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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1128641 |
審判番号 | 不服2001-18134 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-04-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-10 |
確定日 | 2006-01-05 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第221480号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 4月 2日出願公開、特開平 8- 84805〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成6年9月16日に出願され、平成13年8月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月9日付で手続補正がなされたものである。 2.平成13年11月9日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成13年11月9日付の手続補正を却下する。 [理由] 2-1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 複数の表示態様を可変表示し、その停止時の表示態様に従って所定の遊技価値を付与できるように定められた可変表示装置と、所定の遊技条件が成立したとき該可変表示装置を駆動すると共に入賞判定を行い、その判定結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を入賞または外れの表示態様となるように停止制御する制御手段とを備えた遊技機において、 前記制御手段は、前記入賞判定の結果が特定の入賞である場合に、少なくとも1回は入賞となる任意回数の特別ゲームを実行し、当該特別ゲームが何回目であるかにより、前記特定の入賞とは異なる入賞を表わす表示態様を表示し、前記任意回数の特別ゲームが終了した時、遊技者が前記特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するように前記可変表示装置の可変表示を停止制御することを特徴とする遊技機。」と補正された。 前記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「任意回数の特別ゲーム」について「少なくとも1回は入賞となる任意回数の特別ゲーム」との限定を付加し、同じく「それらのゲームの回数に応じて所定の表示態様を表示し」について「当該特別ゲームが何回目であるかにより、前記特定の入賞とは異なる入賞を表わす表示態様を表示し」との限定を付加し、同じく「特別ゲーム」について「任意回数の特別ゲーム」との限定を付加するものであって、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 2-2.引用刊行物及び引用刊行物に記載された事項 刊行物1:特開平3-73180号公報 刊行物2:パチスロ必勝本漫画ローレンス12月号増刊, 株式会社綜合図書,1991年12月25日発行, 第100頁,上段9ムサシの説明 (1)刊行物1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願の日前に頒布された刊行物1には、 (1-a)「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置と、 前記可変表示装置の可変表示を開始するための予め定められた開始条件が成立したことに基づいて開始指令信号を発生する開始指令信号発生手段と、 前記可変表示装置の可変表示を停止するための予め定められた停止条件が成立したことに基づいて停止指令信号を発生する停止指令信号発生手段と、 前記可変表示装置の停止時の価値内容を該可変表示装置の数回前の可変表示の段階から予め決定しておくための価値内容事前決定手段と、 前記開始指令信号発生手段の開始指令信号に基づいて前記可変表示装置を可変表示させるとともに、前記停止指令信号発生手段の停止指令信号に基づいて前記可変表示を停止制御し、停止時の識別情報が前記価値内容事前決定手段により決定された価値内容に従ったものになるように表示制御する可変表示制御手段と、 前記可変表示装置の停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、 前記価値内容事前決定手段により決定された価値内容が前記予め定められた特定の識別情報に対応するものであることを判別する特定識別情報判別手段と、 少なくとも前記特定識別情報判別手段の判別出力に基づいて、該特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前に、前記特定の識別情報が表示されることを遊技者に事前に報知するための前兆報知手段とを含むことを特徴とする、弾球遊技機。」(特許請求の範囲)と、 (1-b)「従来の弾球遊技機においては、可変表示装置による予め定められた特定の識別情報が何の前兆もなく表示されるため、可変表示装置の可変表示の停止以前から遊技者の期待感を盛り上げることがあまりできず、せっかく可変表示装置を設けたにもかかわらずその可変表示装置の面白さを十分に演出できないという欠点を有していた。 本発明は、かかる実情に鑑みて可変表示装置による可変表示の面白さを十分に演出し遊技者の期待感をより一層向上することのできる弾球遊技機を提供することを目的とする。」(2頁左上欄末行〜右上欄11行)と、 (1-c)「可変表示装置14には、複数種類の識別情報を可変表示できる識別情報表示部15a,15b,15cが設けられている。そして遊技領域13に形成されている始動入賞口27a,27b,27cのいずれかにパチンコ玉が入賞することにより最大4個まで始動入賞記憶が行なわれ、始動入賞記憶のあることに基づいて、識別情報表示部15a,15b,15cが可変表示を開始し、所定時間の経過または、所定時間の経過以前における遊技者による停止操作ボタン8の押圧操作に基づいて前記識別情報表示部15a,15b,15cが順次停止制御されるように構成されている。なお、可変表示が1回行なわれる毎に前記始動入賞記憶が1ずつ減算される。そして停止したときの可変表示装置14による表示結果が予め定める特定の組合わせ(特定の識別情報)になれば、大当りとなり可変入賞球装置20の開閉板22を開成して遊技者にとって有利となる第1の状態に駆動制御される。この可変入賞球装置20により、前記可変表示装置14の停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段が構成されている。」(3頁右上欄8行〜左下欄10行)と、 (1-d)「前述した2つの実施例においては、前兆報知手段が、前兆パターンとして或る定められた停止図柄で可変表示装置を停止させるように表示制御するものを示した」(16頁左下欄末行〜右下欄3行)と、 (1-f)「[発明の効果] 本発明は、特定の識別情報が可変表示装置により表示される予定となっている回の可変表示以前から遊技者の期待感を高めることができ、可変表示装置の面白さを十分に演出し遊技者の期待感をより一層向上することのできる弾球遊技機を提供し得るに至った。しかも、特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前から、前記特定の識別情報が表示されることが遊技者に事前に報知されるため、前記特定の識別情報になる可能性が高まれば遊技者は特定の識別情報が表示されるまで極力遊技を続行しようと試みるのであり、遊技者が遊技をやめる潮時を判断しやすくなる。」(17頁左上欄4〜17行)と記載されている。 (1-g)特に、刊行物1の14頁左下欄18行〜16頁左下欄19行の記載及び図面第10、11図の記載を参酌すると、刊行物1には、 「停止図柄決定用カウンタのカウント値の判断の結果大当りの値である場合に、4回可変表示した後停止し、各回の可変表示の停止時、4種類の異なる前兆パターン(図柄7 7 FEVERが中央ラインに揃う前兆パターン、図柄7 FEVER 7が上ラインに揃う前兆パターン、図柄7 FEVER 7が下ラインに揃う前兆パターン、図柄7 FEVER 7が中央ラインに揃う前兆パターン。)の図柄を表示し、前記4回の可変表示の次に大当りに対応する特定の識別情報(図柄777が中央ラインに揃う。)で停止する可変表示をするように可変表示装置を制御する」実施例が記載されていると認められる。 (1-h)前記(1-a)〜(1-g)の記載事項からみて、刊行物1には、下記の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 「複数種類の識別情報を可変表示し、その停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与できるように定められた可変表示装置と、始動入賞記憶のあることに基づいて該可変表示装置の可変表示を開始すると共に停止図柄決定用カウンタのカウント値を判断して、その判断の結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を大当りまたは外れの識別情報で停止するように制御する弾球遊技機において、 前記判断の結果大当りの値である場合に、各回の可変表示の停止時に表示順序が予め決められた4種類の異なる前兆パターンの図柄を表示する4回の可変表示をし、前記4回の可変表示の次に大当りに対応する特定の識別情報で停止する可変表示をするように可変表示装置を制御する弾球遊技機。」 (2)刊行物2に記載された事項 刊行物2には、スロットマシンに関し、 (2-a) 第100頁上段のムサシ(パイオニア)の説明欄には、 「リーチ目は単刀直入でわかりやすく、ビッグボーナスが入ると「MUSASHI」が、レギュラーボーナスが入ると「単チェリー」が出やすくなる。MUSASHIはどのラインに揃ってもリーチ目だが、上段で揃うのは信用度が低いのではずしてある(図1〜4)。また、「MUSASHI」は通常時でも揃うことがあるので、短い間隔で2〜3回揃ってはじめて確実なリーチ目といえる。」と記載されている。 (2-b) また、本体の写真より、該本体が、3つの回転リールを有する典型的なスロットマシンであることが認められる。 前記 (2-a)(2-b)の記載及び図1〜4の記載によれば、刊行物2には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「3つの回転リールを有するスロットマシンにおいて、ビッグボーナスが入ると「MUSASHI」が揃うリーチ目が出やすくなるスロットマシン。」 2-3.対比 本願補正発明と引用発明Aを対比する。 引用発明Aの「複数種類の識別情報を可変表示し」は、本願補正発明の「複数の表示態様を可変表示し」に対応し、以下同様に、 引用発明Aの「その停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて」は、本願補正発明の「その停止時の表示態様に従って」に、 引用発明Aの「始動入賞記憶のあることに基づいて該可変表示装置の可変表示を開始すると共に停止図柄決定用カウンタのカウント値を判断して」は、本願補正発明の「所定の遊技条件が成立したとき該可変表示装置を駆動すると共に入賞判定を行い」に、 引用発明Aの「その判断の結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を大当りまたは外れの識別情報で停止するように制御する」は、本願補正発明の「その判定結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を入賞または外れの表示態様となるように停止制御する制御手段とを備えた」に、 引用発明Aの「弾球遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に、 引用発明Aの「前記判断の結果大当りの値である場合」は、本願補正発明の「前記入賞判定の結果が特定の入賞である場合」に、 引用発明Aの「可変表示装置を制御する」は、本願補正発明の「制御手段は、可変表示装置の可変表示を停止制御する」に対応する。 また、引用発明Aにおける、停止時に前兆パターンの図柄を表示する4回の可変表示をし、前記4回の可変表示の次に大当りに対応する特定の識別情報で停止する可変表示をすることは、「任意回数の特別ゲームを実行」することといえるものであり、 引用発明Aの「4回の可変表示の次に大当りに対応する特定の識別情報で停止する可変表示をするように」は、本願補正発明の「任意回数の特別ゲームが終了した時、遊技者が特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するように」に対応する。 さらに、本願補正発明の「特別ゲームが何回目であるかにより、特定の入賞とは異なる入賞を表わす表示態様を表示」することと、引用発明Aの「各回の可変表示の停止時に表示順序が予め決められた4種類の異なる前兆パターンの図柄を表示する」こととは、「特別ゲームが何回目であるかにより、特定の入賞とは異なる表示態様を表示」する点で共通する。 したがって、両者は、以下の点で一致し、また、相違する。 <一致点> 「複数の表示態様を可変表示し、その停止時の表示態様に従って所定の遊技価値を付与できるように定められた可変表示装置と、所定の遊技条件が成立したとき該可変表示装置を駆動すると共に入賞判定を行い、その判定結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を入賞または外れの表示態様となるように停止制御する制御手段とを備えた遊技機において、 前記制御手段は、前記入賞判定の結果が特定の入賞である場合に、任意回数の特別ゲームを実行し、当該特別ゲームが何回目であるかにより、前記特定の入賞とは異なる表示態様を表示し、前記任意回数の特別ゲームが終了した時、遊技者が前記特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するように前記可変表示装置の可変表示を停止制御する遊技機。」 <相違点> 本願補正発明では、「少なくとも1回は入賞となる」任意回数の特別ゲームを実行し、当該特別ゲームが何回目であるかにより、前記特定の入賞とは異なる「入賞を表わす」表示態様を表示するのに対して、引用発明Aでは、特定の入賞として識別できる入賞態様を表示する特別ゲームの前に実行する特別ゲームにおいては、少なくとも1回は入賞となるものではなく、表示される表示態様は前兆パターンの図柄であって、入賞を表わすものではない点。 2-4.判断 前記相違点について検討する。 刊行物2には、「3つの回転リールを有するスロットマシンにおいて、ビッグボーナスが入ると「MUSASHI」が揃うリーチ目が出やすくなるスロットマシン。」の発明が記載されており、「MUSASHI」が揃うリーチ目が特定の入賞とは異なる「入賞を表わす」表示態様であることは明かであるから、前記相違点に係る本願補正発明を構成することは、引用発明Aにおいて、前記刊行物2に記載された発明を適用し、前兆パターンの図柄を特定の入賞とは異なる「入賞を表わす」表示態様とすることにより、当業者であれば容易に想到し得ることである。 そして、本願補正発明によって奏せられる効果は、引用発明A(刊行物1に記載された発明)及び刊行物2に記載された発明によって奏せられる効果と比較して、格別顕著なものではない。 したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 2-5.むすび 以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法第126条第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成13年11月9日付の手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年8月13日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の表示態様を可変表示し、その停止時の表示態様に従って所定の遊技価値を付与できるように定められた可変表示装置と、所定の遊技条件が成立したとき該可変表示装置を駆動すると共に入賞判定を行い、その判定結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を入賞または外れの表示態様となるように停止制御する制御手段とを備えた遊技機において、 前記制御手段は、前記入賞判定の結果が特定の入賞である場合に任意回数の特別ゲームを実行し、それらのゲームの回数に応じて所定の表示態様を表示し、前記特別ゲームが終了した時、遊技者が前記特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するように前記可変表示装置の可変表示を停止制御することを特徴とする遊技機。」 3-1.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1、引用刊行物1に記載された事項及び引用発明Aは、前記「2-2.」に記載したとおりであり、引用刊行物1には、前記(1-a)〜(1-g)の記載事項の他に以下の事項が記載されている。 (1-i)「本発明に係る弾球遊技機では可変表示装置14によりリーチ目が表示される。このリーチ目とは、大当りが発生する可能性が高まったことを可変表示装置14により表示するためのものであり、たとえば「SANKYO 7 FEVER」のように表示される。リーチ目表示用の停止図柄データ(「SANKYO 7 FEVER」に対応)は、16進数で表わせば「EB4」となり・・・始動入賞時の停止図柄決定用カウンタの値が大当りまたは中当りに対応する値である場合には、停止図柄データ記憶エリアのエリア4(第9図参照)の停止図柄データを「EB4」に変更することにより、大当りまたは中当りの前兆としてリーチ目を表示する。」(6頁右上欄14行〜左下欄9行 (1-j)特に、刊行物1の11頁左下欄4行〜12頁左下欄13行、13頁右下欄7行〜14頁左下欄17行の記載、及び、図面第8D、9図の記載を参酌すると、刊行物1には、 「停止図柄決定用カウンタのカウント値の判断の結果大当りの値である場合に、停止図柄データ記憶エリアのエリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更することにより、大当りの前兆としてリーチ目で可変表示装置の可変表示を停止させるようにし、前記リーチ目で停止する可変表示後、1〜4回後の可変表示の停止図柄が特定の識別情報となるように前記可変表示装置の可変表示を停止させるように制御する」実施例が記載されていると認められる。 (1-k)前記「2-2.」に記載した(1-a)〜(1-f)の記載事項及び前記(1-i)(1-j)の記載事項からみて、刊行物1には、下記の発明(以下、「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。 「複数種類の識別情報を可変表示し、その停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与できるように定められた可変表示装置と、始動入賞記憶のあることに基づいて該可変表示装置の可変表示を開始すると共に停止図柄決定用カウンタのカウント値を判断して、その判断の結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を大当りまたは外れの識別情報で停止するように制御する弾球遊技機において、 前記判断の結果大当りの値である場合に、停止図柄データ記憶エリアのエリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更することにより、大当りの前兆としてリーチ目で可変表示装置の可変表示を停止させるようにし、前記リーチ目で停止する可変表示後、1〜4回後の可変表示の停止図柄が大当りに対応する特定の識別情報となるように前記可変表示装置の可変表示を停止させるように制御する弾球遊技機。」 3-2.対比 本願発明と引用発明Bを対比する。 引用発明Bの「複数種類の識別情報を可変表示し」は、本願発明の「複数の表示態様を可変表示し」に対応し、以下同様に、 引用発明Bの「その停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて」は、本願発明の「その停止時の表示態様に従って」に、 引用発明Bの「始動入賞記憶のあることに基づいて該可変表示装置の可変表示を開始すると共に停止図柄決定用カウンタのカウント値を判断して」は、本願発明の「所定の遊技条件が成立したとき該可変表示装置を駆動すると共に入賞判定を行い」に、 引用発明Bの「その判断の結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を大当りまたは外れの識別情報で停止するように制御する」は、本願発明の「その判定結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を入賞または外れの表示態様となるように停止制御する制御手段とを備えた」に、 引用発明Bの「弾球遊技機」は、本願発明の「遊技機」に、 引用発明Bの「前記判断の結果大当りの値である場合」は、本願発明の「前記入賞判定の結果が特定の入賞である場合」に、 引用発明Bの「可変表示の停止図柄が大当りに対応する特定の識別情報となるように」は、本願発明の「遊技者が特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するように」に、 引用発明Bの「可変表示装置の可変表示を停止させるように制御する」は、本願発明の「制御手段は、可変表示装置の可変表示を停止制御する」に対応する。 したがって、両者は、以下の点で一致し、また、相違する。 <一致点> 「複数の表示態様を可変表示し、その停止時の表示態様に従って所定の遊技価値を付与できるように定められた可変表示装置と、所定の遊技条件が成立したとき該可変表示装置を駆動すると共に入賞判定を行い、その判定結果に応じて前記可変表示装置の可変表示を入賞または外れの表示態様となるように停止制御する制御手段とを備えた遊技機において、 前記制御手段は、前記入賞判定の結果が特定の入賞である場合に、遊技者が前記特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するように前記可変表示装置の可変表示を停止制御する遊技機。」 <相違点> 遊技者が特定の入賞として識別できる入賞態様を表示するのは、本願発明では、「任意回数の特別ゲームを実行し、それらのゲームの回数に応じて所定の表示態様を表示し、前記特別ゲームが終了した時」であるのに対して、引用発明Bでは、大当りの前兆としてリーチ目で停止する可変表示後、1〜4回後の可変表示の停止時であり、任意回数の特別ゲームを実行するものではない点。 3-3.判断 刊行物1に記載された引用発明Aは、「判断の結果大当りの値である場合に、各回の可変表示の停止時に表示順序が予め決められた4種類の異なる前兆パターンの図柄を表示する4回の可変表示をし、前記4回の可変表示の次に大当りに対応する特定の識別情報で停止する可変表示をするように可変表示装置を制御する」ものであり、 引用発明Aにおける、停止時に前兆パターンの図柄を表示する4回の可変表示をし、前記4回の可変表示の次に大当りに対応する特定の識別情報で停止する可変表示をすることは、「任意回数の特別ゲームを実行」することといえ、引用発明Aにおける、各回の可変表示の停止時に表示順序が予め決められた4種類の異なる前兆パターンの図柄を表示することと、前記4回の可変表示の次の可変表示の停止時に、大当りに対応する特定の識別情報を表示することは、「特別ゲームの回数に応じて所定の表示態様を表示」することといえ、引用発明Aにおける、停止時に前兆パターンの図柄を表示する4回の可変表示の次の可変表示が、大当りに対応する特定の識別情報で停止した時は、「特別ゲームが終了した時」といえる。 したがって、前記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明Bに引用発明Aを適用して、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明によって奏せられる効果は、引用発明B及び引用発明A(刊行物1に記載された発明)によって奏せられる効果と比較して、格別顕著なものではない。 したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3-4.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-11-04 |
結審通知日 | 2005-11-08 |
審決日 | 2005-11-24 |
出願番号 | 特願平6-221480 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
白樫 泰子 林 晴男 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 藤田 和子 |
代理人 | 堀 進 |