ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F16L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L |
---|---|
管理番号 | 1136066 |
審判番号 | 不服2004-25827 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2004-01-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-12-16 |
確定日 | 2006-05-08 |
事件の表示 | 特願2002-177207「消音カバー付きノズル」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月22日出願公開、特開2004- 19818〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年6月18日の出願であって、平成16年6月21日付および平成16年10月4日付で手続補正がなされたが、平成16年11月2日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年12月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年1月17日受付で手続補正がなされたものである。 2.平成17年1月17日受付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年1月17日受付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正の目的について 本件補正は、補正前の特許請求の範囲(平成16年10月4日付手続補正で補正された明細書に記載のもの)に記載された、 「【請求項1】 水と空気の二流体あるいは水のみの一流体からなる噴霧を発生するノズルと、該ノズルの外周と間隔をあけて閉断面で囲むと共に、該ノズル先端側を開口した消音カバーを備え、 上記消音カバーの枠体の中空部にノズル支持バーで支持して上記ノズルを配置し、該枠体の長さ、内径、開口面積は、前記中空部に配置するノズルの噴霧角度と対応させて、上記枠体の最内周の吸音層に噴霧が達しない寸法として、該枠体に濡れが発生しない構成とし、かつ、 上記枠体は積層構造とし、最外周は金属、樹脂あるいはセラミックからなる無垢材で形成して遮音層とし、最内周はスポンジ、ガラスウールあるいは/およびロックウールからなる吸音材で形成して吸音層とし、この吸音層と上記遮音層の間に、エアークッション材、メッシュ材、パンチング材、ラス材、スペーサーあるいは/およびハニカムからなる空気層を設けていることを特徴とする消音カバー付きノズル。 【請求項2】 上記消音カバーの枠体は、円筒の先端開口側に拡径部を有するラッパ形状とし、前記ノズルは加湿用ノズルとすると共に前記枠体の円筒内に配置している請求項1に記載の消音カバー付きノズル。 【請求項3】 上記吸音材の厚さは10mm〜30mm、上記空気層の厚さは10mm以下、上記遮音層の厚さは1mm〜10mmとし、前記枠体は内周面から外周面にかけて最内周吸音層、第1空気層、中間吸音層、第2空気層、最外周遮蔽層としている請求項1または請求項2に記載の消音カバー付きノズル。 【請求項4】 上記ノズルから1m離れた位置で該ノズルからの噴霧音を60dB以下として、上記枠体でノズルを囲まない場合と比較して10〜15dB低下させる構成としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の消音カバー付きノズル。 【請求項5】 上記加湿用ノズルはノズル本体の先端に一対のノズルチップを組みつけ、これらノズルチップの噴射口を対向させて衝突混合させて噴霧させる構成としている請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の消音カバー付きノズル。」 を、 「【請求項1】 水と空気の二流体あるいは水のみの一流体からなる噴霧を発生する加湿用のノズルと、該ノズルの外周と間隔をあけて囲むと共に、該ノズル先端側を開口とした筒状の枠体からなる消音カバーを備え、 上記消音カバーの枠体の中空部にノズル支持バーで支持して上記ノズルを配置し、該枠体の長さ、内径、開口面積は、上記中空部に配置するノズルの噴霧角度と対応させて、上記枠体の最内周の吸音層に噴霧が達しない寸法として、該枠体に濡れが発生しない構成とし、かつ、 上記消音カバーの枠体は積層構造とし、最外周は金属、樹脂あるいはセラミックからなる無垢材で形成して遮音層とし、最内周はスポンジ、ガラスウールあるいは/およびロックウールからなる吸音材で形成して上記吸音層とし、この吸音層と上記遮音層の間に、エアークッション材、メッシュ材、パンチング材、ラス材、スペーサーあるいは/およびハニカムからなる空気層を設け、 上記吸音層の厚さは10mm〜30mm、上記空気層の厚さは10mm以下、上記遮音層の厚さは1mm〜10mmとし、前記枠体は内周面から外周面にかけて最内周吸音層、第1空気層、中間吸音層、第2空気層、最外周遮蔽層としている消音カバー付きノズル。 【請求項2】 上記消音カバーの枠体、円筒の先端開口側に拡径部を有するラッパ形状とし、上記加湿ノズルは、ノズル本体の先端に一対のノズルチップを組みつけ、これらノズルチップの噴射口を対向させて水と空気の二流体を衝突混合させて噴霧させる加湿用ノズルとし、該加湿用ノズルを上記消音カバー内に1つ配置している請求項1に記載の消音カバー付きノズル。 【請求項3】 上記加湿用ノズルはノズル本体の先端に一対のノズルチップを組みつけ、これらノズルチップの噴射口を対向させて水と空気の二流体を衝突混合させて噴霧させる加湿用ノズルとし、該加湿用ノズルを所要角度間隔をあけて2組備え、 上記消音カバーは、1つの円筒部から2方向へ分岐すると共にそれぞれ先端が開口した第1分岐管と第2分岐管を備えた枠体を備え、該枠体内の第1分岐部と第2分岐部に設けたノズル支持材で上記各加湿用ノズルを支持して各分岐管の中空部に位置するように保持している請求項1に記載の消音カバー付きノズル。 【請求項4】 上記加湿用ノズルはノズル本体の先端に一対のノズルチップを組みつけ、これらノズルチップの噴射口を対向させて水と空気の二流体を衝突混合させて噴霧させる加湿用ノズルとし、該加湿用ノズルを90度間隔をあけて4組備え、 上記消音カバーは、4つの開口を等間隔をあけて設けた球殻体とし、該消音カバーの中空部に前記4組の加湿用ノズルを上記開口が噴射側となるように配置している請求項1に記載の消音カバー付きノズル。 【請求項5】 上記ノズルから1m離れた位置で該ノズルからの噴霧音を60dB以下として、上記枠体でノズルを囲まない場合と比較して10〜15dB低下させる構成としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の消音カバー付きノズル。」 と補正することを含むものである。 上記補正は、補正前の請求項1に補正前の請求項3に記載された特定事項を加えるとともに、発明の構成要件である「ノズル」が加湿用であるとの限定を付加して補正後の請求項1とし、補正前の請求項2に補正前の請求項請求項5に記載された特定事項を加えるともに、発明の構成要件である「衝突混合させる流体」が水と空気の二流体であるとの限定および発明の構成要件である「加湿用ノズル」を「枠体あるいは消音カバー内に1つ配置している」との限定を付加して補正後の請求項2とし、補正前の請求項4の項番号を変更して補正後の請求項5とするものである。 そうすると、補正前の請求項2、3、5のうちの二つの請求項は削除されており、補正後の請求項3、4は、補正前のどの請求項に対してもこれを限定するものとはならず、新たに追加された請求項と解釈せざるを得ないが、そのような補正は、たとえそれが一つの請求項に記載された発明特定事項を限定する趣旨でされたものであるとしても、特許法第17条の2第4項2号に定める「特許請求の範囲の減縮」には当たらないというべきである。また、請求項の削除、誤記の訂正、および明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。 (2)独立特許要件について 仮に、本件補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内にしたものであり、補正の目的が、特許法第17条の2第4項の規定に適合するものであるとした場合、補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。 (2-1)引用例 本願の出願前国内において頒布された引用文献である、特開平2-233166号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 「噴霧ノズルは液体を室内等の空間に噴霧させるために使用される。噴霧液滴の微細化のためには、噴霧ノズルでのアトマイズエネルギーを大きくした高圧の液(又は気泡)をノズルに供給する必要がある。しかし、液或いは気泡を高圧化すると必然的に噴霧ノズルからの噴霧液の発生音が大きくなって騒音を引き起こす。そこで、このような発生音を低下させる手段として、音の進行方向を屈曲させることが考えられ、吹き出し口に曲がり管等を設けることが考えられている。 第9図は従来の噴霧ノズルの消音を目的とした噴霧装置の説明図である。第9図に示すように噴霧ノズル71では液体配管73及びエア配管75からの気液混合体が噴霧され、液体は噴霧液滴となって前方に放出される。噴霧ノズル71の周囲には消音筒77が設けられると共に、その前方には湾曲プレート79が配せられる。前方に吹出された噴霧液滴は噴霧方向が変えられる。そして、噴霧ノズル71からの発生音波も同様に湾曲プレート79に衝突して消音される。これにより、噴霧される空間或いは室内の騒音が防止される。〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながら、湾曲プレート79は消音作用を有するが、噴霧液滴はこの湾曲プレート79に慣性衝突して粗大化し、この為、粗大化液滴が空間中に放出され、器物、床等に落下して濡らす不具合がある。」(第1頁左下欄18行〜第2頁左上欄5行) そして、第9図には、噴霧ノズル71外周に、該噴霧ノズルに対して間隔をあけて囲む消音筒77を配置した噴霧装置が記載されている。 上記記載および第9図からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。 「液体とエアの二流体からなる噴霧ノズル71と、該噴霧ノズルの外周と間隔をあけて囲むと共に、該ノズル先端側を開口とした筒状の枠体からなる消音筒を備えた消音筒付き噴霧ノズル。」 同じく、本願の出願前国内において頒布された引用文献である、実願平5-2064号(実開平6-60449号)のCD-ROM(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 「【0008】 【実施例】 図1は本考案の実施例による空気圧ノズル1を示した断面図であり、11はノズル筒、12はノズル口、5はノズル口12から突出した状態でノズル口12と同心状に配備された筒状体である。 【0009】 筒状体5は、ノズル口12の口径d0よりも径大な有孔筒体6と、この有孔筒体6の外側に配備された吸音層7と、吸音層7の外面を取り囲む外筒8とを備えている。・・・・ 【0010】 以上の構成を備えた空気圧ノズル1において、ノズル筒11またはノズル筒11に至る給水路に溜まった水が空気圧によりノズル口12から勢いよく押し出されると、ノズル口12から水塊が出てしまった直後にそのノズル口12から空気が急速に膨張しながら排出される。こうして排出された空気は有孔筒体6の小さな孔を通過したり有孔筒体6の邪魔板としての作用などにより膨張の勢いが緩和され、また、吸音層7によってその空気の勢いが吸収されて筒内での反射を起こしにくくなる。そして、有孔筒体6を通過した空気は外筒8により外周方向への漏れが防止されて上板81の空気抜き孔82から速やかに排出される。このため、空気の急速な膨張に伴う音の発生が抑制されるのみならず、発生した音は吸音層7により吸収される。さらに、外筒8が遮音に役立つのでその遮音作用により音が外部に聞こえにくくなる。・・・・」 「【0012】 有孔筒体6にはメッシュ網体やパンチングメタルなどを用いることができ、その際に円筒状の複数の有孔筒体6を少しの間隙をおいてあるいは重ね合わせて同心状に嵌合させた多層筒状に構成しても、あるいは上掲の素材を少しの間隙をおいてあるいは重ね合わせて渦巻き状に巻いて有孔筒体6としてもよい。また、筒壁を波形に成形した有孔筒体や筒壁に凹凸を形成した有孔筒体、さらには多数の襞を具備する有孔筒体を用いることも可能である。吸音層7には多孔質材や繊維集合体などの吸音機能を発揮する素材が用いられ、この吸音層7と上記有孔筒体6との相互間には間隙を設けても間隙を設けなくてもよい。」 (2-2)対比・判断 補正発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「エア」は、補正発明の「空気」に相当し、以下同様に、「噴霧ノズル71」は「ノズル」に、「消音筒77」は「消音カバー」に、それぞれ相当するから、 両者は、 「液体と空気の二流体からなる噴霧を発生するノズルと、該ノズルの外周と間隔をあけて囲むと共に、該ノズル先端側を開口とした筒状の枠体からなる消音カバーを備えた消音カバー付きノズル。」 である点で一致し、次の点で相違している。 [相違点1]補正発明のノズルは、水と空気の二流体あるいは水のみの一流体からなる噴霧を発生する加湿用のノズルであるのに対して、引用例発明のノズルは、液体と空気の二流体からなる噴霧を発生するノズルではあるが、液体が水であるとの限定がなく、また、加湿用であるとの限定もない点。 [相違点2]補正発明は、消音カバーの枠体の中空部にノズル支持バーで支持して該ノズルを配置するとともに、枠体の長さ、内径、開口面積は、中空部に配置するノズルの噴霧角度と対応させて、枠体の最内周の吸音層に噴霧が達しない寸法として、該枠体に濡れが発生しない構成としたのに対して、引用例発明は、消音カバーの枠体の中空部にノズルを配置するものであるが、引用文献1には、該ノズルをどのような手段により支持するのか記載されておらず、また、枠体の長さ、内径、開口面積についても、どのような寸法とするのか記載されていない点。 [相違点3]補正発明の消音カバーの枠体は積層構造とし、最外周は金属、樹脂あるいはセラミックからなる無垢材で形成して遮音層とし、最内周はスポンジ、ガラスウールあるいは/およびロックウールからなる吸音材で形成して吸音層とし、この吸音層と上記遮音層の間に、エアークッション材、メッシュ材、パンチング材、ラス材、スペーサーあるいは/およびハニカムからなる空気層を設け、上記吸音層の厚さは10mm〜30mm、上記空気層の厚さは10mm以下、上記遮音層の厚さは1mm〜10mmとし、前記枠体は内周面から外周面にかけて最内周吸音層、第1空気層、中間吸音層、第2空気層、最外周遮蔽層としているのに対して、引用文献1には、消音カバーの枠体が、積層構造であるのか否か、あるいは、どのような材質のものからなるのか、さらに、消音カバーの枠体の厚さについて、なにも記載されていない点。 上記相違点1について検討すると、ノズルに水と空気の二流体あるいは水のみを供給して、加湿用のノズルとすることは、従来周知の事項である(例えば、特開2001-330285号公報、特開平8-278047号公報参照。)から、引用例発明のノズルに供給する液体を水として加湿用のノズルとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、上記相違点2について検討すると、ノズルを筒状の部材の中空部に支持するに際して、支持バーで支持するようにしたものは従来周知である(例えば、特開平11-276621号公報、実願平4-22881号(実開平5-74670号)のCD-ROM参照。)。 また、枠体の形状に関しては、引用文献1の第4、6、7、9図のいずれにも、消音筒中空部に配置するノズルの噴霧角度と対応させて、枠体の内周に噴霧が達しない寸法とした消音筒が記載されており、さらに、同文献には、「湾曲プレート79は消音作用を有するが、噴霧液滴はこの湾曲プレート79に慣性衝突して粗大化し、この為、粗大化液滴が空間中に放出され、器物、床等に落下して濡らす不具合がある。」(第2頁左上欄1〜5行)と記載され、このような不具合は、噴霧液滴が消音筒に衝突した場合にも同様に生じることは明らかである。そして、相違点3についての検討で後述するように、遮音壁の音源側に吸音層を設けることは従来周知の事項であるから、引用例発明において、ノズルを支持バーで支持するとともに、枠体の長さ、内径、開口面積は、中空部に配置するノズルの噴霧角度と対応させて、枠体の最内周の吸音層に噴霧が達しない寸法として、該枠体に濡れが発生しない構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、上記相違点3について検討すると、引用文献2には、噴射ノズルからの消音カバーを、メッシュ網体、パンチングメタルからなる有孔筒体(本願補正発明の「空気層」に相当する。)、吸音層、外筒(本願補正発明の「遮音層」に相当する。)からなる積層構造の枠体により形成したものが記載されているし、スポンジ、ガラスウール、ロックウールを吸音材とすることは従来周知の事項であり(例えば、特開平8-87279号公報、特開平2-212895号公報参照。)、また、遮音壁における吸音層および空気層の配置についても、音源側から、吸音層、空気層、遮音層の順に配置すること(前者)、あるいは、これら吸音層と空気層の積層を複数繰り返すこと(後者)は、ともに従来周知である(例えば、前者については、特開2000-8510号公報、実願平2-50253号(実開平4-10612号)のマイクロフィルム、実願昭58-169142号(実開昭60-78432号)のマイクロフィルム、後者については、特開平2-212895号公報、特開平8-87279号公報参照。)。さらに、遮音層を金属、樹脂あるいはセラミックからなる無垢材のような比重の高い材料を使用するのが効果的であることは技術常識であり、また、各層の厚さをどの程度とするかは、騒音の大きさ、要求される静粛度等に応じて当業者が適宜選定し得る設計事項であるから、引用例発明に引用文献2に記載された発明および周知の事項を適用して、上記相違点3における補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、補正発明の効果は、引用文献1、2に記載された発明、および周知技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 よって、補正発明は、本願の出願前に国内において頒布された引用文献1、2に記載された発明、および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)むすび 以上(1)(2)で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項、あるいは特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定に違反してなされたものであり、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成17年1月17日受付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年10月4日付の手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 水と空気の二流体あるいは水のみの一流体からなる噴霧を発生するノズルと、該ノズルの外周と間隔をあけて閉断面で囲むと共に、該ノズル先端側を開口した消音カバーを備え、 上記消音カバーの枠体の中空部にノズル支持バーで支持して上記ノズルを配置し、該枠体の長さ、内径、開口面積は、前記中空部に配置するノズルの噴霧角度と対応させて、上記枠体の最内周の吸音層に噴霧が達しない寸法として、該枠体に濡れが発生しない構成とし、かつ、 上記枠体は積層構造とし、最外周は金属、樹脂あるいはセラミックからなる無垢材で形成して遮音層とし、最内周はスポンジ、ガラスウールあるいは/およびロックウールからなる吸音材で形成して吸音層とし、この吸音層と上記遮音層の間に、エアークッション材、メッシュ材、パンチング材、ラス材、スペーサーあるいは/およびハニカムからなる空気層を設けていることを特徴とする消音カバー付きノズル。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、2、および、その記載事項は、前記「2.(2-1)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.(2)で検討した補正発明から、「ノズル」についての限定事項である「加湿用」との構成、および、枠体を構成する吸音層、空気層、遮音層についての限定事項である「上記吸音層の厚さは10mm〜30mm、上記空気層の厚さは10mm以下、上記遮音層の厚さは1mm〜10mmとし、前記枠体は内周面から外周面にかけて最内周吸音層、第1空気層、中間吸音層、第2空気層、最外周遮蔽層としている」との構成を省くものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を限定したものに相当する補正発明が、前記「2.(2-2)」に記載したとおり、引用文献1、2に記載された発明および周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用文献1、2に記載された発明および周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-21 |
結審通知日 | 2006-02-28 |
審決日 | 2006-03-16 |
出願番号 | 特願2002-177207(P2002-177207) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F16L)
P 1 8・ 575- Z (F16L) P 1 8・ 572- Z (F16L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 丸山 英行、上原 徹 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
岡本 昌直 原 慧 |
発明の名称 | 消音カバー付きノズル |
代理人 | 大和田 和美 |