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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 G07B |
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管理番号 | 1058125 |
異議申立番号 | 異議1999-74715 |
総通号数 | 30 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-02-07 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-13 |
確定日 | 2002-03-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2907255号「タクシー領収書発行装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第2907255号の発明についての出願は、平成5年7月16日に出願され、平成11年4月2日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人 佐藤勝明 により特許異議申立がなされ、平成12年10月3日付け取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年12月15日に特許異議意見書および訂正請求書が提出され、その後、平成13年10月1日に訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年12月5日に意見書および手続補正書が提出されたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正請求に対する補正の適否について 上記手続補正書は、次のa.〜c.のように補正するものである。 a.訂正請求書の請求項2の 「 【請求項2】 前記印字処理手段(4)を、前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1) より読出して印字器(2) で印字させ るようにしたことを特徴とする溝求項1記載のタクシー領収書発行装置。」 を、 「【請求項2】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。」 と補正する。 b.訂正請求書の段落【0006】の 「【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。」 を、 「【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 請求項1の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。 また、請求項2の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、る印字処理手段(4)と、を備える。」 と補正する。 c.訂正請求書の段落【0008】の 「【0008】 印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。」 を、 「【0008】 請求項1の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また請求項2の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段で文字印字指令であった場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段で料金データと判定された場合は、入力データ判定手段3で文字印字指令であると判定されて印字器2で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。」 と補正する。 このa.の手続補正は、訂正請求書における請求項1の訂正に伴って、同請求項を引用して記載している請求項2の記載内容も訂正しなければならないのを看過し、そのため、請求項2の内容に矛盾をきたし、文章として成り立たたなくなっていたものに、整合性をもたせるために補正するものであり、軽微な瑕疵の補正に該当する。 また、上記b.およびc.の手続補正は、このような請求項2における矛盾のため、同請求項と、段落【0006】および【0008】との間に欠けていた整合性を回復するために、これらの段落を補正するものであり、軽微な瑕疵の補正に該当する。 よって、これらa.〜c.の手続補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法131条第2項の規定に適合するので、前記手続補正書による手続補正を採用する。 (2)訂正の内容 したがって、特許権者が求めている訂正の内容は、上記手続補正書に添付された全文訂正明細書に記載された、以下のa.〜c.のものである。 a.特許請求の範囲の 「【請求項1】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字を順次読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、料金データに関連する文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【請求項2】 前記印字処理手段(4)を、前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 るようにしたことを特徴とする請求項1記載のタクシー領収書発行装置。 【請求項3】 前記印字処理手段(4)を、前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のタクシー領収書発行装置。」 を、 「【請求項1】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【請求項2】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。」 と訂正する。 b.明細書の段落【0006】の 「【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字を順次読出して前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、料金データに関連する文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。」 を、 「【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 請求項1の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。 また、請求項2の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、る印字処理手段(4)と、を備える。」 と訂正する。 c.明細書の段落【0008】の 「【0008】 印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字を順次読出して印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、印字処理手段4は、料金データに関連する文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。」 を、 「【0008】 請求項1の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また請求項2の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段で文字印字指令であった場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段で料金データと判定された場合は、入力データ判定手段3で文字印字指令であると判定されて印字器2で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。」 と訂正する。 (3)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 イ.上記aの訂正について 上記aの訂正は、 ・元の請求項1を削除し、 ・それに伴い、同請求項を引用していた元の請求項2および3を、 独立記載様式に改めるとともに、これらの請求項を繰り上げ、 新請求項1および2とする ものである。 この訂正は、特許請求の範囲の減縮および明瞭でない記載の釈明に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 ロ.bおよびcの訂正について 上記bおよびcの訂正は、上記aにおける特許請求の範囲の訂正と整合をとるため、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明に該当する。 そして、このbおよびcの訂正は、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内において訂正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 (4)独立特許要件 a.訂正後の請求項1および2に係る発明 訂正後の請求項1および2に係る発明は、上記手続補正書に添付された全文訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)の、特許請求の範囲の請求項1および2に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【請求項2】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。」 b.引用刊行物 当審が、平成12年10月3日付け取消理由通知で引用した刊行物は、次のものである。 刊行物1:特開昭61-199186号公報 刊行物2:特開昭63-172662号公報 c.引用刊行物に記載された発明 この刊行物1には、次のような記載がなされている。 ・刊行物1第1ページ右下欄10〜13行には「本発明はタクシーの乗車時に於けるタクシー料金の領収書の発行を自動化ならしめて迅速に行なうことができるタクシー用の領収書発行装置に関する。」と記載されている。 ・刊行物1第2ページ左下欄15〜17行には「該インターフェ-ス5は日付と車管理番号との付記事項データをテンキー6の操作にて認定入力可能で」と記載されている。 ・刊行物1第3ページ左上欄3〜8行には「メーター回路2から送信される料金表示デ-タの信号が増幅回路3を介して増幅、整形されてインターフェース5に適切な信号として受信され、また該インターフェース5は前期設定回路7に予め設定入力せしめた付記事項データを受信する状態にある。」と記載されている。 ・刊行物1第3ページ左上欄12〜17行には「該インターフェース5が前記料金表示データと付記事項データとを同時に出力して該双方のデータをプリンター15が用紙10の所定箇所に印字することとなり、第4図に示す如き用紙10の所定欄に料金、日付、車管理番号等が正確に記載された領収書13が直ちに発行できるのである。」と記載されている。 この刊行物2には、次のような記載がなされている。 ・刊行物2第2ページ左上欄16〜18行には「従って電子レジスタ1において、オペレータによってキーボード部4より取引データが入力されると、」と記載されている。 ・刊行物2第2ページ右上欄5〜7行には「取引デ-タの入力の進行と共に、プリンタ部3でドット印字によってレシート70,及びジャーナルに順次印字が行われ、合計金額等が印字されて」と記載されている。 ・刊行物2第3ページ左上欄6〜9行には「第2図において、電子レジスタ1aの制御部6aはロゴ印字データを記憶する初期ロードデータメモリ60,ロゴ印字を指令するロゴコマンド部61,及び取引データメモリ62を備え、」と記載されている。 ・刊行物2第3ページ右上欄14行〜左下欄8行には「(2)取引データの登録により、インタフェース回路31に印字情報が入力されると、スペースデータ,改行データ,及び印字データが夫々スペース制御部32,改行制御部33,及び印字制御部34へ送られて、供給されるレシート用紙に印字ヘッド3bにより印字が行われる。 (3)取引データの印字が終了すると、ロゴコマンド部61aからロゴ印字指令がインタフェース回路31に送られ、ロゴコマンド認識部36aにおいてロゴ印字指令が認識される。 (4)するとロゴ印字データ制御部36bによってロゴ印字データメモリ35aから該当するロゴ印データが読み出されて、各々スペース制御部32,改行制御部33,及び印字制御部34へ送られて、レシ-ト用紙に印字が行われ、レシート70が発行される。」 と記載されている。 d.対比・判断 《訂正後の請求項1について》 (対比) 刊行物1に記載された発明を、訂正後の請求項1に係る発明と対比すると、刊行物1に記載された「タクシー用の領収書発行装置」および「プリンター15」は、請求項1に記載された「タクシー領収書発行装置」および「印字器(2)」にそれぞれ相当すると認められる。 (一致点) したがって、両発明は、 「 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。」 で一致し、以下のA,Bの2点で相違する。 (相違点) 相違点A:訂正後の請求項1に係る発明は、 「領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字を順次読出して、前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、」 を備えているが、刊行物1に記載された発明は、これらのメモリ、判定手段及び処理手段を備えているかどうか不明である。 この点で両発明は、相違している。(以下、「相違点A」という。) 相違点B:訂正後の請求項1に係る発明では、 前記入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定された場合においては、「前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、」 とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では、このように「最後の文字より」読出したり、「料金確定後でないと印字出来ない列まで印字させ、」たりはしていない。 この点で両発明は、相違している。(以下、「相違点B」という。) (判断) ・相違点Aについて まず、相違点Aについて検討する。 相違点A中の「領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)」は、刊行物2に記載された発明の「取引データメモリ62」および「ロゴ印字データメモリ35a」に相当すると認められる。 また、相違点A中の 「入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字を順次読出して、前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、」 に対しては、刊行物2の上記の引用箇所(第3ページ右上欄14〜19行)に、「(2)取引データの登録により、インタフェース回路31に印字情報が入力されると、スペースデータ,改行データ,及び印字データが夫々スペース制御部32,改行制御部33,及び印字制御部34へ送られて、供給されるレシート用紙に印字ヘッド3bにより印字が行われる。」と開示されており、同引用箇所(第3ページ右上欄19行〜左下欄8行)には、「(3)取引データの印字が終了すると、ロゴコマンド部61aからロゴ印字指令がインタフェース回路31に送られ、ロゴコマンド認識部36bにおいてロゴ印字指令が認識される。(4)するとロゴ印字データ制御部36bによってロゴ印字データメモリ35aから該当するロゴ印データが読み出されて、各々スペース制御部32,改行制御部33,及び印字制御部34へ送られて、レシ-ト用紙に印字が行われ、レシート70が発行される。」と開示されている。 このように、「(取引データの)印字情報」あるいは「ロゴ印字指令」が「インタフェース回路31」に入力された場合、これらの情報あるいは指令に対応して、各々異なった処理を行うのであるから、必然的に「主制御部30」には、「(取引データの)印字情報」と「ロゴ印字指令」との判定手段がなければならない。つまり、“「(取引データの)印字情報」と「ロゴ印字指令」との判定手段”は、刊行物2に明記はされていないが、このような手段を「主制御部30」が有していることは、自明である。 そして、「(取引データの)印字情報」と判定された場合は「取引データメモリ62」から文字データを読み出し、「ロゴ印字指令」と判定された場合は「ロゴ印字データメモリ35a」から文字データを読み出すであろうことは、容易に推測される程度の事項でしかない。 したがって、相違点Aは、容易に想到された程度のものである。 ・相違点Bについて 次に、相違点Bについて検討する。相違点Bにおける、訂正後の請求項1に係る発明の構成である、 (前記入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定された場合においては、)「前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、」 は、上記刊行物2にも記載されていない。 そして、この構成により、本件明細書【0028】段落に記載された 「料金確定後に印字する文字は少なくなり料金確定後領収書発行に要する時間は大幅に短縮される。」 という発明の効果をより確実に達成できると認められる。 したがって、相違点Bは、容易に想到されたものではない。 このように、相違点Bは、当業者が容易に想到し得たものではないので、訂正後の請求項1に係る発明は、刊行物1および2に記載された各発明に基づいて当業者が容易になし得た発明ではない。 《訂正後の請求項2について》 (対比) 刊行物1に記載された発明を、訂正後の請求項2に係る発明と対比すると、刊行物1に記載された「タクシー用の領収書発行装置」および「プリンター15」は、請求項2に記載された「タクシー領収書発行装置」および「印字器(2)」にそれぞれ相当すると認められる。 (一致点) したがって、両発明は、 「 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。」 で一致し、以下のC,Dの2点で相違する。 (相違点) 相違点C:訂正後の請求項2に係る発明は、 「領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、」 を備えているが、刊行物1に記載された発明は、これらのメモリ、判定手段及び処理手段を備えているかどうか不明である。 この点で両発明は、相違している。(以下、「相違点C」という。) 相違点D:訂正後の請求項2に係る発明では、 前記入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定された場合においては、「料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より順次読出して、」 とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では、このように「料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を」読出してはいない。 この点で両発明は、相違している。(以下、「相違点D」という。) (判断) ・相違点Cについて まず、相違点Cについて検討する。 相違点C中の「領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)」は、刊行物2に記載された発明の「取引データメモリ62」および「ロゴ印字データメモリ35a」に相当すると認められる。 また、相違点C中の 「入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、」 に対しては、刊行物2の上記の引用箇所(第3ページ右上欄14〜19行)に、「(2)取引データの登録により、インタフェース回路31に印字情報が入力されると、スペースデータ,改行データ,及び印字データが夫々スペース制御部32,改行制御部33,及び印字制御部34へ送られて、供給されるレシ‐ト用紙に印字ヘッド3bにより印字が行われる。」と開示されており、同引用箇所(第3ページ右上欄19行〜左下欄8行)には、「(3)取引データの印字が終了すると、ロゴコマンド部61aからロゴ印字指令がインタフェース回路31に送られ、ロゴコマンド認識部36bにおいてロゴ印字指令が認識される。(4)するとロゴ印字データ制御部36bによってロゴ印字データメモリ35aから該当するロゴ印データが読み出されて、各々スペース制御部32,改行制御部33,及び印字制御部34へ送られて、レシ-ト用紙に印字が行われ、レシート70が発行される。」と開示されている。 このように、「(取引データの)印字情報」あるいは「ロゴ印字指令」が「インタフェース回路31」に入力された場合、これらの情報あるいは指令に対応して、各々異なった処理を行うのであるから、必然的に「主制御部30」には、「(取引データの)印字情報」と「ロゴ印字指令」との判定手段がなければならない。つまり、“「(取引データの)印字情報」と「ロゴ印字指令」との判定手段”は、刊行物2に明記はされていないが、このような手段を「主制御部30」が有していることは、自明である。 そして、「(取引データの)印字情報」と判定された場合は「取引データメモリ62」から文字データを読み出し、「ロゴ印字指令」と判定された場合は「ロゴ印字データメモリ35a」から文字データを読み出すであろうことは、容易に推測される程度の事項でしかない。 したがって、相違点Cは、容易に想到された程度のものである。 ・相違点Dについて 次に、相違点Dについて検討する。相違点Dにおける、訂正後の請求項2に係る発明の構成である、 (前記入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定された場合においては、)「料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より順次読出して、」 は、上記刊行物2にも記載されていない。 そして、この構成により、本件明細書【0028】段落に記載された 「料金確定後に印字する文字は少なくなり料金確定後領収書発行に要する時間は大幅に短縮される。」 という発明の効果をより確実に達成できると認められる。 したがって、相違点Dは、容易に想到されたものではない。 このように、相違点Dは、当業者が容易に想到し得たものではないので、訂正後の請求項2に係る発明は、刊行物1および2に記載された各発明に基づいて当業者が容易になし得た発明ではない。 《まとめ》 このように、訂正後の請求項1および2に係る発明は、いずれも、刊行物1および2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、訂正後の請求項1および2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとはいえない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号、以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項で準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立てについて (1)申し立て理由の概要 特許異議申立人 佐藤勝明 は、 甲第1号証:特開平4-59371号公報 甲第2号証:特開昭63-172662号公報 を提出して、本件請求項1に係る発明はこれらの甲第1および2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものである。したがって、本件請求項1に係る発明の特許は特許法第113条第1項第2号の規定に該当するので取り消されるべきものである旨主張している。 (2)判断 このように特許異議の申立てがなされた本件請求項1に係る発明は、上記のように、訂正の結果削除され、特許異議申立ての対象が存在しない。(特に、上記の2.(3)イ.参照。) よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 タクシー領収書発行装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【請求項2】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明はタクシーの乗車料の領収書を発行するタクシー領収書発行装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来のタクシー領収書発行装置は、例えば図7に示すように、予め印刷された用紙に、料金確定後に日付、料金および車番等を印字するようにしていた。 この方法は、印字項目が少ないため、料金確定後の印字時間が短かいと云う利点があるが、例えばチケット等による支払の場合の未収書(証明書)の発行が出来なかったり、また、予め印刷しておかなければならないために、小規模ユーザや個人タクシーにはコストが高くなる欠点があった。 【0003】 そこで、従来は、長時間を要すが、白紙に料金確定後、印字して領(未)収書を発行するようにしていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 前述したしように、従来のタクシー領収書発行装置は、白紙に料金確定後、日付、料金、車番等を印字して領収書を発行するようにしていた。 このため、領収書を発行するに要する時間が長時間を要していた。 【0005】 本発明は、領収書発行に要する時間を短縮するよう改良したタクシー領収書発行装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 請求項1の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。 また、請求項2の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、る印字処理手段(4)と、を備える。 【0007】 【作用】 文字記録メモリ1には、領収書発行に必要な文字の文字データを予め記録しておく。 入力データ判定手段3では、入力されたデータが文字印字指令であるか料金データであるかを判定する。 【0008】 請求項1の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また請求項2の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段で文字印字指令であった場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段で料金データと判定された場合は、入力データ判定手段3で文字印字指令であると判定されて印字器2で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 【0009】 以上のように、料金確定前に、領収書記入文字を予め印字させておき、料金確定後に料金、日付および料金確定後でないと印字できない文字を印字させるようにしたので、料金確定後に印字する文字は少なくなり料金確定後領収書発行に要する時間は大幅に短縮される。 【0010】 【実施例】 本発明の一実施例を図2および3を参照して説明する。図2は本発明の第1の実施例の構成図、図3は同実施例の動作フローチャートである。 図2において、1は領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ、10はプロセッサ(CPU)であり、I/O15より入力された料金データ等を記録するメモリ11、I/O15を介して入力されたデータが文字印字指令か料金データであるかを判定する入力データ判定部12、および印字部2で印字させる印字処理部13とを備えており、14は領収書または未領収書の発行を指令する領収未収スイッチである。 【0011】 I/O15には、図示しないタクシーメータより、タクシーメータのタリフを賃走または割増等に設定したことを表す営業信号、タリフを支払に設定したことを表す支払信号および賃走料金データが入力される。 また、領収未収スイッチ14は、図5に示すように、領収スイッチと未収スイッチで構成され、領収スイッチをオンにすれば領収書を、未収スイッチをオンにすれば未収書の発行を指令する。 【0012】 つぎに、図3を参照して、第1の実施例の動作を説明する。 処理S1では、入力データ判定部12は、I/O15を介して入力されたデータが印字指令であるか料金データであるかを判定し、印字指令ならば処理S2に移り、料金データならば処理S3に移る。 【0013】 入力データ判定部12での印字指令か料金データであるかの判定は、I/O15を介して入力される図示しないタクシーメータよりのデータには、営業信号ライン、支払信号ラインの2つの信号ラインがタクシーメータから領収書発行装置に接続されており、タクシーメータのタリフを営業に設定した場合はタクシーメータより営業信号を受取り、またタリフを支払にした場合はタクシーより支払信号を受取る。 【0014】 したがって、入力データ判定部12では、入力された信号を見て、営業信号を受取ったならば印字指令、支払信号を受取ったならば料金データであると判定する。 客が乗車し、乗務員がタクシーメータのタリフを賃走に設定すると、まず処理S2が実行される。 【0015】 処理S2では、印字処理部13は、予め決められた領収書の形式に従って、最後の列の文字を文字記録メモリ1より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列までを印字器2で印字させる。 例えば領収書発行形式が図4で示すものであれば、まず最後の列である会社の住所および電話番号に対する文字データを文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させ、続いて次に最後より第2列目の会社名、続いてコメント文、車番を印字させる。 【0016】 最後より第5列目は料金の印字となるため、入力データ判定部12で印字指令と判定された場合は、領収書形式が図4で示す場合であるならば、最後より第4行目までを印字器2で印字する。 すなわち、図4に示すように、領収書の最終列より順次印字されて、料金印字列の1列前まで印字する。 【0017】 処理S2での印字が終了すると、処理S1に移って待期し、次にI/O15よりデータが入力されるのを待つ。 乗務員が客の要求した目的地に着き、タクシーメータのタリフを支払にすると、タクシーメータからは料金データが出力される。 【0018】 タクシーメータより料金データがI/O15を介して入力されると、処理S1では入力データは料金データであると判定され処理S3に移る。 処理S3では、印字処理部13は入力された料金および日付データをメモリ11に記録する。 【0019】 処理S4では、印字処理部13は、領収未収スイッチ14よりの指令が領収書発行指令であるか未収書発行指令であるかをは判定して、領収書発行指令であるならば処理S5に、未収書発行指令であるならば処理S6に移る。 処理S5では、印字処理部13は、図4(A)に示すように、メモリ11に記録されている料金および日付データを読出して、印字器2で印字し、最後に「領収書」の文字を印字して処理S1に移り、次の領収書発行にそなえる。 【0020】 また、処理S6では、処理S5と同様に料金および日付を印字し、最後に「未収書」を印字して処理S1に移り、次の領収書発行にそなえる。 次に図6を参照して第2の実施例の動作を説明する。なお第2の実施例の構成は第1の実施例と同一構成であるが、第1の実施例での印字器2は一度印字した列に再度印字させることが出来なかったが、第2の実施例の印字器2は過去に印字された列を元にもどして再度印字することが出来る印字器が使用される。 【0021】 処理S11では、入力データ判定部12は、I/O15を介して入力されるデータが印字指令であるか、料金データであるかを判定し、印字指令ならば処理S12に、また料金データならば処理S13に移る。 すなわち、処理S11は、第1の実施例の処理S1と同様な処理を行なう。 【0022】 処理S12では、印字処理部13は、予め決められた領収書の形式に従って、料金確定後でないと印字できない文字を除く領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 すなわち、領収書の形式が図4である場合は、「領(未)収書」の「領」または「未」を除く「収書」を、日付欄は「日付 年 月 日」を、料金欄には、「料金 円」を、またその後の文字は全て印字する。 【0023】 印字に終了すると処理S11に移ってI/O15からの料金データが入力されるのを待つ。 処理S13では、I/O15より料金データが入力されると、印字処理部13は入力された料金および日付データをメモリ11に記録する。 【0024】 処理S14では、印字処理部13は、領収未収スイッチ14よりの指令が領収書発行指令であるか未収書発行指令であるかを判定して、領収書発行指令ならば処理S15に、また未収書発行指令ならば処理S16に移る。 処理S15では、印字処理部13は、図4(A)に示すように、メモリ11に記録されている料金および日付データを読出して、印字器2に印字し、印字が終了すると処理S11に移り、次の領収書発行にそなえる。 【0025】 すなわち、処理S15では、印字器2で印字した用紙をもどして、最初の列の「領」を、日付の列の「5 4 13 8:58」を、料金別の「¥3510」を印字する。 また、処理S16では、処理S15と同様に料金および日付、および未収書の「未」を印字する。 【0026】 なお第2の実施例では処理S11での判定で印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字できない文字を除く全ての文字を印字させるようにしたが、料金確定後でないと印字できない文字を含む列を除いて印字させ、料金確定後に除いた列を印字させるようにしてもよい。 【0027】 以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、その発明の主旨に従った各種変形が可能である。 【0028】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば次の効果が得られる。 料金確定前に、領収書記入文字を予め印字させておき、料金確定後に料金、日付および料金確定後でないと印字できない文字を印字させるようにしたので、料金確定後に印字する文字は少なくなり料金確定後領収書発行に要する時間は大幅に短縮される。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の基本構成図である。 【図2】 本発明の第1および第2の実施例の構成図である。 【図3】 第1の実施例の動作フローチャートである。 【図4】 第1の実施例の領収書具体例である。 【図5】 第2の実施例の領収書発行の説明図である。 【図6】 第2の実施例の動作フローチャートである。 【図7】 従来の領収書の具体例である。 【符号の説明】 1 文字記録メモリ 2 印字器 3 入力データ判定手段 4 印字処理手段 10 プロセッサ(CPU) 11 メモリ 12 入力データ判定部 13 印字処理部 14 領収未収スイッチ 15 インタフェース(I/O) |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許権者が求めている訂正の要旨は、手続補正書に添付された全文訂正明細書に記載された、以下のa.〜c.のものである。 a.特許請求の範囲の 「【請求項1】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字を順次読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、料金データに関連する文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【請求項2】 前記印字処理手段(4)を、前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 るようにしたことを特徴とする請求項1記載のタクシー領収書発行装置。 【請求項3】 前記印字処理手段(4)を、前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のタクシー領収書発行装置。」 を、 「【請求項1】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。 【請求項2】 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、 領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、 領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、 入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、 前記入力データ判定手段(3)で、 文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、 料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、 る印字処理手段(4)と、 を備えたことを特徴とするタクシー領収書発行装置。」 と訂正する。 b.明細書の段落【0006】の 「【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字を順次読出して前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、料金データに関連する文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。」 を、 「【0006】 【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するための手段を図1を参照して説明する。図1は本発明の基本構成図である。 請求項1の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、前記文字記録メモリ(1)より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させる印字処理手段(4)と、を備える。 また、請求項2の発明においては、タクシーの乗車料金の領収書を発行するタクシー領収書発行装置であって、領収書印字文字の文字データを記録する文字記録メモリ(1)と、領収書発行用紙に文字を印字する印字器(2)と、入力データが文字印字指令データか料金データであるかを判定する入力データ判定手段(3)と、前記入力データ判定手段(3)で、文字印字指令であると判定された場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して前記印字器(2)で印字させ、料金データであると判定された場合は、入力データ判定手段(3)で文字印字指令であると判定されて印字器(2)で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を前記文字記録メモリ(1)より読出して印字器(2)で印字させ、る印字処理手段(4)と、を備える。」 と訂正する。 c.明細書の段落【0008】の 「【0008】 印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字を順次読出して印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、印字処理手段4は、料金データに関連する文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。」 を、 「【0008】 請求項1の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段3で文字印字指令であった場合は、文字記録メモリ1より領収書記入文字の最後の文字より順次読出して、料金確定後でないと印字出来ない列まで印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段3で料金データと判定された場合は、料金データに関連する文字および残りの領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また請求項2の発明では、印字処理手段4では、入力データ判定手段で文字印字指令であった場合は、料金確定後でないと印字出来ない文字を除く領収書記入文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。 また、入力データ判定手段で料金データと判定された場合は、入力データ判定手段3で文字印字指令であると判定されて印字器2で印字された領収書の未印字の料金データおよび文字を文字記録メモリ1より読出して印字器2で印字させる。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-02-13 |
出願番号 | 特願平5-176547 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
XA
(G07B)
|
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 中島 成、内山 隆史 |
特許庁審判長 |
大槻 清寿 |
特許庁審判官 |
会田 博行 櫻井 康平 |
登録日 | 1999-04-02 |
登録番号 | 特許第2907255号(P2907255) |
権利者 | 矢崎総業株式会社 |
発明の名称 | タクシー領収書発行装置 |
代理人 | 松村 貞男 |
代理人 | 松村 貞男 |
代理人 | 中内 康雄 |
代理人 | 越智 浩史 |
代理人 | 吉田 隆志 |
代理人 | 瀧野 秀雄 |
代理人 | 神田 正紀 |
代理人 | 神田 正紀 |
代理人 | 瀧野 秀雄 |
代理人 | 吉田 隆志 |
代理人 | 越智 浩史 |
代理人 | 中内 康雄 |