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審決分類 審判 査定不服 判示事項別分類コード:なし 取り消して特許、登録 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03K
管理番号 1057839
審判番号 不服2000-18025  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-12-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-13 
確定日 2002-05-24 
事件の表示 平成 4年特許願第158718号「クロツク抽出回路」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年12月10日出願公開、特開平 5-327434、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成4年5月25日の出願であって、請求項1ないし2に係る発明は、平成4年10月14日付け、及び平成12年9月18日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次の事項により特定されるものと認める。
「【請求項1】 入力データを遅延し、遅延データとして出力する遅延手段と、上記入力データ及び上記遅延データに基づいて、上記入力データのデータレートに対して所定倍のデータレートを有するクロック信号を抽出するクロック抽出手段と、上記クロック信号をN(N=3、4、5……)分周して分周クロック信号を生成する分周手段と、上記分周クロック信号に基づいて、上記遅延手段の遅延時間を制御する遅延時間制御手段とを具えることを特徴とするクロック抽出回路。
【請求項2】
上記クロック抽出回路は、上記クロック信号を第2の遅延手段を介してラツチ手段に供給し、当該遅延クロック信号に基づいて当該ラツチ手段に入力される上記入力データの時間軸を補正することにより上記入力データから再生データを生成することを特徴とする請求項1に記載のクロック抽出回路。」

2.引用例に記載された発明
(1)これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開昭63-198433号公報(以下、「引用例1」という。)には、第2図とともに「第2図に従来のクロック再生回路の構成を示す。通信装置内部で帯域制限されたディジタルベースバンド信号1はコンパレータ5で正負が判別されて矩形状のディジタルデータ信号2となる。ディジタルデータ信号2は微分回路7によってクロック成分が抽出され、さらにPLL回路8によって再生クロック信号4が作成される。フリップフロップ回路6は再生クロック信号4をクロックとしてディジタルデータ信号2を整形し安定なディジタルデータ信号3を出力する。」(1頁右下欄12行ないし2頁左上欄2行)の記載があり、これらの記載によれば、引用例1には、「微分回路及びPLL回路によつてデイジタルデータ信号からクロック成分を抽出して再生クロック信号を生成し、当該再生クロック信号に基づいてフリツプフロツプ回路でデイジタルデータ信号を整形して安定なデイジタルデータ信号を得るようにしたクロック再生回路」の発明(以下「引用例1に記載された発明」という。)が記載されているものと認められる。
(2)同じく、原査定の拒絶理由に引用された特開昭63-245010号公報(以下、「引用例2」という。)には、第1図の記載とともに「遅延用ゲート回路を用いた遅延回路と排他的オア回路とを用いて2倍の周波数のクロックを発生させる集積回路の逓倍回路において、遅延が入力クロックの1/4周期分位相のずれた位置及び該位置から±n個離れた位置から遅延クロックをそれぞれ出力する遅延回路部と、位相検出用クロックをそれぞれ出力する位相検出用遅延回路部と、入力クロックの1/2周期分以上の位相のずれが生じている位相検出用クロックを検出する位相検出部と、上記遅延回路部の遅延クロックを選択するセレクタと、該セレクタで選択された遅延クロックと元の入力クロックとから2逓倍クロックを生成する排他的オア回路とを設け、生成された2逓倍クロックのパルス幅が、上記位相検出部を利用して所定の範囲内に納まるようにしたものである。」(1頁右下欄下から2行ないし2頁左上欄13行)、「遅延回路1には、入力端子3に入力される入力クロックCKの周期T0に対し理論上1/4 の位相分遅延するインバータの偶数個の位置bから抽出された遅延クロックCKDb、該遅延クロックCKDbより2個前のインバータの位置aから抽出された遅延クロックCKDa、及び遅延クロックCKDbより2個後のインバータの位置cから抽出された遅延クロックCKDcが出力され、セレクタに各遅延クロックCKDa、遅延クロックCKDb、遅延クロックCKDcが出力されるようになっている。・・・デコーダ回路13は上記フリップ・フロップ回路8ないし12から出力される信号の組み合わせに応じて、セレクタ7に入力されている遅延回路部1からの遅延クロックCKDa、遅延クロックCKDb、遅延クロックCKDcのどの遅延クロックを選択するかのセレクタ制御信号iを出力する。・・・セレクタ7で選択された遅延クロックCKDbは、排他的オア回路2で入力クロックCKと排他的オアが取られ、第3図図示の如くデューティのよい2逓倍クロックCK2Fが出力端子4へ出力される。」(3頁右下欄19行ないし4頁右下欄11行)の記載があり、これらの記載によれば、引用例2には、「入力クロックを遅延回路部1で遅延して遅延量の異なる複数の遅延クロックを生成し、位相検出用遅延クロックに基づいて複数の遅延クロックのいずれかを選択して排他的オア回路2に供給することにより任意の遅延量の遅延クロックを得、入力クロックと選択された遅延クロックとに基づいて、入力クロックの2倍の周波数の2逓倍クロックを得る」技術が開示されているものと認められる。

3.対比
(1)本願の請求項1に係る発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用例1に記載された発明とを比較すると、両者は、クロックデータからクロックを抽出する回路である点では一致するものの、以下の点で相違する。
a)本願発明は、入力データを遅延し遅延データとして出力する遅延手段と、入力データ及び遅延データに基づいて、入力データのデータレートに対して所定倍のデータレートを有するクロック信号を抽出するするのに対して、引用例1に記載された発明は、微分回路及びPLL回路によつてデイジタルデータ信号からクロック成分を抽出して再生クロック信号を生成する点。
b)本願発明は、入力データのデータレートに対して所定倍のデータレートを有するクロック信号をN(N=3、4、5……)分周して分周クロック信号を生成する分周手段と、上記分周クロック信号に基づいて、上記遅延手段の遅延時間を制御する遅延時間制御手段とを具えるのに対して、引用例1に記載された発明は、これらの手段がない点。

(2)本願の請求項2に係る発明について
上記相違点a)、b)に加えて、次の点でも相違する。
c)本願発明のクロック抽出回路は、クロック信号を第2の遅延手段を介してラツチ手段に供給し、当該遅延クロック信号に基づいて当該ラツチ手段に入力される上記入力データの時間軸を補正することにより上記入力データから再生データを生成するのに対して、引用例1に記載された発明のクロック再生回路には、入力データの時間軸を補正することにより入力データから再生データを生成するという技術思想がない点。

4.当審の判断
(1)本願の請求項1に係る発明について
引用例2には、入力データのデータレートに対して所定倍のデータレートを有するクロック信号をN(N=3、4、5・・・)分周して分周クロック信号を生成する分周手段と、上記分周クロック信号に基づいて、上記遅延手段の遅延時間を制御する遅延時間制御手段とを具える点について記載も示唆もなく、この点が周知・慣用であるともいえないことから、引用例1に記載された発明に引用例2に記載された技術を適用したとしても本願の請求項1に係る発明を構成することはできない。

(2)本願の請求項2に係る発明について
引用例2には、入力データのデータレートに対して所定倍のデータレートを有するクロック信号をN(N=3、4、5・・・)分周して分周クロック信号を生成する分周手段と、上記分周クロック信号に基づいて、上記遅延手段の遅延時間を制御する遅延時間制御手段とを具える点に加えて、クロック抽出回路が、クロック信号を第2の遅延手段を介してラツチ手段に供給し、当該遅延クロック信号に基づいて当該ラツチ手段に入力される上記入力データの時間軸を補正することにより上記入力データから再生データを生成する点について記載も示唆もなく、これらの点が周知・慣用であるともいえないことから、引用例1に記載された発明に引用例2に記載された技術を適用したとしても本願の請求項2に係る発明を構成することはできない。

5.むすび
したがって、本願の請求項1ないし2に係る発明は、引用例1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
他に拒絶すべき理由を発見することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-05-14 
出願番号 特願平4-158718
審決分類 P 1 8・ - WY (H04L)
P 1 8・ 121- WY (H03K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 有泉 良三  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 山本 春樹
武井 袈裟彦
発明の名称 クロツク抽出回路  
代理人 田辺 恵基  
代理人 田辺 恵基  

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