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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
管理番号 1147132
審判番号 不服2004-16078  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-10-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-04 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 8年特許願第 73858号「デジタルビデオディスク基板」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月 7日出願公開、特開平 9-265663〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年3月28日に特許出願されたものであって、最初の拒絶理由通知に応答して平成16年3月9日付けで手続補正がなされ、これに対し、最後の拒絶理由が通知され、平成16年5月24日付けで手続補正がなされたものの、該手続補正は平成16年6月14日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年8月4日に拒絶査定不服審判が請求され、同年8月30日付で手続補正がなされたものであり、その後、平成18年6月27日付けで該手続補正が当審において補正の却下の決定がなされるとともに最後の拒絶理由が通知され、これに応答して平成18年8月8日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成18年8月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年8月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正の概略
本件補正は、少なくとも、特許請求の範囲の請求項1に関して、
補正前(平成16年3月9日付け手続補正書参照)の
「【請求項1】(a)一般式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれハロゲン原子,炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Zは単結合,炭素数1?20のアルキレン基若しくはアルキリデン基,炭素数5?20のシクロアルキレン基若しくはシクロアルキリデン基,-O-,-S-,-SO-,-SO2- 又は-CO-を示し、p及びqは、それぞれ0?4の整数、mは1?150の整数を示す。)
で表されるポリカーボネート構造単位及び一般式(II)
【化2】

(式中、R3?R6は、それぞれ炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Aは二価の有機残基、Rは一価又は二価の有機残基、nは20を超えて60以下の整数を示す。)
で表されるポリオルガノシロキサン構造単位からなるポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体5?100重量%、及び(b)ポリカーボネート樹脂95?0重量%を含有し、かつ上記ポリオルガノシロキサン構造単位を樹脂成分全量に基づき0.1?10重量%の割合で含有する樹脂組成物からなるデジタルビデオディスク基板。」を
補正後の
「【請求項1】(a)一般式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれハロゲン原子,炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Zは単結合,炭素数1?20のアルキレン基若しくはアルキリデン基,炭素数5?20のシクロアルキレン基若しくはシクロアルキリデン基,-O-,-S-,-SO-,-SO2- 又は-CO-を示し、p及びqは、それぞれ0?4の整数、mは1?150の整数を示す。)
で表されるポリカーボネート構造単位及び一般式(II)
【化2】

(式中、R3?R6は、それぞれ炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Aは二価の有機残基、Rは一価又は二価の有機残基、nは60以下の整数を示す、但し、20以下の場合を除く。)
で表されるポリオルガノシロキサン構造単位からなるポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体5?100重量%、及び(b)ポリカーボネート樹脂95?0重量%を含有し、かつ上記ポリオルガノシロキサン構造単位を樹脂成分全量に基づき0.1?10重量%の割合で含有する樹脂組成物からなり、ディスク径が120mm、ディスク厚0.6mmのデジタルビデオディスク基板。」
と補正するものである。

(2)補正の適否
(2-1)新規事項について
本件補正によって、少なくとも、式(II)のポリオルガノシロキサン構造単位に関し、「nは60以下の整数を示す、但し、20以下の場合を除く。」と補正された。
しかしながら、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」ともいう。)には、かかる技術事項は、記載も示唆もされていないし、自明であるとも認められない。
当初明細書の段落【0015】には、「・・・。nは1?60、好ましくは5?40、より好ましくは10?30の整数を示す。nが60を超えると樹脂の透明性が低下し、DVD基板材料として適さなくなる。」と説明されているだけで、nが20以下の場合を除くことの明示はなく、むしろ、20の前後を含む10?30のnが好ましい旨の記載があるだけにすぎない。 なお、n=20を境に、即ちnが20以下の場合とnが20を超える場合とで、作用効果として主張されている成形時の割れが少なく、複屈折が小さく、転写性に優れるとする点に差異がある、特に臨界的な差異があるとは当初明細書の記載からは自明に導き出せるものではない。
したがって、当初の1?60の範囲に包含されてはいても、nが20以下の場合を除くとの概念は示されていなかったことが明らかであり、nの範囲を新規に規定したものという他ない。

この点に関し、請求人は、平成18年8月8日付け意見書において、『請求項1における「nは60以下の整数を示す、但し、20以下の場合を除く。」とする補正は、引用文献1のnは好ましくは2から20であるとの記載から、20以下の場合を除く、いわゆる、除くクレームであることを明確にした補正であり、なんら新規事項を追加するものではありません。従って、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているものと思料致します。』と主張している。
しかしながら、nに関連する引用文献1(当審の平成18年6月27日付け拒絶理由通知書の理由2の刊行物1.特開平3-106931号公報に相当,以下、「引用例」ともいう。)の記載に関し、その特許請求の範囲において、「・・ポリジオルガノシロキサン構造単位含量を有し、2から40の重合度に対応するポリシロキサンブロックを有する透明なポリジオルガノシロキサン/ポリカーボネートブロック共重合体」と記載されているのであり、「好ましくは3から20そしてさらに好ましくは2から15」との記載はあっても、引用例発明において「2から40」の範囲を「20以下」に限定すべき理由などないのであるから、「20以下の場合を除く」ことはできないのである。
更に、本願補正発明の式(II)のポリオルガノシロキサン構造単位ではnで表される繰り返し部分以外にSiが1つ存在するのに対し、引用例のnはポリオルガノシロキサン構造単位の重合度(2から40)を示しSiが外に1つ存在するわけではないことから、両者のnは異なった技術的意義を有するものであり、引用例発明の「数n=o+p+qは2から40」(後記「(2-2)の(2-2-2)」の項の引用例の摘示(iii)参照)のnから1を引いた数が、本願補正発明の「n」に相当する(後記「(2-2)の(2-2-3)の(δ)」項における対比判断も参照)。 即ち、引用例の前記「好ましくは3から20」は、本願補正発明のnでいうと2?19に相当するのであるから、本願補正発明のnに関して「20以下の場合を除く」の20の数値は、引用例に対応する数値が明示されていないことになるので、その点からみても、引用例発明を除くクレームであると解することはできない。
結局のところ、前記nに関し「但し、20以下の場合を除く」との補正は、引用例発明と本願発明との重なりを除くものであるとは認められないのであるから、重なりが除かれることを前提とする請求人の主張はそもそもその前提を欠くものであり、その余の点について検討するまでもなく、採用の限りではない。

よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとは言えないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2-2)独立特許要件違反について
仮に、上記除く補正を不問に付し、且つデジタルビデオディスク基板についての「ディスク径が120mm、ディスク厚0.6mm」との新たな規定(前記(1)の補正前後の構成の対比から明らか)が限定的減縮であると解しても、本件補正は最後の拒絶理由通知に対してなされた補正であるから、本件補正後の前記請求項1?3に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであることが必要である。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2-2-1)本願補正発明
本願補正発明は、前記2.(1)に摘示した、補正後の【請求項1】に示されたとおりである。

(2-2-2)引用例
当審の最後の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平3-106931号公報(以下、「引用例」という。)には、次のことが記載されている。
(i)「1.8,000から30,000の範囲の平均分子量Mw(重量平均)(超遠心分離または散乱光測定により公知の方法により測定)(当審注:Mwは、MwのMの上にアッパーラインがあるが、表示できないため省略,以下同様。)、そして90から99.9重量%の芳香族カーボネート構造単位含量そして10から0.1重量%のポリジオルガノシロキサン構造単位含量を有し、2から40の重合度に対応するポリシロキサンブロックを有する透明なポリジオルガノシロキサン/ポリカーボネートブロック共重合体。」(特許請求の範囲参照)、及び、
(ii)「発明の詳細な説明
ポリカーボネートはコンパクトディスクの基材としてとりわけ使用されている。その情報はレーザ・ビームにより書き込まれ、そして読み出される。従って、コンパクトディスクの基材の光学的性質は厳格な要求に適合しなければならない(純度と複屈折がないという点から)。それに加えて、特にビデオディスクにおいては非常に良好な溶融流動(melt flow)挙動が求められる。
ヨーロッパ特許公報明細書第0274092号は1から99モル%の2,2-ビス-(4-ヒドロキシ-3-tert.-ブチルフエニル)-プロパン、残部はビスフェノールA,APまたはZのようなその他のビスフェノールを基礎とするポリカーボネート共重合体について開示する。これらのポリカーボネート共重合体は減小された光弾性定数を示し、従って減小された複屈折を示す。多数のその他の文献が減小された複屈折のポリカーボネート共重合体に関連している(例えば日本特許出願第188422号、・・・(中略)・・・)。
本発明は特定のポリジオルガノシロキサン/ポリカーボネートブロック共重合体が光学的情報記憶媒体(コンパクトディスク)の基材として適しているという観察に基いている。それらの良好な流動挙動と光弾性特性のおかげで、大直径のディスクの製造をも可能とする。」(第1頁左下欄15行?第2頁左上欄4行参照)こと、
(iii)「これらは
a)2から40、好ましくは3から20そしてさらに好ましくは2から15の重合度Pnを有するα、ω-ビスヒドロキシアリールオキシポリジオルガノシロキサン、式(II)に対応するものが好ましい、
b)式(I)に対応するジフェノール、
c)連鎖停止剤そして必要に応じて、
d)分枝形成剤
例えばホスゲンのような「カーボネート供与体」との二相界面重縮合により合成される。適切なα、ω-ビスヒドロキシアリールオキシポリジオルガノシロキサン(a)は例えば米国特許明細書第3,419,634号により公知である。好ましいα、ω-ビスヒドロキシアリールオキシポリジオルガノンロキサンは式(II):

式中
Arは2つのヒドロキシ基を欠く式(I)に対応するジフェノールの残基、そして
RとR′は直鎖のアルキル、分枝状アルキル、アルケニル、ハロゲン化直鎖アルキル、ハロゲン化分校状アルキル、アリールまたはハロゲン化アリール、好ましくはメチル、
そして
ジオルガノシロキシ単位の数n=o+p+qは2から40、好ましくは2から20そしてさらに好ましくは2から15である、
に対応するものである。
式(II)中、置換基Rと置換基R′は互いに独立である。それらは好ましくはC1-20アルキル、C2-6アルケニル、C6-16アリールである。・・・(中略)・・・である。
ジフェノールb)は式(I)
HO-Ar-OH (I)
式中
Arは同一でも異なってもよく、好ましくは6から30の炭素原子を有するアリーレン・ラジカルを表す、に対応するジフェノールであり、
好ましいジフェノールは下式

式中
Zは単結合、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-SO2-、

そして
Y1からY4は同一でも異なってもよく、水素、C1-4アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン原子、好ましくは塩素または臭素を表す。
mは4から7、好ましくは4から5の整数、
R3とR4は個々に各X毎に選ぶことができ、互いに独立に、水素原子またはC1-12アルキルを表し、
そして
Xは、R3とR4が共に、少なくとも1つの原子Xに結合するアルキルであるという条件での、炭素原子である、
に対応する。
・・・(中略)・・・
式(1)に対応するジフェノールの例は、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフエニル、ビス-(ヒドロキシフエニル)-アルカン、ビス-(ヒドロキシフエニル)-シクロアルカン、ビス-(ヒドロキシフエニル)-スルフイド、ビス-(ヒドロキンフエニル)-エーテル、ビス-(ヒドロキシフエニル)-スルホキシド、ビス-(ヒドロキシフエニル)-スルホンそしてα、ω-ビス-(ヒドロキシフエニル)-ジイソプ口ピルベンゼンそしてまた、それらの核-アルキル化そして核-ハロゲン化誘導体である。これらと、その他の適する芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、米国特許明細書第・・・(中略)・・・に開示されている。
式(I)に対応するジフェノール、式中
・・・(中略)・・・に記載されている。
特に好ましいビスフェノールの例は、2、2-ビス-(4-ヒドロキシフエニル)-プロパン、l、l-ビス-(4-ヒドロキシフエニル)-シクロヘキサン、2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフエニル)-プロパン、2,2-ビス-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフエニル)-プロパン、2,2-ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフエニル)-プロパン、ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフエニル)-メタン、ビス-(4-ヒドロキシフエニル)スルフイドそして1,1-ビス-(4-ヒドロキンフエニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンである。
式(I)に対応する1つまたはそれ以上のジフェノールを使用することができる。芳香族酸ハライドまたはフエノールのような官能基を有する芳香族化合物、特にp-tert.-ブチルフェノール、p-クロロフェノール、2,4,6-トリブロモフェノールそしてフェノールのような典型的フエノールは、連鎖停止剤(C)として、ブロック共重合体の所望の分子量により決められる通常の量が使用される。
特に好ましい連鎖停止剤は式(III)

式中
R5はC1-15アルキル、イソアルキルである、
に対応するフェノールである。
一般に、連鎖停止剤は、使用されるジフェノール基準で0.5モル%から10.0モル%の量で使用される。
3または3以上の官能基を有する化合物、特に3または3以上のフェノール性ヒドロキシ基を有するものは、側鎖形成剤d)としてジフェノール基準で0.05から2モル%の通常の量で使用することができる。
側鎖形成d)として使用することができる3または3以上のフェノール性ヒドロキシ基を有するいくつかの化合物は、例えば、2,4-ビス-(4-ヒドロキシフエニルイソプロピル)-フェノール、2,6-ビス-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、2-(4-ヒドロキシフエニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフエニル)-プロパンそしてl,4-ビス-(4,4'-ジヒドロキシトリフェニルメチル)-ベンゼンである。その他のいくつかの三官能性化合物は、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、・・・(中略)・・・である。」(第2頁右上欄13行?第4頁右上欄8行参照)こと、
(iv)「二相界面重縮合において、α、ω-ビスヒドロキシアリールオキシポリジオルガノシロキサンと連鎖停止剤は、ホスゲン導入前にジフェノール(b)と共に加えても、またはホスゲン導入中または導入後に別々に加えてもよいが、いずれの場合も重縮合触媒の添加前である。
カルボン酸ハライド、特にホスゲンのようなカルボン酸クロリド、COBr2、またはジフエノールのビスクロロカルボン酸エステルの相当量は二相界面重縮合用の「カーボネート供与体」として公知の方法で使用され、ハロカルボン酸基lモルあたりl/2モル以下のジフェノールが使用される。」(第4頁右下欄2?14行参照)こと、
(v)「実施例1
44.51g(0.197モル)のビスフェノールAと13.5g(0.34モル)の水酸化ナトリウムが不活性気体雰囲気中、766.5gの水に溶解される。350mlメチレンクロリド中1.1gのビスフェノールA基で停止されたポリジメチルシロキサン(Pn=5)(=1重量%SiMe2O)と0.73g(7.8ミリモル)のフェノールの溶液が、次いで加えられる。31.8g(0.32モル)のホスゲンが、十分に撹拌された溶液にpH12-13/21-25℃で導入される。0.28mlのエチルピベリジンが次いで加えられ、さらに45分間撹拌する。水相は分離され、リン酸で酸性化後の有機相は中性になるまで洗浄され、そして溶剤が除かれる。
生成したポリカーボネートは相対粘度(50mlメチレンクロリド中、重合体0.25gの溶液で測定)1.16であった。」(第5頁左上欄18行?同頁右上欄15行参照)こと、
(vi)「これらポリカーボネートのASTM-D1925に基く標準色彩値yとDIN(300℃せん断速度100sec.)に基く溶融粘度が測定された(表1参照)。ネットスタル(Netstal)射出成形機を用いて(溶融温度320℃)これら素材から直径12cmのコンパクト・ディスクが作成され、それらの軸方向の複屈折が測定された。」(第5頁右下欄12?18行参照)こと。

これらの記載から、引用例には、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているものと認められる。
「8,000から30,000の範囲の平均分子量Mw(重量平均)(超遠心分離または散乱光測定により公知の方法により測定)、そして90から99.9重量%の芳香族カーボネート構造単位含量そして10から0.1重量%のポリジオルガノシロキサン構造単位含量を有し、2から40の重合度に対応するポリシロキサンブロックを有する透明なポリジオルガノシロキサン/ポリカーボネートブロック共重合体からなり、
芳香族カーボネート構造単位が、式(I)のジフェノール
HO-Ar-OH (I)
例えば

(Zは単結合、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-SO2-など、Y1からY4は同一でも異なってもよく、水素、C1-4アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン原子、好ましくは塩素または臭素を表す)のビスフェノール(実施例でビスフェノールA)とホスゲンとの反応物であって良く、
ポリジオルガノシロキサン構造単位が、例えば

(式中、Arは2つのヒドロキシ基を欠く式(I)に対応するジフェノールの残基、そしてRとR′は直鎖のアルキル、分枝状アルキル、アルケニル、ハロゲン化直鎖アルキル、ハロゲン化分校状アルキル、アリールまたはハロゲン化アリール、好ましくはメチル、
そして、ジオルガノシロキシ単位の数n=o+p+qは2から40)であって良い(実施例でビスフェノールA基で停止されたポリジメチルシロキサン)、
ディスク基板。」

(2-2-3)対比、判断
そこで、本願補正発明と引用例発明とを対比する。
(α)引用例発明の「90から99.9重量%の芳香族カーボネート構造単位含量そして10から0.1重量%のポリジオルガノシロキサン構造単位含量を有し、2から40の重合度に対応するポリシロキサンブロックを有する透明なポリジオルガノシロキサン/ポリカーボネートブロック共重合体」は、
本願補正発明の「ポリオルガノシロキサン構造単位からなるポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体・・・を含有し、かつ上記ポリオルガノシロキサン構造単位を樹脂成分全量に基づき0.1?10重量%の割合で含有し」に相当する。
なお、「・・・」の記載箇所の「5?100重量%、及び(b)ポリカーボネート樹脂95?0重量%」は、(a)の共重合体が100重量%の場合について、少なくとも一致している。 また、ポリシロキサンブロックの重合度に関しては、追って、後記(δ)で検討する。

(β)引用例発明の「共重合体からなり、」は、本願補正発明の「樹脂組成物からなる」に対応し、前記(α)で、(a)の共重合体が100重量%の場合について、少なくとも一致しているとの扱いをしているので、本願補正発明でも、樹脂組成物としての(b)成分を含有しないことになるから、両者は単に表現が異なるだけで実質相違することはない。

(γ)引用例発明の「芳香族カーボネート構造単位が、式(I)のジフェノール
HO-Ar-OH (I)
例えば

(Zは単結合、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-SO2-など、Y1からY4は同一でも異なってもよく、水素、C1-4アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン原子、好ましくは塩素または臭素を表す)のビスフェノール(実施例でビスフェノールA)とホスゲンとの反応物であって良く、」は、
本願補正発明の「一般式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2は、それぞれハロゲン原子,炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Zは単結合,炭素数1?20のアルキレン基若しくはアルキリデン基,炭素数5?20のシクロアルキレン基若しくはシクロアルキリデン基,-O-,-S-,-SO-,-SO2- 又は-CO-を示し、p及びqは、それぞれ0?4の整数、mは1?150の整数を示す。)
で表されるポリカーボネート構造単位」に対応し、
(γ-1)ビスフェノールとホスゲンとの反応物は本願補正発明の式(I)の構造単位となることは技術常識であり、そして、
(γ-2)式(I)の繰り返し部分として、pとqが0で、Zが-C(CH3)2-、即ち実施例があるビスフェノールA(分子量228)の反応物となるように選択した場合に、その分子量は254(=C16O3H14)であって、繰返し数mがm=150のときに式(I)の構造単位の分子量は約38000、m=118のときに同じく約30000、m=31のときに同じく約8000となること、及び引用例発明において重量平均分子量が8000?30000とされていて、共重合体が90?99.9重量%の式(I)に相当する芳香族カーボネート単位を有することも併せ勘案すると、引用例発明におけるmは1?150の範囲内にあることが自ずと明かであり、更に、pとqが0?4で、Zが両者共通する基(下記の一致する基)を採用しても引用例発明におけるmが1?150の範囲内にあるとの前記判断を左右し得ないと認められることから、
両者は、少なくとも、
「一般式(I)

(式中、R1及びR2は、それぞれハロゲン原子,炭素数1?4のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Zは単結合、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-SO2-などを示し、p及びqは、それぞれ0?4の整数、mは1?150の範囲よりも狭い範囲の整数を示す。)
で表されるポリカーボネート構造単位」で重複・一致している。

(δ)引用例発明の「2から40の重合度に対応するポリシロキサンブロック」、及び、「ポリジオルガノシロキサン構造単位が、例えば

(式中、Arは2つのヒドロキシ基を欠く式(I)に対応するジフェノールの残基、そしてRとR′は直鎖のアルキル、分枝状アルキル、アルケニル、ハロゲン化直鎖アルキル、ハロゲン化分校状アルキル、アリールまたはハロゲン化アリール、好ましくはメチル、
そして、ジオルガノシロキシ単位の数n=o+p+qは2から40)であって良い(実施例でビスフェノールA基で停止されたポリジメチルシロキサン)」は、
本願補正発明の「一般式(II)
【化2】

(式中、R3?R6は、それぞれ炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Aは二価の有機残基、Rは一価又は二価の有機残基、nは60以下の整数を示す、但し、20以下の場合を除く。)
で表されるポリオルガノシロキサン構造単位」に対応し、
(δ-1)引用例発明の「直鎖のアルキル、分枝状アルキル」は、「炭素数1?6のアルキル基」に相当し、
(δ-2)本願補正発明の基Aと基Rとして、任意ではあるが、例えば、

の基(*印のついた側結合手がSiと結合)を採り得る(本願明細書段落【0013】?【0015】参照)から、その場合に、引用例発明の式(II)の両末端の「-O-Ar-O-」が相当し、
(δ-3)引用例発明の「ジオルガノシロキシ単位」は、本願補正発明の「ポリオルガノシロキサン構造単位」に対応し、本願補正発明の式(II)ではnで表される繰り返し部分以外にSiが1つ存在するから、引用例発明の「数n=o+p+q」から1を引いた数が、本願補正発明の「数n」に相当し、
(δ-4)本願補正発明の表現での数nに関し、両者は21?39で一致している(ところで、請求人は平成16年3月9日付け意見書において、引用例のnは好ましい範囲である2?20であって、本願のものと重複しない旨を主張しているが、引用例発明が特許請求の範囲において明確に規定している数値をそのように限定解釈すべき理由はないから、そのような主張は失当である。)ことから、
両者は、少なくとも、
「一般式(II)

(式中、R3?R6は、それぞれ炭素数1?6のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、AとRは

の基(*印のついた側結合手がSiと結合)、
nは21?39の整数を示す。)
で表されるポリオルガノシロキサン構造単位」で一致している。

してみると、両発明は、次の一致点で一致し、次の相違点で一応相違する。
<一致点>
「一般式(I)

(式中、R1及びR2は、それぞれハロゲン原子,炭素数1?4のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Zは単結合、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-SO2-などを示し、p及びqは、それぞれ0?4の整数、mは1?150の範囲よりも狭い整数を示す。)
で表されるポリカーボネート構造単位及び一般式(II)

(式中、R3?R6は、それぞれ炭素数1?6のアルキル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、AとRは

の基(*印のついた側結合手がSiと結合)、
nは21?39の整数を示す。)
で表されるポリオルガノシロキサン構造単位からなるポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体を含有し、かつ上記ポリオルガノシロキサン構造単位を樹脂成分全量に基づき0.1?10重量%の割合で含有する、
ディスク基板。」
<相違点>
ディスク基板に関し、本願補正発明では「ディスク径が120mm、ディスク厚0.6mmのデジタルビデオディスク基板」と特定しているのに対し、引用例発明ではそのような表現の言及がない点。

この相違点について検討する。
引用例には、引用例発明の基板の材料がコンパクトディスクの基板材料として優れていることが記載されているし、良好な流動特性と光弾性特性(減少された複屈折)であるためビデオディスクや大直径のディスクにも使用できることも記載されている(摘示(ii)参照)。ちなみに、ビデオディスクは貼り合わせ構造である。
他方、0.6mm厚さの基板2枚を貼合わせて記録用ディスクとし、そのディスク径(直径)を120mm(12cm)とすることも知られているし、デジタルビデオディスクとしてそのような構造を採用することも知られている(例えば登録実用新案第3022434号公報段落【0001】,【0026】や特開平7-93820号公報第2頁など参照)。
そうであるから、良好な流動特性と光弾性特性を有する引用例発明のディスク基板用の材料を、「ディスク径が120mm、ディスク厚0.6mmのデジタルビデオディスク基板」に用いることは、当業者が容易に想到し得ることであり、成形しても割れないことや耐衝撃性に優れることは記録用ディスク基板として当然に要求される性能にすぎず、そのような特性に優れたことを確認する程度のことは当業者が当然にすべきことにすぎない。

ところで、出願人(審判請求人)は、平成16年3月9日付けの意見書において、
『そこで、上記の(a),(b)の違いを明確にするために比較例4、5として下記の実験を行いました。
製造例7 反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS、n=10)の製造
製造例2の1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン96gを271gにしたこと以外は製造例2と同様な方法で製造した。末端フェノールPDMSのジメチルシラノオキシ単位の繰り返し数は10であった。
製造例8 PC-PDMS共重合体Eの製造
製造例3の反応性PDMS(n=30)185gを反応性PDMS(n=10)180gにした以外は製造例3と同様な方法で製造した。そのPC-PDMS共重合体Eの粘度平均分子量Mvは13,900であり、PDMS構造単位含有量は3.9重量%であった。
製造例9 PC-PDMS共重合体Fの製造
製造例3の反応性PDMS(n=30)185gを反応性PDMS(n=10)45gにした以外は製造例3と同様な方法で製造した。そのPC-PDMS共重合体Fの粘度平均分子量Mvは14,000であり、PDMS構造単位含有量は1.0重量%であった。
比較例4
配合割合はPC-PDMS共重合体E100重量%、酸化防止剤50ppm、離型剤100ppmの組成物について、実施例1と同様にして、ペレット化した。得られたペレットの粘度平均分子量Mvは13,900であり、PDMS構造単位含有量は3.9重量%であった。また、実施例1と同様に円筒状の金型で、280℃で成形し、測定した離型圧は2.0MPaであった。
次に、得られたペレットを、実施例1と同様に射出成形し、径120mm、厚さ0.6mmのDVD基板を作成し、実施例1と同様に評価したところ、割れなかった枚数は50枚であり、落錘衝撃強度は0.40Jであった。
比較例5
配合割合はPC-PDMS共重合体F100重量%、酸化防止剤50ppm、離型剤100ppmの組成物について、実施例1と同様にして、ペレット化した。得られたペレットの粘度平均分子量Mvは14,000であり、PDMS構造単位含有量は1.0重量%であった。また、実施例1と同様に円筒状の金型で、280℃で成形し、測定した離型圧は2.6MPaであった。
次に、得られたペレットを、実施例1と同様に射出成形し、径120mm、厚さ0.6mmのDVD基板を作成し、実施例1と同様に評価したところ、割れなかった枚数は20枚であり、落錘衝撃強度は0.20Jであった。
以上の実験より、ポリオルガノシロキサン単位の重合度nを引用文献1のように10とした場合、本願発明の実施例の30の場合に比べ、DVD基板の割れる枚数も多いし、落錘衝撃強度も弱いことがわかります。』と主張している。
しかしながら、当初明細書には前記摘示(段落【0015】)のとおり、nのより好ましい範囲として10?30が示されている一方、「60以下の整数を示す。但し、20以下を除く。」ことは記載すらされていないし、20を境に作用効果に差異があることも示唆されていないことに鑑みると、意見書で主張されているnが10の場合に劣っていることはむしろ当初明細書の記載に反するものというべきである。 結局のところ、前記新たに提示された比較例4,5のデータは、当初明細書の記載を否定するものであるが故に信憑性に疑義があると言う他なく、到底採用できるものではないから、上記出願人(審判請求人)の主張は採用できない。
なお、そもそも製造例2の繰り返し数30は、n=30を意味するものと解することに疑義がある。何故なら、式(II)の化学構造式が繰返し部分の外にSiを1つ有するものであることに鑑みると、むしろ式(II)で表現すればnが29の場合を示すものと解すべきであるからである。即ち、製造例2の主発原料であるオクタメチルシクロテトラシロキサンと1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンが用いられていて、4個又は2個のいずれも偶数個のSi(-OSi(CH3)2-基)からなるのものであるから、製造される化合物のSiの個数も偶数となるべきで、当然に式(II)のSiの数も偶数となるから、繰返し部分の外にSiが1個あることに注意すると、製造例2ではnは奇数しか採り得ないことが明らかである(ちなみに、式(II)中の基Aの二価の有機残基、及び基Rの一価又は二価の有機残基を具体的に説明する本願明細書段落【0013】?【0015】には、それらの有機残基にSiが含まれることは説明されていないことにも留意)。ただ、繰り返し数30が平均値である可能性はあるが、本願明細書にはそのような記載はないし、仮に平均値であれば、nが30であるということはできず、例えばnは9?39の如き表現とすべきものである。 いずれであっても、製造例2に関し、nが30の実施例であるということができない。 そうであるから、前記意見書中の「製造例3の反応性PDMS(n=30)・・・」のn=30とは何を根拠とするものか不明であり、また製造例7のn=10も何を根拠とするものか不明であるから、その点でも提示されたデータに信憑性が欠けている。

以上のとおりであるから、前記相違点は格別のものということができず、当業者が容易に想い到る程度のものというべきである。
よって、本願補正発明は、引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(2-3)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反するので、乃至は、特許法第126条第5項を準用する同法第17条の2第5項に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成18年8月8日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成16年3月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記「2.(1)」の補正前の請求項1に摘示されたとおりのものである。
なお、平成16年8月30日付け手続補正と平成16年5月24日付け手続補正は、いずれも補正の却下の決定がなされている。

これに対する当審の最後の拒絶理由の概要は、次のとおりである。
『理由1.平成16年3月9日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

平成16年3月9日付手続補正は、請求項1に関し、次のようにする補正を含むものである。
「【請求項1】(a)一般式(I)
・・・(中略)・・・
デジタルビデオディスク基板。」
本件補正によって、式(II)のポリオルガノシロキサン構造単位に関し、「nは20を超えて60以下の整数を示す」と補正された。
しかしながら、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」ともいう。)には、かかる技術事項は、記載も示唆もされていない。 なお、該技術事項によって、成形時の割れが少ないとの特に優れたものとなる概念は、当初明細書の記載からは自明に導き出されるものではない。
審判請求理由や各意見書における出願人(審判請求人)の主張は、採用できない(詳細については、下記に転記する補正却下の決定の理由の「II.新規事項について」の項を参照。)。

理由2.この出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1.特開平3-106931号公報
備考:
・・・(後略)。』

(1)新規事項について
平成16年3月9日付けでした手続補正は、少なくとも、「nは20を超えて60以下の整数を示す。」との補正を含むものである。
しかしながら、当初明細書には、かかる技術事項は、記載も示唆もされていないし、自明であるとも認められない。
該補正内容は、前記「2.(2)(2-1)」で検討した、「nは60以下の整数を示す、但し、20以下の場合を除く。」との補正と表現が異なるだけで、いずれもnが21?60の整数であることを意味するので、本質的な差異はなく、前記「2.(2)(2-1)」で判断したのと実質的に同じ理由が成立する。
よって、平成16年3月9日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとは言えないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)進歩性について
(2-1)引用例
当審の拒絶理由に引用される引用例、およびその記載事項は、前記「2.(2)(2-2-1)」に記載したとおりである。

(2-2)対比、判断
本願発明は、前記「2.(2-2)(2-2-1)」で検討した本願補正発明において、(α)「nは60以下の整数を示す、但し、20以下の場合を除く。」の限定事項を、「nは20を超えて60以下の整数を示す。」と、表現を変更したものであり、(β)デジタルビデオディスク基板についての規定である、「ディスク径が120mm、ディスク厚0.6mm」との構成を削除したものである。
そうすると、(α)の点は実質的な変更ではないから、本願補正発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(2)(2-2)」に記載したとおり、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、平成16年3月9日付け手続補正は特許法第17条の2第3項に違反し、乃至は、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それ故、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願平8-73858
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11B)
P 1 8・ 575- WZ (G11B)
P 1 8・ 55- WZ (G11B)
P 1 8・ 561- WZ (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森川 聡  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 山田 洋一
川上 美秀
発明の名称 デジタルビデオディスク基板  
代理人 大谷 保  

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