ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K |
---|---|
管理番号 | 1077921 |
異議申立番号 | 異議2001-70704 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-04-06 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-03-01 |
確定日 | 2003-03-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3089749号「化粧料」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3089749号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
I.手続きの経緯 本件特許第3089749号の請求項1に係る発明についての出願は、平成3年9月27日に特許出願され、平成12年7月21日にその特許権の設定登録がなされ、その後、谷内啓子より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内に訂正請求がなされたものである。 II.訂正の適否 II-1 訂正の内容 特許権者は、願書に添付した明細書を以下のように訂正することを求めている。 a.特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1を下記のとおり訂正する。 「【請求項1】 オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料。」 b.明瞭でない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の【0004】、【0014】、【0015】、【0017】、【0018】及び【0019】における、「オレイン酸またはその誘導体」を「オレイン酸の誘導体」と訂正する。 II-2 訂正の適否の検討 aについて 上記請求項1に係る訂正は、化粧料に配合する成分「オレイン酸またはその誘導体」を「オレイン酸の誘導体」に限定するものであり、特許請求の範囲を減縮するものであることは明らかである。 又、この訂正は、願書に添付した明細書記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 bについて 発明の詳細な説明に係る訂正は、請求項1の訂正に伴って明細書の詳細な説明を整合が取れるよう訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明をするものである。 そして、上記aで述べたように、これら訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議の申立てについて III-1 本件発明 上記IIで示したとおり、上記訂正が認められるので、本件の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものである(上記II-2a参照)。 III-2 引用刊行物に記載された発明 当審で通知した、取消の理由で引用した下記刊行物2は、「最近の高純度原料・添加剤の研究開発の動向と香粧品開発」と題する論文に係るものであって、以下の事項が記載されている。 (i)第12頁右欄最下行〜第13頁左欄第4行 「精製の主な目的は、安全性の向上、臭気成分、着色成分の除去、安定性に悪影響を及ぼす不純物或いは一部の成分の除去であり、精製は化粧品原料を使用する上で重要なことである。」 (ii)第17頁左欄第1行〜同右欄第5行 「3-2-1オレイン酸およびその誘導体 従来、オレイン酸は、有用な機能を有するにもかかわらず、臭気、着色及び経時安定性が悪いなどのため、使用上制約があった。しかしながら、日本油脂(株)は、高度の製造技術、精製技術により無色、無臭の高純度のオレイン酸を得ることに成功した。・・・(略)・・・このものは、「ニッサンエクストラオレイック・シリーズ」として市販されている。 高純度のオレイン酸は、天然油脂から単離したもので、1)ほとんど無色、無臭である、2)安定性に優れている、3)皮膚刺激性が少なく安全性が高い、固有の物性を発揮するなどの特徴を有している。」 (iii)第17頁右欄第6行〜第18頁左欄下から3行 「図6のガスクロマトグラムに示されるように、市販のオレイン酸は純度が約60%で100以上の成分からなるのに対し、高純度のオレイン酸はワンピークであった。酸化安定性の結果を表1に示す。指標として過酸化物価・・・(略)・・・を測定した結果、高純度のオレイン酸(エクストラオレイック-99)は、POV、COVとも変化せず、エクストラオレイック-90も極めて高い酸化安定性を示した。また、色相安定性についても評価した結果エクストラオレイック-99、90とも極めて安定であり、不純物の影響が大きいことがわかった。安全性評価の一環として実施した河合法による皮膚刺激性試験の結果を表2に示す。エクストラオレイック-99は、皮膚に対して無刺激、エクストラオレイック-90も皮膚刺激性が少ないことが確認された。・・・(略)・・・以上のように高純度化することによって酸化安定性、安全性が向上し、使用しやすくなったことは化粧品技術者にとって非常に価値のあることである。」 (iv)第18頁左欄下から2行〜同右欄第4行 「これらの誘導体も高純度のオレイン酸と同様、酸化安定性などに優れている。主な誘導体としては、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノオレイン酸ジグリセロールなどがあり、界面活性剤や油性成分として幅広く使用できる。 (v)表1のエクストラオレイック-99の項には、過酸化物価、不飽和カルボニル価、飽和カルボニル価の値が、それぞれ0.00、0.00、0.30であることが示されている。 (vi)皮膚刺激性を評価する表2には、「試料」として、オレイック-99のメチルエステル、オレイック-99のグリセリントリエステルが記載されている。 (vii)図6には、高純度オレイン酸(NISSAN EXTRA OLEIC-99)と市販オレイン酸(LL-タイプ)のガスクロマトグラムにおいて、前者はワンピークであることが示されている。図6中には、GLCの条件として、溶媒はイソオクタンであること、カラム(キャピラリー)は「SP-2560、100mx0.25mm」と記載されている。 同刊行物1には、化粧品に使用される原料として、オレイン酸、オレイン酸デシル、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、親油型モノオレイン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)が示され、オレイン酸については、「近年、99%以上の高純度精製オレイン酸が市販され」たこと(第251〜252頁の性状の項)、「界面活性剤やオレイン酸エステルの原料となる」こと(第252頁応用の項)、オレイン酸デシルについては、「天然の油脂を原料にした高純度のオレイン酸と、同じく天然の油脂を原料にした高純度のデシルアルコールをエステル化することによって得られ」ること(第253頁の基原の項)、「化粧品のクリーム、乳液、メーキャップ製品及びスキンンオイルなどに無刺激、湿潤力、浸透作用のある油分として使用されること」(同応用の項)が記載され、トリオレイン酸ソルビタンについては、「ソルビットと脂肪酸(オレイン酸)をソルビット1に対して3の割合(モル比)で・・・(略)・・・でエステル化反応を行う」(第737頁製法の項)と記載されている。 同刊行物3、4には、オレイン酸の製造方法に係る発明が記載され(特許請求の範囲)、刊行物3の発明の効果の項の第6欄第14行〜第27行には、得られた高純度精製オレイン酸は、無色無臭であり、劣化の原因となる酸化生成物などの微量不純物を含まない、熱、酸素及び薬剤に対する安定性に優れ、生体に対して安全性が高い、シャープな結晶多型現象などオレイン酸固有の物性を示すこと、及び、医薬品、香粧品の分野などの幅広い分野で利用することができることが記載されている。又、刊行物4の第7欄第21行〜第36行にも同様な記載がある。そして、刊行物3、4の実施例には、精製オレイン酸中のオレイン酸の純度が99%前後のものが記載されている。 記 刊行物1:日本公定書協会編、「化粧品原料基準 第二版注解I」、薬事日報社、1984年(特許異議申立人の提出した甲第1号証)第250〜252頁、第253〜254頁、第626〜627頁、第735〜738頁、第739〜740頁、第1178頁、 刊行物2:FRAGRANCE JOURNAL,1991-8,12-22,1991年8月15日(同甲第2号証) 刊行物3:特公平2-57150号公報(同甲第4号証) 刊行物4:特公平3-35305号公報(同甲第5号証) III-3 対比・判断 III-3-1 刊行物2に記載された発明 刊行物2には、エクストラオレイック-99が高純度のオレイン酸市販品であることが記載されている(上記(ii)、(iii))。そして、刊行物2の上記(iv)でいうオレイン酸の「これらの誘導体」及びその例示に係る「モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノオレイン酸ジグリセロール」がエクストラオレイック-99の誘導体であることは、上記(iv)の記載に先立つ記載に両者が記載されていることから明らかである。又、オレイック-99のメチルエステル、オレイック-99のグリセリントリエステルの両者は、「エクストラ」との表示はないが、これら成分が記載されている表2の説明中にエクストラオレイック-99のことのみ言及されていることから、エクストラオレイック99の誘導体であると解するのが自然である。 そうすると、刊行物2には、エクストラオレイック-99の誘導体が油性成分として使用できることが記載されている(上記(iv))。 ところで、刊行物2には、エクストラオレイック-99の純度については記載はないが、その図6と本件特許明細書の図1を比較すると、両者は、同じ溶媒(イソオクタン)で、同じキャピラリィカラム、すなわち、本件特許明細の【0006】で説明する脂肪酸の炭素鎖長と二重結合の数の違いはもちろんのこと二重結合の位置や立体構造の異なる異性体をも分離することのできるキャピラリィカラム「SP-2560:100mx0.25mm」を用いて分析しており、両者の示すピークは共に同様な位置にワンピークを示すことから、刊行物2におけるエクストラオレイック-99は、少なくとも本件特許請求の範囲で規定するオレイン酸の純度内のものと認められる。なお、このことは、刊行物2において「ニッサンエクストラオレイック・シリーズ」と言及されているもののパンフレットの第4頁「2 ニッサンエクストラシリーズの種類」の項の表2に「エクストラ オレイック-99」の「純度(%,Min)」が99と記載されていることからも確認される。 III-3-2 本件発明と刊行物2に記載された発明との対比・判断 (1)本件発明と刊行物2に記載されている発明を比較すると、上述のように、刊行物2のエクストラオレイック-99は、純度が「(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸」の範囲内のものであるから、両者は、「(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸誘導体」を油性成分とするものであるが、本件発明が、当該誘導体を油性成分として含む化粧料であるのに対し、刊行物2に係る発明は、当該誘導体が油性成分として使用できるとの記載のみである点で一応相違する。 上記相違点について検討する。 高純度の化粧料原料についての最近の動向について解説した刊行物2において、エクストラオレイック-99の誘導体が油性成分として使用できるとの記載が化粧料の油性成分として使用できることを意味していることは明らかであり、化粧料における油性成分は汎用成分であって、具体的な化粧料(例えば、化粧水、乳液、)に応じて適宜配合するものであるから、刊行物2には、当該誘導体を油性成分として含む化粧料が実質的に記載されているということができる。 してみれば、本件発明は、刊行物2に記載された発明である。 なお、エクストラオレイック-99及びその誘導体については、刊行物2の頒布日前、既に化粧料成分として好適であるとして販売されていたものであるから、当該成分の入手困難性はない(例えば、当該技術分野で広く頒布されているところのフレグランスジャーナルの1990年11月号の後付に掲載されている日本油脂の広告には、「ニッサンの化粧品基材 高純度不飽和脂肪酸エクストラシリーズ」としてエクストラオレイック-99等が記載されている。そして、誘導体については、上記III-3-1で述べたニッサンエクストラオレイックシリーズのパンフレットに、当該シリーズの主な特徴として、香粧品分野等の利用に好適であると記載され(第4頁「3 ニッサンエクストラオレイックシリーズの特徴」の項)、当該高純度不飽和脂肪酸の誘導体の例示として「ジオレイルホスファチジルコリン」、エステルとして「モノ、ジ、トリ、-グリセライド、ソルビタンエステル、メチルエステルなど」と記載されている。)。 もっとも、特許権者は、刊行物2には、特定の高純度オレイン酸誘導体を化粧料に用いた場合に伸びがよく、使用感がさっぱりした高いエモリエント効果を有する化粧料が得られるか否かは刊行物2には、記載も示唆もなく、刊行物2から予測できない顕著な効果があると述べている。 しかしながら、刊行物2には、上述のように、エクストラオレイック-99の誘導体を油性成分とする化粧料の発明が実質的に記載されているといえるから、エクストラオレイック-99の誘導体を油性成分とする化粧料は、特許権者の指摘する上記性質も奏するはずである。 したがって、上記主張は採用できない。 (2)オレイン酸を原料とする誘導体は、刊行物2に記載されているもののほか、刊行物1等で数多く知られている(例えば、刊行物1には、オレイン酸の誘導体であるオレイン酸デシルについて、「天然の油脂を原料にした高純度のオレイン酸と、同じく天然の油脂を原料にした高純度のデシルアルコールをエステル化することによって得られ」ること(第253頁の基原の項)、トリオレイン酸ソルビタンについては、「ソルビットと脂肪酸(オレイン酸)をソルビット1に対して3の割合(モル比)で・・・(略)・・・でエステル化反応を行う」(第737頁製法の項)と記載されている)。 そして、刊行物2〜4において、本件発明で規定する程度の高純度のオレイン酸のすぐれた性質も記載されているのであるから、これら刊行物2に記載されている以外の誘導体を製造する際、当該高純度のオレイン酸を使用して、オレイン酸誘導体を製造し、油性成分として利用することを想到することに格別の困難はない。 そして、その効果も、刊行物1や刊行物2で化粧料の油性成分として使用できるとされているオレイン酸誘導体成分について、当業者が油性成分の開発の際に通常確認する効果を確認したにすぎないものである(例えば、刊行物1には、オレイン酸デシルが「化粧品のクリーム、乳液、メーキャップ製品及びスキンンオイルなどに無刺激、湿潤力、浸透作用のある油分として使用されること」(応用の項)が記載されている。)。 してみれば、本件発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められる。 IV.結び 以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第1項第3号で規定する発明に該当する。 さらに、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 化粧料 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、使用感が良好で高いエモリエント効果を有する化粧料に関する。 【0002】 【従来の技術】 化粧料に使用する油性材料として、これまでに多数のものが開発され、利用されてきている。化粧料の使用対象が皮膚,頭髪などの人体部位であるため、基本的には、人体皮脂の構成成分に似た材料が望ましい。人体皮脂には、オレイン酸およびそのエステルが主要成分として含まれていることから、これまでにも、オレイン酸系油性材料の開発が活発に続けられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、これまでのオレイン酸およびその誘導体は、臭気,着色,経時安定性が悪い、皮膚刺激性が強い、べたついて使用感が悪い、シヤ―プな物性を示さないなどの点から、化粧料の油性成分としてはほとんど利用されていない。 【0004】 本発明は、従来品が有している問題点を排除したオレイン酸の誘導体を油性成分として含有してなる、のびが良く、使用感がさつぱりとしており、高いエモリエント効果を有する化粧料を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の目的に対し、まず、従来のオレイン酸系油性製品の品質的特徴を明らかにするため、基本となつている従来のオレイン酸の脂肪酸組成を、ガスクロマトグラフイ―分析、特に脂肪酸の炭素鎖長と二重結合の数の違いはもちろんのこと、二重結合の位置や立体構造の異なる異性体をも分離することのできるキヤピラリイカラム:SP-2560(スペルコ社製)を用いたガスクロマトグラフイ―分析により、調べてみた。 【0006】 その結果、従来のオレイン酸の純度は、50〜60重量%程度で、図2に示すガスクロマトグラフイ―分析のチヤ―トから、50種類以上もの脂肪酸からなる混合物であること、またこの従来のオレイン酸には、酸化生成物や原料および製法由来の不純物がかなりの水準で含まれていることがわかつた。 【0007】 つぎに、図1に上記同様のガスクロマトグラフイ―分析のチヤ―トを示す、純度が99.99重量%以上の超高純度のオレイン酸を調製して、その特性を調べてみたところ、つぎのような知見が得られた。 【0008】 a)無色無臭である。 b)酸化,熱,薬品などによる安定性や長期保存安定性がすぐれている。 c)皮膚に対して無刺激であり、経口,皮下,腹腔投与による毒性も低く、安全性が高い。 d)のびが良く、べたつきや油つぽさが無くて皮膚感触がさつぱりとしており、エモリエント効果が大きい。 e)固体状態においては独特で多彩な多形現象や相転移挙動を示し、液体状態になつても液晶性の構造を有しており、温度の上昇と共にスメクチツク,ネマチツクと段階的に構造変化をして、60℃以上になると等方液体となる。コンホメ―シヨンや分子運動性,分子集合状態は、温度依存的にダイナミツクに変化し、60℃以下では常にラメラ配向状態にある。 【0009】 このような特性、特に上記eの分子物性は、純度が低下すると消失し、低純度多成分系である従来のオレイン酸では全く発現しない。このことから、従来のオレイン酸は、物性論的には、オレイン酸としての性質は全く有していないことが明らかとなつた。 【0010】 また、本発明者らは、上記の超高純度のオレイン酸を用いて、エステルやオレイルアルコ―ルなどの誘導体を合成し、その特性を調べてみた。その結果、前記a〜dの点については超高純度のオレイン酸と同等またはそれ以上のすぐれた特性を示し、物性については誘導体種によつて異なるが、シヤ―プであり、ラメラ配向性の強いことが共通した特徴となつていることがわかつた。 【0011】 このように、超高純度のオレイン酸およびその誘導体の高いラメラ配向性や分子構造性,分子運動性,フレキシビリテイなどが、のびの良さやさつぱりとした使用感,高いエモリエント効果の要因となつており、化粧料の新規油性成分としての価値を創出している。 【0012】 また、構造と物性との相関を追求した結果、Δ鎖長の同じ不飽和脂肪酸は近似したコンホメ―シヨンや配向性を示すことから、油注成分としての特性を向上させるには、オレイン酸の純度を高めることのほかに、Δ鎖長としての高純度化を図ることが有効であることが明らかとなつた。 【0013】 これらの知見をふまえて、さらに検討を加えた結果、製品特性は、オレイン酸の純度が低下すると共に悪化するが、オレイン酸の純度が85重量%以上、特に好適には90重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上、特に好適には93重量%以上であれば、オレイン酸特有のすぐれた性質が発現されて化粧料の油性成分として好適なものとなることがわかつた。 【0014】 これを要するに、従来のオレイン酸系油性材料の有していた問題点は、オレイン酸を高純度化することにより改善されることが明らかとなり、高純度のオレイン酸の誘導体を油性成分として含有してなる化粧料は、使用感とエモリエント効果にすぐれていることを見出し、本発明を完成するに至つた。 【0015】 すなわち、本発明は、オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料に係るものである。 【0016】 本発明の化粧料とは、化粧水、クリ―ム、乳液、洗顔料、化粧油などの基礎化粧品や、フアンデ―シヨン、口紅、頬紅、アイライナ―、アイシヤド―、まゆずみなどの仕上化粧品、整髪料、養毛料などの頭髪化粧品などである。 【0017】 本発明でいう高純度のオレイン酸の誘導体種としては、メチルアルコ―ル、エチルアルコ―ル、プロピルアルコ―ル、ブチルアルコ―ル、ペンチルアルコ―ル、ヘキシルアルコ―ル、ヘプチルアルコ―ル、オクチルアルコ―ル、ノニルアルコ―ル、デシルアルコ―ル、ウンデシルアルコ―ル、ドデシルアルコ―ル、トリデシルアルコ―ル、テトラデシルアルコ―ル、ペンタデシルアルコ―ル、ヘキサデシルアルコ―ル、ヘプタデシルアルコ―ル、オクタデシルアルコ―ル、ノナデシルアルコ―ル、エイコシルアルコ―ル、ドコシルアルコ―ル、テトラコシルアルコ―ル、ヘキサコシルアルコ―ル、オクタコシルアルコ―ル、トリアコンチルアルコ―ルなどの直鎖飽和モノアルコ―ルとのエステル、ウンデセニルアルコ―ル、テトラデセニルアルコ―ル、ヘキサデセニルアルコ―ル、オクタデセニルアルコ―ル、エイコセニルアルコ―ル、ドコセニルアルコ―ル、テトラコセニルアルコ―ル、オクタデカジエニルアルコ―ル、オクタデカトリエニルアルコ―ル、エイコサテトラエニルアルコ―ル、エイコサペンタエニルアルコ―ル、ドコサヘキサエニルアルコ―ルなどの不飽和モノアルコ―ルとのエステル、イソプロピルアルコ―ル、イソブチルアルコ―ル、sec-ブチルアルコ―ル、tert-ブチルアルコ―ル、イソペンチルアルコ―ル、ネオペンチルアルコ―ル、2-エチルヘキシルアルコ―ル、イソノニルアルコ―ル、イソトリデシルアルコ―ル、イソミリスチルアルコ―ル、イソパルミチルアルコ―ル、イソステアリルアルコ―ル、ヘキシルデシルアルコ―ル、オクチルドデシルアルコ―ル、ノニルトリデシルアルコ―ル、ラノリンアルコ―ルなどの分枝モノアルコ―ルとのエステル、エチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ポリエチレングリコ―ル、ポリプロピレングリコ―ル、グリセロ―ル、ポリグリセロ―ル、トリメチロ―ルプロパン、ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル、ソルビタン、ソルバイド、シユクロ―ス、ラフイノ―スなどのポリアルコ―ルとのエステル、コレステロ―ル、コレスタロ―ル、ジヒドロコレステロ―ル、シトステロ―ル、フイトステロ―ル、シクロペンチルアルコ―ル、シクロヘキシルアルコ―ル、フエノ―ル、トコフエロ―ル、オリザノ―ル、グアヤコ―ル、キシレノ―ル、ゴツシポ―ルなどの環状および芳香族アルコ―ルとのエステル、フルオロアルコ―ルとのエステル、テルペンアルコ―ルとのエステル、各種アルコ―ルのポリオキシエチレン化およびポリオキシプロピレン化アルコ―ルとのエステル、高純度のオレイン酸を還元することによつて得られる高純度のオレイルアルコ―ルおよびこの高純度のオレイルアルコ―ルとのエステル、高純度のオレイン酸から得られる高純度のオレイルアミンおよびこの高純度のオレイルアミンとのアミド、アルキロ―ルアミン、アミノアルコ―ルとのエステルおよびアミド、アミンとのアミドおよび塩、アミノ酸とのアミド、アルカリとの塩、その他の金属との塩、高純度のオレイン酸を還元して得られる高純度のオレイルアルコ―ル、ポリアルコ―ルエステル、高純度のオレイン酸などのポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンエ―テル化物、リン脂質、アシル化ペプタイドなどが挙げられる。 【0018】 本発明の化粧料の使用方法は、高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として単独で用いてもよいし併用してもよく、さらにはこれらと他の成分とを併用するようにしてもよい。 【0019】 【発明の効果】 以上のように、本発明においては、高純度のオレイン酸の誘導体を油性成分として用いることにより、従来のオレイン酸系油性材料のような臭気,着色,経時安定性,皮膚刺激性などの問題がなく、のびが良く、使用感がさつぱりとしており、高いエモリエント効果を有する化粧料を提供できる。 【0020】 【実施例】 つぎに、実施例によつて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は重量%を示し、比較例中のオレイン酸純度57重量%で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸純度66重量%のオレイン酸は、従来のオレイン酸を示す。また、実施例で採用した使用性の評価方法およびオレイン酸などの純度分析方法は、つぎのとおりである。 【0021】 <使用性の評価試験方法> 女性パネラ―20名により、臭気,のび,さつぱり感,エモリエント効果などの使用感を下記の基準にしたがつて評価した。 良いと答えた人数が18人以上:◎ 良いと答えた人数が13〜17人:○ 良いと答えた人数が7〜12人:△ 良いと答えた人数が6人以下:× 【0022】 <純度分析方法> 二重結合の位置や立体構造の異なる異性体を分離することのできるキヤピラリイカラム(SP-2560;0.25mm×100m)を装着したガスクロマトグラフイ―による。 【0023】 実施例1〜5,比較例1〜3表1に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるグリセロ―ルモノオレ―トを油性成分とする化粧水を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表1に示す。 <処方> 油性成分:グリセロ―ルモノオレ―ト 3% 可溶化剤:ポリオキシエチレン(25モル)オレイルエ―テル 2% エチルアルコ―ル 10% 水相:精製水 80% グリセロ―ル 5% 【0024】 【表1】 【0025】 実施例6〜10,比較例4〜6表2に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるジオレオイルホスフアチジルコリンを油性成分とする化粧水を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表2に示す。 <処方> 油性成分:ジオレオイルホスフアチジルコリン 2% 可溶化剤:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウレ―ト 1% エチルアルコ―ル 15% 水相:精製水 80% プロピレングリコ―ル 2% 【0026】 【表2】 【0027】 実施例11〜15,比較例7〜9表3に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるオレイルグルタメ―トを油性成分とする化粧水を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表3に示す。 <処方> 油性成分:オレイルグルタメ―ト 3% エチルアルコ―ル 10% 水相:精製水 85% ソルビト―ル 2% 【0028】 【表3】 【0029】 実施例16〜20,比較例10〜12表4に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるヘキサデセニルオレ―トを油性成分とするエモリエントクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表4に示す。 <処方> 油性成分:ヘキサデセニルオレ―ト 70% 乳化剤:ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエ―テル 5% 水相:精製水 22% グリセロ―ル 3% 【0030】 【表4】 【0031】 実施例21〜25,比較例13〜15表5に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるエチルオレ―トを油性成分とするエモリエントクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表5に示す。 <処方> 油性成分:エチルオレ―ト 65% 乳化剤:ジグリセロ―ルモノオレ―ト 5% 水相:精製水 28% グリセロ―ル2% 【0032】 【表5】 【0033】 実施例26〜30,比較例16〜18表6に示す純度の異なるオレイン酸と、そのそれぞれのオレイン酸を還元して得たオレイルアルコ―ルとを、純度を対応させてエステル化して、純度の異なるオレイルオレ―トを調製した。このオレイルオレ―トを油性成分とするエモリエントクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表6に示す。 <処方> 油性成分:オレイルオレ―ト 40% 乳化剤:グリセロ―ルモノオレ―ト 2.5% ポリオキシエチレン(20モル)オレイルオレ―ト 1.5% 水相:精製水 53% プロピレングリコ―ル 3% 【0034】 【表6】 【0035】 実施例31〜35,比較例19〜21表7に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるグリセロ―ルトリオレ―トを油性成分とするエモリエントクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表7に示す。 <処方> 油性成分:グリセロ―ルトリオレ―ト 75% 乳化剤:ソルビタンセスキオレ―ト 3.5% ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレ―ト 1.5% 水相:精製水 17% ソルビト―ル 3% 【0036】 【表7】 【0037】 実施例36〜40,比較例22〜24表8に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体である2-オクチルドデシルオレ―トを油性成分とするバニシングクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表8に示す。 <処方> 油性成分:2-オクチルドデシルオレ―ト 20% 乳化剤:グリセロ―ルモノステアレ―ト 2% ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノステアレ―ト 1% 水相:精製水 72% ソルビト―ル 5% 【0038】 【表8】 【0039】 実施例41〜45,比較例25〜27表9に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるテトラヒドロトリデカフルオロオクチルオレ―トを油性成分とする、はつ水性化粧油を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表9に示す。 <処方> 油性成分:テトラヒドロトリデカフルオロオクチルオレ―ト 100% 【0040】 【表9】 【0041】 実施例46〜50,比較例28〜30表10に示す純度の異なるオレイン酸と、その誘導体であるコレステロ―ルオレ―トを油性成分とする乳液を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表10に示す。 <処方> 油性成分:オレイン酸 2% コレステロ―ルオレ―ト 10% 乳化剤:ジグリセロ―ルモノオレ―ト 1% ポリオキシエチレン(20モル)オレイルエ―ル 2% 水相:精製水 85% 【0042】 【表10】 【0043】 実施例51〜55,比較例31〜33表11に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるグリセロ―ルジオレ―トを油性成分とする乳液を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表11に示す。 <処方> 油性成分:グリセロ―ルジオレ―ト 15% 乳化剤:ポリオキシエチレン(10モル)ソルビタンモノオレ―ト 3% 水相:精製水 82% 【0044】 【表11】 【0045】 実施例56〜60,比較例34〜36表12に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるトコフエロ―ルオレ―トを油性成分とする乳液を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表12に示す。 <処方> 油性成分:トコフエロ―ルオレ―ト 10% 乳化剤:シユクロ―スモノオレ―ト 3% 水相:精製水 84% グリセロ―ル 3% 【0046】 【表12】 【0047】 実施例61〜65,比較例37〜39表13に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるイソプロピルオレ―トを油性成分とするクレンジングクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表13に示す。 <処方> 油性成分:イソプロピルオレ―ト 80% 乳化剤:ポリオキシエチレン(20モル)オレイルエ―テル 3% ポリオキシエチレン(5モル)ソルビタンモノラウレ―ト 2% 水相:精製水 12% グリセロ―ル 3% 【0048】 【表13】 【0049】 実施例66〜70,比較例40〜42表14に示す純度の異なるオレイン酸を油性成分とするクレンジングクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表14に示す。 <処方> 油性成分:オレイン酸 40% 水相:精製水 53% 水酸化カリウム 7% 【0050】 【表14】 【0051】 実施例71〜75,比較例43〜45表15に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるオレイルグルタメ―トを油性成分とするクレンジングクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表15に示す。 <処方> 油性成分:オレイルグルタメ―ト 45% 水相:精製水 50% ポリエチレングリコ―ル 5% 【0052】 【表15】 【0053】 実施例76〜80,比較例46〜48表16に示す純度の異なるオレイン酸とその誘導体であるイソステアリルオレ―トを油性成分とする乳液状フアンデ―シヨンを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表16に示す。 <処方> 油性成分:オレイン酸 4% イソステアリルオレ―ト 17% 水相:精製水 65% トリエタノ―ルアミン 1.9% 顔料:酸化チタン 8% タルク 4% 着色顔料 0.1% 【0054】 【表16】 【0055】 実施例81〜85,比較例49〜51表17に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるドコセニルオレ―ト、オクタコシルオレ―トおよびグリセロ―ルモノオレ―トを油性成分とする口紅を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表17に示す。 <処方> 油性成分:ドコセニルオレ―ト 45% オクタコシルオレ―ト 15% グリセロ―ルモノオレ―ト 30% 色材:酸化チタン 1% 赤色201号 1% 赤色202号 1% 青色1号アルミニウムキレ―ト 0.5% 雲母チタン 6.5% 【0056】 【表17】 【0057】 実施例86〜90,比較例52〜54表18に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるオレイルアルコ―ルを油性成分とするヘアリキツドを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表18に示す。 <処方> 油性成分:オレイルアルコ―ル 5% 酢酸トコフエロ―ル 1% エチルアルコ―ル 70% 水相:精製水 17% ポリオキシプロピレンブチルエ―テル 7% 【0058】 【表18】 【0059】 実施例91〜95,比較例55〜57表19に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるオクタデシルオレ―トを油性成分とするヘアクリ―ムを、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表19に示す。 <処方> 油性成分:オクタデシルオレ―ト 15% 乳化剤:ポリオキシエチレン(20モル)ステアリルエ―テル 4% ソルビタンモノステアレ―ト 1% 水相:精製水 75% プロピレングリコ―ル 5% 【0060】 【表19】 【0061】 実施例96〜100,比較例58〜60表20に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるグリセロ―ルモノオレ―トを油性成分とする養毛料を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表20に示す。 <処方> 油性成分:グリセロ―ルモノオレ―ト 5% トコフエロ―ルニコチネ―ト 0.5% 養毛成分:セフアランチン 1% ヒノキチオ―ル 0.1% エチルアルコ―ル 93.4% 【0062】 【表20】 【0063】 実施例101〜105,比較例61〜63表21に示す純度の異なるオレイン酸の誘導体であるソルビタンモノオレ―トを油性成分とする養毛料を、下記の処方により調製し、その使用性を評価した。結果を表21に示す。 <処方> 油性成分:ソルビタンモノオレ―ト 3% α-トコフエロ―ル 0.5% 養毛成分:塩化カルプロニウム 1% センブリエキス 0.1% エチルアルコ―ル 95.4% 【0064】 【表21】 【0065】 上記の表1〜21の結果から明らかなように、本発明で規定する高純度のオレイン酸またはその誘導体を、油性成分として用いた実施例1〜105の化粧料は、いずれも、臭気,のび,さつぱり感,エモリエント効果などの使用感に非常にすぐれたものであることがわかる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 超高純度のオレイン酸のガスクロマトグラフイ―分析の結果を示すチヤ―トである。 【図2】 従来の化粧料に用いられていた低純度のオレイン酸のガスクロマトグラフイ―分析の結果を示すチヤ―トである。 【図面】 |
訂正の要旨 |
(3.1) 特許第3089749号発明の明細書中の、特許請求の範囲の請求項1「オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸またはその誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料。」を、 特許請求の範囲の減縮を目的として、 「オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料。」と訂正する。 (3.2)これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、 (i)明細書の段落番号【0004】の 「本発明は、従来品が有している問題点を排除したオレイン酸またはその誘導体を油性成分として含有してなる、のびが良く、使用感がさつぱりとしており、高いエモリエント効果を有する化粧料を提供することを目的としている。」を、 明瞭でない記載の釈明を目的として、 「本発明は、従来品が有している問題点を排除したオレイン酸またはその誘導体を油性成分として含有してなる、のびが良く、使用感がさつぱりとしており、高いエモリエント効果を有する化粧料を提供することを目的としている。」と訂正する。 (ii)明細書の段落番号【0014】の 「これを要するに、従来のオレイン酸系油性材料の有していた問題点は、オレイン酸を高純度化することにより改善されることが明らかとなり、高純度のオレイン酸またはその誘導体を油性成分として含有してなる化粧料は、使用感とエモリエント効果にすぐれていることを見出し、本発明を完成するに至つた。」を、 明瞭でない記載の釈明を目的として、 「これを要するに、従来のオレイン酸系油性材料の有していた問題点は、オレイン酸を高純度化することにより改善されることが明らかとなり、高純度のオレイン酸の誘導体を油性成分として含有してなる化粧料は、使用感とエモリエント効果にすぐれていることを見出し、本発明を完成するに至つた。」と訂正する。 (iii)明細書の段落番号【0015】の 「すなわち、本発明は、オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸またはその誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料に係るものである。」を、 明瞭でない記載の釈明を目的として、 「すなわち、本発明は、オレイン酸(シス-Δ9-オクタデセン酸)の含量が85重量%以上で、シス-Δ9-不飽和脂肪酸としての含量が90重量%以上である高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として含有することを特徴とする化粧料に係るものである。」と訂正する。 (iv)明細書の段落番号【0017】の 「本発明でいう高純度のオレイン酸またはその誘導体の誘導体種としては、メチルアルコ―ル、エチルアルコ―ル、プロピルアルコ―ル、ブチルアルコ―ル、ペンチルアルコ―ル、ヘキシルアルコ―ル、ヘプチルアルコ―ル、オクチルアルコ―ル、ノニルアルコ―ル、デシルアルコ―ル、ウンデシルアルコ―ル、ドデシルアルコ―ル、トリデシルアルコ―ル、テトラデシルアルコ―ル、ペンタデシルアルコ―ル、ヘキサデシルアルコ―ル、ヘプタデシルアルコ―ル、オクタデシルアルコ―ル、ノナデシルアルコ―ル、エイコシルアルコ―ル、ドコシルアルコ―ル、テトラコシルアルコ―ル、ヘキサコシルアルコ―ル、オクタコシルアルコ―ル、トリアコンチルアルコ―ルなどの直鎖飽和モノアルコ―ルとのエステル、ウンデセニルアルコ―ル、テトラデセニルアルコ―ル、ヘキサデセニルアルコ―ル、オクタデセニルアルコ―ル、エイコセニルアルコ―ル、ドコセニルアルコ―ル、テトラコセニルアルコ―ル、オクタデカジエニルアルコ―ル、オクタデカトリエニルアルコ―ル、エイコサテトラエニルアルコ―ル、エイコサペンタエニルアルコ―ル、ドコサヘキサエニルアルコ―ルなどの不飽和モノアルコ―ルとのエステル、イソプロピルアルコ―ル、イソブチルアルコ―ル、sec-ブチルアルコ―ル、tert-ブチルアルコ―ル、イソペンチルアルコ―ル、ネオペンチルアルコ―ル、2-エチルヘキシルアルコ―ル、イソノニルアルコ―ル、イソトリデシルアルコ―ル、イソミリスチルアルコ―ル、イソパルミチルアルコ―ル、イソステアリルアルコ―ル、ヘキシルデシルアルコ―ル、オクチルドデシルアルコ―ル、ノニルトリデシルアルコ―ル、ラノリンアルコ―ルなどの分枝モノアルコ―ルとのエステル、エチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ポリエチレングリコ―ル、ポリプロピレングリコ―ル、グリセロ―ル、ポリグリセロ―ル、トリメチロ―ルプロパン、ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル、ソルビタン、ソルバイド、シユクロ―ス、ラフイノ―スなどのポリアルコ―ルとのエステル、コレステロ―ル、コレスタロ―ル、ジヒドロコレステロ―ル、シトステロ―ル、フイトステロ―ル、シクロペンチルアルコ―ル、シクロヘキシルアルコ―ル、フエノ―ル、トコフエロ―ル、オリザノ―ル、グアヤコ―ル、キシレノ―ル、ゴツシポ―ルなどの環状および芳香族アルコ―ルとのエステル、フルオロアルコ―ルとのエステル、テルペンアルコ―ルとのエステル、各種アルコ―ルのポリオキシエチレン化およびポリオキシプロピレン化アルコ―ルとのエステル、高純度のオレイン酸を還元することによつて得られる高純度のオレイルアルコ―ルおよびこの高純度のオレイルアルコ―ルとのエステル、高純度のオレイン酸から得られる高純度のオレイルアミンおよびこの高純度のオレイルアミンとのアミド、アルキロ―ルアミン、アミノアルコ―ルとのエステルおよびアミド、アミンとのアミドおよび塩、アミノ酸とのアミド、アルカリとの塩、その他の金属との塩、高純度のオレイン酸を還元して得られる高純度のオレイルアルコ―ル、ポリアルコ―ルエステル、高純度のオレイン酸などのポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンエ―テル化物、リン脂質、アシル化ペプタイドなどが挙げられる。」を、 明瞭でない記載の釈明を目的として、 「本発明でいう高純度のオレイン酸の誘導体種としては、メチルアルコ―ル、エチルアルコ―ル、プロピルアルコ―ル、ブチルアルコ―ル、ペンチルアルコ―ル、ヘキシルアルコ―ル、ヘプチルアルコ―ル、オクチルアルコ―ル、ノニルアルコ―ル、デシルアルコ―ル、ウンデシルアルコ―ル、ドデシルアルコ―ル、トリデシルアルコ―ル、テトラデシルアルコ―ル、ペンタデシルアルコ―ル、ヘキサデシルアルコ―ル、ヘプタデシルアルコ―ル、オクタデシルアルコ―ル、ノナデシルアルコ―ル、エイコシルアルコ―ル、ドコシルアルコ―ル、テトラコシルアルコ―ル、ヘキサコシルアルコ―ル、オクタコシルアルコ―ル、トリアコンチルアルコ―ルなどの直鎖飽和モノアルコ―ルとのエステル、ウンデセニルアルコ―ル、テトラデセニルアルコ―ル、ヘキサデセニルアルコ―ル、オクタデセニルアルコ―ル、エイコセニルアルコ―ル、ドコセニルアルコ―ル、テトラコセニルアルコ―ル、オクタデカジエニルアルコ―ル、オクタデカトリエニルアルコ―ル、エイコサテトラエニルアルコ―ル、エイコサペンタエニルアルコ―ル、ドコサヘキサエニルアルコ―ルなどの不飽和モノアルコ―ルとのエステル、イソプロピルアルコ―ル、イソブチルアルコ―ル、sec-ブチルアルコ―ル、tert-ブチルアルコ―ル、イソペンチルアルコ―ル、ネオペンチルアルコ―ル、2-エチルヘキシルアルコ―ル、イソノニルアルコ―ル、イソトリデシルアルコ―ル、イソミリスチルアルコ―ル、イソパルミチルアルコ―ル、イソステアリルアルコ―ル、ヘキシルデシルアルコ―ル、オクチルドデシルアルコ―ル、ノニルトリデシルアルコ―ル、ラノリンアルコ―ルなどの分枝モノアルコ―ルとのエステル、エチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ポリエチレングリコ―ル、ポリプロピレングリコ―ル、グリセロ―ル、ポリグリセロ―ル、トリメチロ―ルプロパン、ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル、ソルビタン、ソルバイド、シユクロ―ス、ラフイノ―スなどのポリアルコ―ルとのエステル、コレステロ―ル、コレスタロ―ル、ジヒドロコレステロ―ル、シトステロ―ル、フイトステロ―ル、シクロペンチルアルコ―ル、シクロヘキシルアルコ―ル、フエノ―ル、トコフエロ―ル、オリザノ―ル、グアヤコ―ル、キシレノ―ル、ゴツシポ―ルなどの環状および芳香族アルコ―ルとのエステル、フルオロアルコ―ルとのエステル、テルペンアルコ―ルとのエステル、各種アルコ―ルのポリオキシエチレン化およびポリオキシプロピレン化アルコ―ルとのエステル、高純度のオレイン酸を還元することによつて得られる高純度のオレイルアルコ―ルおよびこの高純度のオレイルアルコ―ルとのエステル、高純度のオレイン酸から得られる高純度のオレイルアミンおよびこの高純度のオレイルアミンとのアミド、アルキロ―ルアミン、アミノアルコ―ルとのエステルおよびアミド、アミンとのアミドおよび塩、アミノ酸とのアミド、アルカリとの塩、その他の金属との塩、高純度のオレイン酸を還元して得られる高純度のオレイルアルコ―ル、ポリアルコ―ルエステル、高純度のオレイン酸などのポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンエ―テル化物、リン脂質、アシル化ペプタイドなどが挙げられる。」と訂正する。 (v)明細書の段落番号【0018】の 「本発明の化粧料の使用方法は、高純度のオレイン酸またはその誘導体を、油性成分として単独で用いてもよいし併用してもよく、さらにはこれらと他の成分とを併用するようにしてもよい。」を、 明瞭でない記載の釈明を目的として、 「本発明の化粧料の使用方法は、高純度のオレイン酸の誘導体を、油性成分として単独で用いてもよいし併用してもよく、さらにはこれらと他の成分とを併用するようにしてもよい。」と訂正する。 (vi)明細書の段落番号【0019】の 「以上のように、本発明においては、高純度のオレイン酸またはその誘導体を油性成分として用いることにより、従来のオレイン酸系油性材料のような臭気,着色,経時安定性,皮膚刺激性などの問題がなく、のびが良く、使用感がさつぱりとしており、高いエモリエント効果を有する化粧料を提供できる。」を、明瞭でない記載の釈明を目的として、 「以上のように、本発明においては、高純度のオレイン酸の誘導体を油性成分として用いることにより、従来のオレイン酸系油性材料のような臭気,着色,経時安定性,皮膚刺激性などの問題がなく、のびが良く、使用感がさつぱりとしており、高いエモリエント効果を有する化粧料を提供できる。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2003-01-23 |
出願番号 | 特願平3-276697 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(A61K)
P 1 651・ 113- ZA (A61K) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 塚中 直子 |
特許庁審判長 |
眞壽田 順啓 |
特許庁審判官 |
大久保 元浩 竹林 則幸 |
登録日 | 2000-07-21 |
登録番号 | 特許第3089749号(P3089749) |
権利者 | 日本油脂株式会社 |
発明の名称 | 化粧料 |
代理人 | 南條 博道 |
代理人 | 南條 博道 |