• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04H
管理番号 1095435
審判番号 不服2003-11439  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-07-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-19 
確定日 2004-04-08 
事件の表示 平成5年特許願第324595号「車庫付き建物」拒絶査定不服審判事件〔平成7年7月18日出願公開、特開平7-180375〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年12月22日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年1月16日付手続補正書により補正された明細書、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「勾配屋根を有する建物本体内に車庫を設けた車庫付き建物であって、
前記勾配屋根は、切妻の大屋根と、この大屋根と直交して前記大屋根から突出する切妻の小屋根とからなり、
前記小屋根を前記車庫の直上に設けると共に、前記小屋根の妻側を前記車庫の出入り口側に向け、
前記大屋根の軒を前記小屋根の軒よりも下方に設け、
前記車庫の出入り口と玄関の出入り口とを共通とし、かつ、玄関扉を前記車庫の出入り口よりも奥に設けたことを特徴とする車庫付建物。」

【2】刊行物記載の発明
これに対し、当審が通知した拒絶の理由で引用した、「建築計画・設計シリーズ2 住宅I」(22〜23頁、株式会社市ヶ谷出版社、1988年5月14日、初版発行。以下、「刊行物」という。)には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「勾配屋根を有する建物本体内に車庫を設けた車庫付き建物であって、
前記勾配屋根は、略南側を切妻とし略北側を入母屋風とした大屋根と、この大屋根と直交して前記大屋根から略西側に突出する切妻の小屋根とからなり、
前記小屋根を前記車庫の直上に設けると共に、前記小屋根の妻側を前記車庫の出入り口側に向け、
前記大屋根の軒を前記小屋根の軒よりも上方に設け、
前記車庫の出入り口と玄関の出入り口とを共通とし、かつ、玄関扉を前記車庫の出入り口よりも奥に設けた、車庫付建物。」
なお、上記刊行物において、上記大屋根と小屋根の軒が、2階平面図では同一の高さに設けられているように記載されているが、配置図及び南立面図では明らかに大屋根の軒が小屋根の軒より上方に位置しており、2階平面図が誤記であるか、あるいは、少なくとも、大屋根の軒が小屋根の軒より上方に位置したものが記載されていることは、当業者に明らかな事項である。

【3】対比・判断
本願発明と、上記刊行物記載の発明とを対比すると、両者は、
「勾配屋根を有する建物本体内に車庫を設けた車庫付き建物であって、
前記勾配屋根は、大屋根と、この大屋根と直交して前記大屋根から突出する切妻の小屋根とからなり、
前記小屋根を前記車庫の直上に設けると共に、前記小屋根の妻側を前記車庫の出入り口側に向け、
前記車庫の出入り口と玄関の出入り口とを共通とし、かつ、玄関扉を前記車庫の出入り口よりも奥に設けた、車庫付建物。」
の点で一致し、以下の2点で相違している。

相違点1:「大屋根」が、本願発明は、切妻の屋根であるのに対し、刊行物記載の発明は、略南側を切妻とし略北側を入母屋風とした屋根である点
相違点2:本願発明は、大屋根の軒を小屋根の軒よりも下方に設けてあるのに対し、刊行物記載の発明は、大屋根の軒を小屋根の軒よりも上方に設けてある点

上記各相違点について検討する。

<相違点1について>
大屋根を切妻の屋根とすることは、当審が通知した拒絶の理由で引用した「住まいの間取りと外観デザイン」(124頁、株式会社講談社、1990年6月10日、第9刷発行)等にみられるとおり、従来周知の構造にすぎない。

<相違点2について>
大屋根の軒を小屋根の軒よりも下方に設けた点に格別の技術的意義は認められず、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
なお、請求人は、相違点2として摘記した本願発明の構成に伴い「小屋根の傾斜による制限を受けることなく、大屋根に任意の傾斜を付けることができることになる。」等の効果がある旨、主張する。しかし、そのような効果は、出願当初の明細書には何ら記載がなく明細書の記載に基づかない主張である上、刊行物記載の発明のように、大屋根の軒を小屋根の軒よりも上方に設けた場合にも、同様の効果を奏するものと認められるから、上記請求人の主張には理由がない。

そして、本願発明が奏する作用効果も格別のものではなく、当業者が予期し得る程度のものである。

【4】むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、上記刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-04 
結審通知日 2004-02-10 
審決日 2004-02-23 
出願番号 特願平5-324595
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 家田 政明  
特許庁審判長 山 田 忠 夫
特許庁審判官 新 井 夕起子
長 島 和 子
発明の名称 車庫付き建物  
代理人 荒船 博司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ