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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1065487
審判番号 不服2001-18022  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-09 
確定日 2002-09-30 
事件の表示 平成 3年特許願第 58249号「情報記録再生装置、情報記録装置、情報再生装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年 9月30日出願公開、特開平 4-274577]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成3年2月28日に出願されたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年11月8日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「電気的に消去及び書込みが可能な第1の不揮発性メモリと、
通信プログラムを記憶する第2の不揮発性メモリと、
中央処理装置と、
サーボ回路と、
メカコントロール回路と、
レーザーコントロール回路と
を備えた情報記録再生装置であつて、
上記中央処理装置は、上記第2の不揮発性メモリに記憶されている上記通信プログラムに従つて、外部から少なくとも上記サーボ回路と上記メカコントロール回路と上記レーザーコントロール回路とのうちのいずれかの制御プログラムを上記第1の不揮発性メモリの所定のアドレスに書き込むことを特徴とする情報記録再生装置。」

2.引用例に記載されている発明
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用した、特開昭63-206852号公報(以下、「引用例」という。)には、本発明のシングルチップLSIの構成を示す第1図に関して「1はシングルチップLSI、2はプログラム書き換え用プログラムを格納するROM(以下、これをブートROMと称す)、3は入出力用のシリアルI/Oポート、4はRAM、5はプログラム格納用E2PROM、6はCPU、7はデータ格納・保持用E2PROMである。」(第2頁左下欄第16行〜右下欄第1行)と記載され、また「E2PROM5にはCPU6の処理のためのプログラムが格納されており、シリアルI/Oポート3を介して入力するデータをE2PROM7に格納保持されているデータを用いて処理し、シリアルI/Oポート3を介して外部へ出力する。」(第2頁右下欄第5行〜第9行)と記載され、また「この様な構成において、ブートROM2には、プログラム格納用E2PROM5にプログラムを書き込むためのプログラムが格納されており、シリアルI/Oポート3を介して入力される新らたなプログラムをCPU6の制御によりE2PROM5に書き込んだり、書き込まれたプログラムをベリファイする手順がファームウェアとして保持されている。」(公報第2頁第12行〜第19行)と記載されている。したがって、これらの記載から上記引用例には、
電気的に消去及び書込みが可能なプログラム格納用E2PROM(5)と、
プログラム書き換え用プログラムを格納するROM(2)と、
CPU(6)と、
を備えたシングルチップLSI(1)であって
上記CPU(6)は、
上記ROM(2)に記憶されている上記プログラム書き換え用プログラムに従つて、外部から上記CPU(6)の処理のための制御プログラムを上記プログラム格納用E2PROM(5)の所定のアドレスに書き込むシングルチップLSI(1)、に関する発明(以下、「引用例に記載されている発明」という。)が記載されている。

3.本願発明と引用例に記載されている発明との対比
本願発明と上記引用例に記載されている発明とを対比すると、上記引用例に記載されている発明の「プログラム格納用E2PROM(5)」及び「CPU(6)」は本願発明の「第1の不揮発性メモリ」及び「中央処理装置」にそれぞれ相当し、上記引用例に記載されている発明の「プログラム書き換え用プログラム」はプログラムをダウンロードする為の通信プログラムを含んでいるので上記引用例に記載されている発明の「プログラム書き換え用プログラムを格納するROM(2)」は本願発明の「通信プログラムを記憶する第2の不揮発性メモリ」に相当しており、両者の発明は共に
「電気的に消去及び書込みが可能な第1の不揮発性メモリと、
通信プログラムを記憶する第2の不揮発性メモリと、
中央処理装置と
を備えた電子装置であって
上記中央処理装置は、上記第2の不揮発性メモリに記憶されている上記通信プログラムに従って、外部から制御プログラムを上記第1の不揮発性メモリの所定のアドレスに書き込む電子装置。」である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。
<相違点>
本願発明では、上記電子装置が、サーボ回路とメカコントロール回路とレーザーコントロール回路とを備えた情報記録装置であり、且つ、上記サーボ回路とメカコントロール回路とレーザーコントロール回路の内のいずれかを制御するための制御プログラムを外部から上記第1の不揮発性メモリに書き込むように構成しているのに対して、上記引用例に記載されている発明では、上記電子装置が、シングルチップLSIであり、外部から上記第1の不揮発性メモリに書き込む制御プログラムはCPU(6)を制御するためのものである点。

4.相違点についての当審の判断
上記相違点について検討すると、サーボ回路とメカコントロール回路とレーザーコントロール回路とを備えた情報記録再生装置において上記各回路をプログラムによって制御することは従来周知の技術事項であり(もし、必要ならば特開昭64-14776号公報あるいは特開平2-292738号公報を参照されたい)、また、制御プログラムをE2PROMに格納することは常套手段であるから、上記引用例に記載されているシングルチップLSI内のE2PROMの記憶内容を変更する技術思想を情報記録再生装置内のE2PROMの記憶内容を変更する手段に適用して、情報記録装置内のE2PROMに記憶されている制御プログラムを外部から変更できるようにして、本願発明のように構成することは当業者が容易に想到し得たものと認められ、上記相違点を格別なものとすることはできない。
なお、審判請求人は審判請求書において、「また第2引用例には、『シングルチツプLSIにおいてEEPROMのプログラムを書き換える』ような構成が示されているに止まり、本願発明の上記第2の特徴点のように、『制御プログラムの変更の度に、当該情報記録再生装置から第1の不揮発性メモリを取り外し、ROMライタで一つずつ書き換えた後、再度本体に実装する手間を回避する』ような考えた方を教示するような記載は、第1及び第2引用例には見当たらない。」と主張しているが、上記引用例に記載されている発明と同様なプログラムのダウンロードという技術を用いることにより、装置内に設けられているE2PROMを取り外し、ROMライタでその内容を書き換えた後、再びE2PROMを装置に取り付けるというような煩雑な手段を用いなくても、その記憶内容を変更できるようにすることは、例えば特開平2-130799号公報に記載されているように従来周知の技術事項であるから上記審判請求人の主張は採用できない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は上記引用例に記載された発明及び従来周知の技術事項から当業者が容易に想到し得たものと認められるので、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-08-02 
結審通知日 2002-08-09 
審決日 2002-08-20 
出願番号 特願平3-58249
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 恭信  
特許庁審判長 斎藤 操
特許庁審判官 石川 正二
小曳 満昭
発明の名称 情報記録再生装置、情報記録装置、情報再生装置  
代理人 田辺 恵基  

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