することは記載されておらず、第1演出中も第1示唆演出中も第1音を継続して出力することは記載されていません。 ここで、審査官殿は、補正の却下の決定において、「なお、飾り図柄の可変表示中のBGMの出力は、通常のことであって、特に記載がなくても、自明な事項であるといえ、少なくとも、リーチ演出前の予告演出の実行中に、BGMを継続して出力するように構成することは、何ら困難性を伴わないことである」と主張されています。 しかしながら、本願発明は、第1示唆演出中に第1音を継続して出力するものであり、第1示唆演出は、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出とは異なり、「特別遊技が行われることを示唆する示唆演出」です。仮に審査官殿が主張されるように、「リーチ演出前の予告演出(本願の第1演出に相当)の実行中に、BGMを継続して出力するように構成することは、何ら困難性を伴わない」ものであったとしても、「予告演出」と「第1示唆演出」とは異なり、第1示唆演出の実行中に第1音を継続することが容易であるとは言えません。引用文献1には、第1示唆演出を行うことは記載されておらず、さらに第1示唆演出の前に操作促進演出を行うことは記載されていません。 また、新たな引用文献3には、操作演出及び事前大当たり確定演出を行うことが記載されていますが(段落0217−0220)、当該操作演出及び事前大当たり確定演出の実行中に第1音を継続することは記載されていません。また、新たな引用文献4には、図柄の変動中にプレミア演出を実行することが記載されていますが(段落0089、0175)、プレミア演出前に操作促進演出を行うこと、操作促進演出及びプレミア演出中に第1音を継続することは記載されていません。 このように、本願発明は引用文献1−4には記載も示唆もされていない特徴を有します。このため、本願発明は、これら引用文献に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではありません。」 そこで、審判請求人の上記主張についてそれぞれ検討する。 ア 「予告演出」と「第1示唆演出」とは異なり、第1示唆演出の実行中に第1音を継続することが容易であるとは言えないという点。 上記(5)アで説示したとおり、引用発明のリーチ前の予告演出について、BGMとして出力される音量を消音とすることについて引用例1には何ら記載はされておらず、飾り図柄の可変表示中は出力が継続されることが技術常識といえ、さらにその時にブラックアウトは実行されないことからして、BGMは出力が継続されているといえるし、少なくともBGMを継続して出力することに格別の困難性はない。 イ 引用文献1には、第1示唆演出を行うことは記載されておらず、さらに第1示唆演出の前に操作促進演出を行うことは記載されていないという点。 上記(5)アで説示したとおり、遊技機の技術分野において、遊技者による操作演出での操作の入力に応じてリーチ演出の実行前に、大当り確定を報知する予告演出を実行可能とすることは周知技術3であって、遊技機の分野において、様々な演出を組み合わせて実行することはよく行われていることであり、遊技の興趣を向上させるという課題についてもよく知られた自明な課題であることから、引用発明のリーチ前の予告演出として、上記周知技術3を適用して、遊技者による操作演出での操作の入力に応じてリーチ演出の実行前に、大当り確定を報知する予告演出(示唆演出)を実行可能とするようにすることは当業者が容易になし得たことである。 ウ 新たな引用文献3には、操作演出及び事前大当たり確定演出を行うことが記載されているが(段落0217−0220)、当該操作演出及び事前大当たり確定演出の実行中に第1音を継続することは記載されていないという点。 上記(5)アで説示したとおり、引用発明のリーチ前の予告演出について、BGMとして出力される音量を消音とすることについて引用例1には何ら記載はされておらず、飾り図柄の可変表示中は出力が継続されることが技術常識といえ、さらにその時にブラックアウトは実行されないことからして、BGMは出力が継続されているといえるし、少なくともBGMを継続して出力することに格別の困難性はない。 エ 新たな引用文献4には、図柄の変動中にプレミア演出を実行することが記載されているが(段落0089、0175)、プレミア演出前に操作促進演出を行うこと、操作促進演出及びプレミア演出中に第1音を継続することは記載されていないという点。 上記(3)イ(イ)で記載したとおり、プレミア演出前に操作促進演出を行うことは、周知例4(審判請求書における「新たな引用文献4」)に記載されており、上記(3)イ(ウ)で説示したとおり、「遊技機において、遊技者による操作演出での操作の入力に応じてリーチ演出の実行前に、大当り確定を報知する予告演出を実行可能とすること。」は本願出願前に遊技機の分野で周知である。 また、上記(5)アで説示したとおり、引用発明のリーチ前の予告演出について、BGMとして出力される音量を消音とすることについて引用例1には何ら記載はされておらず、飾り図柄の可変表示中は出力が継続されることが技術常識といえ、さらにその時にブラックアウトは実行されないことからして、BGMは出力が継続されているといえるし、少なくともBGMを継続して出力することに格別の困難性はない。 オ 上記ア〜エのとおり、審判請求人の上記主張は妥当でないため採用することができない。 (7)まとめ 上記(1)〜(6)より、本件補正発明は、当業者が、引用発明、周知技術1及び2から容易に発明できたものである。 したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび 以上に検討したところによれば、本件補正は、上記2(2)で検討したとおり、特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、本件補正は同項の規定に違反し、また、本件補正発明は、上記3で検討したとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和4年7月4日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 始動条件が成立すると、遊技者にとって有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、 図柄を変動させてから停止させることにより前記特別遊技判定の結果を報知する図柄制御手段と、 音を出力する出力手段と、 演出を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の信号を受信することが可能であり、 前記特別遊技判定の結果に基づいて、特別遊技が行われる可能性を示唆する第1演出と、特別遊技が行われることを示唆する第2演出とを実行可能であり、 操作手段に対する操作を促す操作促進演出を実行可能であり、 前記出力手段から出力される音の出力制御を行うことが可能であり、 前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第2演出を実行する前に前記操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、前記操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止し、 前記図柄の変動開始に応じて前記第1音を出力可能であり、 前記音が停止される所定期間において特別遊技が実行される可能性を示唆する事前演出音を出力することが可能である、遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由(令和4年9月12日付け) 原査定の拒絶の理由は、次の理由である。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献等 1−2 <引用文献等一覧> 1.特開2018−75226号公報 2.特開2017−213214号公報 3 引用例1の記載事項、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用例1として引用された特開2018−75226号公報(上記第2〔理由〕3(2)の引用例1)の記載事項、認定事項及び引用発明の認定については、前記「第2〔理由〕3(2)引用例1の記載事項、引用発明」に記載したとおりである。 4 対比・当審の判断 本願発明(上記「第2 1(1)(補正前)」)は、本件補正発明(上記「第2 1(1)(補正後)」)から上記「第2 1(2)」において検討したとおり、用語の混同を防ぐために「示唆演出」に用語を変更した「第1演出」を元に戻し、「前記特別遊技判定において特別遊技を実行すると判定された場合、前記第1演出及び第1回数の前記示唆演出を含む第1演出パターンを実行するときと、前記第1回数より多い第2回数の前記示唆演出を含む第2演出パターンを実行するときとがあ」ることを省き、「前記第1演出中は、当該第1演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であ」るときに「前記第1回数目の前記示唆演出を実行する前に前記操作促進演出を実行」することであることを省き、それが「前記第1演出パターンを実行する場合」であることについても省き、「前記第2演出パターンを実行する場合、前記第2回数目の前記示唆演出よりも前に、前記操作促進演出を実行してから前記示唆演出として第1示唆演出を実行し、前記操作促進演出及び前記第1示唆演出中は、当該操作促進演出の実行前から出力されていた第1音の出力を継続可能であり、前記第1示唆演出の後、前記第2回数目の前記示唆演出を実行する前に前記第2操作促進演出を実行し、前記操作促進演出中及び前記操作促進演出後は、当該操作促進演出の実行前に出力されていた音の出力を停止」することを省いたものであって、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 3(4)」の相違点1及び相違点2が存在しないこととなる。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに相違点1及び相違点2に係る構成を含めて限定を付加したものである本件補正発明が引用発明、周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、主に相違点1及び相違点2に係る構成を削除した本願発明は引用発明、周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2024-02-13 |
結審通知日 | 2024-02-14 |
審決日 | 2024-02-27 |
出願番号 | P2021-118983 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 57- Z (A63F) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
▲吉▼川 康史 |
特許庁審判官 |
澤田 真治 太田 恒明 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 寺本 亮 |
代理人 | 小沢 昌弘 |