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審決分類 審判 判定 審理一般(別表) 属さない(申立て不成立) H02P
管理番号 1079798
判定請求番号 判定2003-60033  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1994-09-16 
種別 判定 
判定請求日 2003-04-17 
確定日 2003-07-17 
事件の表示 上記当事者間の特許第2880846号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「交流誘導モータの電力節減方法および電力節減装置」は、特許第2880846号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1.請求の趣旨
イ号図面及びその説明書に示すイ号方法は、特許第2880846号の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属するとの判定を求める。

第2.本件発明
本件発明は、本件明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりである。
1.本件特許発明の構成
本件特許発明の構成を分説すると、次のようになる。(以下「構成要件A」などという。)
A.交流誘導モータの任意の負荷トルクに対応する入力電力が最小値となるように、モータの負荷トルクと印加電圧との関係を導き出すステップと、
B.前記交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力を前記モータの負荷トルクとし、前記モータの負荷トルクと印加電圧との関係に基づいて、モータに対し最高効率を与える電圧値を所望の負荷トルクについて決定するステップと、
C.この決定された電圧値に基づいた電圧によりモータを駆動するステップとを具備する
D.交流誘導モータの電力節減方法。

2.本件特許発明の目的及び効果
本件明細書の記載によれば、本件特許発明は、「モータを最高の効率で運転することのできる基準値を決定するきわめて実用的な理想電力節減曲線を導き、消費電力を最大限に節減することができる交流誘導モータの電力節減方法および電力節減装置を提供すること」(段落【0004】)を目的とするもので、「交流誘導モータに対する効率を改善するために印加電圧を制御する際、交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力に基づき、任意の負荷トルクについてモータに対し最高効率を与える印加電圧値を決定する、きわめて実用的な理想電力節減曲線を導き、消費電力を最大限に節減することが可能となる。また、この発明によれば、低負荷あるいは無負荷帯域だけでなく、重負荷帯域においても印加電圧の効率を高めることができ、より理想的な電力節減が可能となる。さらに、この発明によれば、交流誘導モータの入力電力を検出し、この入力電力をモータの負荷トルクとして捉え、モータに対して最高効率を与える印加電圧値を決定するので、電源の力率による影響を受けることなく正確に交流誘導モータの負荷トルクを検知することができ、よってモータに対し、より正確な最高効率を与える電圧値を交流誘導モータに印加することができる。」という効果を奏するものである。

第3.イ号方法
1.イ号方法の図面及び説明書
イ号方法が、東京地方裁判所における平成11年(ワ)第25030号事件の判決(甲第4号証)の別紙物件目録の説明書(以下「イ号説明書」という。)及び図1(以下「イ号図面」という。)のとおりであることに、当事者の間で争いはない。

2.イ号方法
イ号説明書の記載からして、イ号方法は、次のとおりである。
制御回路部19は、速度設定部18から入力される目標速度に対応する周波数f1*と有効電力Pとに基づいて、電動機6の効率最大となる最適電圧指令V*optを効率最大演算回路9により、
V*opt=K×(P)1/2×(f1*)1/3 ・・・(1)
を演算して求める。
(1)式で、Kはモータ毎に決まる定数である。
乗算器10では、V/F設定部15から出力される電圧指令V*及び乗算器13から出力される最適電圧指令V*optを、それぞれ実効値から瞬時値に変換した上で、瞬時電流iに乗じて、有効電力Pを求めている。
切替手段14は、電動機6が目標速度に到達するまではa側に接続され、V/F設定部15に設定された周波数と電圧の関係を示すV/Fパターンに従って、電動機6は加速される。
電動機6が目標速度に到達した後は、前記切替手段14が自動的にb側に切り替えられ、最適電圧指令V*optがパルス幅変調回路16へ入力される。
そして、パルス幅変調回路16から出力されるパルス幅変調信号がゲートドライブ回路8へ出力される。同時に、乗算器10には電圧指令V*に代わり乗算器13からの最適電圧指令V*optが入力されるようになり、その後は、有効電力Pは乗算器10により瞬時電流iと最適電圧指令V*optを実効値から瞬時値に変換した値との積から求めることになる。

第4.当事者の主張
1.請求人の主張
(1)被請求人の出願に係る特許出願公開公報(甲第6号証)によると、上記(1)式における電動機の一次入力電力Pの平方根は、電動機を最大効率で運転することに対応する部分であり、f1*の3乗根は近似計算により求めたものである。
ここで、運転速度を一定とした場合には、f1*は一定であるから、
V*opt=K1・(P)1/2 ・・・(2)
となり、最適電圧指令は、この(2)式を用いることによって、入力電力Pによって最大効率となるように決定できる。

(2)上記(2)式において、定数K1を決めるためには、V*optとPの関係をモータ毎に予め求めておくことが必要なのは当然であるから、イ号方法は、次の構成aを備える。
a.交流誘導モータの任意の入力電力が最小値となるように、モータの入力電力と印加電圧との関係を導き出すステップ

(3)イ号図面の効率最大演算回路で行う演算は、目標周波数F1*を一定として、ステップaで求めた関係を用いて、入力電力Pに対応する印加電圧V*optを求めることを意味し、それは、次の構成bと等価である。
b.前記交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力と印加電圧との関係に基づいて、モータに対し最高効率を与える電圧値を所望の入力電力について決定するステップ

(4)負荷トルクを検出する代わりに入力電力を用いることは周知であるから、ステップa、bにおいて、入力電力に代えて負荷トルクを用いることにより、次の構成a’、b’としても同じである。

a’交流誘導モータの任意の負荷トルクに対応する入力電力が最小値となるように、モータの負荷トルクと印加電圧との関係を導き出すステップ

b’前記交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力を前記モータの負荷トルクとし、前記モータの負荷トルクと印加電圧との関係に基づいて、モータに対し最高効率を与える電圧値を所望の入力電力について決定するステップ

(5)さらに、イ号方法は、次の構成c、dを備える。
c.決定された電圧値に基づいた電圧によりモータを駆動するステップ

d.交流誘導モータの電力節減方法

(6)イ号方法の構成a’、b’、c、dは、それぞれ、本件特許発明の構成要件A、B、C、Dと一致している。

2.被請求人の主張
(1)イ号方法においては、モータの任意の負荷トルクに対応する入力電力が最小値となるような制御を行っていない。また、モータの制御において負荷トルクを全く考慮しておらず、負荷トルクと印加電圧の関係を導き出していない。
したがって、イ号方法は、本件特許発明の構成要件Aを備えない。

(2)イ号方法において、制御のために検出される物理量はモータの瞬時電流であり、入力電力を検出していない。 したがって、イ号方法は、本件特許発明の構成要件Bを備えない。

(3)イ号方法は、上記(1)(2)から必然的に、検出した入力電力をモータの負荷トルクと印加電圧との関係に基づいてモータに対し最高効率を与える電圧値を決定していない。
したがって、イ号方法は、この点でも本件特許発明の構成要件Bを備えない。また、同様に、本件特許発明の構成要件Cを備えない。

第5.判断
1.構成要件Aの充足性
(1)本件特許発明の構成要件Aには、モータの負荷トルクと印加電圧との関係を導くには、任意の負荷トルクに対応する入力電力が最小値となるようにすることが、明確に規定されている。
そして、本件明細書においても、「課題を解決するための手段」として同様の記載がされ、また、「実施例」の欄に、「モータ3への印加電圧Vを定格電圧値から徐々に低下させ、モータ3の消費電力(入力電力)が最小となった状態で印加電圧Vを固定する。このときの印加電圧V0、入力電力W0、要求(基準)負荷トルクT0を読み取る。その後、電気動力計4により、負荷トルクTをモータ3の定格出力の10%,20%,・・・100%,125%と変化させた各ケースにおける印加電圧、入力電力、要求 負荷トルク・・・を読み取る。そして、読み取ったデータをグラフにプロットすることによって、図2に示されるグラフが作図され、V0〜V125の各点を結ぶことによって理想電力節減曲線(電圧表示)Aが表されることになる。」と記載され、入力電力が最小値となる印加電圧と負荷トルクの値をプロットしているように、本件特許発明においては、入力電力が最小値となるようにモータの負荷トルクと印加電圧の関係を定めるものである。

(2)一方、イ号方法においては、イ号図面の演算回路は「効率最大演算回路」とされ、イ号説明書において、「電動機6の効率最大となる最適電圧指令V*optを効率最大演算回路9にて求める」とされているように、効率最大値のときの印加電圧を定めるものである。
そして、請求人が、イ号方法における効率演算回路の演算の内容を説明するものとして提出する被請求人の出願に係る甲第6号証によれば、所定負荷トルクにおいて、入力電力を最小とする電圧値と効率最大値とする電圧値とは異なるものであるところ(負荷率10%としたときの両者の電圧値が甲第6号証の図1に示されており、入力電力最小のときの電圧値が定格電圧の30数%に、効率最大値のときの電圧値がほぼ40%にプロットされている。甲第6号証の【0003】【0006】図1を参照)、甲第6号証に記載された技術では、効率最大値となる電圧指令値を得るための演算を行うものである(甲第6号証の【0008】等参照)。
この甲第6号証に記載された方法は、全ての点でイ号方法と一致するものではないが、演算されている電圧指令値を求める数式は一致していることから、イ号方法においては、モータに印加する電圧値を導くのは、イ号図面及びイ号説明書に記載のとおりの効率最大値であるときのものであり、また、それは、本件特許発明におけるような入力電力を最小にするものとは、求める電圧値において異なるものであることは明らかである。

(3)なお、本件特許発明の構成要件Bにおいて、「モータに対し最高効率を与える電圧値を」と「最高効率」の用語を使用しているが、これは、本件明細書の【0004】にも「この発明は・・・モータを最高の効率で運転することのできる・・・を提供することを目的とする。」と記載されるように、効率的な運転が可能なことを意味するものに過ぎず、イ号方法におけるような効率最大点を意味するものでないことは、本件明細書の記載からも明らかである。

(4)以上のとおり、イ号方法は、本件特許発明の構成要件Aを充足しない。

2.構成要件Bの充足性
(1)本件特許発明の構成要件Bにおいては、モータの入力電力を検出することが、明確に規定されている。
そして、本件明細書においても、「課題を解決するための手段」として同様の記載がされ、また、「実施例」の欄に、「まず、モータ43の負荷トルクは、電力トランスデューサ44によってリアルタイムにモータ43への入力電力(kw)として捉えられ」(【0017】)と記載されるように、本件特許発明においては、入力電力を実際に検出しているものである。
また、本件特許発明が、検出した入力電力に基づいて印加電圧を決定することで、発明としての効果を奏していることも、本件明細書の上記の効果の記載からも明白である。

(2)一方、イ号方法においては、検出しているのは、瞬時電流であることは、イ号図面及びイ号説明書から明らかである。
請求人が、本件特許発明に対応させているイ号方法での電動機が目標速度に到達した後の制御においては、有効電力について、制御フローの1ループ前に計算して求めた最適電圧指令値を検出値である瞬時電流値と乗算して求めている。
電力値は電圧値と電流値の積であり、通常、電力の検出には、電圧と電流を検出してそれを乗算することから、電圧値が所定の値に定まっているような場合においては、電流値のみを検出して電圧値と乗算することが実質的に入力電力を検出することに相当することがあり得るとしても、イ号方法においては、乗算しているのが電圧の指令値であり、電圧は刻々と変化するものであるとともに、電圧指令値が与えられたにしてもゲートドライブ回路やインバーター部で制御された電圧が電圧指令値と同じ値であるとは必ずしもいえず、しかも、計算に使用される電圧指令値は1ループ前のものであって、電流検出時とのずれもあるものである。
このように、イ号方法における計算で求められた有効電力は、モータへの入力電力の予測値あるいは推定値ともいうべきものであって、本件特許発明における入力電力を検出するものに該当しないものである。

(3)以上のとおり、イ号方法は、本件特許発明の構成要件Bを充足しない。

3.むすび
したがって、被請求人の主張する他の争点について検討するまでもなく、イ号方法は、本件特許発明の構成要件を充足しない。

第6.均等について
請求人は、イ号方法が本件特許発明と均等であることの主張はしていないが、ここで、進んでこの点についても以下のとおり検討する。

1.「入力電力」についての相違点が本質的部分であるかについて
(1)本件明細書の「発明が解決しようとする課題」の欄に、「上記の従来技術においては、モータに加える電力の効率を改善するための目標(基準値)が、モータ運転中におけるモータへの印加電圧調整とともに求められるものであったために、基準値となる設定点の誤差によって、負荷トルクが急増した時にモータが停止してしまったり、あるいは、充分な節電効果が得られないという欠点があった。また、モータを効率良く運転することのできる基準値(印加電圧)を決定する理想電力節減曲線を用いる電力節減技術が、特開昭62ー285691号公報に開示されているが、これは理想電力節減曲線を概念的に示すものであって、実用性に欠けるものであった。
この発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、モータを最高の効率で運転することのできる基準値を決定するきわめて実用的な理想電力節減曲線を導き、消費電力を最大限に節減することができる交流誘導モータの電力節減方法および電力節減装置を提供することを目的とする。」と記載されるように、本件特許発明は、モータの運転に前もって基準となる理想電力節減曲線を定めておくもので、その曲線を概念的なものではなくて、実用的なものに具体化したものといえる。
ここで、理想電力節減曲線とは、本件特許発明においては、構成要件Aにおいて規定された、任意の負荷トルクに対応する入力電力が最小値となるように求められたモータの負荷トルクと印加電圧の関係である。

(2)次に、先行技術について検討する。
本件特許発明の審査において、拒絶理由に引用された特開昭59-92799号公報(乙第3号証の4)には、拒絶理由通知で指摘のとおり、誘導電動機の電流と負荷、及びその負荷における効率と電圧の関係から、負荷状態に応じて最大効率となるように電圧を制御することが開示されている。
また、被請求人の提出する本件特許発明の出願前の刊行物である特開昭59-44997号公報(乙第1号証)には、誘導電動機の負荷トルクに対して、効率が最大になるような電圧と負荷トルクの関係を求めておき、負荷トルクを検出して、それに沿って電圧を制御する方法が記載されており(特許請求の範囲及び第4図を参照)、さらに、その負荷トルクの検出としては、「電動機の1次電流と電圧から瞬時電力を演算しそれから負荷トルクを演算する方法をとってもよい」(2頁左下欄末行〜右下欄2行)とされている。
これによると、第4図に示されたような効率最大となる負荷トルクと入力電圧との関係を導いたステップの後に、交流誘導モータの入力電力を実質的に検出し、それを負荷トルクとして、効率最大を与える電圧値を決定するステップを備え、その電圧値に基づいてモータを制御する方法が開示されており、本件特許発明が入力電力が最小値となるようにしたのに対し、効率が最大値となるようにした点でのみ、本件特許発明と相違するものである。

(3)以上によると、本件特許発明は、構成要件Aのとおりの「入力電力が最小値となるような負荷トルクと印加電圧との関係」に理想電力節減曲線を具体化することを課題の1つとしたものであり、先行技術との関係からすると、「入力電力が最小値」である点のみにおいて、先行技術との差異が認められるものである。
そうすると、本件特許発明において、「入力電力が最小値となる」との部分は、特許発明における本質的部分であり、これが、「効率最大値となる」構成に置き換えられたイ号方法は、本件特許発明の均等の範囲とはいえないものである。

2.「入力電力」及び「入力電力検出」についての相違点が置換可能であるかについて
(1)本件特許発明は、上記のとおりの課題、目的を有し、それによって、本件明細書の「作用」の欄に記載の「交流誘導モータに対する効率を改善するために印加電圧を制御する際、交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力に基づき、任意の負荷トルクについてモータに対し最高効率を与える印加電圧値を決定する、きわめて実用的な理想電力節減曲線を導き、消費電力を最大限に節減することが可能となる。」との作用を果たし、「発明の効果」の欄に記載のとおりの「交流誘導モータに対する効率を改善するために印加電圧を制御する際、交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力に基づき、任意の負荷トルクについてモータに対し最高効率を与える印加電圧値を決定する、きわめて実用的な理想電力節減曲線を導き、・・・印加電圧の効率を高めることができ、より理想的な電力節減が可能となる。さらに、この発明によれば、交流誘導モータの入力電力を検出し、この入力電力をモータの負荷トルクとして捉え、モータに対して最高効率を与える印加電圧値を決定するので、電源の力率による影響を受けることなく正確に交流誘導モータの負荷トルクを検知することができ、よってモータに対し、より正確な最高効率を与える電圧値を交流誘導モータに印加することができる。」との効果を奏するものである。

(2)これによると、理想電力節減曲線が、入力電力が最小値となるものから効率最大値となるものに置き換えられ、入力電力を検出することなく、入力電力については、瞬時電流値のみの検出値から予測値あるいは推定値を演算により求めているイ号方法は、本件特許発明の上記課題に関連する作用効果を達成するものではなく、これら2つの相違点は置換可能なものとはいえない。

3.「入力電力」及び「入力電力検出」についての相違点が意識的に除外された等の特段の事情があるかについて
(1)本件特許発明の審査において、拒絶理由(乙第3号証の1)で、引用文献1,2を提示されるとともに、引用文献1,2には、モータの負荷に対し、常に最大効率となるようモータへの印加電圧を制御するようにしたものが記載されていると指摘されたところ、出願人は、意見書(乙第3号証の2)において、「引例1においては誘導電動機の供給電流を検出し・・・これに対して本願請求項1および3に記載の発明は、交流誘導モータの入力電力を検出し、検出した入力電力と、モータの任意の負荷トルクに対応する入力電力が最小値となるモータの負荷トルクと印加電圧の関係とに基づいて、モータの印加電圧を決定しているので、・・・という効果を奏することができます。」(2頁13〜21行)と主張し、手続補正書(乙第3号証の3)によって、本件請求項1(本件特許発明)に、「前記交流誘導モータの入力電力を検出し、この検出した入力電力を前記モータの負荷トルクとし、」と限定する補正を行っている。

(2)この出願の経緯によると、本件特許発明は、入力電力が最小値となるように、負荷トルクと印加電圧の関係を定めた上で、入力電力を検出して、検出した入力電力によって印加電圧を決定することに、出願人が意識的に限定したものであるといえ、この点を他の構成に置換したイ号方法は、本件特許発明から意識的に除外されたものといえる。

4.むすび
したがって、イ号方法は、均等の他の要件を検討することなく、上記1〜3の理由により、本件特許発明と均等とはいえない。

第7.むすび
以上のとおりであるから、イ号方法は、本件発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2003-07-07 
出願番号 特願平4-53913
審決分類 P 1 2・ 0- ZB (H02P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安池 一貴  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 牧 初
三友 英二
登録日 1999-01-29 
登録番号 特許第2880846号(P2880846)
発明の名称 交流誘導モータの電力節減方法および電力節減装置  
代理人 竹内 英人  
代理人 中村 彰吾  
代理人 大塚 文昭  
代理人 山田 洋資  
代理人 松尾 和子  
代理人 山田 文雄  

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