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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C03B |
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管理番号 | 1115229 |
審判番号 | 不服2001-23418 |
総通号数 | 66 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-12-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-12-27 |
確定日 | 2005-04-08 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第160275号「高均質ガラスの製造方法及び装置並びに高均質ガラス製品」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年12月20日出願公開、特開平 6-345442〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成5年6月4日の出願であって、平成13年11月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成13年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、これに対して、平成16年3月31日付けで審尋が通知され、平成16年5月26日付けで回答書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1ないし4の発明(以下、「本願発明1ないし4」という)は、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載の下記のとおりである。 「【請求項1】 ガラス原料を溶融する工程、溶融したガラスを清澄する工程、清澄したガラスを攪拌する工程、攪拌したガラスの粘度を調整する工程、及び粘度を調整したガラスを成形してガラス製品を得る工程を含み、かつ上記工程が連続的に行われるガラス製品の製造方法であって、上記攪拌工程におけるガラス容量をガラス製品の容量の2.3倍以上とすることを特徴とする高均質ガラス製品の製造方法。 【請求項2】 ガラス原料を溶融する溶融槽、該溶融槽からの溶融したガラスを清澄する清澄槽、該清澄槽からのガラスを攪拌する攪拌槽及び該攪拌槽からのガラスの粘度を調整する作業槽、及び該作業槽からのガラスを成形する成形型を含み、前記ガラスが前記溶融槽、前記清澄槽、前記攪拌槽及び前記作業槽を連続的に移動する、ガラス製品の製造装置であって、前記攪拌槽の容量を、前記成形型の容量の2.3倍以上とすることを特徴とする高均質ガラス製品の製造装置。 【請求項3】 請求項1記載の製造方法を用いて製造された屈折率の変動幅が±1×10-6以下であることを特徴とする高均質ガラス製品。 【請求項4】 請求項2記載の製造装置を用いて製造された屈折率の変動幅が±1×10-6以下であることを特徴とする高均質ガラス製品。」 3.引用例 特開昭60-81030号公報(以下、「引用例1」という) (ア)特許請求の範囲には「光学ガラスブロックを連続的に製造する装置において、容量が、平均滞在時間で100〜1000分ある均質化攪拌部を備えたことを特徴とする大型光学ガラスブロックの製造装置」と記載されている。 (イ)第1頁右欄第16行から第2頁左上欄第2行「連続溶解方式は溶解槽の一端から原料を投入し、溶解したものを清澄槽に導き、脱ガス、脱泡の過程を経て攪拌槽に送りこまれ、ここで脈理の消失がはかられ、最終端より連続的にガラスを取出すものである」と記載されている。 (ウ)第3頁右上欄第1〜15行には、「光学ガラスの連続溶解装置として1ケ月間の引上げ量が20トンの能力の溶解炉を用い、均質化攪拌部の容量を40リットルの場合と、100リットの場合について・・・1ケの大きさが約10リットルのブロックに成形し、常法による精密徐冷を行なって測定試料とした。」と記載され、その結果を記載した同頁右下欄の表には、引上げ量「20トン/月」、攪拌部容量「40リットル」のBSC-7のガラスブロックの屈折率均一性は「±1×10-6」であり、また、同様のガラスブロックで攪拌容量を「100リットル」としたものは、ガラスブロックの屈折率均一性は「±0.4×10-6」であった旨記載されている。すなわち、攪拌工程におけるガラス容量がガラス製品の容量の4倍の装置を使用するときのガラス製品の屈折率均一性は「±1×10-6」であり、10倍の装置を使用するときのガラス製品の屈折率均一性は「±0.4×10-6」であったことを示している。 なお、ガラス製品の製造方法として、ガラス原料を溶融し、清澄し、攪拌した後、粘度調整を行って成形し、ガラス製品を連続的に得ることは、この技術分野の常套手段である。 4.対比・判断 本願は、審査段階において本願発明1〜4は特許法第29条第2項の規定により特許を受けられない旨の拒絶理由が通知されており、また、審判段階において本願発明1〜4は特許法第29条第1項3号に該当するので特許を受けられない旨の審尋が通知されているので、本願発明1〜4が特許法第29条第1項3号に該当する場合には本願は拒絶されることになるものと解される。 そこで、以下において、本願発明1〜4が特許法第29条第1項3号に該当するかどうかについて検討する。 4-1.本願発明1について 引用例1の記載(ア)〜(ウ)及び上記の常套手段を本願発明1に沿って整理すると、「ガラス原料を溶融する工程、溶融したガラスを清澄する工程、清澄したガラスを攪拌する工程、攪拌したガラスの粘度を調整する工程、及び粘度を調整したガラスを成形してガラス製品を得る工程を含み、かつ上記工程が連続的に行われるガラス製品の製造方法であって、上記攪拌工程におけるガラス容量をガラス製品の4倍若しくは10倍とするガラス製品の製造方法」(以下、「引用例1発明」という)が記載されているものと認められる。 そこで、本願発明1と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の、攪拌工程におけるガラス容量がガラス製品の4倍若しくは10倍であり、本願発明1の2.3倍以上の範囲に入り、その他の構成についても差異がない。 したがって、本願発明1は、引用例1発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。 なお、審尋の回答書において、上記の「攪拌工程におけるガラス容量がガラス製品の4倍若しくは10倍」すなわち、「製品の大きさ10リットルに対して、るつぼの大きさが40リットル若しくは100リットル」というのは、過大である旨主張するが、本願発明の範囲に入る以上、この主張を採用することはできず、上記の判断を左右するものではない。 4-2.本願発明2について 本願発明2は、本願発明1の製造方法の発明を装置発明に言い換えたにすぎず、両者に実質的な違いがない。 したがって、上記4-1.と同様の理由により、本願発明2は、引用例1発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。 4-3.本願発明3について 本願発明3は、本願発明1の製造方法により製造されたガラス製品であって、ガラスの屈折率の変動幅を「±1×10-6以下」と規定したものであるが、上記3の(ウ)に記載のように、引上げ量「20トン/月」、攪拌部容量「40リットル」のBSC-7のブロックの屈折率均一性が「±1×10-6」であるガラス製品が引用例1には記載されており、その製造方法は、本願発明1に準じていることが明らかである。 したがって、上記4-1.と同様の理由により、本願発明3は、引用例1発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。 4-4.本願発明4について 本願発明4は、本願発明2の製造装置により製造されたガラス製品であって、ガラスの屈折率の変動幅を「±1×10-6以下」と規定したものであるが、上記3の(ウ)に記載のように、引上げ量「20トン/月」、攪拌部容量「40リットル」のBSC-7のブロックの屈折率均一性が「±1×10-6」であるガラス製品が記載されており、その製造装置は、本願発明2に準じていることが明らかである。 したがって、上記4-1.と同様の理由により、本願発明4は、引用例1発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当する。 5.まとめ 以上のように、本願発明1ないし4は、いずれも特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-02-03 |
結審通知日 | 2005-02-09 |
審決日 | 2005-02-22 |
出願番号 | 特願平5-160275 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C03B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 近野 光知 |
特許庁審判長 |
板橋 一隆 |
特許庁審判官 |
野田 直人 西村 和美 |
発明の名称 | 高均質ガラスの製造方法及び装置並びに高均質ガラス製品 |
代理人 | 塩澤 寿夫 |
代理人 | 特許業務法人特許事務所サイクス |