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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F23N
管理番号 1056592
異議申立番号 異議2001-71175  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-16 
確定日 2002-01-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3098199号「燃焼機器修理支援装置及び故障データ収集・利用方法」の請求項1〜請求項2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3098199号の請求項1〜請求項2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3098199号の請求項1〜請求項2に係る発明の出願は、平成8年12月27日に出願され、平成12年8月11日にその設定登録が、続く平成12年10月16日にその特許公報が発行されたものである。
これに対し、本件特許異議申立人より、上記請求項1〜請求項2に係る発明について、特許異議の申立期間内である平成13年4月16日に特許異議の申立がされ、平成13年8月31日に上記請求項1〜請求項2に係る発明に対し、取消理由通知が本件特許権者へ発送され、その指定期間内である平成13年10月30日には、本件特許権者より、特許異議意見書及び訂正請求書が提出された。

第2 訂正の内容
上記訂正請求は、本件出願の願書に添付した明細書を、下記訂正事項1〜訂正事項2のとおりに訂正することを求めるものである。
1、訂正事項1
本件出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る記載である
「【請求項1】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置。」を、
「【請求項1】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置。」と訂正する。
上記本件の特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、明細書の段落【0008】を、
「【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明の次の一構成により達成される。即ち、燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置である。」と訂正する。
2、訂正事項2
本件の特許請求の範囲の請求項2に係る記載である
「【請求項2】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの診断順序テーブルが変更される工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断順序テーブルに従って部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法。」を、
「【請求項2】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法。」と訂正する。
上記本件の特許請求の範囲の請求項2の訂正に伴い、明細書の段落【0009】を、
「更に、本発明の他の構成は、燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法である。」と訂正する。
第3 訂正の適否
1、訂正事項1について
訂正事項1は、それぞれ
a、「図17は、不具合をもとにして診断する場合のデータベース例である。・・・」(本件明細書の段落【0068】抜粋)
b、「図2で説明した故障診断サポート機能のうち、エラーコードを基にした故障診断サポートを行う為に、機種毎に診断シーケンスファイルが機種固有ファイル群P103内に設けられる。図18は、故障診断サポートのフローの別の例を示す図である。・・・」(本件明細書の段落【0072】抜粋)
c、「上記した機器固有ファイル群P103内の診断シーケンスファイルは、給湯器の機種毎に作成される。上記の構文のルールにしたがい、各機種特有の故障診断シーケンスを記述することができる。特に、診断の順番を決める順序テーブルはその機種の過去に蓄積した故障率に応じて適宜変更されることにより、最適な診断の順番を与えることができる。更に、故障率の高い部位を改良した結果、その故障率が低下した場合などにも、それに対応して順序ステーブルを変更することが好ましい。」(本件明細書の段落【0080】)
の各記載を根拠に、本件請求項1に係る発明の修理支援装置において、特定すべき故障部位、診断順序テーブルおよび診断順序を、「エラーコードまたは不具合に対する部位」に係るものに限定するとともに、さらに、それぞれ
d、「更に、図19の故障データには、診断対象となった燃焼機器のトータル燃焼時間のデータも集められることが望ましい。通常、燃焼機器は、そのマイクロコンピュータ内に使用時間(燃焼時間)についてのデータを記録している。従って、修理支援装置がその全燃焼時間のデータをマイクロコンピュータから読み出すことで、故障データの一部にすることができる。全燃焼時間は、燃焼機器の使用期間によって故障しやすい部位が異なるので、かかるデータを収集することが本発明の目的に合致している。」(本件明細書の段落【0082】抜粋)
e、「そして、部位データには、図21に示される通り燃焼時間毎の故障率及び測定値が含まれる。」(本件明細書の段落【0085】抜粋)
f、「そして、これらの最適化された順序テーブルは、燃焼時間によって異なるものが与えられる。」(本件明細書の段落【0087】抜粋)
の各記載を根拠に、故障データを記憶する手段に記憶すべき内容に「全燃焼時間」を追加し、診断順序テーブルをこの「全燃焼時間」に対応するものとしてさらに減縮するものであって、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
2、訂正事項2について
訂正事項は、それぞれ訂正事項1におけると同様の上記各記載を根拠に、本件請求項2に係る発明の燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、特定すべき故障部位、診断順序テーブルおよび診断順序を、「エラーコードまたは不具合に対する部位」に係るものに限定するとともに、故障データを記憶する手段に記憶すべき内容に「全燃焼時間」を追加し、診断順序テーブルをこの「全燃焼時間」に対応するものとしてさらに減縮するものであって、いわゆる新規事項に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
3、訂正の適否についての結論
以上のとおり、上記訂正事項1〜訂正事項2は、特許法第120条の4第2項または同法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2〜3項に規定された要件をいずれも満たしているから、訂正事項1〜訂正事項2の訂正は、適法なものとしてこれを認める。

第4 本件特許発明
上記訂正請求は、上述のごとく適法なものであって、その訂正を認めることができるから、結局、本件特許の請求項1〜請求項2に係る発明は、それぞれ下記のとおりのものである。
「【請求項1】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置。
【請求項2】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法。」

第5 本件特許異議申立の内容
本件特許異議申立人は、甲第1号証〜甲第5号証を提出し、本件特許の請求項1および請求項2に係る発明は、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて、または、甲第1号証〜甲第5号証に記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、取り消されるべき旨主張している。

第6 引用刊行物の記載
1、特開平7-310925号公報
本件特許異議申立人が甲第1号証として提出し、本件上記取消理由通知においても引用された特開平7-310925号公報(以下、刊行物1という)には、同刊行物記載の「燃焼器具およびその異常診断装置」について、
「【産業上の利用分野】本発明は、給湯器や風呂釜等の燃焼器具と、その異常を自動的に診断検査する燃焼器具の異常診断装置に関するものである。」(第2頁段落【0001】)こと、
「【0015】図1には本実施例の燃焼器具とその異常診断装置の要部ブロック構成が示されている。同図において、27はモデル例に示した給湯器や風呂釜等の燃焼器具を示しており、28はマイクロコンピュータやパソコン等で構成される異常診断装置を示している。本実施例の異常診断装置28には診断制御部60が設けられている。この診断制御部60は燃焼器具27の燃焼制御部30に燃焼器具の検査診断のための指令を与える機能を持つもので、診断指令出力部31と、データ読み取り書き込み部32と、データ出力部33と、インターフェース34と、モード切り換えスイッチ35と、異常診断部36と、データ判定補正部37と、外部指令・駆動部38と、外部応答検出部39と、報知部40と、データ入力部42と、診断データ蓄積部49と、A/D変換部29とを有して構成されている。
【0016】診断指令出力部31は、メモリ44と、動作指令出力部46とを有している。メモリ44には燃焼器具を構成している各種構成要素の検査診断を行う診断動作指令出力用のプログラムが格納されている。本実施例では、診断動作指令はパスワードと1つ以上のコマンドの集合体によって形成されている。」(第3頁段落【0015】〜【0016】)こと、
「【0022】データ読み取り書き込み部32は診断対象の燃焼器具の固有データ(IDデータ)を読み取る。このIDデータは例えば、製品の種類、型式、給湯能力、排気バリエーション、ガス種、検査診断規格値、検査診断項目および診断基準とその公差等の仕様データ等からなり、このIDデータはIDデータ入力部41により、キーボードのキー操作により、あるいはバーコード入力により、又はメモリカード等のカード入力により入力され、その入力データがデータ読み取り書き込み部32で読み取られ、この読み取りデータは前記診断指令出力部31に加えられている。データ出力部33は前記診断指令出力部31から加えられる診断動作指令をインターフェース34を介して通信手段である通信ケーブル61を介して燃焼器具27の燃焼制御部30へ加えている。」(第4頁段落【0022】)こと、
「【0025】図1に示す外部センサ43は燃焼器具内に使用されているセンサの検査やその補正(較正)を行うための基準のセンサであり、この外部センサ43は燃焼器具内のセンサ47と同一対象を検出する位置に設けられる。また、負荷検出センサ70は燃焼器具27内の燃焼ファン7、電磁弁8a,8b、イグナイタ98、比例弁10等の制御対象要素自身の駆動時における電気的負荷、例えば、電流、電圧、電力等の電気的負荷と、各制御対象要素の駆動制御回路の電気的負荷とを検出するものである。」(第4頁段落【0025】)こと、
「【0032】異常診断部36は診断指令出力部31側から燃焼制御部30側に加えられる動作指令に対する燃焼制御部30側からデータ入力部42を介して加えられる応答情報と、前記負荷検出センサ70からA/D変換部29を介して加えられる制御対象要素56の負荷検出信号とを受けて、メモリ44に格納されている診断プログラムの動作に従って燃焼器具27の各構成要素の異常診断を行う。
【0033】診断データ蓄積部49は電気信号によって書き込みと消去が可能なEEPROM等のメモリによって構成されており、この診断データ蓄積部49は前記異常診断部36の診断結果を格納蓄積する。そして、動作指令のコマンドがその診断データの蓄積結果の報知を要求している場合には、その蓄積診断データが液晶画面等を備えた報知部40の表示部に表示される。この報知部40の報知は画面表示に限られず、必要に応じ、ブザーやランプ等の他の形態での報知が併せて行われる。また、検査診断の終了時には、コマンドの要求に応じ、診断データ蓄積部49で蓄積した診断データは、データ読み取り書き込み部32を介してIDデータ入力部41に差し込まれる検査診断対象のメモリカードに書き込まれる。なお、報知部40は診断装置と一体とは限らず、また、数も1つとは限らない。
【0034】燃焼器具27側の燃焼制御部30は、データ入力部48と、メイン動作制御部50と、指令・駆動部51と、データ出力部52と、メモリクリア指令部53と、設定データメモリ54と、モニタ信号入出力部55とを有している。データ入力部48は前記診断制御部60側からインターフェース34を介して送られてくる診断動作指令を受け、コマンドの要求に従い、メイン動作制御部50と設定データメモリ54へ加える。
【0035】メイン動作制御部50は燃焼器具27の通常の燃焼運転を行わせる運転プログラムを内蔵しており、通常はこの運転プログラムに従って燃焼運転を制御する。」(第5頁段落【0032】〜【0035】)こと、および、
「【0043】モニタ信号入出力部55は動作指令に含むコマンドの状態モニタ指令に基づき、そのモニタ対象のセンサ47の検出値や制御対象要素56の動作状態を読み出し、この読み出し信号をコマンドの要求に応じて、データ出力部52へ供給したり、設定データメモリ54へ格納する。データ出力部52はモニタ信号入出力部55から加えられたモニタ信号を通信手段である前記通信ケーブル61を通して診断制御部60側に送信する。このデータは異常診断部36による燃焼器具の構成要素の検査診断のデータとして利用され、また、コマンドの要求に応じてデータ判定補正部37によってセンサ検出値のデータ補正が行われる。
【0044】本実施例は上記のように構成されており、次に、図5〜図7のフローチャートに基づき、異常診断の動作例を説明する。まず、図5において、燃焼器具の燃焼運転時に、リモコン等にエラー表示がされたときには、このエラー表示を確認して、異常診断装置28と燃焼器具27とを通信ケーブル61を用いて接続する。本実施例では、このケーブル接続はコネクタを用いて行われる。この通信ケーブル61の接続と同時に図3に示す如く、第1の電流検出プローブ79と第2の電流検出プローブ81をそれぞれ所定の位置に装着し、各電流検出プローブ79,81の出力側を例えばプラグ差し込み等により異常診断装置28に接続する。この状態で、診断指令出力部31側からリレーオンのコマンドを出力してモード切り換えスイッチ35をオンし、燃焼器具27の動作モードを運転モードから診断モードへ切り換える。そして、燃焼ファン系統診断とガス点火系統診断とイグナイタ系統診断の全部が、あるいはコマンドにより指定された系統の診断が行われる。」(第6頁段落【0043】〜【0044】)
ことが、その図面1図とともに記載されている。
したがって、上記図面の記載をも併せ参酌すると、刊行物1には、本件各請求項に係る発明に対応し、それぞれ下記の発明が記載されていると云える。
すなわち、請求項1に係る発明に対応して、
「運転プログラムを実行する燃焼制御部30を有する燃焼器具27の異常診断装置28において、該燃焼器具27の燃焼制御部30と通信を行う通信ケーブル61と、修理作業員に対する入出力を行う報知部40、外部入力手段63およびIDデータ入力部41と、該燃焼器具27の部位に接続されて所定の物理量を測定する負荷検出センサ70と、該燃焼機器具27のセンサ47を介して検出される検出データを該燃焼制御部30から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼器具27に適用される診断プログラムのデータを格納するメモリ44と、該メモリ44の診断プログラムのデータに従って該燃焼器具27の部位の診断を行う異常診断部36と、故障部位を特定した時、少なくとも製品の種類、型式を含む診断データを記録するIDデータ入力部41に差し込まれる検査診断対象のメモリーカードとを有する異常診断装置28。」(以下、引用発明1という)
また、請求項2に係る発明に対応して
「運転プログラムを実行する燃焼制御部30を有する燃焼器具27の故障データ収集方法において、該燃焼器具の燃焼制御部30と通信を行う通信ケーブル61と、修理作業員に対する入出力を行う報知部40、外部入力手段63およびIDデータ入力部41と、該燃焼器具27の部位に接続されて所定の物理量を測定する負荷検出センサ70と、該燃焼器具27内のセンサ47を介して検出される検出データを該燃焼制御部30から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼器具27に適用される診断プログラムのデータを格納するメモリ44と、該メモリ44の診断プログラムのデータに従って該燃焼器具27の部位の診断を行う異常診断部36と、故障部位を特定した時、少なくとも製品の種類、型式を含む診断データを記録するIDデータ入力部41に差し込まれる検査診断対象のメモリーカードとを有する異常診断装置28を使用して、該異常診断装置28が記録した診断データを収集し、データベース化する工程を有する燃焼器具27の故障データ収集方法。」(以下、引用発明2という)
が、それぞれ記載されている。
2、特開平8-137540号公報
次に、同じく本件特許異議申立人が甲第2号証として提出し、本件上記取消理由通知においても引用された特開平8-137540号公報(以下、刊行物2という)には、同刊行物記載の「機器の故障診断方法及び装置」について、
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロコンピュータにより各部の機能が制御されるような機器の故障を診断する故障診断装置及び診断方法の改良に関するものである。
【0002】本明細書においては、故障診断の対象機器として給湯機を例に挙げ、その各部の故障の有無を診断する診断装置及び診断方法について説明することとする。」(第3頁段落【0001】〜【0002】)こと、
「【0031】上記装置は、図示のように、給湯機1と、この給湯機1の故障診断を行うための外部装置3とから構成される。尚、外部装置3としては携帯容易な小型のコンピュータが適しており、本実施例ではいわゆる電子手帳を用いる。
【0032】給湯機1は、給湯機内の可動部品のアクチュエータ(以下、単に「アクチュエータ」という)5、これらアクチュエータ5を制御する本体コントローラ7、本体コントローラ7によって認識された過去の不具合履歴を記憶する不具合履歴記憶部9、及び本体コントローラ7と外部装置3との通信を行う送受信部11を備える。
【0033】一方、外部装置3は、サービスマンが命令やデータを入力するための操作部13、サービスマンに必要な情報を提示する表示部15、操作部13からの入力情報を解釈したり表示部15に表示すべき情報を作成する指令/データ入出力部17、給湯器1との通信を行う送受信部19、給湯器1から受信した情報に基づいて故障診断を行う不具合現象判断部21、及び故障診断のための各種シーケンスがプログラムされた不具合現象シーケンス記憶部23を備えて入る。この外部装置3と給湯器1とは、所定規格のケーブルにより接続されて各々の送受信部11、19を通じて通信を行う。
【0034】次に給湯機1につき詳述する。
【0035】給湯機各部のアクチュエータ5としては、例えば、バーナと接続するガス配管系統の比例弁や電磁弁を駆動するための装置、通水配管系統の比例弁や電磁弁を駆動するための装置、燃焼室に空気を供給するファンを駆動するためのファンモータ等が挙げられる。
【0036】不具合履歴記憶部9は、給湯機1で過去に発生した不具合(例えば、燃料ガスの不着火、ファンエラー、通信エラー等)に関する履歴を記憶している。
【0037】送受信部11は、外部装置3から送られた故障診断に係る指令やデータを受信して本体コントローラ7に渡し、また、本体コントローラ7から出力された不具合履歴や模擬動作の結果等に係るデータ等を外部装置3に送信するものである。
【0038】本体コントローラ7は、給湯器1のリモートコントローラや各種センサ(いずれも図示省略)からの情報に基づいてアクチュエータ5を制御するためのものである。この本体コントローラ7の動作モードには、給湯器1を通常に運転する通常運転モードの他に、外部装置3からの指令によって不具合履歴を外部装置3に送ったり指示された模擬動作を行ってその結果を外部装置3に返したりする診断モードが用意されている。
【0039】次に、外部装置3につき詳述する。
【0040】操作部13は電子手帳のキーボードであって、それを用いて自動診断モードやマニュアル診断モードの設定、診断に必要なデータや指令の入力等が行われる。」(第4頁段落【0031】〜第5頁【0040】)こと、
「【0047】図2は、外部装置3の不具合現象判断部21が自動診断を行うときの全体的処理流れを示す。
【0048】まず、給湯機1の本体コントローラ7に対し、不具合履歴記憶部9内の不具合履歴を読み出すためのリード(READ)指令を出力する(ステップS101)。ここで、リード指令とは、給湯機1のメモリ内に記憶されている情報の中から、任意に指定した情報を読出し外部装置3に送ることを本体コントローラ7に要求する指令の総称である。
【0049】次に、本体コントローラ7から不具合履歴が送られてくると、その不具合履歴中から、今後も再発するか否か確認すべき故障を選定する(ステップS102)。これは、例えば、過去の発生頻度の高い故障ほど、又は、所定の重大な故障ほど、確認の必要性が高いと判断して第1順位に選定するといった方法で行う。」(第5頁段落【0047】〜第6頁段落【0049】)こと、および、
「また、図1及び図8の装置では、不具合履歴記憶部9(93)を給湯器1(81)側に設けることとして説明したが、外部装置3やホストコンピュータ83側に設けることとしても差し支えない。」(第8頁段落【0083】抜粋)
ことが、図面とともに記載されている。
したがって、刊行物2には、
「診断シーケンスのデータは、故障診断装置が記録した不具合に関する履歴を収集して求められた部位の不具合の発生頻度に基づいて診断順序が変更される手段を有し、当該手段に従って前記故障診断装置が部位の診断順序を決定する」こと、または、
「データベースから求められた部位の不具合の発生頻度にもとづいて、前記診断シーケンスデータの診断順序が変更される工程と、故障診断装置の不具合現象判断部21を使用して診断するとき、前記診断順序に従って部位の診断順序を決定する」
ことが、それぞれ記載されていると云える。
3、特開平8-159465号公報
また、同じく本件特許異議申立人が甲第3号証として提出した特開平8-159465号公報(以下、刊行物3という)には、同刊行物記載の「燃焼機器の検査システムおよびそのシステムを構成する燃焼機器とデータ導入装置」について、
「燃焼機器27側とデータ導入装置28側のいずれか一方に検査データ格納メモリを設けておくことにより、検査の来歴データが蓄積できることとなり、燃焼機器27に異常が生じたときに、その異常箇所を検査するような場合には、来歴データを見て、異常発生の頻度の高い構成要素の検査を優先的に行うことにより、検査の効率化が図れ、異常箇所を短時間で突き止めることができるという効果が得られる。」(公報第7頁第12欄第2〜9行)
ことが、記載されている。
したがって、刊行物3には、燃焼機器の故障データを蓄積し、故障の頻度が高い部位を優先的に検査することが記載されていると云える。
4、特開平4-324056号公報
さらに、同じく本件特許異議申立人が甲第4号証として提出した特開平4-324056号公報(以下、刊行物4という)には、同刊行物記載の「給湯器故障診断システム」について、
「図1は、この発明の給湯機故障診断システムの一実施例を示す。給湯機2は、故障を診断すべき被診断対象である。この給湯機2に対して故障診断及び故障箇所の検査を行う検査器10が設置されている。この検査器10には、給湯機2の不良状況から故障診断を行うとともに、給湯機2との結線によって故障箇所の検査を行う診断手段として故障診断制御部100が設置されている。この故障診断制御部100には種々のデータを入力すべき入力部102が設置され、この入力部102には、故障を診断すべき給湯機2の不良状況を入力する入力手段として、入力スイッチ104が接続されている。
【0014】また、故障診断制御部100には、入力された各種のデータを処理する演算手段としての中央処理装置(CPU)106が設置されている。このCPU106は、続出し専用メモリ(ROM)108に書き込まれている診断制御プログラム、故障検査プログラム、その他の固定データに基づいて必要な演算処理を行うものである。RAM11Oは、CPU106の演算途上のデータや、入力部102に取り込まれた不良状況等を表すデータ等が一時的に書き込まれる随時書込み可能なメモリである。そして、入力部102、CPU106、ROM108及びRAM11Oはバス112で連係されている。
【0015】また、この故障診断制御部100には、診断結果等の各種のデータを表示する表示手段として表示器114が接続されている。この表示器114は、LCD表示器、その他のディスプレイで構成される。
【0016】そして、検査器10は、例えば図2に示すように、その前面部に入力スイッチ104及び表示器114が設置され、入力スイッチ104は図3に示すように、「YES」、「NO」「0」〜「9」の符号を付した複数の押釦スイッチで構成されている。また、表示器114には、図4や図5に示すように、故障診断結果や入力データ等が表不される。
【0017】以上の構成に基づき、動作を説明する。図6は、故障診断制御プログラムの一例を示し、ステップS1では、電源スイッチの投入により初期設定が行われ、データ入力の準備が行われる。次に、ステップS2では、故障を診断すべき給湯機2の不良状況を入力スイッチ104の選択によって入力する。次に、ステップS3では、不良状況から不良箇所の判定が行われ、ステップS4では、配線接続箇所の選定が行われる。ステップS3、S4で入力不足により不良箇所の特定が行えない場合は.ステップS5に移行してて表示器114に不良状況の詳細を入力するための表示を行わせ、例えば、図5に示すように表示器114に表示させて更に不良状況等の入力を促し、不良個所特定に必要な入力を得る。この結果、ステップS6では、給湯機2の不良状況に応じて検査器10の接続すべき箇所が表示器114に表示される。図4は、その場合の表示例を示し、これは点火不良における検査器10の接続箇所を表している。
【0018】この診断結果に基づいて、検査器10は図7に示すように、故障検査に必要な機能部分への接続が行われる。即ち、図7は、給湯機2の不良状況に応じた故障診断結果に基づいた選択結線を示す。この場合の接続線8の結線数は6組であり、その簡略化が理解されるであろう。
【0019】次に、図8は、図7に示した結線例.即ち、電磁弁部分におけるコネクタ6部分の接続構成を示す。この場合、給湯機2には機能部品201としての電磁弁が設置されており、制御基板20に接続されている。そこで、この機能部品201に対して検査器10を接続する場合、コネクタ6が必要となり、このコネクタ6を介して検査器10が接続されている。検査器10には、スイッチSW1、SW2が設置され、スイッチSW1、SW2の閉接点側電圧検出素子116が接続され、また、スイッチSW2の閉接点と制御基板20との間には電流検出素子118が接続されている。そして、電圧検出素子106、電流検出素子118から得られる検出データは、故障診断制御部100における入力部102に入力される。なお、コネクタ6のa、b、c、dは接続接点を示す。これは、機能部品201としての電磁弁に接続した場合であり、その電磁弁に流れる電流と電圧が同時に測定でき且つ給湯機2の信号とは関係なく検査器10の指示により電磁弁のオン/オフが行えるようになっている。したがって、特定の電圧及び電流が得られない場合、電磁弁201は不良と診断される。
【0020】また、センサに接続した場合には、電流、電圧以外にもセンサに応じて抵抗値、周波数等が測定でき、場合によってはセンサに電圧を加えたり、電流を流たりすることも可能である。」(公報第3頁第3欄第4行〜第4欄第34行)
ことが、図面とともに記載されている。
5、特開平2-151000号公報
さらに、同じく本件特許異議申立人が甲第5号証として提出した特開平2-151000号公報(以下、刊行物5という)には、同刊行物記載の「故障診断装置及び故障診断システム」について、
「第9図に基づく診断では、第10図の階層に従って、上位レベルから各レベルの故障候補と試験候補を絞り込む。このため、第11図に示す知識を使用する。第11図(a)及び(b)は、それぞれ、第2図(a)、(b)に示す故障事象対故障候補の知識及び試験の知識に診断レベルの情報を付加したものである。」(公報第6頁右上欄第10〜16行)
ことが、図面とともに記載されている。

第7 対比・判断
1、本件請求項1に係る発明について
本件請求項1に係る発明と刊行物1記載の上記引用発明1とを対比すると、刊行物1記載の引用発明1における上記、「運転プログラム」、「燃焼制御部30」、「燃焼器具27」、「異常診断装置28」、「通信ケーブル61」、「報知部40、外部入力手段63およびIDデータ入力部41」、「負荷検出センサ70」、「センサ47」、「診断プログラムのデータ」、「メモリ44」、「異常診断部36」、「製品の種類、型式」、「診断データ」および「IDデータ入力部41に差し込まれる検査診断対象のメモリーカード」は、本件請求項1に係る発明のそれぞれ「燃焼制御プログラム」、「制御部」、「燃焼機器」、「修理支援装置」、「通信手段」、「モニタ及び入力手段」、「テスタ手段」、「センサ」、「診断シーケンスのデータ」、「診断シーケンスフアイル」、「故障診断装置」、「機種データ」、「故障データ」、および「故障データを記憶する手段」に相当するから、両者は、結局、
「燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、故障部位を特定した時、少なくとも機種データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置。」
である点で一致し、下記a〜cの点で相違している。
a、本件請求項1に係る発明における故障データを記憶する手段が、故障データとして機種データの他、少なくとも「全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データ」を記憶するのに対し、引用発明1におけるそれは、機種データの他は、どのようなデータを記憶するのか明らかでない。
b、本件請求項1に係る発明が、「診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が部位の診断順序を決定する」のに対し、引用発明1は、そのような構成を有していない。
c、本件請求項1に係る発明が、その特定すべき故障部位、診断順序テーブルおよび診断順序を、「エラーコードまたは不具合に対する部位」に係るものと明示しているのに対し、引用発明1は、その点が明確に明示されていない。
そこで、先ず相違点bについて検討すると、なるほど刊行物2または刊行物3には、故障データを蓄積し、故障の頻度が高い部位を他の部位に優先して検査することが記載されてはいるものの、診断順序テーブルを全燃焼時間に対応させることは記載されていない。
そして、本件請求項1に係る発明は、そのような手段を有することにより、燃焼機器では使用期間によって故障しやすい部位が異なるのに対し(本件明細書の段落【0082】)、最適化された順序テーブルは、燃焼時間によって異なるものを与えることができるという(本件明細書の段落【0087】)、上記甲各号証には示唆されていない作用効果を達成できるものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件請求項1に係る発明が刊行物1〜刊行物5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと云うことはできない。
2、本件請求項2に係る発明について
本件請求項2に係る発明と刊行物1記載の上記引用発明2とを対比すると、刊行物1における上記、「運転プログラム」、「燃焼制御部30」、「燃焼器具27」、「通信ケーブル61」、「報知部40、外部入力手段63およびIDデータ入力部41」、「負荷検出センサ70」、「センサ47」、「診断プログラムのデータ」、「メモリ44」、「異常診断部36」、「製品の種類、型式」、「診断データ」、「IDデータ入力部41に差し込まれる検査診断対象のメモリーカード」および「異常診断装置28」は、本件請求項2に係る発明のそれぞれ「燃焼制御プログラム」、「制御部」、「燃焼機器」、「通信手段」、「モニタ及び入力手段」、「テスタ手段」、「センサ」、「診断シーケンスのデータ」、「診断シーケンスフアイル」、「故障診断装置」、「機種データ」、「故障データ」、「故障データを記憶する手段」および「修理支援装置」に相当するから、両者は、結局、
「燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、故障部位を特定した時、少なくとも機種データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程とを有する燃焼機器の故障データ収集。」
である点で一致し、下記d〜fの点で相違している。
d、本件請求項2に係る発明における故障データを記憶する手段が、故障データとして機種データの他、少なくとも「全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データ」を記憶するのに対し、引用発明2におけるそれは、機種データの他は、どのようなデータを記憶するのか明らかでない。
e、本件請求項2に係る発明が、「データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って部位の診断順序を決定する工程」を有し、その故障データ「利用」するのに対し、引用発明2は、そのような行程を有していないばかりでなく、その故障データをどのように「利用」するのか明らかではない。
f、本件請求項2に係る発明が、その特定すべき故障部位、診断順序テーブルおよび診断順序を、「エラーコードまたは不具合に対する部位」に係るものと明示しているのに対し、引用発明2は、その点が明確に明示されていない。
そこで、先ず相違点eについて検討すると、なるほど刊行物2または刊行物3には、故障データを蓄積し、故障の頻度が高い部位を他の部位に優先して検査することが記載されてはいるものの、診断順序テーブルを全燃焼時間に対応させることは記載されていない。
そして、本件請求項2に係る発明は、そのような手段を有することにより、本件請求項1に係る発明の場合と同様に、燃焼機器では使用期間によって故障しやすい部位が異なるのに対し(本件明細書の段落【0082】)、最適化された順序テーブルは、燃焼時間によって異なるものを与えることができるという(本件明細書の段落【0087】)、上記甲各号証には示唆されていない作用効果を達成できるものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件請求項2に係る発明も刊行物1〜刊行物5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと云うことはできない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1〜請求項2に係る発明は、上記刊行物1および刊行物2に記載された発明に基づいて、または、刊行物1〜刊行物5に記載された発明に基づいて、いずれも当業者が容易に発明をすることができたものと云うことはできず、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるという本件特許異議申立人の上記主張は、これを採用することができない。
また、本件特許を取り消すべき理由を他に発見しない。
よって、上記結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
燃焼機器修理支援装置及び故障データ収集・利用方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、
該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、
修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、
該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、
該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、
診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、
該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、
エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、
前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前期診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置。
【請求項2】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、
該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、
前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、
前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯器や風呂追い焚き機能付き給湯器等の燃焼機器の修理を支援する為の端末装置及び故障データの収集・利用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
給湯器等の燃焼機器は、近年においてマイクロコンピュータを使用して燃焼制御から、給湯機能、自動湯張り機能、追い焚き機能等の制御などを実現している。それに伴い、機器内で使用する電磁弁、ファン等のアクチュエータや温度センサ、水量センサ等のセンサ等の部品数の増加する傾向にある。この様に給湯器の機能の高度化に伴い、新しいセンサや部品が組み込まれ、制御シーケンスが複雑化し、部品配置の高密度化が進んでいる。更に、頻繁にモデルチェンジが行われると共に製品のラインアップも増加する傾向にある。
【0003】
その結果、給湯器の修理は、部品点数の増大と機能高度化によるソフトウエアの複雑化に伴い故障部品の特定が困難になっており、また修理対象の機種が増加して個々の機種への対応が困難になっている。
【0004】
以上の様に、給湯器の修理作業は極めて困難で多くの工数、時間を必要とする傾向にある。また、修理対象機種が増加するに伴い必要とされる修理技能及び修理情報を取得することが困難になっている。その為に、故障箇所を正確に特定することができず、故障原因でない部品を交換することがしばしばあり、修理コストを増大させている。そこで、本発明者らは、給湯器等の燃焼機器のメーカーや機種にかかわらず利用できる同一の修理支援システムを、例えば特願平8-189000にて提案した。このような修理支援システムを利用することで、故障部品を容易に特定することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多くの工程を経て故障部品を特定し、新しい部品に取り替えを行った後は、その故障部品が単に回収されるだけで、故障部品の特定の過程で得られたデータや、故障部品が故障と判定された根拠となった測定値、動作状況(動作不動作や動作不良)などの情報はなんら知ることができないのが一般的である。
【0006】
そこで、本発明は、故障に関するデータや情報を収集することができる故障支援装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の別の目的は、有効な故障に関するデータや情報の収集方法及びそれらの有用な利用方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、本発明の次の一構成により達成される。即ち、燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、
該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、
修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、
該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、
該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、
診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、
該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、
エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、
前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置である。
【0009】
更に、本発明の他の構成は、燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、
該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、
前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、
前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲はその実施の形態に限定されるものではない。尚、以下説明の為に風呂追い焚き機能付きの給湯器を例にして説明するが、それ以外の機能を有する給湯器或いは一般的な燃焼機器にも適用することができる。
【0011】
図1は、給湯器修理支援システムの全体の構成を示す図である。1はその修理支援装置であり、通信線または赤外線などの通信媒体手段を介して給湯器2に接続される。また、修理支援装置1は、携帯端末や携帯用のパーソナルコンピュータ10と入出力ボックス20から構成される。携帯端末10は汎用品を使用することができ、修理用のプログラムをインストールすることで、各種の修理支援機能を実現することができる。
【0012】
携帯端末装置10は入出力ボックス20とRS232C等の通信ケーブル線で接続され、入出力ボックス20は、携帯端末10から与えられるデジタル信号を電圧変換して給湯器2の電圧に整合したデジタル信号をシリアルに送信したり、給湯器から検出した電力、ガス圧、電流、電圧、抵抗値、周波数などのアナログ値をデジタル値に変換して携帯端末10に送信したりするインターフェース的な機能を有する。
【0013】
給湯器2内には、後述するマイクロコンピュータによる制御装置が設けられているが、入出力ボックス20とは通信線CN5で接続されて、携帯端末10が給湯器の制御装置内を解析することができる様になっている。更に、給湯器2に対して、その商用電源に対して消費される電力を検出する為の端子CN4、2次ガス圧を測定する為のチューブCN3、及び選択された部位の電圧、電流、抵抗、周波数を測定する為のプローブ付き端子CN2が取り付けられる。
【0014】
従って、給湯器2側に要求されるものは、基本的には通信線CN5が接続されるコネクタ端子と、その通信線を介して行われる通信機能である。
【0015】
図2は、修理支援装置の携帯端末10内のソフトウエア機能の構成を示す図である。携帯端末は通常の汎用コンピュータと同等のハードウエア構成をとり、その記憶媒体内に図2に示した機能をもつソフトウエアが格納される。
【0016】
テスター機能P1は、交流・直流電圧測定機能P11、交流・直流電流測定機能P12、抵抗測定機能P13、周波数測定機能P14を有する。これらのテスター機能プログラムP1は、前述した入出力ボックス20からのプローブをもつ端子CN2により、選択された給湯器内の部位の電圧、電流、抵抗、周波数を測定する。
【0017】
ガス圧測定機能プログラムP2は、前述したチューブCN3を給湯器2内のガス比例弁の下流側のガス2次圧を測定する為のプログラムである。同様に、消費電力測定機能プログラムP3は、給湯器2の電源と商用電源との間に挿入される電力用端子CN4を介して、給湯器全体で消費する電力を測定するプログラムである。
【0018】
これらの測定機能プログラムは、入出力ボックス20内にある測定用のハードウエアを制御することにより、それぞれの物理量を測定して、携帯端末10に表示する。
【0019】
機器情報取得機能プログラムP4は、通信線CN5を介して接続される給湯器の機種コードやバージョン情報を取得するプログラムである。
【0020】
パスワード機能プログラムP5は、携帯端末10から給湯器2に修理モードを指示する特別の開始指示コードを送信し、その返信を受け取る機能を持つ。後述する通り、修理モードでは給湯器内の制御装置のメモリにアクセスすることができ、燃焼制御に不可欠なデータを書換え若しくはクリアしてしまう危険性があり、パスワードを送受信し確認することで安全性を担保している。
【0021】
メンテモニタ機能プログラムP6、模擬リモコン機能プログラムP7、個別部品駆動機能プログラムP8及び故障診断サポート機能プログラムP9は、本発明の故障支援機能の中心的な部分である。それぞれのプログラムの機能について簡単に説明すると、メンテモニタ機能は、給湯器内のセンサの値や制御用の数値をモニタするもので、制御装置のメモリ(RAM)のデータを読みだすことにより可能である。
【0022】
模擬リモコン機能プログラムP7は、携帯端末の表示画面にリモコンと同等の画面を表示し、通常のリモコンから与えられる通常の燃焼シーケンスの指令をしたり、通常のリモコンから得られる給湯温度等のデータをモニタしたり、設定温度の設定を変更したりする。この機能により、修理作業員は給湯器の前に居ながら例えば台所や浴室内のリモコンを操作及びモニタすることができ修理作業性を上げることができる。具体的には、携帯端末から給湯器内の制御用のRAM領域の制御シーケンスの実行を意味するフラグをオン状態に書き換える等により可能である。
【0023】
個別部品駆動機能プログラムP8は、給湯器内の電磁弁やファンモータ等のアクチュエータを個別に駆動できるようにする機能を有する。模擬リモコン機能により、携帯端末から通常制御シーケンスの指令を与えるのに対して、この個別部品駆動機能では、個々のアクチュエータを別々に駆動させる機能である。具体的には、携帯端末から給湯器内の制御用のRAM領域の各アクチュエータの駆動を意味するフラグをオン状態に書き換えたり、駆動用のサブルーチンを呼び出す命令を与えたりする等により可能である。
【0024】
上記のメンテモニタ機能P6は、模擬リモコン機能P7または個別部品駆動機能P8と同時に実行させることでより効率的な故障診断を行うことができる。即ち、模擬リモコン機能により携帯端末10から通常の燃焼シーケンスの指令を与え、メンテモニタ機能によりその時の給湯器の制御装置内の動きをモニタすることができる。その時、同時にテスタ機能P1、ガス圧測定機能P2、電力測定機能P3を併用してそれらの物理量をモニタすることもできる。また、個別部品駆動機能により、選択したアクチュエータを駆動させて、その時の給湯器の制御装置内の動きや物理量をメンテモニタ機能等により同様にモニタすることもできる。
【0025】
メンテモニタ機能P6、模擬リモコン機能P7及び個別部品駆動機能P8は、通信線を通じて給湯器の制御部に所定のデジタル信号を送信するだけである。その為に、図3に示した入出力ボックス20内のシリアル信号変換部34を経由して、デジタル信号がシリアル通信で給湯器に送られる。
【0026】
また、これらの機能P6,P7,P8は、異なるメーカの異なる機器に対して共通して使用されることが必要である。その為に、携帯端末10内のプログラムは、メーカや機種毎の固有のデータやプログラムのファイルP103が設けられている。即ち、通信線を通じてRAMの内容をモニタしたり、通常燃焼シーケンスを実行したり、個別のアクチュエータを駆動したりする為に必要なメーカまたは機種毎に異なるプログラムである。このプログラムP103は、前述したパスワード機能プログラムP5によっても使用される。
【0027】
故障診断サポート機能プログラムP9は、熟練した修理技能を持たない場合でも、故障部位を特定する為の診断サポートを行うものである。例えば、給湯器が故障した時に出力するエラーコード(ガス協会で標準化された3桁のコード)を手掛かりにして診断を行う機能P91、給湯器の部位を手掛かりにして診断を行う機能P92、故障の現象または不具合の状態を手掛かりにして診断を行う機能P93等を有する。
【0028】
この故障診断サポート機能プログラムP9は、そのかなりの部分がメーカ毎に或いは機種毎に異なって作成される必要がある。従って、機種固有のファイル群を有するプログラムP103には、このプログラムP9において必要なメーカ毎にあるいは機種毎の診断サポートプログラムが含まれることになる。
【0029】
上記したソフトウエアについて、本発明では、修理作業者が携帯端末を介して共通の表示画面と入力操作性のもとで修理を行うことができるように、表示制御と入力制御を主に行う全機種に共通の修理アプリケーションのプログラムと、給湯器の機種毎に異なる故障診断サポート機能、メンテモニタ機能、模擬リモコン機能、個別部品駆動機能等を実現する為の機種毎のファイルとを有する。
【0030】
図3は、給湯器の一例の構造図である。このような風呂機能付きの給湯器の構造は良く知られている。簡単に説明すると、給湯熱交換器28、風呂熱交換器20とに分けられ、給湯側の給湯回路23内にはサーミスタ24、25、26、水量センサ27等が設けられ、風呂側の回路29には循環ポンプ30、サーミスタ38、水流スイッチ39等が設けられている。また、ガス流路には元ガス電磁弁35、給湯側ガス電磁弁36、風呂電磁弁37、それにガス切替弁1、2ガス比例弁等が設けられている。それぞれの燃焼室には着火用のイグナイタと着火を検出するフレームロッドが設けられ、燃焼制御用に燃焼ファン31、流量センサ32が設けられている。33は圧力センサ、34は注湯弁である。
【0031】
前述したガス圧測定用のチューブCN3は,図中のガス比例弁の下流側に取り付けられる。また、電力測定端子CN4は、図示しない給湯器の電源線に接続され給湯器全体での電力消費量を測定する。
【0032】
図4は、図3の給湯器の各アクチュエータやセンサを制御する制御部であり、マイクロコンピュータなどのCPU41、それに接続されるEEPROM48から構成される。47は台所や浴室に取り付けられるリモコンである。CPU41内は、通常の構成では、演算ユニット42、アクチュエータの駆動状態やセンサの出力、制御シーケンスで使用されるフラグや定数などのデータが記憶されるRAM43、制御プログラムや定数が記憶されるROM44、A/D、D/A変換器45、インターフェース46がバスを介して接続されている。EEPROM48には、エラーデータ、その履歴、各種設定定数などが記憶されている。
【0033】
そして、CPU41から、インターフェース46を介して、図3で説明した各アクチュエータに駆動信号が供給され、センサからの検出データを受領する。
【0034】
本発明では、故障診断装置としての携帯端末10が入出力ボックス20を介して、二芯の通信線49経由でCPU41に接続される。50はその通信線49を接続する為のコネクタである。本発明では、給湯器側にこのコネクタ50をハードウエアとして追加することを要求している。
【0035】
図5は、給湯器の制御プログラムの構成を示す図である。図4のROM44内には、燃焼制御シーケンスプログラムとして、給湯、自動、追い炊き等の通常燃焼シーケンスを制御する通常燃焼シーケンス制御部T1を有する。この通常制御シーケンスプログラムにおいて、燃焼制御、リモコンとの通信、アクチュエータ駆動、センサ値入力等を行う。また、外部との通信制御部T2も有する。外部との通信制御部T2が、今回の故障診断装置との通信を行う為に必要なプログラムであり、これがソフトウエア的に給湯器に要求される構成である。ハードウエア的には前述の通りコネクタ50である。
【0036】
燃焼制御シーケンスの通常燃焼シーケンス制御部T1では、リモコン側からの開始指令信号を受信した時に、例えばそれらのプログラムの実行を示すRAM43内のフラグがオンされることで燃焼制御プログラムが実行される。そして、センサの状態をRAM43内に格納されたデータから検出して、燃焼制御に必要なアクチュエータの駆動を指令するデータを、RAM43内の対応する領域に書き込む。そのRAM43に書き込まれた指令データは、アクチュエータに指令信号として与えられる。
【0037】
[故障診断]
以上が、全体の構成の説明である。本発明の故障診断装置では、全てのメーカの全ての機種に対して汎用的に使用することができる様に、給湯器側に追加されるべきハードウエア、ソフトウエアをごくわずかなものに制限している。そして、故障診断装置をできるだけ汎用化する為に、故障診断を行う携帯端末内のソフトウエアの構成を、汎用的な部分と、各機種毎に異なる対応プログラムの部分とに分けている。図2内でプログラムP103が、サポートされる機種毎に必要なプログラムの部分である。
【0038】
熟練した技能を有しない修理作業員の為に本発明の修理支援システムでは、故障診断サポート機能を設けているが、この部分も機種毎に異なる。そのため、本発明ではそれらの共通化できない部分は、プログラムP103によって対応されるのである。一方、修理作業員に対して機種毎に共通の表示画面と操作性を提供することができる様に、修理作業員への表示と入力の制御を共通化した修理アプリケーションプログラムを提供する。
【0039】
図6は修理支援の全体のフローチャート図である。図中、Sを付した番号の工程は修理支援装置によるステップで、Kを付した番号の工程は給湯器側のステップである。また、図7は、その詳細な部分フローチャート図である。
【0040】
修理のスタートでは、修理作業員が修理支援装置である携帯端末10と入出力ボックス20とを給湯器の設置場所に運搬し、通信線49を給湯器のコネクタ50に差し込み、ガスチューブCN3を二次圧測定部に取付け、電力測定端子CN4を電源に取り付ける(S1)。
【0041】
そこで、携帯端末10の表示画面にメイン画面が表示され、修理作業員により開始ボタンがオンされる(S2)。それに伴い、携帯端末10から修理フローの開始を指示するコードとしてパスワードが給湯器に送信される(S3)。
【0042】
給湯器側では、その送信されてきたパスワードをチェックし、正しいコードであることを確認した後に、給湯器の機種やメーカ等の情報を返信し、ソフトウエア的に修理モードにはいる(K2)。具体的には、外部装置との通信プログラムを実行状態にし、マイクロコンピュータ内のRAM領域への書き込みや読み出しを許可する等である。
【0043】
携帯端末側では、給湯器情報を受信してそれに対応するプログラムをP103から選択する(S4)。その結果、携帯端末10は、接続した給湯器専用の修理支援装置となる。このように、給湯器側から機器情報を取得することは、多数の種類の機器に対して汎用的に修理支援を行う為には非常に有効な方法である。また修理員が給湯器の機種番号を確認して入力する等の手間を省き、誤って選択される事故を防ぐことができる。また、同じ機種番号であっても制御装置のプログラムにマイナーな修正がおこなわれるバージョンアップにも対応することができる。無論、プログラムP103を常に最新のものに維持して置くことが必要である。
【0044】
次に、修理作業員はメイン画面内からメニューを選択する(S5)。
【0045】
全体のフローとしては、図6に示される通り、メンテモニタプログラムを選択し(S6)、模擬リモコンプログラムを選択し(S7)または個別部品駆動プログラムを選択し(S8)、或いは故障診断サポートプログラムを選択した(S9)後に、全ての修理が終了して、メインメニューの終了ボタンが押される(S10)。その結果、携帯端末10から修理の終了を指示するコードであるパスワードが送信される(S11)。給湯器側ではそのパスワードが正しいことを確認してから、マイクロコンピュータ41をリセットして、修理中に強制的に書き換えられたRAM内のデータをクリアする(K3)。このリセットは、通常のマイクロコンピュータのリセット機能を使用することができる。この結果、給湯器は通常の制御モードに戻ることになる。
【0046】
[メンテモニタ機能]
図8は、メンテモニタ機能を選択した時に携帯端末に表示される画面例を示す。図8(A)はメンテモニタ選択画面であり、同図(B)はその表示画面である。図7の詳細フローチャートに示される通り、メンテモニタ機能が選択されると(S9)、メンテモニタ選択画面(図8(A))が表示される。図8(A)に示される例から理解される通り、モニタされるのは、各センサ類からのデータや燃焼制御上必要な測定時間等のRAM43内に格納されて常にアップデートされるデータである。従って、作業員がモニタしたい項目を選択して実行ボタンをクリックすることで(ステップS61)、メンテモニタプログラムは給湯器内のRAM43内の対応するアドレスのデータを常に読みにいくよう制御する。そして、図8(B)の様に選択された項目が理解し易い具体的な物理量に変換して表示される(ステップS62、S63)。
【0047】
給湯器の制御で説明した通り、燃焼シーケンス制御部では、常に制御情報がRAM43内の領域に書き込まれ読みだされる。従って、燃焼制御の状態をモニタするには、RAM43内をモニタすることが非常に有効である。従って、プログラムP103により、対応する機種の給湯器内のRAM43を読みだすプログラムを提供することにより、携帯端末10は給湯器内の動きを常に監視することができるのである。
【0048】
このメンテモニタ機能を、後述する模擬リモコン機能または個別部品駆動機能と組み合わせることで、給湯器の制御部内の動きを逐一モニタすることができ、修理における故障部位の特定または故障の原因を検出する作業性が飛躍的に向上する。
【0049】
[模擬リモコン機能]
図9は、模擬リモコン機能を選択した時の画面例を示す図である。この画面が、対応機種に接続されるリモコンと同じ指令ボタン、状態ランプ、温度、水位等が表示される。この模擬リモコン機能が選択された時は、携帯端末は他のリモコン47をエミュレートすることになり、修理作業員は携帯端末画面からリモコンによる通常の燃焼シーケンスを給湯器に指示することができる。即ち、運転ボタンをオンにして指令ボタンを有効にした後、例えば自動ボタンをクリックすると給湯器は自動シーケンスを実行する。また、風呂温度の設定を変えることで浴槽に注湯される温度が変更される。
【0050】
リモコンからの指令の方法は、機種、メーカによって異なる。例えば、給湯器内のRAM43の所定の領域のフラグにオンデータを書き込むだけで、後は給湯器側の制御プログラムがRAMのその領域を参照して指令が出されたことを検出して、そのシーケンスの実行を始める。或いは、リモコンからの指令により制御プログラムを呼び出すサブルーチンプログラムが実行される。それぞれの機種に応じた適切な処理が、選択されたプログラムP103により行われる(ステップS72)。
【0051】
図11は、前述したメンテモニタ機能と模擬リモコン機能を選択した時のメイン画面例である。画面領域63の右側に図9の模擬リモコン画面が、左側に図8(B)のメンテモニタ表示画面がそれぞれ表示される。模擬リモコン機能によって給湯器に実行させようとするシーケンスに適合するモニタ事項を、あらかじめ図8(A)のメンテモニタ選択画面から選択する。そして、模擬リモコン機能によって指定したシーケンスの実行を給湯器に行わせながら、同時表示のメンテモニタ表示画面を携帯端末から見ることができる。その時、同時にテスタ、消費電力、ガス圧も領域62内で確認することができる。この様にリモコン操作をして給湯器の内部状態を逐一観察することができ、故障部位の特定の作業効率が飛躍的に向上する。
【0052】
[個別部品駆動機能]
図10は、個別部品駆動機能を選択した時の画面例を示す図である。図10(A)はその選択画面であり、接続された対象機種が有していて修理支援装置側からの個別の駆動が許されるアクチュエータのリストが示されている。図10(B)は、それにより選択されたアクチュエータの具体的な駆動内容を指示する個別駆動指示画面である。図7に示される様に、画面図10(A)により駆動させたい部品を選択すると(S81)、図10(B)が表示されその画面内で駆動の指示内容が設定される(S82)。
【0053】
その結果、携帯端末10から選択された部品(アクチュエータ)を駆動する為に必要な処理が通信線を介して給湯器のマイクロコンピュータに与えられる。その具体的な処理としては、模擬リモコンと同様にRAM43内の所定のアドレスの駆動状態のデータに書き換えるとか、必要なサブルーチンを呼び出すとかである。この点も、各機種毎に異なるプログラムP103により実行される。
【0054】
図10(B)の画面の例では、ファンモータに対してはどの程度の回転数で運転するのか或いは停止するのかの指示を与えることができる。イグナイタに対してもそれぞれの指示内容を設定することができる。
【0055】
図12は、個別部品駆動機能とメンテモニタ機能を同時に選択した時のメイン画面例である。図11の場合と同様に、領域63内の右側に図10の個別部品駆動指示画面が、左側にメンテモニタ表意画面が同時に表示される。あらかじめ、故障診断で駆動チェックが必要な部品を図10(A)の個別駆動選択画面で選択され、図12の右側の個別駆動指示画面から適宜ボタンをクリックして駆動させ、その時のマイクロコンピュータ内部の状態を左側のメンテモニタ表示画面で監視することができる。
【0056】
このメイン画面には、領域62に常に消費電力とガス圧が表示される。従って、最も簡単な診断方法として、個別部品駆動機能により全てのアクチュエータを順番に駆動してその消費電力の変化を監視することで、アクチュエータが動作可能かどうかのチェックを行うことができる。
【0057】
以上の模擬リモコン機能と個別部品機能とを組み合わせて使用することにより、例えば、需要者から説明された正常動作しない通常燃焼シーケンスを、模擬リモコン機能を利用して最初に実行させ、内部動作をモニタする。そして、それにもとづくある程度の故障部位の予測のもとに、今度は個別部品駆動機能を利用して選択した部品を駆動されて内部動作をモニタする。
【0058】
このような修理作業は、ある程度の技能を有する作業員の場合に有効である。本発明は、その様な習熟した技能を持たない作業員であっても修理支援することができる様に次の様な故障診断サポート機能を提供する。
【0059】
[故障診断サポート機能]
図13は、故障診断サポート機能を選択した時の最初の場面例である。この故障診断サポート機能は、修理技能がそれ程高くない作業員が、携帯端末と会話をしながら最終的に故障部位を特定することができるようになっている。図13は、その最初の画面例であるが、図7に示した通り、会話形式でより下層画面を呼出しながら故障部位の特定がされる。
【0060】
図13の例に示される通り、例えば給湯器が出力するエラーコードをもとにして故障部位を特定するメニューと、部位をもとにして故障部位を特定するメニューと、故障の現象である不具合をもとにして故障部位を特定すメニューとを有する。他にも、有効な診断の糸口があればそれらのメニューを追加することができる。
【0061】
図14は、故障診断サポートプログラムのデータベース例を示す図である。このデータベースの例では、例えばリレーショナルな関係で関連付けられた下層の画面を例にして示している。従って、図中のローマン数字がその階層の深さを示している。この例では、メインメニューをI階層目とするとV階層まで有している。階層IIは、エラーコードを基にするメニューを選択した時に表示される画面71を有する。通常給湯器側は、エラーコードをEEPROM48内に格納しているため、このメニューが選択されると、そのデータが携帯端末10により通信線を介して読みだされて表示される。
【0062】
そこで、その画面からエラーコードを選択すると、階層IIIの画面72、73等が表示される。この画面は、各エラーコード毎にチェックすべき或いは故障の可能性がある部位のリストである。各給湯器の機種毎にエラーコードに対する部位リストが異なるので、この画面のデータはプログラムP103により与えられる。図14の例では、エラーコード1の画面72には、ファンモータ、給湯ガス弁、切替ガス弁1、イグナイタがリストされている。
【0063】
そこで、更にそのリストからファンモータを選択すると、階層IVの画面74が
表示される。この画面にはファンモータが正常か故障かを診断する為に必要なチェック項目のリストが表示される。例えば、印加電圧の項目を選択すると、階層Vの画面76が表示される。この画面では、ファンモータの印加電圧を診断する為に作業員がすべき内容のメッセージと、その電圧の許容範囲が例えば表示される。メッセージ例としては、「コネクタxx番を外してプローブを当てて下さい。」と言った内容であり、それに従って作業員がプローブを当てると、プログラム側で自動的にファンを駆動させ、その時の電圧を測定して画面の領域62に表示する。その電圧が許容範囲か否かをプログラム側で自動的に確認して、何らかの次の作業を指示するメッセージを表示する(図中には示さず)。
【0064】
この様にして、作業員は会話形式で図14中の階層間を或いは階層内の画面間を移動しながら、最終的に故障部位を特定する。
【0065】
図14のデーターベースは、リレーショナルな関連を有し、例えば階層IIIの画面72の給湯ガス弁と画面73での給湯ガス弁とは同じ画面75に関連付けられる。
【0066】
故障診断サポート機能の別の例として、図14の様に上層さら下層までのルートを修理作業員に選択させるのではなく、単に修理作業員はYESかNOのボタンを選択するだけで、プログラム側でルートを自動的に選択する方法でも良い。図15は、そのような場合に使用される下層の画面例である。この例は、燃焼ファンの回転動作をチェックする時の画面であるが、この下層画面には、基本的には、ある質問メッセージと修理作業員が入力するYESとNOのボタンが表示されるのみである。或いは、修理作業員に所定の箇所の電圧測定などの何らかの行為を要求するメッセージが表示されるのみである。後述する故障診断サポートファイルによって指定される故障診断手順にしたがって自動的に図15の如き画面が表示され、修理作業員は単にYESかNOのボタンをクリックするだけで、故障部品に到達することができる。そして、最終的に部位は故障か否かの判断は、ソフトウエアにより行われる部位もあれば、テスタ等の測定値にもとづいて修理作業員により行われる部位もある。
【0067】
図16は、部位をもとにした故障診断サポートプログラムのデータベース例を示す図である。例えば、使用者からより具体的に調子が悪い部位についての情報が与えられたり、ある程度可能性がある部位まで特定された場合等は、このメニューが選択されることでその部位の故障診断がサポートされる。階層IIの画面81は部位のリストで、階層IIIの画面82、83、84はそれぞれの部位で診断すべき項目リストで、階層IVの画面85、86はそれぞれの診断のメッセージ画面である。階層II以下は、各機種毎に異なるのでプログラムP103でサポートされる。この場合も、階層間または階層内の画面を移動しながら最終的に故障部位を特定する。
【0068】
図17は、不具合をもとにして診断する場合のデータベース例である。このメニューが選択されると、階層IIの画面91にその機種特有の典型的な不具合のリストが表示される。例えば、給湯温度が上がらずとか震動音がする等である。そして、例えば使用者からの情報による不具合とか、模擬リモコンから通常シーケンスを実行された時の不具合をもとに、このリストから選択する。すると、階層IIIの画面92には、給湯温度が上がらない不具合の時に診断すべき部位のリストが示される。後は、前述の場合と同様にして、階層IVの画面93、94、階層Vのメッセージ画面95等を利用して故障部位の特定を行う。
【0069】
この例の場合は、階層II以下の階層が機種毎に異なるのでプログラムP103によりサポートされる。この様にして、作業員は会話形式で図16中の階層間を或いは階層内の画面間を移動しながら、最終的に故障部位を特定する。
【0070】
上記の図14、16、17のエラーコードをもとにした画面、部位をもとにした画面、そして不具合をもとにした画面間でも移動しながら修理部位の特定作業が行われる。従ってそれぞれの階層画面間での移動も可能になっている。
【0071】
以上の説明では、通信線を介して修理支援装置と給湯器等の燃焼機器とを接続する例で説明したが、例えば赤外線等の通信媒体を介して無線で通信する場合でも本発明は適用される。
【0072】
図2で説明した故障診断サポート機能のうち、エラーコードを基にした故障診断サポートを行う為に、機種毎に診断シーケンスファイルが機種固有ファイル群P103内に設けられる。図18は、故障診断サポートのフローの別の例を示す図である。この例では、図14で示した様に下位の階層に移動する度に修理作業員に選択させるのではなく、診断シーケンスファイルに格納したシーケンスに従って診断すべき部品が選択され、修理作業員は図15に示される通り表示画面に表示される質問に対してYES,NOの回答をし、メッセージに従って各部位の測定や操作或いは部品の交換等を行うだけでよい。
【0073】
従って、図18では、診断シーケンスファイル(P103)内のデータは階層構造になったリレーショナルなものであるが、表示されるのは最下層の125や128、129に示されるメッセージとYES,NOの選択ボタンである。
【0074】
まず、エラーコード1が給湯器内のEEPROM48に格納されて給湯器の表示部やリモコンに表示されていたとすると、給湯器内の複数の系統のうちどの系統から故障診断すべきかを示した順序テーブル121にしたがい、最初にチェックすべき系統が自動的に選択される。この順序テーブル121は、診断シーケンスファイル(P103)内に格納される。図18の例では、ファン系統、ガス弁系統、イグナイタ系統の3つの系統の内、最初はファン系統から診断することが、順序テーブル内に示されている。この順序テーブル121は、例えば故障率等に従ってその機種で最も故障しやすい系統から順番に故障診断されるように可変設定される。
【0075】
そして、図中122の如くファン系統に対して、再度順序テーブル123に従って最初に故障診断チェックすべき部位が選択される。例えば、図中124の如く燃焼ファンモータが選択されると、診断シーケンスファイル内の燃焼ファンモータの部分のデータに従って、図中125の様にメッセージ或いは質問メッセージがYES,NOボタンと共にモニタ画面に表示される。
【0076】
図18の例で、ファン系統内において燃焼ファンモータとaセンサに異常が見いだされない時は、ファン系統の故障診断は終了する。そして、上層に戻り、順序テーブル121に従って次の故障診断の対象となる系統が選択される。表121によれば、次の故障診断の対象としてガス弁系統が選択される。更に、ガス弁系統内で故障診断対象部位である4つの弁に対する順序テーブル126が参照される。そして、開始のコラムに示される通り例えば比例弁が選択される。比例弁の故障診断の為に図中128のようなメッセージ或いは質問とYES,NOボタンが表示される。
【0077】
比例弁の故障診断が終了して異常が検出されないと、再度順序テーブル126に従って、次の故障診断対象の部位が選択される。
【0078】
更に、図18において、給湯弁が選択された場合は、図に示される通り、「基板の給湯弁コネクタをはずしてプローブをあてる」等のメッセージが表示される。その結果、図1で示した入出力ボックスのプローブCN2を解して給湯弁のコネクタの部分の抵抗値が測定される。この抵抗値が適正値からはずれている場合は、その給湯弁は故障と認定され、弁の取り替えがメッセージに表示される。或いは、修理作業員が判断する。
【0079】
以上の通り、故障診断サポートのフローは階層化されて、各階層内での診断対象を優先度を示す順序テーブルで選択しながら下位の階層と上位の階層間を往復する。
【0080】
上記した機器固有ファイル群P103内の診断シーケンスファイルは、給湯器の機種毎に作成される。上記の構文のルールにしたがい、各機種特有の故障診断シーケンスを記述することができる。特に、診断の順番を決める順序テーブルはその機種の過去に蓄積した故障率に応じて適宜変更されることにより、最適な診断の順番を与えることができる。更に、故障率の高い部位を改良した結果、その故障率が低下した場合などにも、それに対応して順序ステーブルを変更することが好ましい。
【0081】
[故障データとその収集及び利用]
修理支援システムを利用して修理を行うことにより、修理に関するデータを収集することができる。具体的には、燃焼機器の機種情報、そのエラーコード、最終的に故障と認定された部位、故障と判断された時にメンテモニタ機能やテスタ機能により測定された物理量等を修理支援装置はメモリに蓄積することができる。従って、本発明の特徴的な点は、それらの故障データを修理支援装置が収集し、データベース化して、燃焼機器の改良、設計変更、或いは診断シーケンスファイルヘのフィードバックに利用することである。
【0082】
図19は、修理支援装置により収集される故障データの例を示す図である。この例では、故障データは、機器の種類を示す機器コード、エラーコード、故障と診断された部位名、その時に測定された値等である。更に、図19の故障データには、診断対象となった燃焼機器のトータル燃焼時間のデータも集められることが望ましい。通常、燃焼機器は、そのマイクロコンピュータ内に使用時間(燃焼時間)についてのデータを記録している。従って、修理支援装置がその全燃焼時間のデータをマイクロコンピュータから読み出すことで、故障データの一部にすることができる。全燃焼時間は、燃焼機器の使用期間によって故障しやすい部位が異なるので、かかるデータを収集することが本発明の目的に合致している。
【0083】
図19に示したような故障データは、修理支援装置が故障診断の時に内部に蓄積し、支店を通じてセンタに集められてデータベース化される。前述した、修理支援装置の故障支援サポート機能や個別部品駆動機能或いは模擬リモコン機能を利用することにより、最終的に故障部位が検出されるので、その故障部位についての上記のデータが収集される。
【0084】
図20は、その故障データの収集と利用の例を示す図である。修理支援装置1が例えば燃焼機器A,Bの故障診断を行い、それぞれの故障データを収集する。同様に、修理支援装置2が燃焼機器C、Dの故障診断を行い、それぞれの故障データを収集する。これらの修理支援装置1,2が収集した故障データは、一旦支店のコンピュータを介して集められる。そして更に、各支店からの収集故障データがセンタに通信媒体等を介して集められる。センタでは、その収集された故障データから故障データベースを構築する。
【0085】
図21は、故障データベースの一例を示す図である。この例では、燃焼機器それぞれに対して、エラーコードと各エラーコードに対応する部位のデータがリレーショナルな関係で構築されている。そして、部位データには、図21に示される通り燃焼時間毎の故障率及び測定値が含まれる。尚、測定値については紙面の関係から図中には具体的数値を示していない。
【0086】
この故障率は、例えば各燃焼機器が有する全部位で100%になるように与えられる。従って、燃焼時間毎に燃焼機器が故障した時に部位(部品)の故障の頻度を与えることができる。
【0087】
そこで、かかる故障データベースをセンタで構築することにより、図18で示したファイルP103内の診断シーケンスファイルを最適化することができる。例えば、診断シーケンスファイル内には、各診断系統の順番を規定した診断系統順序テーブル121や、各系統に属する部位の診断の順番を規定した順序テーブル123,126を有する。そこで、診断データベースの故障率からそれらの順序テーブルを最適化し、書き換えることで、故障診断におけるの故障部位のヒット率を上げることができる。図21の例でいうと、各系統に属する部位の故障率の合計に従って、診断系統の順序テーブルが最適化される。また、各部位の故障率に従って、系統内の順序テーブルが最適化される。そして、これらの最適化された順序テーブルは、燃焼時間によって異なるものが与えられる。従って、その例の場合は、故障診断装置は、燃焼機器内のマイクロコンピュータが記憶する燃焼時間を読み出してから、対応する順序テーブルを参照して診断シーケンスファイルの解析を行う。
【0088】
或いは、故障データベースを燃焼機器のメーカに提供することにより、メーカ側では、例えば故障率の高い部品の改良や対策品として取り扱う等の措置を講じることができる。その結果、燃焼機器の故障率を下げることができる。更に、メーカは、故障時の測定値もその部位の評価、改良等に利用される。
【0089】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、修理支援装置を利用して故障診断を行った場合は、その故障データを収集することができる。従って、その故障データを収集してデータベースを構築することにより、燃焼機器の部品の改良や燃焼機器そのものの改良に利用することができる。また、故障部位のデータベースから故障診断シーケンスを最適化することができる。従って、修理作業員の感や経験に基づく診断シーケンスではなく、過去の故障実績に裏付けられた診断シーケンスを確立することができる。従って、それを使用して修理支援装置により故障診断を行うと故障診断の工程を大幅に短くすることができ、修理の効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
給湯器修理支援システムの全体の構成を示す図である。
【図2】
修理支援装置の携帯端末10内のソフトウエア機能の構成を示す図である。
【図3】
給湯器の一例の構造図である。
【図4】
給湯器の各アクチュエータやセンサを制御する制御部のブロック図である。
【図5】
給湯器の制御プログラムの構成を示す図である。
【図6】
修理支援の全体のフローチャート図である。
【図7】
修理支援の詳細な部分フローチャート図である。
【図8】
メンテモニタ機能を選択した時に携帯端末に表示される画面例を示す図である。
【図9】
模擬リモコン機能を選択した時の画面例を示す図である。
【図10】
個別部品駆動機能を選択した時の画面例を示す図である。
【図11】
メンテモニタ機能と模擬リモコン機能を同時に選択した時のメイン画面例を示す図である。
【図12】
個別部品駆動機能とメンテモニタ機能を同時に選択した時のメイン画面例を示す図である。
【図13】
故障診断サポート機能を選択した時の最初の画面例を示す図である。
【図14】
故障診断サポートプログラムのデータベース例(1)を示す図である。
【図15】
故障診断サポート機能を選択した時の他の画面例を示す図である。
【図16】
故障診断サポートプログラムのデータベース例(2)を示す図である。
【図17】
故障診断サポートプログラムのデータベース例(3)を示す図である。
【図18】
故障診断サポートのフローの例を示す図である。
【図19】
修理支援装置により収集される故障データの例を示す図である。
【図20】
故障データの収集と利用を示す図である。
【図21】
故障データベースの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 修理支援装置
2 給湯器
10 携帯端末
41 制御部
43 RAM
P103 機器固有ファイル群(診断シーケンスファイル、順序ファイル)
 
訂正の要旨 訂正の要旨(異議2001-71175号)
1、訂正事項1
本件出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る記載である
「【請求項1】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置。」を、
「【請求項1】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置。」と訂正する。
上記本件の特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、明細書の段落【0008】を、
「【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明の次の一構成により達成される。即ち、燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の修理支援装置において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有し、前記診断シーケンスのデータは、該修理支援装置が記録した故障データを収集して求められた部位の故障率に基づいて変更される前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルを有し、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられ、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記故障診断手段が前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定することを特徴とする修理支援装置である。」と訂正する。
2、訂正事項2
本件の特許請求の範囲の請求項2に係る記載である
「【請求項2】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの診断順序テーブルが変更される工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断順序テーブルに従って部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法。」を、
「【請求項2】燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法。」と訂正する。
上記本件の特許請求の範囲の請求項2の訂正に伴い、明細書の段落【0009】を、
「更に、本発明の他の構成は、燃焼制御プログラムを実行する制御部を有する燃焼機器の故障データ収集・利用方法において、該燃焼機器の制御部と通信を行う通信手段と、修理作業員に対する入出力を行うモニタ及び入力手段と、該燃焼機器の部位に接続されて所定の物理量を測定するテスタ手段と、該燃焼機器内のセンサを介して検出される検出データを該制御部から取得するモニタ手段と、診断対象の燃焼機器に適用される診断シーケンスのデータを格納する診断シーケンスファイルと、該診断シーケンスファイルの診断シーケンスのデータに従って該燃焼機器の部位の診断を行う故障診断手段と、エラーコードまたは不具合に対する故障部位を特定した時、少なくとも機種データ、全燃焼時間、故障部位データ及びテスタ手段またはモニタ手段により測定または検出された測定データを含む故障データを記録する手段とを有する修理支援装置を使用して、該修理支援装置が記録した故障データを収集し、データベース化する工程と、前記データベースから求められた部位の故障率にもとづいて、前記診断シーケンスデータの前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序テーブルが変更され、当該診断順序テーブルは前記全燃焼時間に対応して設けられる工程と、前記故障修理支援装置の前記故障診断手段を使用して診断するとき、前記診断対象の燃焼機器の全燃焼時間に対応する診断順序テーブルに従って前記エラーコードまたは不具合に対する部位の診断順序を決定する工程とを有することを特徴とする燃焼機器の故障データ収集・利用方法である。」と訂正する。
異議決定日 2001-12-20 
出願番号 特願平8-349711
審決分類 P 1 651・ 121- YA (F23N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井上 茂夫  
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 会田 博行
長浜 義憲
登録日 2000-08-11 
登録番号 特許第3098199号(P3098199)
権利者 東京瓦斯株式会社
発明の名称 燃焼機器修理支援装置及び故障データ収集・利用方法  
代理人 林 恒▲徳▼  
代理人 土井 健二  
代理人 土井 健二  
代理人 林 恒徳  

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