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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1412171 |
総通号数 | 31 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-09-28 |
確定日 | 2024-07-16 |
事件の表示 | 特願2021−177997「情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月16日出願公開、特開2022− 28692、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 本願は、令和3年10月29日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、2018年(平成30年)4月18日(優先権主張平成29年4月28日)を国際出願日とする特願2019−514429号を最先の出願とする、いわゆる第2世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願:特願2019−514429号(平成30年 4月18日) 第1世代 :特願2020−130686号(令和 2年 7月31日) 本 願 :特願2021−177997号(令和 3年10月29日) 2 手続の経緯の概略 本願は、令和3年10月29日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和3年10月29日 :手続補正書の提出 令和4年 9月13日付け:拒絶理由通知 令和4年11月18日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年 2月15日付け:拒絶理由通知(最後) 令和5年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年 6月28日付け:令和5年4月12日付け手続補正書でした補正 の却下、拒絶査定(原査定) 令和5年 9月28日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和6年 4月 5日付け:拒絶理由通知(当審拒絶理由) 令和6年 5月27日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和5年6月28日付け)の概要は次のとおりである。 1 理由(新規事項)令和4年11月18日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 補正後の請求項1における「前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置近傍に貼り付ける処理」との記載、補正後の請求項7における「前記ユーザが前記仮想的なオブジェクトを指で仮想的に挟んで移動し、平面の位置に移動したときに、当該指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置近傍に貼り付ける処理」との記載、及び、補正後の請求項8−9における「前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置の近傍に貼り付ける処理」との記載は、当初明細書等に記載されたものではなく、また、当初明細書等に記載の事項から自明ともいえない。 当初明細書等には、ユーザの指示により、仮想的なオブジェクトの位置を、実オブジェクトの平面の位置に貼り付けることのみが記載されており、ユーザの指示により、仮想的なオブジェクトの位置を、実オブジェクトの位置の近傍、例えば、実オブジェクトの平面の奥側の位置や手前の位置、あるいは、実オブジェクトの平面ではない位置に貼り付けることは記載されておらず、ユーザの指示により、実オブジェクトの平面の奥側の位置や手前の位置、あるいは、実オブジェクトの平面ではない位置に貼り付けることが、当初明細書等に記載の事項から自明ともいえない。 第3 当審拒絶理由の概要 当審が令和6年4月5日付けで通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。 1 理由1(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 請求項7には「実オブジェクトの位置近傍に貼り付ける」との記載があり、請求項7に係る発明は、実オブジェクトの平面の近傍であるが平面上でない位置に貼り付けることを発明の範囲に包含しているが、本願明細書には平面の位置に貼り付けることしか記載されていないから、上記の包含された部分は本願明細書に記載されていない。 よって、請求項7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 2 理由2(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 請求項7には「前記実オブジェクト」との記載があるが、この記載よりも前に「実オブジェクト」の記載が無く、「前記実オブジェクト」が何を指し示しているのかが不明確である。 よって、請求項7に係る発明は明確でない。 第4 本願発明 本願請求項1−9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明9」という。)は、令和6年5月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1−9は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 ユーザに対し、仮想空間の画像を提示する表示装置に接続され、 実空間のユーザの各指の状態の情報を取得する取得手段と、 仮想空間内に、仮想的なオブジェクトの位置及び画像を設定するオブジェクト設定手段と、 実空間内の対象物の平面の位置及び範囲を認識する手段と、 を有し、 前記オブジェクト設定手段は、前記取得手段が取得した情報に基づくユーザの手のポーズの情報に応じて、所定の仮想的なオブジェクトの表示を開始する処理と、前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を移動し、前記仮想的なオブジェクトが前記認識された実空間内の対象物の平面に触れた状態と判断された場合に、前記仮想的なオブジェクトを当該平面の位置に貼り付けられた状態として、前記仮想的なオブジェクトを前記平面に貼付された位置に設定して前記仮想的なオブジェクトの移動を中止する貼り付けモードの処理とを行う情報処理装置。 【請求項2】 請求項1に記載の情報処理装置であって、 前記オブジェクト設定手段は、前記仮想的なオブジェクトが前記認識された実空間内の対象物の平面に触れた状態と判断された場合に、前記仮想的なオブジェクトの全体が前記平面に含まれる状態となったときに前記仮想的なオブジェクトを前記平面に貼付された位置に設定して前記仮想的なオブジェクトの移動を中止する貼り付けモードの処理を行う情報処理装置。 【請求項3】 請求項1記載の情報処理装置であって、 前記オブジェクト設定手段は、前記ユーザが所定のポーズを続けている間、前記仮想的なオブジェクトを表示する情報処理装置。 【請求項4】 請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、 前記オブジェクト設定手段は、前記ユーザの手のポーズの情報として、手を握っている状態、あるいは手を開いている状態を含むいずれかのポーズの情報となっているか否かを判定し、当該判定の結果に応じて、前記所定の仮想的なオブジェクトの表示を開始する情報処理装置。 【請求項5】 請求項1または4のいずれかに記載の情報処理装置であって、 前記オブジェクト設定手段は、前記仮想的なオブジェクトにユーザの指が接触している状態と、していない状態とで、前記仮想的なオブジェクトの表示態様を異ならせる情報処理装置。 【請求項6】 請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、 前記仮想空間内に設定された仮想的なオブジェクトと、ユーザの指との接触を判定する判定手段をさらに有する情報処理装置。 【請求項7】 請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、 前記オブジェクト設定手段は、前記ユーザが前記仮想的なオブジェクトを指で仮想的に挟んで移動し、前記実空間内の対象物の平面の位置に移動したときに、当該指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実空間内の対象物の平面の位置に貼り付ける処理を実行する情報処理装置。 【請求項8】 ユーザに対し、仮想空間の画像を提示する表示装置に接続される情報処理装置の制御方法であって、 取得手段が実空間のユーザの各指の状態の情報を取得し、 認識手段が、実空間内の対象物の平面の位置及び範囲を認識し、 オブジェクト設定手段が、前記取得手段が取得した情報に基づくユーザの手のポーズの情報に応じて、所定の仮想的なオブジェクトの表示を開始する処理と、前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を移動し、前記仮想的なオブジェクトが前記認識された実空間内の対象物の平面に触れた状態と判断された場合に、前記仮想的なオブジェクトを当該平面の位置に貼り付けられた状態として、前記仮想的なオブジェクトを前記平面に貼付された位置に設定して前記仮想的なオブジェクトの移動を中止する貼り付けモードの処理とを行う、 情報処理装置の制御方法。 【請求項9】 ユーザに対し、仮想空間の画像を提示する表示装置に接続される情報処理装置を、 実空間のユーザの各指の状態の情報を取得する取得手段と、 仮想空間内に、仮想的なオブジェクトの位置及び画像を設定するオブジェクト設定手段と、 実空間内の対象物の平面の位置及び範囲を認識する手段と、 として機能させ、 前記オブジェクト設定手段として機能させる際に、前記取得手段が取得した情報に基づくユーザの手のポーズの情報に応じて、所定の仮想的なオブジェクトの表示を開始する処理と、前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を移動し、前記仮想的なオブジェクトが前記認識された実空間内の対象物の平面に触れた状態と判断された場合に、前記仮想的なオブジェクトを当該平面の位置に貼り付けられた状態として、前記仮想的なオブジェクトを前記平面に貼付された位置に設定して前記仮想的なオブジェクトの移動を中止する貼り付けモードの処理とを、コンピュータに行わせるプログラム。」 第5 当審拒絶理由について 1 理由1(サポート要件)について 令和6年5月27日提出の手続補正書により、請求項7の「前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置近傍に貼り付ける処理」との記載は、「前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実空間内の対象物の平面の位置に貼り付ける処理」と補正され、この記載については発明の詳細な説明の段落【0064】−【0067】に記載されているので、この拒絶の理由は解消された。 2 理由2(明確性)について 令和6年5月27日提出の手続補正書により、請求項7の「前記実オブジェクト」との記載は、「前記実空間内の対象物」と補正されたので、この拒絶の理由は解消された。 第6 原査定について 1 理由(新規事項)について 令和5年9月28日、及び、令和6年5月27日提出の手続補正書により、請求項1における「前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置近傍に貼り付ける処理」との記載は、「前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を移動し、前記仮想的なオブジェクトが前記認識された実空間内の対象物の平面に触れた状態と判断された場合に、前記仮想的なオブジェクトを当該平面の位置に貼り付けられた状態として、前記仮想的なオブジェクトを前記平面に貼付された位置に設定して前記仮想的なオブジェクトの移動を中止する貼り付けモードの処理」と補正された。 また、請求項7における「前記ユーザが前記仮想的なオブジェクトを指で仮想的に挟んで移動し、平面の位置に移動したときに、当該指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置近傍に貼り付ける処理」との記載は、「前記ユーザが前記仮想的なオブジェクトを指で仮想的に挟んで移動し、前記実空間内の対象物の平面の位置に移動したときに、当該指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実空間内の対象物の平面の位置に貼り付ける処理」と補正された。 さらに、請求項8−9における「前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を、前記実オブジェクトの位置の近傍に貼り付ける処理」との記載は、「前記ユーザの指示により、前記仮想的なオブジェクトの位置を移動し、前記仮想的なオブジェクトが前記認識された実空間内の対象物の平面に触れた状態と判断された場合に、前記仮想的なオブジェクトを当該平面の位置に貼り付けられた状態として、前記仮想的なオブジェクトを前記平面に貼付された位置に設定して前記仮想的なオブジェクトの移動を中止する貼り付けモードの処理」と補正された。 これらの補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2024-07-01 |
出願番号 | P2021-177997 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G06F)
P 1 8・ 55- WY (G06F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
山澤 宏 |
特許庁審判官 |
村松 貴士 富澤 哲生 |
発明の名称 | 情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム |
代理人 | 竹居 信利 |