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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
管理番号 1156242
審判番号 不服2004-1670  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-23 
確定日 2007-04-19 
事件の表示 平成 8年特許願第240548号「画像形成装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 4月 7日出願公開、特開平10- 87149〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明の特定
本願は、平成8年9月11日に出願したものであって、その請求項1乃至16に係る発明は、平成16年2月10日付け手続き補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至16に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「プレイン紙及びプレイン紙とは異なる種類の記録媒体を含む、複数種類の記録媒体に画像形成可能な画像形成装置であって、
画像情報の記録媒体に対する記録動作を行う画像記録手段と、
前記画像記録手段で記録処理がなされた記録媒体を積載可能な積載手段と、
前記積載手段に積載された記録媒体に対してステイプル動作を実行可能なステイプル手段と、
前記積載手段にて前記ステイプル手段によるステイプル処理がなされた記録媒体を前記積載手段から排紙部へ排出し、且つ、前記積載手段にて前記ステイプル手段によるステイプル処理がなされない記録媒体も前記積載手段上を介して前記排出部へ排出する排出手段と、
操作者からのステイプル動作の実行指示を受け付ける指示手段と、
前記画像記録手段にて記録媒体に対する記録動作を実行させ、該記録媒体を前記積載手段に積載させ、該積載手段にて該記録媒体に対する前記ステイプル手段によるステイプル動作を実行させ、そのうえで、該記録媒体を前記積載手段から前記排出部へ排出させる、第1の処理手順と、前記画像記録手段にて記録媒体に対する記録動作は実行させるが、前記積載手段における記録媒体に対する前記ステイプル手段によるステイプル動作は実行させずに、該記録媒体を前記積載手段上を介して前記排出部へ排出させる、第2の処理手順と、を、実行可能にする制御手段を有し、
前記制御手段は、
記録対象の記録媒体の種類が封筒であるかに関する第1の判断処理を経て該記録媒体の種類が封筒であると判断した場合、及び、記録対象の記録媒体の種類がOHPであるかに関する第2の判断処理を経て該記録媒体の種類がOHPであると判断した場合、及び、記録対象の記録用紙の種類が葉書であるかに関する第3の判断処理を経て該記録媒体の種類が葉書であると判断した場合、の何れかである場合にて、及び、前記指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされていない場合にて、前記第2の処理手順を実行可能にし、
前記指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされ、且つ、記録対象の記録媒体の種類が封筒でも無くOHPでも無く葉書でも無い場合にて、前記第1の処理手順を実行可能にすることを特徴とする画像形成装置。」

2.引用例
(2-1)当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された特開平5-147186号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。

(a)【0001】【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に供され、複写済のシートに綴じ、またはパンチング等の後処理を施すシート後処理装置に関するものである。

(b)【0020】本実施例に係る複写機は、図1に示すように、原稿Mの画像をシートSに複写する機体本体1を有しており、この機体本体1の上部には、機体本体1の上端面に形成された露光部2に原稿Mを搬送する原稿搬送装置30が設けられている。

(c)【0022】上記感光体ドラム10の周囲には、前述のように感光体ドラム10の表面を所定の電位に帯電させるメインチャージャユニット11と、現像ユニット12と、転写チャージャ13と、剥離チャージャ14とが配設されており、感光体ドラム10表面に形成された静電潜像は、現像ユニット12によりトナー像として現像され、次いで、このトナー像が転写チャージャ13により後述のシート搬送路15を通って搬送されるシートSに転写されるようになっている。尚、上記剥離チャージャ14は、トナー像が転写されるシートSを感光体ドラム10から剥離するようになっている。

(d)【0027】上記シート後処理装置40は、図2に示すように、機体本体1から搬送されてくるシートSを装置40内で搬送する後処理搬送路41と、シートSを整合してステープル針による製本処理を施す後処理手段45と、製本されたシートSを装置40内から排出する排出手段51と、装置40内から排出されるシートSを載置する排出トレイ56とを備えている。

(e)【0028】上記後処理搬送路41は、その一端側に機体本体1から搬送されてくるシートSを搬入する搬入口41aが形成されていると共に、経路途中で二股状に分岐されて上下二段のバイパス41bとメインパス41cとが形成されている。また、上記後処理搬送路41は、バイパス41bおよびメインパス41cの各末端部に、それぞれ上下一対の搬送ローラ42・43が配設されると共に、バイパス41bとメインパス41cとの分岐点には、B1 -B2 方向に回動可能なデフレクタ44が配設されて、シートSの搬送経路をバイパス41b、あるいはメインパス41c何れか一方のパスに切り替えるようになっている。さらに、上記後処理搬送路41は、図3に示すように、バイパス41bおよびメインパス41cの各経路途中にシートSを検知するためのシート検知スイッチSW1 ・SW2 がそれぞれ配設されており、これらシート検知スイッチSW1 ・SW2 による各シートSの検知動作により、後述するような搬送ローラ43の駆動制御を行うようになっている。

(f)【0029】上記後処理手段45は、後処理板としてのステープル用プレート46と、幅寄板47と、パドラー48と、ステープラ49とから構成されている。

(g)【0039】上記の構成において、本シート後処理装置40におけるシートSの搬送プロセスについて以下に説明する。尚、以下の説明では、機体本体1から搬送されてくるシートSに後処理を施すことなく、順次1枚ずつ排出トレイ56に排出するオフセットモードと、機体本体1から搬送されてくるシートSに製本の後処理を施した後、1部のみ製本されたシートS(以下、製本シートSと称する)を排出トレイ56に排出するステープル(シングル)モードと、機体本体1から搬送されてくるシートSに製本の後処理を施した後、複数部の製本シートSを順次排出トレイ56に排出するステープル(マルチ)モードとの各モードに分けて説明を行うものである。

(h)【0040】先ず、オフセットモード時では、図9のフローチャートに示すように、シート後処理装置40が機体本体1よりオフセット枚数を受信すると(S1)、装置40内にオフセット枚数がセットされる(S2)。次に、装置40が機体本体1より動作スタートを受信すると(S3)、スタート処理が施されて(S4)、処理枚数がクリアされる(S5)。

(i)【0041】その後、機体本体1にて原稿Mの画像が複写されたシートSは、搬入口41aを通って装置40内に搬入され、メインパス41cを通った後、各ローラ53・54間に挟装されて排出トレイ56に排出される。このとき、上記のシートSは、シート検知スイッチSW2 のON状態によりメインパス41cでの搬送が検知され(S6)、また、シート検知スイッチSW3 のON状態(S7)、およびOFF状態(S8)により各ローラ53・54間での搬送および通過が検知されて、処理枚数がアップされる(S9)。

(j)【0044】次に、ステープル(シングル)モード時では、図10のフローチャートに示すように、シート後処理装置40が機体本体1よりステープル枚数を受信すると(S21)、装置40内にステープル枚数がセットされる(S22)。次に、装置40が機体本体1より動作スタートを受信すると(S23)、スタート処理が施されて(S24)、処理枚数がクリアされる(S25)。

(k)【0045】その後、機体本体1にて原稿Mの画像が複写されたシートSは、搬入口41aを通って装置40内に搬入され、メインパス41cを通った後、ステープル用プレート46上に排紙される。このとき、上記のシートSは、シート検知スイッチSW2 のON状態(S26)およびOFF状態(S27)によりメインパス41cでの搬送が検知され、これによって、装置40のタイマーがクリアされ(S28)、また、処理枚数がアップされる(S29)。そして、上記のタイマーによりセットされた所定時間が経過すると(S30)、ステープル用プレート46上へのシートSの排紙完了を判断して、ステープル用プレート46上のシートSを幅寄板47により幅方向に整合する(S31)。

(l)【0046】次に、上記のようにアップされた処理枚数がステープル枚数と一致するか否かが判別される(S32)。S32にて、処理枚数がオフセット枚数と一致しない場合は、再度S26に戻る。一方、処理枚数がステープル枚数と一致する場合は、処理枚数がクリアされ(S33)、次に、ステープル用プレート46上のシートSが、パドラー48のC方向への回転、および排出ローラ53のG2 方向への回転により搬送方向に整合されると共に、ステープラ49のステープル針により綴じられてステープル処理が施される(S34)。

(m)【0047】次いで、上記のようにしてステープル処理が施された製本シートSは、押出部材52のD1 方向への進出移動、および排出ローラ53のG1 方向への回転によりステープル用プレート46上から排出トレイ56に排出される(S35)。そして、排出トレイ56の調整が行われた後(S36)、装置40が機体本体1から動作終了を受信すると(S37)、終了処理が施されて(S38)、以上のようなステープル(シングル)モードが終了される。

上記(a)乃至(m)、【図2】および【図4】より、引用例1には、
「シートに画像形成可能な複写機等の画像形成装置であって、
画像のシートに対する転写を行う機体本体と、
前記機体本体で転写がなされたシートを積載可能なステープル用プレートと、
前記ステープル用プレートに積載されたシートに対してステープルを実行可能なステープラと、
前記ステープル用プレートにて前記ステープラによるステープルがなされたシートを前記ステープル用プレートから排出トレイへ排出し、且つ、前記ステープル用プレートにて前記ステープラによるステープルがなされないシートも前記ステープル用プレートの上方を通過させて前記排出トレイへ排出する『後処理搬送路等の排出を行うもの』と、
ステープルモードとオフセットモードのいずれかを実行させる手段と、
前記機体本体にてシートに対する転写を実行させ、該シートを前記ステープル用プレートに積載させ、該ステープル用プレートにて該シートに対する前記ステープラによるステープルを実行させ、そのうえで、該シートを前記ステープル用プレートから前記排出トレイへ排出させる、ステープルモードと、前記機体本体にてシートに対する転写は実行させるが、前記ステープル用プレートにおけるシートに対する前記ステープラによるステープルは実行させずに、該シートを前記ステープル用プレート上の上方を通過させて前記排出トレイへ排出させる、オフセットモードと、を、実行可能に制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。」が開示されている。

(2-2)当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された特開平7-295314号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。

(n)【0010】図1に示す複写機は、複写機本体1の上面に、原稿を載置するプラテンガラス2が配置され、その下方に画像読取系3、ベルト状の感光体4を備えた画像記録系5の各装置が配置されている。複写機1の内部には、給紙トレイ6-1,6-2,6-3が設けられ、複写機1の側面には、OHPトレイ7が取り付けられている。複写機本体1の内部には、各給紙トレイ6-1,6-2,6-3から、或いは、OHPトレイ7からの記録紙を、感光体4の転写部方向に搬送する用紙搬送系8と、画像が記録される用紙が普通紙であるか或いはOHPシートであるかを検出する用紙センサ9が設けられている。複写機本体1の上部には、ディスプレイ,操作キー等を備えたユーザインタフェース10が取り付けられると共に、プラテンガラス2の上に自動原稿送り装置11が取り付けられている。更に、複写機本体1のOHPトレイ7側とは反対側の側面にフィニッシャ12が取り付けられている。

(o)【0022】制御部21は、ユーザインタフェース部22(図1のユーザインタフェース10に対応)からの指示に応じて、自動原稿送り部23(自動原稿送り装置11に対応)、画像読取部24(画像読取系3に対応)、画像処理装置25、画像形成部26(画像記録系5に対応)、フィニッシャ27(フィニッシャ12に対応)の動作を制御する。なお、制御部21は、たとえば、マイクロコンピュータにより制御されるものであり、周知のように、CPU (中央処理装置) 、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)等を備えている。

(p)【0050】まず、ステープルモードが設定されているか否かが判別され (ステップ501)、ステープルモードでない場合には、そのまま処理を終了する。ステープルモードであった場合には、ソートモードであるか否かが判別され (ステップ502)、ソートモードでなかった場合、すなわち、スタックモードであった場合には、そのまま処理を終了する。

(q)【0051】ステープルモードであり、且つ、ソートモードである場合には、ビン内の用紙がOHPシートであるか否かが検出され (ステップ503)、OHPシートでない場合には、ビンに収納されている用紙がステープラ17で綴じられ (ステップ504)、その後、ステップ505に進む。ビン内の用紙がOHPシートである場合には、ステープル処理を行うことなくステップ505に進む。ステップ505では、複写済枚数Madecountが設定枚数に等しいか否かが判別され、等しい場合には処理を終了し、等しくない場合にはビンの位置が1段上げられ (ステップ506)、ステップ503に戻る。

(r)【0052】なお、ビン内の用紙がOHPシートであるか否かは、搬送中の用紙の種類を、複写機本体1内に設けられた用紙センサ9により検出することに、制御部21で知ることができる。

上記(n)乃至(r)より、引用例2には、
「普通紙及び普通紙とは異なる種類のOHPシートを含む、複数種類の記録紙に画像形成可能な複写機等の画像形成装置であって、
複写を行う者からのステープルモード選択を受け付けるユーザインターフェース部と、
ステープルモードと、非ステープルモードとを実行可能にする制御手段を有し、
前記制御手段は、
記録対象の記録紙の種類がOHPシートであると判断した場合、及び、前記ユーザインターフェース部を介して複写を行う者からのステープルモード選択がなされている場合にて、前記非ステープルモードを実行可能にし、
前記ユーザインターフェース部を介して複写を行う者からのステープルモード選択がなされ、且つ、記録対象の記録紙の種類がOHPシートで無い場合にて、前記ステープルモードを実行可能にする画像形成装置」が開示されている。

3.対比・判断
本願発明と引用例1記載の発明とを対比する。
○後者の「シート」、「画像」、「転写」、「機体本体」、「ステープル用テーブル」、「ステープル」、「ステープラ」、「排出トレイ」、「後処理搬送路等の排出を行うもの」、「ステープルモード」、「オフセットモード」は、
前者の「記録媒体」、「画像情報」、「記録処理」、「画像記録手段」、「積載手段」、「ステイプル動作、ステイプル処理」、「ステイプル手段」、「排出部」、「排出手段」、「第1の処理手順」、「第2の処理手順」のそれぞれに相当している。

○後者の「ステープルモードとオフセットモードのいずれかを実行させる手段」は、例えば複写機にあっては、複写を行う者(操作者)からのステープル(ステイプル動作)を実行するかどうかの指示を受け付ける手段を含むものである、即ち、「操作者からのステイプル動作の実行指示を受け付ける指示手段」を含むものであると見るのが妥当であるので、
前者の「操作者からのステイプル動作の実行指示を受け付ける指示手段」に対応している。

○後者の「前記ステープル用プレートの上方を通過させて前記排出トレイへ排出する」は、一般に、「上方を通過させて」を「上を介して」に言い換えることができることから、「前記ステープル用プレート上を介して前記排出トレイへ排出する」に言い換えることができるので、
前者の「前記ステープル用プレート上を介して前記排出トレイへ排出する」に相当している。

上記より、両者は、
「記録媒体に画像形成可能な画像形成装置であって、
画像情報の記録媒体に対する記録動作を行う画像記録手段と、
前記画像記録手段で記録処理がなされた記録媒体を積載可能な積載手段と、
前記積載手段に積載された記録媒体に対してステイプル動作を実行可能なステイプル手段と、
前記積載手段にて前記ステイプル手段によるステイプル処理がなされた記録媒体を前記積載手段から排紙部へ排出し、且つ、前記積載手段にて前記ステイプル手段によるステイプル処理がなされない記録媒体も前記積載手段上を介して前記排出部へ排出する排出手段と、
操作者からのステイプル動作の実行指示を受け付ける指示手段と、
前記画像記録手段にて記録媒体に対する記録動作を実行させ、該記録媒体を前記積載手段に積載させ、該積載手段にて該記録媒体に対する前記ステイプル手段によるステイプル動作を実行させ、そのうえで、該記録媒体を前記積載手段から前記排出部へ排出させる、第1の処理手順と、前記画像記録手段にて記録媒体に対する記録動作は実行させるが、前記積載手段における記録媒体に対する前記ステイプル手段によるステイプル動作は実行させずに、該記録媒体を前記積載手段上を介して前記排出部へ排出させる、第2の処理手順と、を、実行可能にする制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。」という点で一致し、以下の点で相違しているものと認める。

◇前者では、「指示手段を有し、第1の処理手順と第2の処理手順が実行される画像形成装置における記録媒体」として、「プレイン紙及びプレイン紙とは異なる種類の記録媒体を含む、複数種類の記録媒体」を用いているのに対して、
後者には、「指示手段を有し、第1の処理手順と第2の処理手順が実行される画像形成装置における記録媒体」が上記のものであることの明記がない点。(以下、「相違点1」という。)

◇前者では、「指示手段を有し、第1の処理手順と第2の処理手順が実行される画像形成装置における制御手段」として、「記録対象の記録媒体の種類が封筒であるかに関する第1の判断処理を経て該記録媒体の種類が封筒であると判断した場合、及び、記録対象の記録媒体の種類がOHPであるかに関する第2の判断処理を経て該記録媒体の種類がOHPであると判断した場合、及び、記録対象の記録用紙の種類が葉書であるかに関する第3の判断処理を経て該記録媒体の種類が葉書であると判断した場合、の何れかである場合にて、及び、指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされていない場合にて、第2の処理手順を実行可能にし、
指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされ、且つ、記録対象の記録媒体の種類が封筒でも無くOHPでも無く葉書でも無い場合にて、第1の処理手順を実行可能にする制御手段」を用いているのに対して、
後者には、「指示手段を有し、第1の処理手順と第2の処理手順が実行される画像形成装置における制御手段」が上記のものであることの明記がない点。(以下、「相違点2」という。)

まず、引用例2記載の発明について検討する。
上記(2-2)で示したように、引用例2には、
「普通紙及び普通紙とは異なる種類のOHPシートを含む、複数種類の記録紙に画像形成可能な複写機等の画像形成装置であって、
複写を行う者からのステープルモード選択を受け付けるユーザインターフェース部と、
ステープルモードと、非ステープルモードとを実行可能にする制御手段を有し、
前記制御手段は、
記録対象の記録紙の種類がOHPシートであると判断した場合、及び、前記ユーザインターフェース部を介して複写を行う者からのステープルモード選択がなされている場合にて、前記非ステープルモードを実行可能にし、
前記ユーザインターフェース部を介して複写を行う者からのステープルモード選択がなされ、且つ、記録対象の記録紙の種類がOHPシートで無い場合にて、前記ステープルモードを実行可能にする画像形成装置」が開示されている。

●引用例2記載の発明の「普通紙」、「OHPシート」、「記録紙」、「複写を行う者」、「ステープルモード選択」、「ユーザインターフェース部」、「ステープルモード」、「非ステープルモード」は、
本願発明の「プレイン紙」、「OHP」、「記録媒体」、「操作者」、「ステイプル動作の実行指示」、「指示手段」、「第1の処理手順」、「第2の処理手順」のそれぞれに相当している。

●引用例2記載の発明における「記録対象の記録紙(記録媒体)の種類がOHPシート(OHP)であると判断した場合、及び、前記ユーザインターフェース部(指示手段)を介して複写を行う者(操作者)からのステープルモード選択(ステイプル動作の実行指示)がなされている場合にて、前記非ステープルモード(第2の処理手順)を実行可能にし」は、ステイプル動作の実行指示がなされていても、記録媒体がOHPであれば、第2の処理手順が実行されることから、記録媒体がOHPであって、ステイプル動作の実行指示がなされてなければ、尚更、第2の処理手順が実行されるのは当然である。
よって、上記は、「記録対象の記録紙(記録媒体)の種類がOHPシート(OHP)であると判断した場合、及び、前記ユーザインターフェース部(指示手段)を介して複写を行う者(操作者)からのステープルモード選択(ステイプル動作の実行指示)がなされていない場合にて、前記非ステープルモード(第2の処理手順)を実行可能にし」を示唆するものである。

上記より、引用例2記載の発明は、
「プレイン及びプレイン紙とは異なる種類の記録媒体(OHP)を含む、複数種類の記録媒体に画像形成可能な複写機等の画像形成装置であって、
操作者からのステイプル動作の実行指示を受け付ける指示手段と、
第1の処理手順と、第2の処理手順と、を、実行可能にする制御手段を有し、
前記制御手段は、
記録対象の記録媒体の種類がOHPであると判断した場合、及び、前記指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされていない場合にて、前記第2の処理手順を実行可能にし、
前記指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされ、且つ、記録対象の記録媒体の種類がOHPで無い場合にて、前記第1の処理手順を実行可能にする画像形成装置」に相当するものと認める。

上記を勘案の上、各相違点について検討する。
◆相違点1について
引用例1記載の発明の「記録媒体」と引用例2記載の発明の「記録媒体」とは、「指示手段を有し、第1の処理手順と第2の処理手順が実行される画像形成装置におけるもの」として軌を一にするものであることから、引用例1記載の発明の「記録媒体」として、これと軌を一にする引用例2記載の発明の「記録媒体」としての「プレイン紙及びプレイン紙とは異なる種類の記録媒体(OHP)を含む、複数種類の記録媒体」を用いる、即ち、相違点1で示した本願発明の事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。

◆相違点2について
引用例1記載の発明の「制御手段」と引用例2記載の発明の「制御手段」とは、「指示手段を有し、第1の処理手順と第2の処理手順が実行される画像形成装置におけるもの」として軌を一にするものであることから、引用例1記載の発明の「制御手段」として、これと軌を一にする引用例2記載の発明の「制御手段」としての「記録対象の記録媒体の種類がOHPであると判断した場合、及び、前記指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされていない場合にて、前記第2の処理手順を実行可能にし、
前記指示手段を介して操作者からのステイプル動作の実行指示がなされ、且つ、記録対象の記録媒体の種類がOHPで無い場合にて、前記第1の処理手順を実行可能にする制御手段」を用いる、即ち、相違点2で示した本願発明の事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。

したがって、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2乃至16に係る発明について、検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-15 
結審通知日 2007-02-20 
審決日 2007-03-05 
出願番号 特願平8-240548
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳 五三杉野 裕幸  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 豊永 茂弘
中西 一友
発明の名称 画像形成装置及びその制御方法  
代理人 野口 忠夫  
代理人 丹羽 宏之  

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