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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1420198
総通号数 39 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2025-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-06-18 
確定日 2025-03-18 
事件の表示 特願2021−190123「プログラム、情報処理装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 6月 5日出願公開、特開2023− 77028、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年11月24日にされた特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年11月17日付け:拒絶理由通知書
令和6年 2月27日 :意見書、手続補正書の提出
同年 3月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 2日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月18日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年11月 8日付け:拒絶理由通知書
同月13日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1〜9に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献等一覧
1.特開2004−302508号公報
2.特開2008−276499号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由(令和6年11月8日付け拒絶理由通知書)の概要は以下のとおりである。

本願請求項8に係る発明は不明確であり、本願は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1〜9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明9」という。)は、令和6年11月13日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりである。

「【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、クレジットカードの利用管理を行うためのプログラムであって、
前記メモリは、前記クレジットカードの発行対象者に紐づく情報として、前記クレジットカードの利用状況を閲覧可能な閲覧権限者の情報と、前記クレジットカードの利用状況を変更可能な管理権限者の情報と、前記クレジットカードによる決済を使用可能な者である使用許可者の情報と、を記憶し、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記使用許可者の使用により、前記クレジットカードによる決済を要求するオーソリ情報を受け付けるステップと、
前記使用許可者による前記クレジットカードの使用可能な金額を示す与信枠の情報を取得し、前記与信枠の情報に基づいて前記クレジットカードによる決済の可否を判定するステップと、
前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果と、前記クレジットカードによる決済の可否の変更情報を受け付ける情報とを、前記メモリに格納された前記発行対象者に紐づく情報を参照することにより、前記クレジットカードの発行対象者、前記クレジットカードの閲覧権限者、前記クレジットカードの管理権限者のいずれかまたは複数の端末装置へ送信するステップと、
前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果が決済可能であった場合、前記クレジットカードの発行対象者が利用する会計サービスに対して、前記クレジットカードによる決済の情報を会計情報として登録するステップと、
前記クレジットカードの管理権限者の端末装置から、前記クレジットカードによる決済の可否の変更情報を受け付けるステップと、を実行させ、
前記使用許可者は、法人向けのクレジットカードに係る法人の従業員である、プログラム。」

なお、本願発明2〜7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8は、本願発明1に対応する装置発明であり、本願発明9は、本願発明1に対応する方法発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係る決済システムの一実施形態を示すシステム構成図である。各店舗には本発明に係る科目機能内蔵決済端末装置(以下、単に「決済端末」と称す。)1(1−1,1−2,1−3,・・・)が設置される。
【0025】
決済端末1は、インターネットなどのネットワーク2およびゲートウエイ3を介して各クレジット会社内のサーバ4(4−1,4−2,4−3,・・・)に接続される。ゲートウエイ3は、プロトコルが異なるネットワーク2とサーバ4間、各サーバ4間を相互接続するものであり、これにより各店舗は1台の決済端末1を設置するのみで各クレジット会社のサーバ4とデータの送受信が可能になっている。」

「【0032】
次に、決済端末1を用いた決済システムの動作例を図4〜図6のフローチャートを参照して説明する。図4は、決済端末1における処理を示すフローチャートであり、図5は、サーバ4における処理を示すフローチャートであり、図6は、コンピュータシステム8における処理を示すフローチャートである。なお、処理を進める際、実際には、実行ボタンや決済ボタンなどの操作を行うことは、通常の端末操作と同様であるので、説明を省略している場合がある。
【0033】
図4において、店舗における会計処理時、顧客から提出された法人カードなどのクレジットカードAを決済端末1に挿入する(S41)と、カードAに記憶されている情報が読み取られる(S42)。カードAから読み取られた情報に基づく与信照会情報がカード対応のクレジット会社内のサーバ4に送信される(S43)。」

「【0040】
図5の、サーバ4における処理を示すフローチャートにおいて、決済端末1から与信照会情報を受信する(S51)と、サーバ4は与信処理(S52)を行う。この与信処理は、サーバ4がカード番号などを与信センタ6に問い合わせ、与信センタ6が与信データベース7を検索することにより実行することができる。
【0041】
次に、与信処理の結果を判定し(S53)、その結果に従って与信「OK」、あるいは与信「NG」を決済端末1に送信する(S54、S55)。与信「NG」の場合にはここで本処理は終了するが、与信「OK」の場合には決済端末1からの領収書情報を受信し(S56)、領収書データベース5に蓄積する(S57)。
【0042】
なお、領収書情報の受信に際し、第三者が公証しているタイムスタンプサーバ10からの日時データを領収書情報に付加し(S58)、データ生成の日時を公証することが好ましい。
【0043】
こうすることにより、領収書を電子データとして期間管理して保管することができ、紙としての領収書の保管の必要がなくなると同時に、支払いが発生した日時を法的に確定することもできる。また、一定期間経過した領収書情報を廃棄するなどのデータ管理が容易になる。
【0044】
領収書データベース5に蓄積された情報は、法人などのコンピュータシステム8の会計システム9で利用することができる。図6の、法人のコンピュータシステム8における処理を示すフローチャートと、図5の、コンピュータシステム8からの領収書情報送信要求に対するサーバ4での処理(S501〜S506)を示すフローチャートを参照して以下に説明する。」

「【0046】
サーバ4は、その情報を受信し(S501)、本人確認処理を行う(S502)。次に、本人確認処理の結果を判定し(S503)、その結果に従って本人確認「OK」、あるいは本人確認「NG」をコンピュータシステム9に送信する(S504、S505)。本人確認「NG」の場合にはここで本処理は終了するが、本人確認「OK」の場合には領収書データベース5に蓄積している本人該当の領収書情報を検索して返送する(S506)。
【0047】
一方、コンピュータシステム8では、本人確認「NG」を受信した場合(S65)にはその旨を表示して本処理は終了するが、本人確認「OK」を受信した場合(S64)にはサーバ4から送信された領収書情報を受信し(S66)、会計システム9へ取り込む(S67)。」

「【図1】



「【図4】



「【図5】



(2)引用文献1に記載された発明
ア 段落【0025】【0032】によると、図5の処理は、「各クレジット会社内の」「サーバ4における処理」であることが記載されている。ここで、当該処理がプログラムにより実現されるのは明らかである。
また、段落【0040】【0041】【0043】によると、引用文献1には、「サーバ4は与信処理」を「実行する」とともに、「領収書情報を」「電子データとして期間管理して保管する」ことが記載されている。
よって、引用文献1には、「各クレジット会社内の」「サーバ4」が「実行する」、「与信処理」及び「領収書情報を電子データとして期間管理して保管する」処理を行うプログラムが記載されている。

イ 段落【0033】【0040】によると、図5の「S51」の「与信照会情報送信」は、「与信照会情報受信」の誤記であって、サーバ4は、決済端末1が送信した「カードAから読み取られた情報に基づく与信照会情報」を受信することが明らかである。そして、これらの記載によれば、引用文献1には、「顧客から提出された」「クレジットカードA」「から読み取られた情報に基づく与信照会情報」「を受信する」ステップが記載されている。

ウ 段落【0040】【0041】によると、引用文献1には、「カード番号などを与信センタ6に問い合わせ、与信センタ6が与信データベース7を検索することにより実行」する「与信処理の結果を判定」するステップが記載されている。

エ 段落【0041】によると、引用文献1には、「与信「OK」の場合」、「決済端末1から」「受信し」た「領収書情報を」「領収書データベース5に蓄積する」ステップが記載されている。

オ 段落【0046】【0047】よると、引用文献1には、「領収書データベース5に蓄積している」「領収書情報を」「会計システム9へ取り込む」ステップが記載されている。

カ 上記イの顧客に関し、段落【0033】には、当該「顧客」は、「店舗における会計処理時」に「法人カードなどのクレジットカードA」を「提出」する者であることが記載されている。


キ 上記ア〜カから、引用文献1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「 各クレジット会社内のサーバ4が実行する、与信処理及び領収書情報を電子データとして期間管理して保管する処理を行うプログラムであって(上記ア)
店舗における会計処理時に顧客から提出されたクレジットカードAから読み取られた情報に基づく与信照会情報を受信するステップと(上記イ)、
カード番号などを与信センタ6に問い合わせ、与信センタ6が与信データベース7を検索することにより実行する与信処理の結果を判定するステップと(上記ウ)、
与信「OK」の場合、決済端末1から受信した領収書情報を領収書データベース5に蓄積するステップと(上記エ)、
領収書データベース5に蓄積している領収書情報を会計システム9へ取り込むステップと、(上記オ)を実行させ、
前記顧客は、法人カードなどのクレジットカードAを提出する者である(上記カ)、プログラム。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として引用された引用文献2(段落【0013】、【0044】〜【0048】、図2、15、16。摘記省略。)には、クレジットカードの使用があったことをユーザの端末に電子メールで通知するカード使用通知システムが記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明1の「プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、クレジットカードの利用管理を行うためのプログラム」について
引用発明の「サーバ4」は、本願発明1の「プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータ」に相当し、引用発明の「クレジットカードA」は、本願発明1の「クレジットカード」に相当する。
引用発明の「領収書情報を電子データとして期間管理して保管する処理」は、領収書情報を会計システム9へ取り込んでクレジットカードの利用管理を行うための処理でもあることから、本願発明1の「クレジットカードの利用管理」に相当するといえる。
よって、引用発明の「各クレジット会社内のサーバ4が実行する、与信処理及び領収書情報を電子データとして期間管理して保管する処理を行うプログラム」は、下記相違点1〜4を除いて、本願発明の「プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、クレジットカードの利用管理を行うためのプログラム」と共通する。

イ 本願発明1の「前記使用許可者の使用により、前記クレジットカードによる決済を要求するオーソリ情報を受け付けるステップ」について
引用発明の、顧客によるクレジットカードの提出は、クレジットカードによる決済を使用して行われる店舗における会計処理時になされるものであり、引用発明の「顧客」は、クレジットカードによる決済を使用可能な者であるから、本願発明1の「使用許可者」に相当する。
引用発明の「クレジットカードAから読み取られた情報に基づく与信照会情報」は、クレジットカードの与信枠を踏まえた決済の使用の可否を判定するための照会によってクレジットカードによる決済を要求するための情報であるから、本願発明1の「クレジットカードによる決済を要求するオーソリ情報」に相当し、また、引用発明の「受信する」は、本願発明1の「受け付ける」に相当する。
よって、引用発明の「顧客から提出されたクレジットカードAから読み取られた情報に基づく与信照会情報を受信するステップ」は、本願発明1の「前記使用許可者の使用により、前記クレジットカードによる決済を要求するオーソリ情報を受け付けるステップ」に相当する。

ウ 本願発明1の「前記使用許可者による前記クレジットカードの使用可能な金額を示す与信枠の情報を取得し、前記与信枠の情報に基づいて前記クレジットカードによる決済の可否を判定するステップ」について
一般に、クレジットカードの「与信枠」とは、クレジットカードによる決済をしようとする者である使用許可者(顧客)におけるクレジットカードによる決済が可能な金額のことであり、「与信処理」とは、クレジットカードによる決済のための与信照会に応じて使用許可者の与信枠の情報を取得し、取得した与信枠の情報に基づいてクレジットカードによる決済の可否を判定する処理を意味するものである。
このことを踏まえれば、引用発明の「与信処理の結果」の「判定」とは、このような与信処理によるクレジットカードによる決済の可否の判定のことであるから、本願発明1の「前記使用許可者による前記クレジットカードの使用可能な金額を示す与信枠の情報を取得し、前記与信枠の情報に基づいて前記クレジットカードによる決済の可否を判定するステップ」と、引用発明1の「カード番号などを与信センタ6に問い合わせ、与信センタ6が与信データベース7を検索することにより実行する与信処理の結果を判定するステップ」は、「前記使用許可者による前記クレジットカードの使用可能な金額を示す与信枠の情報を取得し、前記与信枠の情報に基づいて前記クレジットカードによる決済の可否を判定するステップ」である点で一致する。

エ 本願発明1の「前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果が決済可能であった場合、前記クレジットカードの発行対象者が利用する会計サービスに対して、前記クレジットカードによる決済の情報を会計情報として登録するステップ」について
引用発明の「与信「OK」の場合」は、本願発明1の「前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果が決済可能であった場合」に相当する。
引用発明の「会計システム9」は、本願発明1の「前記クレジットカードの発行対象者が利用する会計サービス」に相当する。
引用発明の「決済端末1から受信した領収書情報」は、本願発明1の「前記クレジットカードによる決済の情報」に相当する。
引用発明の「会計システム9へ取り込む」ことは、本願発明1の「会計情報として登録する」ことに相当する。
以上を踏まえると、引用発明の「与信「OK」の場合、決済端末1から受信した領収書情報を領収書データベース5に蓄積するステップ」と「領収書データベース5に蓄積している領収書情報を会計システム9へ取り込むステップ」からなる処理は、本願発明1の「前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果が決済可能であった場合、前記クレジットカードの発行対象者が利用する会計サービスに対して、前記クレジットカードによる決済の情報を会計情報として登録するステップ」に相当する。

オ 本願発明1の「前記使用許可者は、法人向けのクレジットカードに係る法人の従業員である」点について
引用発明の「法人カードなどのクレジットカードA」は、本願発明1の「法人向けのクレジットカード」に相当する。
よって、本願発明1と引用発明は、「前記使用許可者は、法人向けのクレジットカード」を使用する者である点で一致し、下記相違点4の点で相違する。

(2)一致点と相違点
(1)によれば、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、クレジットカードの利用管理を行うためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記使用許可者の使用により、前記クレジットカードによる決済を要求するオーソリ情報を受け付けるステップと、
前記使用許可者による前記クレジットカードの使用可能な金額を示す与信枠の情報を取得し、前記与信枠の情報に基づいて前記クレジットカードによる決済の可否を判定するステップと、
前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果が決済可能であった場合、前記クレジットカードの発行対象者が利用する会計サービスに対して、前記クレジットカードによる決済の情報を会計情報として登録するステップと、を実行させ、
前記使用許可者は、法人向けのクレジットカードを使用する者である、プログラム」

<相違点1>
本願発明1は、「前記メモリは、前記クレジットカードの発行対象者に紐づく情報として、前記クレジットカードの利用状況を閲覧可能な閲覧権限者の情報と、前記クレジットカードの利用状況を変更可能な管理権限者の情報と、前記クレジットカードによる決済を使用可能な者である使用許可者の情報と、を記憶」するのに対し、引用発明は、そのような構成を備えない点。

<相違点2>
本願発明1は、「前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果と、前記クレジットカードによる決済の可否の変更情報を受け付ける情報とを、前記メモリに格納された前記発行対象者に紐づく情報を参照することにより、前記クレジットカードの発行対象者、前記クレジットカードの閲覧権限者、前記クレジットカードの管理権限者のいずれかまたは複数の端末装置へ送信するステップ」を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えない点。

<相違点3>
本願発明1は、「前記クレジットカードの管理権限者の端末装置から、前記クレジットカードによる決済の可否の変更情報を受け付けるステップ」を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えない点。

<相違点4>
「使用許可者」に関し、本願発明1においては「法人の従業員」であるのに対し、引用発明においては、法人の従業員か否か不明である点。

(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2及び相違点3について検討する。
相違点2及び相違点3に係る本願発明1の「前記クレジットカードによる決済の可否の判定結果と、前記クレジットカードによる決済の可否の変更情報を受け付ける情報とを、前記メモリに格納された前記発行対象者に紐づく情報を参照することにより、前記クレジットカードの発行対象者、前記クレジットカードの閲覧権限者、前記クレジットカードの管理権限者のいずれかまたは複数の端末装置へ送信するステップ」及び「前記クレジットカードの管理権限者の端末装置から、前記クレジットカードによる決済の可否の変更情報を受け付けるステップ」を備える点は、第5の2.に示した引用文献2に記載されていない。また、この点を示す他の文献は見当たらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
そして、本願発明1は、相違点2及び相違点3に係る構成を有することにより、「クレジットカードの従業員による利用について、個別に制御し、適切に管理することが可能になる。」(【0140】)といった本願特有の効果を奏する。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2〜9について
本願発明2〜7は、本願発明1の上記相違点2及び上記相違点3と同一の構成を備えるものである。
本願発明8及び9は、本願発明1の上記相違点2及び上記相違点3と対応する構成を備えるものである。
よって、本願発明2〜9は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和6年11月13日になされた手続補正による補正後の本願発明1〜9は、上記第6の1及び2で検討したとおり、当業者であっても、原査定における引用文献1〜2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
よって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
令和6年11月13日になされた手続補正により、請求項8の「前記メモリ」との記載が「前記記憶部」となり、請求項8に係る発明は明確となった。これにより、当審拒絶理由(令和6年11月8日付け拒絶理由通知書)の拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2025-03-06 
出願番号 P2021-190123
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 相崎 裕恒
特許庁審判官 間野 裕一
小池 堂夫
発明の名称 プログラム、情報処理装置及び方法  
代理人 IPTech弁理士法人  

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