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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F28F
管理番号 1136966
審判番号 不服2005-5372  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-30 
確定日 2006-05-18 
事件の表示 平成 8年特許願第 49213号「アルミニウム合金製熱交換器」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 9月19日出願公開、特開平 9-243290〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判請求に係る出願は、平成8年3月6日の出願であって,平成17年2月21日付けで拒絶査定(発送日:同年3月1日)がなされ,これに対し,平成17年3月30日に拒絶査定不服審判が提出されるとともに,平成17年4月21日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年4月21日付手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成17年4月21日付手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の発明
平成17年4月21日付手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許法第17条の2第1項第4号に規定する期間内になされたものであって,特許請求の範囲の請求項1を次のように補正することを含むものである(以下,「本件補正発明」という。)。
「それぞれがアルミニウム合金により管状に造られ、互いに間隔をあけて配置された1対のヘッダと、
各ヘッダの上下両端開口部を塞ぐ蓋体と、
上記各ヘッダの側面で互いに対向する部分に形成された、それぞれがスリット状である複数の通孔と、
それぞれがアルミニウム合金により扁平管状に形成され、各通孔の内側にそれぞれの両端部をがたつきなく挿入された複数本の伝熱管と、
それぞれがアルミニウム合金製の薄板を波形に形成して成り、隣り合う伝熱管の間に挟持されたフィンとを備え、
上記1対のヘッダの上下両端部と上記各蓋体との間、
上記各通孔の内周縁と上記各伝熱管の両端部外周面との間、
上記各伝熱管の側面と上記フィンとの当接部を、
それぞれアルミニウム合金製のろう材によりろう付けして成るアルミニウム合金製熱交換器に於いて、
少なくとも上記各ヘッダの下端開口部を塞ぐ蓋体若しくはこの蓋体を覆う状態で上記各ヘッダの下端部に固定されるブラケットは、上記各ヘッダの下端部と嵌合する円筒部を備え、
この円筒部の周面と上記各ヘッダの周面とをろう付けする事により上記各ヘッダの下端部に固定されており、
互いにろう付けされる上記円筒部の周面と上記各ヘッダの周面とのうちの一方の周面には、上記蓋体若しくはブラケットと上記ヘッダとを固定する為に相手面と嵌合し、且つ、ろう付け時にろう材が上記ヘッダの周面と上記円筒部の周面との間に入り込む隙間を形成する、他方の周面に向けて突出する複数の小突起が形成されており、これら小突起は、上記一方の周面の円周方向3個所以上で、且つ、各部毎に軸方向に複数個ずつ形成されたものである事を特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。」
当該補正は,「小突起が形成されている事」を「複数の小突起が形成されており、これら小突起は、上記一方の周面の円周方向3個所以上で、且つ、各部毎に軸方向に複数個ずつ形成されたものである事」と限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで,本件補正発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例に記載された事項及び発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-32698号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに次の記載がある。
(a)「表面にろう材が被覆された管材の長さ方向にチューブ挿入孔を列設したヘッダを左右一対形成し、上記チューブ挿入孔にチューブの端部を挿入し、各チューブの間隔内にフィンを配設すると共に、上記ヘッダにブラケットを仮組して熱交換器組立物を形成し、この組立物を炉内で加熱してロウ付する熱交換器の製造方法において、
上記ヘッダとブラケットとの止着面の少なくとも一方に凹凸加工を施し、ヘッダとブラケットとの間に隙間を形成し、この隙間内にロウ材を浸透させてロウ付することを特徴とする熱交換器の製造方法。」(特許請求の範囲参照)
(b)「第1図は熱交換器1の正面図であって、この熱交換器1は、水平状態で複数のチューブ2を上下方向に配設し、各チューブ2の間にフィン3を介在させている。上記チューブ2は、例えば所謂ハーモニカチューブと呼ばれる多孔型の扁平なチューブ2であって、アルミニウム材の押出型材からなる。
また、フィン3は、上記チューブ2と同じくアルミニウム製であり、チューブ2とほぼ同じ幅を有しており、上下端が各チューブ2にロウ付されている。
上記チューブ2の左右両端には断面円形のアルミニウム製のヘッダ4を設ける。また、左ヘッダ4lの上端付近には冷媒入口管5を延設し、右ヘッダ4rの下端付近には冷媒出口管6を設ける。尚、各ヘッダ4の上下端はキャップ7・・・により閉塞してあり、これにより熱交換器1のコアを形成している。」(第2頁左下欄第4行目〜右下欄第1行目)
(c)「上記において、チューブ2及び/又はヘッダ4はブレージングシートを成形した電縫管であってもよい。また、ろう材は溶射などにより母材の表面に被覆してもよい。」(第2頁右下欄第8〜11行目)
(d)「上記のような構成の熱交換器1を車載するには、ブラケット8を設けなければならない。このブラケット8は、例えばアルミニウムの板材を、ヘッダ4の外径に対応して円弧状に屈曲させてなり、ヘッダ4の外周面のほぼ1/3と接触可能な受部9を有すると共に、該受部9から平板状に延出して上記コアを車両の止着フレーム(図示せず)に止着するための腕部11を有している。
そして、受部9の内面には、ヘッダ4の外面との間に若干の隙間dが生じるように凹凸加工を施して凹凸部12を設ける。この凹凸部12は、例えば第3図(A)に示すように、網目状に筋12aを設けてもよいし、第3図(B)に示すように、多数の突起12bを設けてもよいし、第3図(C)に示すように、平行な溝部または畝部12cを設けてもよい。尚、図示の実施例では、凹凸加工をブラケット8の内面側に施しているが、この凹凸加工は、ブラケット8またはヘッダ4の少なくとも一方に施せばよいので、ヘッダ4の外面に施してもよい。」(第2頁右下欄第12行目〜第3頁左上欄第11行目)
(e)「このブラケット8の材質としては、アルミニウム合金であって、マンガン1.0〜1.5wt%及びマグネシウム0.2〜1.0wt%を含有し、残部をアルミニウム及び不可避不純物からなり、マグネシウムは0.3〜0.5wt%の範囲にあることが好ましい。上記のような組成のアルミニウム合金によれば、加熱・冷却によるなまりの発生がなく、ブラケット8の強度の低下を防止することができる。また、上記のようなアルミニウム合金は、加工性、耐食性、ろう付性等が良好である。
また、ヘッダ4の下端に設ける下側キャップ7bには、車両の支持フレーム10に形成した取付凹部13に嵌着したブツシュ14の嵌着孔15に嵌合するピン16を突設する。」(第3頁左上欄第12行目〜右上欄第6行目)
(f)「母材の外面にろう材層17を被覆形成したブレージングシートをパイプ状にしたアルミニウム管をヘッダ用として左右一対用意し、この管材に横長なチューブ挿入孔18を長さ方向に列設し、これらのチューブ挿入孔18にチューブ2の端部を挿入する。また、上記ヘッダ4には冷媒入口管5及び冷媒出口管6を延設する。
更に、アルミニウムの薄板にろう材層を被覆形成したブレージングシートを蛇行状に屈曲成形してコルゲートフィン3を構成し、このコルゲートフィン3を各チューブ2の間に介在状態に配置する。また、上記ヘッダ4の上下端に各々キャップ7a、7bを嵌着して各ヘッダ4の端部な閉塞する。尚、これらのキャップ7・・・は予めヘッダ用管材にろう付しておいてもよい。また、下側キャップ7bにはピン16を予め設けておいてもよいし、後述する一括ろう付の際にろう付してもよい。」(第3頁右上欄第9行目〜左下欄第6行目)
(g)「上記のようにして左右のヘッダ4r、4lの間にチューブ2やフィン3等を配置すると共に、ヘッダ4r、4lの外面に上下左右のブラケット8を仮止する。これらのブラケット8は前記したように凹凸部12を有するもので、ヘッダ4に仮止した場合に所定の隙間dが形成される。尚、この隙間dは0.1mm以上あればよい。
そして、上記のようにして左右のヘッダ4r,4lの間にチューブ2やフィン3を配置し、且つヘッダ4r、4lの外面にブラケット8を仮止めし、針金等で結束して仮組した熱交換器組立物を、真空炉内で、或いは例えば窒素ガス等の不活性ガスを注入した炉内に挿入し、必要ならば例えばフッ化物系フラックスを使用して加熱する。加熱するとプレージングシートのろう材層が溶け、溶けたろうが各母材間の隙間に毛細管現象により浸透し、各母材を互いに固定する。このとき、ヘッダ4とブラケット8との間には、所定の間隔の隙間、即ち0.1mm以上の隙間dが形成しであるので、フラックスやろう材が上記隙間dに充分に浸透可能であるので、酸化被膜が存在することがないと共に、ろう材が充分に浸透して隙間dを塞ぐので、ヘッダ4とブラケット8が強固に固定される。」(第3頁左下欄第7行目〜右下欄第10行目)
ところで,引用例1には,ブララケットをアルミニウム合金製とすることは,上記記載事項(e)に記載されているが,上記記載事項(b),(c),(d)及び(e)の記載を参酌するに,ヘッダ,チューブ,フィンを構成する材質として,「アルミニウム製」,「アルミニウム材」,「アルミニウムの板材」等の記載はあるが,「アルミニウム合金」という直接的な記載はない。しかしながら,技術常識を参酌すれば,一般的に「アルミニウム製」と言えば,「アルミニウム」そのものに加え,「アルミニウム合金」をも含むものと認められる(必要であれば,本件審判請求に係る出願の明細書で従来の技術として例示されている実願平2-405139号(実開平4-94159号)のマイクロフィルムの段落0003等参照。)。そうしてみると,引用例1において,ヘッダ,チューブ,フィン等をアルミニウム合金製として,アルミニウム合金製熱交換器を構成することは,記載されているに等しい事項である。
また,引用例1には,ろう材の材質について直接的な記載はないが,アルミニウム合金のろう付けにおいて,アルミニウム合金製のろう材を使用することは,普通に行われていることであり,引用例1記載のろう材もアルミニウム合金製を使用していることは自明のなことである。
たいして,これらの事項を総合すると引用例1には,
「それぞれがアルミニウム合金により管状に造られ,互いに間隔をあけて配置された1対のヘッダと,
各ヘッダの上下端を塞ぐキャップと,
上記各ヘッダの側面で互いに対向する部分に形成された,それぞれが横長なチューブ挿入孔と,
それぞれがアルミニウム合金により扁平管状に形成され,各挿入孔の内側にそれぞれの両端部をがたつきなく挿入された複数本のチューブと,
それぞれがアルミニウム合金製の薄板を蛇行状に屈曲成形して成り,隣り合うチューブの間に挟持されたフィンとを備え,
上記1対のヘッダの上下両端部と上記各キャップとの間,
上記各挿入孔の内周縁と上記チューブの両端部外周面との間,
上記各チューブの側面と上記フィンとの当接部を,
それぞれアルミニウム合金製のろう材によりろう付けして成るアルミニウム合金製熱交換器に於いて,
少なくとも上記各ヘッダの下端部を塞ぐキャップは,上記各ヘッダの下端部と嵌合する円筒部を備え,この円筒部の周面と上記各ヘッダの周面とをろう付けする事により上記各ヘッダの下端部に固定されている事を特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。」の発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されている。

同じく,原査定の拒絶の理由に引用された実願昭58-100761号(実開昭60-12096号)のマイクロフィルム(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに次の記載がある。
(h)「第4図は本考案に於けるチューブの取付構造を示すものであり,1は片面又は両面にロー材をクラッドしたパイプで,従来のロー材クラッドパイプと同様に扁平チューブ4を嵌入するための開口部2,3が設けられている。
偏平チューブ4はロー材クラッドパイプ1に設けられた開口部3,4に嵌入される先端4aが例えばサンドブラストを掛けると微細な凹凸を有するローラ間を通す等の手段により表面に微細な凹凸,溝等を設けて粗面にしてある。
このように表面を粗面にした偏平チューブ4の先端4aをロー材クラッドパイプ1の開口部2,3に嵌入し,従来と同様に炉中ロー付けをおこなうと,所定温度で溶融したロー材クラッドパイプ1のロー材は偏平チューブ4の先端4aの粗面の部位がロー材の濡れ性が良好となり,ロー材を毛細管現象によって吸い上げて粗面が設けられている先端4a全体にロー材を行き渡らせるとともに,偏平チューブ4でのロー材の表面張力Fが増しロー溜りが大きくなる。このため,第5図のようにロー材クラッドパイプ1と偏平チューブ4とのロー付け部5に設けられたフィレット6は内外に形成される。」(第4頁第5行目〜第5頁第7行目)

(3)対比
そこで,本件補正発明と引用例1に記載された発明とを比較すると,引用例1に記載された発明の「上下端」は,本件補正発明の「上下両端開口部」に相当し,同様に,「キャップ」は「蓋体」に,「横長なチューブ挿入孔」は「スリット状である複数の通孔」に,「挿入孔」は「通孔」に,「チューブ」は「伝熱管」に,「蛇行状に屈曲成形」は「波形に形成」に,それぞれ相当する。
以上の認定事項からみて,両者は次の一致点,相違点を有するものと認められる。
〔一致点〕
それぞれがアルミニウム合金により管状に造られ,互いに間隔をあけて配置された1対のヘッダと,
各ヘッダの上下両端開口部を塞ぐ蓋体と,
上記各ヘッダの側面で互いに対向する部分に形成された,それぞれがスリット状である複数の通孔と,
それぞれがアルミニウム合金により扁平管状に形成され,各通孔の内側にそれぞれの両端部をがたつきなく挿入された複数本の伝熱管と,
それぞれがアルミニウム合金製の薄板を波形に形成して成り,隣り合う伝熱管の間に挟持されたフィンとを備え,
上記1対のヘッダの上下両端部と上記各蓋体との間,
上記各通孔の内周縁と上記各伝熱管の両端部外周面との間,
上記各伝熱管の側面と上記フィンとの当接部を,
それぞれアルミニウム合金製のろう材によりろう付けして成るアルミニウム合金製熱交換器に於いて,
少なくとも上記各ヘッダの下端開口部を塞ぐ蓋体は,上記各ヘッダの下端部と嵌合する円筒部を備え,
この円筒部の周面と上記各ヘッダの周面とをろう付けする事により上記各ヘッダの下端部に固定されている事を特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
[相違点1]
本件補正発明では,互いにろう付けされる円筒部の周面と各ヘッダの周面とのうちの一方の周面には,蓋体と上記ヘッダとを固定する為に相手面と嵌合し,且つ,ろう付け時にろう材が上記ヘッダの周面と上記円筒部の周面との間に入り込む隙間を形成する,他方の周面に向けて突出する複数の小突起が形成されており,これら小突起は,上記一方の周面の円周方向3個所以上で,且つ,各部毎に軸方向に複数個ずつ形成されたものであるのに対して,引用例1発明では,そのような記載がない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
〔相違点1〕について
引用例1の上記記載事項(a),(d),(e),(g)及び引用例2の上記記載事項(h)を参酌すれば,アルミニウム合金から成る熱交換器を構成する部材どうしをろう付けするにあたって,十分な強度を得るために,一方のアルミニウム合金からなる部材の表面に凹凸や突起等を設け,他方のアルミニウム合金から成る部材との間に,ろう材が流れ込む隙間を設けて,安定した状態で十分に広い面積でろう付けすることは,周知の技術手段である。
そして,引用例1発明において,ヘッダの下端開口部と,ヘッダの下端部と嵌合する円筒部を備えた蓋体をろう付けするにあたって,互いにろう付けされる円筒部の周面と各ヘッダの周面とのうちの一方の周面に,蓋体と上記ヘッダとを固定する為に相手面と嵌合し,且つ,ろう付け時にろう材が上記ヘッダの周面と上記円筒部の周面との間に入り込む隙間を形成する,他方の周面に向けて突出する複数の小突起を形成することは,当業者が容易に想到し得ることである。
また,引用例1の上記記載事項(d),第3図(B)及び第4図を参酌すれば,これら複数の小突起を形成するにあたって,円筒部に対するヘッダの傾斜を少なくし,隙間を全周にわたって均一にするために,小突起を、上記一方の周面の円周方向3個所以上で,且つ,各部毎に軸方向に複数個ずつ形成するようにすることは,当業者が適宜なし得ることである。
〔作用効果〕について
本件補正発明の奏する作用効果も,引用例1,2に記載された発明及び周知の技術手段の奏する作用効果から予測できる以上の格別なものとも認められない。

(5)むすび
以上のとおり,本願補正発明は,引用例1,2に記載された発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願の請求項1に係る発明
平成17年4月21日付手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成17年1月20日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。
「それぞれがアルミニウム合金により管状に造られ、互いに間隔をあけて配置された1対のヘッダと、
各ヘッダの上下両端開口部を塞ぐ蓋体と、
上記各ヘッダの側面で互いに対向する部分に形成された、それぞれがスリット状である複数の通孔と、
それぞれがアルミニウム合金により扁平管状に形成され、各通孔の内側にそれぞれの両端部をがたつきなく挿入された複数本の伝熱管と、
それぞれがアルミニウム合金製の薄板を波形に形成して成り、隣り合う伝熱管の間に挟持されたフィンとを備え、
上記1対のヘッダの上下両端部と上記各蓋体との間、
上記各通孔の内周縁と上記各伝熱管の両端部外周面との間、
上記各伝熱管の側面と上記フィンとの当接部を、
それぞれアルミニウム合金製のろう材によりろう付けして成るアルミニウム合金製熱交換器に於いて、
少なくとも上記各ヘッダの下端開口部を塞ぐ蓋体若しくはこの蓋体を覆う状態で上記各ヘッダの下端部に固定されるブラケットは、上記各ヘッダの下端部と嵌合する円筒部を備え、
この円筒部の周面と上記各ヘッダの周面とをろう付けする事により上記各ヘッダの下端部に固定されており、
互いにろう付けされる上記円筒部の周面と上記各ヘッダの周面とのうちの一方の周面には、上記蓋体若しくはブラケットと上記ヘッダとを固定する為に相手面と嵌合し、且つ、ろう付け時にろう材が上記ヘッダの周面と上記円筒部の周面との間に入り込む隙間を形成する、他方の周面に向けて突出する小突起が形成されている事を特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-32698号公報(引用例1),及び,実願昭58-100761号(実開昭60-12096号)のマイクロフィルム(引用例2)の記載事項は,前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は,本件補正発明の「複数の小突起が形成されており、これら小突起は、上記一方の周面の円周方向3個所以上で、且つ、各部毎に軸方向に複数個ずつ形成されたものである事」という限定を外し,「小突起が形成されている事」とした以外は,同一のものである。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が,前記「2.(3)(4)」に記載したとおり,引用例1,2に記載された発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用例1,2に記載された発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1,2に記載された発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-01 
結審通知日 2006-03-07 
審決日 2006-03-27 
出願番号 特願平8-49213
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F28F)
P 1 8・ 121- Z (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上原 徹丸山 英行  
特許庁審判長 小椋 正幸
特許庁審判官 東 勝之
櫻井 康平
発明の名称 アルミニウム合金製熱交換器  
代理人 小山 武男  
代理人 中井 俊  
代理人 小山 欽造  

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