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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E02D |
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管理番号 | 1140715 |
審判番号 | 不服2006-871 |
総通号数 | 81 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-07-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-01-12 |
確定日 | 2006-07-28 |
事件の表示 | 平成10年特許願第370622号「地下構造物の躯体と管材との接続構造」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月11日出願公開、特開2000-192485〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成10年12月25日の出願であって、平成17年12月7日付で拒絶査定がされ、これに対し、平成18年1月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年2月13日付で手続補正がなされたものである。 2.平成18年2月13日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年2月13日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「側壁に中継すべき管材と連通するための貫通孔を有した躯体と、 前記躯体の前記側壁から突設され、前記躯体側の基部が前記貫通孔に合致して連通する連通口部として形成され、先端部が前記連通口部よりも内径が大きく且つ前記管材の端部を受け入れ可能な受口部として形成された管状の管接続部と、 前記管接続部の受口部内に収容され、前記管材の端部が前記受口部内に受け入れられたときに前記受口部と前記端部との間に介在するアダプタとしての中空筒状のソケットとを備え、 前記ソケットは、 前記受口部の内径と略同一の外径と、 少なくとも前記管材の内周面の底と前記貫通孔の内周面の底とが同一の高さとなって前記管材から前記連通口部を経て前記貫通孔に至る流路の底を面一にすべく、前記管材の外径に応じて選択された内径を有する ことを特徴とする地下構造物の躯体と管材との接続構造。」 と補正された。 上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「接続管部」について、「前記躯体の前記側壁から突設され、前記躯体側の基部が前記貫通孔に合致して連通する連通口部として形成され、先端部が前記連通口部よりも内径が大きく且つ前記管材の端部を受け入れ可能な受口部として形成された管状の管接続部」との限定を付加するとともに、「ソケット」について、「前記管接続部の受口部内に収容され、前記管材の端部が前記受口部内に受け入れられたときに前記受口部と前記端部との間に介在するアダプタとしての中空筒状のソケット」との限定、並びに「前記受口部の内径と略同一の外径」及び「前記管材から前記連通口部を経て前記貫通孔に至る流路の底を面一にすべく、前記管材の外径に応じて選択された内径を有する」との限定を付加するものであって、特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された実願昭59-187960号(実開昭61-102650号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、「マンホールと埋設配管との接続構造」に関して、図面とともに、以下の記載がある。 (イ)「2.実用新案登録請求の範囲 マンホールと埋設配管との間に、片面には該マンホール開口部との嵌合部を有し、反対面には該嵌合部と偏心した前記配管端部との嵌合部を有するソケットブロックを介装することを特徴とするマンホールと埋設配管との接合構造。」(明細書第1頁第4-8行) (ロ)「(考案が解決しようとする問題点) 本考案は上記不都合を解決するために考案されたもので、一種類のマンホールで数種類のサイズの異なる埋設配管に対応できる接続構造を提供することを目的とする。・・・・ 配管サイズに応じて該ソケットブロックを交換することにより一種類のマンホールで各サイズの埋設配管と接続することができる。 (実施例) 第1図〜第4図に本考案の一実施例を示す。 第1図は、側断面組立図を示し、第2図は平面断面組立図を示す。両図において、マンホール1と埋設配管3あるいは調整用短管4との間にはソケットブロック2が介装されている。・・・」(同第2頁第2-19行) (ハ)「(考案の効果) 本考案の接続構造を用いることにより、従来のように埋設配管サイズ毎のマンホールを準備する必要がなくソケットブロックという小物部品のみ配管サイズに合わせて製作すればよいので部品管理が容易となる。また、既設の埋設配管のサイズを変更するような場合でも、マンホールを交換することを必要とせずソケットブロックを交換するのみで済むため現地工事が大幅に簡略化でき工期が短縮できる。・・・」(同第4頁第4-11行) (ニ)「マンホールの側壁にマンホール開口部を有した点。マンホール1の側壁に形成され、マンホール側の部分がマンホール開口部に合致して連通する口部として形成され、埋設配管側あるいは調整用短管側の部分が前記口部よりも内径が大きく且つ前記埋設短管3あるいは調整用短管4の端部を受け入れ可能な受口部として形成された管状の配管接続部分」(第1図、第2図、第4図(マンホール斜視概念図)) これらの記載及び図面の内容を総合すると、引用例には、 「側壁に中継すべき埋設配管3あるいは調整用短管4と連通するためのマンホール開口部を有したマンホール1と、 前記マンホール1の前記側壁に形成され、前記マンホール側の部分が前記開口部に合致して連通する口部として形成され、埋設配管側あるいは調整用短管側の部分が前記口部よりも内径が大きく且つ前記埋設配管3あるいは前記調整用短管4の端部を受け入れ可能な受口部として形成された管状の配管接続部分と、 前記管状の配管接続部分の受口部内に収容され、前記埋設配管3あるいは前記調整用短管4の端部が前記受口部内に受け入れられたときに前記受口部と前記端部との間に介在するソケットブロック2を備え、 前記ソケットブロック2は、 前記受口部の内径と略同一の外形と、管材の外径に応じて選択された内径を有する地下構造物のマンホール1と埋設配管3あるいは調整用短管4との接続構造。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「埋設配管3あるいは調整用短管4」、「マンホール1」、「マンホール開口部」及び「管状の配管接続部分」は、本願補正発明の「管材」、「躯体」、「貫通孔」及び「管状の管接続部」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「ソケットブロック2」は、埋設配管3あるいは調整用短管4を躯体に取り付けるための補助具の役割をし、かつ中空部を有する筒状をなしているので、本願補正発明の「アダプターとしての中空筒状のソケット」に相当する。さらに、引用発明の「管状の配管接続部分」における「マンホール側の部分」、「埋設配管側あるいは調整用短管側の部分」及び「前記開口部に合致して連通する口部」は、図面における位置関係及び当業者の技術常識からみて、本願発明の「躯体側の基部」、「先端部」及び「貫通孔に合致する連通口部」にそれぞれ相当する。 そうすると、両者は 「側壁に中継すべき管材と連通するための貫通孔を有した躯体と、 前記躯体の前記側壁に一体に形成され、前記躯体側の基部が前記貫通孔に合致して連通する連通口部として形成され、先端部が前記連通口部よりも内径が大きく且つ前記管材の端部を受け入れ可能な受口部として形成された管状の管接続部と、 前記管接続部の受口部内に収容され、前記管材の端部が前記受口部内に受け入れられたときに前記受口部と前記端部との間に介在するアダプタとしての中空筒状のソケットとを備え、 前記ソケットは、 前記受口部の内径と略同一の外径と、前記管材の外径に応じて選択された内径を有する 地下構造物の躯体と管材との接続構造。」 [相違点1] 管状の管接続部が、本願補正発明では、躯体の側壁に突設されているのに対して、引用発明では、躯体の側壁に一体に形成されている点 [相違点2] ソケットの内径が、本願補正発明では、少なくとも管材の内周面の底と貫通孔の内周面の底とが同一の高さとなって管材から連通口部を経て貫通孔に至る流路の底を面一にすべく、管材の外径に応じて選択されたものであるのに対して、引用発明では、管材の内周面の底と貫通孔の内周面の底とが同一の高さとなって管材から連通口部を経て貫通孔に至る流路の底を面一すべく、管材の外径に応じて選択されたものであるかどうか明らかでない点 (4)判断 [相違点1]について 管状の管接続部を躯体に設ける場合に、接続部材を躯体の側壁に突設させることは、周知慣用技術(例えば、特開平8-41920号公報、特開平10-168918号公報をを参照)にすぎないものであるから、引用発明の管状の管接続部を設ける際に、上記周知慣用技術のように、管状の管接続部を躯体の側壁に突設させることは、当業者であれば容易になし得ることである。 [相違点2]について 躯体の貫通孔に管体を接続し、これらの中に水等の液体を通過させる場合に、当該液体が円滑に通過するように、管材の内周面の底と躯体の貫通孔とが面一状態となるべく接続させることが普通である(例えば、特開平8-269992号(段落【0011】、図1、4-6)、実公昭55-6850号公報(第2頁第3欄第2-7行、図5)等参照)から、引用発明の管材の内周面の底と貫通孔の内周面の底とが同一の高さとなるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることであり、その面一の状況を実現できるように、ソケットの内径を、管材の外径に応じて選択することも適宜なし得ることである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明の記載及び周知慣用技術から当業者が予測できる範囲内のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成18年2月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年10月3日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「中継する管材を連通するための貫通孔とこの貫通孔に連通する管接続部とが設けられている躯体と、 前記管接続部の受口部とこの受口部に挿通された管材との間に装着される筒状のソケットとを備え、前記ソケットは、少なくとも前記管材の内周面の底と前記貫通孔の内周面の底とが同一の高さとなるように、前記管材の外径に応じた内径を有するものが選択され、 前記管接続部の受口部と前記管材との間に前記ソケットを装着した状態において、前記管材から前記貫通孔に至る流路の底が面一にされている ことを特徴とする地下構造物の躯体と管材との接続構造。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、「接続管部」の限定事項である「前記躯体の前記側壁から突設され、前記躯体側の基部が前記貫通孔に合致して連通する連通口部として形成され、先端部が前記連通口部よりも内径が大きく且つ前記管材の端部を受け入れ可能な受口部として形成された管状の管接続部」の構成を省くとともに、「ソケット」の限定事項である「前記管接続部の受口部内に収容され、前記管材の端部が前記受口部内に受け入れられたときに前記受口部と前記端部との間に介在するアダプタとしての中空筒状の」との限定、並びに「前記受口部の内径と略同一の外径」及び「前記管材から前記連通口部を経て前記貫通孔に至る流路の底を面一にすべく、前記管材の外径に応じて選択された内径を有する」の構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-05-25 |
結審通知日 | 2006-05-31 |
審決日 | 2006-06-13 |
出願番号 | 特願平10-370622 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(E02D)
P 1 8・ 121- Z (E02D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柴田 和雄、大森 伸一 |
特許庁審判長 |
大元 修二 |
特許庁審判官 |
西田 秀彦 木原 裕 |
発明の名称 | 地下構造物の躯体と管材との接続構造 |
代理人 | 長門 侃二 |