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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1147069
審判番号 不服2003-12568  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-09-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-03 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 5年特許願第 31699号「光ディスクのデータ検出方式」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 9月 2日出願公開、特開平 6-243598〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯・本願発明
本件審判の請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成5年2月22日の特許出願であって、その請求項1に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
光ディスクに記録されているデジタルデータを再生するときのデータ検出方式であって、
パーシャルレスポンス方式を利用して、再生信号をPR(1,2,1)特性に等化した後、
上記PR(1,2,1)特性に等化された信号をビタビ復号により最尤復号することを特徴とする光ディスクのデータ検出方式。」
(以下、「本願発明」という。)

2.引用例の記載

(1)引用例1(特開平4-298865号公報)
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-298865号公報(以下、「引用例1」という。)には、再生データ検出方式に関し、次の技術事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。)。
「本発明は再生データ検出方式に関し、特にディジタルVTR、光ディスク装置等に好適な、状態推移を利用したビットエラー訂正方式に関する。
・・・(中略)・・・
また、ディジタル光ディスク装置の一部では、パーシャルレスポンス(1,1)+ビタビ復号法という検出方式が使われている。
図10はパーシャルレスポンス(1,1)+ビタビ復号法のブロック図、図11は図10におけるタイミングチャートである。」(段落[0001]?[0003])

上記摘記事項及び図面の記載を参酌すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める。

「光ディスクに記録されているデジタルデータを再生するときのデータ検出方式であって、
パーシャルレスポンス方式を利用して、再生信号をPR(1,1)特性に等化した後、 上記PR(1,1)特性に等化された信号をビタビ復号により最尤復号する
光ディスクのデータ検出方式。」

(2)引用例2
同じく引用された、谷萩隆嗣「ディジタル信号処理の理論2」コロナ社(昭63-8-30)p.144?145 (以下、「引用例2」という。)には、パーシャルレスポンス方式に関し、次の事項が図面とともに記載されている。
i)「パーシャルレスポンス方式(partial response signaling)は、積極的に符号間干渉を利用して、高速伝送を実現しようとする方法である。」(144頁中段)
ii)「パーシャルレスポンス方式を用いれば、伝送速度すなわちビットレートが速くなるが、受信信号が多値となるため雑音の影響は大きくなる。」(145頁下段)
iii)表2.1には、5種類の代表的なパーシャルレスポンス方式(クラスI?IV)が挙げられている。
表2.1
クラス 方式
I (1,1)
II (1,2,1)
III (2,1,-1)
IV (1,0,-1)
V (-1,0,2,0,-1)

3.対 比
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
光ディスクに記録されているデジタルデータを再生するときのデータ検出方式であって、
パーシャルレスポンス方式を利用して、再生信号を等化した後、
上記等化された信号をビタビ復号により最尤復号する
光ディスクのデータ検出方式。

そして、次の点で相違する。
<相違点>
再生信号の等化に利用するパーシャルレスポンス方式に関し、本願発明においては、PR(1,2,1)特性のものを用いるのに対し、引用例1に記載された発明においては、PR(1,1)特性のものを用いる点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。

引用例2にも示されるように、クラスIのPR(1,1)、及び、クラスIIのPR(1,2,1)のパーシャルレスポンス方式自体は、何れもよく知られた方式にすぎず、ともに、低域側にシフトした周波数特性を有するものである。
また、磁気テープに対するものであるが、記録されているデジタルデータを、再生信号をクラスIIのパーシャルレスポンス方式を用いてPR(1,2,1)特性に等化した後復号して検出することは、例えば、特開平4-76867号公報(特に、第7頁下欄、第9図等。)、特開平4-85766号公報(特に、第5頁下欄、第6図等。)、及び、特開平4-89664号公報(特に、第10頁下欄、第1,6,12図等)にもみられるように本願出願前にごく周知の技術である。

してみると、光ディスクに高密度に記録されたデジタルデータをパーシャルレスポンス方式を用いて検出する引用例1に記載された発明においても、再生信号を等化する際に用いるパーシャルレスポンス方式として、クラスIのPR(1,1)特性に替えて、単に、PR(1,1)と同様に低域側にシフトした周波数特性を有し、PR(1,1)よりも再生波形に近い波形等化が期待し得る上記周知のクラスIIのPR(1,2,1)特性のものを用いることは、当業者が容易に想到できたものというべきである。
(なお、クラス2のパーシャル・レスポンス・チャネルを用いた光記録再生技術は、本願出願前に特開平1-256251号公報(特に、第3頁左上欄等)にもみられるところである。)

そして、本願発明の奏する効果は引用例1及び引用例2から当業者が十分に予測可能な範囲のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであって、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-26 
出願番号 特願平5-31699
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松平 英馬場 慎  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 中野 浩昌
山田 洋一
発明の名称 光ディスクのデータ検出方式  
代理人 山崎 宏  
代理人 青山 葆  

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