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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) H01H
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効とする。(申立て全部成立) H01H
管理番号 1002151
審判番号 審判1998-35489  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-01-19 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-10-09 
確定日 1999-09-22 
事件の表示 上記当事者間の特許第2760313号発明「コントロールキー装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2760313号発明の明細書の請求項第1項ないし第6項に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 (当事者の求めた審判)
1.請求の趣旨
特許第2760313号発明の明細書の特許請求の範囲請求項1〜6に係る発明についての特許を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
2.答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
(当事者の主張)
1.請求人の主張及び提出した証拠方法
(1)本件特許出願は、次の▲1▼の理由で、変更出願の要件を満たしていないために、特許法第46条第1項に規定する実用新案登録出願を特許出願に変更したものとは認められず、出願日の遡及効がみとめられないものであるから、本件特許出願の出願日は変更出願をした日、すなわち、平成7年6月30日が本件特許出願の出願日となる。
そうすると、本件特許の請求項1及び請求項3〜6に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(本件特許出願の元の実用新案登録出願の公開公報及び明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム)に記載された発明と同一であるか、又は、上記刊行物に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、請求項2に係る発明は、上記刊行物に記載された発明と同一であるから、本件特許の請求項1〜6に係る発明は、特許法第29条第1項第3号、又は、同法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、本件特許は無効とされるべきものである。
▲1▼この発明における「2つのハウジングが枢軸によって連結されている」構成は、ハウジングの上面にある操作キーの組み合わせ若しくは組み合わせの配列を変えるための構成であってそれ以外の目的(例えば、2つのハウジング相互の角度を変えて入力操作を行えるようにすること)を含むものであることは、本件特許出願の元となった実用新案登録出願(実願平5-21180号)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「原明細書」という。)に記載も示唆もされていないし、かつ、自明な事項でもない。
(2)証拠方法
▲1▼甲第1号証:実願平5-21180号(実開平6-73842号公報)に添付された明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム
2.被請求人の主張
(1)本件特許出願は、変更出願の要件を満たしており、出願日の遡及が認められるものである。
(2)原出願の第2図には、2つのハウジングの角度を変えてスイッチの組み合わせを変えている図が示されており、この図より、請求項1及び請求項3〜6に係る発明は、自明な事項として把握できる。
(3)2つのハウジングが回動する技術的意味ずけは、原明細書の段落0009の「相互に回動自在に連結されており」との記載、「方向キートップ/方向キートップ、方向キートップ/スイッチボタン、スイッチボタン/スイッチボタン等の組み合わせにすることができる。」「等」の記載、段落0011「ゲームの種類に対応する操作が行いやすくなる効果がある。」との記載から、十分に把握できる。
(手続の経緯・本件発明の要旨)
本件特許第2760313号は、平成5年3月31日に出願された実用新案登録願(実願平5-21180号)を平成7年6月30日に特許出願に変更したものであり、平成10年3月20日に設定登録がなされたものである。
そして、本件特許発明の要旨は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1〜6に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】情報処理装置に情報を入力するコントロールキー装置において、2個のハウジングが相互に回動可能に連結され、かつその連結部分を境に前記2個のハウジングが略対称的な形状をなし、さらに、各々のハウジングに所定の操作キーが設けられていることを特徴とするコントロールキー装置。
【請求項2】画面に表示された情報に対応して操作を行い遊戯する電子玩具の操作用コントロールキー装置において、相互に回動可能に連結された2個のハウジングを有し、各々のハウジングの一面には方向キートップが設けられ、他面にはスイッチボタンが設けられていることを特徴とするコントロールキー装置。
【請求項3】操作者が両手に持って操作する情報処理装置に情報を入力するコントロールキー装置において、各手で把持される各手に対応するハジングと、該ハウジングを把持した各手の指先の届く範囲に設けた操作可能な操作部と、を有し、各ハウジングを略左右対称にして、互いに回動自在に連結したことを特徴とするコントロールキー装置
【請求項4】情報処理装置に情報を入力するコントロールキー装置において、相互に回動自在に連結された一対のハウジングと、前記ハウジングの各々に設けられる所定の操作キーとを備え、前記ハウジングはそれぞれその回動中心軸と平行な平面部をそれぞれ有し、前記操作キーは前記各ハウジングの平面部に設けられていることを特徴とするコントロールキー装置。
【請求項5】画面に表示された情報に対応して操作を行い遊戯する電子玩具の操作用のコントロールキー装置において、相互に回動自在に連結された一対のハウジングと、前記ハウジングの各々に設けられる所定の操作キーとを備え、前記ハウジングはそれぞれその回動中心軸と平行な平面部をそれぞれ有し、前記操作キーは前記各ハウジングの平面部に設けられていることを特徴とするコントロールキー装置。
【請求項6】情報処理装置に情報を入力するコントロールキー装置において、ほぼ同一の外形を有する2個のハウジングを、相互に回動可能になるように連結し、各々のハウジングに所定の操作キーが設けられていることを特徴とするコントロールキー装置。」
(本件特許出願の出願日)
原明細書を被請求人の主張に基づいて検討すると、
▲1▼被請求人は、原出願の第2図には、2つのハウジングの角度を変えてスイッチの組み合わせを変えている図が示されており、この図より、請求項1及び請求項3〜6に係る発明は、自明な事項として把握できる旨を主張しているが、原出願の第2図には、2つのハウジングの角度を変えている図が示されはいるが、これは、スイッチの組み合わせを変えるために2つのハウジングが回動している途中の状態を示しているとみべきであって、このことは、原明細書の段落0009の「ハウジング1、11を回動して一面を合わせれば」の記載からも伺える。
▲2▼また、被請求人は、2つのハウジングが回動する技術的意味づけは、原明細書の段落0009の「相互に回動自在に連結されており」との記載、「方向キートップ/方向キートップ、方向キートップ/スイッチボタン、スイッチボタン/スイッチボタン等の組み合わせにすることができる。」との「等」の記載、段落0011「ゲームの種類に対応する操作が行いやすくなる効果がある。」との記載から、十分に把握できる旨主張しているが、原明細書の段落0009には、「二個のハウジング1、11は枢軸4によって相互に回動自在に連結されており、図2のように矢印aまたは矢印bの方向に回動することができるになっている。従ってハウジング1、11を相互に回動して一面をあわせれば、一面における方向キートップとスイッチボタンとの組み合わせをゲームの種類に応じて、方向キートップ/方向キートップ、方向キートップ/スイッチボタン、スイッチボタン/スイッチボタン等の組み合わせにすることができる。」と記載されており、この記載から読み取れるところの2つのハウジングが回動する技術的意味ずけは、2つのハウジングを回動してキーの組み合わせ或いはキーの組み合わせの配置を変えることであり、2つのハウジングの回動を利用して、例えば2つのハウジングの角度変えてキーの操作を行うような技術思想は読み取ることはできない。また、「等」の記載は、キーの左右の配置を変える程度の意味合いを表現していると見るのが相当である。
さらに、段落0011には、「・・・・・本考案は以上説明したような構成であるので、特にテレビゲーム装置やポータブル型電子ゲーム装置に於ける表示キャラクター等の移動やその他のスイッチ操作を行う場合に、一面に於ける方向キートップとスイッチボタンとの組み合わせを、ゲームの種類に応じて、方向キートップ/方向キートップ、方向キートップ/スイッチボタン、スイッチボタン/スイッチボタン等の組み合わせにすることができ、ゲームの種類に対応する操作が行いやすくなる効果がある。」と記載され、この記載によれば、「ゲームの種類に対応する操作が行いやすくなる」のはスイッチの組み合わせを変えることによって得られる効果をいっているのであってそれ以上のもの(例えば、2つのハウジングの角度を変えてキー操作を行うようなもの)を読み取ることはできない。
したがって、原明細書から読み取れる2つのハウジングが回動する技術的意味ずけは、回動を利用して2つのハウジングのキーの組み合わせ或いはキーの組み合わせの配置を変えることのみであり、それ以外の技術的意味を原明細書から読み取ることはできない。
一方、本件特許出願の特許請求の範囲の請求項1には、「情報処理装置に情報を入力するコントロールキー装置において、2個のハウジングが相互に回動可能に連結され、かつその連結部分を境に前記2個のハウジングが略対称的な形状をなし、さらに、各々のハウジングに所定の操作キーが設けられていることを特徴とするコントロールキー装置。」と記載されており、この請求項1に記載された構成によって特定される技術思想は、2つのハウジングの回動を利用して2つのハウジングのキーの組み合わせ或いはキーの組み合わせの配置を変えることを包含してはいるが、それ以外の技術思想、例えば、2つのハウジングの角度を変えてキーの操作を行うような技術思想をも含むものであって、そのような技術思想は、前述したように原明細書には記載されていなし、かつ、自明のものでもない。
そうすると、本件特許出願は、原明細書に記載のない技術思想を包含するものであるから、適法な変更出願とは認められず、本件特許出願の出願日は、本件特許出願の日、即ち平成7年6月30日とするのが妥当である。
(本件特許発明と甲第1号証との対比)
1、甲第1号証に記載の発明
成立に争いのない甲第1号証には、次の技術事項が記載されている。
▲1▼画面に表示された情報に対応して操作を行い遊戯する電子玩具の操作用コントロールキー装置において、相互に回動可能に連結された2個のハウジングを有し、各々のハウジングの一面には方向キートップが設けられ、他面にはスイッチボタンが設けられているコントロールキー装置。(実用新案登録請求の範囲)
▲2▼2個のハウジングが略対称的な形状を有するコントロールキー装置。(第2図)
▲3▼ハウジングを把持した各手の指先の届く範囲に設けた操作可能な操作部を有するコントロールキー装置。(第2図)
2、対比・判断
▲1▼ まず、本件特許の請求項1に係る発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、本件特許の請求項1に係る発明の構成要件は、全て甲第1号証に記載されており、かつ、本件特許の請求項1に係る発明は、2つのハウジングの回動を利用して2つのハウジングのキーの組み合わせ或いはキーの組み合わせの配置を変えるという甲第1号証記載の技術思想をも包含するものであるから、両者は同一の発明である。
▲2▼次に、本件特許の請求項2に係る発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、構成要件及び技術思想共に同じであるから、両者の発明は同一である。
▲3▼さらに、本件特許の請求項3〜6係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、▲1▼で述べた理由と同様の理由により、本件特許の請求項3〜6係る発明と甲第1号証に記載された発明は同一である。
したがって、本件特許の請求項1〜6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
(むすび)
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1〜6に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-07-01 
結審通知日 1999-07-01 
審決日 1999-07-12 
出願番号 特願平7-165884
審決分類 P 1 112・ 113- Z (H01H)
P 1 112・ 121- Z (H01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 羽鳥 賢一田口 英雄  
特許庁審判長 松野 高尚
特許庁審判官 武井 袈裟彦
高倉 成男
登録日 1998-03-20 
登録番号 特許第2760313号(P2760313)
発明の名称 コントロールキー装置  
代理人 渡邊 肇  
代理人 緒方 延泰  
代理人 末吉 亙  
代理人 土井 健二  
代理人 谷 義一  
代理人 加古 進  
代理人 林 恒徳  

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