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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  A61B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1012354
異議申立番号 異議1999-71665  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-08-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-30 
確定日 2000-02-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2817850号「患者監視装置及び患者監視装置におけるアラーム波形の表示方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2817850号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2817850号の請求項1〜3に係る発明の手続きの経緯は、以下のとおりである。
出願 平成1年2月6日
設定登録 平成10年8月21日
特許異議の申立て 平成11年4月30日
(加藤幸蔵)
取消理由通知 平成11年7月13日
意見書、訂正請求 平成11年10月4日
取消理由通知 平成11年11月12日
訂正請求 平成11年11月12日
2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
平成11年11月12日付けの訂正請求書に添付した訂正明細書における訂正の内容は以下の▲1▼〜▲4▼のとおりである。
▲1▼願書に添付した明細書において、特許請求の範囲の請求項1〜3に係る記載
「【請求項1】過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段と、
前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で所定回分一覧表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段で一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大波形で表示する拡大表示手段とを備えることを特徴とする患者監視装置。
【請求項2】前記記憶手段は、前記アラーム波形の他に、当該アラーム波形と関連ある情報を合わせて記憶し、前記記憶手段にアラーム波形と共に記憶されている当該アラーム波形と関連する情報を表示する関連情報表示手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の患者監視装置。
【請求項3】過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段とを備える患者監視装置におけるアラーム波形表示方法であって、
前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大波形で表示することを特徴とする患者監視装置におけるアラーム波形表示方法。」を「【請求項1】過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段と、
前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段で一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する拡大表示手段とを備えることを特徴とする患者監視装置。
【請求項2】前記記憶手段は、前記アラーム波形の他に、当該アラーム波形と関連ある情報を合わせて記憶し、前記記憶手段にアラーム波形と共に記憶されている当該アラーム波形と関連する情報を表示する関連情報表示手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の患者監視装置。
【請求項3】過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段とを備える患者監視装置におけるアラーム波形表示方法であって、
前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示することを特徴とする患者監視装置におけるアラーム波形表示方法。」と訂正する。
▲2▼同じく、発明の詳細な説明、明細書第3頁第6行〜第4頁第6行(特許公報第2頁第3欄第18行〜第4欄第30行)を「本発明は上述した課題を解決し、上述した目的を達成する一手段として、例えば以下の構成を備える。
即ち、過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段と、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段と、前記一覧表示手段で一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する拡大表示手段とを備えることを特徴とする。
そして例えば、前記記憶手段は、前記アラーム波形の他に、当該アラーム波形と関連ある情報を合わせて記憶し、前記記憶手段にアラーム波形と共に記憶されている当該アラーム波形と関連する情報を表示する関連情報表示手段とを備えることを特徴とする。
また、過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段とを備える患者監視装置において、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する手段を備えることを特徴とする。
[V]作用
以上の構成を備えることにより、従来の場合であれば、患者監視装置が監視中の患者よりの検出波形がアラーム波形と認識してアラーム発生を検出した時に、単にアラーム発生日時、アラーム発生要因(アラーム名)のみが表示手段に表示されていただけであったのを、実際にアラーム発生であると認識した患者よりの検出生体情報波形を記憶して必要に応じて所定回分一覧表示することができる。
この結果、患者監視装置がアラームであると認識した原因を容易に突き止めることができ、認識結果が正しかったか否かを医師などが簡単な操作で容易に確認できる。
しかも、複数回のアラーム発生が検出された場合でも、この複数のアラームと認識されたアラーム波形を新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分小さい波形で一覧表示することができ、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識できる。更に詳細に検討したいアラーム波形の場合には、簡単な操作で当該アラーム波形を拡大表示することができ、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できる。
このため、例えば緊急な対応が必要な心臓病の発作等が発生した場合においても、迅速かつ的確な治療が可能となる。」と訂正する。
▲3▼同じく、発明の詳細な説明、明細書第7頁第15行(特許公報第3頁第5欄第42行)の「拡大表示」を「拡大して大きく表示」と訂正する。
▲4▼同じく、発明の詳細な説明、明細書第9頁第17行(特許公報第3頁第6欄第30行「るという技術」〜同第50行「となる。」)を「るという技術的効果を奏することとなった。
[VII]発明の効果
以上説明したように本発明によれば、実際にアラーム発生であると認識した患者よりの検出生体情報波形を記憶して表示することが可能となり、しかも、必要に応じて一覧表示することも可能となる。この結果、患者監視装置がアラームであると認識した原因を容易に突き止めることができ、認識結果が正しかったか否かを医師などが簡単な操作で容易に確認できる。
しかも、複数回のアラーム発生が検出された場合でも、この複数のアラームと認識されたアラーム波形を新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分小さい波形で一覧表示することができ、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識できる。更に詳細に検討したいアラーム波形の場合には、簡単な操作で当該アラーム波形を拡大して大きく表示することができ、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できる。
このため、例えば緊急な対応が必要な心臓病の発作等が発生した場合においても、迅速かつ的確な治療が可能となる。」と訂正する。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正の内容▲1▼について
これは、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明を根拠にした特許請求の範囲の減縮に該当する。
訂正の内容▲2▼〜▲4▼について
これらは、上記▲1▼の訂正に伴うもので、明瞭でない記載の釈明に該当する。
そして、これらの訂正の内容は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
2-3.独立特許要件
(訂正明細書に記載の発明)
平成11年11月12日付けの訂正請求書に添付した訂正明細書において、請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本件第1〜第3発明」という)は、前記2-1.訂正の内容▲1▼に記載したとおりである。
(先願発明)
当審が通知した特許法第29条の2についての取消理由において、引用された特願昭63-289906号(特開平2-111341号公報参照)の願書に最初に添付された明細書又は図面には、ECGデータ検討及び分析の改良方法及び装置に関し、「デジタル化されたデータは、主プロセッサのハードディスクとDSPボード上のマイクロプロセッサ76に送られる。DSPマイクロプロセッサ上では、デジタル化データが心拍検出及びノイズ検出手順に基づく生データフィルタリングに付される。フィルタリング後、データは本発明の改良高速フーリエ変換(FFT)法を用い、DSPプロセッサ上でビン入れ(binning)分析に付され、心拍を異なるビンへと類別する。こうして類別された心拍が、次節のユーザインタフェースで説明するように、システムのユーザにより検討可能である。」(参照公報6頁左上欄11行〜同頁右上欄2行)こと、「1.ECGビン検討(Bin Review)
テープ分析が完了し、患者の情報が入力された後、ECGビン検討の段階が始まる。第8図に示すように、各ビンつまり心拍の各カテゴリからの代表心拍80が、次の情報と共にコンピュータ画面上に表示される:各ビンを識別する入力順番号82、各ビン内の心拍総数84、及びビン診断88。画面上のメニューから、ユーザは次のことを行える:
-任意のビンの診断変更;
-ビンの合併;
-新たなビンの作成;及び
-1または2チャネルへの代表心拍の表示。
同時に波形表示90が、画面の下半分に現れる。これらの波形表示は6秒の実時間ストリップで、ストリップの中央に強調ビン42の第1心拍を表示している。この機能によって、ユーザは次のことを行える:
-ビン内の各心拍の走査;
-画面上のキャリパによる心拍の測定
-ビンからビンへの心拍の移動
-プリントするECGレポートに含めるための6秒ストリップの退避、またはストリップの
即座プリント;及び
-任意の所定事象または心拍の時間及びその他のパラメータの判定。」(参照公報6頁左下欄9行〜同頁右下欄14行)、「第8図は、ECGビン検討中の標準的な表示スクリーンを示している。「ECGビン検討」が表示されると、ユーザーは、複数の異なる方法でECGデータを見、分析する機会が得られる。
- 「ビン検討」は、各々の形態カテゴリーすなわちビンから代表的な拍動80を表示する。
- 各ビンは連続的に番号づけられ82、そのビン内の拍動数と診断がラベリングされる83。
- ビンの診断は変更できる。
- ビンは、我々のビンと組合せされうる。
- 新しいビンを作成することができる。
- 各ビン内の個々の拍動を検討し、スクリーン上のキャリパーで測定し、ビン間で移動させることができる。
「ビン検討」スクリーンの上半分130は「ビン表示」と呼ばれ、システムが識別した各々のビンからの代表的な波形を示す。一度に10個のビンが表示される。」(参照公報10頁左下欄16行〜同頁右下欄14行)こと、「「ビン検討」スクリーンの下半分132は、「波形表示」と呼ばれ、6秒実時間ストリップでECG波形を示している。ユーザーは、チャンネル1又は2或いは一度に両方のチャンネルからの波形を見、波形のスケールを変更し、拍動を計測し、直ちに波形を印字するか又は後で印字するために記憶しておくことができる。赤いハート形134の下ちょうど中央部の拍動は、スクリーンの上半分において強調表示されたビン92内の第1の拍動である。」(参照公報11頁左上欄6〜15行)こと、「ユーザーは、第7図に最もよく示されている「診断メニュー」で適切な指令上で左マウスボタンを放すことにより、望ましい診断を選択する。
以下のような診断が利用できる:
-Normal.システムにより患者の正常な心拍であると決定されたもの。
-PVC.心室性期外収縮
-SVPC 上室性期外収縮」(参照公報12頁左上欄2〜9行)、「1.スケールの変更
波形のサイズ又はスケールは拡大も縮小も可能である。第14図に示されている「スケールメニュー」182を表示した後、ユーザーは左マウスボタンを押し下げて保ち、望まれる選択の上でボタンを解放することにより望ましいスケールを選択する。省略時設定値は、0.500mV/目盛り(1X)である。
2.異なるチャンネルの検分
「ECG拍動検討」が最初に表示されると、チャンネル1及び2の両方が波形表示内に現われる。」(参照公報15頁左上欄6〜16行)こと、「データRAM及びプログラムRAMのチップ選択信号はそれぞれデータRAM信号及びその補数に等しい。しかしこれらの信号は、保留A信号が高いものでないかぎり使用可能にされない。
ビニングオペレーションと同時に、DSPチップ300は、プログラムが生成したビンに関する情報を含むビン記録アレイを維持する。DSPチップにより保持されたデータは、ビンの数及び各ビン内に分類された拍動の数を含んでいる。ビン記録アレイは主演算処理装置サブシステム62のハードディスク73にダウンロードされる。さらに、ビニングソフトウェアは、ビンが決定されるにつれて、ビンイメージの平均を計算する。これらのイメージは同様に上述のごとく、主演算処理装置サブシステム62のディスクヘとダウンロードされる。」(参照公報23頁右下欄1〜16行)こと、「ビンは形態別に分類され712、ビンには診断がラベリングされる714。」(参照公報27頁右下欄11〜12行)こと、「このモードでは、システムはまずストリップとビンウィンドウを初期設定し720、第8図に示されているような表示スクリーンを生成する。現タスクが「ビン検討」にとどまっている間、システムは、マウス事象についてチェックし724、探し出した時点で、マウスがスクリーンの上部のビン表示部分にある場合には「ビンウィンドウ処理ルーチン(Process Bin Window Routine」まで制御機構を転送」(参照公報28頁左上欄5〜14行)すること、「マウスがメニューバー内にない場合、システムはそれがビン表示内にあるか否かをチェックし740、ある場合には、新しい現ビンとなるべくそのマウスがクリックしたビンを割当てる742。左ボタン事象に続いて全てのチェックが行なわれた後、システムはビンとストリップを再び描き744あらゆる変更を表示し、事象ループ734の最初に戻る。」(参照公報28頁右上欄11〜18行)ことが記載されている。
(引用刊行物)
当審が通知した特許法第29条第2項についての取消理由において、引用された刊行物1(「OPERATIONS MANUAL FT2000 MEDICAL ANALYSIS AND REVIEW STATION MODEL 90103、SpaceLabs,Inc.(1988年7月発行)(申立人の提出した甲第2号証))には、「第4章 ECGビンレビュー
概要
テープ解析中、装置はホルターテープからデータを処理し、形態学上類似の波形をECGビンと呼ばれるグループヘグループ分けします。
ビンレビュー機能を表示させるため、メインメニューからビンレビューを選択してください。
ECGビンレビュースクリーンが現れ、いくつかの異なる方法でECGデータを見、分析することができます。
・ビンレビュースクリーンは、それぞれの形態学上のカテゴリーまたはビンから代表的なビートを表示できます。
・チャネル1、チャネル2または両方のチャネルで、個々のビンの中の連続した心拍を見ることができます。
・いずれかの心拍を選択し、7秒間の実心電図波形を表示できます。選んだ心拍が、実心電図波形の中心に表示されます。
・単一または複数のビンの診断名を一度に変更することができます。また、新しい診断名をつけることもできます。
・ビンを併合することができます。
・新しくビンを作成することもできます。
・画面に表示されるキャリバーで心拍の計測ができます。
・あるビンから他のビンへ心拍を移動できます。
図4-1にビンレビュースクリーンを示します。」(4-1頁1行〜4-2頁4行)と、「ビンディスプレイの概要
ビンレビュースクリーンの上半分をビン表示といい、装置から特定されたそれぞれのビンからの代表的な鼓動を示します。スクリーンには一度に10のビンが表示されます。スクリーンの右側のスクロールバーを使うことにより、追加のビンを見ることができます。
それぞれの行は次のようなビン情報が表示されます。:ビンを特定する連続的な数字:ビン内のビートの番号:診断。例えば、
ビン: 2
ビート: 114
診断: 正常
この例は装置によって特定された第2の波形のグループです。このタイプのビートが114個あり、この患者のため装置はビートを正常と診断しています。
波形表示の概要
ビンレビュースクリーンの下半分は、波形表示とよばれ、フルスケール抜粋部分の7秒間のECG波形が示されます。チャネル1とチャネル2のどちらからもあるいは一度に両方のチャネルの波形を見ることができ、スケールの変更、ビートの測定ができ、即座に波形をプリントでき、またはプリントの後保存もできます。
最初にビンレビュースクリーンが表示されたとき、ビートは直接的に赤いハートの下に7秒間の抜粋部分の中央に、システムによって特定された最初のビートです。同じビン内の次のビートは黒いハートで特定され、他のビンのビートは、その上にグレーのハートがあります。各ビートの下には、診断番号と同様にそれが属するビンの数字があります。波形表示の直上のスクロールバーを使用することにより、強調されたビン内のそれぞれの連続的なビートが、7秒間抜粋部分の中心に見ることができます。
もし、ビートの診断が正常であれば、ビートには2本の縦線が表示されます。左側には、緑の線と波形の交点がFT2000がアイソエレクトリック・ラインの振幅を計測したところを示します。右側には赤い線がST点、FT2000がアイソエレクトリック・ラインから決定したST偏差を示します。スクロールバーから左で波形の直上の数字はビン内の中央のビートの位置を示します。例えば、図4-1において、数字6は、抜粋部分の中央の黒いビートの下のハートビートがビン43内の6番目のビートであることを示します。」(4-3頁1〜34行)と、「ホルター分析全体に渡って使用可能なメインメニューに加えて、いくつかのサブ・メニューによりECGビンレビューのための選択肢が提供されます。ビンディスプレイの直上にある水平のトルコ玉色バー上にリストされているビンディスプレイのためのメニューは、
・スケールメニュー
・チャネルメニュー
・診断メニュー
・ビンメニュー」(4-4頁15〜23行)
と、「診断メニュー
診断メニューにより診断をどのシングルビンあるいはマルチプルビンであっても一度に変更することができます。
診断の変更
変更したいビンを選択し(それは強調されます)、ビンディスプレイの直上のメニューラインから”診断”という語を選択し、そして診断メニューを表示するため左側のマウスボタンの押圧を保持して下さい。
選択によってカーソルを動かし、左側のマウスボタンをリリースすることによって希望の診断を選択して下さい。ビンは新しく選択された診断を表示します。
次の診断が可能です。
Normal -患者の正常または優性ハートビートであるとシステムにより決定されたもの。ISOポイントは波形表示上で緑色にマークされ、STポイントは赤色にマークされます。
Alt Normal-患者にとっての正常ビートであるが、代替的なソースからのもの。(ペースメーカ、束分岐、など)
PVC -心室性期外収縮
Undiagnosed-システムによって診断されてないもの。
Cal Pulse-校正パルス
Delete -分析及びECGレポートからの削除
Other -追加の診断が10個まで追加できます。」(4-6頁1〜21行)と、「スケールメニュー
スケールメニューにより波長を拡大または縮小させることができます。スケールメニューを表示させ、左側のマウスボタンを押し、そしてあなたの選択でボタンをリリースすることで希望のスケールを選択して下さい。設定値は0.500mV/div(1X)です。
チャネルメニュー
ビンレビュースクリーンが最初に表示されたとき、チャネル1および2の両方が表示画面に現れます。画面を変更することができます。チャネルメニューから選択をすることでチャネル1のみまたはチャネル2のみを見るために表示を変更することができます。」(4-15頁9〜17行)と、「ビンレビュー-2チャネルビンディスプレイ、1つのチャネル波形表示
上のサンプルスクリーンに示すように、両方のチャネルにて代表的なビートを表示します。2-チャネルから1-チャネルディスプレイに波形表示を変更することもできます。上に示すチャネル1は振幅スケールが縮小されています。」(「ビンレビュー-2チャネルビンディスプレイ、1つのチャネル波形表示」の頁)と、「ビンレビュー-カリパス
上に示すように、スクリーン・カリパスが2つのクロスヘアのセットから表示されます。計測されたセグメントの時間と振幅が緑色に現れます。チャネル2の波形の振幅スケールが拡大されています。中心のビートの上の赤いハートは、強調されたビンの第1のビートが表示されます。」(「ビンレビュー-カリパス」の頁)と記載されている。
同じく、刊行物2(「COSMOS ARRHYTHMIA MONITOR Series 不整脈モニタ OCC-71010 CC-7102 日本光電工業株式会社(昭和60年7月発行)(申立人の提出した甲第3号証)には、日本光電工業株式会社が製造・販売した不整脈モニタOCC-7101,7102のカタログであり、「不整脈を検出しますと、9秒分(重症不整脈は18秒分)の波形をリコールファイルに記憶します。
従来のシステムでは不整脈波形の記憶時間は1件あたり6秒分程度でしたが、本装置では大幅に延長されているため、画面に呼び出した場合に不整脈前後の様子もよく観察できます。また波形の品質も従来に比べ、一段と向上しており、より意味深いリコール波形を提供します。
リコール波形の記憶容量も1000データ(8人共有)と不整脈モニタとして十分な容量を有しています。」(3頁下段)と、「:アラームの履歴一覧からのリコール
発生したアラームのうち最新20件が一括表示され、その波形を具体的に表示することができます。また24時間以内の重要なアラーム発生状況についても、同様に表示させる事が可能であり、波形検索の能率を高めます。」(6頁上段)と記載されている。
同じく、刊行物3(GENERAL CATALOG OF MEDICAL EQUIPMENT 日本光電医用電子機器総合カタログ’86〜’87(申立人の提出した甲第4号証)は、日本光電工業株式会社より、1986年から1987年にかけて販売を目的として発行された総合カタログであり、126〜127頁にかけて「OCC-7101、OCC-7102」が掲載されている。
同じく、刊行物4(特表昭57-500499号公報(申立人の提出した甲第5号証))には、医療モニターであり、「従つて歩行監視ユニット(AMU)は可搬型、マイクロコンピュータベース装置であり、患者のECGを検出してQRSコンプレクスを個々に連続的に分類し、次に結果を記憶してPCSにより概要報告を発生する。ECG分析はQRSコンプレクスの速度、正規性および/もしくは形状の著しい変化を検出するように設計されている。一般的に本装置は患者の典型的なQRSコンプレクスのテンプレートを考案している。次にこのコンプレクスはQRSコンプレクスの確認基準として使用される。基準コンプレクスと調和しないQRSコンプレクスは包括的な形状分析が行われる。個々のQRS形状、隣接するコンプレクスに対する時間位置およびQRS形状のパターンおよび時間位置は不規則なECG現象を確認するのに使用される。不規則な結果は優先順位保留ベースでメモり内に記憶される。30種までの単一鼓動変化および26組の不規則な心臓発作が確認報告される。」(3頁左下欄2〜17行)こと、「このプログラムはデジタル化されたECG信号の速度、正規性および/もしくは形状の一致を調べる。例えば20秒データ検査サイクルを使用することができる。不規則なQRSコンプレクスは優先順位分類ベースでメモり内に保持される、すなわち錯乱の少いコンプレクスは一層きびしい不規則性を有するものに対して自動的に破棄される。」(4頁右上欄12〜18行)こと、「モニターは使用者にサービス選定メニューを提供して静的および動的ECDデータの高解像度表示を行う。静的表示に対しては格子もしくはカリパスをECG波形上に重畳させてデータの分析を助けることができ、また表示されたデータを拡大して接近観察を行うことができる。
PCSの望ましいAMUからの出力情報は次のようである。
1.(良く知られ一般的に使用されているECG情報のグラフ表示である)校正細片が増幅器利得設定値および選定された典型的QRSコンプレクスを示す。
2.典型的な選定されたQRSコンプレクスからのアノモリ偏差が一般的に1秒の持続時間のテンプレートとしてメモり内に記憶される。
3.患者の統計データ
4.ECGグラフィック細片
5.観察された速度、リズムおよび形状アノモリを表わす40本までのECG細片。
6.前記第4項および第5項に記載されたグラフ表示される事象の発生する時間を示す(棒線対時間の)ヒストグラム。
7.プログラム期間にわたって最大平均および最小速度を示す速度情報対時間のヒストグラム。
8.プログラム可能期間にわたるSTセグメント偏向対時間のヒストグラム。
9.a.(PVCの)尚早心室発作
b.バイジエミニ、トリジエミニ発作等
c.カプリツト発作等
d.速度、リズムおよび形状の全ての主事象をヒストグラム形状で生成できる。」(5頁左下欄24行〜6頁左上欄3行)こと、「AMU10は可搬型、マイクロコンピュータベース装置であり、患者のECGを検出してQRSコンプレクスを個々に順次分類し、次に結果を記憶してPCS80により概要報告書を発行する。ECG分析はQRSコンプレクスの速度、正規制および/もしくは形状の著しい変化を検出するように設計されている。一般的に本装置は患者の典型的QRSコンプレクスのテンプレートを考案している。このコンプレクスは次にQRSコンプレクスを確認する基準として使用されている。基準コンプレクスと一致しないQRSコンプレクスは包括的形状分析が行われる。個々のQRS形状、隣接コンプレクスに対する時間位置およびQRS形状のパターンおよび時間位置は不規則なECG現象の確認に使用される。不規則な結果は優先順位保留ベースでメモり内に記憶される。30種までの単一鼓動変化および26組もの不規則な心臓発作が確認されて報告される。」(7頁右下欄6〜21行)こと、「このプログラムはデジタル化されたECG信号の速度、正規性および/もしくは形状の一致を調べる。(10秒データ検査サイクルが使用される。)不規則なQRSコンプレクスは優先順位分類ベースでメモり26内に保持される。すなわち錯乱の少いコンプレクスは一層きびしい不規則性を有するものに対して自動的に破棄される。」(8頁左上欄11〜18行)こと、「歩行監視ユニット10を手順制御ユニット(PCU)へ接続すると、プリンタおよびCRTスコープを含む手順制御ユニット30により可視および/もしくは印刷された報告が出される。」(8頁右下欄13〜16行)ことが記載されている。
同じく、刊行物5(医療機器事典編集委員会編「1987-88医療機器事典」初版(昭62-1-5)(株)産業調査会P.527(申立人の提出した甲第6号証)には、「1-機能・構造上の特徴
不整脈の検出にはR-R間隔,QRS幅を主に測定する。P波や他の心電図情報については測定項目にするものとしないものがある。
1-1 単体式は心電図監視システムの一環として使用され、期外収縮その他の不整脈を検出し警報する。また期外収縮数をトレンドグラフとして記録器に描かせる機能を持つのが一般的である。
1-2 コンピュータ化システムは不整脈の自動監視を心電図監視システムの中心にとらえ、心電図を自動解析して不整脈を検出し警報する。またCRTディスプレイやプリンタに各患者の心電図情報その他を表示する。
最近のものは,全患者(複数の)の不整脈発生状況を一括表示するようになっている。リコール波形の記憶容量は1000データまであり,内蔵のレコーダにより再生記録する。」(527頁左欄12行〜同頁右欄9行)ことが記載されている。
(対比・判断)
(1)特許法第29条の2について
本件第1発明及び本件第1発明の従属発明である本件第2発明と先願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とを対比すると、本件第1及び第2発明における「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段」という構成要件は、前記先願発明には記載されておらず、本件第1及び第2発明と先願発明とは、同一ではない。
また、本件第3発明と前記先願発明とを対比すると、本件第3発明における「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示」するという構成要件は、前記先願発明には記載されておらず、両者は同一ではない。
(2)特許法第29条第2項について
本件第1発明及び本件第1発明の従属発明である本件第2発明と刊行物1〜5に記載された発明とを対比すると、本件第1及び第2発明における「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段」という構成要件は、刊行物1〜5に記載されていないし示唆されてもいない。
また、本件第3発明と刊行物1〜5に記載された発明とを対比すると、本件第3発明における「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示」するという構成要件は、刊行物1〜5に記載されていないし示唆されてもいない。
そして、本件第1〜第3発明は、上記の構成要件により、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識でき、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できるという、刊行物1〜5に記載の発明から予測できない明細書記載の効果を奏するものと認める。
してみると、本件第1〜第3発明は、前記先願発明、刊行物1,2,3,4又は5に記載された発明と同一ではなく、また、本件第1〜第3発明は、刊行物1,2,3,4及び5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
2-4.むすび
したがって、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項によりなお従前の例によるとされる、第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
特許異議申立人は、訂正前明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証(前記先願発明と同じ)と同一であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができず、訂正前明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に係る発明は、甲第2号証(前記刊行物1と同じ)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができず、訂正前明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に係る発明は、甲第2,3,4,5及び6号証(前記刊行物1,2,3,4及び5と同じ)に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、前記訂正前明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に係る発明の特許は取り消されるべきである旨の主張をしている。
ところが、訂正後の請求項1〜3に係る発明(前記本件第1〜第3発明)については、前記2-3.で述べたとおり、取消理由通知で示した前記先願発明、刊行物1,2,3,4又は5に記載された発明とは同一とすることができず、また、刊行物1,2,3,4及び5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件第1〜第3発明の特許を取り消すことができない。
そして、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
患者監視装置及び患者監視装置におけるアラーム波形の表示方法
(57)【特許請求の範囲】
(1)過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段と、
前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段で一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する拡大表示手段とを備えることを特徴とする患者監視装置。
(2)前記記憶手段は、前記アラーム波形の他に、当該アラーム波形と関連ある情報を合わせて記憶し、前記記憶手段にアラーム波形と共に記憶されている当該アラーム波形と関連する情報を表示する関連情報表示手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の患者監視装置。
(3)過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段とを備える患者監視装置におけるアラーム波形表示方法であって、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示することを特徴とする患者監視装置におけるアラーム波形表示方法。
【発明の詳細な説明】
〔I〕産業上の利用分野
本発明は、患者のアラーム波形表示情報を表示可能な患者監視装置及び患者監視装置におけるアラーム波形の表示方法に関するものである。
〔II〕従来の技術
従来、患者の心電図にアラーム波形が発生した場合、患者監視装置の画面には、そのアラーム名が表示されるようになっている。
このアラーム名、例えば、BIGEMやTRIGMは、波形と計測値とから決定することができる。
患者監視装置には、上記アラーム名とそれに対応する波形及び計測値が予め記憶されており、実際にアラームが発生した場合は、両者を照合することにより、該当するアラーム名が画面に表示されるようになっている。
〔III〕発明が解決しようとする課題
上述したように、従来は、患者監視装置により、アラーム名の検索が自動的に行われていた。
しかし、実際に発生したアラームと患者監視装置の画面に表示されたアラーム名とは必ずしも一致するとは限らず、誤ったアラーム名が表示されることがある。
また、上記のように、アラーム名を文字で表示することは、アラーム波形の全体を詳細に想起し難い。
このため、患者の診断効率が妨げられるという課題があった。
本発明の目的は、アラーム波形の全体を詳細に把握することにより、診断効率の向上を図ることにある。
〔IV〕課題を解決するための手段
本発明は上述した課題を解決し、上述した目的を達成する一手段として、例えば以下の構成を備える。
即ち、過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段と、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段と、前記一覧表示手段で一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する拡大表示手段とを備えることを特徴とする。
そして例えば、前記記憶手段は、前記アラーム波形の他に、当該アラーム波形と関連ある情報を合わせて記憶し、前記記憶手段にアラーム波形と共に記憶されている当該アラーム波形と関連する情報を表示する関連情報表示手段とを備えることを特徴とする。
また、過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段とを備える患者監視装置において、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する手段を備えることを特徴とする。
〔V〕作用
以上の構成を備えることにより、従来の場合であれば、患者監視装置が監視中の患者よりの検出波形がアラーム波形と認識してアラーム発生を検出した時に、単にアラーム発生日時、アラーム発生要因(アラーム名)のみが表示手段に表示されていただけであったのを、実際にアラーム発生であると認識した患者よりの検出生体情報波形を記憶して必要に応じて所定回分一覧表示することができる。
この結果、患者監視装置がアラームであると認識した原因を容易に突き止めることができ、認識結果が正しかったか否かを医師などが簡単な操作で容易に確認できる。
しかも、複数回のアラーム発生が検出された場合にも、この複数のアラームと認識されたアラーム波形を新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分小さい波形で一覧表示することができ、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識できる。更に詳細に検討したいアラーム波形の場合には、簡単な操作で当該アラーム波形を拡大表示することができ、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できる。
このため、例えば緊急な対応が必要な心臓病の発作等が発生した場合においても、迅速かつ的確な治療が可能となる。
〔VI〕実施例
以下、本発明を、実施例により添付図面を参照して、説明する。
第1図は、本発明の実施例を示す図である。
同図においては、ある一人の患者の第1アラーム波形102と第2アラーム波形103と過去アラーム波形105とが画面上に表示されている。
この本発明による画面をこび出す前提として、より大きな概念であるいくつかの機能が考えられ、その1つとして拡張機能がある。
上記拡張機能は、より一層診断に役立つ高度な情報、例えば本発明によるアラーム波形を見たいときに設定する機能である。
患者監視装置の画面には、当初はいくつかの機能がキーの形式で表示されている(図示省略)。
このうち本発明に関連のある拡張機能の部分を指で押すと、その部分が点灯し、他の部分は画面から消える。
これにより、拡張機能が設定される(第2図のステップP1)。
拡張機能が設定されると、画面が切り替わり、拡張機能の中で選択すべき種々の態様がキー形式で表示される(第2図のステップP2)。
今、ユーザがアラーム波形表示キーを選択したい場合、その部分を指で押すと点滅し、他の部分は消える。
これにより、ユーザが必要な態様があったと判断され(第2図のステップP3のYES)、ST表示キーのみが選択されたことになる(第2図のステップP4)。
若し、画面に選択すべきキーがなく、ユーザが何の操作もしない場合は、必要なキーはないと判断され(第2図のステップP3のNO)、処理はなされない。
このアラーム波形表示キーが選択されると、画面が切り替わり、冒頭で略述した不図示の記憶手段に記憶されている当該患者監視装置がアラームであると認識したようなアラーム波形表示情報が表示される(第1図、第2図のステップP5)。
画面には、患者名100、第1計測値101、第1アラーム波形102、第2アラーム波形103、第2計測値104、過去アラーム波形105、前頁キー106、次頁キー107、記録キー108、頁記録キー109、消去キー110、全消去キー111が、それぞれ表示されている。
上記患者名100は、ベッドの番号と患者の氏名から成り、以下の第1計測値101等は、全てこの患者のアラーム波形表示情報である。
計測値としては、第1計測値101と第2計測値104があり、第1計測値101は、そのアラームの発生日時、アラーム名等から成り、第2計測値104は、血圧値等103から成る。
アラーム波形としては、第1アラーム波形102、第2アラーム波形103及び過去アラーム波形105とがある。
上記第1アラーム波形102としては、通常は、最新の心電図のアラーム波形が表示されている。
上記第2アラーム波形103としては、図示する血圧波形の他に呼吸波形、心音波形等も表示可能である。
上記過去アラーム波形105は、図示するように、アラーム波表示情報のうちの6秒間分の心電図のアラーム波形が16回分表示されており、右下が最も新しく、順次古くなり、左上が最も古い。
この過去アラーム波形105の中で、拡大して表示したいものがある場合、例えば、斜線を施した波形1053を拡大表示したい場合は、その部分を押せば、破線矢印で示すように、最新アラーム波形の代わりにこの波形1053が拡大して大きく表示される。
このようにすることにより、初めて、患者のアラーム波形が全体的にかつ詳細に把握できる。
なお、不図示の記憶手段には、何回分のアラーム検出波形を記憶可能かというと、過去アラーム波形105の記憶回数は、本実施例によれば、192回であるが、ICカードを使用する等してメモリを増設すれば、1468回程度には増やすことも可能である。
更に、キーとしては、前頁キー106から全消去キー111まで6つがある。
上記前具キー106を押すと、現在表示されている16回分の過去アラーム波形105の前の16回分の過去アラーム波形が表示される。
また、次頁キー107は、現在表示されている16回分の過去アラーム波形105の次の16回分の過去アラーム波形を表示したい場合に押す。
記録キー108を押せば、第1アラーム波形102がレコーダに記録され、頁記録キー109を押せば、現在表示されている過去アラーム波形105全部がレコーダに記録されるようになっている。
更に、上記消去キー110は、第1アラーム波形102に対応する不図示の患者監視装置の記憶手段に記憶のアラーム波形表示情報を消去する場合に使用するキーである。また、全消去キー111は、不図示の患者記憶装置の記憶手段に記憶されている全てのアラーム波形表示情報を消去する場合に使用するキーである。
以上説明したように本実施例によれば、アラーム波形表示キーを選択することにより、発生した複数個のアラーム波形を順次同一画面上に表示し、必要に応じて拡大表示できるようにしたことを特徴とするアラーム波形表示方式という技術的手段が講じられた。
従って、アラーム波形そのものが複数個同時に表示されるようにしたため、従来のようなアラーム波形とアラーム名との不一致は、生じなくなった。
また、過去から現在までの複数個のアラーム波形更に拡大波形も表示ができるようになり、全体が詳細に見れるようになった。
このため、アラーム波形の全体を詳細に把握することにより、診断効率の向上を図ることができるという技術的効果を奏することとなった。
〔VII〕発明の効果
以上説明したように本発明によれば、実際にアラーム発生であると認識した患者よりの検出生体情報波形を記憶して表示することが可能となり、しかも、必要に応じて一覧表示することも可能となる。この結果、患者監視装置がアラームであると認識した原因を容易に突き止めることができ、認識結果が正しかったか否かを医師などが簡単な操作で容易に確認できる。
しかも、複数回のアラーム発生が検出された場合にも、この複数のアラームと認識されたアラーム波形を新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分小さい波形で一覧表示することができ、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識できる。更に詳細に検討したいアラーム波形の場合には、簡単な操作で当該アラーム波形を拡大して大きく表示することができ、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できる。
このため、例えば緊急な対応が必要な心臓病の発作等が発生した場合においても、迅速かつ的確な治療が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す図、
第2図は本発明の作用説明図である。
100……患者名、
101……第1計測値、
102……第1アラーム波形、
103……第2アラーム波形、
104……第2計測値、
105……過去アラーム波形、
106……前頁キー、
107……次頁キー、
108……記録キー、
109……頁記録キー、
110……消去キー、
111……全消去キー。
 
訂正の要旨 特許第2817850号発明の明細書を、本件の平成11年11月12日付け訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、すなわち特許請求の範囲の減縮を目的として下記(1)、(2)のとおりに、また、明瞭でない記載の釈明を目的として下記(3)〜(5)のとおりに訂正する。
(1)特許請求の範囲の請求項1の「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で所定回分一覧表示する一覧表示手段」を「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段」に、また「前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大波形で表示する拡大表示手段」を「前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する拡大表示手段」に訂正する。
(2)特許請求の範囲の請求項3の「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大波形で表示すること」を「前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示すること」に訂正する。
(3)明細書における発明の詳細な説明の欄、明細書第3頁第6行〜第4頁第6行(特許公報第2頁第3欄第18行〜第4欄第30行)を体発明は上述した課題を解決し、上述した目的を達成する一手段として、例えば以下の構成を備える。
即ち、過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段と、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示する一覧表示手段と、前記一覧表示手段で一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する拡大表示手段とを備えることを特徴とする。
そして例えば、前記記憶手段は、前記アラーム波形の他に、当該アラーム波形と関連ある情報を合わせて記憶し、前記記憶手段にアラーム波形と共に記憶されている当該アラーム波形と関連する情報を表示する関連情報表示手段とを備えることを特徴とする。
また、過去に検出した複数のアラーム波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のアラーム波形を表示可能な表示手段とを備える患者監視装置において、前記表示手段の少なくとも一部の表示領域に前記記憶手段に記憶されているアラーム波形を小さい波形で新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分一覧表示し、前記一覧表示されているアラーム波形のうちの特定のアラーム波形が選択されると選択された一覧表示中の小さい波形のアラーム波形を前記表示手段中の別の表示領域に拡大して大きい波形で表示する手段を備えることを特徴とする。
[V]作用
以上の構成を備えることにより、従来の場合であれば、患者監視装置が監視中の患者よりの検出波形がアラーム波形と認識してアラーム発生を検出した時に、単にアラーム発生日時、アラーム発生要因(アラーム名)のみが表示手段に表示されていただけであったのを、実際にアラーム発生であると認識した患者よりの検出生体情報波形を記憶して必要に応じて所定回分一覧表示することができる。
この結果、患者監視装置がアラームであると認識した原因を容易に突き止めることができ、認識結果が正しかったか否かを医師などが簡単な操作で容易に確認できる。
しかも、複数回のアラーム発生が検出された場合でも、この複数のアラームと認識されたアラーム波形を新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分小さい波形で一覧表示することができ、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識できる。更に詳細に検討したいアラーム波形の場合には、簡単な操作で当該アラーム波形を拡大表示することができ、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できる。
このため、例えば緊急な対応が必要な心臓病の発作等が発生した場合においても、迅速かつ的確な治療が可能となる。」に訂正する。
(4)明細書における発明の詳細な説明の欄、明細書第7頁第15行(特許公報第3頁第5欄第42行)の「拡大表示」を「拡大して大きく表示」に訂正する。
(5)明細書における発明の詳細な説明の欄、明細書第9頁第17行(特許公報第3頁第6欄第30行「るという技術」〜同第50行「となる。」)を「るという技術的効果を奏することとなった。
[VII]発明の効果
以上説明したように本発明によれば、実際にアラーム発生であると認識した患者よりの検出生体情報波形を記憶して表示することが可能となり、しかも、必要に応じて一覧表示することも可能となる。この結果、患者監視装置がアラームであると認識した原因を容易に突き止めることができ、認識結果が正しかったか否かを医師などが簡単な操作で容易に確認できる。
しかも、複数回のアラーム発生が検出された場合でも、この複数のアラームと認識されたアラーム波形を新しいアラーム波形から古いアラーム波形まで順次所定回分小さい波形で一覧表示することができ、複数回のアラーム認識が正しいか否かを概略認識できる。更に詳細に検討したいアラーム波形の場合には、簡単な操作で当該アラーム波形を拡大して大きく表示することができ、多くのアラーム波形が検出されても極めて容易にその適否、アラームとの認識結果の適否を確認できる。
このため、例えば緊急な対応が必要な心臓病の発作等が発生した場合においても、迅速かつ的確な治療が可能となる。」に訂正する。
異議決定日 1999-12-17 
出願番号 特願平1-27213
審決分類 P 1 651・ 161- YA (A61B)
P 1 651・ 121- YA (A61B)
P 1 651・ 113- YA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 江成 克巳  
特許庁審判長 松本 邦夫
特許庁審判官 伊坪 公一
住田 秀弘
登録日 1998-08-21 
登録番号 特許第2817850号(P2817850)
権利者 フクダ電子株式会社
発明の名称 患者監視装置及び患者監視装置におけるアラーム波形の表示方法  
代理人 丸山 幸雄  
代理人 松本 研一  
代理人 松本 研一  
代理人 大塚 康徳  
代理人 丸山 幸雄  
代理人 大塚 康徳  

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