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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F |
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管理番号 | 1162154 |
審判番号 | 不服2006-5415 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-03-23 |
確定日 | 2007-08-09 |
事件の表示 | 特願2002-228932「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 69173〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件審判に係る出願は,平成14年8月6日の出願であって,平成18年2月16日付け(発送日:同月21日)で拒絶査定されたが,これに対して,同年3月23日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同年4月13日付けで,請求項の削除を目的として手続補正された。 そして,平成19年3月30日付け(発送日:同年4月3日)で拒絶理由が通知されたが,この拒絶理由通知で指定した期間内である,同年5月30日付けで手続補正されたところである。 2.本願発明 本件審判に係る出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成19年5月30日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりである。 【請求項1】 室外機(3)と室内機(2)とに分かれる空気調和機であって, 前記室外機(3)に設けられ,室外の空気を取り込んで前記室内機(2)へと送る送風装置(43)と, 前記室内機(2)へと送られる空気が通る搬送経路(6,61)と, 前記搬送経路(6,61)に設けられ,前記搬送経路(6,61)を伝わる音を低減する減音部(62)と, を備え, 前記搬送経路(6,61)は,前記室外機(3)内に設けられる室外機内経路(61)を有し, 前記減音部(62)は,前記室外機内経路(61)のうち,前記室外機の側板と,前記側板に取り付けられる閉鎖弁カバーとの間に位置する部分に設けられる, 空気調和機(1)。 3.引用例に記載された発明 3-1引用例1に記載された発明 本件審判に係る出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物であって,平成19年3月30日付け拒絶理由通知で引用した特開平1-300130号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「(産業上の利用分野) 本発明は室内側ユニットと室外側ユニットに分割してなる空気調和機に関する。」(第1頁右下欄第3行?第5行) (イ)「(実施例) 第1図は本発明の一実施例を示すものである。この空気調和機1は室内側ユニット2と室外側ユニット3とからなり,この室内側ユニット2と室外側ユニット3は一般的な冷媒循環用パイプと電気的接続用配線によって連結されている。」(第2頁右上欄第11行?第16行) (ウ)「一方,室外側ユニット3には室外側熱交換機15,室外側送風機16および圧縮機17が設けられている。さらに,室外側ユニット3には外気取入れ口18が設けられている。・・・・さらに,この外気取入れ口18は換気用送風機22を設けた送風路23に通じている。」(第2頁右下欄第5行?第15行) (エ)「この送風路23には換気用ダクト24が接続されている。この換気用ダクト24は室内と室外とを仕切る壁25を貫通して上記室内側ユニット2に接続されている。そして,この換気用ダクト24は室内側ユニット2における空気清浄器11よりも上流側に配置した換気用吹出口26に連通している。」(第2頁右下欄第16行?第3頁左上欄第2頁) (オ)「しかして,上記構成によれば,・・・・その換気用送風機22は室外側ユニット3に設けるため,その騒音が室内には伝わりにくい。」(第3頁左下欄第12行?右下欄第2行) 以上の記載事項及び図面の記載からみて,引用例1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されているものといえる。 「室外機と室内機とに分かれる空気調和機であって, 前記室外機に設けられ,室外の空気を取り込んで前記室内機へと送る換気用送風機と, 前記室内機へと送られる空気が通る送風路と, を備える,空気調和機。」 3-2引用例2に記載された発明 本件審判に係る出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物であって,平成19年3月30日付け拒絶理由通知で引用した実願平1-41744号(実開平2-134417号)のマイクロフィルム(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (カ)「(1)エアーハンドリングユニットの本体内底部にファン及びこれを駆動するモータを設置し,かつファンの吐出口と,本体側吐出口間を消音チャンバを兼用したダクトにて連結したことを特徴とするエアーハンドリングユニット。」(第1頁第5行?第9行) (キ)「[産業上の利用分野] 本考案は騒音及び振動を低減せしめ,かつ小型化を図るようになしたエアーハンドリングユニットに関するものである。」(第1頁第11行?第14行) (ク)「図において1はエアーハンドリングユニットの本体で,この本体1の内底部にファン2とこのファン2を駆動する駆動装置3を配設する。 4は本体1の一部に穿孔した吸込口で,図示の実施例では,本体の頂面に配設したが,この吸込口の配置は適当に定められる。」(第3頁第6行?第11行) (ケ)「また本体1には吐出口7を設け,この本体側の吐出口7とファン2の吐出口とをダクト8にて接続し,このダクト8を消音チャンバとして使用するものである。この消音チャンバとして使用するダクト8は・・・所要のチャンバ筐体81内に消音用の区画室をハニカム等にて多数形成し,このハニカム82の内側に消音材例えばグラスウール83,そしてその内側に多孔板84をそわせて一体とし,これによりダクト8内を流通する送風中を伝搬される騒音は減音されるものである。」(第3頁第17行?第4頁第8行) 以上の記載事項及び図面の記載からみて,引用例2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されているものといえる。 「エアーハンドリングユニットに設けられ,空気を取り込んで送るファンと, 送られる空気が通るダクトと, 前記ダクトに設けられ,前記ダクトを伝わる音を低減する消音チャンバとを備え, 前記ダクトは,前記エアーハンドリングユニット内に設けられ, 前記消音チャンバは,前記ダクトに設けられ, 前記消音チャンバは,前記ダクトよりも大きい断面積を有する, 前記消音チャンバは,音を吸収する消音材を有する,エアーハンドリングユニット。」 4.対比 本願発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1における「換気用送風機」が,本願発明における「送風装置」に相当し,また,引用発明1における「送風路」が,本願発明における「搬送経路」に相当する。 してみると,本願発明と引用発明1とは, 「室外機と室内機とに分かれる空気調和機であって, 前記室外機に設けられ,室外の空気を取り込んで前記室内機へと送る送風装置と, 前記室内機へと送られる空気が通る搬送経路と, を備える,空気調和機。」 である点で一致し,次の点で相違する。 [相違点1] 本願発明では,「前記搬送経路に設けられ,前記搬送経路を伝わる音を低減する減音部」を備え,「前記搬送経路は,前記室外機内に設けられる室外機内経路」を有し,前記減音部は,「前記室外機内経路(61)のうち,前記室外機の側板と,前記側板に取り付けられる閉鎖弁カバーとの間に位置する部分に設けられる」のに対して,引用発明1では,そのような構成がない点。 5.当審の判断 上記相違点について検討すると,引用発明2は,上記のとおり,エアーハンドリングユニットにおいて,エアーハンドリングユニットに設けられ,空気を取り込んで送るファンと,送られる空気が通るダクトと,前記ダクトに設けられ,前記ダクトを伝わる音を低減する消音チャンバとを備え,前記ダクトは,前記エアーハンドリングユニット内に設けられる構成が採用されており,引用発明2における「ファン」,「ダクト」,「消音チャンバ」は,本願発明における「送風装置」,「室外機内経路」,「減音部」にそれぞれ相当する。 また,引用発明2は,引用発明1と同様,送風機の騒音が室内に伝播しないことを課題とするものである。 そして,空気調和機とエアーハンドリングユニットは,互いに関連する技術分野といえるものであり,してみると,当業者が,引用発明1に引用発明2を組み合わせて,引用発明1における室外機内に,「前記搬送経路に設けられ,前記搬送経路を伝わる音を低減する減音部」を備え,「前記搬送経路は,前記室外機内に設けられる室外機内経路」を有し,前記減音部が,当該「室外機内経路」に設けられるよう構成することは,容易になし得たことというべきである。 ところで,空気調和機の室外機において,「室外機の側板に取り付けられる閉鎖弁カバー」を設けて,美観を確保するとともに室外機の外部への音の伝搬を押さえることは,慣用的技術手段である。 また,当該閉鎖弁カバーは,その機能から,室外機と室内機との間の冷媒配管や電源コードに近接して配置されることも,慣用的技術手段である。 上記二つの慣用的技術手段を踏まえると,当業者が引用発明1に引用発明2を組み合わせる際に,減音部を,「前記室外機内経路(61)のうち,前記室外機の側板と,前記側板に取り付けられる閉鎖弁カバーとの間に位置する部分に設けられる」よう構成することは,そもそも室外機の側板に取り付けられている閉鎖弁カバーを,室外機の閉鎖弁カバー近くに配置される室外機内経路中の減音部を覆うことができるであろうことは,当業者が容易に想到し得た程度の事項であって,技術思想を具現化するにあたって,当業者が容易にない得た程度の設計変更ということができる。 6.むすび したがって,本願発明は,引用発明1乃至引用発明2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-06-20 |
結審通知日 | 2007-06-26 |
審決日 | 2007-06-27 |
出願番号 | 特願2002-228932(P2002-228932) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F24F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩本 正義、土田 嘉一 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
佐野 遵 間中 耕治 |
発明の名称 | 空気調和機 |
代理人 | 小野 由己男 |