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審決分類 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備 無効とする。(申立て全部成立) G06F
審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) G06F
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 無効とする。(申立て全部成立) G06F
管理番号 1065709
審判番号 審判1999-35581  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-01-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-10-21 
確定日 2002-10-24 
事件の表示 上記当事者間の特許第2799499号発明「版下デザイン装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2799499号発明の明細書の請求項1ないし2に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件特許2799499号の発明(昭和63年7月9日出願、平成10年7月10日設定登録。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】各キャラクタの作成時、キャラクタ種別データ、キャラクタ位置データ及びキャラクタ形態データでなるキャラクタデータを作成順序に応じてキャラクタ登録メモリ手段に登録すると共に、登録キャラクタカウント手段を加算カウント動作させることにより、当該カウント内容を最初に登録されたキャラクタから最後に登録されたキャラクタまでの有効登録キャラクタ数を表すデータとして保持させるキャラクタデータ作成手段と、
各キャラクタの消去時、上記登録キャラクタカウント手段を減算カウント動作させることにより、上記最後に登録されたキャラクタについての上記キャラクタデータを有効登録範囲から除外し、その結果当該最後に登録されたキャラクタのキャラクタデータを消去するキャラクタデータ消去手段と
を具えることを特徴とする版下デザイン装置。」
(以下、本件特許発明1という。)
「【請求項2】各キャラクタの作成時、キャラクタ種別データ、キャラクタ位置データ及びキャラクタ形態データでなるキャラクタデータを作成順序に応じてキャラクタ登録メモリ手段に登録すると共に、登録キャラクタカウント手段を加算カウント動作させることにより、当該カウント内容を最初に登録されたキャラクタから最後に登録されたキャラクタまでの有効登録キャラクタ数を表すデータとして保持させるキャラクタデータ作成手段と、
各キャラクタの消去時、上記最後に登録されたキャラクタについての上記表示手段の表示画面上の表示を消去する表示消去手段と、各キャラクタの消去時、上記登録キャラクタカウント手段を減算カウントさせることにより、上記最後に登録されたキャラクタについての上記キャラクタデータを有効登録範囲から除外し、その結果当該最後に登録されたキャラクタのキャラクタデータを消去するキャラクタデータ消去手段と、
上記キャラクタ登録メモリ手段に登録されたすべてのキャラクタデータを表示手段の表示画面上に表示する再表示手段と
を具えることを特徴とする版下デザイン装置。」
(以下、本件特許発明2という。)
2.請求人の主張
請求人は、
(1)本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、したがって、本件特許発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたと主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。さらに、
(2)本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明には記載不備があり、本件特許発明は特許法第36条第3項および第4項に規定する要件を満たしていないから、本件特許は特許法第36号第3項および第4項の規定に違反してなされたと主張している。
3.被請求人の主張
被請求人は、
(1)本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証から甲第5号証に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件特許は無効にされるべきものではない、
(2)本件特許明細書には記載不備はなく、本件特許は無効にされるべきものではない、
と主張している。
4.甲第1号証ないし甲第5号証
各甲号証には次のことが記載されている。
(1)甲第1号証(特開昭63-64465号公報)には、
「(1)描画ペンと描画パットよりなる入力装置により入力された描画データと、電話機から入力された音声信号をとを多重化して電話回線に出力する描画像通信装置に於いて、描画ペンが描画パット上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1つの単位として蓄積するメモリと、入力された描画データを1つの単位として蓄積するメモリと、入力された描画データを表示する表示装置と、消去指示手段と、該手段の指示に基づき前記メモリより描画データを単位毎に読み出し、読み出したデータに基づき表示装置から描画を消去すると共にメモリからも消去するように制御する制御手段を具備したことを特徴とする描画像通信装置。」(甲第1号証の第1頁下左欄第4〜15行目)、
「本発明は描画ペンが描画パット上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1ストロークデータとしてメモリに区分して記憶し、消去する場合にはストロークデータ単位でメモリより消去を行なうことにより、表示装置の描画画面から消去するように構成したものである。」(甲第1号証の第2頁上左欄第2〜7行目)、
「(1)は感圧タブレットなどで構成される描画パットで、この描画パッド(1)の入力面には描画ペン等により手書きで画像が入力される。又この画像パッド(1)の一端には各種のモード選択スイッチ(2)が設けられている。(3)は描画パッド(1)の画像データがX,Y座標信号として入力された予測符号化(DPCM)回路で、所定の方式により符号化してデイジタル信号として出力する。(4)はDCPM符号化回路(3)の出力と、描画パッド(1)の出力が入力された制御回路で、マイクロプロセッサで構成されており、プログラムメモリ(5)に予め記憶されている処理プログラムに従って装置全体の制御を司どる。(6)は制御回路(4)の制御の下に符号化された画像信号が蓄積されるデータメモリであり、第2図に示すような形式で画像信号が記憶されている。即ち描画データは、描画ペンが描画パット上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1つの単位として記憶され、夫々の描画データにはカラー属性等を示すコマンド識別データと、区分データ(ISP)が一対に構成されている。」(甲第1号証の第2頁上左欄第16〜同頁上右欄第16行目)、
「画像メモリ(13)は、送信時には描画パッド(1)から入力された手書き画像の画像信号を記憶してこれをCRT表示装置(14)に表示し、又受信時には
DPCM復号化回路(12)により復号化された画像信号を記憶してCRT表示装置(14)に表示を行う。(15)は描画パッド(1)に設けられたモード選択スイッチ(2)で選択されたモードを指示するランプであり、同時通信モード、描画単独モード、描画蓄積モード及び消去モード等を指示している。」(甲第1号証の第2頁下左欄第20行目〜同頁下右欄第8行目)、
「次にモード選択スイッチ(2)で描画蓄積モードが選択された場合の動作につき説明する。この場合入力された描画データは、送信されず全てデータメモリ(6)に第2図に示す形式で蓄積されると共に、CRT表示装置(14)に表示が行われる。描画を終了し表示された描画に特に修正する所もなければ、モード選択スイッチ(2)で一括送出モードを選択すると、モード信号を検出した制御回路(4)は、データメモリ(6)に記憶されている描画データを順次読み出し、即述と同様な方法で送信を行うので、受信側のCRT表示装置(14)に描画表示が行われる。
一方描画途中或は描画終了時点で、手書きした描画を修正する必要が生じた場合には、ストローク消去スイッチを操作すると、ステップ(S1)でスイッチ信号を検出した制御回路(4)は、最後に入力された描画データをデータメモリ(6)より読み出し、読み出したデータに含まれるX、Y座標データに基づきステップ(S3)で画像メモリ(13)の所定の領域にデータ「0」を書込むことにより、CRT表示装置(14)からその点が消去される。同様にしてデータメモリ(6)から読み出したデータに基づき順次画像メモリ(13)にデータ「0」を書込むことにより、CRT表示装置(14)からそのストロークが消去される。データメモリ(6)よりの画像データの処理を終了したところで、制御回路(4)は読み出したデータをデータメモリ(6)から消去すると共にデータメモリ(6)の最終記憶位置を示すポインタを1つの前の区分データ(ISP)位置に移動する。
以後同様にしてストローク消去スイッチが操作される度に、データメモリ(6)の最後の描画データが消去されると共に、CRT表示装置(14)から対応したストロークが消去される。
尚この際消去する線と消去しない線の交点では、データ「0」が画像メモリ(13)に書込まれる為、交点が消去されるが、この場合には再表示スイッチを操作することにより、ステップ(S8)でスイッチ信号を検出した制御回路(4)が、データメモリ(6)の描画データを最初から読み出し順次画像メモリ(13)に書き込むことにより、再表示された描画では交点であった所も表示される。」(甲第1号証の第3頁上右欄第18行目〜同頁下右欄第19行目)、
「上述の如く本発明の描画像通信装置は、描画ペンが描画パット上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1つの単位としてメモリに記憶し、消去スイッチが操作される度に最後に入力された描画データから順にメモリより読み出し、読み出した描画データに基づき描画単位毎に消去を行うことが可能になり、正確な消去を行うことができ極めて実用的効果大である。」(甲第1号証の第4頁上左欄第8〜16行目)と記載されている。
これらの記載からみて甲第1号証には次のことが記載されている。
「描画ペン等により手書きで画像が入力され、一端には各種のモード選択スイッチ(2)が設けられている描画パッド(1)と、
描画パッド(1)の画像データがX,Y座標信号として入力され、所定の方式により符号化してデイジタル信号として出力する予測符号化(DPCM)回路(3)と、
DPCM符号化回路(3)の出力と、描画パッド(1)の出力が入力され、マイクロプロセッサで構成され、プログラムメモリ(5)に予め記憶されている処理プログラムに従って装置全体の制御を司どる制御回路(4)と、
制御回路(4)の制御の下に符号化された画像信号が蓄積されるデータメモリ(6)と、
その蓄積される画像信号は、描画ペンが描画パッド上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1つの単位として記憶され、夫々の描画データにはカラー属性等を示すコマンド識別データと、区分データ(ISP)が一対に構成されているものであり、
描画パッド(1)から入力された手書き画像の画像信号を記憶してこれをCRT表示装置(14)に表示する画像メモリ(13)と、
描画パッド(1)に設けられたモード選択スイッチ(2)で選択された同時通信モード、描画単独モード、描画蓄積モード及び消去モード等を指示を指示するランプ(15)と、
から構成され、
モード選択スイッチ(2)で描画蓄積モードが選択された場合に、入力された描画データは、送信されず全てデータメモリ(6)に蓄積されると共に、CRT表示装置(14)に表示され、
描画途中或は描画終了時点で、手書きした描画を修正する必要が生じた場合には、ストローク消去スイッチを操作し、
ステップ(S1)でスイッチ信号を検出した制御回路(4)は、最後に入力された描画データをデータメモリ(6)より読み出し、読み出したデータに含まれるX、Y座標データに基づきステップ(S3)で画像メモリ(13)の所定の領域にデータ「0」を書込むことにより、CRT表示装置(14)からその点を消去し、同様にしてデータメモリ(6)から読み出したデータに基づき順次画像メモリ(13)にデータ「0」を書込むことにより、CRT表示装置(14)からそのストロークが消去され、
データメモリ(6)よりの画像データの処理を終了したところで、制御回路(4)は読み出したデータをデータメモリ(6)から消去すると共にデータメモリ(6)の最終記憶位置を示すポインタを1つの前の区分データ(ISP)位置に移動する。
再表示スイッチを操作することにより、ステップ(S8)でスイッチ信号を検出した制御回路(4)が、データメモリ(6)の描画データを最初から読み出し順次画像メモリ(13)に書き込むことにより、再表示された描画では交点であった所も表示されるようにすることにより、
描画ペンが描画パット上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1つの単位としてメモリに記憶し、消去スイッチが操作される度に最後に入力された描画データから順にメモリより読み出し、読み出した描画データに基づき描画単位毎に消去を行うことを可能にして、正確な消去を行うことができるようにしたことを特徴とする描画像通信装置。」
(2)甲第2号証(アンドゥ・メモリを用いたProlog処理系,情報処理学会第36回(昭和63年前期)全国大会講論文集(1))には、アンドウ(UNDO)メモリを使用して、アンドウ処理を実現し、処理の失敗で処理を前のステップに戻すことが示されている(第793頁)。アンドウメモリは、世代のインクリメントに応じてデータが書き込まれ、世代のデクリメントに応じて、メモリの記憶データが消去されることが示されている(第794頁)。
(3)甲第3号証(特開昭57-125940号公報)には、文字やレイアウトを記憶装置に記憶し、任意の角度に印字し、印字により作成された文字を表示し、印字された文字を部分的に修正や変更が可能で、書体を変換し得る版下制作用の電子写真画面装置が開示されている(特許請求の範囲1〜6)。
(4)甲第4号証(特開昭61-264481号公報)には、図形データをテーブルに登録し(第3頁左下欄第5行〜第4頁左上欄第3行)、図形のイメージで表示し、表示画面上の任意の図形を表示画面から消去すること、表示の消去に関連して、上記テーブルから図形データを消去すること、再表示を行うこと(第7頁左下欄第11行〜同第13行)および図形データの中に文字が含まれ、文字コードと図形位置を示すパラメータを図形データが有すること(第3頁左上欄第6行〜同第15行)が開示されている。
(5)甲第5号証(特開昭55-76430号公報)には、入力データを入力カウンタ51によりカウントし、スタック30に入力データを記憶すること(第1頁右下欄第8行〜同第20行)、スタックに記憶されているデータに対しては、表示装置の画面に関する画面バッファのみの更新を行うこと、すなわち、記憶装置の有効範囲を定め、有効範囲のデータを表示画面に表示させること(第3頁左下欄第12行〜同右下欄第1行)が開示されている。
5.対比
(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明とを比較すると、
本件特許発明1の版下デザイン装置において、キャラクタデータの作成、キャラクタデータの消去及びキャラクタデータの表示に関しては、デザイン動作をしており、特に版下作成に特徴があるものではなく、甲第1号証でも描画蓄積モードのときは、描画データをメモリに蓄積すると共に表示装置に表示し、描画を修正するのであるから、これもデザイン動作をしているから、デザインをする装置である点では両者は相違しない。さらに、両者は
「画像データを、作成順にメモリ手段に登録すると手段と、画像データを消去する時には、メモリ手段に最後に登録された画像データから消去する手段とを設ける」点で一致し、下記の点で相違する。
(相違点)
(イ)相違点1、 画像データが、本件特許発明1は、版下デザイン装置のキャラクタで、そのキャラクタが、キャラクタ種別データ、キャラクタ位置データ及びキャラクタ形態データからなるのに対して、甲第1号証の発明は、描画像通信装置の描画データであって、その描画データは、描画ペンが描画パット上にダウンされてからアップされる迄に入力された描画データを1つの単位として、夫々の描画データにはカラー属性等を示すコマンド識別データと、区分データ(ISP)が一対に構成されているものである点。
(ロ)相違点2、 本件特許発明1は、登録キャラクタカウント手段を加算カウント動作させることにより、当該カウント内容を最初に登録されたキャラクタから最後に登録されたキャラクタまでの有効登録キャラクタ数を表すデータとして保持させているのに対して、甲第1号証には、登録キャラクタカウント手段については記載されていない。
(ハ)相違点3、 メモリ手段が、本件特許発明1は、キャラクタ登録メモリ手段であるのに対して、甲第1号証は、データメモリと画像メモリとである点。
(ニ)相違点4、 消去時に、本件特許発明1は、登録キャラクタカウント手段を減算カウント動作させることにより、上記最後に登録されたキャラクタについての上記キャラクタデータを有効登録範囲から除外し、その結果当該最後に登録されたキャラクタのキャラクタデータを消去するキャラクタデータ消去手段を設けているのに対して、甲第1号証は、制御回路は読み出したデータをデータメモリから消去すると共にデータメモリの最終記憶位置を示すポインタを1つの前の区分データ位置に移動する点。
(2)本件特許発明2と甲第1号証に記載された発明とを比較すると、
本件特許発明2の版下デザイン装置において、キャラクタデータの作成、キャラクタデータの消去及びキャラクタデータの表示に関しては、デザイン動作をしており、特に版下作成に特徴があるものではなく、甲第1号証でも描画蓄積モードのときは、描画データをメモリに蓄積すると共に表示装置に表示し、描画を修正するのであるから、これもデザイン動作をしているから、デザインをする装置である点では両者は相違せず、また、甲第1号証の、制御回路が最後に入力された描画データをデータメモリより読み出し、CRT表示装置からそのストロークを消去することは、本件特許発明2の、表示消去手段に相当するから、両者は
「画像データを、作成順にメモリ手段に登録する手段と、画像データを消去する時には、最後に登録された画像データについて表示手段の表示画面上の表示を消去する表示消去手段と、メモリ手段に最後に登録された画像データから消去する手段と、メモリ手段に登録されたすべての画像データを再表示する手段とを設けた」点で一致し、上記の(1)、(イ)〜(ニ)に述べた本件特許発明1と甲第1号証との相違点と同様な点で相違する。
6.当審の判断
上記相違点について検討すると、
(1)本件特許発明1について
(イ)相違点1について
一般的に、版下デザイン装置において、文字などのキャラクタを1つの単位として扱うことは、周知のことであり、また、文字キャラクタデータは、文字の種別を表す文字コードデータ等のキャラクタ種別データ、当該文字の表示画面上の位置を表すX座標データ及びY座標データであるキャラクタ位置データ、及び、文字の大きさデータ、縦横比データ、傾斜角データ、回転角データ、書体番号データ等のキャラクタ形態データで構成されることも周知のことであるから、甲第1号証において、描画ペンが描画パッド上にダウンされてからアップされる迄に入力された画像データを1つの単位として扱うもののかわりに、1文字を1つの単位とすること、即ち、キャラクタデータを1つの単位とすることは当業者が容易に推考することができることと認められる。
(ロ)相違点2について
甲第1号証において、消去時に、データメモリ(6)の最終記憶位置を示すポインタを1つ前の区分データ(ISP)位置に移動することが記載されているから、当然描画データを記憶していくときにも、ポインタは位置を移動していくものと思われ、ポインタの移動位置を表すにはカウンタを用いることは通常行われていることであり、また、ポインタにより有効データ領域を示すことは周知のことであるから、甲第1号証のポインタの位置.のかわりに、カウント手段のカウント値を有効登録キャラクタ数のデータとすることは当業者ならば容易に考えられることである。
(ハ)相違点3について
甲第1号証のデータメモリおよび画像メモリを、キャラクタ登録メモリ手段とすることは当業者が容易に考えられることである。
(ニ)相違点4について
上述のように、ポインタにより有効データ領域を示すことは周知のことであり、有効データ領域から外れたデータは無効となり、そのデータを消去するか、そのまま残しておくかは必要に応じて適宜行えばよいことであるから、甲第1号証において、上記(ロ)で述べたように、ポインタの位置をカウンタ手段で表せるから、このカウンタ手段を減算カウント動作させることにより、有効登録範囲を移動させてデータを無効とすることは当業者が何の困難性もなく考えられることである。
(2)本件特許発明2について
上記(1)で述べた、相違点1〜4の判断と同様である。
7.むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1及び本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第1号に該当し、他の無効理由について判断するまでもなく、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-07-27 
結審通知日 2000-08-08 
審決日 2000-08-24 
出願番号 特願昭63-171171
審決分類 P 1 112・ 531- Z (G06F)
P 1 112・ 121- Z (G06F)
P 1 112・ 534- Z (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 幸雄  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 東 次男
関川 正志
登録日 1998-07-10 
登録番号 特許第2799499号(P2799499)
発明の名称 版下デザイン装置  
代理人 阿部 和夫  
代理人 橋本 傳一  
代理人 谷 義一  
代理人 田辺 恵基  

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