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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F23G
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 F23G
管理番号 1054295
審判番号 審判1996-124  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-01-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-01-11 
確定日 2002-03-04 
事件の表示 平成 1年特許願第137160号「廃棄物溶融炉」拒絶査定に対する審判事件〔平成 3年 1月11日出願公開、特開平 3- 5611、平成 5年 3月22日出願公告、特公平 5- 20645、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯等
本願は、平成1年5月30日の出願であって、出願公告後の平成8年2月7日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて「廃棄物溶融炉」関する発明と認める。
2.原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由である特許異議の決定の理由の概要は、本願の明細書又は図面の記載は次の点で不備であるから、特許法第36条第3項あるいは同条第4項第2号に規定する要件を満たしていないとするものである。
(1)塊状炭素系可燃物質挿入口は、特許請求の範囲の請求項1(以下、「請求項1」という。)についてみると、中空錐体の上部に接続されている限定はあるが、その挿入口の下端開口部について何らの限定がない。そして上部という意味も下部又は中部でなく上の方ということだけであって、これだけの限定では明細書の作用の項でいう如く、空間が生じない、というための構成がこの請求項1に記載されているとすることはできない。
なお、炉内最上部という表現が不適切であれば、他の適切な表現で請求項1の記載と発明の詳細な説明の記載の対応関係を適切にすべきであった。
(2)排ガス管は中空錐体の上部に設けられるのが必須の構成であると認められるが、その排ガス管の径又は断面積又は炭素系可燃物の斜面に接するところの面積等について請求項1に記載はなく、かつ、発明の詳細な説明の欄においても特に説明はない。そのため、この排ガス管の径又は上記の断面積又は面積が大きくなっても、コークスが転がるのか、転がらないのかが明瞭でない。
ところで、請求項1でいう中空錐体上部内面を安息角にした場合に、上記した排ガス管の炭素系可燃物の斜面に接する所の面積が大きい、あるいは、この斜面に接する所の高低差がある程度以上大きいと、コークスが転がるのではないかと考えられる。これについて、前述したが、請求項1に何の限定もなく、又、発明の詳細な説明の欄においても説明が十分になされていない。そして、このコークスが転がるようなことがあれば、この請求項1の発明の目的は達成できないのであるから、請求項1の記載又は発明の詳細な説明の欄の記載に不備があるものと認められる。
(3)次に、出願人は「酸素含有ガス吹き込み圧力も1000mm水柱以下に低減でき」は実施例における効果の実施値というが、発明の効果の項に請求項1の発明の効果の如く書かれているため、発明の効果が不明瞭になっているのと認める。

3.当審の判断
(1)上記2.(1)の点について
この点については、平成8年2月7日付けの手続補正書によって、請求項1に記載された「前記中空錐体の上部には複数の塊状炭素系可燃物質挿入口と複数の排ガス管を接続する」は「前記中空錐体の上部には複数の塊状炭素系可燃物質挿入口を下端開口が塊状炭素系可燃物質充填域の最上部に位置するように設け、前記中空錐体の上部に複数の排ガス管を接続する」に補正されたから、この点について、明細書に記載の不備があるとすることはできない。
なお、上記補正した点は、塊状炭素系可燃物質挿入口の構成をさらに限定したものであり、しかも、この点は明細書及び図面に記載された事項であるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、また、特許請求の範囲を実質的に拡張、変更するものではない。
(2)上記2.(2)の点について
補正された請求項1の記載によれば、中空錐体の上部には複数の塊状炭素系可燃物質挿入口を下端開口が塊状炭素系可燃物質充填域の最上部に位置するように設け、中空錐体の上部に複数の排ガス管を接続するように設けられており、この構成により、平成8年2月7日付け審判請求理由補充書第6頁19〜27行に記載されたように「その下端開□より下は炉内、即ち充填域になっており、装入口より装入された可燃物は、炉内で安息角を形成し、安定した表面の形状で位置しようとする。而して、中空錐体上部内面は、該可燃物の安息角、又は安息角以上の角度に形成されているので、この部分には塊状炭素系可燃物が外力を用いずとも、重力の差で、充満し、空間が生じることはない。このようにして、一旦、充満したあとは、塊状炭素系可燃物が次々と装入され、徐々に降下するため、つねに該可燃物が充満し、空間が生じることはない。従って、該可燃物は転がることなく流入充填される。」ことになるといえる。
そして、排ガス管の径は、焼却炉の容量、炉内の許容空塔速度、排ガス管内の許容排ガス速度、排ガス管の数等に基づいて決定される設計上の事項といえること、その際、可燃物が転がることのないような管径とすることは、発明の実施の際、当業者が適宜考慮すればよい事項といえるから、請求項1及び発明の詳細な説明に、排ガス管の径又は断面積又は炭素系可燃物の斜面に接するところの面積等を特定するところがないからといって、請求項1の発明の目的を達成することができないとすることはできない。したがって、この点について、明細書及び図面の記載に不備があるすることはできない。
(3)上記2.(3)の点ついて
上記手続補正書により、効果の項に記載されていた「酸素含有ガス吹き込み圧力も1000mm水柱以下に低減でき」は、効果の項から削除され、実施例中に記載されたから、この点について、明細書の記載に不備はない。
なお、上記補正した点は、明瞭でない記載の釈明に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張、変更するものではない。
(4)したがって、本願の明細書及び図面の記載に不備があるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願は、原査定の拒絶の理由である特許異議の決定の理由により拒絶することができない
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-02-13 
出願番号 特願平1-137160
審決分類 P 1 8・ 531- WY (F23G)
P 1 8・ 534- WY (F23G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 哲夫村本 佳史前田 仁  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 長浜 義憲
櫻井 康平
発明の名称 廃棄物溶融炉  
代理人 秋沢 政光  
代理人 佐竹 章  

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