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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1163688
審判番号 不服2004-20939  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-07 
確定日 2007-09-06 
事件の表示 平成 7年特許願第151418号「浴用剤組成物及びその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月 7日出願公開、特開平 9- 2938〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年6月19日の出願であって、拒絶理由通知に応答して平成16年4月2日付けで手続補正がなされたが、その後平成16年8月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月7日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年11月5日付けで手続補正がなされたものであり、その後当審において、補正却下の決定の理由を示した審尋がなされたが、回答がなされなかったものである。

2.平成16年11月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年11月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
補正前(平成16年4月2日付け手続補正書参照)の
「【請求項1】 インチンコウ又はそのエキスとアルカリ剤を含有する浴用剤組成物。
【請求項2】 アルカリ剤が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、浴湯のpHを7を超えさせ、9以下とする量配合されていることを特徴とする請求項1記載の浴用剤組成物。
【請求項3】 インチンコウ又はそのエキスを浴湯に対してエキス分として0.01?100ppm、アルカリ剤を浴湯に対して0.5?150ppmになるように添加することを特徴とする請求項1記載の浴用剤組成物の使用方法。」から、
補正後の
「【請求項1】 インチンコウ又はそのエキスとアルカリ剤を含有し、次式(1):
【化1】 ・・・省略(構造式)・・・
(式中、Rは、水素原子、炭素数1?10の飽和若しくは不飽和炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表されるニコチン酸誘導体を含有しない浴用剤組成物。
【請求項2】 アルカリ剤が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、浴湯のpHを7を超えさせ、9以下とする量配合されていることを特徴とする請求項1記載の浴用剤組成物。
【請求項3】 インチンコウ又はそのエキスを浴湯に対してエキス分として0.01?100ppm、アルカリ剤を浴湯に対して0.5?150ppmになるように添加することを特徴とする請求項1記載の浴用剤組成物の使用方法。」
と補正された。

上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「浴用剤組成物」について、「次式(1):
【化1】 ・・・省略(構造式)・・・
(式中、Rは、水素原子、炭素数1?10の飽和若しくは不飽和炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表されるニコチン酸誘導体を含有しない」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
本願出願前の刊行物である特開平6-65087号公報(以下、「引用例1」という。)と、特開平5-339144号公報(以下、「引用例2」という。)、特開平4-364119号公報(以下、「引用例3」という。)、特開平6-206814号公報(以下、「引用例4」という。)には、次のことが記載されている。 なお、下線は当審が加筆した。

引用例1には、
(1-i)「【請求項1】茵陳蒿(インチンコウ)のアルコール可溶部除去水性エキスを有効成分として含有することを特徴とする外用止痒剤。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】参照)、
(1-ii)「【0002】
【従来の技術】従来から生薬抽出物が種々の薬効を有することが知られている。その中で、茵陳蒿はキク科のカハラヨモギの若い茎葉を乾燥したものであり、古くから東洋医学では、内服して、胆汁分泌増加作用、肝臓細胞の再生促進作用、利尿作用、殺菌作用および降血圧作用を有することが知られており、黄胆、肝炎、水分代謝異常および高血圧の改善等に頻用されてきた生薬である。・・・(後略)。」(段落【0002】参照)、
(1-iii)「【0009】本発明の外用止痒剤は常法に従って、軟膏剤、硬膏剤、液剤(酒精剤、チンキ剤、ローション剤等を含む)、湿布剤(パップ剤、パスター剤)、塗布剤、噴霧剤、散布剤、リニメント剤(塗擦剤)、クリーム剤、乳剤、溶湯剤等の剤形とすることができる。用いる賦形剤等の他の成分は当該分野で公知のものでよく、一回の投与もしくは使用量に必要な本発明の物質を含むように製剤化するのが望ましい。」(段落【0009】参照。)、
が記載されている。

引用例2には、
(2-i)「【請求項1】 ラクトース及びビワ葉を配合し且つ、トウキ、シャクヤク、ハッカ、ショウブ、ジュウヤクからなる群より選ばれた1種以上を含有することを特徴とする浴剤組成物。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】参照)、
(2-ii)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末梢の保温効果及び、肌のしっとり効果に優れた、浴剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】浴剤組成物は一般に、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩混合物に、香料、色素、保湿剤等を配合したもので、浴湯に香りや色調を与えたり、無機塩の作用による血行促進効果や保温効果によって疲労を回復しリラックス感を与えるものである。」(段落【0001】?【0002】参照)、
(2-iii)「【0008】本発明に用いられる生薬であるところのビワ葉は、ビワ(Eriobotrya japonicaLindl) の葉である。トウキはトウキ(Angelica acutiloba Kitagawa) 又はその他近縁植物の根である。シャクヤクはシャクヤク(Paeonia lactiflora Pallas)又はその近縁植物の根である。ハッカはハッカ(Mentha arvensis linne var. piperascens Malinvaud)又はその近縁植物の地上部である。ショウブはショウブ(Acorus calamas linne var.angustatus Besser)の根である。ジュウヤクはドクダミ(Houttuyia cordata thunberg)の花期の地上部である。
【0009】本発明に用いられるこれらの生薬は、それぞれを乾燥させ、細断、粉砕したもの(生薬末)を用いるが、もちろんこれらの生薬を水もしくはアルコール等、公知の方法により抽出した液(生薬エキス)、又はその抽出液を乾燥した粉末(生薬エキス末)を用いることも可能である。」(段落【0008】?【0009】参照)、
(2-iv)「【0011】また、本発明は、更に無機塩成分を配合すると、その効果を一層高めることができる。この無機塩成分としては、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、ポリリン酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸鉄、リン酸ナトリウム、硫酸マクネシウム、チオ硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナリウム、硫化ナトリウム、ホウ砂、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム等が挙げられる。更に、本発明の浴剤組成物には、香料、色素等を添加することもできる。」(段落【0011】参照)、
が記載されている。

引用例3には、
(3-i)「【請求項1】アルカリ性無機塩類および蛋白質分解酵素を含有し、かつ浴湯溶解時に8.0から10.0のpH値を示すことを特徴とする浴剤組成物。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】参照)、
(3-ii)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた皮膚清浄化作用を有し、入浴後の肌にすべすべ、さっぱりした爽快感をもたらすとともに、あせも、にきび等の皮膚疾患に顕著な改善効果を有する浴剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、浴湯に投入して用いられる浴剤組成物としては種々のものが知られており、その組成は硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類に香料、色素を加えたものが主である。これらの浴剤組成物は、血行促進、疲労回復、皮膚の清浄化、心身のリラックス等の効果を目的とするものである。」(段落【0001】?【0002】参照)、
(3-iii)「【0018】更に本発明の浴剤組成物には、溶解時のpHおよび蛋白質分解酵素の安定性に影響を与えない限り、以下に示す成分を添加することができる。
【0019】無機塩類
塩化ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸鉄、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫化ナトリウム、ホウ砂、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム、臭化カリウム、次亜硫酸ナトリウム等。
【0020】・・・中略・・・
【0021】・・・中略・・・
【0022】生薬類
ソウジュツ、ビャクジュツ、カノコソウ、ケイガイ、コウボク、センキュウ、トウキ、ショウキョウ末、ニンジン、ケイヒ、シャクヤク、ハッカ葉、オウゴン、サンシシ、ブクリョウ、ドクカツ、ショウブ、ガイヨウ、マツブサ、ビャクシ、ジュウヤク、サフラン、オウバクエキス、チンピ、ウイキョウ、カン皮末、カミツレ、メリッサ、ローズマリー、マロニエ、アルニカ等。」(段落【0018】?【0022】参照)、
が記載されている。

引用例4には、
(4-i)「【0002】
【従来の技術】入浴剤は、一般に芒硝、硼砂、イオウ、炭酸塩等の無機塩類混合物に香料、着色料、植物エキスおよび有機酸等を配合したもので、浴湯に香り、色調を与えたり、皮膚面に適度な刺激(水圧、温度等)を与えることにより、入浴中および浴後の血液の循環を活発にし、疲労回復および新陳代謝を増進させるものである。これらの入浴剤の中で、炭酸塩と酸を組み合わせた発泡性入浴剤があり、これは浴湯中に炭酸ガスの気泡を発生させて、リラックス感や爽快感を高め、入浴を楽しくするものである。」(段落【0002】参照)、
(4-ii)「【0023】本発明におけるミカン目、キキョウ目、バラ目、ショウガ目、セリ目、モクレン目、フトモモ目、シソ目、オトギソウ目、ケシ目およびコショウ目からなる植物群から選ばれる植物の意味には上記植物の花、葉、茎、根、実および皮などを含んでいる。例えばダイダイの成熟果皮であるトウヒ、キハダの樹皮であるオオバク、ナツミカンの未熟果皮であるキジツ、ベニバナの花であるコウカ、ヨモギの葉であるガイヨウ、云木香の根であるモッコウ、カワラヨモギの幼苗または成熟花穂であるインチンコウ、オケラの根茎であるビャクジュツ、ホソバオケラの根茎であるソウジュツ、砂仁の種であるシュクシャ、ショウガの根茎であるショウキョウ、カルダモンの種であるショウズク、ビターカルダモンの果実であるヤクチ、クルクマロングの根茎であるウコン、フェネルの果実であるウイキョウ、ヨロイグサの根であるビャクシ、ミシマサイコの根であるサイコ、ウドの根茎であるドクカツ、オカゼリの果実であるジャショウシ、ニッケイの樹皮または周皮であるケイヒ、ウツボグサの花穂であるカゴソウ、シソの葉および枝先であるソヨウあるいはクロバナヒキオコシの地上部分であるエンメイソウなどが挙げられる。また、これら植物の花、葉、茎、根、実および皮などは1種又は2種以上の混合物としても使用するこができる。」(段落【0023】参照)、
が記載されている。

(3)対比、判断
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明とを対比する。
引用例1には、上記摘示の記載からみて、また、「溶湯剤」が「浴湯剤」の誤記であることは明らかと認められるから、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「茵陳蒿(インチンコウ)のエキスを有効成分として含有する、浴湯剤等の剤形とした外用止痒剤。」

そして、引用例1発明の「浴湯剤等の剤形」は、本願補正発明の「浴用剤組成物」に相当する。
また、引用例1発明には、本願補正発明の「次式(1):
【化1】 ・・・省略(構造式)・・・
(式中、Rは、水素原子、炭素数1?10の飽和若しくは不飽和炭化水素基又はベンジル基を示す。)で表されるニコチン酸誘導体」が含有されないことが明らかである。

してみると、両発明は、
「インチンコウのエキスを含有し、次式(1):
【化1】 ・・・省略・・・
(式中、Rは、水素原子、炭素数1?10の飽和若しくは不飽和炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表されるニコチン酸誘導体を含有しない浴用剤組成物。」で一致する。

本願補正発明では、更に、「アルカリ剤」を含有することが特定されているので、その点について以下検討する。
引用例1のインチンコウの剤形の一つとして採用されている浴湯剤(入浴剤、浴用剤ともいわれる。)には、一般に、生薬成分以外にも、炭酸水素ナトリウム(アルカリ剤に相当する)などを配合し、血行促進効果や保温効果をもたせることが広く行われている(例えば、先に示した引用例2?4参照。)。
そうであるから、引用例1発明において、更にアルカリ剤を配合することは、当業者が適宜採用し得ることにすぎず、少なくとも当業者であれば容易に想到し得る程度のことという他ない。そして、本願明細書には本願補正発明の効果として、かゆみに対して優れた改善効果があることの他にアルカリ側で抗菌作用に優れた浴用組成物である点が示されているが、インチンコウ乃至はそのエキス(即ちカワラヨモギ乃至その抽出物)に抗菌性のあることや抗かゆみ作用のあることは周知(引用例1の請求項1に止痒性であること、段落【0002】に殺菌作用のあることの記載がある他、特開平7-16087号公報の段落【0003】、特開昭62-205016号公報の第1頁左下欄、特開平6-211679号公報の請求項1、段落【0001】?【0006】など参照)であるから、本願補正発明が格別予想外の作用効果を奏しているとも認められない。

以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例2?4に記載された発明や周知技術を勘案し、引用例1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願補正発明は、独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年11月5日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成16年4月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 インチンコウ又はそのエキスとアルカリ剤を含有する浴用剤組成物。」

(1)引用例
原査定の拒絶理由に引用される特開平6-206814号公報(以下、前記「2.(2)」の記載に従い「引用例4」という。)には、前記「2.(2)」に摘示した(4-i),(4-ii)の他に、
(4-iii)「【請求項1】 ミカン目、キキョウ目、バラ目、ショウガ目、セリ目、モクレン目、フトモモ目、シソ目、オトギソウ目、ケシ目およびコショウ目からなる植物群より選ばれる1種以上の植物の抽出物と、次の一般式(1)で表されるニコチン酸誘導体の1種以上を含有することを特徴とする入浴剤。
【化1】 ・・省略(構造式)・・
(式中、Rは、水素原子、炭素数1?10の飽和若しくは不飽和炭化水素基またはベンジル基を示す。)」(【特許請求の範囲】の【請求項1】参照)、
(4-iv)「【0028】本発明の入浴剤に配合できるその他の成分としては、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、l-メントール、・・・(中略)・・・硫化ナトリウム、セキス炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、・・・(中略)・・・水酸化ナトリウム、乳清および脱脂粉乳などが挙げられる。・・・(後略)。」(段落【0028】参照)、
(4-v)「【0041】2 入浴試験
浴室内の室温が23?24℃で、その浴室内の中にある40?41℃の約200リットルの温水が入った浴槽内に表2に記載の実施例1?3および比較例1の入浴剤を添加して充分に攪拌した。その後該浴槽に健常人11名を約10分間入浴させた。そして、出浴後の保温効果の有無を出浴後約1時間の間10分毎に「○」または「×」で自己評価させ、その結果を表3に示した。表3の数字はその時間において「○」を示した人数を示す。また健常成人11名のうち8名は冷え性の自覚症状を持つものであった。表3の結果より本発明の表2記載の入浴剤の温浴効果は明らかである。
【0042】 【表2】 略 (実施例1?3,比較例)
(実施例3としては、ニコチン酸ベンジル 1、ショウジチンキ 2、軽質無水ケイ酸 2、界面活性剤 0.3、硫酸ナトリウム 64.7、炭酸水素ナトリウム 29 の例が示されている。)
【0043】 【表3】略
【0044】なお、明らかな温浴効果を示す入浴剤の具体例としては、表2に示した具体例の他以下に示す製剤例を挙げることができる。(製剤例)
ニコチン酸メチル 2.0%
ショウキョウエキス(30%エタノール・水混合溶媒抽出物) 4.0%
ケイ酸カルシウム 3.8%
硫酸ナトリウム 50.6%
炭酸水素ナトリウム 26.2%
硫酸マグネシウム 13.4%」(段落【0041】?【0044】)、
が記載されている。

(2)対比、判断
上記引用例4の摘示の記載を検討すると、
(i)「ミカン目、キキョウ目、バラ目、ショウガ目、セリ目、モクレン目、フトモモ目、シソ目、オトギソウ目、ケシ目およびコショウ目からなる植物群より選ばれる1種以上の植物の抽出物」を含有する入浴剤が記載されている(摘示(4-iii)など参照)。
(ii)「ミカン目、キキョウ目、バラ目、ショウガ目、セリ目、モクレン目、フトモモ目、シソ目、オトギソウ目、ケシ目およびコショウ目からなる植物群より選ばれる1種以上の植物」の意味として、「インチンコウ」が例示されていて(摘示(4-ii)参照)、また、それら植物の抽出物とはエキスを意味する。
(iii)入浴剤は、一般に炭酸塩等に植物エキスを配合したものであることが知られ(摘示(4-i)の【従来の技術】を参照)、引用例4に記載された発明の入浴剤に配合できるその他の成分として、炭酸水素ナトリウムなどが例示され(摘示(4-iv)参照)、更に、その実施例3や他の製剤例には、炭酸水素ナトリウムを配合したものが明示されている(摘示(4-v)参照)。

してみると、引用例4には、
「インチンコウのエキスを含有し、更に炭酸水素ナトリウムなどを配合した入浴剤。」の発明が記載されているといえる。

ところで、
(a)炭酸水素ナトリウムは、本願発明の実施例でも用いられているアルカリ剤の典型例である。
(b)「入浴剤」とは、「浴用剤組成物」に他ならない。
(c)引用例4では、【化1】の構造式(式中、Rは、水素原子、炭素数1?10の飽和若しくは不飽和炭化水素基またはベンジル基を示す。)で表されるニコチン酸誘導体を含有しているが、本願発明では、インチンコウ又はそのエキスとアルカリ剤以外の成分の添加を排除するものではない(本願明細書段落【0011】参照)から、この点は相違点とはなり得ない。

してみると、本願発明の「インチンコウのエキスとアルカリ剤を含有する浴用剤組成物。」の発明は、引用例4に記載され発明であると言える。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-05 
結審通知日 2007-07-10 
審決日 2007-07-23 
出願番号 特願平7-151418
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 113- Z (A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福井 美穂  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 森田 ひとみ
弘實 謙二
発明の名称 浴用剤組成物及びその使用方法  
代理人 藤田 節  
代理人 平木 祐輔  
代理人 石井 貞次  
代理人 島村 直己  

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