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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1000680 |
審判番号 | 審判1997-5772 |
総通号数 | 2 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-09-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-04-10 |
確定日 | 1999-08-25 |
事件の表示 | 平成8年 特 許 願 第654号「コンセント」拒絶査定に対する審判事件(平成8年9月13日出願公開、特開平8-236212)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、昭和61年10月27日に特許出願された特願昭61-256463号(以下「原出願」という。)を原出願とする分割出願である。 そして、本願発明の要旨は、平成9年5月14日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲に記載された以下のものにあるものと認める。 「ボディとこのボディに被せるカバーとからなるケーシングと、四角形の開口部を有し、該開口部内にケーシングを嵌めてカバーの一部に掛止するとともにカバーの外側面に沿って延長形成した突出片の孔にボディの外側面に形成した凸部を係止してかしめ、ボディとカバーとを固定する組立枠とから成り、ケーシングの前面には上から下へかけて第1の栓刃挿入口と、第2の栓刃挿入口と、開口部とを設け、前記栓刃挿入口の奥には刃受けばねを配置するとともに、前記開口部には電気的に独立し、螺子及び端子板を有するアース端子を配置し、該アース端子は前記ケーシングの前面よりも奥に配置されているとともに、前記開口部に設けられた開開自在の扉によって覆われ、扉は閉じた状態で表面がケーシングの前面と同一平面となり、前記アース端子及び刃受けばねの結線部には、押圧により導線を固定する錠ばねとこの固定を解除する解除釦とを配置していることを特徴とするコンセント。」 2.引用例 原査定の拒絶理由に引用された特開昭57-60680号公報(以下「引用例1」という。)には、器体9とこの器体に被せる蓋体1とからなるケーシングと、四角形の開口部を有し、該開口部内にケーシングを嵌めて蓋体の一部に掛止するとともに蓋体の外側面に沿って延長形成した係止枠30の孔に器体の外側面に形成した突起32を係止して め、器体と蓋体とを固定する取付枠24とから成り、ケーシングの前面には上から下にかけて栓刃挿入孔5と露出孔8とを設け、前記栓刃挿入孔の奥には刃受けばね10をを配置するとともに前記露出孔には電気的に独立し、ねじ35及び端子板36を有するアース端子7を配置し、前記アース端子及び刃受けばねの結線部には、押圧により導線を固定する錠ばね11とこの固定を解除する解除釦38とを配置していることを特徴とするコンセントが記載されている(第3、4図ほか参照)。 3.対比 本願発明と引用例1に記載された発明とを対比する。 引用例1に記載の「器体」、「蓋体」、「係止枠」、「突起」、「取付枠」、「露出孔」は、それぞれ本願発明の「ボディ」、「カバー」、「突出片」、「凸部」、「組立枠」、「開口部」に相当するものであるから、両者は、「ボディとこのボディに被せるカバーとからなるケーシングと、四角形の開口部を有し、該開口部内にケーシングを嵌めてカバーの一部に掛止するとともにカバーの外側面に沿って延長形成した突出片の孔にボデイの外側面に形成した凸部を係止してかしめ、ボデイとカバーとを固定する組立枠とから成り、ケーシングの前面には上から下へかけて栓刃挿入口と、開口部とを設け、前記栓刃挿入口の奥には刃受けばねを配置するとともに、前記開口部には電気的に独立し、螺子及び端子板を有するアース端子を配置し、前記アース端子及び刃受けばねの結線部には、押圧により導線を固定する錠ばねとこの固定を解除する解除釦とを配置していることを特徴とするコンセント。」である点で一致し、次の各点で相違している。 ▲1▼ケーシングの前面に設けた栓刃挿入孔に関し、本願発明が第1の栓刃挿入孔と第2の栓刃挿入孔とから構成されているのに対し、引用例1記載の発明は、単一の栓刃挿入孔で構成されている点。 ▲2▼本願発明が、アース端子はケーシングの前面よりも奥に配置されているとともに、開口部に設けられた開開自在の扉によって覆われ、扉は閉じた状態で表面がケーシングの前面と同一平面となるのに対し、引用例1記載の発明は該構成を有していない点。 4.当審の判断 次に、上記相違点▲1▼及び▲2▼について検討する。 相違点▲3▼について コンセントのケーシング前面に第1の栓刃挿入孔と第2の栓刃挿入孔とアース端子用開口部を設ける技術は、拒絶査定時にも指摘したように本願出願前周知の技術であり(例えば、特開昭61-171025号公報参照のこと)、引用例1記載の発明における栓刃挿入孔を、第1と第2の栓刃挿入孔で構成することは、当業者が適宜採用し得る程度の技術にすぎない。 相違点▲2▼について アース端子が露呈しないように、アース端子をケーシングの前面よりも奥に配置するとともに、アース端子を開口部に設けられた開開自在の扉によって覆い、扉は閉じた状態で表面がケーシングの前面と同一平面となるコンセントは、原査定の拒絶理由に引用された特開昭60-177581号公報(以下「引用例2」という。)に記載されている。 そして、引用例1に記載されているコンセントにおいて、アース端子が露呈しないようにするために、引用例2に記載されている発明を適用することは、当業者が格別の技術的困難性を伴うことなく容易になし得る程度のことにすぎない。 また、本願発明を全体としてみても、本願発明が格別な作用効果を奏するものであるものとは認められない。 5.以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-30 |
結審通知日 | 1999-07-09 |
審決日 | 1999-07-06 |
出願番号 | 特願平8-654 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01R)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 謙、古寺 昌三、高橋 武彦、前田 仁 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
藤原 稲治郎 長▲崎▼ 洋一 |
発明の名称 | コンセント |
代理人 | 森 厚夫 |
代理人 | 西川 惠清 |