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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1050731
審判番号 不服2000-3344  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-11-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-09 
確定日 2001-12-07 
事件の表示 平成9年特許願第114072号「負イオン発生装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年11月13日出願公開、特開平10-300139]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年5月1日の出願であって、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項3に記載された、次の事項により特定されるものである。
「【請求項3】水槽内に貯留された水を汲み出して放水部に給水し、分裂処
理を行い、微細水滴に分裂させて空気中に負イオンを発生させ、発生した負イオンを含む空気を外気中へ送出する負イオン発生装置であって、給水用ポンプと、浄水装置とを有し、給水用ポンプは、水槽内の水を汲み出して放水部に給水するものであり、浄水装置は、水槽と給水用ポンプとをつなぐ配管に設置され、放水部に給水すべき水を浄化処理するものであることを特徴とする負イオン発生装置。」
なお、本願明細書について、平成12年4月10日付けで手続補正がなされたが、これは、平成13年9月20日付けで却下されたので、上記のとおり認定した。
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特公平5-58755号公報(以下、「引用例1」という。)には、「水から微細水滴を発生させる微細水滴製造機と、該微細水滴製造機により微細水滴を発生させると同時に機内に風速0.5〜50m/secで空気を導入して微細水滴混合空気とする送風機と、前記微細水滴混合空気中の少なくとも粒径1μmより大きな微細水滴を分離して超微細水滴混合空気とする分離器とからなり、前記超微細水滴混合空気1m3中に陰イオンを1.25×105個以上発生させる陰イオン製造装置。」(特許請求の範囲2)、「第1図は本発明の陰イオン製造方法を具体化した陰イオン製造装置のフローシート図である。同図において、1は陰イオン製造装置を示し、該陰イオン製造装置1は、水から微細水滴を発生させる微細水滴製造機2と、該微細水滴製造機2により微細水滴を発生させると同時に機内に風速0.5〜50m/secで空気を導入して微細水滴混合空気とする送風機と、前記微細水滴混合空気中の少なくとも粒径1μmより大きな微細水滴を分離して超微細水滴混合空気とする分離器とからなる。前記微細水滴製造機2は、タンク5と、このタンク5内に収納されかつシャフト6にそれぞれ取り付けた円板7,8と、これらの円板7,8にそれぞれ水を供給する水供給管9,10と、・・・(中略)・・・また、微細水滴発生器12のタンク5内の水は循環使用により次第に汚染されるから、前記ボールタップ弁17により回分的にあるいは連続的に水を変える必要がある。」(第3頁左欄第30行〜同右欄第42行)、「第2図は、本発明装置の他の実施例を示す陰イオン製造装置1aのフローシート図で、この陰イオン製造装置1aと第1図の実施例との相違点は、微細水滴製造機が異なる点にある。すなわち、この微細水滴製造機2aは、・・・(中略)・・・タンク30内の水を微細水滴化する超音波加湿器31とからなり、比較的小型の陰イオン製造装置に対処するものである。」(第5頁左欄第6〜15行)との記載が図面とともに示されている。
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、実願平1-48973号(実開平2-140245号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、「本体ケース1と着脱自在なカートリッジ式の水タンク14とから成り水受皿7に一定量の水を供給し振動素子6によって霧を放出する加湿器に於いて、前記水受皿7は流水路8とリターン路9とを介して霧化室5と連通させ且つ流水路8には霧化室5に水を圧送するポンプ10と圧送される水を浄化する浄化装置11とを取付け更に霧化室5の底部は弁装置16の底面と同一又はそれ以下の位置に設定した事を特徴とする加湿器。」(実用新案登録請求の範囲)、「この従来の加湿器に於いては、霧化動作又は使用しない時でも常に霧化室の底部に水が一定水面を保って貯留されており、従って霧吹出口よりゴミや雑菌等が霧化室に入り、しかも振動素子によって水を霧化する際に熱を発生して水の温度を昇温することもあってカビ等を繁殖させる事があった。」(第2頁第11〜16行)、「霧化室底部への水の供給は不純物の濾過された清浄な水であり、従って周囲に放出された霧も清潔で無臭である。」(第7頁第3〜6行)との記載があり、これらの記載と図面(第1図及び第2図)の記載からみて、浄化装置は、水受皿とポンプをつなぐ流水路の延長上であって、ポンプと霧化室との間の流水路に設置されていることが理解できる。
3.対比・判断
本願発明(前者)と引用例1記載のもの(後者)とを対比すると、後者の
「タンク」、「円板」、「陰イオン」、「陰イオン製造装置」、「水供給装置」は、それぞれ前者の「水槽」、「放水部」、「負イオン」、「負イオン発生装置」、「給水用ポンプ」に相当している。そして、後者の微細水滴は、水が分裂処理により分裂されて発生しているものと理解できる。
したがって、両者は、水槽内に貯留された水を汲み出して放水部に給水し、分裂処理を行い、微細水滴に分裂させて空気中に負イオンを発生させ、発生した負イオンを含む空気を外気中へ送出する負イオン発生装置であって、給水用ポンプを有し、給水用ポンプは、水槽内の水を汲み出して放水部に給水するものである負イオン発生装置の点で一致し、
前者が、浄水装置を有し、浄水装置は、水槽と給水用ポンプとをつなぐ配管に設置され、放水部に給水すべき水を浄化処理するものであるとしているのに対し、後者には浄水装置に関する記載がない点で両者は相違している。
そこで、上記相違点について検討する。
上記のとおり、引用例2記載の加湿器において、水槽(「水受皿7」として記載されている。)と給水用ポンプ(「ポンプ10」として記載されている。)とをつなぐ配管(「流水路8」として記載されている。)の延長上であって同ポンプと霧化室とをつなぐ配管(「流水路」)に浄水装置(「浄化装置11」として記載されている。)を配置したものが記載されている。
そして、浄水装置(「浄化装置」)は、放水部(「振動素子6を備えた霧化室5」として記載されている。)に給水すべき水を浄化処理するものであることが理解できる。
既にみたように、上記引用例1記載の負イオン発生装置においても水槽内の水の汚染に対処するという課題が提示されていること、また、負イオン発生装置の実施例として加湿器が記載されていることを考慮すると、引用例1記載のものにおいて、放水部に給水すべき水を浄化処理するために、浄水装置を設けることは、上記引用例2記載のものから、当業者が容易に想到しえたことであり、その際、水槽と給水用ポンプとをつなぐ配管に浄水装置を配置するようにした点は、水槽と給水用ポンプとをつなぐ配管の延長上に設けたものが示された上記引用例2記載のものから、当業者が必要に応じて適宜採択しえたことである。
そして、本願発明を全体としてみても、上記両引用例のものから予測することができない顕著な作用効果を奏するものであるとも認められない
4.むすび
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願発明は、両引用例記載のものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-09-20 
結審通知日 2001-10-02 
審決日 2001-10-15 
出願番号 特願平9-114072
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 好文  
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 岡本 昌直
井上 茂夫
発明の名称 負イオン発生装置  
代理人 菅野 中  

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