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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 B65B |
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管理番号 | 1046656 |
異議申立番号 | 異議2000-71683 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-04-25 |
確定日 | 2001-06-25 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2966689号「脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2966689号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
<1>手続の経緯 特許第2966689号は、平成5年4月12日に出願され、平成11年8月13日に特許の設定の登録がなされ、その後、平成12年4月25日に株式会社古川製作所から特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年9月29日に、意見書の提出とともに訂正請求がなされ、その後、異議申立人から上申書が提出された。 <2>訂正の適否についての判断 <2-1>訂正の内容 特許権者は、訂正明細書のとおり訂正することを求めており、その内容は、以下のとおりである。 特許請求の範囲の 「【請求項1】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項2】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項3】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項4】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする、請求項2記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項5】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より一旦高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、請求項2記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項6】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より一旦高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、請求項2記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項7】請求項1記載の自動脱気密封包装装置を用いることを特徴とする脱酸素剤包装体の自動包装方法。」 を、 「【請求項1】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項2】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸索剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項3】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断統的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より一旦高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。」 と、訂正する、すなわち、 <訂正1> 訂正前の請求項1、2,5,7を削除し、 <訂正2> 訂正前の請求項3、4,6を請求項1〜3とし、 <訂正3> 訂正前の請求項3、4,6に記載された「請求項1記載の」または「請求項2記載の」という記載に代えて「脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない」と訂正するものである。 <2-2>訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の有無 上記訂正について検討すると、上記<訂正1><訂正2>は特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、上記<訂正3>は,上記<訂正1><訂正2>に伴う明りょうでない記載の釈明に該当する。 そして、上記<訂正3>の訂正しようとする事項は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1または請求項2に記載されている事項であり、また、上記訂正は、これらの訂正により実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。 <2-3>むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号、以下「平成6年法」という)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 <3>特許異議の申立てについての判断 <3-1>申立の理由の概要 異議申立人 株式会社古川製作所は、 甲第1号証として、実願平5-2635号(実開平6-54509号)のCDーROM、 甲第2号証として、株式会社古川製作所発行の業務用袋詰真空包装機(FVF-275)に関するカタログの写し、 甲第3号証として、2000年4月5日付の株式会社正文社印刷所の作成した文書(株式会社古川製作所宛の帳簿)の写し、 甲第4号証として、1992年9月25日に発行された’92東京国際包装展事務局編集による’92東京国際包装展ガイドブックの写し(抜粋)、 甲第5号証として、1992年に発行された社団法人日本包装機械工業会発行の「’92日本包装機械便覧」の写し(抜粋)、 甲第6号証として、株式会社古川製作所の真空整形機(FSP-300)についてのカタログの写し、 甲第7号証として、特開昭59-156433号公報 、 を提出し、 <理由1>訂正前の請求項1〜7に係る発明は、当該特許出願の日前の他の特許出願であって当該特許出願後に甲第1号証として出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、また、当該特許出願の時にその出願人と当該ほかの特許出願人と同一の者でないから、特許法第29条の2の規定に該当し、特許を受けることはできない、 <理由2>訂正前の請求項1、2,7に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第2、4、6号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない(甲第3,5,7号証は、上記事項を立証するために提出したものである)、 から、訂正前の本件請求項1〜7に係る特許は取り消されるべきものである、 と、主張する。 そして、上記訂正により訂正前の特許請求の範囲の請求項1,2,7は削除され、申立ての理由2は、その対象がなくなったので、以下は、申立ての理由1についてのみ、検討する。 <3-2>本件発明 上記「<2>訂正の適否についての判断」において検討したように、上記訂正が認められるから、本件請求項1〜3に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されるとおりのものである。 <3-3>甲第1号証の先願明細書に記載された考案 甲第1号証の本願の出願の日前の他の出願であって当該特許出願後に出願公開がされた(実願平5-2635号(実開平6-54509号)のCDーROM参照)の願書に最初に添付した明細書または図面(以下、「先願明細書」という)には、図面とともに次の記載がある。 a: 「【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】・・・・・・脱酸素剤の包装装置。 【請求項2】 請求項1において脱酸素剤を収容した多数の小袋を袋内に充填する第三の停止位置(C)に続いて、第四のポジション(E)に存在する第一チャンバー(28)内に前記袋(10)を搬入すると共に、該第一チャンバー内の空気を第一ポンプ(30)で吸引しながら、シール手段(39)でもって前記袋(10)の袋口を密封して真空包装体(40)を形成し、さらに続いて、前記第一チャンバーから排出した真空包装体(40)を第二チャンバー(42)内に搬入すると共に、該第二チャンバー内の空気を第二ポンプ(43)で吸引しながら真空包装体に振動を加えるバイブレータ(53)を設けた装置において、前記第一チャンバー(28)と第一ポンプ(30)とを継ぐライン(31)及び前記第二チャンバー(42)と第二ポンプ(43)とを継ぐライン(44)にそれぞれ開閉弁(32)(45)を介設すると共に、前記両ライン(31)(44)にそれぞれ設けた真空値検出要素(33)(46)と前記両開閉弁(32)(45)とを制御器(35)を介して電気的回路で連結し、第一チャンバー(28)の真空値よりも第二チャンバーの真空値を若干高真空に設定するように前記制御器(35)が両開閉弁(32)(45)を切換えるような制御手段を備える真空包装成型装置。」 b: 「【0001】【産業上の利用分野】本考案は、脱酸素剤を充填した多数の小袋を、さらに大袋に充填したあと、酸化防止のために真空包装する装置に関する。」 c: 「【0010】支持機構(11)に支持した袋(10)が第三の停止位置(C)で停止すると、・・・脱酸素剤を封入した多数の小袋をホッパー(23)を介して袋(10)に充填する。・・・。 【0011】支持機構(11)で支持した袋(10)が第四の停止位置(D)で停止すると、対の振動板(24)(25)は袋の両側から内部の各小袋に対して振動を加える。この振動によって各小袋はその面がすべて縦方向になるように修正される。 【0012】次のポジション(E)には平たい盤(26)とそれに被さる蓋材(27)とからなる第一チャンバー(28)が存在する。該チャンバー(28)も無端軌道を回転するものであり、前記ポジション(E)で開放したチャンバー内のクランプ(29)に、その前位の支持機構(11)から袋(10)が移し換えられると、チャンバー(28)は密封した状態で無端軌道を移動する。・・・盤(26)と蓋材(27)とを閉ぐと・・・チャンバー(28)内は減圧を開始する。そのあとチャンバー内の真空値が検出要素(33)による設定値に達し制御器(35)に信号(38)が送られると、開閉弁(32)は閉鎖する。同時にシール機構(39)により袋(10)の開口部は加熱溶着して真空包装体(40)を形成する。 【0013】前記の第一チャンバー(28)が開放し該チャンバーから排出される真空包装体(40)は図2のベルトコンベヤ(41)に移乗し、該コンベヤによって第二チャンバー(42)の位置まで送られて停止する。・・・そこで下面開口型の第二チャンバー(42)がベルトコンベヤ(41)上に被さり真空包装体(40)を密封すると、スイッチ(48)からの信号により開閉弁(45)は切換り第二チャンバー(42)内の減圧が開始される。この減圧によって真空包装体(40)の袋が膨らみ内部の多数の小袋に遊びが生ずるが、シリンダ(50)に供給されるコンプレッサー(51)の圧力で、加圧板(52)を真空包装体(40)の上面に押つける一方、ベルトコンベヤ(41)の下側からのクランク板(53)の回転で真空包装体(40)に振動を加えると、袋の内部で多数の小袋は四方へ広がって平たく成型される。」 <3-4>当審の判断 本件請求項1に係る発明において「脱酸素剤を整列させ」は、「脱酸素剤包装体を整列させ」を意味するものと認められる。 そこで、甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案を、本件請求項1に係る発明と対比すると、 甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案の「脱酸素剤を収容した小袋」「充填」「その面が全て縦方向になるように修正」は本件請求項1に係る発明の「脱酸素剤包装体」「投入」「整列」に相当するから、 両者は、 「外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置」 で一致するが、 <相違点1> 外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させる手段が、本件請求項1に係る発明においては、「外装袋の周囲を断続的に押さえつける」ことにより行われるのに対し、 甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案では対の振動板は「袋の両側から内部の各小袋に対して振動を加える」(【0011】)ことにより行われる点、 <相違点2> 外装袋が、本件請求項1に係る発明においては「酸素バリア性」のものであるが、甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案においては特に明記されていない点で、相違する。 上記相違点について以下に検討する。 ところで、本件明細書においては、上記相違点1における「断続的に押さえつける」のほかに「振動」の用語が、「断続的に押さえつける」ことにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、外装袋を脱気密封した後の工程として行われる「整形」(請求項2および請求項3に係る発明の要件でもある)の実施例として、次のように用いられている。 すなわち、「この真空ボックスは、真空度を外装袋内より高くすることにより、脱酸素剤包装体の外装袋が膨張するこによって、外袋内を移動出来るようになった脱酸素包装体を振動させるなどの方法で外装袋内に均一に分散させて後、真空ボックス内の真空を解除すると脱酸素剤包装袋は整列・整形されるものである」(【0021】)、 「一方に偏って包装された状態で脱酸素剤包装体の外装袋30は、真空ボックス23(25)中に送り込まれ、ボックス内の真空度を外装袋内の真空度より高くすると、相対的な外圧差によって31の状態となる。その状態で、振動を与えると袋内に脱酸素剤包装体が均一に分散される。その際、整形用シリンダー21により上から包装袋を軽く押さえながら振動を行うと、より整形が完全となり好ましい。」(【0022】) という記載があり、本件明細書においては、請求項1に係る発明の整列させる手段である「断続的に押さえつける」という用語は、上記のとおり、そのあとの工程の整形のための手段である「振動」という用語とは明確に使い分けられているから、請求項1に係る発明の整列させる手段である「断続的に押さえつける」という用語が「振動」を意味していることはない、と認められる。 これに対して、異議申立人は、甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案において「振動板が袋の両側から内部の小袋に対して振動を加えるのであるから、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることまでが開示されている」(特許異議申立書第10頁第20〜21行)、 と、主張する。 しかしながら、上記主張を裏付けるに足る客観的かつ論理的な根拠は何ら記載されてなく、一方、本件明細書においては上記のとおり「断続的に押さえつける」は、「振動」とは明確に使い分けて用いられているから、「振動」を意味しているとはいうことができない。異議申立人から提出された上申書をみても、上記判断は変わらない。 そうしてみると、相違点2について検討するまでもなく、本件請求項1に係る発明が甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案と同一であるとはいうことができない。 そして、本件請求項2〜3に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に、上記相違点1の構成を有するから、その他の構成について検討するまでもなく、甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案と同一であるとはいうことができない。 したがって、本件請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証記載の先願明細書に記載された考案と同一であるとはいうことができないから、特許法第29条の2の規定に該当せず、特許を受けることができないとすることはできない、 <4>むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由および証拠によっては、本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、ほかに上記本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおりに決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項2】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸索剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項3】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断統的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、脱酸素剤製造工程の改善、特に人力に頼り生産効率の劣る複数の脱酸素剤包装体の任意の数量を酸素バリア性の外装袋中に包装する脱気密封包装工程に係わり、さらに詳しくは、任意の数量の脱酸素剤包装体を酸素バリア性の外装袋中に自動投入、脱酸素剤包装体の形状を崩すことなく自動的に整列、脱気密封包装後、該脱酸素剤包装体の外装袋を整形することを特徴とする脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置及び自動包装方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 脱酸素剤は空気中の酸素と反応するものであるため、製造された脱酸素剤は、任意の数量ごとに酸素バリア性の外装袋中に入れ、脱気密封して保存しなければならない。 【0003】 従来、この脱気密封包装する工程は、自動的に任意の数量の脱酸素剤包装体を酸素バリア性の外装袋中に投入する工程、及び手作業で脱酸素剤包装体を均一に揃えてから脱気密封包装する工程からなっていた。すなわち、この一連の工程は、完全自動工程ではなく、脱酸素剤包装体の自動充填工程と半自動の脱酸素剤包装袋の脱気密封工程からなっていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 近年、脱酸素剤は、安全性の高い保存剤としての地位を確立し、その適用分野が多岐にわたり、生産量も大幅に増大してきている。従って、各メーカーは大量の要員を導入して増産体制を整えているが、現今の要員不足、人件費の高騰によって製造コストがアップし、低価格で需要に応じた数量の供給が難しくなりつつある。 【0005】 このような問題点を有するため、脱酸素剤の生産能力の増強、コスト低減には脱酸素剤製造工程の改善、特に人力に頼り生産効率の劣る複数の脱酸素剤包装体の任意の数量を酸素バリア性の外装袋中に包装する脱気密封包装工程の自動化が急務となってきている。 【0006】 本発明は、任意の数量の脱酸素剤包装体を、酸素バリア性の外装袋中に製品の形状を崩すことなく正確かつ迅速に自動的に整列、脱気密封包装をすることのできる効率的な脱酸素剤包装袋の自動脱気密封包装装置、及びそれを用いてなる自動包装方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意研究した結果、従来から知られている煮豆類等の立体感のある食品の真空包装装置を改良することによって、任意の数量の脱酸素剤包装体を、酸素バリア性の外装袋中に均一かつ製品の形状を崩すことなく自動的に整列、脱気密封包装することのできる脱酸素剤包装袋の自動脱気密封包装装置を完成し、この包装装置及びこの装置を用いた包装方法が、前記目的を達成することができること見出し、本発明を完成した。 【0008】 本発明の脱酸素剤包装体の外装袋の自動脱気密封包装装置とは、袋詰め真空包装装置及び脱酸素剤包装体の外装袋の整形装置とからなっている。 本発明の自動脱気密封包装装置は、本来、煮豆等の立体感のある食品の包装用として開発され、使用されてきたものである。しかし、薄い板状体であって変形・破損しやすい脱酸素剤包装体の様な製品では、脱気包装工程で製品が交差し折れ曲がった状態で包装されるものが多いために、従来の袋詰真空包装装置はそのまま使用できないものであった。 【0009】 そこで、本発明者らは、上記装置に改良を加え、新たにを酸素バリア性の外装袋中に投入された任意の数量の脱酸素剤包装体を整列させる機能を付加し、脱酸素剤包装袋の自動脱気密封包装装置を完成するに至った。 【0010】 本発明に使用される脱酸素剤包装体の真空包装装置は、通常、脱酸素剤包装体の製造工程に引き続いて、脱酸素剤を保存するための脱酸素剤包装体の外装袋の製造工程において使用される。 以下、本発明に係わる脱酸素剤の真空包装装置について詳細に説明する。 【0011】 本発明において、脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置とは、例えば、図1に示す装置である。すなわち、酸素バリア性の外装袋の自動供給部、任意の数量の脱酸素剤包装体の投入部及び整列部8,任意の数量の脱酸素剤包装体の整列部9,脱気密封包装部、12,14からなる真空包装装置と脱酸素剤包装袋の整形装置18〜27から構成されている。 【0012】 なお、本発明の自動脱気密封包装装置は、脱酸素剤を投入、整列、脱気包装及び脱酸素剤包装袋の成形の機能を有するものであれば足り、装置の形状、例えば、上述のドラムの形状等について特に制限されるものではない。 【0013】 図1に例示される本装置は、脱酸素剤を投入、整列、脱気包装する自動脱気密封包装装置、及び脱酸素剤包装袋の成形機(図2,図3)とからなっている。 【0014】 自動脱気密封包装装置は、図1に示すような六角形状のドラム(1〜6)の1の位置で脱酸素斉リ包装体の外装袋が取り付けられて、このドラムが、1から2へ60度ずつ回転することにより、回転する度ごとに各単位操作が行われるものである。 【0015】 製造工程から送られてきた脱酸素包装体の任意の数量は、3の所で酸素バリア性の外装袋中に投入される。この後、横からレバーで押さえつける作業を繰り返し、投入された脱酸素剤包装体を縦方向に整列させる。通常、投入される脱酸素包装体の個数は100個〜200個程度であり、その個数は任意に調整することが可能である。 【0016】 次に、ドラムが60度右に回転して4の位置に外装袋が送られる。ここで、再度、レバー9によって、外装袋10を外側より断続的に押しつける作業を繰り返し、脱酸素剤包装体の整列を完全にして、次の脱気・包装工程5における製品の折れ曲がりを防止することができる。 【0017】 すなわち、図4の概念図に示すように初めは28のごとく外装袋中の脱酸素剤包装体の方向がばらばらであったものが、横からレバーで断続的に軽く押しつける作業を繰り返すことにより、29に示すごとく縦方向に整列されることによって、次の脱気工程5における製品の折れ曲がりを防止することができるものである。 【0018】 5の位置に送られた外装袋は、12に示す脱気密封装置(チャンバー)により脱気されつつ外装袋上部が仮密封される。この脱気密封の際の真空度は、通常、100〜200mmHgである。 【0019】 次に、6に送られ、該外装袋は本密封された後、1に送られて整形装置のベルトコンベアー部15(20)に載せられて、真空ボックス23に送られる。袋詰真空包装装置により脱気密封された外装袋中の脱酸素剤包装体は、下部に偏って脱気密封包装されているため、整形装置により整形し、均一な外装袋とする必要があるためである。 【0020】 本発明で使用される整形装置の一例を図2及び図3に示す。すなわち、1に送られた脱酸素剤包装体の外装袋は、装置内をベルトコンベアー20により移動し、真空ボックス23(25)に送られる。 【0021】 この真空ボックスは、真空度を外装袋内より高くすることにより、脱酸素剤包装体の外装袋が膨張するこによって、外袋内を移動出来るようになった脱酸素包装体を振動させるなどの方法で外装袋内に均一に分散させて後、真空ボックス内の真空を解除すると脱酸素剤包装袋は整列・整形されるものである。 【0022】 この整形装置による整形の概念を図5に示す。 すなわち、一方に偏って包装された状態で脱酸素剤包装体の外装袋30は、真空ボックス23(25)中に送り込まれ、ボックス内の真空度を外装袋内の真空度より高くすると、相対的な外圧差によって31の状態となる。その状態で、振動を与えると袋内に脱酸素剤包装体が均一に分散される。その際、整形用シリンダー21により上から包装袋を軽く押さえながら振動を行うと、より整形が完全となり好ましい。その後、容器内の減圧を解除すれば32のように均一な形状の脱酸素剤包装体の外装袋とすることができるものである。 【0023】 以上説明したように、本発明の脱酸素剤包装体の外装袋の自動脱気密封包装装置は、任意の数量の脱酸素剤包装体を酸素バリア性の外装袋中に脱酸素剤包装体の形状を崩すことなく自動的に整列、脱気密封包装するものである。 【0024】 また、本発明の脱酸素剤包装袋の自動脱気密封包装装置には、例えば、図1中の2の位置に、酸素検知剤の自動投入固定装置等を設置して、脱酸素剤包装体を投入する前に、予め酸素検知剤を投入、貼付等することも可能である。さらに、外装袋内の酸素検知剤を固定脱気密封包装後も外から見える様に工夫・配置することにより、密封後に外部から内部の酸素の有無の確認が可能となる。 【0025】 前記脱酸素剤包装体の外装袋の自動脱気密封包装装置を用いて脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装に使用される脱酸素剤には、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜ニチオン酸塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、没食子酸、鉄粉等の金属粉、アスコルビン酸等を含有するものが例示され、特に限定されない。 【0026】 また、本発明の自動脱気密封包装装置は、上記の脱酸素剤包装体のほか、炭酸ガス発生機能、炭酸ガス吸収機能、アルコール吸着機能、アルコール発生機能、エチレンガス吸収機能等を有した複合型脱酸素剤包装体、炭酸ガス発生剤、炭酸ガス吸収剤、アルコール吸着剤、アルコール発生剤、エチレンガス吸収剤等を収納した包装体、水分調湿剤や乾燥剤の包装体等の密封包装・保存を要する広範囲な鮮度保持剤類の外装袋の密封包装にも使用することができる。 【0027】 【発明の効果】 本発明の脱酸素剤包装袋の自動脱気密封包装装置は、従来半自動であった酸素バリア性の外装袋中への脱酸素剤包装体の充填・整列、脱酸素剤包装袋の脱気・密封包装・整形からなる各工程を自動的に行うものである。 【0028】 袋詰真空包装機は、一般に煮豆等の立体感のある製品の包装に開発されたもので、薄い板状で変形しやすい脱酸素剤包装体の様な製品では、脱気工程で製品の折れ曲りが著しく、そのままでは使用に耐ええないものであった。本発明は、かかる袋詰真空包装機の欠点を前記包装工程に改良を加えて脱酸素剤包装体の充填、整列、脱気密封包装、整形の自動化に成功したものである。 したがって、その食品分野を始めとする産業上における意義は極めて大きい。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の脱酸素剤包装袋の自動脱気密封包装装置である。 【図2】本発明の脱酸素剤包装袋の整形装置(正面図)である。 【図3】本発明の脱酸素剤包装袋の整形装置(横面図)である。 【図4】脱酸素剤包装体の外装袋中での整列の概念図である。 【図5】外装袋中の脱酸素剤包装体の整形の概念図である。 【符号の説明】 1,2,3,4,5,6:六角形状のドラム、8:任意の数量の脱酸素剤包装体の投入部、9:外装袋の姿勢制御レバー、11:脱気密封包装部の脱気装置、12:脱気仮密封包装装置、13,24:脱気口、14:本シール装置、15:ベルトコンベアー、18:整形装置制御盤、23:整形装置の真空ボックス、10,19,22,26:脱酸素剤包装体の外装袋、20:ベルトコンベアー、21:整形用シリンダー、25:真空ボックスが開いた状態、27:脱酸素剤包装袋の整形装置の振動装置 【図面】 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 A.特許請求の範囲の 「【請求項1】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項2】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項3】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項4】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする、請求項2記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項5】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、自動的に外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より一旦高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、請求項2記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項6】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より一旦高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、請求項2記載の脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項7】請求項1記載の自動脱気密封包装装置を用いることを特徴とする脱酸素剤包装体の自動包装方法。」 を、特許請求の範囲の減縮および明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正明細書の特許請求の範囲の記載のとおり、すなわち、次のように訂正する。 「【請求項1】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項2】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封し、さらに整形することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。 【請求項3】酸素バリア性外装袋への複数の脱酸素剤包装体の投入時および/または投入後、外装袋の周囲を自動的に断続的に押さえつけることにより外装袋中の複数の脱酸素剤を整列させ、ついで、該外装袋を脱気密封すること、さらに、該脱気密封された外装袋の周囲の真空度を袋内の真空度より一旦高くすることにより外装袋を整形することを特徴とする、脱気密封時に脱酸素剤包装体の形状を崩すことのない脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置。」 |
異議決定日 | 2001-06-05 |
出願番号 | 特願平5-108908 |
審決分類 |
P
1
651・
161-
YA
(B65B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 池田 貴俊 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
西村 綾子 船越 巧子 |
登録日 | 1999-08-13 |
登録番号 | 特許第2966689号(P2966689) |
権利者 | 日本曹達株式会社 ニッソー樹脂株式会社 |
発明の名称 | 脱酸素剤包装体の自動脱気密封包装装置 |
代理人 | 今城 俊夫 |
代理人 | 村社 厚夫 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 岡 潔 |
代理人 | 東海 裕作 |
代理人 | 東海 裕作 |
代理人 | 小川 信夫 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 箱田 篤 |
代理人 | 東海 裕作 |
代理人 | 宍戸 嘉一 |
代理人 | 竹内 英人 |