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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06T 審判 全部申し立て 特174条1項 G06T 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G06T 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06T 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06T |
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管理番号 | 1412318 |
総通号数 | 31 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2024-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-04-01 |
確定日 | 2024-06-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第7363758号発明「状態監視装置及び状態監視プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7363758号の請求項1〜4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第7363758号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜4に係る特許についての出願は、令和2年12月23日に出願され、令和5年10月10日にその特許権の設定登録がされ、同年10月18日に特許掲載公報が発行された。 その後、その特許について、令和6年4月1日に特許異議申立人(以下「申立人」という。)田中貞嗣及び小山卓志により特許異議の申立てがされた。 2 本件発明 本件特許の請求項1〜4に係る発明(以下「本件発明1」〜「本件発明4」という。また、これらをまとめて「本件発明」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1〜4の記載は次のとおりである。 〔本件発明1〕【請求項1】 車内の乗員を撮影する車載カメラにより撮影された画像を画像処理する画像処理部(5)と、 車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)と、 前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知部(10)と、を備え 、 前記認識条件情報取得部は、車両運用情報を取得する車両運用情報取得部(7)と、車両センサ情報を取得する車両センサ情報取得部(8)と、前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)と、を含み、 前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する状態監視装置。 〔本件発明2〕【請求項2】 前記乗員検知部は、前記車両運用情報として、前記車載カメラの設置位置を示す情報、運転操作に係る機器の設置位置を示す情報、着用物に関する情報及び動作を示す情報のうち少なくとも何れかを用いて画像認識条件を設定する請求項1に記載した状態監視装置。 〔本件発明3〕【請求項3】 前記乗員検知部は、 前記車両センサ情報として、車速を示す情報、シフト位置を示す情報、着座位置を示す情報、スタートボタンの操作状態及びシートベルトの装着状態を示す情報のうち少なくとも何れかを用いて画像認識条件を設定する請求項1又は2に記載した状態監視装置。 〔本件発明4〕【請求項4】 状態監視装置の制御部(4)に、 車内の乗員を撮影する車載カメラにより撮影された画像を画像処理する画像処理手順と、 車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得手順と、 前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、前記画像処理手順により画像処理した画像処理後の画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知手順と、を実行させ、 前記認識条件情報取得手順は、車両運用情報を取得し、車両センサ情報を取得し、前記画像処理手順により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証手順を含み、 前記乗員検知手順は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する状態監視プログラム。 3 特許異議申立理由 特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。 (理由1:実施可能要件) 本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、本件請求項1〜4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第1項第4号の規定により取り消すべきものである。 (理由2:サポート要件) 本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件請求項1〜4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第1項第4号の規定により取り消すべきものである。 (理由3:明確性) 本件発明は明確ではないから、請求項1〜4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第1項第4号の規定により取り消すべきものである。 (理由4:新規事項) 本件発明は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない補正内容が含まれているから、本件請求項1〜4に係る特許は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第1号の規定により取り消されるべきものである。 (理由5:新規性) 本件発明1〜4は、甲第1号証に記載された発明であるから、本件請求項1〜4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。 (理由6:進歩性) 本件発明1〜4は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1〜4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。 甲第1号証:国際公開第2018/158809号 甲第2号証:国際公開第2018/116373号 甲第3号証:特開2005−108033号公報 甲第4号証:国際公開第2020/026402号 4 甲号証について (1)甲第1号証について ア 記載事項 甲第1号証には次の記載がある。なお、以降の下線は当審において付されたものである。 「[0001] この発明は、車両に搭載された撮像部を、制御の対象とする装置に関するものである。」 「[0009] 以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。 実施の形態1. 図1は、この発明の実施の形態1に係る車両用撮像制御装置の構成を示すブロック図である。図1では、実施の形態1に係る車両用撮像制御装置が、ドライバモニタリング装置1に内蔵された場合を示している。 [0010] ドライバモニタリング装置1は、車両に搭載されて、当該車両にいる搭乗者を対象とした種々のモニタリング処理を行うものである。ドライバモニタリング装置1は、撮像部2と、画像取得部3と、輝度検出部4と、車両情報取得部5と、モード選択部6と、領域選択部7と、露光制御部8と、画像処理部9とを有する。 図2は、車両内部の様子の一例を示す図である。撮像部2が、搭乗者A,Bの前方に設置されている。搭乗者Aは、ステアリング100が前方に設置された運転席にいて、車両を運転する。搭乗者Bは、運転席の隣の助手席にいる。CID(Center Information Display)101は、ナビゲーション機能及びAV(Audio Visual)機能等を有する装置(不図示)の入出力装置である。搭乗者A,Bは、CID101に対してタッチ操作を行い、目的地を入力したり、楽曲の再生を指示したりする。図2は、右ハンドル車の場合であり、左ハンドル車の場合は、図2に示す配置が左右反転する。 [0011] 撮像部2は、運転席及び助手席を含む車両内部を撮影して、その画像情報を画像取得部3へ出力するカメラである。撮像部2は、露光制御部8が出力する制御信号によって、撮影時の露光条件が制御される。露光条件は、露光時間又はISO感度等のカメラパラメータである。なお、露光条件は、露光時間及びISO感度に限らず、露光に関するカメラパラメータであればよい。撮像部2は、運転席及び助手席を含む車両内部を撮影できる位置に設置される。その際、車両内部の全体等といったより広範囲を撮影できるように、その設置位置及び画角等が調整されてもよい。 画像取得部3は、撮像部2が出力した画像情報を取得し、その画像情報を輝度検出部4及び画像処理部9へ出力する。 [0012] 図3は、撮像部2が出力する画像情報で示される画像の一例である。この画像は、図2に示す車両内部の様子を撮影したものに相当する。画像内には、運転席にいる搭乗者Aの顔が存在する領域T1、助手席にいる搭乗者Bの顔が存在する領域T2等が写っている。 [0013] 輝度検出部4は、画像取得部3が取得して出力した画像情報を用いて、領域選択部7が選択したモニタリングの対象となる領域の輝度情報を検出する。 モニタリングの対象となる領域とは、少なくともその領域をモニタリングしておけば、画像処理部9による後述の各処理モードでの処理を行える領域を指す。例えば、画像処理部9が後述の運転者状態判定モード及び個人認証モードという2つの処理モードを有するものである場合、図3に示す領域T1及びT2はいずれも、モニタリングの対象となる領域と言える。モニタリングの対象となる領域の画像上での位置は、撮像部2の設置位置及び設置角度等に応じて決まるものであり、ドライバモニタリング装置1を設置するにあたり、不図示のメモリに記憶されている。または、輝度検出部4が、画像取得部3が出力した画像情報を用いて、搭乗者の顔の位置を抽出するなどして、モニタリングの対象となる領域を動的に算出してもよい。 輝度検出部4は、検出した輝度情報を露光制御部8に出力する。 [0014] 車両情報取得部5は、不図示のECU(Electronic Control Unit)等から車両情報を取得する。車両情報は、車両の走行状態を含め車両に関する各種の情報であり、車速、シフトポジション、ブレーキ操作、イグニッションのON/OFF及びドアの開閉状態等が含まれる。車両情報取得部5は、取得した車両情報をモード選択部6へ出力する。 [0015] モード選択部6は、車両情報取得部5が取得して出力した車両情報を用いて、画像処理部9が有する搭乗者に対するモニタリングの処理モードの中から、いずれかの処理モードを選択する。モード選択部6は、選択結果を領域選択部7へ出力する。 [0016] 領域選択部7は、モニタリングの対象となる領域のうち、モード選択部6が選択した処理モードに対応する領域を選択する。領域選択部7は、選択結果を輝度検出部4へ出力する。 [0017] 露光制御部8は、輝度検出部4が検出した領域の輝度情報を用いて、撮像部2の露光条件を算出する。そして、露光制御部8は、撮像部2に算出した露光条件での撮影を指示する制御信号を出力する。 [0018] 画像処理部9は、画像取得部3が取得して出力した画像情報を用いた画像処理を行い、搭乗者に対するモニタリング処理を行う。 モニタリングの処理モードとしては、例えば、運転席にいる搭乗者の状態を判定する、運転者状態判定モードが挙げられる。運転者状態判定モードは、運転席にいる搭乗者について、居眠り又は脇見検知、デッドマン検知(運転不能状態検知ともいう)、漫然状態検知、見落とし検知、安全確認検知、又は、異常行動検知等を行うモードである。 [0019] また他にも、例えば、運転席又は助手席にいる搭乗者の個人を認証する、個人認証モードが挙げられる。この個人認証モードでは、搭乗者が誰であるかが認証される。これにより、予め登録された人物でないと、車両の運転ができないようにする。なお、個人認証モードによる認証結果は、上記の用途以外にも利用されものであってよい。認証結果は、例えば、搭乗者に応じてCID101の表示内容を制御するために利用されてもよい。認証された搭乗者がナビゲーション機能を利用する際によく設定する目的地、また、認証された搭乗者がAV機能を利用する際によく再生する楽曲等が、CID101に選択項目として優先的に表示されるような制御が行われる。 [0020] 画像処理部9は、状況に応じてモニタリングの処理モードを切り替える。画像処理部9は、例えば車両情報取得部5を介して車両情報を取得し、取得した車両情報に基づき処理モードを切り替える。画像処理部9は、車両の走行中は、運転者状態判定モードを実行し、それ以外のときは個人認証モードを実行する。 [0021] 画像取得部3と、輝度検出部4と、車両情報取得部5と、モード選択部6と、領域選択部7と、露光制御部8とが、車両用撮像制御装置を構成する。」 「[0027] 次に、上記のように構成された車両用撮像制御装置による処理について、図5、図6及び図7に示すフローチャートを用いてその一例を説明する。 なお、撮像部2は、画像取得部3へ画像情報を常時出力している。また、画像取得部3及び車両情報取得部5及び画像処理部9は、それぞれの処理を常時実行している。 [0028] 図5は、モード選択部6による処理を示すフローチャートである。 モード選択部6は、車両情報取得部5が取得して出力した車両情報を用いて、車両が走行中であるかを判定する(ステップST1)。モード選択部6は、例えば車速を用いて、ステップST1の判定を行う。より具体的には、例えば車速が1km/h以上であれば、走行中であると判定される。 走行中であると判定した場合(ステップST1;YES)、モード選択部6は、運転者状態判定モードを、搭乗者に対するモニタリングの処理モードとして選択する(ステップST2)。 [0029] 一方、走行中ではないと判定した場合(ステップST1;NO)、モード選択部6は、個人認証モードを、搭乗者に対するモニタリングの処理モードとして選択する(ステップST3)。 モード選択部6による選択結果は、領域選択部7へ出力される。 [0030] 図6は、領域選択部7による処理を示すフローチャートである。 領域選択部7は、モード選択部6により、運転者状態判定モードが選択されたかを判定する(ステップST10)。 運転者状態判定モードが選択された場合(ステップST10;YES)、領域選択部7は、運転席にいる搭乗者の顔が存在する領域、図3であれば領域T1を選択する(ステップST11)。ステップST11の処理の後は、ステップST12の処理に移る。 一方、運転者状態判定モードが選択されていない場合(ステップST10;NO)、そのままステップST12の処理に移る。 [0031] 続いて、領域選択部7は、モード選択部6により、個人認証モードが選択されたかを判定する(ステップST12)。 個人認証モードが選択された場合(ステップST12;YES)、領域選択部7は、運転席又は助手席にいる搭乗者の顔が存在する領域、図3であれば領域T1又はT2を選択する(ステップST13)。なお、運転席及び助手席に搭乗者がいる場合には、領域T1及びT2が選択され、助手席に搭乗者がいない場合には、領域T1のみが選択されるようにすることができる。各席に搭乗者がいるかいないかは、シートセンサを設け、当該シートセンサの検知結果を、車両情報取得部5が取得する車両情報に含めるようにして、ドライバモニタリング装置1にて判定可能である。ステップST13の処理が終わると、領域選択部7は処理を終える。 [0032] 一方、個人認証モードが選択されていない場合(ステップST12;NO)、領域選択部7は処理を終える。 領域選択部7による選択結果は、輝度検出部4へ出力される。」 イ 甲1発明 上記アから、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。 〔甲1発明〕 車両に搭載されて、当該車両にいる搭乗者を対象とした種々のモニタリング処理を行うドライバモニタリング装置1であって、([0010]) 撮像部2と、画像取得部3と、輝度検出部4と、車両情報取得部5と、モード選択部6と、領域選択部7と、露光制御部8と、画像処理部9とを有し、([0010]) 撮像部2は、運転席にいて車両を運転する搭乗者A、運転席の隣の助手席にいる搭乗者Bの前方に設置されており、運転席及び助手席を含む車両内部を撮影するカメラであり、([0010]、[0011]) 画像取得部3は、撮像部2が出力した画像情報を取得し、その画像情報を輝度検出部4及び画像処理部9へ出力するものであり、([0011]) モニタリングの対象となる領域(少なくともその領域をモニタリングしておけば、画像処理部9による各処理モードでの処理を行える領域)の画像上での位置は、撮像部2の設置位置及び設置角度等に応じて決まるものであり、ドライバモニタリング装置1を設置するにあたり、メモリに記憶されており、([0013]) 車両情報取得部5は、ECU(Electronic Control Unit)等から車両情報を取得するものであり、車両情報は、車両の走行状態を含め車両に関する各種の情報であり、車速、シフトポジション、ブレーキ操作、イグニッションのON/OFF及びドアの開閉状態等が含まれ、([0014]) モード選択部6は、車両情報取得部5が取得して出力した車両情報を用いて、画像処理部9が有する搭乗者に対するモニタリングの処理モードの中から、いずれかの処理モードを選択するものであり、([0015]) モニタリングの処理モードとしては、例えば、運転席にいる搭乗者の状態を判定する運転者状態判定モード、運転席又は助手席にいる搭乗者の個人を認証する個人認証モードが挙げられ、([0018]、[0019]) モード選択部6は、例えば車速が1km/h以上であれば、走行中であると判定し、走行中であると判定した場合、運転者状態判定モードを、搭乗者に対するモニタリングの処理モードとして選択し、一方、走行中ではないと判定した場合、個人認証モードを、搭乗者に対するモニタリングの処理モードとして選択するものであり、([0028]、[0029]) 領域選択部7は、モニタリングの対象となる領域のうち、モード選択部6が選択した処理モードに対応する領域を選択するものであり、([0016]) 領域選択部7は、モード選択部6により運転者状態判定モードが選択された場合、運転席にいる搭乗者の顔が存在する領域を選択し、モード選択部6により個人認証モードが選択された場合、運転席又は助手席にいる搭乗者の顔が存在する領域を選択するものであり、運転席及び助手席に搭乗者がいる場合には、運転席にいる搭乗者Aの顔が存在する領域T1及び助手席にいる搭乗者Bの顔が存在する領域T2が選択され、助手席に搭乗者がいない場合には、領域T1のみが選択されるようにすることができ、各席に搭乗者がいるかいないかは、シートセンサを設け、当該シートセンサの検知結果を、車両情報取得部5が取得する車両情報に含めるようにして、ドライバモニタリング装置1にて判定可能であり、([0012]、[0030]、[0031]) 露光制御部8は、輝度検出部4が検出した領域の輝度情報を用いて、撮像部2の露光条件を算出し、撮像部2に算出した露光条件での撮影を指示する制御信号を出力するものであり、([0017]) 画像処理部9は、画像取得部3が取得して出力した画像情報を用いた画像処理を行い、搭乗者に対するモニタリング処理を行うものであり、([0018]) 画像処理部9は、状況に応じてモニタリングの処理モードを切り替え、例えば車両情報取得部5を介して車両情報を取得し、取得した車両情報に基づき処理モードを切り替え、車両の走行中は、運転者状態判定モードを実行し、それ以外のときは個人認証モードを実行するものであり、([0020]) 画像取得部3と、輝度検出部4と、車両情報取得部5と、モード選択部6と、領域選択部7と、露光制御部8とが、車両用撮像制御装置を構成し、([0021]) 画像取得部3及び車両情報取得部5及び画像処理部9は、それぞれの処理を常時実行している([0027]) ドライバモニタリング装置1。」 (2)甲第2号証について ア 記載事項 甲第2号証には次の記載がある。 「[0001] この発明は、車両に搭載され、車両の乗員を認証する技術に関するものである。」 「[0010] 以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。 実施の形態1. 図1は、実施の形態1に係る車載画像認証装置100の構成を示すブロック図である。 車載画像認証装置100は、顔検出部1、顔要素検出部2、領域判定部3、顔向き検出部4、顔向き判定部5および認証処理部6を備える。また、車載画像認証装置100は、カメラ200、記憶装置300および制御装置400と接続されている。 図1で示した構成以外にも、カメラ200および記憶装置300の少なくとも一方を車載画像認証装置100が備えるように構成してもよい。 [0011] 図2は、車載画像認証装置100を搭載した車両500内部を上方から見た図である。 カメラ200は、例えば広角カメラ等で構成され、少なくとも運転席501および助手席502に着座する乗員503,504を同時に撮像可能な位置に配置される。カメラ200が撮像した撮像画像は、車載画像認証装置100の顔検出部1に入力される。図2の例では、カメラ200の撮像範囲を、領域Aで示している。領域A内には、運転席501および助手席502に着座する乗員503,504に加えて、認証の対象でない人物X、Yが存在する。以下では、車載画像認証装置100が人物X,Yの撮像画像を用いて、人物X,Yの認証を行ってしまうのを抑制する構成について説明する。 [0012] 顔検出部1は、カメラ200から入力された撮像画像の解析を行い、人の顔が撮像された領域(以下、顔領域と記載する)と、当該顔領域の撮像画像の特徴情報とを検出する。顔検出部1は、撮像画像上に顔領域を囲む矩形を設定し、設定した矩形の各頂点の座標値を取得する。顔検出部1が取得する座標値は、撮像画像における座標値である。顔検出部1は、取得した顔領域の撮像画像の特徴情報および座標値を顔要素検出部2および認証処理部6に出力する。顔検出部1は、取得した顔領域の座標値を領域判定部3に出力する。ここで、撮像画像の特徴情報とは、例えば、顔の大きさを正規化した上での、目、鼻、口、頬の部分のコントラスト値などである。 [0013] 顔要素検出部2は、顔検出部1から入力された顔領域内で、人の顔を構成する要素(以下、顔要素と記載する)を検出する。顔要素とは、例えば、目、鼻、口、耳および髪型等である。顔要素検出部2は、顔検出部1から入力された顔領域の座標値から、検出した顔要素が撮像された領域の座標値を取得する。顔要素検出部2が取得する座標値も、撮像画像における座標値である。顔要素検出部2は、各顔要素が描画された領域全体の座標値を取得してもよいし、各要素が描画された領域の輪郭の座標値のみを取得してもよい。顔要素検出部2は、検出した顔要素の座標値を顔向き検出部4に出力する。 [0014] 領域判定部3は、顔検出部1から入力された顔領域の座標値が、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために予め設定された領域内に位置しているか否か判定を行う。ここで、車両の前方乗車席とは、車両の運転席および助手席のうちの少なくともいずれか一方である。領域判定部3は、車両の運転席または助手席のどちらに着座しているとしている人物であっても認証可能なように、領域判定を行う。 領域判定部3は、運転席に着座する乗員を認証するために設定された領域の座標値、および助手席に着座する乗員を認証するために設定された領域の座標値を、バッファまたは記憶領域(図示せず)に格納している。 領域判定部3は、顔領域の座標値が予め設定された領域内に位置していないと判定した場合、顔要素検出部2に対して検出処理の停止を指示する。 領域判定部3は、顔領域の座標値が予め設定された領域内に位置していると判定した場合、当該判定結果を顔向き検出部4に出力する。領域判定部3に予め設定された領域の詳細については後述する。 [0015] 顔向き検出部4は、領域判定部3から顔領域の座標値が予め設定された領域内に位置しているとの判定結果が入力されると、顔要素検出部2から入力された顔要素の座標値に基づいて、顔の向きを検出する。顔向き検出部4の検出処理の詳細は後述する。顔向き検出部4は、検出した顔の向きを顔向き判定部5に出力する。 [0016] 顔向き判定部5は、顔向き検出部4が検出した顔の向きが、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために予め設定された角度範囲内であるか否か判定を行う。顔向き判定部5は、運転席に着座する乗員を認証するために設定された角度範囲、および助手席に着座する乗員を認証するために設定された角度範囲を、バッファまたは記憶領域(図示せず)に予め格納している。顔向き判定部5は、顔向きが予め設定された角度範囲内であると判定した場合、判定結果を認証処理部6に出力する。顔向き判定部5に予め設定された角度範囲の詳細については後述する。 [0017] 認証処理部6は、顔向き判定部5から顔向きが予め設定された角度範囲内であるとの判定結果が入力されると、顔検出部1から入力された顔領域の撮像画像の特徴情報と、記憶装置300に登録された認証用の撮像画像の特徴情報とを照合し、顔領域の撮像画像が撮像された人物の認証を行う。認証処理部6は、認証結果を制御装置400に出力する。認証処理部6は、顔領域の撮像画像が撮像された人物を認証した場合、例えば、当該人物に予め割り当てられたIDを記憶装置300から取得し、取得したIDを認証結果として制御装置400に出力する。 一方、認証処理部6は、顔領域の撮像画像が撮像された人物を認証できなかった場合、例えば当該人物が記憶装置300に登録されていないことを示す情報を認証結果として制御装置400に出力する。 [0018] 記憶装置300は、車載画像認証装置100を搭載した車両のユーザの顔の特徴情報が登録されている。車両のユーザとは、当該車両を運転する可能性のある乗員、および助手席に着座する可能性のある乗員が含まれるものとする。記憶装置300に登録される顔の特徴情報は、カメラ200を用いて事前に撮像された画像の特徴情報、またはその他の撮像手段を用いて事前に撮像された画像の特徴情報である。また、記憶装置300は、各ユーザの顔の特徴情報を、各ユーザを特定する情報、例えばIDと関連付けて記憶する。顔の特徴情報に関連付けて記憶する情報は、種々設定可能である。 [0019] 制御装置400は、車載画像認証装置100が搭載された車両を制御する装置である。制御装置400は、例えば運転席および助手席の座席シートの位置および傾きを調整する制御装置、音響装置を制御する制御装置等である。制御装置400は、認証処理部6から入力される認証結果に基づいて、認証された乗員に適した制御、例えばユーザの好みの座席シートの位置および傾き、ユーザの好みの音響条件等の制御を行う。」 「[0025] 次に、領域判定部3に乗員を認証するために予め設定された領域の詳細について図4を参照して説明する。 図4は、実施の形態1に係る車載画像認証装置100を搭載した車両の車室内を前方から見た図であり、領域判定部3に設定された領域を示す図である。 図4では、車両500内の運転席501および助手席502に乗員503,504が着座した場合を想定し、乗員503,504を点線で示している。 運転席501の外側に第1のピラー505および助手席502の外側に第2のピラー506が位置している。矩形領域507は、運転席501に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される領域である。矩形領域508は、助手席502に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される領域である。矩形領域507,508は、車外に位置する人物Xおよび車両500の後部座席に着座する人物Yの誤認証を抑制するように設定される。 また、図4では、矩形領域が設定される場合を例に示したが、設定される領域は矩形に限定されるものではない。 [0026] 矩形領域507は、運転席501のヘッドレスト501aの周囲に設定される。矩形領域507の車室内の天井側の位置は、運転席501のヘッドレスト501aの上部から車室内の天井側に所定の距離(例えば15cm程度)離間させた位置に設定される。矩形領域507の車外側の位置は、運転席501の背もたれ501bの側面から車外側に所定の距離(例えば、20cm程度)離間させた位置に設定される。矩形領域507の助手席502側の位置は、運転席501の背もたれ501bの側面から助手席502側に所定の距離(例えば、10cm程度)離間させた位置に設定される。 同様に、矩形領域508は、助手席502のヘッドレスト502aの周囲に設定される。矩形領域508の車室内の天井側の位置は、助手席502のヘッドレスト502aの上部から車室内の天井側に所定の距離(例えば15cm程度)離間させた位置に設定される。矩形領域508の車外側の位置は、助手席502の背もたれ502bの側面から車外側に所定の距離(例えば、20cm程度)離間させた位置に設定される。矩形領域508の運転席501側の位置は、助手席502の背もたれ502bの側面から運転席501側に所定の距離(例えば、10cm程度)離間させた位置に設定される。 [0027] ヘッドレスト501a,502aから車室内の天井側の距離、および背もたれ501b,502bから所定の距離は、車外の人物および後部座席の人物の顔が領域内に入らないように適宜設定される値である。なお、上述した矩形領域507および矩形領域508の設定は一例であり、車両500外の人物および車両500の後部座席の人物の顔を誤認証するのを抑制することができる設定であれば適宜適用可能である。」 「[0039] 上述した実施の形態1では、顔向き判定部5が人物の顔の向きが、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために設定された顔向きの範囲内であるか否か判定を行い、設定された顔向きの範囲内であると判定した場合に、認証処理部6が、顔領域が検出された人物の認証を行う構成を示した。認証処理部6は、上述した人物の顔の向きに加えて、例えば人物の目が開いているか否かに基づいて、顔領域が検出された人物の認証を行うように構成することも可能である。人物の顔の向きに加えて、人物の目が開いているか否かに基づいて人物の認証を行う車載画像認証装置100の構成を図7に示している。 [0040] 図7は、実施の形態1に係る車載画像認証装置100のその他の構成を示すブロック図である。 図7では、図1で示した車載画像認証装置100の顔向き判定部5に開眼判定部5aを追加して構成した例を示している。以下では、上述した車載画像認証装置100の構成要素と同一または相当する部分には、図1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。 [0041] 顔要素検出部2は、顔検出部1から入力された顔領域内で、顔要素として、目、鼻、口、耳および髪型に加えて、例えば目じり、上瞼および下瞼を検出する。顔要素検出部2は、検出した顔要素の座標値を顔向き検出部4および開眼判定部5aに出力する。 顔向き判定部5は、顔向き検出部4が検出した顔の向きが、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために予め設定された角度範囲内であるか否か判定を行う。顔向き判定部5は、顔向きが予め設定された角度範囲内であると判定した場合、開眼判定部5aは、顔要素検出部2から入力された顔要素の座標値に基づいて、人物の目が開いているか否かの判定を行う。具体的には、開眼判定部5aは、目、目じり、上瞼および下瞼等の目に関する座標値を用いて、人物の目が開いているか否かの判定を行う。例えば、開眼判定部5aは、上瞼と下瞼の座標値の差が閾値以上であった場合に、人物の目が開いていると判定する。顔向き判定部5は、顔向きの判定結果と目が開いているか否かの判定結果とを認証処理部6に出力する。 [0042] 認証処理部6は、顔向き判定部5から顔向きが予め設定された角度範囲内であり、且つ開眼判定部5aから人物の目が開いているとの判定結果が入力されると、顔検出部1から入力された顔領域の撮像画像の特徴情報と、記憶装置300に登録された認証用の撮像画像の特徴情報とを照合し、顔領域の撮像画像が撮像された人物の認証を行う。認証処理部6は、認証結果を制御装置400に出力する。」 「[0045]実施の形態2. この実施の形態2では、顔領域の撮像画像が撮像された人物が認証されるまで、複数回認証処理を繰り返す構成を示す。 図9は、実施の形態2に係る車載画像認証装置100Aの構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る車載画像認証装置100Aは、実施の形態1で示した車載画像認証装置100の認証処理部6に終了判定部6aを追加して構成している。 以下では、実施の形態1に係る車載画像認証装置100の構成要素と同一または相当する部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。 [0046] 終了判定部6aは、認証処理部6が顔領域の撮像画像が撮像された人物を、認証しなかった場合に、規定の回数、または規定の期間、認証処理を繰り返したか判定を行う。終了判定部6aは、例えば認証処理部6が行った照合処理の回数をカウントし、カウントした回数をバッファ等の一時格納領域(図示せず)に格納する。終了判定部6aは、格納した回数が規定の回数未満である場合には、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示する。 また、終了判定部6aは、例えば車両500からシフト位置情報を取得し、シフト位置が停止位置(P)から停止位置(P以外)へ移動したか判定を行ってもよい。終了判定部6aは、車両500のシフト位置が停止位置(P以外)へ移動するまで期間、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示する。 また、終了判定部6aは、例えば車両500から車速情報を取得し、車両500の車速が1km/h以上になったか判定を行ってもよい。終了判定部6aは、車両500の車速が1km/h以上となるまで期間、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示する。」 (合議体注:上記「停止位置(P以外)」(2箇所)及び「まで期間」(2箇所)は、それぞれ「停止位置(P)以外」及び「までの期間」の誤記と認定した。) 「[0060]実施の形態4. この実施の形態4では、ある車両状態の検知をトリガとして認証処理を開始する構成を示す。 図13は、実施の形態4に係る車載画像認証装置100Cの構成を示すブロック図である。 実施の形態4に係る車載画像認証装置100Cは、実施の形態1で示した車載画像認証装置100に車両情報取得部8および車両状態判定部9を追加して構成している。 以下では、実施の形態1に係る車載画像認証装置100の構成要素と同一または相当する部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。 [0061] 車両情報取得部8は、例えば車両センサ、ナビゲーション装置およびGPS受信機(図示せず)等から、車両情報を取得する。車両情報は、例えば、ドアの開錠および施錠を示す情報、ドアの開閉を示す情報、シートベルトの着脱を示す情報、イグニッションのON/OFF状態を示す情報、人感センサのON/OFF状態を示す情報、シフトレバーの位置を示す情報、車両速度を示す情報、ナビゲーション装置の案内状態を示す情報および自車両の位置情報等である。車両情報取得部8は、これらの車両情報のうちの少なくともいずれか1つを取得し、車両状態判定部9に出力する。 [0062] 車両状態判定部9は、車両情報取得部8が取得した車両情報を参照し、車両状態が乗員を認証するために予め設定された状態になったことを検知した場合に、顔検出部1に対して撮像画像から顔検出の処理を行うように指示する。 上述した車両情報の例では、車両状態判定部9は、ドアの開錠、ドアのオープン、シートベルトの装着、イグニッションのON、人感センサのON、シフトレバーがドライブの位置に移動、車両速度が0km/hを超えた、ナビゲーション装置が案内を開始した、自車両が自宅を出発した等のいずれかを検知した場合に、顔検出部1に対して撮像画像から顔検出の処理を行うように指示する。」 「[0067] なお、上記では、領域判定部3に設定された領域は、予め設定されているとして説明を行ったが、当該領域判定部3に設定された領域は固定された領域であってもよいし、車両状態判定部9が参照する車両情報の種別に応じて設定される領域であってもよい。 例えば、車両状態判定部9が、ドアのオープンを検知した場合をトリガとして認証処理を開始させる場合と、シートベルトの装着を検知した場合をトリガとして認証処理を開始させる場合とで、領域判定部3に設定される領域を変化させる。 [0068] 車両状態判定部9がドアのオープンの検知をトリガとする場合、領域判定部3に設定される領域は、運転席側ドアおよび助手席側ドア寄りに設定される。一方、車両状態判定部9がシートベルト装着の検知をトリガとする場合、領域判定部3に設定される領域は、運転席および助手席のヘッドレスト近傍に設定される。 領域判定部3は、車両状態判定部9がトリガとする車両状態に応じた設定領域を予め蓄積しておき、車両状態判定部9から入力される判定結果に応じた設定領域を読み出す。または、車両状態判定部9が、車両状態に応じた設定領域を蓄積しておき、判定結果に応じた設定領域を領域判定部3に対して設定してもよい。 領域判定部3が判定に用いる領域を車両状態に応じて設定することにより、常に認証処理に適した位置において顔領域が存在するか否かの判定処理を行うことができる。 [0069] 以上のように、この実施の形態4によれば、車両の車両情報を参照し、車両の車両状態が車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために設定された状態になったと判定した場合に、顔検出部1に対して顔領域の検出を指示する車両状態判定部9を備えるように構成したので、認証対象である人物以外が映り込んだ撮像画像であっても、設定された車両状態になった時に認証対象である人物の顔画像を抽出して認証を行うことができ、認証に適していない位置に存在する人物に対して認証処理が実行されるのを防止することができる。これにより、車載のカメラが1台であっても、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証することができる。 [0070] また、この実施の形態4によれば、領域判定部3に設定される車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するための領域は、固定された領域、車両状態判定部9が参照する車両情報の種別に応じて設定される領域であるように構成したので、認証処理に適した位置において顔領域が存在するか否かの判定処理を行うことができる。 [0071] なお、上述した実施の形態4では、実施の形態1で示した車載画像認証装置100に車両情報取得部8および車両状態判定部9を追加する構成を示したが、実施の形態2で示した車載画像認証装置100Aに車両情報取得部8および車両状態判定部9を追加して構成してもよい。」 イ 甲2発明 上記アから、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。なお、各構成の末尾括弧内に、対応する記載箇所を付した。 〔甲2発明〕 車載画像認証装置100C及び制御装置400であって、([0019]、[0060]) 車載画像認証装置100Cは、 顔検出部1、顔要素検出部2、領域判定部3、顔向き検出部4、顔向き判定部5、認証処理部6、カメラ200、顔向き判定部5に追加して構成された開眼判定部5a、認証処理部6に追加して構成された終了判定部6a、車両情報取得部8および車両状態判定部9を備え、([0010]、[0040]、[0045]、[0060]、[0071]) カメラ200は、例えば広角カメラ等で構成され、少なくとも運転席501および助手席502に着座する乗員503,504を同時に撮像可能な位置に配置されるものであり、([0011]) 顔検出部1は、カメラ200から入力された撮像画像の解析を行い、人の顔が撮像された領域(以下、顔領域と記載する)と、当該顔領域の撮像画像の特徴情報とを検出するものであり、([0012]) 顔要素検出部2は、顔検出部1から入力された顔領域内で、人の顔を構成する要素(以下、顔要素と記載する)を検出するものであり、([0013]) 領域判定部3は、顔検出部1から入力された顔領域の座標値が、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために予め設定された領域内に位置しているか否か判定を行うものであり、([0014]) 運転席501に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される矩形領域507は、運転席501のヘッドレスト501aの周囲に設定され、また、助手席502に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される矩形領域508は、助手席502のヘッドレスト502aの周囲に設定され、([0025]、[0026]) 顔向き検出部4は、領域判定部3から顔領域の座標値が予め設定された領域内に位置しているとの判定結果が入力されると、顔要素検出部2から入力された顔要素の座標値に基づいて、顔の向きを検出するものであり、([0015]) 顔向き判定部5は、顔向き検出部4が検出した顔の向きが、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために予め設定された角度範囲内であるか否か判定を行い、顔向きが予め設定された角度範囲内であると判定した場合、開眼判定部5aは、顔要素検出部2から入力された顔要素の座標値に基づいて、人物の目が開いているか否かの判定を行うものであり、([0041]) 認証処理部6は、顔向き判定部5から顔向きが予め設定された角度範囲内であり、且つ開眼判定部5aから人物の目が開いているとの判定結果が入力されると、顔検出部1から入力された顔領域の撮像画像の特徴情報と、記憶装置300に登録された認証用の撮像画像の特徴情報とを照合し、顔領域の撮像画像が撮像された人物の認証を行うものであり、([0042]) 終了判定部6aは、例えば車両500からシフト位置情報を取得し、車両500のシフト位置が停止位置(P)以外へ移動するまでの期間、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示し、また、例えば車両500から車速情報を取得し、車両500の車速が1km/h以上となるまでの間、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示するものであり、([0046]) 車両情報取得部8は、例えば車両センサ、ナビゲーション装置およびGPS受信機等から、車両情報を取得するものであり、車両情報は、例えば、ドアの開錠および施錠を示す情報、ドアの開閉を示す情報、シートベルトの着脱を示す情報、イグニッションのON/OFF状態を示す情報、人感センサのON/OFF状態を示す情報、シフトレバーの位置を示す情報、車両速度を示す情報、ナビゲーション装置の案内状態を示す情報および自車両の位置情報等であり、([0061]) 車両状態判定部9は、車両情報取得部8が取得した車両情報を参照し、車両状態が乗員を認証するために予め設定された状態になったことを検知した場合に、顔検出部1に対して撮像画像から顔検出の処理を行うように指示するものであり、上述した車両情報の例では、車両状態判定部9は、ドアの開錠、ドアのオープン、シートベルトの装着、イグニッションのON、人感センサのON、シフトレバーがドライブの位置に移動、車両速度が0km/hを超えた、ナビゲーション装置が案内を開始した、自車両が自宅を出発した等のいずれかを検知した場合に、顔検出部1に対して撮像画像から顔検出の処理を行うように指示するものであり、([0062]) 領域判定部3に設定された領域は固定された領域であってもよいし、車両状態判定部9が参照する車両情報の種別に応じて設定される領域であってもよく、例えば、車両状態判定部9が、ドアのオープンを検知した場合をトリガとして認証処理を開始させる場合と、シートベルトの装着を検知した場合をトリガとして認証処理を開始させる場合とで、領域判定部3に設定される領域を変化させ、車両状態判定部9がドアのオープンの検知をトリガとする場合、領域判定部3に設定される領域は、運転席側ドアおよび助手席側ドア寄りに設定され、一方、車両状態判定部9がシートベルト装着の検知をトリガとする場合、領域判定部3に設定される領域は、運転席および助手席のヘッドレスト近傍に設定され、([0067]、[0068]) 制御装置400は、 車載画像認証装置100が搭載された車両を制御する装置であって、例えば運転席および助手席の座席シートの位置および傾きを調整する制御装置、音響装置を制御する制御装置等であり、認証処理部6から入力される認証結果に基づいて、認証された乗員に適した制御、例えばユーザの好みの座席シートの位置および傾き、ユーザの好みの音響条件等の制御を行うものである([0019]) 車載画像認証装置100C及び制御装置400。 (3)甲第3号証について ア 記載事項 甲第3号証には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、自動車などの移動体に取り付けられたTVカメラのような受光装置によって撮影される画像内で、運転者の状態を解析することにより、居眠りやよそ見、わき見などの危険な状態を察知し、運転者への警告や移動体の制御を行う運転者状態解析装置および運転者状態解析方法に関する。」 「【0018】 顔領域判定部104は、顔検出部より出力された顔領域の位置情報を基に、運転者の状況を解析するものである。まず、例えば図2に示すように、顔画像検出領域、すなわちあらかじめ画像内に、移動体の運転中に運転者の顔が存在しても安全に運転することができると思われる範囲(被験者である運転者の顔画像を撮像するのに通常適する範囲)を設定しておく。この範囲は、画像内に矩形や円状など任意の形状で良い。図2では、例えば画面内中央の円形部分であるが、どのような場所にいくつ存在してもかまわない」 「【0030】 得られた運転者の位置情報は、画像入力部101に送ることもできる。例えば、パンチルト機能などを有したカメラの場合、運転者の位置情報を用いて、運転者の顔が現在撮影しているカメラの撮影範囲の中に適切に収まるように、パンチルトの制御を行う。また、複数のカメラを利用している場合、運転者の位置から最も近いカメラの画像を利用するなどし、より運転者の顔が適切に撮影できるようにすることもできる。また、カメラ自体の運動や、複数のカメラの切り替えをしない場合でも、運転者の位置情報から撮影された画像の中で運転者の位置を限定することができる。このようにカメラと運転者の位置関係から画像の処理範囲を限定することで、顔の誤検出や必要な処理量を減らすことができる。」 (4)甲第4号証について ア 記載事項 甲第4号証には、次の記載がある。 「[0001] 本発明は、携帯端末との連携動作が可能な車載情報装置に関するものである。」 「[0012] 表示装置21は、例えば液晶表示装置などであり、車両に設置された画面21aを有している。画面21aは、図2のように、車両のセンターパネルなど、複数の乗員が操作可能な位置に設置されるものとする。」 「[0059] <実施の形態2> 図26は、本発明の実施の形態2に係る車載情報システムの構成を示すブロック図である。図26の車載情報システムの構成は、図1の構成に対し、車載情報装置10にさらに車内カメラ23を接続させたものである。車内カメラ23は、図27のように画面21aの近傍に配置され、画面21aの操作およびその予備動作を行う乗員の姿を撮影する。図28は車内カメラ23により撮影される画像の例である。 [0060] また、実施の形態2では、操作者特定部16は、車内カメラ23が撮影した画像を解析することで、画面21aの操作の予備動作を行った乗員がどの座席にいるのかを判断し、その座席の乗員を操作者として特定する。例えば図27のように運転席が左側にある車両において、予備動作検出部15が画面21aに対する操作の予備動作を検出したときに、図28のように車内カメラ23から見て右側の乗員が画面21aに手を伸ばす様子が撮影された場合、操作者特定部16は運転席の乗員を操作者として特定する。 [0061] 操作者特定部16が、車内カメラ23が撮影した画像を解析して操作者を特定することで、センサ22が検出した乗員の指の動きから操作者を特定する場合よりも、操作者の特定精度を向上させることができる。 [0062] <実施の形態3> 図29は、本発明の実施の形態3に係る車載情報システムの構成を示すブロック図である。図29の構成は、図1の構成に対し、車載情報装置10にさらに車内カメラ23を接続させるとともに、車載情報装置10内に乗員位置判断部18を追加したものである。車内カメラ23は、実施の形態2と同様、画面21aの近傍に配置され、各座席の乗員を撮影する。 [0063] 実施の形態1では、乗員情報記憶部12に登録される各乗員の座席位置の情報は、乗員によって車載情報装置10に入力されるものであったが、実施の形態3では、乗員位置判断部18が、車内カメラ23が撮影した画像を解析して各乗員の座席位置を判断し、その判断結果を乗員情報記憶部12に登録する。具体的には、乗員位置判断部18は、車内カメラ23が撮影した画像を解析して各座席の乗員の個人識別を行い、各座席の乗員が誰かを判断する。画像解析による個人識別に必要とされる乗員の生体情報、例えば顔情報、虹彩情報などは、乗員情報として予め乗員情報記憶部12に記憶されているものとする。 [0064] 実施の形態3によれば、各乗員の座席位置の情報が、操作者特定部16により自動的に乗員情報記憶部12に登録されるため、乗員がその情報を入力する手間をなくなり高い利便性が得られる。」 5 当審の判断 (1)理由3(明確性)について ア 「画像処理」について 申立人は、請求項1における「画像処理部(5)」がどのような画像処理を行うものまでを含むかについて、本件明細書の記載及び技術常識を考慮しても当業者が理解できない旨主張しており(特許異議申立書17頁11行〜18頁10行)、この点について検討する。 請求項1における「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を前記画像認識条件にしたがって認識し」との記載によれば、請求項1の画像処理部(5)で行われる画像処理は、画像認識条件にしたがって認識される画像を得るために行われるものであり、その具体的内容の特定を要するまでもなく、当該認識の前処理として認識に適した各種画像処理が含まれうると、当業者であれば普通に理解することができる。 したがって、請求項1における「画像処理」は明確である。 イ 「瞬時の情報」及び「累積した情報」について 申立人は、請求項1における「瞬時の情報」及び「累積した情報」は、用語の意味内容を理解できるものではなく明確ではない旨主張しており(特許異議申立書18頁11行〜19頁5行)、この点について検討する。 上記「瞬時の情報」及び「累積した情報」は、「瞬時の」及び「累積した」との各文言の意味から時間幅が相違する情報のことと理解できるから、請求項1における「瞬時の情報」及び「累積した情報」は明確である。 ウ 「項目」及び「項目と…(略)…項目とを異ならせて」について 申立人は、請求項1における「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」との記載の解釈、及び「項目」の意味内容が明確ではない旨主張しており(特許異議申立書19頁6行〜22頁4行)、この点について検討する。 上記「前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち」との記載は、当該三者を対象範囲とするとの意味であり、例えば「当該三者において」等と類する表現として理解されうるものである。 また、一般に「項目」とは、「物事をある基準で区分けしたときの一つ一つ」(デジタル大辞泉)を意味する用語であり、本願の「車両センサ情報」等についても、例えば「特徴」という基準で区分けしたときの項目を複数含むことが明らかである。そして、【0028】に「特徴の項目」と記載されていることは、申立人も認めるとおりである。 そうすると、上記明確でない旨主張している点は何れも明確であり、請求項1における上記「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」は明確である。 エ 請求項2〜4について 請求項1と同様の構成を備えた請求項4、及び請求項1を引用する請求項2、3に係る発明についても、明確である。 (2)理由1(実施可能要件)について 申立人は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載が、「前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知部(10)と、を備え、」「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」との構成を含む本件発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない旨主張しており(特許異議申立書12頁28行〜16頁7行)、この点について検討する。 請求項1の上記記載に関連するものとして、発明の詳細な説明には、次のとおり記載されている。 「【0022】 ここで、画像認識条件について説明する。一般的に、車内では座席の位置関係が確定されている。即ち、乗用車では、ドライバー席、助手席及び後部座席の位置関係が確定されており、ドライバー席と助手席とは車幅方向に並んでおり、後部座席はドライバー席と助手席の後方である。バスでは、ドライバー席及び客席の位置関係が確定されており、客席はドライバー席の後方である。又、車両ではステアリングやシフトレバー等の運転操作に係る機器の設置位置が確定されている。即ち、運転操作に係る機器の設置位置はドライバー席の周辺である。又、バスやトラック等の商用を目的とする車両ではドライバーの着用物が規定されている場合が多い。又、ドライバーが運転前や運転中に行う動作は共通している。例えばドライバーは運転前ではルームミラーやシート位置を調整したり目的地を設定するためにナビゲーション機器を操作したりすることが多く、運転中ではステアリングやシフトレバーを把持している。このような特徴的に着目した車両運用情報を用いて画像認識条件を設定する。 【0023】 検知対象の乗員をドライバーとし、特定の乗員としてドライバーを検知する場合の対応技術について図3から図5を参照して説明する。尚、図3から図5に示す内容は、検知する対象であるドライバーの特徴の一例を示すものであり、例示した内容に限らない。制御部4は、大分類としてドライバーを検知するタイミングを分類する。ドライバーを検知するタイミングとしては、瞬時の情報に基づいて検知する場合と、累積した情報に基づいて検知する場合とがある。 【0024】 制御部4は、瞬時の情報に基づいて検知する場合には、中分類として車両運用情報、車両センサ情報及び個人認証結果を用いて画像認識条件を設定する。この場合、制御部4は、車両運用情報として車載カメラ2や運転操作に係る機器の設置位置及び着用物に関する情報を設定する。例えば車載カメラ2の設置位置がAピラーであれば、ドライバーは車載カメラ2から最も近くに存在する特徴があるので、制御部4は、車載カメラ2から最も近い人物をドライバーとして検知するように画像認識条件を設定する。又、例えばバスやトラック等の商用を目的とする車両ではドライバーは制帽や制服等の規定の着用物を装着している特徴があるので、制御部4は、規定の着用物を装着している人物をドライバーとして検知するように画像認識条件を設定する。他の特徴についても、その特徴に合致する人物をドライバーとして検知するように画像認識条件を設定する。 【0025】 制御部4は、累積した情報に基づいて検知する場合には、中分類として車両運用情報及び車両センサ情報を用いて画像認識条件を設定する。この場合、制御部4は、車両運用情報として動作に関する情報を設定する。例えばドライバーはドライバー席のドアから乗車するので、制御部4は、右ハンドル車であれば、ドライバー席のドア開後に画像外の左側から進入した人物をドライバーとして検知するように画像認識条件を設定する。例えばドライバーはスタートボタンやシフトレバーやシートベルトの操作を行うので、制御部4は、スタートボタンやシフトレバーやシートベルトの操作が行われたときに、スタートボタンやシフトレバーやシートベルトの操作を行った人物をドライバーとして検知するように画像認識条件を設定する。他の特徴についても、その特徴に合致する人物をドライバーとして検知するように画像認識条件を設定する。 【0026】 具体的に、画像処理後の画像を画像認識条件にしたがって認識し、ドライバーを検知する場合の処理について図6を参照して説明する。尚、ここでは、画像認識条件として、ステアリングの設置位置、車両状態及び個人認証状態を設定した場合について説明する。 【0027】 制御部4は、画像処理後の画像内で複数又は単一の顔を認識したか否かを判定する(S11,S12)。制御部4は、画像処理後の画像内で複数の顔を認識したと判定すると(S11:YES)、右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかを判定する(S13,S14)。制御部4は、右ハンドル車であると判定すると(S13:YES)、画像内の左側の顔を認識し(S15)、左ハンドル車であると判定すると(S14:YES)、画像内の右側の顔を認識する(S16)。制御部4は、車両走行中であるか否かを判定し(S17)、車両走行中であると判定すると(S17:YES)、個人認証登録済みであるか否かを判定し(S18)、登録された人物や過去に認証された人物であり、個人認証登録済みであると判定すると(S18:YES)、ドライバーを検知する(S19)。 【0028】 以上は、画像認識条件として、ステアリングの設置位置、車両状態及び個人認証状態を設定した場合について説明したが、前述した図3から図5に示した通り、ドライバーの特徴は様々であるので、ドライバーを検知するために採用する特徴は任意である。採用する特徴の数が増大すると、信頼性を高めることができるが、処理時間を要することが懸念されるので、ドライバーを検知するために採用する特徴の項目や数を、要求される信頼性や処理時間に応じて決定すれば良い。 【0029】 又、以上は、瞬時の情報に基づいて検知する場合に、車両運用情報、車両センサ情報及び個人認証結果を用いて画像認識条件を設定する場合を例示したが、車両運用情報、車両センサ情報及び個人認証結果のうち少なくとも何れかを用いて画像認識条件を設定しても良い。累積した情報に基づいて検知する場合には、車両運用情報及び車両センサ情報を用いて画像認識条件を設定する場合を例示したが、車両運用情報及び車両センサ情報のうち少なくとも何れかを用いて画像認識条件を設定しても良い。 【0030】 又、以上は、特定の乗員としてドライバーを検知する場合を例示したが、特定の乗員として助手席、後部座席及び客席の乗員を検知する場合にも適用することができる。例えば特定の乗員として助手席の乗員を検知する場合であれば、右ハンドル車であれば、助手席の乗員は画像内の右側に存在する特徴があるので、制御部4は、画像内の右側の人物を助手席の乗員として検知するように画像認識条件を設定しても良い。例えば特定の乗員として助手席の乗員を検知する場合であれば、ドライバーと会話する場合に顔が横を向く傾向があるので、顔が横を向く傾向がある人物を助手席の乗員として検知するように画像認識条件を設定しても良い。即ち、検知対象の乗員の特徴にしたがって画像認識条件を設定することで、任意の乗員を検知することができる。」 上記画像認識条件として、ステアリングの設置位置、車両状態及び個人認証状態を設定した場合の具体例(【0026】)として、【0027】には、右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかを判定し、車両走行中であるか否かを判定し、個人認証登録済みであるか否かを判定することにより、ドライバーを検知するものが記載されている。 ここで、上記ステアリングの設置位置は、【0022】、【0024】における運転操作に係る機器の設置位置に関する情報に対応するものであるから、瞬時の情報である。 一般に「走行中」とは走行が継続している状態を指すことから、上記車両走行中であるか否かという車両状態は、走行が継続しているか否かを特定する累積した情報と解される。 上記個人認証状態は、【0024】における個人認証結果に対応するものであるから、瞬時の情報である。 以上から、上記具体例は、本件発明1の「前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知部(10)と、を備え、」「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」に対応するものとして、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものといえる。 なお、申立人は、【0026】〜【0030】の具体例を、瞬時の情報に基づいて検知する場合のものと説明している(特許異議申立書14頁7〜10行)が、【0029】の「以上は、瞬時の情報に基づいて検知する場合に、車両運用情報、車両センサ情報及び個人認証結果を用いて画像認識条件を設定する場合を例示した」との記載は、【0024】の「制御部4は、瞬時の情報に基づいて検知する場合には、中分類として車両運用情報、車両センサ情報及び個人認証結果を用いて画像認識条件を設定する。」との記載に対応したものであり、【0026】〜【0027】の具体例は瞬時の情報(のみ)に基づいて検知する場合のものと解されるものではない。 以上から、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (3)理由2(サポート要件)について 申立人は、請求項1には「認識条件情報」である車両運用情報、車両センサ情報、及び個人認証結果、がどのような情報であるかについては記載がなく、課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである旨主張しており(特許異議申立書16頁8行〜17頁9行)、この点について検討する。 本件発明が解決しようとする課題は、【0004】によれば「車載カメラの画角内に複数の乗員が映り込むことで画像処理後の画像内で複数の顔が検知されると、複数の乗員の中から特定の乗員を適切に検知することができない」というものであり、当該課題について【0006】に「認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、画像処理後の画像を画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知するようにした。車両又は特定の乗員に特徴的な情報を認識条件情報として設定しておくことで、画像処理後の画像を、その車両又は特定の乗員に特徴的な情報にしたがって認識することができ、特定の乗員を適切に検知することができる。これにより、車載カメラの画角内に複数の乗員が映り込むことで画像処理後の画像内で複数の顔が検知された場合でも、複数の乗員の中から特定の乗員を適切に検知することができる。」と記載されており、上記課題は、車両又は特定の乗員に特徴的な情報を認識条件情報として設定して、画像処理後の画像を画像認識条件にしたがって認識する手段で解決されると解される。 そして、本件発明1では「認識条件情報」は、「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報」「を用いて画像認識条件を設定し、」「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を前記画像認識条件にしたがって認識」することが特定されているから、上記課題を解決するための手段が反映されているといえる。 したがって、本件発明1は発明の詳細な説明に記載したものである。 また、請求項1と同様の構成を備えた請求項4、及び請求項1を引用する請求項2、3に係る発明についても、同様である。 (4)理由4(新規事項)について 申立人は、請求項1に「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」との記載を追加する、令和4年12月5日にされた手続補正は、本件当初明細書等に上記記載についての明示的な記載がなく、また、本件当初明細書等に記載されていなかった意味内容が不明な事項を導入したものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない旨主張しており(特許異議申立書22頁26行〜24頁2行)、この点について検討する。 上記(1)ウで説示したとおり「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」との記載は明確なものである。 上記(2)で説示したとおり「前記乗員検知部は、前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」に対応する具体例が【0026】〜【0027】に記載されている。 以上から、令和4年12月5日にされた手続補正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (5)理由5(新規性)について ア 本件発明1について 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「車両に搭載されて、当該車両にいる搭乗者を対象とした種々のモニタリング処理を行うドライバモニタリング装置1」は、本件発明1の「状態監視装置」に相当する。 甲1発明の「運転席にいて車両を運転する搭乗者A、運転席の隣の助手席にいる搭乗者Bの前方に設置されており、運転席及び助手席を含む車両内部を撮影して、その画像情報を画像取得部3へ出力するカメラ」である「撮像部2」は、本件発明1の「車内の乗員を撮影する車載カメラ」に相当する。 本件発明1と甲1発明は、「車内の乗員を撮影する車載カメラにより撮影された画像」が用いられる点で共通する。 しかしながら、本件発明1では「画像を画像処理する画像処理部(5)」を備えるのに対し、甲1発明では当該構成を備えることが特定されていない点(以下「相違点1」という。)で、両者は相違する。 甲1発明のドライバモニタリング装置1は、モニタリングの処理モードとして、例えば、運転席にいる搭乗者の状態を判定する、運転者状態判定モード、運転席又は助手席にいる搭乗者の個人を認証する、個人認証モードが挙げられ、領域選択部7が、運転者状態判定モードでは運転席にいる搭乗者の顔が存在する領域を選択し、個人認証モードでは運転席又は助手席にいる搭乗者の顔が存在する領域を選択するものである。 上記領域を選択するための運転者状態判定モード及び個人認証モードの選択は、モード選択部6において、車両情報取得部5が取得して出力した車両情報を用いて行われ、例えば車速が1km/h以上であれば、走行中であると判定されて運転者状態判定モードが選択され、走行中ではないと判定した場合、個人認証モードが選択される。 また、運転席及び助手席に搭乗者がいる場合には、運転席にいる搭乗者Aの顔が存在する領域T1及び助手席にいる搭乗者Bの顔が存在する領域T2が選択され、助手席に搭乗者がいない場合には、領域T1のみが選択されるようにすることができ、各席に搭乗者がいるかいないかは、シートセンサを設け、当該シートセンサの検知結果を、車両情報取得部5が取得する車両情報に含めるようにして、ドライバモニタリング装置1にて判定可能である。 さらに、甲1発明は、モニタリングの対象となる領域(少なくともその領域をモニタリングしておけば、画像処理部9による各処理モードでの処理を行える領域)の画像上での位置を決めるための「撮像部2の設置位置及び設置角度等」がメモリに記憶されており、当該「撮像部2の設置位置及び設置角度等」をメモリから読み出す(取得する)ための構成が備わっていることは当然である。 そうすると、上記「車両情報」(「車速」、「シートセンサの検知結果」等)及び「撮像部2の設置位置及び設置角度等」は、本件発明1の「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)」が取得する「車両センサ情報」及び「車両運用情報」にそれぞれ相当し、上記「車両情報取得部5」及び「撮像部2の設置位置及び設置角度等」をメモリから読み出す構成は、本件発明1の「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)」に含まれる「車両センサ情報を取得する車両センサ情報取得部(8)」及び「車両運用情報を取得する車両運用情報取得部(7)」に相当する。 そして、上記「車両情報」(「車速」、「シートセンサの検知結果」等)及び「撮像部2の設置位置及び設置角度等」(車両センサ情報及び車両運用情報)に基づいて、領域選択部7において、搭乗者の顔が存在する領域を選択することで、特定の乗員が検知されるから、前記領域選択部7は、「前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、」前記「画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知部(10)」である点で本件発明1と共通する。 しかしながら、上記相違点1と同等の相違点に加え、上記認識条件情報取得部が、本件発明1では「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」を含むものであるのに対し、甲1発明は、当該構成を含むものではない点(以下「相違点2」という。)で、両者は相違する。 なお、甲1発明は、個人認証モードにおいて運転席又は助手席にいる搭乗者の個人を認証するものであるが、当該個人の認証は、個人認証モードが実行される画像処理部9において行われるものであり、領域選択部7(乗員検知部)における搭乗者の顔が存在する領域を選択するために行われるものではないから、当該個人の認証に係る構成は、本件発明1の「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)」に含まれる「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」に相当するものではない。 甲1発明は、領域選択部7において、搭乗者の顔が存在する領域を選択するために用いられる「車両情報」(「車速」、「シートセンサの検知結果」等)及び「撮像部2の設置位置及び設置角度等」(車両センサ情報及び車両運用情報)を、累積した形で扱うことについて、何ら特定されていない。 したがって、前記乗員検知部が、本件発明1では「前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」ものであるのに対し、甲1発明では、当該構成について特定されていない点(以下「相違点3」という。)で、両者は相違する。 以上から、本件発明1は、甲1発明との間に相違点1〜3を有するものであり、甲第1号証に記載された発明ではない。 イ 本件発明2〜本件発明4について 本件発明2〜本件発明4も、上記相違点に係る構成と同様の構成を備えるものであるから、上記アと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明ではない。 (6)理由6(進歩性)について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2発明を対比する。 甲2発明の車載画像認証装置100C及び制御装置400は、車載画像認証装置において人物の認証を行い、当該認証結果に基づいて、認証された乗員に適した制御、例えばユーザの好みの座席シートの位置および傾き、ユーザの好みの音響条件等の制御を行うものであって、装置である点では本件発明1と共通するものの、状態監視装置ではない点(以下「相違点4」という。)で本件発明1と相違する。 甲2発明の「例えば広角カメラ等で構成され、少なくとも運転席501および助手席502に着座する乗員503,504を同時に撮像可能な位置に配置される」「カメラ200」は、本件発明1の「車内の乗員を撮影する車載カメラ」に相当する。 本件発明1と甲2発明は、「車内の乗員を撮影する車載カメラにより撮影された画像」が用いられる点で共通する。 しかしながら、本件発明1では「画像を画像処理する画像処理部(5)」を備えるのに対し、甲2発明では当該構成を備えることが特定されていない点(以下「相違点5」という。)で、両者は相違する。 甲2発明は、顔検出部1が、カメラ200から入力された撮像画像の解析を行い、人の顔が撮像された領域(以下、顔領域と記載する)と、当該顔領域の撮像画像の特徴情報とを検出し、領域判定部3が、顔検出部1から入力された顔領域の座標値が、車両の前方乗車席に着座する乗員を認証するために予め設定された領域内に位置しているか否か判定を行うものである。 そして、運転席501に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される矩形領域507は、運転席501のヘッドレスト501aの周囲に設定され、助手席502に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される矩形領域508は、助手席502のヘッドレスト502aの周囲に設定される。 また、領域判定部3に設定された領域は固定された領域であってもよいし、車両状態判定部9が参照する車両情報(車両情報取得部8により取得される、例えば、ドアの開錠および施錠を示す情報、ドアの開閉を示す情報、シートベルトの着脱を示す情報、イグニッションのON/OFF状態を示す情報、人感センサのON/OFF状態を示す情報、シフトレバーの位置を示す情報、車両速度を示す情報、ナビゲーション装置の案内状態を示す情報および自車両の位置情報等)の種別に応じて設定される領域であってもよく、例えば、車両状態判定部9が、ドアのオープンを検知した場合をトリガとして認証処理を開始させる場合と、シートベルトの装着を検知した場合をトリガとして認証処理を開始させる場合とで、領域判定部3に設定される領域を変化させ、車両状態判定部9がドアのオープンの検知をトリガとする場合、領域判定部3に設定される領域は、運転席側ドアおよび助手席側ドア寄りに設定され、一方、車両状態判定部9がシートベルト装着の検知をトリガとする場合、領域判定部3に設定される領域は、運転席および助手席のヘッドレスト近傍に設定される。 上記運転席501、助手席502に着座する乗員を認証するために、領域判定部3に設定される矩形領域507、508の位置情報、及び、上記車両情報は、本件発明1の「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)」が取得する「車両運用情報」及び「車両センサ情報」にそれぞれ相当し、前記設定時に位置情報を取得する構成、及び、上記車両情報取得部8は、本件発明1の「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)」に含まれる車両運用情報を取得する車両運用情報取得部(7)」及び「車両センサ情報を取得する車両センサ情報取得部(8)」にそれぞれ相当する。 そして、上記位置情報及び車両情報に基づいて、領域判定部3において、車両の前方乗車席に着座する乗員を判定することで、特定の乗員が検知されるから、前記領域判定部3は、「前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、」前記「画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知部(10)」である点で本件発明1と共通する。 しかしながら、上記相違点5と同等の相違点に加え、上記認識条件情報取得部が、本件発明1では「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」を含むものであるのに対し、甲2発明は、当該構成を含むものではない点(以下「相違点6」という。)で、両者は相違する。 なお、甲2発明は、認証処理部6において人物の認証を行うものであるが、当該人物の認証は、領域判定部3(乗員検知部)の処理後に行われるものであり、領域判定部3(乗員検知部)における、車両の前方乗車席に着座する乗員を判定するために行われるものではないから、当該人物の認証に係る構成は、本件発明1の「車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)」に含まれる「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」に相当するものではない。 甲2発明は、領域判定部3において、車両の前方乗車席に着座する乗員を判定するために用いられる位置情報及び車両情報(車両運用情報及び車両センサ情報)を、累積した形で扱うことについて、何ら特定されていない。 なお、甲2発明は、終了判定部6aが、例えば車両500からシフト位置情報を取得し、車両500のシフト位置が停止位置(P)以外へ移動するまでの期間、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示し、また、例えば車両500から車速情報を取得し、車両500の車速が1km/h以上となるまでの期間、認証処理を繰り返すように顔検出部1に指示するものであり、その結果、域判定部3(乗員検知部)における、車両の前方乗車席に着座する乗員を判定する処理も繰り返されるものと認められるが、当該繰り返された際に、位置情報や車両情報を前回の情報に累積するものではない。 したがって、前記乗員検知部が、本件発明1では「前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」ものであるのに対し、甲2発明では、当該構成について特定されていない点(以下「相違点7」という。)で、両者は相違する。 以上から、本件発明1と甲2発明との間の一致点及び相違点は、次のとおりである。 〔一致点〕 車内の乗員を撮影する車載カメラにより撮影された画像が用いられ、 車両又は特定の乗員に特化した認識条件情報を取得する認識条件情報取得部(6)と、 前記認識条件情報を用いて画像認識条件を設定し、前記画像を前記画像認識条件にしたがって認識し、特定の乗員を検知する乗員検知部(10)と、を備え 、 前記認識条件情報取得部は、車両運用情報を取得する車両運用情報取得部(7)と、車両センサ情報を取得する車両センサ情報取得部(8)と、を含む 装置。 〔相違点4〕 装置が、本件発明1では状態監視装置であるのに対し、甲2発明では状態監視装置ではない点。 〔相違点5〕 本件発明1では「画像を画像処理する画像処理部(5)」を備えるのに対し、甲2発明では当該構成を備えることが特定されていない点。 〔相違点6〕 認識条件情報取得部が、本件発明1では「前記画像処理部により画像処理された画像処理後の画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」を含むものであるのに対し、甲2発明は、当該構成を含むものではない点。 〔相違点7〕 前記乗員検知部が、本件発明1では「前記車両運用情報、前記車両センサ情報及び前記個人認証結果のうち、瞬時の情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目と、累積した情報に基づいて前記画像認識条件を設定する場合に用いる項目とを異ならせて前記画像認識条件を設定する」ものであるのに対し、甲2発明では、当該構成について特定されていない点。 (イ)判断 最初に上記相違点6について検討する。 甲2発明は、領域判定部3(乗員検知部)が車両の前方乗車席に着座する乗員を判定したことに基づいて、認証処理部6における人物の認証が行われるものであるから、前記乗員を判定する段階において個人認証に係る情報を用いようとする(すなわち認識条件情報として個人認証に係るものを用いようとする)動機付けは存在しない。 また、認識条件情報取得部に「画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」を含むようにすることは、甲第1〜4号証のいずれにも記載も示唆もされていない。 したがって、甲2発明において、認識条件情報取得部に「画像を用いて個人認証を行う個人認証部(9)」を含むようにすること、すなわち相違点6に係る本件発明1の構成とすることは、甲2発明及び甲第1、3、4号証に記載された技術から当業者が容易に想到しうるものではない。 よって、相違点4、5、7について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が甲2発明及び甲第1、3、4号証に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件発明2〜本件発明4について 本件発明2〜本件発明4も、上記相違点に係る構成と同様の構成を備えるものであるから、上記アと同様の理由により、当業者が甲2発明及び甲第1、3、4号証に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由(理由1〜6)によっては、本件発明1〜4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2024-06-18 |
出願番号 | P2020-213695 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(G06T)
P 1 651・ 55- Y (G06T) P 1 651・ 113- Y (G06T) P 1 651・ 121- Y (G06T) P 1 651・ 536- Y (G06T) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
高橋 宣博 |
特許庁審判官 |
樫本 剛 圓道 浩史 |
登録日 | 2023-10-10 |
登録番号 | 7363758 |
権利者 | 株式会社デンソー |
発明の名称 | 状態監視装置及び状態監視プログラム |
代理人 | 弁理士法人サトー |