ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
---|---|
管理番号 | 1417506 |
総通号数 | 36 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-03-07 |
確定日 | 2024-12-17 |
事件の表示 | 特願2022−524131「サービス品質測定方法及び装置並びにユーザプレーン機能」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月29日国際公開、WO2021/077797、令和 4年12月26日国内公表、特表2022−553741、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)7月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2019年10月24日 中華人民共和国(CN))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 7月14日付け:拒絶理由通知書 令和5年10月25日 :意見書の提出 令和5年10月31日付け:拒絶査定 令和6年 3月 7日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和5年10月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用例については引用文献等一覧を参照) ・請求項1ないし18に対して、引用例1及び2 引用文献等一覧 1.NTT DOCOMO, Nokia, Nokia Shanghai Bell,UPF reporting the time comparison,3GPP TSG SA WG2 #135 S2-1908786,2019年10月7日アップロード(以下、「引用例1」という。) 2.Huawei, HiSilicon,Correction on Policy Control information to support QoS Monitoring,3GPP TSG SA WG2 #135 S2-1910593,2019年10月18日アップロード(以下、「引用例2」という。) 第3 本願発明 本願請求項1ないし18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明18」という。)は、令和6年3月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 セッション管理機能エンティティによって送信されたサービス品質測定要求をユーザプレーン機能エンティティが受信することであって、該サービス品質測定要求が、サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件とサービス品質測定失敗の測定結果とを含む、ユーザプレーン機能エンティティが該サービス品質測定要求を受信することと、 該ユーザプレーン機能エンティティが、該サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされているかどうかを判断することであって、前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせることと、 該サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされたときに、該ユーザプレーン機能エンティティが、該サービス品質測定の失敗の測定結果を制御プレーン機能エンティティに送信することと、 を含むサービス品質測定方法。 【請求項2】 前記ユーザプレーン機能エンティティが、前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記制御プレーン機能エンティティに送信すること、は、該ユーザプレーン機能エンティティが、第2のプリセット期間を制御プレーン機能エンティティに送信することを含み、該第2のプリセット期間は、トリガ条件に対応するサービス品質測定の失敗が発生したことを示す、請求項1に記載のサービス品質測定方法。 【請求項3】 前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、プリセット時間間隔内のサービス品質測定データパケットのプリセットパーセンテージがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、 前記ユーザプレーン機能エンティティが、前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記制御プレーン機能エンティティに送信すること、は、該ユーザプレーン機能エンティティが、第3のプリセット期間を制御プレーン機能エンティティに送信することを含み、該第3のプリセット期間は、トリガ条件に対応するサービス品質測定の失敗が発生したことを示す、請求項1に記載のサービス品質測定方法。 【請求項4】 前記第1のプリセット期間は、サービスフローの品質に対するパケット遅延バジェットよりも大きい、請求項2又は3に記載のサービス品質測定方法。 【請求項5】 前記サービス品質測定データパケットが前記ユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、前記第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないこと、は、前記第1のプリセット期間よりも大きい対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットのフィードバック遅延を生じさせる、請求項2又は3に記載のサービス品質測定方法。 【請求項6】 前記ユーザプレーン機能エンティティが、前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記制御プレーン機能エンティティに送信すること、は、前記ユーザプレーン機能エンティティが、サービス品質測定の失敗の測定結果をポリシー制御機能エンティティに送信することを含む、請求項1に記載のサービス品質測定方法。 【請求項7】 前記ユーザプレーン機能エンティティが、前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記ポリシー制御機能エンティティに送信すること、は、前記ユーザプレーン機能エンティティが、前記セッション管理機能エンティティを介して前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記ポリシー制御機能エンティティに送信し、該ポリシー制御機能エンティティがサービス品質測定の失敗の測定結果をアプリケーション機能エンティティに転送するようにすることを含む、請求項6に記載のサービス品質測定方法。 【請求項8】 前記ユーザプレーン機能エンティティが、前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記制御プレーン機能エンティティに送信すること、は、サービス品質測定の失敗の測定結果を前記セッション管理機能エンティティに送信し、該セッション管理機能エンティティが、ネットワークエクスポージャー機能を介してサービス品質測定の失敗の測定結果をアプリケーション機能エンティティに転送するようにすることを含む、請求項1に記載のサービス品質測定方法。 【請求項9】 セッション管理機能エンティティによって送信されたサービス品質測定要求を受信するように構成された測定要求受信モジュールであって、該サービス品質測定要求は、サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件と、サービス品質測定の失敗の測定結果とを含む測定要求受信モジュールと、 サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされているか否かを判定するトリガ条件判定モジュールであって、前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせることを含む、トリガ条件判定モジュールと、 サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされたときに、サービス品質測定の失敗の測定結果を制御プレーン機能エンティティに送信するように構成された測定結果送信モジュールと、 を備えるユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項10】 前記測定結果送信モジュールは、前記制御プレーン機能エンティティに第2のプリセット期間を送信するように構成され、該第2のプリセット期間は、トリガ条件に対応するサービス品質測定の失敗が発生したことを示す、請求項9に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項11】 前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、プリセット時間間隔内のサービス品質測定データパケットのプリセットパーセンテージが前記ユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、 前記測定結果送信モジュールは、前記制御プレーン機能エンティティに第3のプリセット期間を送信するように構成され、該第3のプリセット期間は、トリガ条件に対応するサービス品質測定の失敗が発生したことを示す、請求項9に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項12】 前記第1のプリセット期間は、サービスフローの品質に対するパケット遅延バジェットよりも大きい、請求項10又は11に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項13】 前記サービス品質測定データパケットが前記ユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、前記第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないこと、は、第1のプリセット期間よりも大きい対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットのフィードバック遅延を生じさせることを含む、請求項10又は11に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項14】 前記測定結果送信モジュールは、前記サービス品質測定の失敗の測定結果をポリシー制御機能エンティティに送信するように構成される、請求項9に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項15】 前記測定結果送信モジュールは、前記セッション管理機能エンティティを介して前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記ポリシー制御機能エンティティに送信し、前記ポリシー制御機能エンティティがアプリケーション機能エンティティに前記サービス品質測定の失敗の測定結果を転送するように構成される、請求項14に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項16】 前記測定結果送信モジュールは、前記サービス品質測定の失敗の測定結果を前記セッション管理機能エンティティに送信し、前記セッション管理機能エンティティがネットワークエクスポージャー機能エンティティを介してアプリケーション機能エンティティに前記サービス品質測定の失敗の測定結果を転送するように構成される、請求項9に記載のユーザプレーン機能エンティティ。 【請求項17】 メモリと、 該メモリに接続されるプロセッサであって、該プロセッサが該メモリに記憶された命令に基づいて、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のサービス品質測定方法を実行するように構成されているプロセッサと、を含むサービス品質測定装置。 【請求項18】 プロセッサによって実行されると、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のサービス品質測定方法を実施するコンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。」 第4 引用例の記載及び引用発明 1 原査定の拒絶の理由に引用された、引用例1(NTT DOCOMO, Nokia, Nokia Shanghai Bell,UPF reporting the time comparison,3GPP TSG SA WG2 #135 S2-1908786,2019年10月7日アップロード)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) 「4.4.2.2 N4 Session Level Reporting Procedure (中略) (6) The UL, DL or round trip packet delay measurement report. When the QoS Monitoring for URLLC is enabled for the QoS Flow, the UPF calculates the UL, DL or round trip packet delay of the QoS Flow. When the reporting trigger(s) is satisfied, e.g. the measured packet delay value exceeds the reporting threshold, or the reporting period expires, or the PDU Session is released, the UPF reports the calculated packet delay value(s) to the SMF. When receiving the measurement reports from the UPF, the SMF sends the reports to the target, i.e. either to the PCF or to the AF (may be via NEF), according to the information for QoS Monitoring for URLLC received in the PCC rules. If the PCF received the report, the PCF sends the reports to the AF, based on the procedure as defined in the clause 4.16.5.1.」(21ページ20行ないし22ページ22行) (当審仮訳: 4.2.2.2 N4セッションレベルレポート手順 (中略) (6) UL、DL、又は往復パケット遅延測定レポート。 QoSフローに対してURLLCのQoSモニタリングが有効になっている場合、UPFはQoSフローのUL、DL、又は往復パケット遅延を計算する。レポートトリガが満たされると、例えば、測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されると、UPFは計算されたパケット遅延値をSMFに報告する。UPFから測定レポートを受信すると、SMFはPCCルールで受信したURLLCのQoSモニタリングの情報に従って、レポートをターゲット、つまりPCF又はAF(NEF経由の場合もある)、に送信する。PCFがレポートを受信した場合、PCFは、4.16.5.1節で定義されている手順に基づいて、レポートをAFに送信する。) 上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 上記「レポートトリガが満たされると、例えば、測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されると、UPFは計算されたパケット遅延値をSMFに報告する。」との記載によれば、測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると、UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告することが記載されているといえる。 そして、「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると、UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告する」という動作をすることから、引用例1にはUPFの方法が記載されているといえる。 したがって、以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると、UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告すること、 を含む方法。」 2 原査定の拒絶の理由に引用された、引用例2(Huawei, HiSilicon,Correction on Policy Control information to support QoS Monitoring,3GPP TSG SA WG2 #135 S2-1910593,2019年10月18日アップロード)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) 「6.1.3.5 Policy Control Request Triggers relevant for SMF (中略) When the QoS Monitoring for URLLC trigger is set, the SMF shall indicate the RAN and the UPF to perform the measurement of the QoS parameters based on the PCC rule information for QoS Monitoring as defined in clause 4.3.3.2 of TS 23.502 [3]. Upon receiving the QoS Monitoring report from the UPF, the SMF sends the measurement report to the PCF. If the AF has subscribed to be notified of the QoS Monitoring information, the PCF further sends the QoS Monitoring report to the AF, as defined in the clause 4.16.5.1.」(2ページ2行ないし9ページ8行) (当審仮訳: 6.1.3.5 SMFに関連するポリシー制御要求トリガ (中略) URLLCのQoSモニタリングトリガが設定されている場合、SMFはTS 23.502[3]の4.3.3.2節で定義されているQoSモニタリングのPCCルール情報に基づいてQoSパラメータの測定を実行するようにRANとUPFに指示する。UPFからQoSモニタリングレポートを受信すると、SMFは測定レポートをPCFに送信する。AFがQoSモニタリング情報の通知をサブスクライブしている場合、PCFは 4.16.5.1節で定義されているように、さらにQoSモニタリングレポートをAFに送信する。) したがって、引用例2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。 「URLLCのQoSモニタリングトリガが設定されている場合、SMFはTS 23.502[3]の4.3.3.2節で定義されているQoSモニタリングのPCCルール情報に基づいてQoSパラメータの測定を実行するようにRANとUPFに指示し、UPFからQoSモニタリングレポートを受信するとSMFは測定レポートをPCFに送信する。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明の「UPF」は、ユーザプレーン機能エンティティのことであることが技術常識であるから、本願発明1の「ユーザプレーン機能エンティティ」に相当する。 また、本願発明1の「サービス品質測定方法」と引用発明の「方法」は、「方法」であることで共通している。 イ 引用発明では、「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると、UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告する」から、引用発明の「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガ」は、「計算されたパケット遅延値をSMFに報告する」ことに関するトリガの条件といえる。したがって、本願発明1の「サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件」と、引用発明の「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガ」とは、「トリガ条件」の点で共通する。 そして、引用発明では「UPFが、測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると」いう判断を行っていることは明らかであるから、本願発明1の「該ユーザプレーン機能エンティティが、該サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされているかどうかを判断すること」と、引用発明の「UPFが、測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると」いう判断をすることは、「ユーザプレーン機能エンティティが、トリガ条件が満たされているかどうかを判断すること」の点で共通する。 ウ 上記「イ」で説示したとおり、本願発明1の「サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件」と、引用発明の「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガ」とは、「トリガ条件」の点で共通することから、本願発明1の「該サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされたとき」と、引用発明の「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると」とは、「トリガ条件が満たされたとき」の点で共通する。 また、引用発明の「パケット遅延値」は、「測定されたパケット遅延値」から計算されたものであることは明らかであるから、測定結果といえ、したがって、本願発明1の「サービス品質測定の失敗の測定結果」と、引用発明の「測定されたパケット遅延値」から計算された「パケット遅延値」は、「測定結果」の点で共通する。 そして、引用発明の「UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告すること」は、UPFが測定結果を送信することといえることから、本願発明1の「該ユーザプレーン機能エンティティが、該サービス品質測定の失敗の測定結果を制御プレーン機能エンティティに送信すること」と、引用発明の「UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告すること」は、「ユーザプレーン機能エンティティが、測定結果を送信すること」の点で共通する。 以上のことから、本願発明1の「該サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件が満たされたときに、該ユーザプレーン機能エンティティが、該サービス品質測定の失敗の測定結果を制御プレーン機能エンティティに送信すること」と、引用発明の「測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガが満たされると、UPFが計算されたパケット遅延値をSMFに報告すること」とは、「トリガ条件が満たされたときに、ユーザプレーン機能エンティティが、測定結果を送信すること」の点で共通する。 以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 「 ユーザプレーン機能エンティティが、トリガ条件が満たされているかどうかを判断することと、 該トリガ条件が満たされたときに、該ユーザプレーン機能エンティティが、測定結果を送信することと、 を含む方法。」 (相違点1) 本願発明1では、「セッション管理機能エンティティによって送信されたサービス品質測定要求をユーザプレーン機能エンティティが受信することであって、該サービス品質測定要求が、サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件とサービス品質測定失敗の測定結果とを含む、ユーザプレーン機能エンティティが該サービス品質測定要求を受信すること」という発明特定事項を含むのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点2) トリガ条件に関して、本願発明1では、「サービス品質測定の失敗に関する」トリガ条件であり、「前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせること」という発明特定事項であるのに対し、引用発明では、測定されたパケット遅延値がレポートしきい値を超える、レポート期間が終了する、又はPDUセッションが解放されるというレポートトリガであるが、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点3) 測定結果に関して、本願発明1では、「該サービス品質測定の失敗に関する」トリガ条件が満たされたときに、該ユーザプレーン機能エンティティが、「該サービス品質測定の失敗の」測定結果を「制御プレーン機能エンティティに」送信するという発明特定事項を含むのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (2)判断 事案に鑑みて、まず、相違点2について検討する。 「サービス品質測定の失敗に関する」トリガ条件であり、「前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせること」は引用例2には記載されておらず、ワイヤレスネットワークの分野において周知技術であるともいえない。 よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項の「サービス品質測定の失敗に関する」トリガ条件であり、「前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせること」は、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし本願発明8、本願発明17及び本願発明18について 本願発明2ないし本願発明8、本願発明17及び本願発明18は、本願発明1の発明特定事項を全て含むことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本願発明9について 本願発明9は、方法の発明である本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の上記相違点2の「サービス品質測定の失敗に関する」トリガ条件であり、「前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせること」を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本願発明10ないし本願発明16について 本願発明10ないし本願発明16は、本願発明9の発明特定事項を全て含むから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 原査定についての判断 令和6年3月7日にされた手続補正により、本願発明1ないし本願発明18のいずれも、「サービス品質測定の失敗に関する」トリガ条件であり、「前記サービス品質測定の失敗に関するトリガ条件は、サービス品質測定データパケットがユーザプレーン機能エンティティによって送信された後、該ユーザプレーン機能エンティティが、第1のプリセット期間内に対応するサービス品質測定フィードバックデータパケットを受信しないことであり、サービス品質測定フィードバックデータパケットに対応するパケット損失を生じさせること」という発明特定事項を備えるものとなっている。 してみれば、上記「第5」のとおり、本願発明1ないし本願発明18は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2024-12-04 |
出願番号 | P2022-524131 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04W)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
廣川 浩 |
特許庁審判官 |
圓道 浩史 中木 努 |
発明の名称 | サービス品質測定方法及び装置並びにユーザプレーン機能 |
代理人 | 岡部 讓 |
代理人 | 岩附 秀幸 |
代理人 | 高橋 誠一郎 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 川内 英主 |
代理人 | 松井 孝夫 |