• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1147092
審判番号 不服2004-597  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-08 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 特願2001-375540「光学ヘッド駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月26日出願公開、特開2002-208172〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本件審判の請求に係る特許願(以下「本願」という。)は、平成7年3月10日(国内優先権主張 平成6年12月7日 特願平6-303893号)に出願された特願平7-50824号の一部を平成13年12月10日に新たな出願としてなされたものであって、平成15年12月3日付けで拒絶すべきものである旨の査定がなされ、平成16年1月8日付けで特許法第121条第1項の審判請求がなされ、同日付で手続補正書が提出されたものである。


II.平成16年1月8日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成16年1月8日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1.本件補正について補正の内容
本件補正による特許請求の範囲の補正内容は、本件補正前には、
「【請求項1】 光ビームを発生する半導体レーザ、該半導体レーザからの光ビームを記録媒体上に集光する対物レンズ、前記記録媒体上で反射した光ビームを受光するための光検出器、前記記録媒体上で反射した光ビームを前記光検出器へ導くための光分割素子、前記記録媒体と平行な面及び該面と鋭角を成す斜面を有する台形状の透明基板、該透明基板の前記斜面に形成された光ビームの反射部、前記対物レンズを保持する対物レンズホルダ、および前記対物レンズに関して前記記録媒体側とは反対側に位置するように前記対物レンズホルダに保持した1/4波長板を具え、前記反射部で反射された光ビームの光路上に前記1/4波長板及び前記対物レンズが位置するように、前記対物レンズホルダを前記透明基板の前記記録媒体と平行な面上に配置してなる光学ヘッド装置と、
非磁性体からなる可動部と、
該可動部に取り付けたフォーカシングコイル及びトラッキングコイルと、
一端が前記可動部に固着され、他端が固定部に固着されて前記可動部を前記記録媒体に対するフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに磁界を印加する磁界発生部材と、
前記可動部の前記記録媒体面側に形成した凹部とを有し、
前記凹部に前記光学ヘッド装置を保持したことを特徴とする光学ヘッド駆動装置。

【請求項2】 前記対物レンズが非球面レンズからなることを特徴とする請求項1に記載の光学ヘッド駆動装置。」

というものであったところ、

「【請求項1】 光ビームを発生する半導体レーザ、該半導体レーザからの光ビームを記録媒体上に集光する非球面レンズからなる対物レンズ、前記記録媒体上で反射した光ビームを受光するための光検出器、前記記録媒体上で反射した光ビームを前記光検出器へ導くための光分割素子、前記記録媒体と平行な面及び該面と鋭角を成す斜面を有する台形状の透明基板、該透明基板の前記斜面に形成された光ビームの反射部、前記対物レンズを保持する対物レンズホルダ、および前記対物レンズに関して前記記録媒体側とは反対側に位置するように前記対物レンズホルダに保持した1/4波長板を具え、前記反射部で反射された光ビームの光路上に前記1/4波長板及び前記対物レンズが位置し、かつ前記対物レンズ、前記対物レンズホルダおよび前記透明基板により前記1/4波長板を密封するように、前記対物レンズホルダを前記透明基板の前記記録媒体と平行な面上に配置してなる光学ヘッド装置と、
非磁性体からなる可動部と、
該可動部に取り付けたフォーカシングコイル及びトラッキングコイルと、
一端が前記可動部に固着され、他端が固定部に固着されて前記可動部を前記記録媒体に対するフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに磁界を印加する磁界発生部材と、
前記可動部の前記記録媒体面側に形成され、前記光学ヘッド装置を保持する凹部とを有することを特徴とする光学ヘッド駆動装置。」

と、本件補正前の請求項2に記載のあった「対物レンズが非球面レンズ」からなる構成を請求項1に繰り上げ、請求項数を2から1に(以下「前者の補正」という。)、1/4波長板について「(対物レンズが位置)し、かつ前記対物レンズ、前記対物レンズホルダおよび前記透明基板により前記1/4波長板を密封(するように、)」なる配置の構成要件を付加(以下「中者の補正」という。)し、及び、本件補正前「前記記録媒体面側に形成した凹部とを有し、前記凹部に前記光学ヘッド装置を保持した」としていたものを「前記記録媒体面に形成され、前記光学ヘッド装置を保持する凹部とを有する」(以下「後者の補正」という。)と、するものである(上記、当審で付与した下線部分を参照)。
また、明細書は、段落【0007】【0008】【0029】【0030】についてするものである。

2.本件補正の目的
上記前者の補正は請求項の削除であり、請求項1においては対物レンズの限定である。上記中者の補正は1/4波長板の配置についての限定である、上記後者の補正は表現手法の変更で実質的な構成要件の加除はない。
上記明細書の補正は特許請求の範囲の補正に伴いこれと整合させる内容のものである。
以上のとおりであり、本件補正は、特許請求の範囲において、請求項の削除及び請求項1に係る発明を限定して減縮するものであるから、特許法第17条の2第4項第1号乃至第2号の規定を満たすものと認める。

3.独立特許要件
そこで、本件補正の請求項1に記載された発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するか)について、以下に検討する。

(3-1)本件補正後発明
本件補正での【請求項1】に記載された発明は、上記1.に記載している以下のとおりのものである。
「【請求項1】 光ビームを発生する半導体レーザ、該半導体レーザからの光ビームを記録媒体上に集光する非球面レンズからなる対物レンズ、前記記録媒体上で反射した光ビームを受光するための光検出器、前記記録媒体上で反射した光ビームを前記光検出器へ導くための光分割素子、前記記録媒体と平行な面及び該面と鋭角を成す斜面を有する台形状の透明基板、該透明基板の前記斜面に形成された光ビームの反射部、前記対物レンズを保持する対物レンズホルダ、および前記対物レンズに関して前記記録媒体側とは反対側に位置するように前記対物レンズホルダに保持した1/4波長板を具え、前記反射部で反射された光ビームの光路上に前記1/4波長板及び前記対物レンズが位置し、かつ前記対物レンズ、前記対物レンズホルダおよび前記透明基板により前記1/4波長板を密封するように、前記対物レンズホルダを前記透明基板の前記記録媒体と平行な面上に配置してなる光学ヘッド装置と、
非磁性体からなる可動部と、
該可動部に取り付けたフォーカシングコイル及びトラッキングコイルと、
一端が前記可動部に固着され、他端が固定部に固着されて前記可動部を前記記録媒体に対するフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに磁界を印加する磁界発生部材と、
前記可動部の前記記録媒体面側に形成され、前記光学ヘッド装置を保持する凹部とを有することを特徴とする光学ヘッド駆動装置。」(以下「本件補正後発明」という。)

(3-2)刊行物について
これに対して、原査定の理由で引用された刊行物である、特開平6-314437号公報(以下「刊行物1」という。)は、レーザービームを微少なスポット光に絞って光ディスク等の情報記録媒体の記録面に入射し、該記録面からの反射光を検出することにより、情報の読み取りを行う光情報読み取り装置に関するものであって、図面と共に以下の記載がある。
(i)「【0023】図1及び図2は本発明の光情報読み取り装置を示す。この光情報読み取り装置は、上辺が下辺よりも長くなった台形状をなす光透過性ブロック1の上面(表面)13に、Si基板6、半導体レーザ2がマウントされたサブマウント3及び対物レンズ7を搭載して構成されている。また、Si基板6の下面には多分割受光素子からなる光検出器4とホログラムビームスプリッタ5が形成されている。」
(ii)「【0024】光透過性ブロック1は樹脂又はガラスを成形して作製され、下面14の長手方向(なお、図中に光透過性ブロック1の長手方向をYで示し、幅方向をXで示してある。)両端部には、同一の傾斜角を有する傾斜反射面11、12が形成されている。Si基板6は光透過性ブロック1の長手方向中央部に搭載され、該Si基板6の図上左端部に相当する長手方向他端部にサブマウント3が搭載されている。光検出器4はSi基板6の下面おけるサブマウント3の近傍に配置され、ホログラムビームスプリッタ5はSi基板6の下面における長手方向一端側に形成されている。更に、対物レンズ7は光透過性ブロック1の上面13の長手方向一端部に固定配置され、その上方に光ディスク8が対設されている。」
(iii)「【0025】以下にこの光学情報読み取り装置の動作について説明する。図2に示すように、半導体レーザ2から下方に向けて出射された光ビームは、光透過性ブロック1内に垂直に入射し、傾斜反射面11、ホログラムビームスプリッタ5、傾斜反射面12と順に反射を繰り返した後、対物レンズ7に導かれ、この対物レンズ7によって上方の光ディスク8の記録面上に光スポットとして集光される。」
【0026】一方、光ディスク8で反射された光は前記の経路を逆に進んでホログラムビームスプリッタ5に入射し、このホログラムビームスプリッタ5によって偏向され、光検出器4上に集光される。」
(iv)「【0030】次に、Si基板6と対物レンズ7を光透過性ブロック1上面13に取り付ける。具体的には、まず、Si基板6の基準面9と、光透過性ブロック1の上面13における長手方向他端縁に相当する基準線10との角度調整、すなわち基準面9と基準線10とを平行にする調整作業を行う。」

以上の記載を、図面を参照して整理すると、刊行物1には、以下の発明が記載されているものと認める。

「光ビームを発生する半導体レーザ2と、
半導体レーザ2から出射された光ビームを光ディスク8の記録面上に光スポットとして集光する対物レンズ7と、
光ディスク8で反射された光が集光される光検出器4と、
光ディスク8で反射された光を偏光して光検出器上に集光するためのホログラムビームスプリッタ5と、
上辺が下辺よりも長くなった台形状をなし上辺と鋭角を成す斜面を有する光透過性ブロック1と、
光透過性ブロック1の両端部に形成された傾斜反射面11,12と、
を備えた光情報読み取り装置。」(以下「刊行物1発明」という。)

(3-3)対比・判断
〔対比〕
(a)刊行物1発明の「半導体レーザ2」「対物レンズ7」「光検出器4」「光透過性ブロック1」及び「傾斜反射面11,12」は、本件補正後発明における「半導体レーザ」「対物レンズ」「光検出器」「透明基板」及び「反射部」に各々相当する。
(b)光ディスク8で反射された光がホログラムビームスプリッタ5によって偏向され、光検出器4上に集光される記載がある(上記(iii)の【0026】を参照)ことから、刊行物1発明における「ホログラムビームスプリッタ5」は、本件補正後発明における「光分割素子」に相当するものと認められる。
(c)刊行物1発明の「光学情報読み取り装置」は、本願補正後発明における「光学ヘッド装置」に相当する。

結局、本件補正後発明と刊行物発明との[一致点]乃至[相違点]は以下のようになる。

[一致点]
「光ビームを発生する半導体レーザ、該半導体レーザからの光ビームを記録媒体上に集光する対物レンズ、前記記録媒体上で反射した光ビームを受光するための光検出器、前記記録媒体上で反射した光ビームを前記光検出器へ導くための光分割素子、前記記録媒体と平行な面及び該面と鋭角を成す斜面を有する台形状の透明基板、該透明基板の前記斜面に形成された光ビームの反射部を具えてなる光学ヘッド装置。」

[相違点]
(イ)対物レンズについて、本件補正後発明のものは「非球面レンズからなる」ものであるが、刊行物1発明の対物レンズ7は非球面レンズであるかについて特に言及されてない点。
(ロ)本件補正後発明は、「対物レンズを保持する対物レンズホルダ」を備えているが、刊行物1発明の光学情報読み取り装置は、上記(iv)及び【図1】【図2】等の記載からみると、対物レンズ7でホルダも形成して直接光透過性ブロック1の上面13に取り付けているもので、対物レンズホルダを明確に区別してない点。
(ハ)本件補正後発明の光学ヘッド装置は「前記対物レンズに関して前記記録媒体側とは反対側に位置するように前記対物レンズホルダに保持した1/4波長板を具え」というものであるが、刊行物1発明の光情報読み取り装置は1/4波長板を具える点について特に記載がない点。
(ニ)刊行物発明1に記載のない「対物レンズホルダ」「1/4波長版」を含む「透明基板」の配置関係について、本件補正後発明は「反射部で反射された光ビームの光路上に前記1/4波長板及び前記対物レンズが位置し、かつ前記対物レンズ、前記対物レンズホルダおよび前記透明基板により前記1/4波長板を密封するように、前記対物レンズホルダを前記透明基板の前記記録媒体と平行な面上に配置」としているのに対し、刊行物1発明にはこの記載がない点。
(ホ)本件補正後発明は光学ヘッド装置に加えて、全体として
「非磁性体からなる可動部と、
該可動部に取り付けたフォーカシングコイル及びトラッキングコイルと、
一端が前記可動部に固着され、他端が固定部に固着されて前記可動部を前記記録媒体に対するフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに磁界を印加する磁界発生部材と、
前記可動部の前記記録媒体面側に形成され、前記光学ヘッド装置を保持する凹部とを有する」構成を備えた光学ヘッド駆動装置であるのに対し、刊行物1発明は、光学ヘッド駆動部分の構造については具体的に記載していない点。

〔判断〕
相違点(イ)に関して、
光情報記録再生装置の光学ヘッドにおいて、対物レンズに収差の少ない非球面レンズを用いることは、ごく一般的で周知技術と認められるものであるから、上記刊行物1発明の光学ヘッド装置の対物レンズに非球面レンズを用いることは当業者が容易になし得ることと認める。

相違点(ロ)?(ニ)に関して、
刊行物1発明の光学ヘッド装置は、上記(iv)及び【図1】【図2】等の記載をみていくとレンズの周囲に筒状部分を有しており、これは機能上、レンズホルダと同様の役割を果たすものと認められる。そしてこのような光学ヘッド装置において対物レンズのレンズホルダをレンズとは別体に設け、さらに、対物レンズの記録媒体と反対側においては1/4波長板を具える構成は、当業者において周知技術である(一例:実願昭62-158112号(実開平1-64110号)のマイクロフィルム参照)。また、光路を密閉状態として粉塵等の影響を防ぐこと、このこと自体は、光学ヘッド装置等の光学系技術分野においてきわめて一般的で、特段の構成でないから(例:特開平3-156738号公報,特開平5-258342号公報等参照)、刊行物1発明の光学ヘッド装置においても上記周知技術を採用して、レンズ周囲の筒状の部分を別体のレンズホルダとして構成すること、対物レンズの記録媒体と反対側に1/4波長板を設けること、及び、その配置は上記レンズホルダを光透過性ブロックに密着させ1/4波長板を密封すること等は、当業者が設計上必要に応じて容易に想到できたものと認める。

相違点(ホ)に関して、
原査定の理由で引用された刊行物である特開平4-60933号公報(以下「刊行物2」という))には、「91はレンズ8の光軸に沿う方向にレンズ8を変位させるフォーカス制御用のアクチュエータ(駆動機構)、92はレンズ8の光軸と直交する方向にレンズ8を変位させるトラッキング制御用のアクチュエータ(駆動機構)であって、ハイブリッドデバイスとレンズ8とアクチュエータ91及び92と2つの反射部13,14を形成した支持体15とを保持部材23に取り付ける事により光ピックアップヘッド装置を構成している。」(第4頁右下欄第15行?第5頁左上欄第4行目)との記載がある。これについて、第1図を参照していくと、要するに、反射部を有する支持体15を保持する凹部を有する保持部材23、及び、レンズの光軸に沿う方向にレンズ8を変位させるフォーカス制御用のアクチュエータ91と、レンズの光軸と直交する方向にレンズ8を変位させるトラッキング制御用のアクチュエータ92、とを備えた光ピックアップヘッド装置の構成がある。また、該光ピックアップヘッド装置はフォーカス制御用のアクチュエータ91とトラッキング制御用のアクチュエータ92とを備えている点からみて、保持部材23が移動可能に支持され、磁界発生部材と組合わされてアクチュエータ91,92が用いられることも自明である(必要であれば、光ピックアップヘッド装置を移動可能として支持する構成として、特開平5-120719号公報等参照)。
よって、刊行物1記載の光情報読み取り装置においても、その目的からしてフォーカシング制御及びトラッキング制御を行うヘッド駆動装置に組み込まれて使用されることは自明で、刊行物2発明の保持部材23の凹部に支持させるように用いることで、上記相違点(ホ)の構成は当業者が適宜容易に想到しうるものである。

そして、本件補正後発明の効果も各刊行物及び周知技術から当業者が十分に予測できる範囲のものである。

結局、本件補正後発明は、刊行物1乃至2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


III.本願発明
平成16年1月8日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成15年2月14日付け手続補正で補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認められるところ、その【請求項1】の記載は、上記II.1.に記載している以下のとおりのものである。

「【請求項1】 光ビームを発生する半導体レーザ、該半導体レーザからの光ビームを記録媒体上に集光する対物レンズ、前記記録媒体上で反射した光ビームを受光するための光検出器、前記記録媒体上で反射した光ビームを前記光検出器へ導くための光分割素子、前記記録媒体と平行な面及び該面と鋭角を成す斜面を有する台形状の透明基板、該透明基板の前記斜面に形成された光ビームの反射部、前記対物レンズを保持する対物レンズホルダ、および前記対物レンズに関して前記記録媒体側とは反対側に位置するように前記対物レンズホルダに保持した1/4波長板を具え、前記反射部で反射された光ビームの光路上に前記1/4波長板及び前記対物レンズが位置するように、前記対物レンズホルダを前記透明基板の前記記録媒体と平行な面上に配置してなる光学ヘッド装置と、
非磁性体からなる可動部と、
該可動部に取り付けたフォーカシングコイル及びトラッキングコイルと、
一端が前記可動部に固着され、他端が固定部に固着されて前記可動部を前記記録媒体に対するフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに磁界を印加する磁界発生部材と、
前記可動部の前記記録媒体面側に形成した凹部とを有し、
前記凹部に前記光学ヘッド装置を保持したことを特徴とする光学ヘッド駆動装置。」(以下「本願発明」という。)

2.刊行物
これに対して、原審で引用された刊行物及び記載された事項は、上記したとおりである(上記「II.〔理由〕3.(3-2)の刊行物について」を参照)。

3.対比・判断
本願発明は、上記II.で検討した本件補正後発明から、「非球面レンズからなる」乃至「し、かつ前記対物レンズ、前記対物レンズホルダおよび前記透明基板により前記1/4波長板を密封する」の各構成要件を削除したものであって、さらに「前記記録媒体面に形成され、前記光学ヘッド装置を保持する凹部を有する」としていたものを「前記記録媒体面側に形成した凹部とを有し、前記凹部に前記光学ヘッド装置を保持した」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件を実質的に全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正後発明が、上記「II.〔理由〕3.(3-3)の対比・判断」に記載したとおり、刊行物1乃至2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、本願発明も、同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に記載された発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-27 
出願番号 特願2001-375540(P2001-375540)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉川 潤  
特許庁審判長 江畠 博
特許庁審判官 片岡 栄一
中村 豊
発明の名称 光学ヘッド駆動装置  
代理人 杉村 興作  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ