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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H04B
審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857  H04B
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H04B
審判 一部申し立て 2項進歩性  H04B
審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H04B
管理番号 1410208
総通号数 29 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-05-22 
確定日 2024-02-19 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7177872号発明「情報通信装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第7177872号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2〜5〕、〔6〜8〕について訂正することを認める。 特許第7177872号の請求項2〜5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
(1)本件特許の手続の経緯の概略
特許第7177872号の請求項1〜5に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年6月11日に出願した特願2018−111341号の一部を令和3年3月8日に新たな特許出願としたものであって、本件特許異議申し立ての前までの手続の経緯は、次のとおりである。
令和3年 3月 8日 :出願(特願2021−36404号)
令和4年 4月21日付け:拒絶理由通知書
4月27日 :電話応対(応対記録参照)
6月20日 :意見書、手続補正書の提出
10月24日付け:特許査定
11月15日 :設定登録
11月24日 :特許掲載公報

(2)本件特許異議申し立ての経緯
その後の本件特許についての、特許異議申立人遠藤 三規子(以下「申立人」という。)による本件特許異議申し立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 5月22日 :特許異議申立書の提出
8月30日付け:取消理由通知書
11月 2日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
12月20日 :申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。」と記載されているのを、
「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、その電源側分割ユニットに装着された状態において前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。」と訂正する。
(請求項2の記載を引用する請求項3、4、5も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
ア 訂正事項2−1
特許請求の範囲の請求項3に、
「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項1又は2記載の情報通信装置。」と記載されているのを、
「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項2記載の情報通信装置。」に訂正する。

イ 訂正事項2−2
特許請求の範囲の請求項3に、
「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項1又は2記載の情報通信装置。」とあるうち、
請求項1を引用するものについて、
「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項1記載の情報通信装置。」と記載し、新たな請求項6とする。

(3)訂正事項3
ア 訂正事項3−1
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報通信装置。」と記載されているのを、
「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項2又は3記載の情報通信装置。」に訂正する。

イ 訂正事項3−2
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報通信装置。」とあるうち、
請求項1を引用するもの、及び、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて、
「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項1又は6記載の情報通信装置。」と記載し、新たな請求項7とする。

(4)訂正事項4
ア 訂正事項4−1
特許請求の範囲の請求項5に、
「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報通信装置。」と記載されているのを、
「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報通信装置。」に訂正する。

イ 訂正事項4−2
特許請求の範囲の請求項5に、
「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報通信装置。」とあるうち、
請求項1を引用するもの、及び、請求項1を引用する請求項3を引用するもの、並びに、請求項1を引用する請求項4を引用するものについて、
「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項1、6、7のいずれか1項に記載の情報通信装置。」と記載し、新たな請求項8とする。

(5)一群の請求項について
訂正前の請求項〔2〜5〕について、請求項3〜5は、請求項2を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項2〜5に対応する訂正後の請求項2〜8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
よって、本件訂正請求は、一群の請求項〔2〜5〕に対して請求されたものである。

(6)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項6〜8に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときには、訂正後の請求項2〜5とは別の訂正単位として扱われることを求めている。

2 訂正の適否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、(ア)訂正前の請求項2における「電源側分割ユニット」の「設置」の状態について、「取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置され」た状態であるという発明特定事項を付加して限定するとともに、(イ)訂正前の請求項2における「前記非電源側分割ユニット」について、「その電源側分割ユニットに装着された状態において前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」するという発明特定事項を付加して限定する訂正である。
以上より、訂正事項1は、訂正前の請求項2に係る発明において、具体的な態様を付加して限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アで示したとおり、訂正事項1は訂正前の請求項2に係る発明において、具体的な態様を付加して限定するものであって、訂正前の請求項2に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、明細書等の段落【0026】、【0031】、【0032】、【0051】、【0052】、【0059】の記載、及び【図1】、【図2】に基づいて導き出される構成である。(なお、下線は、強調のため当審にて付与した。以下同様。)
(ア)訂正事項1のうち、「化粧カバーが設置面の前面側に配置され」について
明細書等の段落【0026】には、「情報コンセント1は、図2に示すように、壁Wに貫通形成された矩形状の設置用孔10の後面側に配置されたコンセントボックス11と、壁Wの前面側に配置された化粧カバー12とを、それらの間において壁Wの前面に当接する取り付けフレーム13を介して固定して構成されている。」と記載されている。
したがって、訂正事項1のうち、「化粧カバーが設置面の前面側に配置され」る点は、明細書等の段落【0026】の記載に基づくものである。
(イ)訂正事項1のうち、「取り付け窓を有する化粧カバー」について
明細書等の段落【0031】には、「化粧カバー12には、情報通信ユニット2、電源コンセントユニット3に対応した形状の取り付け窓17が形成され、各取り付け窓17を通して情報通信ユニット2、電源コンセントユニット3の前面部分が前方に露出する形態で取り付けられている。」と記載されている。
したがって、訂正事項1のうち、「取り付け窓を有する化粧カバー」に係る点は、明細書等の段落【0031】の記載に基づくものである。
(ウ)訂正事項1のうち、「その電源側分割ユニットに装着された状態において前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し、」について
明細書等の段落【0051】には、「制御側分割ユニットCUは、図5、図6、図7(b)に示すように、後面側に開口部34aを有する箱状の制御側ケーシング34を備えている。」と記載されており、この「制御側ケーシング34」及びその「周側面部34d」について、明細書等の段落【0052】には、「制御側ケーシング34は、図5、図6、図7(b)に示すように、例えば、合成樹脂製にて構成され、前面部34bと、開口部34aを有する後面部34cと、前面部34bの外周縁部と後面部34cの外周縁部とに亘る周側面部34dとを有している。」と記載されている。
そして、明細書等の段落【0032】には、「制御側分割ユニットCUは、図2に示すように、電源側分割ユニットPUが壁Wに埋設状態で設置された状態で、電源側分割ユニットPUの前面部(壁Wの対向空間側に露出する部位の一例)に対して着脱自在に装着可能に構成されている。制御側分割ユニットCUは、電源側分割ユニットPUの前面部に装着された状態において、壁Wの前方側で、且つ、化粧カバー12よりも前方側に配置されている。」と記載されるとともに、明細書等の段落【0059】には、「なお、制御側ケーシング34の前面部34bと周側面部34dは、情報通信ユニット2が壁Wに埋設状態で設置された状態で壁Wの対向空間側に露出する部位を構成している。」と記載されている。
また、明細書等の【図1】、【図2】には、壁Wに埋設状態で設置された電源側分割ユニットPUに対する装着状態において、制御側分割ユニットCU(非電源側分割ユニット)の前面部34b及び周側面部34dの全体が化粧カバー12よりも前方側(設置面の対向空間側)に位置していることが記載されている。
したがって、訂正事項1のうち、「その電源側分割ユニットに装着された状態において前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」する点は、明細書等の段落【0032】、【0051】〜【0052】及び【0059】並びに【図1】、【図2】の記載に基づくものである。
(エ)前記(ア)〜(ウ)より、訂正事項1は、明細書等の記載の範囲内においてする訂正であり、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。

エ 申立人の意見
訂正事項1に対して、申立人は、令和5年12月20日に提出された意見書の「2.具体的理由」の「(3)新規事項について」において、「訂正により追加された構成[2F]によると、「非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」することが特定されている。ここで、「非電源側分割ユニットの周側面部の全体」が、前記化粧カバーよりも前方側に位置するという発明特定事項について、「非電源側分割ユニットの周側面部の全体」とは、“非電源側分割ユニットの周囲となる側面のうち全体”を意味すると解される。なぜならば、特許出願に係る発明の要旨認定は,特段の事情のない限り,特許請求の範囲の記載に基づいてされ・・・特段の事情がある場合に限って,明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することが許されるにすぎないためである(最高裁平成3年3月8日判決・昭和62年(行ツ)第3号審決取消事件)。」旨を主張する。(意見書4頁3〜12行)。
明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならないところ(特許法120条の5第9項126条5項)、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入したとされる場合は、新規事項の追加となり、当該訂正は「明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において」なされたものということはできないと解される。
そこで、「非電源側分割ユニットの周側面部の全体」が「前記化粧カバーよりも前方側に位置する」ことについて、明細書等の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、明細書等の段落【0052】には「周側面部34d」の説明として「前面部34bの外周縁部と後面部34cの外周縁部とに亘る周側面部34dとを有している」という記載があることから、当該「周側面部」は、申立人が主張するような“非電源側分割ユニットの周囲となる側面のうち全体”なのではなく、「前面部34bの外周縁部と後面部34cの外周縁部とに亘る」周側面部のことであることを理解することができる。
そして、明細書等の段落【0059】には、「なお、制御側ケーシング34の前面部34bと周側面部34dは、情報通信ユニット2が壁Wに埋設状態で設置された状態で壁Wの対向空間側に露出する部位を構成している。」と記載されているほか、図2の記載からも、「制御側ケーシング34の前面部34bと周側面部34d」の「全体」が、「化粧カバー12」よりも前方側に位置していることを見てとることができる。
すると、「非電源側分割ユニットの周側面部の全体」が「前記化粧カバーよりも前方側に位置」することは、明細書等の記載の範囲内においてする訂正であり、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、申立人の意見は採用することができない。

(2)訂正事項2(訂正事項2−1及び訂正事項2−2)について
ア 訂正の目的について
訂正事項2−1及び訂正事項2−2は、訂正前の請求項3について、請求項1又は訂正前の請求項2を択一的に引用する記載であったのを、請求項間の引用関係を解消し、訂正後の請求項3及び請求項6として、2つの請求項に書き下すことを目的とする訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、書き下された訂正後の請求項3及び請求項6の記載を、請求項間の関係を明瞭にするとともに、訂正後の請求項6に係る訂正が、訂正後の請求項3とは別の訂正単位として扱われるようにするため、訂正後の請求項2を引用する発明を、訂正後の請求項3としてその記載を整理するとともに、請求項1を引用する発明を、訂正後の請求項6としてその記載を整理するための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
よって、訂正事項2−1及び訂正事項2−2は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アで示したとおり、訂正事項2−1及び訂正事項2−2は、訂正前の請求項3について、請求項間の引用関係を解消し、訂正後の請求項3及び請求項6として、2つの請求項に書き下すとともに、当該訂正後の請求項3及び請求項6を、それぞれ請求項2及び請求項1を引用する発明として記載を整理する訂正であるから、訂正前の請求項3に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項2−1及び訂正事項2−2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記アで示したとおり、訂正事項2−1及び訂正事項2−2は、訂正前の請求項3について、請求項間の引用関係を解消し、訂正後の請求項3及び請求項6として、2つの請求項に書き下すとともに、当該訂正後の請求項3及び請求項6を、それぞれ請求項2及び請求項1を引用する発明として記載を整理する訂正であるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項2−1及び訂正事項2−2は、明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。

(3)訂正事項3(訂正事項3−1及び訂正事項3−2)について
ア 訂正の目的について
訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、訂正前の請求項4について、請求項1及び訂正前の請求項2〜3を択一的に引用する記載であったのを、請求項間の引用関係を解消し、4つの請求項に書き下すことを目的とする訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、書き下された4つの請求項の発明を、請求項間の関係を明瞭にするとともに、請求項1を引用する発明に係る訂正が、訂正後の請求項2を引用する発明に係る訂正とは別の訂正単位として扱われるようにするため、訂正後の請求項2を引用する発明及び訂正後の請求項2を引用する訂正後の請求項3を引用する発明を、訂正後の請求項4としてその記載を整理するとともに、請求項1を引用する発明及び請求項1を引用する訂正後の請求項6を引用する発明を、訂正後の請求項7としてその記載を整理するための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
よって、訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アで示したとおり、訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、訂正前の請求項4について、請求項間の引用関係を解消し、複数の請求項に書き下すとともに、書き下された複数の請求項の発明のうち、訂正後の請求項2を引用する複数の発明を訂正後の請求項4として記載を整理するとともに、請求項1を引用する複数の発明を訂正後の請求項7として記載を整理する訂正であるから、訂正前の請求項4に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記アで示したとおり、訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、訂正前の請求項4について、請求項間の引用関係を解消し、複数の請求項に書き下すとともに、書き下された複数の請求項の発明のうち、訂正後の請求項2を複数の発明を訂正後の請求項4として記載を整理するとともに、請求項1を引用する複数の発明を訂正後の請求項7として記載を整理する訂正であるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。

(4)訂正事項4(訂正事項4−1及び訂正事項4−2)について
ア 訂正の目的について
訂正事項4−1及び訂正事項4−2は、訂正前の請求項5について、請求項1及び訂正前の請求項2〜4を択一的に引用する記載であったのを、請求項間の引用関係を解消し、8つの請求項に書き下すことを目的とする訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
そして、書き下された8つの請求項の発明を、請求項間の関係を明瞭にするとともに、請求項1を引用する発明に係る訂正が、訂正後の請求項2を引用する発明に係る訂正とは別の訂正単位として扱われるようにするため、訂正後の請求項2を引用する4つの発明を訂正後の請求項5としてその記載を整理するとともに、請求項1を引用する4つの発明を訂正後の請求項8としてその記載を整理するための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
よって、訂正事項4−1及び訂正事項4−2は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記アで示したとおり、訂正事項4−1及び訂正事項4−2は、訂正前の請求項5について、請求項間の引用関係を解消し、複数の請求項に書き下すとともに、書き下された複数の請求項の発明を、訂正後の請求項2を引用する複数の発明を訂正後の請求項5として記載を整理するとともに、請求項1を引用する複数の発明を訂正後の請求項8として記載を整理する訂正であるから、訂正前の請求項5に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項4−1及び訂正事項4−2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記アで示したとおり、訂正事項4−1及び訂正事項4−2は、訂正前の請求項5について、請求項間の引用関係を解消し、複数の請求項に書き下すとともに、書き下された複数の請求項の発明を、訂正後の請求項2を引用する複数の発明を訂正後の請求項5として記載を整理するとともに、請求項1を引用する複数の発明を訂正後の請求項8として記載を整理する訂正であるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
よって、訂正事項4−1及び訂正事項4−2は、明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。

(5)独立特許要件について
本件特許異議の申立ては、訂正前の請求項2〜5についてされているので、訂正事項1に関して、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。

3 小括
以上のとおり、訂正事項1〜訂正事項4に係る本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号、3号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2〜5〕、〔6〜8〕について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
請求項1に係る発明及び本件訂正請求により訂正された請求項2〜8に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、請求項1〜8に係る発明を「本件発明1」〜「本件発明8」といい、請求項1〜8に係る発明を総称して「本件発明」ということがある。)。なお、下線は訂正箇所を示す。

訂正特許請求の範囲
「 【請求項1】
電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置された状態で、前記電源側分割ユニットにおける設置面の対向空間側に露出する部位に対して着脱自在に装着可能に構成され、
前記電源側分割ユニットの前面部には、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記化粧カバーの取り付け窓を通じて設置面の対向空間側に露出する筒状の被装着部が備えられ、
前記非電源側分割ユニットの前記電源側分割ユニット側となる後面部には、前記化粧カバーの取り付け窓を通じて設置面の対向空間側に露出する前記電源側分割ユニット側の筒状の被装着部に対して内嵌状態で装着自在な装着部が突出形成されている情報通信装置。

【請求項2】
電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。

【請求項3】
WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項2記載の情報通信装置。

【請求項4】
前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項2又は3記載の情報通信装置。

【請求項5】
機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報通信装置。

【請求項6】
WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項1記載の情報通信装置。

【請求項7】
前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項1又は6記載の情報通信装置。

【請求項8】
機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項1、6、7のいずれか1項に記載の情報通信装置。」

第4 取消理由通知書の概要
訂正前の請求項2〜5に係る特許に対して、当審により令和5年8月30日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

本件特許の請求項2〜5に係る発明は、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、請求項2〜5に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。

以下で参照している文献は、特許異議申立書の証拠方法による次の証拠である。
甲第1号証 特表2007−504745号公報
甲第3号証 中国特許出願公開第106788496号明細書

第5 当審の判断
前記第4で示した取消理由通知書に記載した取消理由によっては、本件発明2〜5に係る特許を取り消すことはできない。

1 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下、同様。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントを用いた有線式ネットワーク分野に関し、特にこのようなネットワーク用のモジュラーコンセントに関する。」

「【0022】
このように、コンセントを簡便かつ単純に、好ましくは専門家による設置の必要がなくアップグレードする方法やシステムの必要性が広く認識されており、これによって大きな利点が得られるであろう。
【発明の開示】
【0023】
したがって、本発明は、コンセントを簡便かつ単純に、好ましくは専門家による設置の必要がなくアップグレードする方法やシステムを提供することを目的とする。」

「【0038】
管理されたデータネットワーク環境では、ネットワーク管理機能の一部または全てをコンセント50内に含めることが有用であろう。例えば、アドレス指定手段をコンセント内に統合してもよく、これはコンセントを遠隔地から参照可能とするためである。さらに別の例において、QoS(サービス品質)ツールがサービスを評価するためにコンセント内に埋め込まれる。コンセント統合ネットワーク管理機能は、以下を備えまたはサポートする。
【0039】
1.特性管理.スループット、応答時間および回線利用度等のネットワーク変数を評価および追跡
2.構成管理.ソフトウェアおよびハードウェア要素の影響を追従するために構成情報を監視および変更
3.課金処理管理.ネットワーク資源の利用を追従および規制可能なように利用度を評価
4.故障管理.ネットワークの有効な運転に関連して問題を検出、記録しユーザに知らせる
5.セキュリティ管理.ネットワーク資源へのアクセスを制御
このようなネットワーク管理機能は、随意的な要素である管理/処理ユニット57によりサポートされる。管理機能はさらに、局所的な−コンセントに関する−視覚的インジケータを備えてもよい。管理/処理ユニット57は、媒体モデム54、ハブ55およびインタフェースアダプタ56等のコンセント内の全ての関連機能に連結される。」

「【0041】
コンセント50の一例として電話コンセント60を図4に示す。・・・(略)・・・コンセント50のコネクタ51と関連するコネクタ61は、家庭内電話回線に接続するのに使用される。一般的なコンセント50の分割/結合器52は、一組のローパスフィルタ(LPF)62とハイパスフィルタ(HPF)65により実現され、これらはそれぞれネットワーク40のLPF37とHPF38と等価である。同様に、一般的なコンセント50の媒体モデム54は、PNC(電話線)モデム64を用いて実現される。コネクタ63は、標準的な電話コネクタ(例えば、北米ではRJ−11)であり、一般的なコンセント50の一般的なサービスコネクタ53を表す。」

「【図4】



「【0044】
[モジュラーコンセント]
本発明は、ネットワークベースのコンセントを教示し、その機能は、モジュラー手法による2つの違った部分に区分される。コンセントの第一の部分をこれ以降「ベースモジュール」と称し、機械的に壁に取り付けられ一般のコンセントと同じ方法で壁内の回線に接続する機械的構造からなる。コンセントの第二の部分を、これ以降「インタフェースモジュール」と称し、データネットワークの利用を考慮したものであり、ベースモジュールに機械的に固定される。モジュール間の電気接続には、一対の組合せコネクタを利用する。ベースモジュールは、公知のコンセント設置方法と同じ方法で設置され、これには同じような技能やノウハウが必要となる。しかしながら、インタフェースモジュールは、迅速、簡単に専門家でなくとも単純にベースモジュールに取り付けられるので、一般的な消費者が「日曜大工」で設置することが可能である。」

「【0047】
図9に示すコンセント110は、区画Aを電話コンセント60に組み込んだ例である。・・・(略)・・・
【0048】
コンセント110の外観を図10a〜11に示すが、これに限定するものではない。図10aに、ベースモジュール110aとインタフェースモジュール110bとの正面図を示す。・・・(略)・・・ベースモジュール110aは、サイドレール115aと115bとを含み、この中でインタフェースモジュール110bが摺動し、インタフェースモジュール110bをベースモジュール110aに機械的に取り付ける第2の取り付け具として機能する。レール内にインタフェースモジュール110bを固定すれば、図10bに示すようにベースモジュール110aのコネクタ111と組合せコネクタ112とが接触する。北米で一般的なRJ−11電話コネクタがコネクタ63として図示されており、イーサネット10/100/1000BaseTネットワークで使用されるRJ−45データコネクタがコネクタ58として図示されており、両者は、インタフェースモジュール110bの一部をなす。図10bは、2つの結合モジュールの背面図である。ねじ式のコネクタ61が図示されているが、これは電話回線対116をベースモジュール110aに接続するのに使用される。・・・(略)・・・」

「【図9】



「【図10a】



「【図10b】



「【0052】
区画Bを図12の区画120として示す。この構成において、区画は、分割/結合器52と媒体モデム54との間の接続に影響を与える。図13に示す一般的なコンセント130には、区画Bが組み込まれており、ベースモジュール130aとインタフェースモジュール130bとを含む。これら2つのモジュールは、相互接続のために組合せコネクタ131と132とを使用しており、それぞれベースモジュール130aおよびインタフェースモジュール130bの一部として収納される。サービスコネクタ53は、ベースモジュール130aの一部であり、これによりベースモジュール130aのみが設置されている場合にも基本サービス機能が考慮される。分割/結合器52が組み込まれない場合には、ベースモジュールは、3つのコネクタと相互接続された回線のみからなり、つまり回線コネクタ51、サービスコネクタ53およびインタフェースモジュール130bとの接続のためのインタフェースコネクタ131である。」

「【図13】



「【0055】
次に、区画Bの電話コンセント60への応用について、図14に示したベースモジュール140aとインタフェースモジュール140bとを含む電話コンセント140を参照しながら以下に説明する。ベースモジュール140aとインタフェースモジュール140bは、コンセント130のベースモジュール130aとインタフェースモジュール130bとに相当する。同様に、組合せコネクタ141、142は、それぞれコンセント130のコネクタ131、132に相当する。コンセント140の外観を図14a〜14cに示すが、これに限定するものではない。・・・(略)・・・図14a〜14cに示すように、電話コネクタ63(および関連するハードウェア)がインタフェースモジュール内ではなくベースモジュール内に収納されるので、コンセント140の概観は、図10a〜11に示すコンセント110とは異なる。」

「【図14】



「【図14a】



「【図14b】



「【図14c】



「【0064】
[LAN環境]
基本サービス(例えば、電話、CATVおよび電力)に使用する回線上に形成されたネットワークに関して本発明をここまで説明してきたが、本発明は、専用回線を使用するネットワークで使われるコンセントにも等しく適用可能であることがわかるであろう。このような場合、基本サービスは、単一のデータネットワークインタフェースである。しかしながら、基本サービスである単一データ接続インタフェースを超えるさらなるインタフェースをコンセントに設けることが必要になる場合もある。例えば、多重データインタフェースを提供するのに使用してもよく、この回線は単一のこのようなデータ接続をサポートしている。このようなコンセントの例として、3ComTM(米国、カリフォルニア州、サンタクララ)製のネットワークジャック(商標)ファミリーがある。さらに、このようなコンセントは、米国特許第6,108,331号(トンプソン)(名称:「建造物内の多重信号配線用の単一媒体回線方式およびそのアクセスポート」)および米国特許出願公開第2003/0112965号(公開日:2003年6月19日、マクナマラら、名称「能動壁用コンセント」)に記載される。」

「【0068】
有線式のコネクタベースインタフェース58に関連して本発明をここまで説明してきたが、データユニットが可聴周波数、光(例えば赤外線)および無線周波数(一般に無線と呼ばれる)等の非有線式インタフェースを使用しているコンセントにも本発明は同様に当てはまることがわかるであろう。このようなコンセントは、本発明の発明者による国際公開第01/80543号(公開日:2001年10月25日、名称「配線及び無配線セグメントを組み合わせるネットワーク」)に記載される。このような場合、コネクタ58は、光出射/受信器またはRF用アンテナ等の非有線式トランシーバで置き換えられる。図14aのコンセント140が無線インタフェースを備えた外観の一例を図26に示す。図14aのモジュール140bのデータコネクタ58が、図26ではアンテナ260に置換されて図示されている。」

「【図26】



「【0069】
単一のネットワークインタフェース(例えば、単一コネクタ58)を有するコンセントに関して本発明をここまで説明してきたが、複数のネットワークインタフェースをサポートする場合にも本発明が同様に当てはまることがわかるであろう。また、インタフェースの種類を組み合わせたものが採用可能であり、例えば、有線式デジタル、有線式アナログおよび無線式インタフェースを全て同一のコンセントで組み合わせてもよい。同様に、電話コネクタ63、電力コネクタ73、CATVコネクタ83またはデータネットワークコネクタ232等の単一の基本サービス接続を有するコンセントに関して本発明をここまで説明してきたが、このような接続を複合的にしたものを提供する場合にも本発明が同様に当てはまることがわかるであろう。
【0070】
コンセント130のモジュール130bまたはモジュール140bまたはコンセント140等の単一インタフェースモジュールを有するコンセントに関して本発明をここまで説明してきたが、単一のベースモジュールと複数のインタフェースモジュールを使用する場合や、単一のインタフェースモジュールと複数のベースモジュールを使用する場合にも本発明が同様に当てはまることがわかるであろう。」

「【0073】
[機械関連]
ベースモジュールとインタフェースモジュールとを組み合わせて完成したコンセントを形成するためには、インタフェースモジュールをベースモジュールに機械的に取り付ける必要がある。このような機械的な取り付けにより、2つの組合せコネクタ間の正常な連結にも影響が及ぼされ、これにより良好な電気的接続が考慮される。先の外観図において、インタフェースモジュールが機械的取り付け手段としてその中を摺動するサイドレール115aおよび115bを示したが、ここでは表面を組み合わせる種類のコネクタが使用されていた。しかしながら、その他の機械的取り付け手段を使用しその他の種類の組合せコネクタを採用する場合にも本発明が同様に当てはまることがわかるであろう。さらに、コネクタの中には、電気的機能に加えて、機械的サポートを提供する即ち機械的な面での補助ともなり得るよう設計されたものがある。いずれの場合にも、インタフェースモジュールの設置や交換が簡便となるよう考慮した機械構成とすべきである。」

「【0075】
コンセント140、モジュール140a”、140b”に関して、別の機械的取り付けのアイディアを図28に示す。この取り付けには、インタフェースモジュール140b”上に位置する弾性バイアスラッチ281(当審注:「281」は「281a」の誤記と認める。)、281bを利用する。ベースモジュール140a”内のそれぞれの穴にインタフェースモジュール140b”を挿入すると、ラッチがそれぞれの受け口282a、282bとかみ合って、モジュール間がしっかり結合する。図27と28の構成は共に、先に述べたように上から装着するのではなく、モジュールの正面で装着する様子を例示している。」

「【図28】



「【0082】
外部電源を内部のニーズに合わせるために、ベースモジュール内で電力アダプタを使用してもよい。このようなアダプタは、必要とされる特定の電圧にあわせるための電圧変換(DC−DCコンバータ等)、保護回路(ヒューズや限流ヒューズ等)、調整及びノイズフィルタと共にその他業界で公知の機能を含んでいてもよい。さらに、このようなアダプタは、外部AC/DCコンバータ320を備えてもよく、これにより、ベースモジュールが電源と直接接続可能となる。上述のコンセント80を基にしたコンセント330は、このような電源調整機能322を備え、図33に概略を図示する。電力アダプタは、コネクタ321を介して外部電源から給電され、ベースコンセントの電力を供給される全ての部品に対して必要なDC電力を出力する。コンセント330は、完全な区画されないコンセントを示しているが、上述のような関連各区画において、電力アダプタ322とそのコネクタ321はベースコンセントの一部であることが明らかである。
【0083】
[回線上の電力]
本実施例において、ベースモジュールは、コンセントが接続する回線上を搬送される電力によって給電される。電力は別々の導体上を搬送されてもよい。この場合、同じ回線コネクタ51を用いて、別々のピンを用いた電力搬送導体に接続すればよい。あるいは、電力専用のコネクタを新たに使用してもよい。
【0084】
好ましい実施態様において、データネットワーク信号および/または基本サービス信号を搬送する回線上を電力が同時に搬送される。図34は、このようなコンセント340の概略を示したものである。電力分割機能341は、回線上を搬送される電力を取り出し、それを外部から給電されるアダプタ322ではない、電力アダプタ322に給電する機能を果たす。大抵の場合、電力分割器341の動作は、同じ回線を搬送されてくるデータ及び基本サービスに干渉してはならない(例えば、読み込み効果やインピーダンス整合)。」

「【図34】



「【0090】
[ベースモジュールを介した給電]
この構成では、インタフェースモジュールは、電力専用またはデータと電力とのコネクタセットのいずれかを用いて、ベースモジュールへの接続を介して給電される。電力アダプタ322の機能は両方のモジュールで共有して使用してもよく、各モジュールが独立して専用の電力アダプタ機能を使用してもよい。」

イ 記載事項
段落【0068】によれば、「図14aのモジュール140bのデータコネクタ58が、図26ではアンテナ260に置換され」ているものであるから、図26においては、「インタフェースモジュール」が、「光出射/受信器またはRF用アンテナ等の非有線式トランシーバである無線インタフェースを備え」ているものである。

また、段落【0068】に示されるとおり、図26のインタフェースモジュール140bは、図14aの「コネクタ58」を「光出射/受信器またはRF用アンテナ等の非有線式トランシーバ」で置き換えたものであるところ、図14のインタフェースモジュール140bは「管理/処理ユニット57」を備えており、この部分は置き換えられないのであるから、図26のインタフェースモジュール140bも「管理/処理ユニット57」を備えているものといえる。

さらに、段落【0068】に示される「ベースモジュール」と「インタフェースモジュール」の「コネクタ58」を「非有線式トランシーバ」で置き換えた構成については、電話回線対を「ベースモジュール」に接続するための「コネクタ61」(図14b、図10b、【0041】、【0048】)が、「ベースモジュール」の背面に設けられてネットワーク接続されている構成を有しているものである。

段落【0073】、【0075】によれば、図10a等の「サイドレール115aおよび115b」の代わりに、図28の「弾性バイアスラッチ281a、281b」を利用することが記載されており、図26のサイドレールを、図28の「弾性バイアスラッチ281a、281b」で置き換えた構成を有しているものである。

また、図28には、インターフェースモジュール140b”を取り付けるための穴を有するベースモジュール140a”の外側表面の筐体部分が、壁面の前面側に取り付けられた状態であることが見て取れる。

ウ 甲1発明
したがって、前記ア、イを踏まえると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、符号a〜l等による分説符号は、当審において付与した。以下「分説a」等という。)

「a コンセントの第一の部分をベースモジュールと称し、機械的に壁に取り付けられ一般のコンセントと同じ方法で壁内の回線に接続する機械的構造からなり、コンセントの第二の部分をインタフェースモジュールと称し、データネットワークの利用を考慮したものであり、ベースモジュールに機械的に固定され、モジュール間の電気接続には、一対の組合せコネクタを利用し、ベースモジュールは、公知のコンセント設置方法と同じ方法で設置され、インタフェースモジュールは、迅速、簡単に専門家でなくとも単純にベースモジュールに取り付けられ(【0044】)、
b インターフェースモジュールを取り付けるための穴を有するベースモジュールの外側表面筐体部分が、壁面の前面側に取り付けられた状態であり(前記イ、【図28】)、
c 光出射/受信器またはRF用アンテナ等の非有線式トランシーバである無線インタフェースと、管理/処理ユニット57を備えたインタフェースモジュール(【0068】、前記イ)と、
を備え、
d 電話回線対をベースモジュールに接続するためのコネクタ61が、ベースモジュールの背面に設けられてネットワーク接続され(前記イ)、
e ネットワーク管理機能は、管理/処理ユニット57によりサポートされ、管理/処理ユニット57は、媒体モデム54、ハブ55およびインタフェースアダプタ56等のコンセント内の全ての関連機能に連結され(【0039】)、
f 複数のネットワークインタフェースをサポートし(【0069】)、
複数のインタフェースモジュールや、複数のベースモジュールを使用することができ(【0070】)、
g インタフェースモジュールの設置や交換が簡便となるように(【0073】)、
h インタフェースモジュール上に位置する弾性バイアスラッチ281a、281bを利用し、ベースモジュール内のそれぞれの穴にインタフェースモジュールを挿入すると、ラッチがそれぞれの受け口282a、282bとかみ合って、モジュール間がしっかり結合し、モジュールの正面で装着する機械的取り付けを有し(【0075】、前記イ)、
i ベースモジュール内で電力アダプタを使用し、該アダプタは、必要とされる特定の電圧にあわせるための電圧変換、保護回路、調整及びノイズフィルタと共にその他業界で公知の機能を含む、電源調整機能322を備え、電力を供給される全ての部品に対して必要なDC電力を出力し(【0082】)、
j ベースモジュールは、コンセントが接続する回線上を搬送される電力によって給電され(【0083】)、電力分割機能は、回線上を搬送される電力を取り出し、電力アダプタに給電し(【0084】)、
k インタフェースモジュールは、電力専用またはデータと電力とのコネクタセットのいずれかを用いて、ベースモジュールへの接続を介して給電される(【0090】)、
l ネットワーク用のモジュラーコンセント(【0001】)。」

(2)甲第3号証
ア 甲第3号証の記載
甲第3号証には、次の事項が記載されている。


(当審訳:
[0003] 本発明が解決しようとする技術的課題は、無線システムを壁内に配置することができる壁面無線装置を提供することである。
[0004] その技術的課題を解決するために本発明に用いられる技術的解決手段は、取付パネルと無線装置とを備え、前記無線装置が前記取付パネルに取り付けられ、前記取付パネルが壁面に取り付けられる壁面無線装置である。
[0005] 上記の技術的解決策と併せて、本発明は、以下のさらなる技術的解決策を採用又は組み合わせることもできる:
前記無線装置は、無線機能付きパネルであり、前記無線機能付きパネルは、前記取付パネルに着脱可能に固定接続されている。
[0006] 前記無線機能付きパネルは、それ自体の形状によって前記取付パネルに干渉嵌合で接続されるか、又は、前記無線機能付きパネルは、ロック固定機構(例えば、ネジ)によって前記取付パネルに固定されるか、又は、前記無線機能付きパネルと前記取付パネルは、両者が留め具によって固定されるように接触面に隠し留め具と留め具がそれぞれ配置されているか、又は、前記無線機能付きパネルと前記取付パネルとが、磁気吸着により両者が接続されるように、相互に吸引力のある磁性体をそれぞれ配置するか、又は、前記無線機能付きパネルと前記取付パネルとが、接着により両者が固定的に接続されるように、それらの接触面にマジックテープをそれぞれ備える。
[0007] 前記無線機能付きパネルは、ハウジングと、キーコントロールユニットと、制御・変換回路システムユニットと、画面表示ユニットとを備え、前記キーコントロールユニット及び画面表示ユニットは前記ハウジングの外面に取り付けられ、前記制御・変換回路システムユニットは前記ハウジングの内部に取り付けられ、前記ハウジングは前記取付パネルに着脱可能に固定接続される。
[0008] 前記取付パネルは、ハウジングと電力変換回路とを備え、前記電力変換回路は前記ハウジング内に取り付けられ、前記電力アダプタ回路は、外部電源に接続されて、外部電源からのAC電力をコントローラに受け入れられる電流に変換し、無線機能付きパネルに電力を供給する。
[0009] 前記制御・変換回路ユニットは、コントローラ、信号処理回路、信号受信回路、信号出力回路からなり、前記信号受信回路は、前記キーコントロールユニットに接続され、キーコントロールユニットからキー信号を受信してコントローラに送信し、前記信号処理回路は、外部の無線信号を受信して変換してコントローラに送信するアンテナを含み、前記信号出力回路が変換して 前記信号出力回路は、前記コントローラからの信号を前記画面表示装置に変換することを特徴とする。)


(当審訳:
[0012] 前記無線機能付きパネルは、wifi、Bluetooth又は赤外線によって外部と信号を交換できる無線信号トランシーバユニットを更に含み、これによりネットワーク再生などの機能を実現することができる。)


(当審訳:
[0024] 本発明の壁面無線装置は、取付パネル2と無線装置1とを備え、前記無線装置1は取付パネル2に取り付けられ、前記取付パネル2はコンシールドボックス4に接続され、前記コンシールドボックス4は取付ベース3を備え、前記取付ベース3は取付パネル2を外部電源やデータ接続に電気的に接続するために用いられる。
[0025] 前記無線装置1は、無線機能付きパネルであり、前記無線機能付きパネルは、ハウジング5、キーコントロールユニット6、制御・変換回路システムユニット7及び画面表示ユニット8を備え、前記キーコントロールユニット6は、画面表示ユニット8に組み込まれた物理キー又はタッチキーであってよい。)

「図1




「図2




(当審訳:
[0028] 前記着脱固定接続とは、特に、ハウジング5がそれ自体の形状によって前記取付パネル2に干渉嵌合で接続されることを意味し、この場合、取付パネル2には、ハウジング5と一致する形状の開口部又はスロットが設けられており、例えば、取付パネル2には、ハウジング5の取付ビットを形成する角形の凹部が設けられているか、又は、ハウジング5はロック固定機構(例えばネジ)によって取付パネル2に固定されている) あるいは、ハウジング5と前記取付パネル2の接触面にそれぞれ隠し留め具と留め具が配置され、両者が留め具によって固定されるようにするか、あるいは、ハウジング5と前記取付パネル2にそれぞれ相互に吸引力のある磁性体が配置され、両者が磁気吸着によって連結されるようにするか、あるいは、ハウジング5と前記取付パネル2の合わせ面にそれぞれマジックテープが設けられて、両者が接着剤によって固定連結されるようにするか、である。 両者は接着剤によって固定的に接続される。
[0029] 添付の図3を参照すると、取付ベース3は、コンシールドボックス4によって壁に固定することができる。)

「図3




(当審訳:
[0035] 一実施形態において、無線装置1は次のように動作する:制御・変換回路システムユニット7は、一般に使用されている無線装置のチップを使用することができ、電磁波信号は、制御・変換回路システムユニット7のアンテナ部によって受信され、電磁波信号を音声電気信号に変換するステップで制御・変換回路システムユニット7によってフィルタリング及び復調される。そして、音声電気信号は、音声電力増幅器によって増幅され、スピーカによって音波に変換される。キー制御部は、キーの押下動作により制御・変換回路系ユニット7の制御回路部をトリガーすることができ、これにより制御・変換回路系ユニット7の信号選別周波数が調整され、画面表示部8には、現在の復調周波数が表示される。)


(当審訳:
[0039] 無線装置1は、無線送信ユニットを備えていてもよく、又は、無線送信ユニットは、Wifiユニットであってもよく;又は、Bluetoothユニットであってもよい。)


(当審訳:
[0042] 取付ベース3内の電源モジュールは、外部AC電力をDC電力に変換し、出力電圧は、5Vであってもよく、12Vであってもよく、又は、他の利用可能な供給電圧であってもよい。)

イ 記載事項
図1から、「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」が一体となって設置されることが見て取れる。

図1から、「無線機能付きパネル」は、「取付パネル」の正面から取り付けられることが見て取れる。

図1及び図2から、無線装置1を取り付ける開口部を有する取付パネル2が、壁面の前面側に取り付けられることが見て取れる。

ウ 甲3発明
したがって、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、符号(a)〜(o)等による分説符号は、当審において付与した。以下「分説(a)」等という。)

「(a)無線システムを壁内に配置することができる壁面無線装置であって([0003])、
無線装置を取り付ける開口部を有する取付パネルが壁面の前面側に取り付けられる壁面無線装置であって([0004]、前記イ)、
(b)取付ベースは、コンシールドボックスによって壁に固定することができ([0029])、
(c)無線装置は、無線機能付きパネルであり([0005])、
(d)壁面無線装置は、取付パネルと無線装置とを備え、前記無線装置は取付パネルに取り付けられ([0024])、
(e)無線機能付きパネルは、取付パネルの正面から取り付けられ(前記イ)、
前記無線機能付きパネルは、前記取付パネルに着脱可能に固定接続され([0005])、
前記無線機能付きパネルと前記取付パネルは、両者が留め具によって固定されるように接触面に隠し留め具と留め具がそれぞれ配置され([0006])、
(f)前記取付パネルは、ハウジングと電力変換回路とを備え([0008])、
(g)取付ベース内の電源モジュールは、外部AC電力をDC電力に変換し([0042])、
(h)前記電力変換回路は前記ハウジング内に取り付けられ、前記電力アダプタ回路は、外部電源に接続されて、外部電源からのAC電力をコントローラに受け入れられる電流に変換し、無線機能付きパネルに電力を供給し([0008])、
(i)前記取付パネルはコンシールドボックスに接続され、前記コンシールドボックスは取付ベースを備え、前記取付ベースは取付パネルを外部電源やデータ接続に電気的に接続するために用いられ([0024])、
(j)取付パネル、取付ベース及びコンシールドボックスが一体となって設置され(前記イ)、
(k)前記無線機能付きパネルは、wifi、Bluetooth又は赤外線によって外部と信号を交換できる無線信号トランシーバユニットを更に含み、これによりネットワーク再生などの機能を実現することができ([0012])、
(l)無線装置は、無線送信ユニットを備えていてもよく、又は、無線送信ユニットは、Wifiユニットであってもよく、Bluetoothユニットであってもよく([0039])、
(m)前記無線機能付きパネルは、制御・変換回路システムユニットを備え、前記制御・変換回路システムユニットは前記ハウジングの内部に取り付けられ、([0007])、
(n)制御・変換回路システムユニットは、一般に使用されている無線装置のチップを使用することができ、電磁波信号は、制御・変換回路システムユニットのアンテナ部によって受信され、電磁波信号を音声電気信号に変換するステップで制御・変換回路システムユニットによってフィルタリング及び復調される([0035])、
(o)壁面無線装置。」

2 対比・判断
(1)甲1発明に基づく取消理由(新規性
ア 本件発明2
(ア)対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる。

a 「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、」について

(a)甲1発明の「電力アダプタ」は、「電力を供給される全ての部品」に対して「必要なDC電力を出力」するもの(分説i)であるから、本件発明2の「電源部」に相当する。

(b)甲1発明の「非有線式トランシーバ」(分説c)は、無線で通信を行うものであるから、本件発明2の「無線通信部」に相当する。

(c)甲1発明の「管理/処理ユニット57」は、「インタフェースアダプタ」等の「全ての関連機能に連結され」、「ネットワーク管理機能」を「サポート」するもの(分説e)であり、換言すれば、「非有線式トランシーバ」(分説c)を含む「インタフェースアダプタ」等の制御を行うものであるから、「管理/処理ユニット57」は、「非有線式トランシーバ」を制御するものである。
よって、前記(b)を踏まえると、甲1発明の「非有線式トランシーバ」を制御する「管理/処理ユニット57」は、本件発明2の「前記無線通信部を制御する制御部」に相当する。

(d)甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「ベースモジュールへの接続を介して給電され」るものであり(分説k)、「ベースモジュール」は「電力アダプタ」により給電される(分説i、j)から、「インタフェースモジュール」は、「電力アダプタ」により給電されるものである。
また、「インタフェースモジュール」に備わる「非有線式トランシーバ」や「管理/処理ユニット57」(分説c)も、同様に「電力アダプタ」により給電されるものであるといえる。
よって、前記(a)及び(b)を踏まえると、甲1発明の「電力アダプタ」によって給電される「非有線式トランシーバ」は、本件発明2の「前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部」に相当する。
同様に、前記(a)及び(c)を踏まえると、甲1発明の「電力アダプタ」によって給電される「管理/処理ユニット57」は、本件発明2の「前記電源部から供給される電力にて作動」する「制御部」に相当する。

(e)甲1発明の「ネットワーク用のモジュラーコンセント」(分説l)は、「インタフェースモジュール」を備え(分説a)、「インタフェースモジュール」は、前記(b)のとおり、無線で通信を行う「非有線式トランシーバ」を備える(分説c)から、情報通信を行う装置であるといえる。
よって、甲1発明の「ネットワーク用のモジュラーコンセント」は、本件発明2の「情報通信装置」に相当する。

(f)したがって、前記(a)〜(e)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「情報通信装置」が「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え」る点で一致する。

b 「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、」について

(a)甲1発明の「ネットワーク用のモジュラーコンセント」(分説l)は、「インタフェースモジュール」を備え(分説a)、「インタフェースモジュール」は、他の装置との間で無線通信を行う「非有線式トランシーバ」を備える(分説c)から、前記a(e)を踏まえると、甲1発明の「非有線式トランシーバ」を備える「ネットワーク用のモジュラーコンセント」は、本件発明2の「外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置」に相当する。

(b)甲1発明の「ネットワーク用のモジュラーコンセント」(分説l)は、「ベースモジュール」を備え(分説a)、「ベースモジュール」は、「機械的に壁に取り付けられ一般のコンセントと同じ方法で壁内の回線に接続する機械的構造」を有し、「公知のコンセント設置方法と同じ方法で設置」される(分説a)から、壁内に埋設状態で設置されるものであるといえる。
よって、前記a(e)を踏まえると、甲1発明の「ネットワーク用のモジュラーコンセント」は、本件発明2の「設置面に埋設状態で設置され」る「情報通信装置」に相当する。

(c)したがって、前記(a)及び(b)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置」を備える点で一致する。

c 「前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、」について

(a)前記a(a)を踏まえると、甲1発明の「電力アダプタ」は、本件発明2の「電源部」に相当する。

(b)甲1発明の「ベースモジュール」は、「電力アダプタ」を有しており(分説i、j)、電源側のユニットを構成しているといえるから、本件発明2の「電源側分割ユニット」に相当する。

(c)前記b(b)を踏まえると、甲1発明の「ベースモジュール」は、壁内に埋設状態で設置されるものであるから、本件発明2の「設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニット」に相当する。

(d)したがって、前記(a)〜(c)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニット」を備える点で一致する。

d 「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、」について

(a)甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「電力アダプタ」を有さず、非電源側のユニットを構成しているといえるから、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に相当する。

(b)甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「迅速、簡単に専門家でなくとも単純にベースモジュールに取り付けられ」(分説a)るものであり、「設置や交換が簡便となるよう」な(分説g)「機械的取り付け」を有し(分説h)ていることから、「ベースモジュール」に対して着脱可能に装着できるものと理解される。
よって、前記(a)を踏まえると、甲1発明の「インタフェースモジュール」は、本件発明2の「前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」に相当する。

(c)前記a(b)を踏まえると、甲1発明の「非有線式トランシーバ」は、本件発明2の「無線通信部」に相当する。
同様に、前記a(c)を踏まえると、甲1発明の「管理/処理ユニット57」は、本件発明2の「制御部」に相当する。

(d)甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「非有線式トランシーバ」と「管理/処理ユニット57」を備え(分説c)ているから、前記(a)及び(c)を踏まえると、甲1発明の「非有線式トランシーバ」と、「管理/処理ユニット57」を備える「インタフェースモジュール」は、本件発明2の「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備え」る「非電源側分割ユニット」に相当する。

(e)したがって、前記(b)及び(d)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」を備える点で一致する。

e 「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、」について

(a)前記c(b)を踏まえると、甲1発明の「ベースモジュール」は、本件発明2の「電源側分割ユニット」に相当する。
同様に、前記d(a)を踏まえると甲1発明の「インタフェースモジュール」は、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に相当する。

(b)甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「ベースモジュール」と接続されると、「電力専用またはデータと電力とのコネクタセットのいずれか」を用いて「給電される」(分説k)ものであるから、甲1発明の「電力専用またはデータと電力とのコネクタセット」は、本件発明2の「電源接続部」に相当する。

(c)したがって、前記(a)及び(b)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部」を備える点で一致する。

f 「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、」について

(a)前記b(b)を踏まえると、甲1発明の「ベースモジュール」は、壁内に埋設状態で設置されるものであるから、本件発明2の「設置面に埋設状態で設置され」る「電源側分割ユニット」に相当する。

(b)前記d(b)を踏まえると、甲1発明の「インタフェースモジュール」は、本件発明2の「前記電源側分割ユニットに対して」「着脱自在に装着可能に構成され」る「非電源側分割ユニット」に相当する。

(c)甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「ベースモジュール内」の「穴」に「インタフェースモジュール」を挿入し、「ベースモジュール」の正面から装着する「機械的取り付け」を有する(分説h)から、「ベースモジュール」に対して、設置面の対向空間側から装着できるものであるといえる。
よって、甲1発明の「インタフェースモジュール」は、本件発明2の「前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から」「装着可能に構成され」る「前記非電源側分割ユニット」に相当する。

(d)甲1発明の「インターフェースモジュールを取り付けるための穴」(分説b)は、本件発明2の「取付け窓」に相当する。

(e)甲1発明の「ベースモジュールの外側表面筐体部分」(分説b)は、カバー状の筐体を構成するから、本件発明2の「化粧カバー」に相当する。

(f)甲1発明の「壁面」(分説b)は、ベースモジュールが設置される面のことであるから、本件発明2の「設置面」に相当する。

(g)したがって、前記(a)〜(f)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され」る「前記非電源側分割ユニット」を備える点で一致する。

g 「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し」について

甲1発明には、かかる点は特定されていない。

h 「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」について

(a)前記c(b)を踏まえると、甲1発明の「ベースモジュール」は、本件発明2の「電源側分割ユニット」に相当する。
同様に、前記d(a)を踏まえると甲1発明の「インタフェースモジュール」は、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に相当する。

(b)甲1発明の「ベースモジュール内」の「穴」に「インタフェースモジュール」を挿入して、「機械的取り付け」がされるとき、「インタフェースモジュール上に位置する弾性バイアスラッチ281a、281b」は、「ベースモジュール内」の「穴」の「受け口282a、282bとかみ合って、モジュール間がしっかり結合」する(分説h)から、当該「機械的取り付け」は、結合をロックする手段であるといえる。
よって、甲1発明の「機械的取り付け」は、本件発明2の「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロック」する「ロック手段」に相当する。

(c)前記d(b)を踏まえると、甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「ベースモジュール」に対して着脱可能に装着できるものである。
すると、前記(b)の「インタフェースモジュール」の「弾性バイアスラッチ281a、281b」(分説h)は、「ベースモジュール」の「受け口282a、282b」に対して、着脱可能に構成されていることは明らかであるから、弾性バイアスラッチ281bが有する「弾性バイアス」によって、「弾性バイアスラッチ281a、281b」のラッチ部分を弾性変形させて「受け口282a、282b」から取り外しができるものであると考えることができる。
よって、甲1発明の「機械的取り付け」は、本件発明2の「ロック解除可能なロック手段」に相当する。

(d)前記f(c)を踏まえると、甲1発明の「インタフェースモジュール」は、「ベースモジュール」に対して、設置面の対向空間側から装着するものであるから、前記(c)を踏まえると、取り外しを行う場合にも、設置面の対向空間側から行われることは明らかである。
よって、甲1発明の「機械的取り付け」は、本件発明2の「設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」に相当する。

(e)したがって、前記(a)〜(d)を踏まえると、本件発明2と甲1発明とは、「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」を備える点で一致する。

i 「情報通信装置」について
前記a(e)を踏まえると、甲1発明の「ネットワーク用のモジュラーコンセント」(分説l)は、本件発明2の「情報通信装置」に相当する。

(イ)一致点及び相違点
以上のことから、本件発明2と甲1発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

〔一致点〕
「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、
前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、
設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。」

〔相違点〕
本件発明2においては、「非電源側分割ユニット」は、「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」するものであるのに対し、甲1発明には、そのような構成が特定されていない点

(ウ)判断
本件発明2と甲1発明との間には、前記(イ)の〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が存在するから、本件発明2は、甲1発明であるということができない。

(エ)小括
よって、本件発明2は、甲1発明と同一ではない。

イ 本件発明3
本件発明3は、本件発明2の「情報通信装置」が、更に「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている」ことを特定したものである。

(ア)対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる(本件発明2を引用する部分は、前記アのとおりである)。

a 「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、」について

甲1発明は「電話回線対をベースモジュールに接続するためのコネクタ61が、ベースモジュールの背面に設けられ、ネットワーク接続されている」(分説d)ものであるから、甲1発明の「ネットワーク接続」のための「電話回線対」が接続可能な「コネクタ61」が設けられた「ベースモジュール」が、本件発明3の「WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部」が備えられた「前記電源側分割ユニット」に相当する。

b 「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている」について

甲1発明の「一対の組合せコネクタ」(図26の141、図14bの141、142)によって、「ベースモジュール」と「インタフェースモジュール」間の電気接続が行われるから(分説a、分説k)、甲1発明の「一対の組合せコネクタ」は、本件発明3の「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部」に相当する。

しかしながら、前記アを踏まえると、本件発明3と甲1発明との間には、前記ア(イ)の〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が存在するから、本件発明3は、甲1発明であるということができない。

(イ)小括
よって、本件発明3は、甲1発明と同一ではない。

ウ 本件発明4
本件発明4は、本件発明2又は3の「情報通信装置」が、更に「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている」ことを特定したものである。

(ア)対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる(本件発明2、3を引用する部分は、前記ア、イのとおりである)。

「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている」について

甲1発明の「インタフェースモジュール」は、複数のネットワークインタフェースをサポートし(分説f)、インタフェースモジュールの設置や交換が簡便となるように(分説g)、複数のインタフェースモジュールを使用することができ(分説f)るから、本件発明4と甲1発明とは、「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている」点で一致する。

しかしながら、前記アを踏まえると、本件発明4と甲1発明との間には、前記ア(イ)の〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が存在するから、本件発明4は、甲1発明であるということができない。

(イ)小括
よって、本件発明4は、甲1発明と同一ではない。

エ 本件発明5
本件発明5は、本件発明2、3又は4の「情報通信装置」が、更に「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている」ことを特定したものである。

(ア)対比
本件発明5と甲1発明とを対比すると、次のことがいえる(本件発明2、3又は4を引用する部分は、前記ア、イ又はウのとおりである)。

「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている」について

甲1発明の「ベースモジュール」についても、複数のネットワークインタフェースをサポートし、複数のベースモジュールを使用することができ(分説f)るものであるから、本件発明5と甲1発明とは、「機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている」点で一致する。

しかしながら、前記アを踏まえると、本件発明5と甲1発明との間には、前記ア(イ)の〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が存在するから、本件発明5は、甲1発明であるということができない。

(イ)小括
よって、本件発明5は、甲1発明と同一ではない。

(2)甲3発明に基づく取消理由(新規性
ア 本件発明2
(ア)対比
本件発明2と甲3発明とを対比すると、次のことがいえる。

a 「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、」について

(a)甲3発明の「電力アダプタ回路」は、「外部電源からのAC電力をコントローラに受け入れられる電流に変換し」、「電力を供給」する(分説(h))ものであるから、本件発明2の「電源部」に相当する。

(b)甲3発明の「無線信号トランシーバユニット」(分説(k))は、wifi等によって外部と信号を交換するものであるから、本件発明2の「無線通信部」に相当する。

(c)甲3発明の「制御・変換回路システムユニット」は、「無線装置」である「無線機能付きパネル」の「無線装置のチップ」を使用して、「電磁波信号」を「受信」し「フィルタリング及び復調」するもの(分説(n))であるから、「無線信号トランシーバユニット」を制御しているものといえる。
よって、前記(b)及び(c)を踏まえると、甲3発明の「無線信号トランシーバユニット」を制御する「制御・変換回路システムユニット」は、本件発明2の「前記無線通信部を制御する制御部」に相当する。

(d)甲3発明の「電力アダプタ回路」は、外部電源からのAC電力をコントローラに受け入れられる電流に変換し、「無線機能付きパネル」に電力を供給するもの(分説(h))である。
また、「無線機能付きパネル」は「無線信号トランシーバユニット」(分説(k))を含み「制御・変換回路システムユニット」を備え(分説(m))ているから、「電力アダプタ回路」は、「無線信号トランシーバユニット」や「制御・変換回路システムユニット」にも電力を供給するものであることは明らかである。
よって、前記(a)及び(b)を踏まえると、甲3発明の「電力アダプタ回路」が電力を供給する「無線信号トランシーバユニット」は、本件発明2の「前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部」に相当する。
同様に、前記(a)及び(c)を踏まえると、甲3発明の「電力アダプタ回路」が電力を供給する「制御・変換回路システムユニット」は、本件発明2の「前記電源部から供給される電力にて作動」する「制御部」に相当する。

(e)甲3発明の「壁面無線装置」は、「無線機能付きパネル」を備え(分説(c)、(d))、「無線機能付きパネル」は「無線信号トランシーバユニット」を含み、wifi等によって外部と信号を交換するもの(分説(k))であるから、情報通信を行う装置であるといえる。
よって、甲3発明の「壁面無線装置」は、本件発明2の「情報通信装置」に相当する。

(f)したがって、前記(a)〜(e)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「情報通信装置」が「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部を備え」る点で一致する。

b 「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、」について

(a)甲3発明の「壁面無線装置」は「無線機能付きパネル」を備え(分説(c)、(d))、「無線機能付きパネル」は「無線信号トランシーバユニット」を含み、wifi等によって外部と信号を交換するもの(分説(k))であるから、前記a(e)を踏まえると、甲3発明の「無線信号トランシーバユニット」を備える「壁面無線装置」は、本件発明2の「外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置」に相当する。

(b)甲3発明の「壁面無線装置」は「無線システムを壁内に配置」(分説(a))できるものであるから、壁内に埋設状態で設置されるものであるといえる。
よって、前記a(e)を踏まえると、甲3発明の「壁面無線装置」は、本件発明2の「設置面に埋設状態で設置され」る「情報通信装置」に相当する。

(c)したがって、前記(a)及び(b)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置」を備える点で一致する。

c「前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、」について

(a)甲3発明の「電源モジュール」は、「外部AC電力をDC電力に変換」して出力電圧を供給する(分説(g))ものであるから、「電力アダプタ回路」と同様に、本件発明2の「電源部」に相当する。

(b)甲3発明の「取付パネル」は「コンシールドボックス」に備わる「取付ベース」により接続され(分説(i))、「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」が一体となって設置される(分説(j))ものである。
また、「取付パネル」の「ハウジング内」に「電力変換回路」が取り付けられること(分説(h))、「取付ベース」内に「電源モジュール」を備えること(分説(g))から、「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」からなるハウジング内には、電源が備えられており、電源側のユニットを構成しているといえるから、甲3発明の「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」は、本件発明2の「前記電源部を備え」た「電源側分割ユニット」に相当する。

(c)甲3発明の「コンシールドボックス」が壁に固定され(分説(b))ることで「取付ベース」とともに「取付パネル」が「壁面に取り付けられる」もの(分説(a)、(b)、(i))であり、前記(b)及びb(b)を踏まえると、壁内に埋設状態で設置されるものであるから、甲3発明の「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」は、本件発明2の「設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニット」に相当する。

(d)したがって、前記(a)〜(c)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニット」を備える点で一致する。

d 「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、」について

(a)甲3発明の「無線機能付きパネル」は、「電源モジュール」又は「電力アダプタ回路」を有さず、非電源側のユニットを構成しているといえるから、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に相当する。

(b)甲3発明の「無線機能付きパネル」は、「取付パネルに着脱可能に固定接続され」る(分説(e))から、「無線機能付きパネル」は、本件発明2の「前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」に相当する。

(c)前記a(b)を踏まえると、甲3発明の「無線信号トランシーバユニット」は、本件発明2の「無線通信部」に相当する。
同様に、前記a(c)を踏まえると、甲3発明の「制御・変換回路システムユニット」は、本件発明2の「制御部」に相当する。

(d)甲3発明の「無線機能付きパネル」は、「無線信号トランシーバユニット」及び「制御・変換回路システムユニット」を備え(分説(k)、(m))ているから、前記(a)及び(c)を踏まえると、甲3発明の「無線信号トランシーバユニット」と、「制御・変換回路システムユニット」を備える「無線機能付きパネル」は、本件発明2の「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備え」る「非電源側分割ユニット」に相当する。

(e)したがって、前記(b)及び(d)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」を備える点で一致する。

e 「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、」について

(a)前記c(b)を踏まえると、甲3発明の「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」は、本件発明2の「電源側分割ユニット」に相当する。
同様に、前記d(a)を踏まえると、甲3発明の「無線機能付きパネル」は、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に相当する。

(b)前記c(b)を踏まえると、甲3発明の「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」からなるハウジング内には電源が備えられているものである。
また、前記a(d)を踏まえると、ハウジング内の電源から「無線機能付きパネル」に電力が供給され、「無線機能付きパネル」が「取付パネル」に取り付けられたときに、「無線機能付きパネル」に「電力を供給」する手段を有しているといえる。

(c)したがって、前記(a)及び(b)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部」を備える点で一致する。

f 「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、」について

(a)前記c(c)を踏まえると、甲3発明の「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」は、壁内に埋設状態で設置されるものであるから、本件発明2の「設置面に埋設状態で設置され」る「電源側分割ユニット」に相当する。

(b)前記d(b)を踏まえると、甲3発明の「無線機能付きパネル」は、本件発明2の「前記電源側分割ユニットに対して」「着脱自在に装着可能に構成され」る「非電源側分割ユニット」に相当する。

(c)甲3発明の「無線機能付きパネル」は、「取付パネル」の正面から取り付けられる(前記イ)から、「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」に対して、設置面の対向空間側から装着されるものであるといえる。
よって、甲3発明の「無線機能付きパネル」は、本件発明2の「前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から」「装着可能に構成され」る「前記非電源側分割ユニット」に相当する。

(d)甲3発明の「無線装置を取り付ける開口部」(分説(a))は、本件発明2の「取付け窓」に相当する。

(e)甲3発明の「取付パネル」(分説(a))は、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」をカバーしているから、本件発明2の「化粧カバー」に相当する。

(f)甲3発明の「壁面」(分説(a))は、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」が設置される面のことであるから、本件発明2の「設置面」に相当する。

(g)前記(a)〜(f)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され」る「非電源側分割ユニット」を備える点で一致する。

g 「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し」について
甲3発明には、かかる点は特定されていない。

h 「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」について

(a)前記c(b)を踏まえると、甲3発明の「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」は、本件発明2の「電源側分割ユニット」に相当する。
同様に、前記d(a)を踏まえると、甲3発明の「無線機能付きパネル」は、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に相当する。

(b)甲3発明の「無線機能付きパネル」と「取付パネル」が留め具によって固定されるように接触面に隠し留め具と留め具がそれぞれ配置され(分説(e))ているから、装着状態でロックする手段であるといえる。
よって、甲3発明の「隠し留め具と留め具」は、本件発明2の「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロック」する「ロック手段」に相当する。

(c)前記d(b)を踏まえると、甲3発明の「無線機能付きパネル」は、「取付パネル」に対して着脱可能に固定接続できるものであるから、前記(b)の「隠し留め具と留め具」が、着脱可能に構成されていることは明らかである。
よって、甲3発明の「隠し留め具と留め具」は、本件発明2の「ロック解除可能なロック手段」に相当する。

(d)前記f(c)を踏まえると、甲3発明の「無線機能付きパネル」は、「取付パネル」、「取付ベース」及び「コンシールドボックス」に対して、設置面の対向空間側から装着されるものであるから、甲3発明の「隠し留め具と留め具」は、本件発明2の「設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」に相当する。

(e)したがって、前記(a)〜(d)を踏まえると、本件発明2と甲3発明とは、「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」を備える点で一致する。

i 「情報通信装置」について

前記a(e)を踏まえると、甲3発明の「壁面無線装置」は、本件発明2の「情報通信装置」に相当する。

(イ)一致点及び相違点
以上のことから、本件発明2と甲3発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、
前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、
設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。」

〔相違点〕
本件発明2においては、「非電源側分割ユニット」は、「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」するものであるのに対し、甲3発明には、そのような構成が特定されていない点

(ウ)判断
本件発明2と甲3発明との間には、前記(イ)の〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が存在するから、本件発明2は、甲3発明であるということができない。

(エ)小括
よって、本件発明2は、甲3発明と同一ではない。

イ 本件発明4
本件発明4は、本件発明2の「情報通信装置」が、更に「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている」ことを特定したものである。

(ア)対比
本件発明4と甲3発明とを対比すると、次のことがいえる(本件発明2を引用する部分は、前記アのとおりである)。

「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている」について

甲3発明の「無線機能付きパネル」は、無線送信ユニットを備えていてもよく、無線送信ユニットは、Wifiユニットであってもよく、Bluetoothユニットであってもよい(分説(l))、ものであるから、機能又は仕様の異なる複数種の「無線機能付きパネル」の各々が選択的に装着可能に構成されているものである。
すると、本件発明4と甲3発明とは、「前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている」点で一致する。

しかしながら、前記アを踏まえると、本件発明4と甲3発明との間には、前記ア(イ)の〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が存在するから、本件発明2は、甲3発明であるということができない。

(イ)小括
よって、本件発明4は、甲3発明と同一ではない。

3 まとめ
以上のとおり、請求項2〜5に係る発明は、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明ではなく、特許法29条1項3号に該当しないから、請求項2〜5に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものではない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由の概要
申立人が特許異議申立書において訂正前の請求項2〜5に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由のうち、採用しなかった特許異議申立理由は、次のとおりである。

(1)申立理由1(新規性
本件特許の訂正前の請求項2〜4に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明であり、本件特許の訂正前の請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。

ア 申立理由1−2(甲第2号証を証拠とする新規性
本件特許の訂正前の請求項2〜4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。

イ 申立理由1−3(甲第3号証を証拠とする新規性
本件特許の訂正前の請求項3に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。

ウ 申立理由1−4(甲第4号証を証拠とする新規性
本件特許の訂正前の請求項2〜4に係る発明は、甲第4号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)申立理由2(進歩性
本件特許の訂正前の請求項2〜5に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明及び甲第5〜6号証に記載の発明若しくは周知技術に基いて本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

ア 申立理由2−1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性
本件特許の訂正前の請求項2〜5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2〜6号証に記載の発明若しくは周知技術に基いて本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

イ 申立理由2−2(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性
本件特許の訂正前の請求項2〜5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3〜6号証に記載の発明若しくは周知技術に基いて本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

ウ 申立理由2−3(甲第3号証を主たる証拠とする進歩性
本件特許の訂正前の請求項2〜5に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1〜2、4〜6号証に記載の発明若しくは周知技術に基いて本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

エ 申立理由2−4(甲第4号証を主たる証拠とする進歩性
本件特許の訂正前の請求項2〜5に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1〜3、5〜6号証に記載の発明若しくは周知技術に基いて本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、当該請求項に係る特許は、同法113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)証拠方法
申立人により、特許異議申立書とともに提出された証拠方法(前記第4「取消理由通知書の概要」中で参照した文献を除く。)は、次のとおりである。
甲第2号証 特開平7−273770号公報
甲第4号証 特開平10−12337号公報
甲第5号証 特表2007−523457号公報
甲第6号証 米国特許出願公開第2017/0273203号

また、申立人により、令和5年12月20日提出の意見書とともに提出された追加の証拠方法は、次のとおりである。
甲第7号証 特開2018−11166号公報
甲第8号証 特開2005−244514号公報
甲第9号証 特開2015−154279号公報
甲第10号証 特開2008−172769号公報

2 当審の判断

(1)甲各号証の記載
ア 甲第2号証
(ア)甲第2号証の記載
甲第2号証には、次の事項が記載されている。

「【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例に係る配線システムを示す概略構成図である。本配線システムは、配線接続器具1a〜1d、配線2a〜2d、パッチパネル3、各種インターフェースユニット5a〜5dおよび各種インターフェースユニット5a〜5dに対応した設備4a〜4cを有してなる。配線接続器具1a〜1dは、各種インターフェースユニット5a〜5dを設置することにより、各種インターフェースユニット5a〜5dと配線2a〜2dとを接続するものである。配線接続器具1a〜1dは、室内の天井面7や壁面8に設置されるものであり、本実施例の場合は、配線接続器具1a〜1cは天井面7に設置され、配線接続器具1dは壁面8に設置されている。配線接続器具1a〜1dは、図2に示すように、各種インターフェースユニット5a〜5dの信号線と配線2a〜2dとの接続を行う信号線接続部11と、各種インターフェースユニット5a〜5dの電源線と配線2a〜2dとの接続を行う電源接続部12および各種インターフェースユニット5a〜5dを保持するためのユニット保持部13を有してなる。ここで、各種インターフェースユニット5a〜5dとしては、各種機器を制御するための信号を出力する機器制御用リモコン6aと対応した機器制御用センサユニット5a、無線LAN端末6bと対応した無線LANユニット5b、無線通話用システムに使用される端末の一例としてのPHP端末6cに対応したPHPユニット5cおよび監視領域を撮像し、映像信号を出力する監視カメラユニット5d等がある。なお、インターフェースユニット5a〜5dを配線接続器具1a〜1dに取り付けた際に、インターフェースユニット5a〜5d側の接続端子により配線接続器具1a〜1d側の信号線接続部11内の端子の内、必要な端子が選択されるようにしておけば、各種インターフェースユニット5a〜5dをどの配線接続器具1a〜1dに設置しても良いのである。
【0014】配線2a〜2dは、天井や壁内に配設され、配線接続器具1a〜1dとパッチパネル3とを接続するものであり、各々信号線と電源線を有する。配線2a〜2dとしては、ツイストペア線や同軸ケーブルや光ファイバ等、種々のケーブルの使用が可能である。パッチパネル3は、配線接続部の一例としてのものであり、配線2a〜2dとインターフェースユニットに対応した設備とを接続するものである。パッチパネル3は、図3に示すように、1次側および2次側の端子台31と端子台31の各端子間を接続するためのパッチコード32を有してなり、パッチコード32により、容易に接続を切り換えることができるようになっているのである。なお、配線接続部としては、パッチパネル3以外にも、単に一次側端子と2次側端子とを金具等の治具により接続するようなものを用いてもよい。」

「【0016】ここで、本実施例の動作を説明する。今、図1の配線システムにおいて、例えば、会議室内でパーソナルコンピュータを用いて他の部屋に設置されているサーバ(図示せず)のデータベースから種々のデータ(会議室予約状況、他の者のスケジュール等)を検索しようとする場合、無線LAN端末6bを搭載したパーソナルコンピュータからサーバに対して問い合わせの信号を送信すると、無線LANユニット5bにより前記信号が受信され、有線系LANの信号に変換され、配線接続器具1b、配線2bを介してパッチパネル3に伝送される。有線系LAN用に変換された信号は、パッチパネル3のパッチコード32を介してHUB4bに伝送され、HUB4bからサーバに伝送される。また、サーバからの返信信号は、逆の経路により無線LAN端末6bに返送される。」


「【図1】



「【図2】



「【0021】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、予め建物内の天井面や壁面等に設置され、各種端末との信号の送受信等を行うインターフェースユニットを着脱自在に取り付け可能とした配線接続器具と、一端を前記配線接続器具に接続され、前記建物内に先行配線された配線群と、前記配線群の他端に接続され、前記インターフェースユニットをインターフェースユニットに対応した設備と接続させるための配線接続部を有してなる配線システムにより、各インターフェースユニットを配線接続器具に取り付けるだけで、各種端末と対応した設備とが配線群を介して接続され、その間で信号の送受信ができるようになるので、個別のシステム毎に独自の配線系を設けることなしに、自由にシステム設計のできる配線システムが提供できた。」

(イ)記載事項
図1から、配線接続器具1a〜1dは、天井面7や壁面8に埋設状態で設置されていることが見てとれる。

(ウ)甲2発明
したがって、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、符号ア〜ク等による分説符号は、当審において付与した。以下「分説ア」等という。)

「ア 本配線システムは、配線接続器具1a〜1d、各種インターフェースユニット5a〜5dおよび各種インターフェースユニット5a〜5dに対応した設備4a〜4cを有し(【0013】)、
イ 配線接続器具1a〜1dは、各種インターフェースユニット5a〜5dを設置することにより、各種インターフェースユニット5a〜5dと配線2a〜2dとを接続し(【0013】)、
ウ 配線接続器具1a〜1dは、室内の天井面7や壁面8に埋設状態で設置され(【0013】、前記(イ))、配線2a〜2dは、天井や壁内に配設され、配線接続器具1a〜1dとパッチパネル3とを接続するものであり、各々信号線と電源線を有し(【0014】)、
エ 配線接続器具1a〜1dは、各種インターフェースユニット5a〜5dの電源線と配線2a〜2dとの接続を行う電源接続部12および各種インターフェースユニット5a〜5dを保持するためのユニット保持部13を有し(【0013】)、
オ インターフェースユニットを着脱自在に取り付け可能とされ(【0021】)、
カ 各種インターフェースユニット5a〜5dとしては、無線LAN端末6bと対応した無線LANユニット5b等があり(【0013】)、
キ 無線LAN端末6bを搭載したパーソナルコンピュータから無線LANユニット5bにより前記信号が受信され、サーバからの返信信号は、逆の経路により無線LAN端末6bに返送される(【0016】)、
ク 配線システム(【0013】)。」

イ 甲第4号証
(ア)甲第4号証の記載
甲第4号証には、次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、定位置に固定されて情報伝送線が接続されるベースユニットと、各種データを情報伝送線を介して伝送するように構成した内部回路を備えベースユニットに対して着脱自在に結合される機能ユニットとを備えたマルチメディア用配線器具に関するものである。」

「【0027】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)本発明は、基本的に、図1に示すように、ベースユニット10と機能ユニット20とを着脱自在に結合するものであり、ベースユニット10と機能ユニット20とは機械的に結合されるとともに、電気的にも接続される。機械的な結合手段には各種の構造を採用することができ、たとえば電気的な接続状態が達成された後にねじのような固定具を用いる構造を採用し得るが、本実施形態では機能ユニット20に突設したフック21を、ベースユニット10に設けた結合孔11に挿入して係合させる構成を採用している。また、電気的な接続手段としてはモジュラジャック型のレセプタクル12と、モジュラプラグ型のプラグ22とを用いている。ベースユニット10は壁や天井などに取り付けて使用するものであるが、室内の天井に取り付けることが多いから、以下ではベースユニット10と機能ユニット20とを結合したときの、ベースユニット10側を上側と規定する。
【0028】ベースユニット10は、図2ないし図6に示すように、基板プレート13の上面に固定板14を固定ねじ16によって結合し、基板プレート13の下面側に装着される化粧カバー15を設けて形成されている。化粧カバー15は基板プレート13の中央部を円形状に露出させる部位を除いて基板プレート13の下面と側面全周とを覆う形状に形成されている。この化粧カバー15は上縁に係止爪15aを有し、係止爪15aを固定板14の周部に係止させることによって基板プレート13に着脱可能に結合される。」

「【図1】



「【0030】基板プレート13および固定板14には上下に貫通する一対のボックス取付孔18aと一対のカバー取付孔18bとが形成されている。ボックス取付孔18aは埋込型の配線器具用に用いるスイッチボックスの規格に適合する間隔で形成された弧状の長孔であり、カバー取付孔18bは両ボックス取付孔18aの中心間を結ぶ直線に直交する直線上に形成された弧状の長孔である。ボックス取付孔18aやカバー取付孔18bを弧状の長孔としているのは、長孔の長さの範囲内で取付方向を調節することができるようにするためである。ボックス取付孔18aおよびカバー取付孔18bは化粧カバー15により覆われると下方からは見えなくなる。つまり、化粧カバー15を外した状態でボックス取付孔18aやカバー取付孔18bに挿入されるねじを用いることによってベースユニット10を天井面等の施工面に固定した後、基板プレート13および固定板14に対して化粧カバー15を取り付けるとベースプレート10の固定用に用いたねじの頭部を隠すことができるのである。」

「【0035】機能ユニット20は、図9に示すように、ユニット本体23と接続用アダプタ24とからなる。ユニット本体23には、データを授受する機能を有した内部回路が収納される。たとえば、無線式LANやPHSではアンテナおよびアンテナに付設される回路が内部回路として収納される。また、HBSでは監視カメラや各種センサなどがユニット本体23に設けられそれらの信号を扱う回路が内部回路として設けられる。さらに、室内間通信を行なったり各種の負荷を制御するためのワイヤレス信号となる赤外線を授受するための光送受信部をユニット本体23に設け、その信号を扱う回路を内部回路とする場合もある。機能ユニット23に設ける装置および内部回路は、例示したものに限らず必要に応じて適宜選択することができる。」

「【図9】



「【0041】接続用アダプタ24にはロック装置60が設けられる。ロック装置60は図11に示すように、ホルダ25の下面周部に凹設された収納室25hに、ロックピン61、ロック解除釦62、施錠ピン63、施錠ボルト64などを収納して構成される。図15に示すように、ロックピン61はロック用ばね65によって上向きに付勢されており、ホルダ25に設けたピン孔(図示せず)を通してホルダ25の上面に対して進退可能となるように配置されている。ロックピン61の下部にはロックピン61の長手方向に直交する面内で左右に突出する引き戻しピン61aが突設される。一方、ロック解除釦62は、コイルスプリングよりなる復帰ばね66によりホルダ25の外側方に向かって付勢され、一端部が収納室25hから進退可能となるように配置されている。ロック解除釦62の他端部は略コ字形であって、コ字の両脚片の下面には先端に向かって上り傾斜する傾斜面62aが形成され、この傾斜面62aは上記ロック用ばね65のばね力によって上述した引き戻しピン61aに当接している。しかして、ロック解除釦62を収納室25hに押し込むように操作すれば、傾斜面62aによって引き戻しピン61aに下向きの力を作用させることになり、結果的にロックピン61がロック用ばね65のばね力に抗して下方に移動することになる。つまり、ロックピン61をホルダ25の上面から後退させることができるのである。なお、ロック解除釦62には鍔部62bが形成され復帰ばね66のばね座としての機能と、収納室25hの内側面に当接することでロック解除釦62の収納室25hからの脱落を防止する機能とに兼用されている。」

「【図11】



「【0046】上述したように、ベースユニット10にはモジュラジャックよりなるレセプタクル12と電源用の端子ブロック30とが設けられているから、ベースユニット10の上面にはレセプタクル12に接続される情報伝送線45a(図7参照)と電源線45b(図2参照)とが配線されることになる。規約上、スイッチボックス70の中では小勢力の情報伝送線45aと電力供給用の電源線45bとは絶縁隔壁を設けて配線しなければならないから、絶縁材料により形成したセパレータ74を情報伝送線45aと電源線45bとの間に介在させる。」

「【図2】




「【0051】次に、天井面のような施工面に取り付けたベースユニット10に対して機能ユニット20(接続用アダプタ24)を結合させる手順について説明する。図19に示すように、定位置に取り付けられたベースユニット10に対して機能ユニット20(図では接続用アダプタ24のみを示してある)を近づけると、ホルダ25の上面に突設した案内壁53の内側にベースユニット10が嵌合する。要するに、ベースユニット10において天井面から突出する部位は案内壁53の内側に形成された嵌合凹所81に嵌合する嵌合突部82として機能する。このとき通常は、ベースユニット10に設けたガイド溝17に対して機能ユニット20に設けたガイド片52は一致していないから、嵌合突部82は先端面がガイド片52に当接する位置まで嵌合凹所81の中に挿入されることになる。つまり、嵌合突部82と嵌合凹所81とは浅く嵌合した状態になる。」

「【図19】



「【0053】次に、図22に示すように、機能ユニット20に対してベースユニット10をさらに回転させると、レセプタクル12とプラグ22とは結合状態となっていて回転しないが、フック21を設けたホルダ25に対してプラグ22を設けた回動台26が回転可能であるから、フック21がプラグ22に対して移動し、フック21の先端部が結合孔11の狭幅部分に導入されて、フック21が接続板31a〜31cに接触するようになる。つまり、フック21と接続板31a〜31cが電気的に接続される。この位置ではロックピン61がロック用孔68に挿入され、ベースユニット10に対して機能ユニット20が回転できなくなる。」

「【0055】一方、施錠ピン63の操作により施錠ボルト64とロックピン61との係合状態を解除しておけば、ロック解除ピン62の押操作によってロックピン61とロック用孔68との係合状態を解除することができ、結合時とは逆向きに機能ユニット20を回転させることで、ベースユニット10から機能ユニット20を取り外すことができる。」

(イ)記載事項
図19から、ベースユニット10は、天井面のような施工面に埋設状態で設置されており、ベースユニット10と機能ユニット20とを天井面のような施工面の対向空間側から結合していることが見てとれる。

(ウ)甲4発明
したがって、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、符号(ア)〜(ケ)等による分説符号は、当審において付与した。以下「分説(ア)」等という。)

「(ア)ベースユニット10と機能ユニット20とを天井面のような施工面の対向空間側から着脱自在に結合し、ベースユニット10と機能ユニット20とは機械的に結合されるとともに、電気的にも接続され(【0027】、前記(イ))、
(イ)ベースユニット10を天井面等の施工面に埋設状態で固定し、化粧カバー15を取り付け(【0030】、前記(イ))、ベースユニット10の上面には電源線45bが配線され(【0046】)、
(ウ)化粧カバー15は基板プレート13の中央部を円形状に露出させる部位を除いて基板プレート13の下面と側面全周とを覆う形状に形成され(【0028】)、
(エ)機能ユニット20は、ユニット本体23と接続用アダプタ24とからなり、ユニット本体23には、データを授受する機能を有した内部回路が収納され、無線式LANではアンテナおよびアンテナに付設される回路が内部回路として収納され(【0035】)、
(オ)接続用アダプタ24にはロック装置60が設けられ、ロック装置60は、ロックピン61、ロック解除釦62を収納して構成され(【0041】)、
(カ)フック21と接続板31a〜31cが電気的に接続され(【0053】)、
(キ)ロックピン61がロック用孔68に挿入されると、ベースユニット10に対して機能ユニット20が回転できなくなり(【0053】)、
(ク)ロック解除ピン62の押操作によってロックピン61とロック用孔68との係合状態を解除することができる(【0055】)、
(ケ)マルチメディア用配線器具(【0001】)。」

ウ 甲第7号証
(ア)甲第7号証の記載
甲第7号証には、次の事項が記載されている。

「【0026】
図1及び図2に示すように、コンセントカバー3には、各機器K1,K2に対応した形状の取付口4が左右に並んで互いに隣接して形成されており、各取付口4を通して各機器K1,K2の前面部分が外部である室内に露出する形態で取り付けられている。よって、本実施形態では、このコンセントカバー3の前面部が、各機器K1,K2が埋設して設置される設置面Fに相当する。」

「【0028】
以下、情報通信装置K1の構成について、図1〜図6に基づいて説明する。
情報通信装置K1は、詳細については後述するが、設置面Fに埋設して設置される本体ユニットU1と、設置面Fに埋設して設置された埋設設置状態の本体ユニットU1に対して着脱可能に構成されたアンテナユニットU2で構成されている。以下、本体ユニットU1とアンテナユニットU2の夫々構成について説明する。」

「【図1】



「【図2】



「【0030】
本体ユニットU1のケーシング10は、図2及び図4等に示すように、設置面Fに対して直交する前後方向(壁Wの表裏方向)から互いに脱着自在に嵌合する前側分割ケーシング10Aと後側分割ケーシング10Bとで二分割されたケーシングである。また、前側分割ケーシング10Aは樹脂製の成形品であるが、後側分割ケーシング10Bは電波シールド性が良好なアルミニウムや亜鉛鋼製等のダイキャストによるものとして構成されている。
【0031】
また、この後側分割ケーシング10Bにおける背面部18及び周面部19の表面には複数の溝が形成されて、表面積が拡大されている。これらのことで、後側分割ケーシング10Bの表面から外部への放熱が促進され、内部の昇温が抑制されている。尚、ケーシング10の内部には、詳細な説明は割愛するが、各種アダプタやコネクタ以外に、無線LAN用アンテナ、コンバータ、各種回路基板などが実装されており、例えば、図6等に示すように、通信制御用の回路基板からなる通信制御部31やアンテナ制御用の回路基板からなるアンテナ制御部32等が設けられている。
【0032】
前側分割ケーシング10Aは、図2及び図4等に示すように、前方側に面する前面部11と、その前面部11の外周縁側から後方側に延出する周面部12とを有する。更に、周面部12の後方側には、側方側に延出して設置面Fの後方側(具体的にはコンセントカバー3の後方側)に設けられた取付枠5に固定されるフランジ部13が形成されている。そして、このフランジ部13が取付枠5に固定された状態では、取付口4に挿入された周面部12の前方側及び前面部11が、設置面Fよりも前方側(室内側)に膨出する膨出部Aとなる。」

「【図4】



「【図6】



「【0038】
〔アンテナユニット〕
一方、アンテナユニットU2は、図1、図2及び図4等に示すように、ケーシング26にアンテナ素子30を内蔵しており、そのケーシング26が、埋設設置状態の本体ユニットU1において設置面Fよりも前面側に膨出する膨出部Aに対して着脱自在に構成されている。」

(イ)甲第7号証に記載された技術
したがって、甲第7号証には、次の技術が記載されていると認められる。

「情報通信装置は、埋設して設置される本体ユニットU1と、本体ユニットU1に対して着脱可能に構成されたアンテナユニットU2で構成され(【0028】)、
コンセントカバー3には、各機器に対応した形状の取付口4が形成され、取付口4を通して機器の前面部分が外部に露出する形態で取り付けられており(【0026】)、
本体ユニットU1のケーシング10は、前側分割ケーシング10Aと後側分割ケーシング10Bとで二分割され(【0030】)、
ケーシング10の内部には、無線LAN用アンテナ、コンバータ、各種回路基板などが実装され、通信制御部31やアンテナ制御部32等が設けられており(【0031】)、
前側分割ケーシング10Aは、前方側に面する前面部11と、その前面部11の外周縁側から後方側に延出する周面部12とを有し、周面部12の後方側には、コンセントカバー3の後方側に設けられたフランジ部13が形成され(【0032】)、
アンテナユニットU2は、ケーシング26にアンテナ素子30を内蔵し、埋設設置状態の本体ユニットU1において設置面Fよりも前面側に膨出する膨出部Aに対して着脱自在に構成されている(【0038】)、
情報通信装置。」

エ 甲第8号証
(ア)甲第8号証の記載
甲第8号証には、次の事項が記載されている。

「【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図2は本発明の実施形態の構成を示す側断面図、図3は室内側の外観形状を示す斜視図、図4は壁内側の外観形状を示す斜視図である。図中符号11は本発明の壁埋め込み型HUB内蔵ローゼットの筐体を指す。本実施形態の壁埋め込み型HUB内蔵ローゼットは、筐体前部を室内側に露出すると共に、筐体後部を壁内側に露出して壁面に埋め込まれるローゼットにして、室内側接栓である2対乃至4対のUTPLANケーブルを終端するためのRJ−45型ジャック6が筐体前部の側面に直流電源供給用DCジャック8と共に配され、壁内側接栓である別のケーブルに接続するためのクランプ型端子7が筐体後部の背面に配される。又、筐体の後部と前部の境目の周側には壁面に固定するJIS規格C8375で規定される取付枠に固着可能な4つの突起10が突設され、筐体内部には3つに分割された室内側接栓、壁内側接栓及びHUB回路プリント基板9a〜9cが前後に配され、各プリント基板間の信号が接続される。」

「【図3】



「【0025】
図5、6は前記の実施形態の筐体11にJIS規格で規定されたフラッシュプレート28を取りつけた状態を示した斜視図である。筐体11の筐体前部はフラッシュプレート28の間口を貫挿して室内側に突出・露出させ、筺体11の上下面及び側面に空気の流通性を確保するための空気孔37を設けて、HUB回路部において発生する熱を放出する。」

「【図5】



「【図6】



(イ)甲第8号証に記載された技術
したがって、甲第8号証には、次の技術が記載されていると認められる。

「壁埋め込み型HUB内蔵ローゼットは、筐体前部を室内側に露出すると共に、筐体後部を壁内側に露出して壁面に埋め込まれ(【0023】)、
筐体11の筐体前部はフラッシュプレート28の間口を貫挿して室内側に突出・露出している(【0025】)、
壁埋め込み型HUB内蔵ローゼット(【0023】)。」

オ 甲第9号証
(ア)甲第9号証の記載
甲第9号証には、次の事項が記載されている。

「【0024】
本実施形態の通信装置10は、通信モジュール17または通信ユニット20を選択的に取り付けることができるように構成されており、ホームゲートウェイとの通信を有線で行う場合には通信モジュール17が取り付けられ、無線で通信を行う場合には通信ユニット20が取り付けられる。つまり、制御基板16は通信モジュール17および通信ユニット20のいずれにも対応できるように構成されている。通信装置10に通信ユニット20を取り付ける場合には、サポート19の前面に通信ユニット20が配置され、通信ユニット取付部53に取り付けられる。通信ユニット20は、各種の無線通信方式によってホームゲートウェイまたは家電機器と無線通信するようにしてもよい。また、通信ユニット20は、制御基板16に電気的に接続され、制御基板16から電源供給を受けて動作し、制御基板16との間での信号の送受ができるように構成される。
【0025】
次に、図1および図4に示すように、通信装置10を用いた配線装置12は、壁11に埋め込み設置されるスイッチボックス56、スイッチボックス56の前側に取り付けられて壁11の表面に配置されるプレート枠57、このプレート枠57に取り付けられるプレート58、およびこのプレート58に取り付けられるカバー59を備えている。
【0026】
スイッチボックス56は、前面が開口され、前面側から通信装置10を挿入配置する。スイッチボックス56内には、取付孔50を通じてサポート19をねじ止めするためのボス61が設けられている。スイッチボックス56の背面には、通信ケーブル13を挿通する挿通孔62、および電源線を挿通する挿通孔等が形成されている。
【0027】
プレート枠57は、サポート19の取付孔51にねじ止め固定される。
【0028】
プレート58は、プレート枠57に爪構造によって着脱可能に取り付けられる。プレート58の中央には通信ユニット20が配置される開口部64が形成されている。
【0029】
カバー59は、プレート58の開口部64の縁に爪構造によって着脱可能に取り付けられる。カバー59によって通信ユニット20を覆う。」

「【図1】



「【図3】



「【図4】



(イ)記載事項
図1及び図4から、通信ユニット20を覆うカバー59は、プレート58よりも前方側に突出し、前方側に位置していることが見てとれる。

(ウ)甲第9号証に記載された技術
したがって、甲第9号証には、次の技術が記載されていると認められる。

「通信装置10は、通信モジュール17または通信ユニット20を選択的に取り付けることができるように構成され、無線で通信を行う場合には、通信ユニット20が通信ユニット取付部53に取り付けられ(【0024】)、
壁11の表面に配置されるプレート枠57、このプレート枠57に取り付けられるプレート58、およびこのプレート58に取り付けられるカバー59を備え(【0025】)、
通信ユニット20を覆うカバー59は、プレート58よりも前方側に突出し、前方側に位置し(前記(イ))、通信ユニット20を覆うカバー59はプレート58の開口部64の縁に爪構造によって着脱可能に取り付けられる(【0029】)
通信装置10。」

カ 甲第10号証
(ア)甲第10号証の記載
甲第10号証には、次の事項が記載されている。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に埋設されて使用される配線器具本体と、この前面に装着されるリモコン(リモコン送信器)とにより構成される配線器具に関するものである。」

「【0052】
リモコン5は、図1,図7に示すように、リモコンボディ50およびポリエステルなどの合成樹脂製のメンブレンシート51により構成される平板矩形状のハウジング5Aを備えているとともに、釦電池収納用の電池カバー52と、配線器具本体1の操作スイッチ13に対応する操作部53と、矩形状の鉄板54と、チャンネル切替スイッチとしてのスライド式のスイッチSW522の操作部55とを備え、図5(b)に示す回路構成の送信器500をプリント基板56等に実装などしてハウジング5A内に収納している。」

「【0054】
送信回路部510は、スイッチ(図ではトランジスタ)Q511およびLED511などにより構成され、制御回路部540からの制御信号に従ってスイッチQ511を通してLED511を駆動(点滅)することにより、操作信号などの信号を赤外線で送信するものである。」

「【図5】



「【0108】
(第3実施形態)
図15は本発明による第3実施形態の配線器具を、配線器具本体側からリモコンを取り外した状態で見た斜視図である。
【0109】
第3実施形態の配線器具は、図15に示すように、配線器具本体1と、図では隠れている取付枠と、プレート用継枠31および化粧プレート32からなる枠状のプレート3と、リモコン5とにより構成され、JISC8304の屋内用小型スイッチ類に分類されるワイドハンドル形単用スイッチに準じる寸法に設定される。」

「【0111】
配線器具本体1は、壁に埋設されて使用されるものであり、ボディおよびカバーにより構成されるハウジング1Aを備えているとともに、操作信号受信用の受信部12と、例えば押し釦式の操作スイッチ13と、この操作スイッチ13に設けられる表示灯14とを上記ハウジング1Aの前面に備え、第1実施形態と同様の回路構成の受信器100をハウジング1A内に収納している。
【0112】
リモコン5は、配線器具本体1の前面のプレート3の枠内に収まる平板状のハウジング5Aを備えているとともに、配線器具本体1の受信部12に対応する位置に設けられる透過レンズからなる透過窓部5aと、配線器具本体1の操作スイッチ13に対応する操作部53と、この操作部53における配線器具本体1の表示灯14に対応する位置に設けられる透過レンズからなる透光部5bとを上記ハウジング5Aの前面に備え、第1実施形態と同様の送信器500をハウジング5A内に収納している。
【0113】
以上、第3実施形態によれば、操作部53およびこの操作部53に対する操作に応じて操作信号をワイヤレスで送信する送信器500を有し、配線器具本体1の前面に設けられたプレート3の枠内に着脱自在に収納されるリモコン5が設けられるので、リモコン保管用としての壁掛け式ホルダーを別途設ける必要がなく、リモコン5と配線器具本体1等とのデザインを統一することができる。また、壁掛け式ホルダーをねじや接着などで壁に固定する手間もなくなる。さらに、専用プレートを使用しないため、他のスイッチと連接可能(この場合は連接プレートを使用)となり、リモコンを変更することで機能追加を容易に実現できる。」

「【図15】



「【0118】
(第4実施形態)
図16は本発明による第4実施形態の配線器具を、配線器具本体側からリモコンを取り外した状態で見た斜視図、図17は同配線器具を、配線器具本体側にリモコンを取り付けた状態で見た斜視図である。
【0119】
第4実施形態の配線器具は、図16,図17に示すように、配線器具本体1と、図では隠れている取付枠とを第3実施形態と同様に備え、プレート3と、リモコン5とが第3実施形態と相違している。」

「【図17】


(イ)記載事項
図17から、リモコン5の一部が、化粧プレート32よりも前方側に位置していることが見てとれる。

(ウ)甲第10号証に記載された技術
したがって、甲第10号証には、次の技術が記載されていると認められる。

「配線器具本体1と、プレート用継枠31および化粧プレート32からなる枠状のプレート3と、リモコン5とにより構成され(【0109】)、
リモコン5は、配線器具本体1のプレート3の枠内に収まるハウジング5Aを備え(【0112】)、プレート3の枠内に着脱自在に収納され(【0113】)、
リモコン5は、回路構成の送信器500をプリント基板56等に実装してハウジング5A内に収納し(【0052】)、
送信回路部510は、制御回路部540からの制御信号に従ってLED511を駆動することにより、信号を赤外線で送信するものであり(【0054】)、
リモコン5の一部が、化粧プレート32よりも前方側に位置している(前記(イ))
配線器具。」

(2)対比・判断
ア 申立理由2−1
申立理由2−1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性)について検討する。

(ア)本件発明2
a 対比
本件発明2と甲1発明との対比については、前記第5、2(1)ア(ア)で検討したとおりである。

b 一致点及び相違点
本件発明2と甲1発明との一致点、相違点は、前記第5、2(1)ア(イ)で検討したとおりである。

c 判断
本件発明2と甲1発明との前記相違点について検討する。

甲1発明では、「インターフェースモジュール」が「ベースモジュール」の「穴」に装着される構成(分説b)が特定されているが、この構成に対して、当該「インターフェースモジュール」が、「ベースモジュールの外側表面筐体部分」よりも前方側に突出するように構成することについては、甲1発明には特定も示唆もなされておらず、周知技術であるものでもなく、そのように構成することについての動機付けがあるものではないから、次の甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証を参酌したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

(a)甲第7号証に記載された技術
甲第7号証に記載された技術においては、本体ユニットからアンテナユニットが着脱自在に構成されていることが記載されているものの、本体ユニットの無線LANの通信制御部は、本体ユニット内に一体的に構成されており、本体ユニットから当該通信制御部を分割することができないものであるから、本件発明において課題を解決する手段である、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に対応する構成が存在しないことになる。
そのため、甲1発明に、甲第7号証に記載された技術を組み合わせたとしても、甲第7号証に記載された技術では、「非電源側分割ユニット」(甲1発明の「インターフェースモジュール」)の形状を教示していないのであるから、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

(b)甲第8号証に記載された技術
甲第8号証に記載された技術においては、壁埋め込み型HUB内蔵ローゼットである筐体11には無線通信部が存在せず、しかも、筐体11は一体的に構成され、分割することができないものであるから、本件発明において課題を解決する手段である、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に対応する構成が存在しないことになる。
そのため、甲1発明に、甲第8号証に記載された技術を組み合わせたとしても、甲第8号証に記載された技術では、「非電源側分割ユニット」(甲1発明の「インターフェースモジュール」)の形状を教示していないのであるから、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

(c)甲第9号証に記載された技術
甲第9号証に記載された技術においては、通信ユニット20を覆うカバー59が、プレート58の開口部64の縁に爪構造によって着脱可能に取り付けられることが記載されている。一方で、通信ユニット20は、通信装置10の通信ユニット取付部53に取り付けられることは記載されているものの、通信ユニット20が着脱自在に構成されていることは開示されておらず、さらに、通信ユニット20と、その通信ユニット20を覆うカバー59は、一体として構成されていないので、通信ユニット20と、通信ユニット20を覆うカバー59は、それぞれ別々に取り付けられ、又は別々に取り外される必要があるものであるから、通信ユニット20及びその通信ユニット20を覆うカバー59は、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に対応する構成ということはできない。
そのため、甲1発明に、甲第9号証に記載された技術を組み合わせようとしても、甲第9号証に記載された技術には、「非電源側分割ユニット」(甲1発明の「インターフェースモジュール」)に対応する構成がなく、「非電源側分割ユニット」(甲1発明の「インターフェースモジュール」)の形状を教示するものではないから、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

(d)甲第10号証に記載された技術
甲第10号証に記載された技術においては、リモコン5が、配線器具本体1のプレート3の枠内に着脱自在に収納され、リモコン5の一部が、化粧プレート32よりも前方側に位置していることが記載されているが、当該リモコン5は、赤外線を用いて信号を送信するものであり、無線LANなどの無線通信部を有しておらず、電源接続部も有していないなど、本件発明2の「非電源側分割ユニット」とは、その前提構成が大きく異なっているため、リモコン5は、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に対応する構成ということはできない。
仮に、当該リモコン5が、本件発明2の「非電源側分割ユニット」に対応する構成であると想定し、甲1発明に、甲第10号証に記載された技術を組み合わせたとしても、甲第10号証に記載された技術には、「非電源側分割ユニット」の「前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」するように構成することについては教示されていないから、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

以上から、甲1発明に、甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証に記載された技術を適用したとしても、本件発明2に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。

d 小括
したがって、本件発明2は、当業者であっても、甲1発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(イ)本件発明3〜5
本件発明3〜5も、本件発明2を引用する発明であって、本件発明2と同一の構成を備えるものであるから、本件発明2と同じ理由により、当業者であっても、甲1発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

イ 申立理由1−2及び申立理由2−2
申立理由1−2(甲第2号証を証拠とする新規性)及び申立理由2−2(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性)について検討する。

(ア)本件発明2
a 対比
本件発明2と甲2発明(前記(1)ア(ウ))とを対比すると、次のことがいえる。

(a)「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、」について

甲2発明には、本件発明2の「電源部」に対応する構成が特定されておらず、また、「無線LANユニット5b」を備えること(分説カ)が特定されているものの、「無線LANユニット5b」内の構成は特定されていない。

(b)「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、」について

甲2発明の「配線接続器具1a〜1d」は、室内の天井面7や壁面8に埋設状態で設置されるもの(分説ウ)であるから、本件発明2と甲2発明とは、「設置面に埋設状態で設置され」る「情報通信装置」を備える点で共通する。
甲2発明の「配線接続器具1a〜1d」は、「無線LANユニット5b」が取り付けられる(分説オ、カ)と、無線LAN端末6bとの間で無線通信を行う(分説キ)から、本件発明2と甲2発明とは、「外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置」を備える点で共通する。
したがって、本件発明2と甲2発明とは、「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であ」る点で共通する。

(c)「前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、」について

甲2発明には、電源を供給している「電源線」は特定されている(分説ウ)ものの本件発明2の「電源部」に対応する構成は特定されていない。
甲2発明の「配線接続器具1a〜1d」は、室内の天井面7や壁面8に埋設状態で設置され(分説ウ)、インターフェースユニットを着脱自在に取り付け可能とされている(分説オ)から、本件発明2と甲2発明とは、「設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニット」を備える点で共通する。

(d)「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、」について

甲2発明の「無線LANユニット5b」は、無線LAN端末6bを搭載したパーソナルコンピュータと無線LANによる通信が可能であるから(分説キ)、無線通信機能を備えているといえる。
甲2発明の「配線接続器具1a〜1d」は、「無線LANユニット5b」を含むインターフェースユニットを着脱自在に取り付け可能とされている(分説オ)から、本件発明2と甲2発明とは、「前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」を備える点で共通する。
したがって、本件発明2と甲2発明とは、「無線通信機能を備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」を備える点で共通する。

(e)「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、」について

甲2発明の「配線接続器具1a〜1d」は、「各種インターフェースユニット5a〜5d」の電源線と配線2a〜2dとの接続を行う「電源接続部12」を備える(分説エ)から、本件発明2と甲2発明とは、「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部」を備える点で共通する。

(f)「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、」について

甲2発明の「配線接続器具1a〜1d」は、室内の天井面7や壁面8に埋設状態で設置され(分説ウ)るから、本件発明2と甲2発明とは、「前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置された状態」である点で共通する。
甲2発明には、「取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置され」ることに対応する事項は特定されていない。
甲2発明の「無線LANユニット5b」等の「各種インターフェースユニット5a〜5d」(分説カ)は、室内の天井面7や壁面8に設置された「配線接続器具1a〜1d」(分説ウ)に対して、天井面7や壁面8の対向空間側から「着脱自在に取り付け可能」とされている(分説オ)から、本件発明2と甲2発明とは、「前記非電源側分割ユニット」は「前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され」ている点で共通するといえる。
したがって、本件発明2と甲2発明とは、「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され」ている点で共通する。

(g)「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し」について
甲2発明には、かかる点は特定されていない。

(h)「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」について
甲2発明には、かかる点は特定されていない。

(i)「情報通信装置」について
甲2発明の「配線システム」(分説ク)と、本件発明2の「情報通信装置」とは、前記(b)を踏まえると、「情報通信装置」である点で共通する。

b 一致点及び相違点
以上のことから、本件発明2と甲2発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

〔一致点〕
「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
無線通信機能を備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成されている情報通信装置。」

〔相違点〕
・相違点1
本件発明2においては、「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え」るのに対し、甲2発明には、そのような構成が特定されていない点

・相違点2
本件発明2においては、「非電源分割ユニット」に「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを」備えるのに対し、甲2発明には、そのような構成が特定されていない点

・相違点3
本件発明2においては、「電源側分割ユニット」が「取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置」された状態であるのに対し、甲2発明には、そのような構成が特定されていない点

・相違点4
本件発明2においては、「非電源分割ユニット」は、「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」するものであるのに対し、甲2発明には、そのような構成が特定されていない点

・相違点5
本件発明2においては、「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられ」るのに対し、甲2発明には、そのような構成が特定されていない点

c 判断
(申立理由1−2について)
本件発明2と甲2発明との間には、前記〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が複数存在するから、本件発明2は、甲2発明であるということができない。

(申立理由2−2について)
事案に鑑みて、前記相違点4について先に検討すると、相違点4に係る本件発明2の「化粧カバー」に対応する構成が、甲2発明には特定されておらず、さらに、本件発明2の「非電源側分割ユニット」の「前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」することに対応する構成についても、甲2発明には特定も示唆もされておらず、周知技術であるものでもなく、そのように構成することについての動機付けがあるものではないから、甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証を参酌したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

なお、甲第7号証〜甲第10号証に記載された技術を、当該甲2発明に適用するに際しての判断については、前記ア(ア)c(a)〜(d)に示した事項と同様である。

以上から、甲2発明に、甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証に記載された技術を適用したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

d 小括
よって、本件発明2は、甲2発明と同一ではなく、また、本件発明2は、当業者であっても、甲2発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(イ)本件発明3〜5
(申立理由1−2及び申立理由2−2について)
本件発明3〜5も、本件発明2を引用する発明であって、本件発明2と同一の構成を備えるものであるから、本件発明3〜4は、甲2発明と同一ではなく、また、本件発明3〜5は、本件発明2と同じ理由により、当業者であっても、甲2発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

ウ 申立理由1−3及び申立理由2−3
申立理由1−3(甲第3号証を証拠とする新規性)及び申立理由2−3(甲第3号証を主たる証拠とする進歩性)について検討する。

(ア)本件発明2
a 対比
本件発明2と甲3発明との対比については、前記第5、2(2)ア(ア)で検討したとおりである。

b 一致点及び相違点
本件発明2と甲3発明との一致点、相違点は、前記第5、2(2)ア(イ)で検討したとおりである。

c 判断
(申立理由2−3について)
本件発明2と甲3発明との前記相違点について検討する。

甲3発明では、「無線機能付きパネル」が「取付パネル」の「開口部」に装着される構成(分説a)が特定されているが、この構成に対して、当該「無線機能付きパネル」が、「取付パネル」よりも前方側に突出するように構成することについては、甲3発明には特定も示唆もなされておらず、周知技術であるものでもなく、そのように構成することについての動機付けがあるものではないから、次の甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証を参酌したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

なお、甲第7号証〜甲第10号証に記載された技術を、当該甲3発明に適用するに際しての判断については、前記ア(ア)c(a)〜(d)に示した事項と同様である。

以上から、甲3発明に、甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証に記載された技術を適用したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

d 小括
したがって、本件発明2は、当業者であっても、甲3発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(イ)本件発明3〜5
(申立理由1−3及び申立理由2−3について)
本件発明3〜5も、本件発明2を引用する発明であって、本件発明2と同一の構成を備えるものであるから、本件発明3は、甲3発明と同一ではなく、また、本件発明3〜5は、本件発明2と同じ理由により、当業者であっても、甲3発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

エ 申立理由1−4及び申立理由2−4
申立理由1−4(甲第4号証を証拠とする新規性)及び申立理由2−4(甲第4号証を主たる証拠とする進歩性)について検討する。

(ア)本件発明2
a 対比
本件発明2と甲4発明(前記(1)イ(ウ))とを対比すると、次のことがいえる。

(a)「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、」について

甲4発明には、「電源部」に対応する構成が特定されておらず、また、「機能ユニット20」として「無線式LAN」の機能を備えること(分説(エ))が特定されているものの、「無線式LAN」の機能を備える「機能ユニット20」内の構成は特定されていない。

(b)「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、」について

甲4発明の「ベースユニット10」は、天井面のような施工面に埋設状態で固定されて取付けられるもの(分説(イ))であるから、本件発明2と甲4発明とは、「設置面に埋設状態で設置され」る「情報通信装置」を備える点で共通する。
甲4発明の「ベースユニット10」は、「無線式LAN」の機能(分説(エ))を備える「機能ユニット20」が結合される(分説(ア))と、「無線式LAN」の機能により、他の端末と無線通信を行うことが当然に想定されるから、本件発明2と甲4発明とは、「外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置」を備える点で共通するといえる。
したがって、本件発明2と甲4発明とは、「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であ」る点で共通する。

(c)「前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、」について

甲4発明には、電源を供給している「電源線45b」が特定されている(分説(イ))ものの、本件発明2の「電源部」に対応する構成は特定されていない。
甲4発明の「ベースユニット10」は、天井面等の施工面に埋設状態で固定されて取付けられる(分説(イ))から、本件発明2と甲4発明とは、「設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニット」を備える点で共通する。

(d)「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、」について

甲4発明の「無線式LAN」の機能を備える「機能ユニット20」(分説(エ))は、無線通信機能を備えているといえる。
甲4発明の「無線式LAN」の機能を備える「機能ユニット20」(分説(エ))を、「ベースユニット10」と「着脱自在に結合」する(分説(ア))から、本件発明2と甲4発明とは、「前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」を備える点で共通する。
したがって、本件発明2と甲4発明とは、「無線通信機能を備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニット」を備える点で共通する。

(e)「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、」について

甲4発明の「ベースユニット10」と「機能ユニット20」は、結合されると、「フック21」と「接続板31a〜31c」により電気的に接続される(分説(ア)、(カ))から、本件発明2と甲4発明とは、「前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部」を備える点で共通する。

(f)「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、」について

甲4発明の「ベースユニット10」は、天井面等の施工面に埋設状態で固定されて取付けられ(分説(イ))、「中央部を円形状に露出させる部位」を有する「化粧カバー15」(分説(ウ))が取り付けられ(分説(イ))るものであり、「中央部を円形状に露出させる部位」は、フック21と接続板31a〜31c等により結合が行われる部位(分説(カ))であるから、本件発明2と甲4発明とは、「前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態」である点で共通するといえる。
甲4発明の「機能ユニット20」は、天井面等の施工面に埋設状態で固定されて取付けられる「ベースユニット10」(分説(イ))に対して、天井面等のような施工面の対向空間側から「着脱自在に結合」される(分説(ア))から、本件発明2と甲4発明とは、「前記非電源側分割ユニット」は「前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され」る点で共通するといえる。
したがって、本件発明2と甲4発明とは、「前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され」ている点で共通する。

(g)「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し」について
甲4発明には、かかる点は特定されていない。

(h)「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」について

甲4発明では、「ベースユニット10」と「機能ユニット20」とを結合させる(分説(ア))際に、「ロックピン61」がロック用孔68に挿入されると、「ベースユニット10」に対して「機能ユニット20」が回転できなくなる(分説(キ))から、「ベースユニット10」と「機能ユニット20」とを結合させ、ロックしているといえる。また、ロック解除ピン62の押操作によってロックピン61とロック用孔68との係合状態を解除することができる(分説(ク))というのであるから、ロック解除ピン62は、ロック解除可能なロック手段であるといえる。
したがって、本件発明2と甲4発明とは、「前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段」を備える点で一致する。

(i)「情報通信装置」について
甲4発明の「マルチメディア用配線器具」(分説(ケ))と、本件発明2の「情報通信装置」とは、「情報通信装置」である点で共通する。

b 一致点及び相違点
以上のことから、本件発明2と甲4発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

〔一致点〕
「設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
無線通信機能を備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。」

〔相違点〕
・相違点1
本件発明2においては、「電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え」るのに対し、甲4発明には、そのような構成が特定されていない点

・相違点2
本件発明2においては、「非電源分割ユニット」に「前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを」備えるのに対し、甲4発明には、そのような構成が特定されていない点

・相違点3
本件発明2においては、「非電源分割ユニット」は、「その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」するものであるのに対し、甲4発明には、そのような構成が特定されていない点

c 判断
(申立理由1−4について)
本件発明2と甲4発明との間には、前記〔相違点〕で示したとおり、実質的な相違点が複数存在するから、本件発明2は、甲4発明であるということができない。

(申立理由2−4について)
事案に鑑みて、前記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本件発明2の「非電源側分割ユニット」の「前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置」することに対応する構成について、甲4発明には特定も示唆もされておらず、周知技術であるものでもなく、そのように構成することについての動機付けがあるものではないから、甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証を参酌したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

なお、甲第7号証〜甲第10号証に記載された技術を、当該甲4発明に適用するに際しての判断については、前記ア(ア)c(a)〜(d)に示した事項と同様である。

以上から、甲4発明に、甲第7号証〜甲第10号証又はその他甲各号証に記載された技術を適用したとしても、本件発明2に係る発明の構成を、当業者が容易に想到し得るものではない。

d 小括
よって、本件発明2は、甲4発明と同一ではなく、また、本件発明2は、当業者であっても、甲4発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(イ)本件発明3〜5
(申立理由1−4及び申立理由2−4について)
本件発明3〜5も、本件発明2を引用する発明であって、本件発明2と同一の構成を備えるものであるから、本件発明3〜4は、甲4発明と同一ではなく、また、本件発明3〜5は、本件発明2と同じ理由により、当業者であっても、甲4発明及び甲各号証に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2〜5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2〜5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置された状態で、前記電源側分割ユニットにおける設置面の対向空間側に露出する部位に対して着脱自在に装着可能に構成され、
前記電源側分割ユニットの前面部には、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記化粧カバーの取り付け窓を通じて設置面の対向空間側に露出する筒状の被装着部が備えられ、
前記非電源側分割ユニットの前記電源側分割ユニット側となる後面部には、前記化粧カバーの取り付け窓を通じて設置面の対向空間側に露出する前記電源側分割ユニット側の筒状の被装着部に対して内嵌状態で装着自在な装着部が突出形成されている情報通信装置。
【請求項2】
電源部と、前記電源部から供給される電力にて作動する無線通信部と、前記電源部から供給される電力にて作動して前記無線通信部を制御する制御部とを備え、設置面に埋設状態で設置されて外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、
前記電源部を備えて設置面に埋設状態で設置可能な電源側分割ユニットと、
前記無線通信部及び前記制御部の少なくともいずれかを備えて前記電源側分割ユニットに対して着脱自在に装着可能な非電源側分割ユニットと、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットから前記非電源側分割ユニットに電力供給可能な状態で前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを接続する電源接続部と、が備えられ、
前記非電源側分割ユニットは、前記電源側分割ユニットが設置面に埋設状態で設置され、且つ、取り付け窓を有する化粧カバーが設置面の前面側に配置された状態で、前記電源側分割ユニットに対して設置面の対向空間側から着脱自在に装着可能に構成され、その電源側分割ユニットに対して装着された状態で前記非電源側分割ユニットの前面部及び周側面部の全体が前記化粧カバーよりも前方側に位置し、
前記非電源側分割ユニットが前記電源側分割ユニットに装着されたとき、前記非電源側分割ユニットと前記電源側分割ユニットとを装着状態でロックし、設置面の対向空間側からロック解除可能なロック手段が備えられている情報通信装置。
【請求項3】
WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項2記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項2又は3記載の情報通信装置。
【請求項5】
機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報通信装置。
【請求項6】
WAN側の通信ケーブルが接続可能なWAN用接続部が前記電源側分割ユニットに備えられ、
前記電源側分割ユニットに前記非電源側分割ユニットが装着されたとき、前記電源側分割ユニットと前記非電源側分割ユニットとを通信可能な状態で接続する通信接続部が備えられている請求項1記載の情報通信装置。
【請求項7】
前記電源側分割ユニットに対して、機能又は仕様の異なる複数種の前記非電源側分割ユニットの各々が選択的に装着可能に構成されている請求項1又は6記載の情報通信装置。
【請求項8】
機能又は仕様の異なる複数種の前記電源側分割ユニットの各々に対して、前記非電源側分割ユニットが選択的に装着可能に構成されている請求項1、6、7のいずれか1項に記載の情報通信装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2024-02-08 
出願番号 P2021-036404
審決分類 P 1 652・ 857- YAA (H04B)
P 1 652・ 113- YAA (H04B)
P 1 652・ 853- YAA (H04B)
P 1 652・ 121- YAA (H04B)
P 1 652・ 851- YAA (H04B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 衣鳩 文彦
猪瀬 隆広
登録日 2022-11-15 
登録番号 7177872
権利者 因幡電機産業株式会社
発明の名称 情報通信装置  
代理人 宮地 正浩  
代理人 宮地 正浩  

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