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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  F23G
管理番号 1054859
異議申立番号 異議2000-74297  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-11-29 
確定日 2001-11-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3046255号「廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置」の請求項1、2、5ないし9、12ないし14に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3046255号に係る発明についての出願は、平成8年12月12日に特許出願され、平成12年3月17日に設定登録がなされ、その後、松本信雄より特許異議の申立てが、本件特許の請求項1,2,5-9,12-14に対してなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間である平成13年8月20日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ.訂正事項b
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ.訂正事項c
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項5を削除する。
エ.訂正事項d
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項6の、
「【請求項6】
ボイラ下流に2基の集塵機を直列に設け、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉に循環して溶融し、下流側の集塵灰を系外に排出する請求項2、3又は4記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」を、
「【請求項3】
ボイラ下流に2基の集塵機を直列に設け、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉に循環して溶融し、下流側の集塵灰を系外に排出する請求項1又は2記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」と訂正する。
オ.訂正事項e
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項7の、
「【請求項7】
流動床にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかからなる脱塩剤を供給する請求項1〜6のいずれかに記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」を、
「【請求項4】
流動床にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかからなる脱塩剤を供給する請求項1、2又は3記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」と訂正する。
カ.訂正事項f
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項8を削除する。
キ.訂正事項g
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項9を削除する。
ク.訂正事項h
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項12を削除する。
ケ.訂正事項i
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項13の、
「【請求項13】
ボイラの排ガス導管に上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉とを集塵灰循環導管を介して接続した請求項9、10又は11記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」を、
「【請求項7】
ボイラの排ガス導管に上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉とを集塵灰循環導管を介して接続した請求項5又は6記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」と訂正する。
コ.訂正事項j
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項14の、
「【請求項14】
部分燃焼炉に脱塩剤供給手段を接続した請求項8〜13のいずれかに記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」を、
「【請求項8】
部分燃焼炉に脱塩剤供給手段を接続した請求項5、6又は7記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」と訂正する。
サ.訂正事項k
本件特許明細書の段落【0009】の次の記載
「上記の目的を達成するために、本発明の廃棄物のガス化溶融処理方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを燃焼炉に導入し燃焼させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させるように構成されている(図1参照)。」を、
「上記の目的を達成するための方法としては、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを燃焼炉に導入し燃焼させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させる構成がある(図1参照)。」と訂正する。
シ.訂正事項l
本件特許明細書の段落【0010】の次の記載
「また、本発明の方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、前記可燃ガス燃焼ボイラに過熱器を設けて水蒸気を過熱することを特徴としている(図2参照)。この場合、溶融炉からの排ガスを、可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部に導入することが好ましい。」を、
「上記の目的を達成するために、本発明の廃棄物のガス化溶融処理方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、前記可燃ガス燃焼ボイラに過熱器を設けて水蒸気を過熱し、溶融炉からの排ガスを可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部に導入するように構成されている(図2参照)。」と訂正する。
ス.訂正事項m
本件特許明細書の段落【0014】の次の記載
「本発明の廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させるための燃焼炉と、このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、を備えたことを特徴としている(図1参照)。」を、
「図1に示す廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させるための燃焼炉と、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
を備えた構成である。」と訂正する。
セ.訂正事項n
本件特許明細書の段落【0015】の次の記載
「また、本発明の装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させるための可燃ガス燃焼ボイラと、このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、前記可燃ガス燃焼ボイラに設けられた、水蒸気を過熱するための過熱器と、を備えたことを特徴としている(図2参照)。この場合、溶融炉と可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部とを、溶融炉排ガス導管を介して接続することが好ましい。」を、
「また、本発明の廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させるための可燃ガス燃焼ボイラと、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
前記可燃ガス燃焼ボイラに設けられた、水蒸気を過熱するための過熱器と、
を備え、溶融炉と可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部とを、溶融炉排ガス導管を介して接続したことを特徴としている(図2参照)。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項a,b,c,f,g,hは、特許請求の範囲の請求項を削除するもので、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項d,e,i,jは、引用請求項を減少するもので、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項k,l,m,nは、訂正事項a,b,f,gにおける請求項の削除にともない、発明の詳細な説明中の【課題を解決するための手段】を訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項乃至第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
特許異議申立人 松本信雄により、本件特許の請求項1,2,5-9,12-14に対して異議の申立てがなされたが、訂正の結果、異議の申立てがなされた請求項のうち、請求項1,2,5,8,9,12は削除され、また、請求項6,7,13,14についても、異議の申立てがなされていない請求項のみを引用するように訂正され、特許異議の申立ての対象が存在しないので、この特許異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものである。
したがって、本件特許異議の申立ては、特許法第120条の6第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、前記可燃ガス燃焼ボイラに過熱器を設けて水蒸気を過熱し、溶融炉からの排ガスを可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部に導入することを特徴とする廃棄物のガス化溶融処理方法。
【請求項2】 廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、この未燃分含有固体を脱塩装置に導入して塩類を分離した後、脱塩された未燃分含有固体を溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、この溶融炉の後流の排ガス系統に最終過熱器を設けて水蒸気を最終過熱することを特徴とする廃棄物のガス化溶融処理方法。
【請求項3】 ボイラ下流に2基の集塵機を直列に設け、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉に循環して溶融し、下流側の集塵灰を系外に排出する請求項1又は2記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。
【請求項4】 流動床にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかからなる脱塩剤を供給する請求項1、2又は3記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。
【請求項5】 廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させるための可燃ガス燃焼ボイラと、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
前記可燃ガス燃焼ボイラに設けられた、水蒸気を過熱するための過熱器と、
を備え、溶融炉と可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部とを、溶融炉排ガス導管を介して接続したことを特徴とする廃棄物のガス化溶融処理装置。
【請求項6】 廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させる可燃ガス燃焼ボイラと、
このサイクロンからの未燃分含有固体を導入して水洗により塩類を除去するための脱塩装置と、
脱塩された未燃分含有固体を燃焼・溶融するための溶融炉と、
この溶融炉と前記可燃ガス燃焼ボイラとを接続する溶融炉排ガス導管と、
前記溶融炉の後流の排ガス系統に設けられた、水蒸気を最終過熱するための最終過熱器と、
を備えたことを特徴とする廃棄物のガス化溶融処理装置。
【請求項7】 ボイラの排ガス導管に上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉とを集塵灰循環導管を介して接続した請求項5又は6記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。
【請求項8】 部分燃焼炉に脱塩剤供給手段を接続した請求項5、6又は7記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ、産業廃棄物などの廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置、詳しくは、廃棄物を流動床で部分燃焼して一旦ガス化し、このガスを可燃ガスと未燃分含有固体とに分離し、この未燃分含有固体を溶融炉に導入してごみ中の灰分を高温で溶融しスラグ化する廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特開平7-332614号公報に記載されているように、廃棄物や石炭などを流動層で理論空気量の30%以下、450〜650℃で燃焼させて、可燃ガスと微粒子(未燃分含有固体)を多量に含む生成ガスを発生させ、この生成ガスを溶融炉に供給し高温燃焼させて灰を溶融しスラグ化する方法及び装置が知られている。
図9は、従来の廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置を示している。廃棄物、例えば、都市ごみは、ごみホッパ10からごみ供給機11で流動床12を備えた部分燃焼炉14に供給され、還元雰囲気で部分燃焼されて可燃ガスと未燃分含有固体を含む生成ガスが発生する。この生成ガスは溶融炉16に導入され高温燃焼して灰が溶融しスラグとして取り出される。18は空気分散機構である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法及び装置では、生成した可燃ガスと微粒子(未燃分含有固体)とを一緒にして1つの溶融炉に導入しているので、廃棄物の発熱量が変化すると、溶融炉の温度が変化する。このため、溶融炉内で灰分が溶解したり溶解しなかったりして、溶融炉の運転が不安定になって連続運転に支障を来たしていた。
【0004】
これに対処するために、溶融炉で重油などの燃料を助燃料として燃焼させて、溶融炉の温度を所定の高温に維持する方法が採用されることがあるが、重油などの燃料の費用が余分にかかることになり、経済的でないという問題点があった。
また、廃棄物、とくに都市ごみ中には塩素系プラスチックに基因する塩素分が含まれており、この塩素分が燃焼によって塩化水素ガスになり、高温状態では著しい腐食性を有するために、高温度の水蒸気を回収することができないという問題点があった。
【0005】
廃棄物、例えば、ごみの発熱量変動の主な原因は、ごみに含まれる水分の変化によるものである。このため、ごみを流動床で部分燃焼させると、生成した部分燃焼ガスの発熱量は、ごみに含まれる水分の変化につれて変化することになる。
生成した部分燃焼ガスは、CO、H2、メタンなどを主成分とする可燃ガス分と、ごみ中の灰分及び未燃のチャー(以下、未燃分含有固体と言う)などを主成分とする固形分とからなっている。ごみに含まれている水分の変化によって変化するのは、部分燃焼によって生成した可燃ガスの発熱量であり、部分燃焼に伴う未燃分含有固体の発熱量はごみに含まれる水分の影響はあまり受けない。すなわち、ごみの発熱量が変動しても、未燃分含有固体の発熱量はほぼ一定で安定している。一般的なごみでは、ごみの熱量の概略20%程度の熱量に相当する未燃分含有固体が生成する。
【0006】
図8は、ごみの発熱量と溶融炉の燃焼温度との関係を示したもので、ごみの発熱量が低くなると溶融炉の温度が低くなり、ごみの発熱量が高くなると溶融炉の温度が高くなる。また、空気温度が300℃の理論検討の結果であるが、空気温度が高くなると溶融炉の温度も高くなる。ここで、ごみ中の灰分を溶融するのに必要な温度を1400℃とすると、ごみの発熱量が1800kcal/kg以上必要なことが解る。一般的なごみの発熱量は、その水分の変動から、かなりの変化があり、例えば、1000kcal/kgから2500kcal/kg程度の変動がある。このため、ここでは1800kcal/kgよりも発熱量の低いごみが部分燃焼炉に入ると、溶融炉の温度が低くなり灰分が溶融しなくなって溶融炉が詰まり、運転停止に至る。
【0007】
発熱量の低いごみが部分燃焼炉に入り、溶融炉の温度が低下して溶融炉の運転停止に至るのを避けるために、一般的には発熱量の高い重油などを燃焼させて、溶融炉の温度が所定値になるようにしている。このため、費用の高い重油などの燃料が必要になっている。
一方、ごみの部分燃焼によって生成した未燃分含有固体は、ごみ中の灰分と部分燃焼によって生成したチャーが主成分で、発熱量は概略4000kcal/kgと高い。このため燃焼温度も非常に高くなるので、溶融炉を所定の高温に維持するのになんら問題がないことが試験の結果明らかになった。
また、この未燃分含有固体の発熱量は、種々の長期の試験研究の結果、部分燃焼炉に入るごみの発熱量に関係がなく、ほぼ一定であることが明らかになった。ごみの発熱量変動の原因が水分の増減によるもので、未燃分含有固体の発熱量はこの水分の増減には影響を受けないためである。
【0008】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、部分燃焼ガスを、固気分離装置、例えば、サイクロンに導入して未燃分含有固体を分離して、この未燃分含有固体を燃料とする溶融炉で燃焼させて灰分を溶融しスラグ化し、一方、分離された可燃ガスをこの溶融炉とは別の燃焼炉、例えば、可燃ガス燃焼ボイラで燃焼させることにより、ごみに含まれる水分の変化による発熱量の影響を受けることなく、低コストで安定した溶融炉の運転を行うことができる廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高温度の水蒸気を回収できるようにして、高効率発電が可能なようにした廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための方法としては、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを燃焼炉に導入し燃焼させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させる構成がある(図1参照)。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の廃棄物のガス化溶融処理方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、前記可燃ガス燃焼ボイラに過熱器を設けて水蒸気を過熱し、溶融炉からの排ガスを可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部に導入するように構成されている(図2参照)。
【0011】
また本発明の方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、この未燃分含有固体を脱塩装置に導入して塩類を分離した後、脱塩された未燃分含有固体を溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、この溶融炉の後流の排ガス系統に最終過熱器を設けて水蒸気を最終過熱することを特徴としている(図5参照)。
【0012】
ごみには、一般的に塩素分が1%前後含まれているが、流動層温度550〜600℃程度での部分燃焼によって、塩素分の大部分は未燃分含有固体に移行し、生成した可燃ガス中の塩素分(大部分は塩化水素ガス)は少なくなる。
また、部分燃焼を実施する時に、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかからなる脱塩剤を供給することによって、未燃分含有固体に移行する塩素分の割合は増加して、生成した可燃ガス中の塩素分はさらに少なくなる。
脱塩剤は流動床の内部又は流動床の上側に供給する。脱塩剤としては、具体的には、Ca(OH)2、CaO、Na2CO3、CaCO3などが用いられる。
【0013】
生成した可燃ガス中の塩素分が少ないので、この可燃ガスを燃焼した排ガス中には塩化水素ガスが少ない。このため、ボイラの伝熱管に対する腐食性が少なくなる。それ故、生成ガスを燃焼した系内に水蒸気の最終過熱器を設けることによって、高温度の過熱蒸気が得られるので、ごみを燃料とした高効率の発電が可能となる。
さらに、未燃分含有固体に移行した塩素分の大部分は、水溶性の化合物、例えば、NaCl、KCl、CaCl2であるので、水洗することによって未燃分中の塩素分の大部分を除去することが出来る。この塩素分の大部分を除去した未燃分含有固体を燃料とする溶融炉の排ガス中には、塩化水素ガスは殆ど含まれることがない。このため、この排ガス系統に少なくとも水蒸気の最終過熱器を設けることによって、高温度の過熱蒸気が得られるので、ごみを燃料とした高効率の発電が可能となる。
また、燃焼炉下流又はボイラ下流に2基の集塵機を直列に設け、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉に循環して溶融し、下流側の集塵灰を系外に排出することが好ましい。
【0014】
図1に示す廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させるための燃焼炉と、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
を備えた構成である。
【0015】
また、本発明の廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させるための可燃ガス燃焼ボイラと、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
前記可燃ガス燃焼ボイラに設けられた、水蒸気を過熱するための過熱器と、
を備え、溶融炉と可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部とを、溶融炉排ガス導管を介して接続したことを特徴としている(図2参照)。
【0016】
また、本発明の装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させる可燃ガス燃焼ボイラと、
このサイクロンからの未燃分含有固体を導入して水洗により塩類を除去するための脱塩装置と、
脱塩された未燃分含有固体を燃焼・溶融するための溶融炉と、
この溶融炉と前記可燃ガス燃焼ボイラとを接続する溶融炉排ガス導管と、
前記溶融炉の後流の排ガス系統に設けられた、水蒸気を最終過熱するための最終過熱器と、
を備えたことを特徴としている(図5参照)。
【0017】
これらの装置において、部分燃焼炉に脱塩剤供給手段を接続することが好ましい。また、燃焼炉の排ガス導管又はボイラの排ガス導管に上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉とを集塵灰循環導管を介して接続することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の第1形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示している。14は、廃棄物、例えば、ごみの部分燃焼炉で、出口に固気分離装置、例えば、サイクロン20を設けて、分離した未燃分含有固体は、未燃分ホッパ22を介して溶融炉24に供給できるように接続されている。
部分燃焼炉14は流動床炉で、ごみはごみホッパ10からごみ供給機11でこの流動床12に供給され、ごみ中の可燃分は流動床12下部から供給される空気によって部分燃焼されて、可燃ガスと未燃分含有固体に転換される。この時の部分燃焼条件として、空気比は0.15から0.3程度、流動床温度として500℃から600℃程度が採用される。このような条件でごみを部分燃焼すると、ごみ中の塩素分の大部分は、未燃分含有固体に含有され、可燃ガスに含まれる量は少なくなる。未燃分含有固体の熱量は供給したごみの熱量の概略20%程度となる。
部分燃焼炉14を出た部分燃焼ガスは、サイクロン20で可燃ガスと未燃分含有固体とに分離される。分離された未燃分含有固体は、未燃分ホッパ22に一旦貯蔵され、必要量に応じて未燃分供給機26で、溶融炉24に供給され燃焼空気で燃焼されて、ごみ中の灰分を溶融スラグとして燃焼ガスから分離する。溶融スラグの排出は、一般的に水封構造でなされ、水で急冷される。18は空気分散機構である。
サイクロン20を出た可燃ガスは燃焼炉28で燃焼される。この可燃ガス中には塩化水素ガスが少ないので、燃焼炉内部の腐食を低減することができる。
燃焼炉28の排ガス導管には、後述の実施の第2形態における場合と同様に、上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉24とを集塵灰循環導管を介して接続して、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉24に循環するように構成することが好ましい。
【0019】
図2は、本発明の実施の第2形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示している。14は、廃棄物、例えば、ごみの部分燃焼炉で、出口にサイクロン20を設けて、分離した未燃分含有固体は、未燃分ホッパ22を介して溶融炉24に供給できるように接続されている。
部分燃焼炉14は流動床炉で、ごみはごみホッパ10からごみ供給機11でこの流動床12に供給され、ごみ中の可燃分は流動床12下部から供給される空気によって部分燃焼されて、可燃ガスと未燃分含有固体に転換される。この時の部分燃焼条件として、空気比は0.15から0.3程度、流動床温度として500℃から600℃程度が採用される。このような条件でごみを部分燃焼すると、ごみ中の塩素分の大部分は、未燃分含有固体に含有され、可燃ガスに含まれる量は少なくなる。未燃分含有固体の熱量は供給したごみの熱量の概略20%程度となる。
部分燃焼炉14を出た部分燃焼ガスは、サイクロン20で可燃ガスと未燃分含有固体とに分離される。分離された未燃分含有固体は、未燃分ホッパ22に一旦貯蔵され、必要量に応じて未燃分供給機26で、溶融炉24に供給され燃焼空気で燃焼されて、ごみ中の灰分を溶融スラグとして燃焼ガスから分離する。溶融スラグの排出は、一般的に水封構造でなされ、水で急冷される。
【0020】
未燃分含有固体中にはごみに含まれていた塩素分の大部分が含まれているので、溶融炉24からの燃焼排ガスには高い濃度の塩化水素ガスが含まれている。このため、可燃ガス燃焼ボイラ30の過熱器の後流部で合流する構造になっている。25は溶融炉排ガス導管である。
サイクロン20をでた可燃ガスはボイラ30で、燃焼用空気とともに燃焼される。この排ガス中には塩化水素ガスが少ないので、ボイラに過熱器を設けて高温度の過熱蒸気を回収することが出来る。32はエコノマイザ、34は蒸発器、36は1次過熱器、38は最終過熱器である。
【0021】
図3は、可燃ガス燃焼ボイラ30の一例の詳細を示している。ボイラ30に可燃ガスと燃焼用空気とが供給されて可燃ガスは燃焼し、燃焼ガスは水管壁40を加熱しながら、例えば、最終過熱器38、1次過熱器36、蒸発器34、エコノマイザ32の順に加熱する。42は蒸気ドラムである。
【0022】
ボイラ30を出た燃焼排ガス中には、サイクロン20で集塵出来なかったダスト、及び溶融炉排ガスに含まれるダストが含まれているので、上流側集塵機44で分離して、全量あるいは少なくともその一部分を溶融炉24に循環する。全量循環しない場合は系外に排出する。このことによって、ごみ中の灰分の殆どを溶融スラグとして回収することが出来る。45は集塵灰循環導管である。
上流側集塵機44の後流側には、下流側集塵機46が接続されており、この下流側集塵機46で捕捉されたダスト(灰)は系外に排出される。48は排ガスファンである。
【0023】
図4は、本発明の実施の第3形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示している。本実施形態は、さらに改良された方法及び装置で、部分燃焼炉14に脱塩剤供給手段50を設けている。部分燃焼炉14に脱塩剤、例えば消石灰、生石灰などを供給すると、ごみの部分燃焼で発生した塩化水素ガスと反応して塩化カルシウムとなって、可燃性ガスから塩化水素ガスが除去される。除去された塩素分は、サイクロン20で可燃性ガスから分離されて、未燃分含有固体中に混合される。
このように、部分燃焼炉14に脱塩剤を供給することによって、可燃ガス中の塩化水素濃度を低くすることが可能であるので、ボイラ30で燃焼される排ガス中には塩化水素ガスが少なくなり、このため、少なくともボイラに最終過熱器38を設けてさらに高温度の過熱蒸気を回収することが出来る。他の構成及び作用は実施の第2形態の場合と同様である。
【0024】
図5は、本発明の実施の第4形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示している。本実施形態は、さらに改良された方法及び装置で、サイクロン20で集塵した未燃分含有固体を、脱塩装置52に導入して含有されている塩素分を分離する。脱塩装置52は、水を供給して水溶性の塩類を水洗除去する構造になっている。水洗した未燃分含有固体は、水分が50%程度と高いので、乾燥してから溶融炉24に供給しないと、高い燃焼温度が得られないので乾燥する必要がある。すなわち、脱塩装置52の下流に乾燥手段が設けられる。
本実施態様では、未燃分含有固体から塩素分を分離しているので、溶融炉排ガスに含まれる塩化水素濃度は非常に少なくなる。このため、少なくともこの排ガスから高温の過熱蒸気を回収するようにすることによって、さらに高温度の過熱蒸気を回収することが出来る。
【0025】
図6は、溶融炉24及び最終過熱器38まわりの一例の詳細を示している。未燃分含有固体は、燃焼用空気とともに溶融炉24に接線方向に旋回するように供給され、チャーなどの未燃分が高温で燃焼し、溶融灰はスラグとして取り出される。溶融炉排ガスは後流の燃焼炉54で燃焼用空気とともにさらに燃焼され、この排ガス系統に設けられた最終過熱器38と熱交換してボイラへ導入される。他の構成及び作用は実施の第3形態の場合と同様である。
【0026】
また、溶融炉排ガス系統に最終過熱器を設ける代りに、図7に示すように、ボイラ30に最終過熱器38を設けることも可能である。この場合は、溶融炉排ガスを最終過熱器38の上流側に導入することが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 部分燃焼ガスからサイクロンで未燃分含有固体を分離し、未燃分含有固体のみを溶融炉で燃焼して、廃棄物中の灰分を溶融するので、廃棄物の発熱量の変動に影響を受けずに安定した溶融処理を行うことができる。
(2) 発熱量が高い未燃分含有固体のみを溶融炉で燃焼させるので、燃焼温度が高く安定し、重油などの燃料の助燃の必要性がなくなる。
(3) 廃棄物中の塩素分の大部分は未燃分含有固体に含まれ、可燃ガス中には塩素分は少なくなるので、この可燃ガスの燃焼排ガスに少なくとも最終過熱器を設けることによって、高温度の蒸気を回収することができ、高効率発電が可能となる。
(4) 未燃分含有固体に含まれる塩類を、除去してから溶融炉で燃焼させることによって、この溶融炉排ガス中には塩化水素ガスが少なくなるので、少なくともこの排ガス中に最終過熱器を設けることによって、さらに高温度の蒸気を回収することができ、高効率発電が可能となる。
(5) 部分燃焼炉に、脱塩剤を入れることによって、廃棄物中の塩素分が捕集されるので、可燃ガス中の塩化水素ガス濃度が少なくなり、このため、さらに高温度の蒸気を回収することができ、高効率発電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の第1形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示す系統図である。
【図2】
本発明の実施の第2形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示す系統図である。
【図3】
図2における可燃ガス燃焼ボイラの一例を示す詳細図である。
【図4】
本発明の実施の第3形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示す系統図である。
【図5】
本発明の実施の第4形態による廃棄物のガス化溶融処理装置を示す系統図である。
【図6】
図5における溶融炉及び最終過熱器まわりの一例を示す詳細図である。
【図7】
図5に示す装置の変形例を示す系統図である。
【図8】
ごみの発熱量と溶融炉の燃焼温度との関係を示すグラフである。
【図9】
従来の廃棄物のガス化溶融処理装置を示す系統図である。
【符号の説明】
10 ごみホッパ
11 ごみ供給機
12 流動床
14 部分燃焼炉
16 溶融炉
18 空気分散機構
20 サイクロン
22 未燃分ホッパ
24 溶融炉
25 溶融炉排ガス導管
26 未燃分供給機
28 燃焼炉
30 可燃ガス燃焼ボイラ
32 エコノマイザ
34 蒸発器
36 1次過熱器
38 最終過熱器
40 水管壁
42 蒸気ドラム
44 上流側集塵機
45 集塵灰循環導管
46 下流側集塵機
48 排ガスファン
50 脱塩剤供給手段
52 脱塩装置
54 燃焼炉
 
訂正の要旨 ア.訂正事項a
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ.訂正事項b
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ.訂正事項c
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項5を削除する。
エ.訂正事項d
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項6の、
「【請求項6】
ボイラ下流に2基の集塵機を直列に設け、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉に循環して溶融し、下流側の集塵灰を系外に排出する請求項2、3又は4記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」を、
「【請求項3】
ボイラ下流に2基の集塵機を直列に設け、上流側の集塵灰の少なくとも一部を溶融炉に循環して溶融し、下流側の集塵灰を系外に排出する請求項1又は2記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」と訂正する。
オ.訂正事項e
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項7の、
「【請求項7】
流動床にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかからなる脱塩剤を供給する請求項1〜6のいずれかに記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」を、
「【請求項4】
流動床にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかからなる脱塩剤を供給する請求項1、2又は3記載の廃棄物のガス化溶融処理方法。」と訂正する。
カ.訂正事項f
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項8を削除する。
キ.訂正事項g
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項9を削除する。
ク.訂正事項h
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項12を削除する。
ケ.訂正事項i
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項13の、
「【請求項13】
ボイラの排ガス導管に上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉とを集塵灰循環導管を介して接続した請求項9、10又は11記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」を、
「【請求項7】
ボイラの排ガス導管に上流側集塵機及び下流側集塵機を直列に設け、上流側集塵機と溶融炉とを集塵灰循環導管を介して接続した請求項5又は6記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」と訂正する。
コ.訂正事項j
本件特許明細書における特許請求の範囲の請求項14の、
「【請求項14】
部分燃焼炉に脱塩剤供給手段を接続した請求項8〜13のいずれかに記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」を、
「【請求項8】
部分燃焼炉に脱塩剤供給手段を接続した請求項5、6又は7記載の廃棄物のガス化溶融処理装置。」と訂正する。
サ.訂正事項k
本件特許明細書の段落【0009】の次の記載
「上記の目的を達成するために、本発明の廃棄物のガス化溶融処理方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを燃焼炉に導入し燃焼させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させるように構成されている(図1参照)。」を、
「上記の目的を達成するための方法としては、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを燃焼炉に導入し燃焼させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させる構成がある(図1参照)。」と訂正する。
シ.訂正事項l
本件特許明細書の段落【0010】の次の記載
「また、本発明の方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、前記可燃ガス燃焼ボイラに過熱器を設けて水蒸気を過熱することを特徴としている(図2参照)。この場合、溶融炉からの排ガスを、可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部に導入することが好ましい。」を、
「上記の目的を達成するために、本発明の廃棄物のガス化溶融処理方法は、廃棄物を流動床で部分燃焼させ、この流動床からの生成ガスを固気分離して可燃ガスと発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体とに分離し、この可燃ガスを可燃ガス燃焼ボイラに導入し燃焼させて水蒸気を発生させ、発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを溶融炉に導入し燃焼させて灰分を溶融させ、前記可燃ガス燃焼ボイラに過熱器を設けて水蒸気を過熱し、溶融炉からの排ガスを可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部に導入するように構成されている(図2参照)。」と訂正する。
ス.訂正事項m
本件特許明細書の段落【0014】の次の記載
「本発明の廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させるための燃焼炉と、このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、を備えたことを特徴としている(図1参照)。」を、
「図1に示す廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させるための燃焼炉と、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
を備えた構成である。」と訂正する。
セ.訂正事項n
本件特許明細書の段落【0015】の次の記載
「また、本発明の装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させるための可燃ガス燃焼ボイラと、このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、前記可燃ガス燃焼ボイラに設けられた、水蒸気を過熱するための過熱器と、を備えたことを特徴としている(図2参照)。この場合、溶融炉と可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部とを、溶融炉排ガス導管を介して接続することが好ましい。」を、
「また、本発明の廃棄物のガス化溶融処理装置は、廃棄物を部分燃焼させるための流動床式の部分燃焼炉と、
この部分燃焼炉の生成ガス導管に接続されたサイクロンと、
このサイクロンからの可燃ガスを燃焼させ水蒸気を発生させるための可燃ガス燃焼ボイラと、
このサイクロンからの発熱量が高く、かつ、発熱量がほぼ一定である未燃分含有固体のみを燃焼・溶融させるための溶融炉と、
前記可燃ガス燃焼ボイラに設けられた、水蒸気を過熱するための過熱器と、
を備え、溶融炉と可燃ガス燃焼ボイラの過熱器の後流部とを、溶融炉排ガス導管を介して接続したことを特徴としている(図2参照)。」と訂正する。
異議決定日 2001-10-22 
出願番号 特願平8-352806
審決分類 P 1 652・ 121- XA (F23G)
最終処分 決定却下  
前審関与審査官 見目 省二倉橋 紀夫  
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 井上 茂夫
原 慧
登録日 2000-03-17 
登録番号 特許第3046255号(P3046255)
権利者 川崎重工業株式会社
発明の名称 廃棄物のガス化溶融処理方法及び装置  
代理人 塩出 真一  
代理人 塩出 真一  
代理人 塩出 洋三  
代理人 塩出 洋三  

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