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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F
管理番号 1140245
審判番号 不服2004-16777  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-10-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-15 
確定日 2006-07-19 
事件の表示 平成 8年特許願第118132号「変動風発生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月21日出願公開、特開平 9-273800〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年4月5日の出願であって、その請求項1に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認められる(以下、「本願発明」という。)。

「室内に空気を吹き出す複数の吹出口、及び/又は、室内の空気を排気する複数の吸込口と、各吹出口及び/又は吸込口の空気流量を、比較的短い時間間隔で、また、複数の吹出口及び/又は吸込口相互間で相対的に変動させる空気流量変動手段と、を具備することを特徴とする変動風発生装置。」

2.引用例
当審の拒絶の理由に引用した特開平4-139350号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

・「〔産業上の利用分野]
この発明は空気分配装置に関し、特にたとえば中央式の空調機から送風された空気を複数の給気ダクトに分配する、空気分配装置に関する。」(第1頁左下欄第19行-右下欄第2行)

・「〔課題を解決するための手段]
この発明は、ケーシング、ケーシングの側面に形成されるかつ中央式の空調機からの空気を取り込む流入口、ケーシングの側面に形成されるかつ流入口から取り込まれた空気を送出する複数の送風口、ケーシングの内部に配置されるクランク軸、クランク軸の回転によって往復運動される連接棒、および送風口のそれぞれに設けられるかつ連接棒に連結されるダンパを備える、空気分配装置である。
[作用]
各送風口に設置されるダンパは、クランク軸の回転により往復運動される連接棒によって開閉される。したがって、クランク軸を回転すると、各送風口から送風される風量は、ダンパの開閉に伴って変化される。そして、それぞれのクランクアームが相互になす角度を調整して各ダンパの開閉に位相差を生じさせれば、各送風口から送風される風量の変化に位相差が生しる。
〔発明の効果〕
この発明によれば、各送風口から送風される風量を変化させることができるので、室内気流に脈動を生じさせることができ、室内空気の滞留を防止することができる。したがって、室内全域をむらなく空調することができ、しかも、空気のゆらぎによる快適さを増すことができる。」(第2頁左上欄第1行-右上欄第6行)

・「したがって、4つのダンパ24〜30は、第1ダンパ24,第4ダンパ30,第2ダンパ26,第3ダンパ28の順番でかつ互いに90°の位相差を有して周期的に開閉され得る。
そして、中央式の空調機58から送風され、流入口14からケーシング12の内部に取り込まれた空気は、各ダンパ24〜30の開度に応じて、各送風口16〜22を通して各給気ダクト60に分配され、各吹出口62からそれぞれ空調すべき部屋56へ送風される。」(第3頁右上欄第5-14行)

したがって、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用例発明」という。)。

「室内に空気を吹き出す複数の吹出口と、各吹出口の風量を、複数の吹出口相互間で相対的に変動させる空気分配装置と、を具備し、室内気流に脈動を生じさせ、室内空気の滞留を防止することができるように、しかも、空気のゆらぎによる快適さを増すことができるようにした空調装置。」

3.対比
本願発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「風量」は本願発明の「空気流量」に相当し、以下同様に、「空気分配装置」は「空気流量変動手段」に、また、「空調装置」は「変動風発生装置」にそれぞれ相当する。

したがって、両者は、「室内に空気を吹き出す複数の吹出口と、各吹出口の空気流量を、複数の吹出口相互間で相対的に変動させる空気流量変動手段と、を具備する変動風発生装置。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明では、各吹出口の空気流量を、比較的短い時間間隔で変動させるのに対して、引用例発明では、比較的短い時間間隔で変動させるとの限定はないが、各吹出口の空気流量を変動させることにより、室内気流に脈動を生じさせ、室内空気の滞留を防止することができるように、しかも、空気のゆらぎによる快適さを増すことができるようにした点。

4.相違点につての判断
引用例発明において、特に、空気のゆらぎによる快適さを増すために、各吹出口の空気流量を、比較的短い時間間隔で変動させることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例の記載から当業者が予測できた範囲内のものである。

なお、審判請求人は、平成18年2月17日付け意見書の第3頁「1.7」において、「変動″風″とはいうものの、その風速は人体近傍で0.5m/s程度を指向しており、むしろ、人体にとって″風″として認知させることを極力避ける方向にある点、および、比較的短い「定常状態がある」ことは、引用例1には開示されておりません。」と主張するが、この点は請求項1にも記載されていない。したがって、この主張は、請求項1に基づくものではない。

5.むすび
本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-08 
結審通知日 2006-05-16 
審決日 2006-05-30 
出願番号 特願平8-118132
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荘司 英史  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 東 勝之
長浜 義憲
発明の名称 変動風発生装置  
代理人 田中 成志  

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