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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1119307 |
審判番号 | 不服2001-7255 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-11-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-05-07 |
確定日 | 2005-07-29 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第120747号「文字の入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年11月 4日出願公開、特開平 6-309083、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成5年4月24日の特許出願であって、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成12年4月18日付け、平成13年1月9日付け、及び平成15年12月19日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものと認める。 「【請求項1】 基本となる文字がマトリックス状に配列されているとき、 このマトリックスの1行分の表示部を有する第1の表示エリアと、 上記マトリックスの1行分の表示部を有する第2の表示エリアと、 上記マトリックスの行方向の位置を指定するための第1の操作キーと、 上記マトリックスの列方向の位置を指定するための第2の操作キーと、 指定した文字を確定するための第3の操作キーと、 第4の操作キーと、 文字の入力モードおよび修正モードと を有し、 上記入力モードの場合には、 上記第1の表示エリアには、上記マトリックスの1行分の文字を表示するとともに、選択している文字を識別するためのカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第2の操作キーを操作したとき、上記第1の表示エリアに表示されている文字の表示を、少なくとも上記カーソルが示している文字の列について、その列方向に1行分ずつ移動させ、 上記第3の操作キーを操作したとき、上記カーソルが示している文字を、上記第2の表示エリアに表示するとともに、入力された文字として取り込み、 上記修正モードの場合には、 上記第2の表示エリアに別のカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記別のカーソルを、上記第2の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第3の操作キーを操作したとき、上記カーソルが示している文字を修正対象に確定し、 この修正対象の文字が確定したのちに、上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記修正対象の文字が確定したのちに、上記第2の操作キーを操作したとき、上記第1の表示エリアに表示されている文字の表示を、少なくとも上記カーソルが示している文字の列について、その列方向に1行分ずつ移動させ、 上記修正対象の文字が確定したのちに、上記第4の操作キーを操作したとき、上記カーソルが示している文字を、上記別のカーソルが示している位置に表示して上書きするとともに、入力された文字として上書きして取り込む ようにした文字の入力装置。」 2.刊行物記載の発明 (1)当審の拒絶理由に引用された刊行物 これに対して、当審の拒絶理由に引用された特開昭61-281326号公報(昭和61年12月11日出願公開、以下、「刊行物1」という。)には、次のような記載がある。 イ)「以下本発明の実施例をメモ機能付電子式卓上計算機に基づき図面と共に説明する。(1)はマイクロプロセッサで構成された制御回路で、処理プログラムが予め記憶されているプログラムメモリ(2)のプログラムに従い信号バス(3)を介して後述する各部とデータの授受を行なうことにより、全体の制御を行なう。(4)は各種のキーよりなるキーボードで、キー信号は入力バッファ回路(5)を介して制御回路(1)に入力され、キー信号を取り込んだ制御回路(1)はキー信号に対応した処理動作をプログラムメモリ(2)のプログラムに従い行なう。…(7)は氏名及び電話番号等のメモデータを記憶するメモリで、今の場合1項目に最大12文字と12桁の数字を対にして記憶するよう第4図に示すように構成され、合計100項目の記憶容量を備えており、制御回路(1)によりデータの読み出し及び書込みが制御されている。」(第2頁左上欄第11行〜同頁右上欄第12行) ロ)「表示器(10)は液晶表示器で構成されており、第2図に示すように5x7のドットマトリックスが12桁設けられ文字を表示する第1表示部(11)と、日の字セグメントが12桁設けられ数値を表示する第2表示部(12)と、アルファベット或は仮名キーボードを表示する第3表示部(13)で構成され、第3表示部(13)には更にカーソル位置を表示するカーソルセグメント(14)(14)…が、仮名及びアルファベット共通に文字の下に形成され、又右端にはモード状態を指示するモード表示セグメント(15)(16)(17)が設けられている。」(第2頁右上欄第19行〜同頁左下欄第10行) ハ)「先ず電源ONキー(18)を操作すると、制御回路(1)は最初読み出しモードに設定し、第9図に示すように第3表示部(13)のアルファベットキーボードとモード記号の「READ」(15)を表示する。…今何れのデータもメモリされておらず、これから入力し記憶させる場合、第9図の表示状態に於いてキーボード(4)のモードキー(19)を操作すると、モードキー信号を検出した制御回路(1)は、メモリ(7)を書き込み状態に設定すると共に、表示器(19)の第3表示部(13)にモード記号の「WRITE」(16)を第10図に示すように表示する。そこで例えば三×電機の名称と電話番号を「SAN×× 06-991-1181」と入力する場合につき説明する。…以後同様にして入力を希望する文字位置にカーソルキー(20)(21)(22)(23)を操作してカーソルを移動した後、選択キー(24)を操作することにより第12図に示すように「SAN××」と入力することが出来る。この際制御回路(1)は第8図に示すようにカーソルキー(20)の操作で+1、カーソルキー(21)の操作で-1、又カーソルキー(23)の操作で-11の演算を行ないカーソル位置を検出している。次に前述のようにして名称を入力したところで、表示部(10)の第2表示部(12)に電話番号を入力すべく、第1、第2表示部(11)(12)のカーソル移動キー(25)(26)(27)の内、上下移動キー(26)を操作すると、第2表示部(12)の左端の桁の下方セグメント(dセグメント)が点灯されカーソルの移動を指示する。そこで電話番号を入力すべくキーボード(4)のテンキー(28)とマイナスキー(29)により「06-991-1181」と入力すると、第13図に示すように第2表示部(12)に表示される。このようにしてデータの入力を完了したところで、メモリ(7)に記憶させるべく入力キー(30)を操作すると、制御回路(1)内のレジスタに蓄積されていたデータがメモリ(7)に転送され記憶される。」(第2頁左下欄第19行〜第3頁右上欄第18行) ニ)「尚前述の入力動作はアルファベットによる入力の場合であったが、仮名で入力したい場合には、キーボード(4)のシフトキー(31)を操作すると、シフトキー信号を検出した制御回路(1)は、表示器(10)に第14図に示すような仮名キーボードを表示するよう表示駆動回路(9)を制御する。入力文字の選択は前述と同様にしてカーソルを移動した後選択キー(24)を操作することにより同様に行なうことができ、第15図に示すように「サン××デンキ」と仮名で入力しメモリ(7)に記憶させることができる。シフトキー(31)の操作の度にアルファベットと仮名キーボードを交互に表示するよう制御されており、任意に選択しアルファベットと仮名の混合文字を入力することも可能である。この際1対の仮名とアルファベットに対しカーソル(14)は共通に点灯されるよう構成されており、カーソルを点灯制御する信号端子数の削減を計っている。」(第3頁左下欄第2行〜同欄第18行) ホ)「次にメモリ(7)に記憶されているデータを読み出し表示する動作につき説明する。この場合モードキー(19)の操作で読出しモードに切換える。モードはモードキー(19)が操作される度に、読出し、書込み、計算のモードが循環的に切換えられるように構成されている。」(第3頁左下欄第19行〜同頁右下欄第4行) ヘ)「次に計算を行なう場合につき説明する。 この場合先ずモードキー(19)により計算モードに切換えると、第17図に示すように表示器(19)の第2表示部(12)の右端の桁に「0」が表示され、又計算モードを示すモード記号「CAL」(17)が表示される」(第4頁左上欄第15行〜同欄第20行) ト)第2図には、第3表示部(13)にアルファベット或は仮名がマトリックス状に配列されていることが示されている。 これらの記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。 5x7のドットマトリックスが12桁設けられ文字を表示する第1表示部(11)と、 日の字セグメントが12桁設けられ数値を表示する第2表示部(12)と、 アルファベット或は仮名キーボードを表示し、更にカーソル位置を表示するカーソルセグメント(14)(14)…を、仮名及びアルファベット共通に文字の下に形成する第3表示部(13)と、 入力を希望する文字位置にカーソルを移動するための、+1操作のカーソルキー(20)、-1操作のカーソルキー(21)、-11操作のカーソルキー(23)と、 選択キー(24)と、 読出し、書込み、計算のモードと を有し、 上記書込みのモードの場合には、 上記第3表示部(13)には、アルファベット或は仮名キーボードを表示するとともに、カーソル位置を表示するカーソルセグメント(14)を表示し、 +1操作のカーソルキー(20)、-1操作のカーソルキー(21)を操作したとき、上記カーソルを、上記第3表示部(13)に表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 -11操作のカーソルキー(23)を操作したとき、上記カーソルを、上記第3表示部(13)に表示されている文字に対して1行分ずつ列方向に移動させ、 上記選択キー(24)を操作したとき、上記カーソルが示している文字を、上記第1表示部(11)に表示するとともに、メモリ(7)に記憶させるべく入力キー(30)を操作すると、制御回路(1)内のレジスタに蓄積されていたデータがメモリ(7)に転送され、 氏名及び電話番号等のメモデータが記憶されるようにしたメモ機能付電子式卓上計算機。」 また、当審の拒絶理由に引用された実願昭61-161703号(実開昭63-68046号)のマイクロフイルム(昭和63年5月7日出願公開、以下、「刊行物2」という。)には、次のような記載がある。 「[問題点を解決するための手段]第1図はこの考案の入力装置の機能ブロック図で、13は「カナ」、「英」、「数」、「記号」等の文字記号をテーブル化等して記憶する記憶手段、14はこの記憶手段13に記憶された上記文字記号を所定の群単位、例えば「カタカナ」であれば「アイウエオ」のような単位で表示する表示手段、15はこの表示手段14に表示させる文字記号群を選択する(例えば入力したい文字が「す」であれば「さしすせそ」の群を選択する)選択手段、16は所望の文字記号を指定する指定手段である。[作用]…これにより表示画面等には一部の文字記号が表示されるだけであるので、表示領域を有効に利用できる。」(第4頁第15行〜第5頁第16行) また、当審の拒絶理由に引用された特開昭63-196926号公報(昭和63年8月15日出願公開、以下、「刊行物3」という。)には、次のような記載がある。 「表示部6に文字格納部8に格納されている文字等の表の一部もしくは全部を表示した初期画面が表示される。…キー入力部1より入力されたキーが、カーソル移動キーだった場合は、表示制御部5で表示部6のカーソル64をカーソル移動操作に応じて、上下左右に移動させ、見かけ上カーソル64が被選択文字表示部61の端に来た時にさらにカーソル64を移動させようとすると被選択文字表示部61に表示されている文字等の表自体がスクロールする。これにより表示部6の方が文字格納部8の容量より小さくてもすべての所を見る事が可能になる。」(第2頁右下欄第3行〜第3頁左上欄第10行) 上記刊行物2、3等により、次の技術(以下、「周知技術1」という。)が周知であると認められる。 基本となる文字がマトリックス状に配列されているとき、 このマトリックスの一部の表示部を有する表示エリアを有し、 表示部を小さくするために、上記表示エリアには、上記マトリックスの一部の文字を表示するとともに、選択している文字を識別するためのカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第2の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記表示エリアに表示されている文字に対して1行分ずつ列方向に移動させ、 見かけ上カーソルが上記表示エリアの端に来た時にさらにカーソルを移動させようとすると上記表示エリアに表示されているマトリックス自体がスクロールする文字の入力装置。 さらに、当審の拒絶理由に引用された特開平1-193794号公報(平成1年8月3日出願公開、以下、「刊行物4」という。第1図の「各スイッチに対応して設けられた表示ランプ群10」参照)、実願平1-50682号(実開平2-143652号)のマイクロフイルム(平成2年12月5日出願公開、以下、「刊行物5」という。第1図の「キーシンボルや種々の操作ガイダンスを表示するガイダンス表示部12」参照))等により、情報処理装置において、操作部の操作によって所定の制御等が可能な場合には、その旨を所定の表示部に表示すること(以下、「周知技術2」という。)も周知である。 (2)原審の拒絶理由に引用された刊行物 原審の拒絶理由に引用された特開平1-211018号公報(平成1年8月24日出願公開、以下、「刊行物6」という。)に記載された発明は、第1の操作(右シフトキーまたは左シフトキー)により1行分表示されている文字を識別するカーソルを1文字分づつ行方向にシフトさせ、第3のキー「設定キー」によりカーソルが示している文字を入力する文字として取り込み、文字を訂正したい場合には、後退キー11、前進キー12を操作して文字入力位置を特定するカーソル表示位置を可変にし、その上で文字入力処理を行う文字の入力装置であるが、本願発明のように基本となる文字がマトリックス状に配列されているものではない。 また、原審の拒絶理由に引用された特開平3-297253号公報(平成3年12月27日出願公開、以下、「刊行物7」という。)に記載されている発明は、各行の先頭文字が表示され、この文字に対応する列に登録されている「相手先名」を選択キーによって順次切り替えるものであるが、本願発明のように「文字」を切り替えるものではない。 これらの発明はいずれも、本願発明のように、第2の操作キーを操作したとき、表示されている文字の表示を、少なくともカーソルが示している文字の列について、その列方向に1行分ずつ移動させるものでもないし、修正モードの場合には、第1の操作キーを操作したとき、別のカーソルを、第2の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、修正対象の文字が確定したのちに、第1の操作キーを操作したとき、カーソルを、第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させるものでもない。 3.本願発明と刊行物記載の発明との比較 そこで、刊行物1〜7に記載されている発明の中で、本願発明と最も類似する刊行物1記載の発明とを比較する。 (1)刊行物1記載の発明の「アルファベット或は仮名」、「+1操作のカーソルキー(20)、-1操作のカーソルキー(21)」、「-11操作のカーソルキー(23)」、「選択キー(24)」、「書込みのモード」は、本願発明の「基本となる文字」、「第1の操作キー」、「第2の操作キー」、「第3の操作キー」、「文字の入力モード」に相当する。 また、刊行物1記載の発明の「メモ機能付電子式卓上計算機」は、氏名及び電話番号等のメモデータが記憶されるものであり、本願発明の「文字の入力装置」に相当するから、本願発明と刊行物1記載の発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (2)一致点 基本となる文字がマトリックス状に配列されているとき、 第1の表示エリアと、 1行分の表示部を有する第2の表示エリアと、 上記マトリックスの行方向の位置を指定するための第1の操作キーと、 上記マトリックスの列方向の位置を指定するための第2の操作キーと、 指定した文字を確定するための第3の操作キーと、 文字の入力モード を有し、 上記入力モードの場合には、 上記第1の表示エリアには、上記マトリックスの文字を表示するとともに、選択している文字を識別するためのカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第3の操作キーを操作したとき、上記カーソルが示している文字を、上記第2の表示エリアに表示するとともに、入力された文字として取り込むようにした文字の入力装置である点。 (3)相違点 相違点イ) 本願発明は、 基本となる文字がマトリックス状に配列されているとき、 このマトリックスの1行分の表示部を有する第1の表示エリアと、 上記マトリックスの1行分の表示部を有する第2の表示エリアとを有し、 上記第1の表示エリアには、上記マトリックスの1行分の文字を表示するとともに、選択している文字を識別するためのカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第2の操作キーを操作したとき、上記第1の表示エリアに表示されている文字の表示を、少なくとも上記カーソルが示している文字の列について、その列方向に1行分ずつ移動させるのに対して、 刊行物1記載の発明は、第1の表示エリアの表示部が、マトリックス状に配列されている基本となる文字をすべて表示できる行数分あり、上記第2の操作キーを操作したときの表示が、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1行分ずつ列方向に移動させるものであって、マトリックスの1行分の表示部を有する第1の表示エリアに表示されている文字の表示を、少なくとも上記カーソルが示している文字の列について、その列方向に1行分ずつ移動させていないし、第2の表示エリアの表示部は1行分であるが、マトリックスの1行分でない点。 相違点ロ) 本願発明は、 第4の操作キーと、文字の入力モードおよび修正モードとを有し、 上記修正モードの場合には、 上記第2の表示エリアに別のカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記別のカーソルを、上記第2の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第3の操作キーを操作したとき、上記カーソルが示している文字を修正対象に確定し、 この修正対象の文字が確定したのちに、上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記修正対象の文字が確定したのちに、上記第2の操作キーを操作したとき、上記第1の表示エリアに表示されている文字の表示を、少なくとも上記カーソルが示している文字の列について、その列方向に1行分ずつ移動させ、 上記修正対象の文字が確定したのちに、上記第4の操作キーを操作したとき、上記カーソルが示している文字を、上記別のカーソルが示している位置に表示して上書きするとともに、入力された文字として上書きして取り込むのに対して、 刊行物1記載の発明は、文字の入力モードを有するが、第4の操作キーや修正モードを有していない点 4.相違点の検討 相違点イ)について 刊行物1記載の発明において、第1の表示エリアの表示部を小さくするために、周知技術1を適用して、マトリックスの一部の表示部を有する第1の表示エリアとし、上記第1の表示エリアには、上記マトリックスの一部の文字を表示するとともに、選択している文字を識別するためのカーソルを表示し、 上記第1の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、 上記第2の操作キーを操作したとき、上記カーソルを、上記第1の表示エリアに表示されている文字に対して1行分ずつ列方向に移動させ、 見かけ上カーソルが上記第1の表示エリアの端に来た時にさらにカーソルを移動させようとすると上記第1の表示エリアに表示されているマトリックス自体がスクロールするようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 また、刊行物1記載の発明の第1の表示エリアが、1行分の第2の表示エリアのすぐ下に配置されているから、表示の見やすさや表示スペースの効率を考慮して、第1、第2の表示エリアの表示部を上記マトリックスの1行分にすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 そして、刊行物1記載の発明において、そのようした結果、第2の操作キーを操作したとき、見かけ上カーソルは1行分の表示しかない第1の表示エリアの端であるから、さらにカーソルを移動させようとするため、表示されているマトリックス自体がスクロール、つまりカーソルが示している文字について、その列方向に1行分ずつ移動することは、当然の動作である。 相違点ロ)について 刊行物1〜7のいずれにも、修正モードの場合には、第1の操作キーを操作したとき、別のカーソルを、第2の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させ、修正対象の文字が確定したのちに、第1の操作キーを操作したとき、カーソルを、第1の表示エリアに表示されている文字に対して1文字分ずつ行方向に移動させることは、記載も示唆もされていない。 しかも、本願発明の、修正モードの場合における、このような第1の操作キーによる第1の表示エリアのカーソルと第2の表示エリアの別のカーソルの移動により、第1の表示エリア83、84が狭くても、入力した文字を間違えたときでも、容易に、かつ、入力時と同様の操作で簡単に修正をすることができるという顕著な作用効果を有するものと認められる。 そうすると、本願発明は、相違点ロ)について、当審で引用した刊行物1〜5及び原審で引用した刊行物6、7に記載されている発明をどのよう組み合わせても、当業者が容易になし得ることができないものである。 5.むすび したがって、本願については、原査定の拒絶理由によっても当審の拒絶理由によっても拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2005-07-20 |
出願番号 | 特願平5-120747 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 水野 恵雄 |
特許庁審判長 |
大日方 和幸 |
特許庁審判官 |
治田 義孝 和田 志郎 |
発明の名称 | 文字の入力装置 |
代理人 | 佐藤 正美 |