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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47J
管理番号 1054907
異議申立番号 異議2001-70486  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-04-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-02-14 
確定日 2001-11-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3076487号「加熱調理器」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3076487号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1、手続の経緯
特許第3076487号の請求項1〜2に係る発明の出願は、平成5年9月30日に出願され、平成12年6月9日にはその設定登録が、続く平成12年8月14日にはその特許公報が発行されたものである。
これに対し、本件特許異議申立人より、上記請求項1〜2に係る発明について、特許異議の申立期間内である平成13年2月14日に特許異議の申立がされ、平成13年6月12日には上記請求項1〜2に係る発明に対し、取消理由通知が本件特許権者へ発送され、その指定期間内である平成13年8月9日には、本件特許権者より、特許異議意見書及び訂正請求書が提出された。

2、訂正の内容
上記訂正請求は、本件の願書に添付した明細書および図面を、下記訂正事項A〜ACのとおりに訂正することを求めるものである。
a、訂正事項A
平成11年12月20日付の本件請求人提出に係る手続補正書により補正された特許請求の範囲(以下、「本件の特許請求の範囲」という)の請求項1に係る記載である
「【請求項1】発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたことを特徴とする加熱調理器。」を、
「【請求項1】発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたことを特徴とする加熱調理器。」と訂正する。
b、訂正事項B
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0003】の記載を、次の通り訂正する。
「【0003】
(従来例1)
従来例1の電気ホットプレートを図11に示す。この電気ホットプレートは、皿形の調理器本体1の上面に遮熱板2がスペーサ3,4を介して固定され、その内側に発熱体としてのヒータ5が取付られた反射板6が固定され、反射板6の上側に着脱自在に調理プレート7が載置されている。そして、調理プレート7は、図12,13の如く、調理面および裏面が平坦となっている。なお、図中、8は自動温度調節器、Mは調理物である。」を、
「【0003】
(従来例1)
従来例1の電気ホットプレートを図10に示す。この電気ホットプレートは、皿形の調理器本体1の上面に遮熱板2がスペーサ3,4を介して固定され、その内側に発熱体としてのヒータ5が取付られた反射板6が固定され、反射板6の上側に着脱自在に調理プレート7が載置されている。そして、調理プレート7は、図11,12の如く、調理面および裏面が平坦となっている。なお、図中、8は自動温度調節器、Mは調理物である。」と訂正する。
c、訂正事項C
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0004】の記載を、次の通り訂正する。
「【0004】
(従来例2)
実開平4-25636号公報に記載された焼き肉用鍋では、図14,15の如く、鍋本体10に中央から周囲に向けてなめらかな山形に膨らんだ加熱部11を設け、加熱部11の全面に溝12を形成している。」を
「【0004】
(従来例2)
実開平4-25636号公報に記載された焼き肉用鍋では、図13,14の如く、鍋本体10に中央から周囲に向けてなめらかな山形に膨らんだ加熱部11を設け、加熱部11の全面に溝12を形成している。」と訂正する。
d、訂正事項D
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0005】の記載を、次の通り訂正する。
「【0005】
(従来例3)
実開平4-56432号公報に記載された焼肉用焼き板では、図16,17の如く、焼き板本体15をセラミックスにより形成し、調理面16に2.5度前後の傾斜17を設けている。」を、
「【0005】
(従来例3)
実開平4-56432号公報に記載された焼肉用焼き板では、図15,16の如く、焼き板本体15をセラミックスにより形成し、調理面16に2.5度前後の傾斜17を設けている。」と訂正する。
e、訂正事項E
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0006】の記載を、次の通り訂正する。
「【0006】
(従来例4)
実開昭63-129111号公報に記載された調理プレートは、図18の如く、プレート本体20が赤外線を放射する材料で形成され、片面の魚焼き用焼き台21に凹凸溝22が形成され、もう片面を鍋形状に構成した二面構成のプレートである。」を、
「【0006】
(従来例4)
実開昭63-129111号公報に記載された調理プレートは、図17の如く、プレート本体20が赤外線を放射する材料で形成され、片面の魚焼き用焼き台21に凹凸溝22が形成され、もう片面を鍋形状に構成した二面構成のプレートである。」と訂正する。
f、訂正事項F
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0007】の記載を、次の通り訂正する。
「【0007】
(従来例5)
特開平3-186231号公報に記載された調理プレートは、図19の如く、比熱の大きい鉄等の金属板からなる調理部25と、調理部25の裏面に熱伝導率の高いアルミニウム等からなる被加熱部26とを鋳造で一体に形成したものである。」を、
「【0007】
(従来例5)
特開平3-186231号公報に記載された調理プレートは、図18の如く、比熱の大きい鉄等の金属板からなる調理部25と、調理部25の裏面に熱伝導率の高いアルミニウム等からなる被加熱部26とを鋳造で一体に形成したものである。」と訂正する。
g、訂正事項G
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0008】の記載を、次の通り訂正する。
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の加熱調理器は、調理プレートの調理面が従来例1のように全面平坦である場合、あらゆる料理が可能である半面、調理物から出る不要な油分や炭化した調理かすなどが調理物に再付着してしまう欠点があった。また、図13に示すように調理物Mと調理面とは平面的に接触するため、ステーキなどのぶ厚い肉を加熱しようとすると、表面だけが固くこげてしまい(タンパク質が破壊され繊維質に変化)、水分の蒸発量も大きくきれいな焦げ目はつきにくいという欠点があった。」を、
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の加熱調理器は、調理プレートの調理面が従来例1のように全面平坦である場合、あらゆる料理が可能である半面、調理物から出る不要な油分や炭化した調理かすなどが調理物に再付着してしまう欠点があった。また、図12に示すように調理物Mと調理面とは平面的に接触するため、ステーキなどのぶ厚い肉を加熱しようとすると、表面だけが固くこげてしまい(タンパク質が破壊され繊維質に変化)、水分の蒸発量も大きくきれいな焦げ目はつきにくいという欠点があった。」と訂正する。
h、訂正事項H
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0014】の記載を、次の通り訂正する。
「【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、図1,2の如く、発熱体30を有する調理器本体31と、該調理器本体31に設けられた調理プレート32とを備えた加熱調理器において、前記調理プレート32の調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたものである。」を、
「【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、図1,2の如く、発熱体30を有する調理器本体31と、該調理器本体31に設けられた調理プレート32とを備えた加熱調理器において、前記調理プレート32の調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたものである。」と訂正する。
i、訂正事項I
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0034】の記載を削除する。
j、訂正事項J
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0037】の記載を、次の通り訂正する。
「【0037】
また、調理プレートの調理面に、凹凸部と平坦部とを併設し、この平坦部を凹凸部の凹部とほぼ面一にすると共に連通することにより、凹凸部において焼いた肉の肉汁あるいは油分が凹部に沿って平坦部に導かれるので、この平坦部で肉汁あるいは油分を利用して野菜などを調理することができ、肉の旨みで野菜などを美味しくすることができる。
もちろん、凹凸部と平坦部とが併設しているので、異なる種類の調理を同時に行うことも可能となる。凹凸部に溜まったかす等は平坦部に寄せ集めることによって、調理プレートの清掃も容易である。」を、
「【0037】
また、調理プレートの調理面に、凹凸部と調理用の平坦部とを併設し、この平坦部を凹凸部の凹部とほぼ面一にすると共に連通することにより、凹凸部において焼いた肉の肉汁あるいは油分が凹部に沿って平坦部に導かれるので、この平坦部で肉汁あるいは油分を利用して野菜などを調理することができ、肉の旨みで野菜などを美味しくすることができる。
もちろん、凹凸部と平坦部とが併設しているので、異なる種類の調理を同時に行うことも可能となる。凹凸部に溜まったかす等は平坦部に寄せ集めることによって、調理プレートの清掃も容易である。」と訂正する。
k、訂正事項K
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図10】の記載を、次の通り訂正する。
「【図10】
本発明の他の実施例の調理プレートの平面図」を、
「【図10】
従来例1の電気ホットプレートの断面図」と訂正する。
l、訂正事項L
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図11】の記載を、次の通り訂正する。
「【図11】
従来例1の電気ホットプレートの断面図」を、
「【図11】
従来例1の調理プレートの断面図」と訂正する。
m、訂正事項M
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図12】の記載を、次の通り訂正する。
「【図12】
従来例1の調理プレートの断面図」を、
「【図12】
従来例1の調理プレートの拡大断面図」と訂正する。
n、訂正事項N
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図13】の記載を、次の通り訂正する。
「【図13】
従来例1の調理プレートの拡大断面図」を、
「【図13】
従来例2の焼き肉用鍋の平面図」と訂正する。
o、訂正事項O
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図14】の記載を、次の通り訂正する。
「【図14】
従来例2の焼き肉用鍋の平面図」を、
「【図14】
従来例2の焼き肉用鍋の断面図」と訂正する。
p、訂正事項P
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図15】の記載を、次の通り訂正する。
「【図15】
従来例2の焼き肉用鍋の断面図」を、
「【図15】
従来例3の焼き肉用焼板の断面図」と訂正する。
q、訂正事項Q
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図16】の記載を、次の通り訂正する。
「【図16】
従来例3の焼き肉用焼板の断面図」を、
「【図16】
従来例3の焼き肉用焼板の一部切欠正面図」と訂正する。
r、訂正事項R
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図17】の記載を、次の通り訂正する。
「【図17】
従来例3の焼き肉用焼板の一部切欠正面図」を、
「【図17】
従来例4の調理プレートの斜視図」と訂正する。
s、訂正事項S
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図18】の記載を、次の通り訂正する。
「【図18】
従来例4の調理プレートの斜視図」を、
「【図18】
従来例5の調理プレートの断面図」と訂正する。
t、訂正事項T
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図19】の項を削除する。
u、訂正事項U
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除する。また、それに伴い本件発明の特許査定時の第11図を第10図に訂正する。
v、訂正事項V
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第12図を第11図に訂正する。
w、訂正事項W
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第13図を第12図に訂正する。
x、訂正事項X
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第14図を第13図に訂正する。
y、訂正事項Y
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第15図を第14図に訂正する。
z、訂正事項Z
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第16図を第15図に訂正する。
aa、訂正事項AA
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第17図を第16図に訂正する。
ab、訂正事項AB
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第18図を第17図に訂正する。
ac、訂正事項AC
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第19図を第18図に訂正する。

3、訂正の適否
a、訂正事項Aについて
訂正事項Aは、本件請求項1に係る発明の加熱調理器における「平坦部」を、願書に添付した明細書の段落【0030】および段落【0037】の記載を根拠に、より限定した「調理用の平坦部」に減縮するものであって、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
b、訂正事項B〜訂正事項Gについて
訂正事項B〜訂正事項Gは、この訂正請求において本件図面の図10が削除されるに伴い、本件図面の図11〜図19の図番をそれぞれ単に繰り上げるものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
c、訂正事項Hについて
訂正事項Hは、本件請求項1が訂正されることに伴い、当該請求項1の記載に対応する【課題を解決するための手段】の記載をそれに倣って訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
d、訂正事項Iについて
訂正事項Iは、本件請求項1が訂正されることに伴い、本件請求項1に係る発明の加熱調理器における「平坦部」が「調理用の平坦部」であることを明りょうにするため、段落【0034】の記載を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
e、訂正事項Jについて
訂正事項Jは、本件請求項1が訂正されることに伴い、段落【0037】に記載されていた「平坦部」を本件請求項1の記載に合わせて「調理用の平坦部」に単に変更するものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
f、訂正事項K〜訂正事項Tについて
訂正事項K〜訂正事項Tは、本件図面の図10が削除され、同図11〜図19の図番がそれぞれ繰り上げられるに伴い、本件明細書の図面の簡単な説明における図10の説明を削除し、併せて図11〜19の図番を、それぞれ単に繰り上げるとともに、図番19を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
g、訂正事項U〜訂正事項ACについて
訂正事項U〜訂正事項ACは、段落【0034】の記載が削除されたことに伴い、同段落に記載されていた本件図面の図10を削除するとともに、図11〜図19の図番を単に繰り上げるものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たり、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
h、訂正の適否についての結論
以上のとおり、上記訂正事項A〜訂正事項ACは、特許法第120条の4第2項または同法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2〜3項に規定された要件をいずれも満たしているから、訂正事項A〜訂正事項ACの訂正は、適法なものとしてこれを認める。

4、本件特許発明
上記訂正請求は、上述のごとく適法なものであって、その訂正を認めることができるから、結局、本件特許の請求項1〜請求項2に係る発明は、それぞれ下記のとおりのものである。
「【請求項1】 発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】 調理プレートは南部鉄を用いた微細な凹凸の鋳肌を有する鋳物からなり、その裏面は平坦とされたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。」

5、本件特許異議申立の内容
本件特許異議申立人は、甲第1号証〜甲第4号証を提出し、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて、また、本件特許の請求項2に係る発明は、甲第1号証〜甲第4号証に記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、取り消されるべき旨主張している。

6、引用刊行物の記載
(1)実願平3-33299号(実開平4-121822号)のCD-ROM
本件特許異議申立人が甲第1号証として提出した実願平3-33299号(実開平4-121822号)のCD-ROM(以下、刊行物1という)には、同号証記載の「調理器」について、
「加熱領域Aと保温領域Bとは調理板15の調理面に任意に設定することができる。例えば、調理板15の調理面にはその中央部に加熱領域Aを作り、中央部の外側に保温領域Bを作る。このようにすると、調理中には加熱領域Aで肉や野菜を焼きながら、焼き上がった肉や野菜を保温領域Bに移して保温することができる。なお、調理板15は単に板状であっても肉や野菜などを焼くような場合に支障がないことはいうまでもない。」(明細書段落【0010】抜粋)こと、
「この調理器では調理板15を熱板17の上に置き、熱板17によって調理板15を加熱する。調理板15はその調理板15の中央部が内側に向けて凸状に湾曲している。すなわち、加熱領域Aが凸状に湾曲している。これは、熱板17からの熱を効率良く調理板15に伝える役目を果たす。ここで、調理板15及び伝熱部材31の使用材料の例とそれらの熱伝導率を示す。
熱伝導率(W/m・k)
鉄 板 43 (約300℃)
ステンレス(SUS304) 16 (約300℃)
アルミニユウム板(A11OO) 222 (約300℃)
アルミニユウム鋳物(AOC12) 96.3 (約300℃)
これらの材料の組み合わせで意識的に加熱領域Aと保温領域Bとに温度差を設ける。加熱領域が高温度、例えば、200℃〜260℃で焼き肉などの調理に供すると同時に、この温度差によって保温領域Bは保温に適した温度、例えは、70℃〜120℃になるように構成する。調理板15に一体に接合した伝熱部材31の大きさ(範囲)は相互の組み合わせ材料によって異なり求める温度によってその寸法が決められる。なお、伝熱部材31を加熱する熱源としては、電気ヒータを伝熱部材31に一体に備えたものや、その他ガスを熱源として用いても良い。」(明細書段落【0011】)こと、および
「この場合、調理板15は調理面が単に平坦なものであってもよい。」(明細書段落【0012】抜粋)
ことが、図面の図1〜図3とともに記載されている。
(2)実願平2-130082号(実開平4-83140号)のマイクロフイルム
次に、同じく本件特許異議申立人が甲第2号証として提出し、本件上記取消理由通知においても引用された実願平2-130082号(実開平4-83140号)のマイクロフイルム(以下、刊行物2という)には、同号証記載の「電熱ロースター」について、
「上記ロストル25は通常のロストルとは異なって平板部にスリットがなく、肉汁の落下を防止しており、円板状のロストル25は内箱7の内周と略同一大でシーズヒーター21上に直接安定載置され、ロストル25の上面には複数の突条52、52a・・・を突設し、外周部には適宜箇所に貫通孔53、53a・・・を穿設し、肉類を突条52、52a・・・上に載せて焼き、油等の肉汁は肉類から滴下(その後貫通孔53、53a・・・から落下)してジューシィーな焼き上がりを得ることが出来、又ロストル25の外周縁には立壁54を一体的に垂設し、更にロストル25の下面にはシーズヒーター21より若干大きな円形状の突条55を設け、該突条55により貫通孔53、53a・・・からロストル25の下面中央部側へ伝わる肉汁を遮断すると共に下方へ落下させている。」(明細書第13頁第1〜16行)こと、および
「又、ロストル25上での調理物の焼き上げに伴って発生する肉汁は、調理物が突条52、52a・・・上に位置しているために突条52、52a・・・間の谷間に落下し、相当量の肉汁が貯溜した場合にはロストル25の周辺部の貫通孔53、53a・・・より滴下」(明細書第17頁第18〜同第18頁第3行)
することが、図面第2図および同第14〜15図とともに記載されている。
そして、特に上記図面第14〜15図からは、複数の突条52、52a・・・がロストル25の上面の一側から他側に向かう方向に互いに平行に形成されるとともに、同突条52,52a・・・の間の谷間とほぼ面一の平坦部が、ロストル25の外周に沿い、突条52,52a・・・の谷間と連通して形成されていることが窺える。
さらに、図面第2図からは、シーズヒータ21の直接安定載置されるロストル25の下面部分は平坦とされることが窺える。
したがって、上記各図面の記載をも参酌すると、刊行物2には、本件各請求項に係る発明に対応し、下記の発明が記載されていると云える。
「シーズヒータ21を有する電熱ロースター本体1と、該電熱ロースター本体1に設けられたロストル25とを備えた電熱ロースターにおいて、前記ロストル25の上面に、複数の突条52、52a・・・が形成された凹凸部と、この凹凸部の谷間とほぼ面一の平坦部とが形成され、前記突条52、52a・・・はロストル25の上面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部はロストル25の外周部にやや小さめに配置され、前記凹凸部の谷間と連通されるとともに、ロストル25の下面にシーズヒーター21より若干大きな円形状の突条55が設けられている電熱ロースター。」
(3)特開昭53-59575号公報
また、同じく本件特許異議申立人が甲第3号証として提出し、本件上記取消理由通知においても引用された特開昭53-59575号公報(以下、刊行物3という)には、同号証記載の「鍋、ホットプレート等の電気調理器」について、
「本発明は電気鍋、電気ホットプレート等のように調理器本体自身に発熱素子が設けてある電気調理器に関するものである。一般にこの種の電気調理器はシーズヒータを鋳込んだアルミ鋳物によって形成してある。 これは量産性に富み、安価に提供できる利点があるが、鍋としての風格が出ず、きわめて貧弱な感じがしていた。そのため南部鉄器のような電気鍋、電気ホットプレートが強く要望され、鉄製調理器の提供が種々検討されている。」(公報第1頁左下欄第14行〜同右下欄第3行)こと、および
「そのため南部鉄器のように調理器本体を鋳物によって形成することを考え、シーズヒータを同時に鋳込んで調理器を形成してみた。ところが従来の鋳造技術では調理器本体の板厚を5mm以下とすることができず、そのため薄くてよいところでも5mm以上となって調理器本体が非常に重くなり、持ち運びが困難になる欠点が生じた。また鋳物表面も非常に粗く、そのままの状態では調理面とすることができずに後加工が必要である等、コスト面でも難点が生じた。」(公報第2頁左上欄第3〜12行)
ことが、記載されている。
したがって、刊行物3には、電気調理器の調理器本体を鋳物により形成した場合、鋳物表面が非常に粗いと、そのままの状態では調理面とすることができないとの問題点が指摘されていると云える。
(4)実願平1-120037号(実開平3-58237号)のマイクロフイルム
また、同じく本件特許異議申立人が甲第4号証として提出し、本件上記取消理由通知においても引用された実願平1-120037号(実開平3-58237号)のマイクロフイルム(以下、刊行物4という)には、同号証記載の「プレート分離型ホットプレート」について、
「1.プレートの下方にヒーターと、感熱部を有する温度調節器とを配設してなるプレート分離型ホットプレートにおいて、上記プレート裏面を平面にて形成するとともに、上記ヒーターと感熱部の上面とを同一高さに設けて、上記プレート裏面に当接させてなることを特徴とするプレート分離型ホットプレート。」(明細書第1頁第5〜12行)こと、および
「プレート裏面が平面であるため、プレートの清掃が容易になる。ヒーター上面と温度調節器の感熱部上面とが同一高さに設けられてプレート裏面に直接接触するため、プレートの温度感知が時間的な遅れ無く行なえる。」(明細書第4頁第5〜9行)
ことが、図面第1図とともに記載されている。
したがって、刊行物4には、ホットプレートのプレート裏面は平坦とすることが記載されていると云える。
(5)実願昭63-144735号(実開平2-63754号)のマイクロフイルム
本件上記取消理由通知において引用された実願昭63-144735号(実開平2-63754号)のマイクロフイルム(以下、刊行物5という)には、同刊行物記載の「餃子焼き具」について、
「この考案は直火によって熱せられ、内部に収容した餃子を焼いて調理するための餃子焼き具に関するものである。」(明細書第1頁第16〜18行)こと、および
「図中、1はこの考案に係る餃子焼き具であり、餃子を入れる鍋部材2と、その上面開口を閉じるための蓋部材3とからなっている。両者は共に南部鉄、すなわち岩手県産の鋳鉄により鋳造されたものである」(明細書第3頁第15〜19行)
ことが、図面第1図とともに記載されている。
したがって、刊行物5には、餃子を焼く鍋部材2は南部鉄を用いた鋳物からなことが記載されていると云える。
(6)実願平2-36279号(実開平3-127566号)のマイクロフイルム
本件上記取消理由通知において引用された実願平2-36279号(実開平3-127566号)のマイクロフイルム(以下、刊行物6という)には、同刊行物記載の「余熱調理兼配膳用皿」について、
「(考案が解決しようとする課題)
この鉄皿(a)は予め調理された肉等を保温するには適していたが食卓で余熱を利用して調理する皿としては問題があった。」(明細書第2頁第15〜18行)こと、
「余熱調理兼配膳用皿(1)は鉄皿(2)と木皿(3)とからなる。鉄皿(2)は鋳鉄製とされている。ここで使用される鋳鉄は、通常の鋳鉄、すなわち銑鉄のうち化学組成がC2.5〜4.0%、Si1〜3%、Mn0.4〜1%、その他1%以下の元素を含むものであるが、本実施例では保温性に優れる南部鉄が使用される。」(明細書第5頁第9〜16行)こと、および
「以上のように構成される余熱調理兼配膳用皿(1)は、まず鉄皿(2)がコンロ等で所要時間予め加熱され、次いで鉄皿(2)の前記料理載置部(2b)上に生肉或いは予め表面のみを半焼けとされた肉、さらには各種生野菜、加工野菜が配される。」(明細書第7頁第8〜12行)
ことが、図面とともに記載されている。
したがって、刊行物6には、余熱調理を行う鉄皿(2)は南部鉄を用いた鋳物からなることが記載されていると云える。

7、対比・判断
(1)本件請求項1に係る発明について
本件請求項1に係る発明と刊行物2記載の上記発明とを対比すると、刊行物2記載の発明における上記、「シーズヒータ21」、「電熱ロースター本体1」、「ロストル25」、「電熱ロースター」、「突条52、52a・・・」、「谷間」および「ロストル25の上面」は、本件請求項1に係る発明のそれぞれ「発熱体」、「調理器本体」、「調理プレート」、「加熱調理器」、「凸部」、「凹部」および「調理面」に相当するから、両者は、結局、
「発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凹部と連通された加熱調理器。」
である点で一致し、下記a〜bの点で相違している。
a、本件請求項1に係る発明が、「調理用の平坦部」を有し、その「調理用の平坦部」は突条の「一側」に配置されているのに対し、刊行物2記載の発明は、「平坦部」を「調理プレートの外周部にやや小さめに」配置して有している。
b、刊行物2記載の発明が、「ロストル25の下面にシーズヒーター21より若干大きな円形状の突条55が設けられている」のに対し、本件請求項1に係る発明はそのような構成を備えていない。
そこで、相違点aについて最初に検討する。
刊行物2には、同刊行物の図面の記載をも含め、同刊行物記載の「調理プレートの外周部にやや小さめに」配置された平坦部が、本件請求項1に係る発明のような「調理用」に使用できることを示唆する記載は存在しない。
しかも、本件請求項1に係る発明は、相違点aに対応するこのような構成を備えることにより、
「平坦部37に調理物を載せると、全面にわたって直接加熱される。特に野菜など火の通りにくいものや白身魚など身のくずれ易いものは、この部分で調理する方が好ましく、すばやく、乾燥させずに調理できる。また、調理プレート32の中央でなく両端に平坦部37を配したのは、300℃超の高温による焦げつき防止のためで、実際にプレート中央より平坦部中央は40〜50℃平均温度が低い。その結果、平坦部37では250〜260℃の直接加熱となり、頃合いの焼き加減となる。」(段落【0030】抜粋)、および、
「調理プレートの調理面に、凹凸部と調理用の平坦部とを併設し、この平坦部を凹凸部の凹部とほぼ面一にすると共に連通することにより、凹凸部において焼いた肉の肉汁あるいは油分が凹部に沿って平坦部へ導かれるので、この平坦部で肉汁あるいは油分を利用して野菜などを調理することができ、肉の旨みで野菜などを美味しくすることができる。もちろん、凹凸部と平坦部とが併設しているので、異なる種類の調理を同時に行うことも可能となる。凹凸部に溜まったかす等は平坦部に寄せ集めることによって、調理プレートの清掃も容易である。」(段落【0037】)
と云う、刊行物2記載の発明には示唆されていない作用効果を達成できるものである。
そして、相違点aに係るこのような構成は、刊行物2ばかりでなく、上述の他の刊行物にも示唆されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、他の相違点について検討するまでもなく、上記刊行物1〜刊行物6記載のものから、当業者が容易に発明し得たものと云うことはできない。
b、本件請求項2に係る発明について
そうであるとすると、本件請求項2に係る発明は、本件請求項1を引用するいわゆる従属形式の請求項に係るものであるから、刊行物2記載の発明とは少なくとも上記aで指摘したと同様の相違点を有するものであり、請求項1に係る発明と同様に、上記刊行物1〜刊行物6記載のものから、当業者が容易に発明し得たものと云うことはできない。

8、むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1〜請求項2に係る発明は、いずれも上記刊行物1〜刊行物6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできず、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるという本件特許異議申立人の上記主張は、これを採用することができない。
また、本件特許を取り消すべき理由を他に発見しない。
よって、上記結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
加熱調理器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、
前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】 調理プレートは南部鉄を用いた微細な凹凸の鋳肌を有する鋳物からなり、その裏面は平坦とされたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主として一般家庭で使用される電気ホットプレートやグリル鍋等のように電気ヒータにより加熱調理を行う加熱調理器における調理プレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の着脱自在な調理プレートを有した加熱調理器を以下に示す。
【0003】
(従来例1)
従来例1の電気ホットプレートを図10に示す。この電気ホットプレートは、皿形の調理器本体1の上面に遮熱板2がスペーサ3,4を介して固定され、その内側に発熱体としてのヒータ5が取付られた反射板6が固定され、反射板6の上側に着脱自在に調理プレート7が載置されている。そして、調理プレート7は、図11,12の如く、調理面および裏面が平坦となっている。なお、図中、8は自動温度調節器、Mは調理物である。
【0004】
(従来例2)
実開平4-25636号公報に記載された焼き肉用鍋では、図13,14の如く、鍋本体10に中央から周囲に向けてなめらかな山形に膨らんだ加熱部11を設け、加熱部11の全面に溝12を形成している。
【0005】
(従来例3)
実開平4-56432号公報に記載された焼肉用焼き板では、図15,16の如く、焼き板本体15をセラミックスにより形成し、調理面16に2.5度前後の傾斜17を設けている。
【0006】
(従来例4)
実開昭63-129111号公報に記載された調理プレートは、図17の如く、プレート本体20が赤外線を放射する材料で形成され、片面の魚焼き用焼き台21に凹凸溝22が形成され、もう片面を鍋形状に構成した二面構成のプレートである。
【0007】
(従来例5)
特開平3-186231号公報に記載された調理プレートは、図18の如く、比熱の大きい鉄等の金属板からなる調理部25と、調理部25の裏面に熱伝導率の高いアルミニウム等からなる被加熱部26とを鋳造で一体に形成したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の加熱調理器は、調理プレートの調理面が従来例1のように全面平坦である場合、あらゆる料理が可能である半面、調理物から出る不要な油分や炭化した調理かすなどが調理物に再付着してしまう欠点があった。また、図12に示すように調理物Mと調理面とは平面的に接触するため、ステーキなどのぶ厚い肉を加熱しようとすると、表面だけが固くこげてしまい(タンパク質が破壊され繊維質に変化)、水分の蒸発量も大きくきれいな焦げ目はつきにくいという欠点があった。
【0009】
一方、調理プレートの調理面に凹凸を有している場合でも、従来例2においては、板金をプレス加工することにより形成しているため、調理プレートの裏面についても山形に膨らんで凹凸になってしまうため、ガス火等を熱源とする場合は関係ないが、電気ヒータによって加熱するには、ヒータとの間に隙間ができ、熱伝導に難点があり不適当な形状であった。
【0010】
従来例3では、調理プレートをセラミックスにより形成しているため、寸法精度を出しにくく、調理プレート裏面の平坦度も悪くなる。そのため、温度センサとの接触が不完全となり、精度のよい温度コントロールができないとともに、従来例2と同様に電気ヒータによる加熱には不向きであった。
【0011】
また、従来例4では、調理プレートが両面で使用可能な形状に形成されているため、電気ヒータと接触して受熱する面および温度センサ検知部を備えておらず、ガス火向きの調理にしか適さない。しかも、一度に焼肉と魚の両方を焼くことは、調理面が表裏になっていることから不可能である。
【0012】
従来例5では、両金属の膨張係数の違いから歪みを生じて、クラックや底面の反りが発生するなどの問題が起こり易い。そして、両金属が密に接しておらず隙間があれば、熱伝導が悪くなるというような構造的欠点が予想される。そのうえ、一般的な鉄を鋳造した鋳物の場合には砂かみによる突起や巣が発生し易く、電気ヒータとの密着性が悪かったり温度センサの温度検知に支障をきたすため、仕上げ加工を加えることが多かった。また底面の反りもアルミニウムダイカストと比較して大きく、ひずみ取りの工程を加えて反りを修正する必要があった。また、調理面が平坦であるため、凹凸がないと調理物の出来映えを向上させることは困難であり、しかも例え凹凸をつけたとしても、このような鋳物では鋳肌が粗いため、油分が調理面を流れてしまったり、鋳肌の凹みに肉片がめり込んだりして、調理面にこびりつきやすく、焦げ目がきれいにつかない。
【0013】
以上のように、各従来例における調理プレートには一長一短があり、各種の熱源に対応できるものはなく、しかも調理物の出来映えにも難点を有している。そこで、本発明は、各種の熱源に対応できるとともに調理物の出来映えを向上させることができる調理プレートを有した加熱調理器の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、図1,2の如く、発熱体30を有する調理器本体31と、該調理器本体31に設けられた調理プレート32とを備えた加熱調理器において、前記調理プレート32の調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたものである。
【0015】
【作用】
上記課題解決手段において、肉片などの調理物Mが調理プレート32に載せられると、図5に示すように凸部36aが肉片Mにくいこみ、肉片Mの凸部36aと当接する部分が直接加熱される。さらに、凹部36bからの輻射熱により残りの肉面はむし焼き状態となり、水分の蒸発、肉汁の流出が抑制される。そして、肉片Mの表面には線状の焦げ目が形成される。また、余分な油分は凹部36bに溜まり、調理物表面に再付着することはなく、調理物と接する凸部36aは面積的には小さいので、前の調理の残りかすが再付着することない。
【0016】
そして、図6に示すように、調理プレート32はきめ細かな鋳肌の微細な凹凸を有しているので、この凹凸に油分がしみ込み、こびりつきを抑え、きれいな焦げ目をつけることが可能となる。これに対し、鋳肌が荒い場合には凹凸が粗野なため、図7に示すように油分も表面からこぼれてしまい、肉片M自身も凹みへめり込んでしまうこととなり、こびりつきが生じ、焦げ目もきれいにつかない。
【0017】
一方、調理プレート32の平坦部37では、野菜等の調理物を載せて直接加熱する。ここでは、油分の流出がなく火の通りにくい調理物が、すばやく、乾燥せずに調理することができる。
【0018】
【実施例】
本実施例の加熱調理器としての電気ホットプレートは、図1,2の如く、発熱体30を有する調理器本体31と、該調理器本体31に着脱自在に設けられた調理プレート32とを備えている。調理器本体31は、上面が略四角形に開口され、この開口に遮熱板33が調理器本体31と一定間隔を保持して挿入され、遮熱板33の下面と調理器本体31との間にはスペーサ34が介在され、遮熱板33がスペーサ34により固定されている。そして、このスペーサ34により断熱効果を高めている。また、遮熱板33の上面に、反射板35がかしめられており、反射板35の上面に電気ヒータである発熱体30が取付られている。
【0019】
前記調理プレート32は微細な凹凸の鋳肌を有する鋳物からなり、図3,4の如く、調理プレート32の裏面32aは平坦とされ、調理プレート32の調理面32bに、複数列の凹凸部36と、平坦部37とが形成されている。そして、調理プレート32の周縁は遮熱板33によって支持され、調理プレート32の裏面32aが発熱体30上に載置され、直接加熱される。
【0020】
また、調理プレート32の裏面32aには温度センサ38が当接しており、この温度センサ38の温度検知により調理面32bの表面温度がコントロールされる。そのため、調理器本体31の一側に、表面温度調節器39が配され、温度調節器39のつまみ40のスライドにより温度目盛シート41の目盛に合わせて希望の温度に設定する。
【0021】
調理プレート32は、ねずみ鋳鉄(JIS規格のFC10)のうちでもいわゆる南部鉄(盛岡地方で取れる鉄)を使って例えば南部鉄瓶を作るのと同様に、調理プレート32を鋳造することにより、図6に示すように、微細な凹凸を有するきめ込め細かな鋳肌となり、発熱体30とほぼ均一に密着する。調理プレート32の裏面平坦度が±1mm以上になれば、発熱体30の熱が調理プレート32以外に伝わるため、効率が格段に低下するだけでなく安全面でも支障をきたしかねない。そこで、平坦度を±0.5mm(最大±0.7mm)までに抑えて製造することにより、あらたに表面仕上げを行う必要がなくなり、低コストで高効率かつ安全な加熱調理器が実現される。
【0022】
また、概して鋳物については砂かみによる製品の凹凸および巣が発生し易いが、特に南部鉄の使用によりきめ細かな鋳肌となるので、仕上げ加工を行うことなく発熱体30の接する部分および温度センサ38の当接部の凹凸を±0.3mmに抑えることが可能となる。特に温度センサ当接部の平滑度は重要で、密着性がよくなると正確な温度検知ができるので、過熱状態を即座に検出でき、300℃超までの温度コントロールが可能となる。
【0023】
前記調理面32bには、中央に凹凸部36が形成され、調理プレート32の長手方向の両側に平坦部37が形成されている。凹凸部36では、断面略台形状の凸部36aが長手方向に一直線に形成され、この凸部36aが平行に複数本並んでいる。そして、各凸部36aの間が凹部36bとされ、平坦部37とほぼ同一面になっている。
【0024】
上記構成において、一つの調理面32bでそれぞれ違った種類の調理が行える。まず、凹凸部36に肉片Mを載せると、図5の如く、凸部36aは肉表面にいく分くい込み、直接加熱をして肉片Mの表面を焦がす。一方、凹部36bからの輻射熱により肉片Mの凸部36aに接していない部分が加熱され、いわば蒸し焼き状態となる。そのため、
(1)凸部36aにより焦げ目のつく面積は肉片表面の10%に過ぎず、残りの90%が輻射熱により加熱される。
【0025】
(2)アルミニウムの約2倍(鉄5.03J/cm3・K、アルミニウム2.59J/cm3・K)の熱容量をもつ南部鉄であり、直接肉表面に接している面積も少ないことから調理プレート32の温度降下が少なくなり、調理中も凸部36aで283℃、凹部36bでも281℃の高温を持続できる。これによって、凸部36aでは強火加熱、凹部36bからは強烈な輻射熱が放射される。
【0026】
(3)調理面32bに凹凸部36を設けたことにより、表面積が平坦な場合の172%(ピッチ10mm、高さ4.9mm、凸部36aを上底2に対して下底5としたとき)となり、熱放射の効率が向上する。
【0027】
(4)南部鉄の使用によりきめ細かな鋳肌となり、図6に示すように表面の微細な凹みに油分がしみ込み、焦げによるこびりつきを防ぐことができ、ベタッとした平坦な焦げにならず、マイルドな香ばしさをかもしだす。
【0028】
(5)肉片から出た余分な油分は、図5に示すように凹部36bに溜まるため、調理物Mに再付着することは少ない。また調理物Mと直接接触する面積が少ないため、前の調理の残りかすが再付着することも少ない。
【0029】
以上の如く、肉片の仕上がりはソフトでジューシーなものとなり、肉の持つ旨みを封じ込めたおいしいステーキを焼くことができる。また、図8に示すように、凸部36aにより肉片Mの表面に焦げ目をつけることができるので、向きを変えると図9の如く、焦げ目が交差して網目をつけることができ、視覚的効果もあげられ、ステーキの調理などには最大限威力を発揮する。しかも、水分(肉汁)の減少率は従来のアルミニウムプレートの10%に対し、6%となっている(当社実験データより)。
【0030】
次に、平坦部37に調理物を載せると、全面にわたって直接加熱される。特に野菜など火の通りにくいものや白身魚など身のくずれ易いものは、この部分で調理する方が好ましく、すばやく、乾燥させずに調理できる。また、調理プレート32の中央でなく両端に平坦部37を配したのは、300℃超の高温による焦げつき防止のためで、実際にプレート中央より平坦部中央は40〜50℃平均温度が低い。その結果、平坦部37では250〜260℃の直接加熱となり、頃合いの焼き加減となる。この部分においても、南部鉄使用によるきめ細やかな鋳肌によって、調理物との接触面積が大きくなり熱伝導がよくなって、火の通りもよくなる。
【0031】
したがって、調理プレート32の裏面32aを平坦にしたことによりガス火等だけでなく電気ヒータによる加熱にも適し、調理面32bに凹凸部36を設けたことにより肉等の調理の出来栄えを大幅に向上させることができる。しかも、調理面がきめ細かな凹凸とされているので、調理物の油分がしみ込んでこびりつきを抑えることができ、調理物の表面を見た目にもおいしい外観とすることができる。また、調理面32bに凹凸部36と平坦部37を並設することにより同時に異なる種類の調理を行うことが可能となり、凹凸部36に溜まったかす等を平坦部37に寄せ集めることができ、調理プレート32の清掃が容易になる。
【0032】
しかも、単一素材の鋳造により調理プレート32を製造しているので、クラックや剥離等の弊害の可能性も低くなって、手直し工程がなくなり、さらには南部鉄を使用することによりきめ細かい鋳肌が得られ、表面仕上げの加工工程が不要となり、製造コストの低減も可能となる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。
【0034】削除
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、調理プレートの裏面を平坦にしたことにより、発熱体として電気ヒータを用いた場合には電気ヒータからの熱伝達の効率がよくなるとともに、熱容量の大きい南部鉄で製造しているので、調理物を載せても温度降下が少なくなり、発熱体の熱を有効に利用できる。しかも調理プレートの温度を検出するために温度センサを調理プレートの裏面に取付る場合には、温度センサを調理プレートに密着させることができるので、精度のよい温度調整が可能となり、焼き加減を好みに応じて調節することができる。また、調理面に凹凸部を設けたことにより、輻射熱と直接加熱によって調理でき、肉等の調理の出来栄えを大幅に向上させることができる。
【0036】
しかも、調理面が南部鉄特有のきめ細かな凹凸を有した鋳肌となるので、この凹凸に調理物の油分がしみ込んでこびりつきを抑えることができ、きれいな焦げ目をつけることができ、調理物の表面を見た目にもおいしい外観とすることができる。そのため、特に肉を焼く場合、見た目もおいしく、かつ肉の旨みを封じ込めて焼き上げることができ、家庭において手軽においしい肉を焼くことができる。
【0037】
また、調理プレートの調理面に、凹凸部と調理用の平坦部とを併設し、この平坦部を凹凸部の凹部とほぼ面一にすると共に連通することにより、凹凸部において焼いた肉の肉汁あるいは油分が凹部に沿って平坦部に導かれるので、この平坦部で肉汁あるいは油分を利用して野菜などを調理することができ、肉の旨みで野菜などを美味しくすることができる。
もちろん、凹凸部と平坦部とが併設しているので、異なる種類の調理を同時に行うことも可能となる。凹凸部に溜まったかす等は平坦部に寄せ集めることによって、調理プレートの清掃も容易である。
【0038】
しかも、単一素材の鋳造により調理プレートを製造しているので、クラックや剥離等の弊害の可能性も低くなって手直し工程がなくなり、さらにはきめ細かい鋳肌になっているので、表面仕上げの加工工程が不要となり、製造コストの低減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例の電気ホットプレートの斜視図
【図2】
電気ホットプレートの断面図
【図3】
本実施例の調理プレートの平面図
【図4】
調理プレートの断面図
【図5】
調理プレートの凹凸部の拡大図
【図6】
本実施例の凹凸部の表面形態を示す図
【図7】
従来の荒鋳肌の調理面の表面形態を示す図
【図8】
本実施例の調理プレートでの調理状態を示す図
【図9】
本実施例の調理プレートでの調理状態を示す図
【図10】
従来例1の電気ホットプレートの断面図
【図11】
従来例1の調理プレートの断面図
【図12】
従来例1の調理プレートの拡大断面図
【図13】
従来例2の焼き肉用鍋の平面図
【図14】
従来例2の焼き肉用鍋の断面図
【図15】
従来例3の焼き肉用焼板の断面図
【図16】
従来例3の焼き肉用焼板の一部切欠正面図
【図17】
従来例4の調理プレートの斜視図
【図18】
従来例5の調理プレートの断面図
【符号の説明】
30 発熱体
31 調理器本体
32 調理プレート
32a 裏面
32b 調理面
36 凹凸部
36a 凸部
36b 凹部
37 平坦部
【図面】


















 
訂正の要旨 訂正の要旨(異議2001-70486)
a、訂正事項A
平成11年12月20日付の本件請求人提出に係る手続補正書により補正された特許請求の範囲(以下、「本件の特許請求の範囲」という)の請求項1に係る記載である
「【請求項1】発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたことを特徴とする加熱調理器。」を、
「【請求項1】発熱体を有する調理器本体と、該調理器本体に設けられた調理プレートとを備えた加熱調理器において、前記調理プレートの調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたことを特徴とする加熱調理器。」と訂正する。
b、訂正事項B
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0003】の記載を、次の通り訂正する。
「【0003】
(従来例1)
従来例1の電気ホットプレートを図11に示す。この電気ホットプレートは、皿形の調理器本体1の上面に遮熱板2がスペーサ3,4を介して固定され、その内側に発熱体としてのヒータ5が取付られた反射板6が固定され、反射板6の上側に着脱自在に調理プレート7が載置されている。そして、調理プレート7は、図12,13の如く、調理面および裏面が平坦となっている。なお、図中、8は自動温度調節器、Mは調理物である。」を、
「【0003】
(従来例1)
従来例1の電気ホットプレートを図10に示す。この電気ホットプレートは、皿形の調理器本体1の上面に遮熱板2がスペーサ3,4を介して固定され、その内側に発熱体としてのヒータ5が取付られた反射板6が固定され、反射板6の上側に着脱自在に調理プレート7が載置されている。そして、調理プレート7は、図11,12の如く、調理面および裏面が平坦となっている。なお、図中、8は自動温度調節器、Mは調理物である。」と訂正する。
c、訂正事項C
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0004】の記載を、次の通り訂正する。
「【0004】
(従来例2)
実開平4-25636号公報に記載された焼き肉用鍋では、図14,15の如く、鍋本体10に中央から周囲に向けてなめらかな山形に膨らんだ加熱部11を設け、加熱部11の全面に溝12を形成している。」を
「【0004】
(従来例2)
実開平4-25636号公報に記載された焼き肉用鍋では、図13,14の如く、鍋本体10に中央から周囲に向けてなめらかな山形に膨らんだ加熱部11を設け、加熱部11の全面に溝12を形成している。」と訂正する。
d、訂正事項D
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0005】の記載を、次の通り訂正する。
「【0005】
(従来例3)
実開平4-56432号公報に記載された焼肉用焼き板では、図16,17の如く、焼き板本体15をセラミックスにより形成し、調理面16に2.5度前後の傾斜17を設けている。」を、
「【0005】
(従来例3)
実開平4-56432号公報に記載された焼肉用焼き板では、図15,16の如く、焼き板本体15をセラミックスにより形成し、調理面16に2.5度前後の傾斜17を設けている。」と訂正する。
e、訂正事項E
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0006】の記載を、次の通り訂正する。
「【0006】
(従来例4)
実開昭63-129111号公報に記載された調理プレートは、図18の如く、プレート本体20が赤外線を放射する材料で形成され、片面の魚焼き用焼き台21に凹凸溝22が形成され、もう片面を鍋形状に構成した二面構成のプレートである。」を、
「【0006】
(従来例4)
実開昭63-129111号公報に記載された調理プレートは、図17の如く、プレート本体20が赤外線を放射する材料で形成され、片面の魚焼き用焼き台21に凹凸溝22が形成され、もう片面を鍋形状に構成した二面構成のプレートである。」と訂正する。
f、訂正事項F
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0007】の記載を、次の通り訂正する。
「【0007】
(従来例5)
特開平3-186231号公報に記載された調理プレートは、図19の如く、比熱の大きい鉄等の金属板からなる調理部25と、調理部25の裏面に熱伝導率の高いアルミニウム等からなる被加熱部26とを鋳造で一体に形成したものである。」を、
「【0007】
(従来例5)
特開平3-86231号公報に記載された調理プレートは、図18の如く、比熱の大きい鉄等の金属板からなる調理部25と、調理部25の裏面に熱伝導率の高いアルミニウム等からなる被加熱部26とを鋳造で一体に形成したものである。」と訂正する。
g、訂正事項G
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0008】の記載を、次の通り訂正する。
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の加熱調理器は、調理プレートの調理面が従来例1のように全面平坦である場合、あらゆる料理が可能である半面、調理物から出る不要な油分や炭化した調理かすなどが調理物に再付着してしまう欠点があった。また、図13に示すように調理物Mと調理面とは平面的に接触するため、ステーキなどのぶ厚い肉を加熱しようとすると、表面だけが固くこげてしまい(タンパク質が破壊され繊維質に変化)、水分の蒸発量も大きくきれいな焦げ目はつきにくいという欠点があった。」を、
「【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の加熱調理器は、調理プレートの調理面が従来例1のように全面平坦である場合、あらゆる料理が可能である半面、調理物から出る不要な油分や炭化した調理かすなどが調理物に再付着してしまう欠点があった。また、図12に示すように調理物Mと調理面とは平面的に接触するため、ステーキなどのぶ厚い肉を加熱しようとすると、表面だけが固くこげてしまい(タンパク質が破壊され繊維質に変化)、水分の蒸発量も大きくきれいな焦げ目はつきにくいという欠点があった。」と訂正する。
h、訂正事項H
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0014】の記載を、次の通り訂正する。
「【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、図1,2の如く、発熱体30を有する調理器本体31と、該調理器本体31に設けられた調理プレート32とを備えた加熱調理器において、前記調理プレート32の調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたものである。」を、
「【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、図1,2の如く、発熱体30を有する調理器本体31と、該調理器本体31に設けられた調理プレート32とを備えた加熱調理器において、前記調理プレート32の調理面に、複数列の凸部が形成された凹凸部と、この凹凸部の凹部とほぼ面一の調理用の平坦部とが形成され、前記凸部は調理面の一側から他側に向かう方向に平行に形成され、前記平坦部は前記凸部の一側に配置され、前記凹部と連通されたものである。」と訂正する。
i、訂正事項I
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0034】の記載を削除する。
j、訂正事項J
本件発明の詳細な説明の欄の段落番号【0037】の記載を、次の通り訂正する。
「【0037】
また、調理プレートの調理面に、凹凸部と平坦部とを併設し、この平坦部を凹凸部の凹部とほぼ面一にすると共に連通することにより、凹凸部において焼いた肉の肉汁あるいは油分が凹部に沿って平坦部に導かれるので、この平坦部で肉汁あるいは油分を利用して野菜などを調理することができ、肉の旨みで野菜などを美味しくすることができる。
もちろん、凹凸部と平坦部とが併設しているので、異なる種類の調理を同時に行うことも可能となる。凹凸部に溜まったかす等は平坦部に寄せ集めることによって、調理プレートの清掃も容易である。」を、
「【0037】
また、調理プレートの調理面に、凹凸部と調理用の平坦部とを併設し、この平坦部を凹凸部の凹部とほぼ面一にすると共に連通することにより、凹凸部において焼いた肉の肉汁あるいは油分が凹部に沿って平坦部に導かれるので、この平坦部で肉汁あるいは油分を利用して野菜などを調理することができ、肉の旨みで野菜などを美味しくすることができる。
もちろん、凹凸部と平坦部とが併設しているので、異なる種類の調理を同時に行うことも可能となる。凹凸部に溜まったかす等は平坦部に寄せ集めることによって、調理プレートの清掃も容易である。」と訂正する。
k、訂正事項K
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図10】の記載を、次の通り訂正する。
「【図10】
本発明の他の実施例の調理プレートの平面図」を、
「【図10】
従来例1の電気ホットプレートの断面図」と訂正する。
l、訂正事項L
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図11】の記載を、次の通り訂正する。
「【図11】
従来例1の電気ホットプレートの断面図」を、
「【図11】
従来例1の調理プレートの断面図」と訂正する。
m、訂正事項M
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図12】の記載を、次の通り訂正する。
「【図12】
従来例1の調理プレートの断面図」を、
「【図12】
従来例1の調理プレートの拡大断面図」と訂正する。
n、訂正事項N
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図13】の記載を、次の通り訂正する。
「【図13】
従来例1の調理プレートの拡大断面図」を、
「【図13】
従来例2の焼き肉用鍋の平面図」と訂正する。
o、訂正事項O
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図14】の記載を、次の通り訂正する。
「【図14】
従来例2の焼き肉用鍋の平面図」を、
「【図14】
従来例2の焼き肉用鍋の断面図」と訂正する。
p、訂正事項P
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図15】の記載を、次の通り訂正する。
「【図15】
従来例2の焼き肉用鍋の断面図」を、
「【図15】
従来例3の焼き肉用焼板の断面図」と訂正する。
q、訂正事項Q
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図16】の記載を、次の通り訂正する。
「【図16】
従来例3の焼き肉用焼板の断面図」を、
「【図16】
従来例3の焼き肉用焼板の一部切欠正面図」と訂正する。
r、訂正事項R
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図17】の記載を、次の通り訂正する。
「【図17】
従来例3の焼き肉用焼板の一部切欠正面図」を、
「【図17】
従来例4の調理プレートの斜視図」と訂正する。
s、訂正事項S
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図18】の記載を、次の通り訂正する。
「【図18】
従来例4の調理プレートの斜視図」を、
「【図18】
従来例5の調理プレートの断面図」と訂正する。
t、訂正事項T
本件発明の図面の簡単な説明の欄の【図19】の項を削除する。
u、訂正事項U
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除する。また、それに伴い本件発明の特許査定時の第11図を第10図に訂正する。
v、訂正事項V
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第12図を第11図に訂正する。
w、訂正事項W
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第13図を第12図に訂正する。
x、訂正事項X
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第14図を第13図に訂正する。
y、訂正事項Y
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第15図を第14図に訂正する。
z、訂正事項Z
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第16図を第15図に訂正する。
aa、訂正事項AA
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第17図を第16図に訂正する。
ab、訂正事項AB
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第18図を第17図に訂正する。
ac、訂正事項AC
本件発明の特許査定時の図面の第10図を削除したことに伴い、本件発明の特許査定時の第19図を第18図に訂正する。
異議決定日 2001-10-16 
出願番号 特願平5-244834
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A47J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鵜飼 健久保 克彦  
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 大槻 清寿
長浜 義憲
登録日 2000-06-09 
登録番号 特許第3076487号(P3076487)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 加熱調理器  
代理人 佐々木 晴康  
代理人 木下 雅晴  
代理人 小池 隆彌  
代理人 木下 雅晴  
代理人 小池 隆彌  
代理人 佐々木 晴康  

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