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審決分類 審判 査定不服 判示事項別分類コード:351 取り消して特許、登録 G10H
管理番号 1014218
審判番号 審判1998-20245  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-01-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-24 
確定日 2000-04-17 
事件の表示 平成 5年特許願第208148号「自動演奏装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 1月10日出願公開、特開平 7- 5875、平成 7年11月 1日出願公告、特公平 7-101348、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 [手続の経緯]
本願は、昭和60年1月31日に出願した特願昭60-15404号の一部を平成5年8月2日に新たな特許出願としたものであって、原審において出願公告されたところ、桟敷美智子からの特許異議の申立があり、その異議申立が理由があるものと決定され、その決定の理由によって拒絶査定されたものである。
[本願発明の認定]
本願の請求項1に係る発明は、出願公告後の平成11年1月25日付けで補正された明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の第1項に記載された次のとおりのものである。

「楽曲を自動演奏するための演奏デ-タを楽曲の進行にしたがって順次記憶した第1の記憶手段と、
前記自動演奏の特性を制御するための制御デ-タを記憶した第2の記憶手段と、
前記自動演奏の開始および停止を支持する第1の操作子と、
前記第1の記憶手段に記憶された演奏デ-タの先頭を指示する第2の操作子と、
前記第1の記憶手段の読出位置を指示する読出位置指示手段と、
前記第1の操作子による自動演奏の開始指示に応答して、所定の演奏テンポにしたがって曲が進行するように、前記読出位置指示手段で指示される読出位置を現在の読出位置から自動的に順次更新させるとともに、前記第1の操作子による自動演奏の停止指示に応答して前記読出位置の自動更新を停止させる第1の制御手段と、
前記読出位置指示手段が指示する読出位置に記憶された演奏デ-タを読出す読出手段と、
この読出手段で読み出された演奏データに基づき楽音信号を発生する楽音信号発生手段と、
この楽音信号発生手段で発生される楽音信号の特性を制御するパネル操作子手段と、
前記第2の操作子の操作に応答して、前記読出位置指示手段で指示される読出位置を現在の読出位置から前記第1の記憶手段の先頭の演奏データを指示する読出位置にするとともに、前記第2の記憶手段から制御データを読み出して前記パネル操作子手段にセットする第2の制御手段と
を備えたことを特徴とする自動演奏装置。」
[原査定の理由]
これに対して、原査定の理由である特許異議の決定の理由は、本願の明細書の「特許請求の範囲」の記載は「発明の詳細な説明」の記載と一致しないから、本願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないという趣旨のものである。
[当審の判断]
そこで、本願の明細書および図面の記載に基づき原査定の当否を検討する。
明細書および図面には、演奏データの記録,再生および編集が可能な自動演奏装置について記載されている。
「特許請求の範囲」と「実施例」とを対比するとその対応関係は次の通りである。
A:「楽曲を自動演奏するための演奏デ-タを楽曲の進行にしたがって順次記憶した第1の記憶手段」は、図1の「演奏データメモリ8」が対応する([0009]を参照。)
B:「前記自動演奏の特性を制御するための制御デ-タを記憶した第2の記憶手段」は、図1の「レジストレーションメモリ7」が対応する
([0008]を参照。)
C:「前記自動演奏の開始および停止を支持する第1の操作子」は、図2の「スタート/ストップスイッチ35」が対応する([0016]を参照)。
D:「前記第1の記憶手段に記憶された演奏デ-タの先頭を指示する第2の操作子」は、「編集モード」時における図2の「ト音記号の付されたスイッチ24」と「カーソルスイッチ25a」の同時オンが対応する([0013],[0044],[0048]を参照)。
また、この「第2の操作子」は、図2の曲選択
スイッチ20a〜20dにも対応する([0059],[0060]を参照)。
E:「前記第1の記憶手段の読出位置を指示する読出位置指示手段」は、図1の「演奏データメモリ8」を読み出す「アドレスポインタ」が対応する([0013],[0034]を参照。)
F:「前記第1の操作子による自動演奏の開始指示に応答して、所定の演奏テンポにしたがって曲が進行するように、前記読出位置指示手段で指示される読出位置を現在の読出位置から自動的に順次更新させるとともに、前記第1の操作子による自動演奏の停止指示に応答して前記読出位置の自動更新を停止させる第1の制御手段」は、「編集モード」時における図8,15,16の「オートカーソル処理」が対応する([0049]乃至[0057]を参照)。
また、この「第1の制御手段」は、再生モード
時における図5の「PLAY処理」にも対応する([0022],[0023]を参照)。
G:「前記読出位置指示手段が指示する読出位置に記憶された演奏デ-タを読出す読出手段」
は、「編集モード」時における図15,16の「オートカーソル処理」のステップ200,212が対応する([0049],[0054]を参照)。
H:「この読出手段で読み出された演奏データに基づき楽音信号を発生する楽音信号発生手段」は、図1の「楽音形成回路11」が対応し([0010]を参照)、また「編集モード」時における図15,16の「オートカーソル処理」のステップ204,214が対応する([0051],[0055]を参照)。
I:「この楽音信号発生手段で発生される楽音信号の特性を制御するパネル操作子手段」は、図1の「制御操作子回路3」が対応する([0007]を参照)。
J:「前記第2の操作子の操作に応答して、前記読出位置指示手段で指示される読出位置を現在の読出位置から前記第1の記憶手段の先頭の演奏データを指示する読出位置にするとともに、前記第2の記憶手段から制御データを読み出して前記パネル操作子手段にセットする第2の制御手段」は、「編集モード」時における図14の「カーソル移動処理ルーチン」のステップ178に対応する([0048]を参照)。
また、この「第2の制御手段」は、「編集モード」時における図7の「EDIT処理ルーチン」のステップ74,75にも対応する([0059],[0060]を参照)。
以上のとおり、本願の「特許請求の範囲」における自動演奏のための構成A〜Jは実施例においてすべて示されている。
なお、実施例は編集モードにおける確認のための自動演奏を中心に説明され、再生モードについては説明が省略されている。しかしながら、確認のための自動演奏も自動演奏であることには変わりはなく、また実施例に説明されているような自動演奏は通常の再生モードにも適用可能なことは明らかである。よって、実施例が編集モードを中心に説明されていることをもって「特許請求の範囲」と一致しないものとすることはできない。
したがって、本願の「特許請求の範囲」に記載された構成は「発明の詳細な説明」の実施例によて裏付けられているものであるから、本願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないものとすることはできない。
[むすび]
以上のとおりであって、本願は原査定の理由によって拒絶することはできない。
なお、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2000-03-17 
出願番号 特願平5-208148
審決分類 P 1 8・ 351- WY (G10H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田川 泰宏本田 紘一張谷 雅人新宮 佳典渡邊 聡松尾 淳一  
特許庁審判長 水谷 好男
特許庁審判官 小林 秀美
小池 正彦
発明の名称 自動演奏装置  
代理人 飯塚 義仁  

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