• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1123505
審判番号 不服2003-24768  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-08-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-22 
確定日 2005-09-15 
事件の表示 特願2002-316115「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月 8日出願公開、特開2003-223155〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
1.手続の経緯
本願は、平成3年3月22日に出願した特願平3-58520号(優先権主張平成2年3月23日)の一部を平成11年12月13日に特願平11-352963号として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成12年1月11日に特願2000-2186号として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成13年4月20日に特願2001-123675号として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成13年12月25日に特願2001-391471号として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成14年10月1日に特願2002-289276号として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成14年10月30日に新たな特許出願としたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成16年1月16日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりの次のものである。

【請求項1】 バックライトと、液晶表示部と、外部からの情報を入力する情報入力部とを備えた情報処理装置であって、
前記液晶表示部は、前記バックライトからの透過光により表示を行う透過モードと、外光の反射光により表示を行う反射モードとにより表示を行い、
前記情報入力部の入力が一定の時間ないか否かを判断し、
前記情報入力部の入力が一定の時間ない場合、前記バックライトの電源をオフにし、前記液晶表示部への電力供給を停止することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 前記液晶表示部への電力供給を停止した後、前記情報入力部への入力がある場合、前記液晶表示部を起動する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】 前記情報入力部は、使用者からの外部情報を入力する請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】 前記情報入力部は、通信インターフェースからの外部情報を入力する請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項5】 前記情報処理装置は、携帯型情報処理装置である請求項3または4記載の情報処理装置。
【請求項6】 前記液晶表示部は、前記バックライトに対して表示側に反射層と液晶層とが設けられ、
前記反射層は、表示側から前記液晶層を通して入射した入射光を反射して、前記液晶層を通して表示側に出るように構成されるとともに、
前記反射層は、部分的に反射膜のない開口部を複数個有し、前記バックライトからの光が前記開口部を透過して、透過された透過光が前記液晶層を通して表示側から出るように構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。

3.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開昭61-288725号公報(以下、「第1引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(1a)「(産業上の利用分野)本発明は電子機器、特に複数のユニットから成る電子機器の電源制御方式に関するものである。(従来の技術)複数のユニットから成る電子機器としてパ-ソナルコンピュータ、ワ-ドプロセッサ等の小型機器が従来から知られている。・・・・・・・・複数のユニットから成る電子機器において効果的に電力消費を軽減させる試みはなされていない。従つて、本発明は上述した従来技術における電力の浪費という問題点を除去し、消費電力の節減を図つた電子機器の電源制御方式を提供することを目的とする。」(第1頁左下欄第18行〜第2頁左上欄第8行)
(1b)「次に本発明の第2の実施例を第2図に基づき詳細に説明する。同図において21は電源装置、22はCPU、23はキ-ボ-ド、24は表示装置、25はファイル、26はプリンタ、27は回線インタフェースである。電源装置21に含まれる蓄電池31の出力はスイッチ32を介してDCコンバ-タ33の人力V0に接続される。DCコンバ-タ33の出力Vl、V2、V3は直接CPU22およびキ-ボ-ド23の電源入力端子に接続されるとともに、リレ-34、35、36、37の接点を介してそれぞれ表示装置24、ファイル25、プリンタ26、回線インタフェース27に接続される。一方、CPU22の出力の一部は該CPU22からの指示をラッチするラッチ回路29に接続され、ラッチ回路29の出力S1〜S4は電源装置21の入力S1〜S4を介してリレ-の駆動回路44〜47にそれぞれ接続される。なお48はタイマである。第2の実施例は第1の実施例に対して表示装置24、プリンタ26、および回線インタフェース27の電源の全てを制御の対象に加えたものである。表示装置24については、通常オペレ-タが看視していない時は表示不要なため、オペレ-タの指示又はタイマ48の監視により規定時間以上経過後も表示装置24への動作指示のない場合に、これに対する電源供給を停止し、オペレ-タの指示により又はCPU22から表示装置24に対して表示要求がなされた時に、表示要求信号S1により電源供給を再開するものとする。」(第3頁左上欄第20行〜左下欄第6行)

以上の記載事項からみて、第1引用例には、「表示装置、キーボードとを備えた複数のユニットからなる電子機器であって、オペレ-タの指示又はタイマの監視により規定時間以上経過後も表示装置への動作指示のない場合に、これに対する電源供給を停止することを特徴とする複数のユニットからなる電子機器」の発明が記載されていると認める。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭54-183281号(実開昭56-102576号)のマイクロフィルム(以下、「第2引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(2a)「液晶表示装置には反射形と透過形があるが、反射形のものは暗いところで読みとり難く、透過形のものは光源ランプの遠近によりコントラストに差が生じる欠点がある。1つの表示器に反射形と透過形の機能を持たせれば、両形式のもつ欠点を互に補うことができる。第1図は反射形と透過形両用の液晶表示装置で、・・・・・・・第1図(イ),(ロ)において、11は液晶物質、12,13は偏光板で、液晶物質11は偏光板12,13にはさまれ、これによって液晶表示器10が構成されている。14は偏光板13の背面に設置された例えば乳白色のアクリル樹脂板の様な半透明反射板、20は半透明反射板14の背部に配置された照明ランプである。」(明細書第1頁第14行〜第2頁第9行)

(3)原査定の拒絶の理由に引用された特開昭59-107380号公報(以下、「第3引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(3a)「本発明は液晶表示装置に係り、特に昼間は外光を使用して反射形表示を行い、夜間は内蔵の照明装置により透過表示を行なう、いわゆる半透過形液晶表示装置の昼夜の視認性の変動を少なくすることが可能な液晶表示装置に関するものである。
〔発明の技術的背景とその問題点〕 従来の半透過形液晶表示装置の構造は第1図に示すように液晶セル(1)の後方に配列順に乳白色アクリルなどの半透過性光反射板(2)と、ランプ(3)とライトガイド(4)からなる照明装置が設けられている。」(第1頁右下欄第1行〜第11行)

4.対比
本願発明1と第1引用例に記載された発明とを対比すると、第1引用例に記載された発明の「複数のユニットからなる電子機器」、「キーボード」は、それぞれ、本願発明1における「情報処理装置」、「情報入力部」に相当する。
第1引用例に記載された発明において、「オペレータの指示又はタイマの監視により規定時間以上経過後も表示装置への動作指示のない場合に、これに対する電源供給を停止し」における「動作指示」が、どこから入力されて表示装置への指示となるのか明らかではないが、少なくとも、何らかの入力がなされる点において本願発明1の「入力」と共通するものである。
したがって、本願発明1と第1引用例に記載された発明とは、「表示装置と、外部からの情報を入力する情報入力部とを備えた情報処理装置であって、入力が一定の時間ないか否かを判断し、入力が一定の時間ない場合、表示装置への電力供給を停止することを特徴とする情報処理装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1 表示装置が、本願発明1では、バックライトと液晶表示部からなり、前記液晶表示部が、前記バックライトからの透過光により表示を行う透過モードと、外光の反射光により表示を行う反射モードとにより表示を行うのに対し、第1引用例に記載された発明では、そのような限定がない点
相違点2 本願発明1では、入力が「情報入力部の入力」であり、入力が一定時間ない場合に、バックライトの電源をオフにし、液晶表示部への電力供給を停止するのに対し、第1引用例に記載された発明では、入力がどこの入力であるのか明らかではなく、入力が一定時間ない場合に、表示装置に対する電源供給を停止する点

5.当審の判断
上記相違点1について検討すると、ノートパソコン等の情報処理装置において、バックライトと液晶表示部よりなる表示装置を備えるものは例を挙げるまでもなく周知であり、液晶表示装置として、バックライトからの透過光により表示を行う透過モードと、外光の反射光により表示を行う反射モードとにより表示を行うものも、例えば、第2引用例、第3引用例に示されるように周知であるから、第1引用例に記載された発明の表示装置として、前記周知のものを用いることは当業者が必要に応じて適宜なし得た設計的事項である。
上記相違点2について検討すると、電力消費を軽減するために、キーボードへのキー入力が一定時間ない場合に、液晶表示部のバックライトの電源をオフにすることは、例えば、特開平1-237810号公報、特開昭61-215588号公報にみられるごとく周知であり、第1引用例に記載された発明も、電力消費を軽減するために、表示装置に対する電源供給を停止するものであるから、第1引用例に記載された発明に上記周知技術を適用して、キーボードへのキー入力が一定時間ない場合に、表示装置の液晶表示部の電源供給を停止するとともにバックライトの電源をオフにすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明1の効果は、第1引用例ないし第3引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであり格別のものではない。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、第1引用例ないし第3引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明1が特許を受けることができないものであるから、その余の本願発明2ないし6について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-07-20 
結審通知日 2005-07-22 
審決日 2005-08-02 
出願番号 特願2002-316115(P2002-316115)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右田 昌士  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 山川 雅也
下中 義之
発明の名称 情報処理装置  
代理人 特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ