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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1147099
審判番号 不服2004-3865  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-09-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-26 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 特願2002- 42806「光ディスク装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月 5日出願公開、特開2003-249006〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成14年2月20日の出願であって、その請求項1?4に係る発明は、平成15年12月25日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 光ディスクメディアに所定の情報を書き込む光ディスク装置であって、
前記光ディスクメディアにあらかじめ記憶されている当該光ディスクメディア固有の情報であるディスク情報のうち,所定の回転数まで破壊又は変形することなく回転可能な光ディスクメディアのディスク情報,に対応する情報を、あらかじめメディアデータベースとして備えると共に、
前記光ディスクメディアから前記ディスク情報を読み取るディスク情報読取機能と、読み取ったディスク情報を前記メディアデータベースと照合するディスク情報照合機能と、
を備え、
当該ディスク情報照合機能にて、前記読み取った光ディスクメディアのディスク情報が前記メディアデータベースに登録されていないと判断した場合に、最高回転数を光ディスクメディアの強度を考慮した回転数であって破壊又は変形を確実に抑制しうる回転数に制限して前記光ディスクメディアを回転制御するディスク回転数制限機能を備えたことを特徴とする光ディスク装置。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平5-242557号公報(以下、「引用例1」という。)には、光ディスク駆動装置に関して、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

(i)
「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したISOの標準規格では、光磁気ディスクの素材まで規定していないので、種々の素材を用いた光磁気ディスクカートリッジが供給されることが考えられる。
【0005】例えば、光磁気ディスクの基板は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アモルファスポリオレフィン(APO)、ガラス板などが用いられている。同様にして、光磁気材料も種々のものが用いられている。
【0006】このようにして、基板の材質が異なると、偏心、面ぶれ、および、記録面の傾きなどの光磁気ディスクの機械的特性の良好なものや不良なものが存在し、また、光磁気材料が異なると、記録感度が相違し、そのために、データ記録時に必要なレーザビーム強度も相違する。
【0007】したがって、複数のメーカから供給される光磁気ディスクカートリッジでは、光磁気ディスクの機械的特性、および、記録膜(光磁気材料)の記録感度特性などが異なり、そのために、光磁気ディスク装置では、装着された光磁気ディスクカートリッジの特性に応じて、最適な制御を行う必要があり、そのために、装置構成が複雑になるという不都合を生じる。
【0008】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、複数のメーカから供給される光記録媒体を使用でき、かつ、安価な光ディスク装置を提供することを目的としている。」

(ii)
「【0014】図1は、本発明の一実施例にかかる光磁気ディスク装置の構成を示している。なお、同図においては、データ記録/消去時に必要となる補助磁界を発生する要素を省略している。
【0015】同図において、スピンドルモータ1の回転軸2に固設されたターンテーブル3には、光磁気ディスク4が着脱自在に取り付けられており、この光磁気ディスク4の記録面には、光ピックアップ装置5により、データが記録/再生/消去される。また、光ピックアップ装置5には、光磁気ディスク4の半径方向に移動するためのシーク機構6が付設されている。」

(iii)
「【0022】さて、ISOの標準規格では、光磁気ディスク4の所定半径位置に制御情報を記録したコントロールトラックを設けており、その制御情報の一例を図3に示す。
【0023】この制御情報において、その第0?第13バイトには、記録媒体のフォーマット形式、回転形式、変調形式、誤り訂正符号の生成規則、1セクタ当たりのユーザデータのバイト数、1トラック当たりのセクタ数などをあらわす媒体特性情報Aが配置され、第14?第17バイトには、光磁気ディスク4を製造したメーカをあらわすベンダーマーク情報(ベンダーユニーク情報)が配置され、第18バイト?第359バイト(最終バイト)には、基準波長、回転数、それぞれの半径位置におけるレーザビームの強度などをあらわす媒体特性情報Bが配置されている。
【0024】また、コントロールトラックの記録情報、および、ユーザデータ領域にあらかじめ記録されるヘッダ情報部のデータは、ピット(小孔)を形成することで記録されており、したがって、これらの情報を再生するときの再生方法は、ユーザデータ領域のユーザデータを再生するときの再生方法とは異なる(後述)。
【0025】ところで、光磁気ディスク4の記録特性は、光磁気ディスク4の線速に依存し、光磁気ディスク4の回転速度が大きくなると、データ記録に必要なレーザビームのパワーも大きくなる。
【0026】すなわち、例えば、図4に示すように、光磁気ディスク4にデータを記録するときに必要となるレーザビームのパワーPthは、光磁気ディスク4の回転速度を変化させると、それに伴って直線的に変化する。また、メーカが異なり、光磁気ディスク4の種類が異なると、回転速度とパワーPthとの関係をあらわすグラフも異なる。
【0027】また、光ピックアップ装置5のレーザビームのパワーの上限値は、使用されている半導体レーザ素子10の性能により制限される。したがって、同一の光磁気ディスク装置では、それぞれの光磁気ディスク4に対して、回転速度の上限値が制限される。
【0028】それとともに、光磁気ディスク4の種類が異なると、使用される基板の材質や光磁気記録材料の種類により、光磁気ディスク4の機械的特性が異なるので、おのおのの光磁気ディスク4について、光ピックアップ装置5の制御系(後述)のフォーカシング制御のゲイン、トラッキング制御のゲイン、および、フォーカス引き込みを判定するための閾値のそれぞれの最適値が定まる。
【0029】そこで、本実施例では、光磁気ディスク4の種類について、あらかじめ回転速度、フォーカシングゲイン、トラッキングゲイン、および、フォーカス引き込み閾値の最適値を設定し、それを記憶しておくことで、それぞれの光磁気ディスク4について、光ピックアップ装置5の制御系の動作を最適化できるようにしている。
【0030】図5は、本発明の一実施例にかかる光磁気ディスク装置の制御系を示している。なお、同図において、本発明に直接関係しない部分については、説明を省略している。」

(iv)
「【0051】ホストインタフェース回路47は、この光ディスク駆動装置を外部記憶装置として用いるホスト装置との間で、種々のデータをやりとりするためのものである。
【0052】制御部34は、この光磁気ディスク装置の動作を制御するものであり、可変利得増幅器27,29に対するゲインの設定や、その他の各部の動作制御を行うととともに、ホストインタフェース回路47を介して、ホスト装置と種々のデータをやりとりする。
【0053】さて、上述したように、光磁気ディスク装置に装着される光磁気ディスク4の種類により、光磁気ディスク4の回転速度や、フォーカシングゲイン、フォーカス引き込み判定用の閾値、および、トラッキングゲインの最適値が異なる。そこで、本実施例では、それぞれの光磁気ディスク4について、図6に示すような設定情報を形成して、制御部34に記憶している。
【0054】この設定情報は、その光磁気ディスク4を製造したメーカがコントロールトラックに記録しているベンダーマークをあらわすベンダーマーク情報、その光磁気ディスク4の回転速度の最適値をあらわす回転速度情報、その光磁気ディスク4のフォーカシングゲインの最適値をあらわすフォーカシングゲイン情報、その光磁気ディスク4のフォーカス引き込み判定用の閾値の最適値をあらわすフォーカス引き込みスレッシュ情報、および、その光磁気ディスク4のトラッキングゲインの最適値をあらわすトラッキングゲイン情報からなる。」

(v)
「【0058】以上の構成で、光磁気ディスク装置に光磁気ディスク4が挿入されて、所定位置に位置決めされると、センサ群46のメディアインセンサが検出動作し、それにより、制御部34は、図8に示すような動作を行う。
【0059】すなわち、まず、スピンドルモータ制御部43に、スピンドルモータ1の回転数の標準値(例えば、1800(rpm))をセットして、スピンドルモータ1の回転を開始させる(処理101)。
【0060】これにより、スピンドルモータ1の回転速度が所定値になると、あらかじめ定められているフォーカシングゲインの初期値を可変利得増幅器29にセットするとともに、あらかじめ定められているフォーカス引き込みスレッシュの初期値をフォーカシングサーボ制御部30にセットした状態で、フォーカシングサーボ制御部30の動作を開始させる(処理102)。
【0061】そして、フォーカシングサーボ制御部30が引き込み状態になり、制御ロック状態になるまで待つ(処理103)。フォーカシングサーボ制御部30がロック状態になると、シークモータ制御部40に、コントロールトラックの位置に対応した目標位置を指定した状態で、目標位置に移動するように指令して、コントロールトラックをアクセス可能な状態にする(処理104)。
【0062】次いで、あらかじめ定められているトラッキングゲインの初期値を可変利得増幅器27にセットした状態で、トラッキングサーボ制御部28の動作を開始させる(処理105)。そして、トラッキングサーボ制御がロック状態になると、プリフォーマット識別部33から出力されるプリフォーマットデータPFDに基づいてコントロールトラックの内容を読み込み(処理106)、その管理情報のベンダマークが、記憶している設定情報のうちのいずれかのベンダーマーク情報に登録されているかどうかを調べる(処理107)。
【0063】これにより、読み込んだベンダーマークが登録されている場合には(判断108の結果がYES)、そのベンダーマークがベンダーマーク情報にセットされている設定情報の回転数情報、フォーカシングゲイン情報、フォーカス引き込みスレッシュ情報、および、トラッキングゲイン情報を読み出して(処理109)、回転数情報をスピンドルモータ制御部43にセットし、フォーカシングゲイン情報を可変利得増幅器29にセットし、フォーカス引き込みスレッシュ情報をフォーシングスサーボ制御部30にセットし、トラッキングゲイン情報をトラッキングサーボ制御部28にセットして、それらの値を、装着された光磁気ディスク4に対応した最適値に再設定して(処理110)、通常の待機状態に移行する。
【0064】一方、読み込んだベンダーマークがいずれの設定情報にも登録されていない場合で、判断108の結果がNOになるときには、シークモータ制御部40により光ピックアップ装置5をホームポジションに移動させ(処理111)、スピンドルモータ制御部43によりスピンドルモータ1を停止させ(処理112)、モータ駆動部45に制御信号を出力してイジェクトモータ44を作動させて光磁気ディスク4を排出し(処理113)、装着された光磁気ディスク4が規定のものでないことをあらわすエラーメッセージをホストインタフェース回路47を介してホスト装置に通知し(処理114)、エラー終了状態に移行する。」

上記摘記事項及び図面の記載を参酌すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認める。

「光ピックアップ装置5により、データの記録/再生/消去を行う光磁気ディスク装置であって、
光磁気ディスク4の所定半径位置に、制御情報として光磁気ディスク4を製造したメーカをあらわすベンダーマーク情報(ベンダーユニーク情報)を記録したコントロールトラックを設け、
光磁気ディスク装置の制御部34には、光磁気ディスク4を製造したメーカがコントロールトラックに記録しているベンダーマークをあらわすベンダーマーク情報、その光磁気ディスク4の回転速度の最適値をあらわす回転速度情報、その光磁気ディスク4のフォーカシングゲインの最適値をあらわすフォーカシングゲイン情報、その光磁気ディスク4のフォーカス引き込み判定用の閾値の最適値をあらわすフォーカス引き込みスレッシュ情報、および、その光磁気ディスク4のトラッキングゲインの最適値をあらわすトラッキングゲイン情報からなる設定情報を形成し、
光磁気ディスク装置に光磁気ディスク4が挿入されて、所定位置に位置決めされ、フォーカシングサーボ制御部30がロック状態になると、コントロールトラックの内容を読み込み、その管理情報のベンダマークが、記憶している設定情報のうちのいずれかのベンダーマーク情報に登録されているかどうかを調べ、
読み込んだベンダーマークがいずれの設定情報にも登録されていない場合、スピンドルモータ制御部43によりスピンドルモータ1を停止させる光磁気ディスク装置。」

3.対比
本願発明と、引用例1発明とを対比する。
引用例1発明は、光ピックアップ装置5により、データの記録/再生/消去を行う光磁気ディスク装置に係るものであり、光を利用した記録媒体に関する記録、再生装置という点で、本願発明の「光ディスクメディアに所定の情報を書き込む光ディスク装置」に相当する。
引用例1発明は、「光磁気ディスク4の所定半径位置に、制御情報として光磁気ディスク4を製造したメーカをあらわすベンダーマーク情報(ベンダーユニーク情報)を記録したコントロールトラック」が設けられており、このベンダーマーク情報は、本願発明の「光ディスクメディアにあらかじめ記憶されている当該光ディスクメディア固有の情報であるディスク情報」に相当する。
引用例1発明の「制御部34」には、「光磁気ディスク4を製造したメーカがコントロールトラックに記録しているベンダーマークをあらわすベンダーマーク情報」が記録されており、このことは、本願発明の「光ディスクメディアのディスク情報,に対応する情報を、あらかじめメディアデータベースとして備える」ことに相当する。
引用例1発明の、「コントロールトラックの内容を読み込み、その管理情報のベンダマークが、記憶している設定情報のうちのいずれかのベンダーマーク情報に登録されているかどうかを調べ」る動作は、本願発明の、「光ディスクメディアから前記ディスク情報を読み取るディスク情報読取機能と、読み取ったディスク情報を前記メディアデータベースと照合するディスク情報照合機能」に相当する。
引用例1発明の、「読み込んだベンダーマークがいずれの設定情報にも登録されていない場合」「スピンドルモータ1を停止させ」る動作、つまり回転数を零とすることは、光磁気ディスクの回転を止めることにより、結果的に光磁気ディスクの破壊又は変形を確実に抑制すると言う機能を果たす点で、本願発明の、「ディスク情報照合機能にて、前記読み取った光ディスクメディアのディスク情報が前記メディアデータベースに登録されていないと判断した場合」、回転数を、「破壊又は変形を確実に抑制しうる回転数に制限」する「ディスク回転数制限機能」と共通する。

そうすると、本願発明と引用例1発明とは、次の点で一致する。

[一致点]
「光ディスクメディアに所定の情報を書き込む光ディスク装置であって、
前記光ディスクメディアにあらかじめ記憶されている当該光ディスクメディア固有の情報であるディスク情報に対応する情報を、あらかじめメディアデータベースとして備えると共に、
前記光ディスクメディアから前記ディスク情報を読み取るディスク情報読取機能と、読み取ったディスク情報を前記メディアデータベースと照合するディスク情報照合機能と、
を備え、
当該ディスク情報照合機能にて、前記読み取った光ディスクメディアのディスク情報が前記メディアデータベースに登録されていないと判断した場合に、回転数を光ディスクメディアの破壊又は変形を確実に抑制しうる回転数に制限するディスク回転数制限機能を備えた光ディスク装置。」

そして、次の各点で相違する。

[相違点]
(イ)
本願発明が、「所定の回転数まで破壊又は変形することなく回転可能な光ディスクメディアのディスク情報」をメディアデータベースとして備えるのに対し、引用例1発明は、特にこのような条件に基づくベンダーマーク情報であるとの記載はなされていない点。

(ロ)
ディスク回転数制限機能に関し、本願発明が、「ディスク情報照合機能にて、読み取った光ディスクメディアのディスク情報がメディアデータベースに登録されていないと判断した場合に、最高回転数を光ディスクメディアの強度を考慮した回転数であって破壊又は変形を確実に抑制しうる回転数に制限して前記光ディスクメディアを回転制御する」ものであるのに対し、引用例1発明は、読み込んだベンダーマークがいずれの設定情報にも登録されていない場合、単にスピンドルモータ1を停止させて、ディスクの回転数を零とするものである点。

4.当審の判断
そこで、上記各相違点について検討する。

相違点(イ)について:
引用例1発明において、光磁気ディスク装置が制御部34でサポートしているベンダーの光磁気ディスクが、光磁気ディスク装置で設定された所定の回転数まで破壊又は変形することなく回転可能な光磁気ディスクであることは、当然のことと認められる。

相違点(ロ)について:
一般に、出所がわからない、いわゆるノーブランドの光ディスクが、粗悪品である可能性が否定できないことは、当業者ならずとも普通に知られるところであり(例えば:特開2001-319329号公報、【0005】「一般にノーブランド品の製造者責任は不明確であり、正規品(製造者を明示したもの)に比べて品質の悪いCD-Rの存在を否定できない」の記載等参照)、また、ディスクの製造時の精度が悪く、偏芯あるいは偏重心がある(粗悪品である)場合、高速回転の際、破損する可能性があることも、当業者にとって自明のことである(例えば:特開平10-302384号公報、【0006】「さらに、偏心量が大きく振動が大きい場合はドライブ装置やディスク自体が破損してしまう場合がある」の記載等参照。)。
一方、偏芯、あるいは偏重心がある光ディスクを回転駆動する場合、読み取りエラー等を防止するため、その回転速度を制限しながら回転駆動を行うことは、本願出願前周知のことである(例えば、原査定の拒絶の理由で引用された特開平10-228716号公報の他、上記特開平10-302384号公報、【0022】「この偏心量に応じて、予めディスク種別ごとに設定された最大倍速度を最高回転速度とする速度範囲内で、ディスク再生動作を行う際のディスク回転倍速度を可変設定するように構成される。」の記載等参照。)。
そうすると、引用例1発明において、読み込んだベンダーマークがいずれの設定情報にも登録されていない、つまり光磁気ディスク装置が未だサポートしていない場合、当該光磁気ディスクが、偏心量が大きい粗悪なディスクである可能性が高いとみなし得ることに基づき、光磁気ディスクならびに光磁気ディスク装置を保護するために、スピンドルモータ1を停止させる動作に替えて、単に最高回転数を低いものにして回転駆動を行う制御とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
その際、最高回転数をディスクの破壊又は変形を確実に抑制しうる回転数とすることは、偏心ディスクを高速回転すると、ディスクが破損する可能性があるということを考慮すると、当業者が当然に行う設計的事項にすぎない。

そして、上記各相違点についての判断を総合しても本願発明の奏する効果は引用例1から当業者が充分に予想可能なものであって、格別のものとは言えない。

したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願2002-42806(P2002-42806)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 吉村 伊佐雄
中野 浩昌
発明の名称 光ディスク装置  
代理人 工藤 雅司  
代理人 机 昌彦  
代理人 谷澤 靖久  

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